(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記二つの第二排気ポートの最も外側に位置する内壁と前記仕切壁の先端部との距離が最短の位置における通路面積が、前記燃焼室に繋がる前記第一排気ポート及び前記第二排気ポートの通路面積と同一に形成される
ことを特徴とする、請求項1記載のシリンダヘッド構造。
前記二つの第一排気ポートと前記二つの第二排気ポートと前記排気集合部とを有する集合排気ポートは、前記仕切壁の前記直列方向に直交する平面を中心に面対称に形成されている
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のシリンダヘッド構造。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
【0016】
[1.構造]
[1−1.全体構造]
本実施形態にかかるシリンダヘッド構造について、
図1〜
図5を用いて説明する。ここでは、直列4気筒エンジンに適用されたシリンダヘッド構造について説明する。なお、以下の説明では、シリンダヘッド1に対して図示しないシリンダブロックが結合される側を下方とし、その逆側、すなわちシリンダヘッド1に対して図示しないヘッドカバーが結合される側を上方として説明する。
【0017】
シリンダヘッド1の下面及びシリンダブロックの上面はともに平面状に形成され、これらの接合面に気密性を確保するためのガスケットが介装された状態で、シリンダヘッド1とシリンダブロックとが結合される。また、シリンダヘッド1の上面にはヘッドカバーが取り付けられ、シリンダブロックの下面にはクランクケース及びオイルパンが取り付けられる。なお、
図3に示すように、シリンダヘッド1の上面は凹設され、動弁室7が形成される。ヘッドカバーは、この動弁室7を覆うように上方に結合される。動弁室7には、図示しない吸気カム及び排気カムを備えたカムシャフト等が設けられる。
【0018】
図1に示すように、シリンダブロックに形成される四つのシリンダ2(気筒,
図1中に二点鎖線で示す)は直列に配置され、これらシリンダ2には図示しないピストンが摺動自在に内装される。以下、四つのシリンダ2が直列に並設された方向(直列方向)をシリンダ列方向Lという。すなわち、シリンダヘッド1の長手方向がシリンダ列方向Lと一致する。なお、ここでは、
図1のように上面視で排気側を上側、吸気側を下側としたときに、シリンダヘッド1の左側をフロント側、右側をリア側と呼ぶ。
【0019】
エンジンのフロント側には、エンジンの補機類や動力伝達用の伝達部材(クランクプーリ,タイミングプーリ,スプロケット等)が設けられる。一方、エンジンのリア側にはドライブプレート,フライホイールが設けられ、パワートレーンの下流側の各種装置(例えば、変速機,回転電機等)に接続される。ここでは、四つのシリンダ2をフロント側から順に、第一気筒,第二気筒,第三気筒,第四気筒とする。第一気筒,第四気筒は、シリンダ2の外表面側(シリンダ列方向Lの端部)に位置することから「外側気筒」と呼ばれる。これに対し、第二気筒,第三気筒は、シリンダ2の内部側(外側気筒よりも内側)に位置することから「内側気筒」と呼ばれる。
【0020】
シリンダヘッド1の下面には、シリンダ列方向Lに沿ってピストンの頂面に対向する位置に四つのペントルーフ型の燃焼室(図示略)が形成される。
図1に示すように、燃焼室の三角屋根状の一方(吸気側)の斜面には二つの吸気バルブ孔11が形成され、他方(排気側)の斜面には二つの排気バルブ孔21が形成される。シリンダヘッド1には、二つの吸気バルブ孔11から吸気側側壁10へ向かって湾曲形成された吸気ポート12と、各排気バルブ孔21から排気側側壁20へ向かって湾曲形成された排気ポート23aとが設けられる。
【0021】
吸気ポート12は、それぞれのシリンダ2に対して一つずつ設けられるとともに、それぞれのシリンダ2に形成された一対の吸気バルブ孔11の双方に対して下流端が接続されるように、二股に分岐した形状とされる。エンジンの上面視における吸気ポート12の透視形状は、
図1に示すように、Y字状となる。また、それぞれのシリンダ2に接続された吸気ポート12は、シリンダヘッド1内で互いに集合することなく、独立して吸気側側壁10に開口する。したがって、シリンダヘッド1に形成される吸気ポート12の上流端の開口部は、
図1に示すように、シリンダ2の数と同一数の四個となる。
【0022】
一方、排気ポート23aは、一つの排気バルブ孔21に対して一つずつ設けられており、八つの排気ポート23aは、シリンダヘッド1の内部で一体に集合する。この集合部分を排気集合部23bと呼ぶ。複数の排気ポート23aの列設方向(すなわち、排気側側壁20のシリンダ列方向L)の中央には、排気集合部23bで集合された排気が流出する一つの開口(以下、シリンダヘッド出口24という)が設けられる。八つの排気ポート23aと排気集合部23bとは、シリンダヘッド1の内部に形成された中空部であり、これらによって集合排気ポート23が形成される。
【0023】
シリンダヘッド1の内部には、排気熱による燃焼室や集合排気ポート23の過熱を抑制するために、冷却水を流通させるウォータジャケット30が形成される。ウォータジャケット30は、吸気ポート12及び排気ポート23aの周辺や、集合排気ポート23の上方及び下方に設けられ、シリンダヘッド1のフロント側からリア側に向かってシリンダ列方向Lに冷却水を流通させる。
【0024】
ここでは、ウォータジャケット30は、
図1及び
図3に示すように、四つの燃焼室の上方近傍を通過するようにシリンダ列方向Lに延在するメインウォータジャケット31と、排気集合部23bを上下で挟み合う位置でそれぞれシリンダ列方向Lに延在するアッパウォータジャケット32及びロアウォータジャケット33とを有する。アッパウォータジャケット32及びロアウォータジャケット33は、メインウォータジャケット31と連通している。
【0025】
図1及び
図3に示すように、排気側側壁20は、集合排気ポート23の排気集合部23bに臨む部分において、中央が外側に向かって曲面状に凸に形成されたアーチ状の張出部25を有する。張出部25は、上面部25a及び下面部25bがそれぞれ平面状の弓形に形成され、側面部25cが曲面状に形成される。張出部25の側面部25cのシリンダ列方向Lの中央には、シリンダヘッド出口24の周囲に形成されたフランジ部26が設けられる。フランジ部26は、張出部25の側面部25cよりも外方へ突設され、図示しない排気管が接続される。
【0026】
シリンダヘッド1には、
図1に示すように、各シリンダ2の中央にボス部4bが形成され、このボス部4bには図示しない点火プラグを挿入して燃焼室に臨ませるための点火プラグ挿入孔4hが形成される。また、シリンダヘッド1には、シリンダヘッド1をシリンダブロックに結合するための複数の締結ボルト(図示略)が挿通される複数の締結ボルト孔5が、吸気側及び排気側の隣接するシリンダ2の間と両端のシリンダ2の外側とにそれぞれ形成される。また、シリンダヘッド1の排気側には、ブリージング孔6が形成される。
【0027】
さらに、シリンダヘッド1の最もリア側に位置する排気ポート23aのシリンダ列方向Lの外側には、シリンダヘッド1を上下方向(シリンダ列方向Lに直交する方向)に貫通するオイル孔8が形成される。動弁室7の底部に設けられるオイルジャケットに溜まったオイルは、オイル孔8や図示しないフロント側のオイル孔からオイルパンへ落下する。
【0028】
[1−2.集合排気ポートとその周辺構造]
図1に示すように、集合排気ポート23は、その上流端が個々の排気バルブ孔21に対して接続されるように、八本に分岐した形状とされる。また、集合排気ポート23の下流端は、分岐している個々の通路が一本に集約された形状とされる。
図2に模式的に示すように、集合排気ポート23の分岐形状は、上流側ほど分岐数が増加する樹枝形状(樹形図形状)である。
【0029】
ここで、排気バルブ孔21に対して接続された最も細い通路(集合排気ポート23の最も上流に位置する枝管)のことを小通路23Aと呼ぶ。小通路23Aは排気ポート23aに対応する。一本の小通路23Aの断面積S
1は、一個の排気バルブ孔21の開口面積に応じた大きさ(例えば、排気バルブ孔21の開口面積と同程度)に設定される。また、同一のシリンダ2に接続された一対の小通路23Aは、排気バルブ孔21に比較的近い位置で合流して中通路23B(集合排気ポート23の中間部に位置する枝管)を形成する。中通路23Bの断面積S
2は、その中通路23Bに合流している一対の小通路23Aの総断面積2S
1に応じた大きさ(例えば、総断面積2S
1と同程度の大きさ)に設定される。
【0030】
また、互いに隣接する二つのシリンダ2に接続された中通路23Bは、排気バルブ孔21から比較的遠い位置で合流して大通路23Cを形成する。
図2に示す例では、第一気筒及び第二気筒に接続される中通路23Bが合流して大通路23Cを形成するとともに、第三気筒及び第四気筒に接続される中通路23Bが合流して大通路23Cを形成している。
【0031】
大通路23Cの断面積S
3は、排気の流通方向の下流側ほど小さく(狭く)なるように設定される。大通路23Cの上流端では、その大通路23Cに合流している一対の中通路23Bの総断面積2S
2に応じた大きさ(例えば、総断面積2S
2と同程度の大きさ)に設定される。一方、大通路23Cの下流端では、一つの中通路23Bの断面積S
2に応じた大きさ(例えば、断面積S
2と同程度の大きさ)に設定される。
【0032】
一対の中通路23Bが合流する合流箇所の上流側において、一対の中通路23Bによって挟まれた部分のことを股部16と呼ぶ。股部16は、例えば、一方の中通路23Bまでの距離が所定距離以下となる部分(一方の中通路23Bの周面を拡径方向に広げた円筒の内側部分)と、他方の中通路23Bまでの距離が所定距離以下となる部分(他方の中通路23Bの周面を拡径方向に広げた円筒の内側部分)との重合領域として定義できる。
【0033】
図2に示す例では、第一気筒からの排気流と第二気筒からの排気流とによって挟まれる三角形状の部位が、股部16に相当する。また、第三気筒からの排気流と第四気筒からの排気流とによって挟まれる三角形状の部位も、股部16に相当する。なお、股部16の具体的な立体形状は、シリンダヘッド1の内部における熱分布に応じて任意に設定することができる。
【0034】
二本の大通路23Cは、シリンダヘッド1の排気側側壁20に近い位置で合流して、全てのシリンダ2からの排気が流通する集合通路23Dを形成する。二本の大通路23Cの合流部分は排気集合部23bに対応する。集合通路23Dの断面積S
4は、その下流側に接続される排気管や触媒装置,ターボチャージャ等の大きさに応じて設定される。ただし、二本の大通路23Cの合流位置において、大通路23Cの下流端(すなわち、集合通路23Dの入り口部分)は、大通路23Cの上流端よりも細く絞られた形状とされている。これにより、一対の小通路23Aの合流位置での排気流速と、集合通路23Dの入り口部分での排気流速とがほぼ同一となる。したがって、集合通路23D内で排気の流れが失速しにくくなり、排気効率が向上する。
【0035】
上記の股部16と同様に、二本の大通路23Cによって挟まれる部分のことを第二股部17と呼ぶ。第二股部17は、例えば、一方の大通路23Cまでの距離が所定距離以下となる部分と、他方の大通路23Cまでの距離が所定距離以下となる部分との重合領域として定義できる。
図2に示す例では、第一,第二気筒からの排気流と第三,第四気筒からの排気流とによって挟まれる三角形状の部位が、第二股部17に相当する。第二股部17の具体的な立体形状は、シリンダヘッド1の内部における熱分布に応じて任意に設定することができる。
【0036】
なお、集合通路23Dは、可能な限り短く形成されることが好ましい。すなわち、二本の大通路23Cの合流位置は、可能な限り、排気流の出口(集合通路23Dの下流端)から近い位置(集合通路23Dの下流端面からの距離が所定距離以下となる範囲内)に設定されることが好ましい。
【0037】
図1に示すように、集合排気ポート23は、シリンダヘッド1と一体に形成され、仕切壁3Bのシリンダ列方向Lに直交する平面(すなわち、
図1中の一点鎖線に沿って紙面に直交する平面)を中心に面対称に形成されている。ここで、内側気筒(第二気筒,第三気筒)の燃焼室に繋がる各排気ポート23aを何れも第一排気ポートと呼び、外側気筒(第一気筒,第四気筒)の燃焼室に繋がる各排気ポート23aを何れも第二排気ポートと呼ぶ。仕切壁3Bは、第一排気ポート間(すなわち、第二気筒及び第三気筒の燃焼室にそれぞれ繋がる排気ポート間)に配置され、排気集合部23bの出口(集合排気ポート23の排気下流端)であるシリンダヘッド出口24側へ延設される。なお、上記の第二股部17は、仕切壁3Bの一部(先端側の部位)に対応する。
【0038】
一側(ここではフロント側)の第一排気ポートと第二排気ポートとの間は第一壁部3A(第一の隔壁)で隔離され、他側(リア側)の第一排気ポートと第二排気ポートとの間は第二壁部3C(第二の隔壁)で隔離される。第一壁部3A及び第二壁部3Cは、いずれもシリンダヘッド1と一体で形成され、先端部3d,3fがそれぞれシリンダヘッド出口24に向かうように内側に湾曲形成される。ここでは、第一壁部3Aの先端部3d及び第二壁部3Cの先端部3fが、それぞれ第一壁部3A及び第二壁部3Cの中で最も排気下流側に位置する端部となっている。なお、上記の股部16は、第一壁部3A,第二壁部3Cの一部(先端側の部位)に対応する。
【0039】
集合排気ポート23とその周辺の構成について、さらに
図4を用いて説明する。
図4はシリンダヘッド1を上方から透視して、実際にはシリンダヘッド1に形成された中空部であるシリンダヘッド1内の集合排気ポート23を示したものである。
図4に示すように、集合排気ポート23は、中央の仕切壁3Bが、第一壁部3A及び第二壁部3Cの最も排気下流側に位置する端部3d,3fの頂点同士を繋いだ平面(すなわち、
図4中の二点鎖線Rに沿って紙面に直交する平面)よりもシリンダヘッド出口24側へ延設されている。これにより、排気集合部23bの上流部が二つに分割されている。なお、
図4中に網掛けで示した部分は、仕切壁3Bのうち第一壁部3A及び第二壁部3Cの最も排気下流側に位置する端部3d,3fの頂点同士を繋いだ平面よりもシリンダヘッド出口24側に突出した先端側の部位であり、以下この部位を突出部3pという。
【0040】
仕切壁3Bは、少なくとも第二排気ポートの流路中心線(
図4中に一点鎖線で示す)をそれぞれ延長した交点Qまで延設されている。排気ポート23aの流路中心線とは、例えば第一気筒では、第一気筒に接続された二つの排気ポート23aが統合されて一本になった部分から、隣接する内側のシリンダ2(すなわち第二気筒)に接続される排気ポート23aと合流する部分(合流部)までの排気流路の中心線を意味する。なお、上記の合流部の境界面とは、例えば一側では、第一壁部3Aの先端部3dから第一気筒に繋がる排気ポート23aの最も外側に位置する内壁までの距離が最短の位置における断面とする。
【0041】
これにより、第一気筒から排出された排気は、排気ポート23aを通過して仕切壁3Bの突出部3pに当たり、仕切壁3Bの側面に沿ってシリンダヘッド出口24から排出される。同様に、第四気筒から排出された排気も、排気ポート23aを通過して仕切壁3Bの突出部3pに当たり、仕切壁3Bの側面に沿ってシリンダヘッド出口24から排出される。つまり、仕切壁3Bに突出部3pを設けることで、排気が仕切壁3Bに当たって他気筒の排気ポート23aに流れ込まないようになっている。なお、第二気筒又は第三気筒から排出された排気は、各排気ポート23aを通過して仕切壁3Bに沿ってシリンダヘッド出口24側へ流れて排出されるため、仕切壁3Bがガイドとして機能する。
【0042】
このように、仕切壁3Bは高温の排気の影響を受けて昇温されやすく、特に突出部3pは全てのシリンダ2から排出された排気が当たるためより昇温されやすい。また、集合排気ポート23における第一壁部3A,第三壁部3Cの各先端部3d,3fの近傍(上記の股部16)は、それぞれ第一排気ポートから排出される排気と第二排気ポートから排出される排気とが共に通過する部分であるため、この部分も昇温されやすい。これらの昇温されやすい部分は、ウォータジャケット30によって積極的に水冷される。なお、上記の股部16は、フロント側,リア側の各々二つのシリンダ2に接続される排気ポート23aの最初の合流点にも対応する。
【0043】
さらにここでは、集合排気ポート23は、第二排気ポートの最も外側に位置する内壁と仕切壁3Bの先端部3eとの距離が最短の位置における通路面積Sd(上記の大通路23Cの下流端の断面積S
3に対応)が、各シリンダ2の燃焼室に接続される二つの排気ポート23aの排気上流端の通路面積Su(上記の一対の小通路23Aの総断面積2S
1に対応)と同一に形成される。
【0044】
前者の通路面積Sdは、集合排気ポート23の排気集合部23bにおける二つに分割された上流部と一つに集合された下流部との境界部の断面積に対応し、
図4中の先端部3eと各点Pとを結んだ破線に沿って紙面に直交する各断面の面積(すなわち、片方の断面積)である。この通路面積Sdは、排気集合部23bのうち最も断面積の小さい(排気流路が最も狭い)部分の断面積である。後者の通路面積Suは、二つの排気バルブ孔21の面積の和に対応する。
【0045】
言い換えると、仕切壁3Bは、上記の二つの通路面積Sd,通路面積Suが同一になるように、先端部3eの位置が設定される。なおここでは、仕切壁3Bの先端部3eが、二つの第二排気ポートの流路中心線の交点Qと一致している。これにより、シリンダ2から排出される排気の流速の低下が抑制され、排気集合部23bを通過する際の排気の圧力損失が防止される。
【0046】
図5は、
図4と同様に、シリンダヘッド1を上方から透視して、実際にはシリンダヘッド1に形成された中空部であるシリンダヘッド1内のウォータジャケット30を集合排気ポート23と重ねて示したものである。
図5では、ウォータジャケット30のうち、集合排気ポート23よりも上方に位置するメインウォータジャケット31及びアッパウォータジャケット32の外形を破線で示し、冷却水が流通する空間をドットで表現している。
【0047】
図3及び
図5に示すように、アッパウォータジャケット32は、シリンダヘッド1の張出部25の内部に張出部25の形状に沿って弓形に形成される。アッパウォータジャケット32は、
図5中に矢印で示すように、二つの第一排気ポートを主に冷却する内側ルートと、二つの第二排気ポートを主に冷却する外側ルートとの二系統に流れが分割されている。これら内側ルートと外側ルートとは、三つの連通部32a,32b,32cで連通される。
【0048】
フロント側の連通部32a及びリア側の連通部32cは、集合排気ポート23の二つの股部16の上方に設けられ、これにより股部16周辺が水冷される。また、中央の連通部32bは、両側の連通部32a,32cよりも幅広に形成され、仕切壁3Bの突出部3pの上面を覆うように設けられる。つまり、仕切壁3Bの突出部3pの上面には、アッパウォータジャケット32の外側ルートと中央の連通部32bとが設けられる。
【0049】
ロアウォータジャケット33は、
図5には図示していないが、アッパウォータジャケット32と同様に、張出部25の内部に張出部25の形状に沿って弓形に形成される。そして、二つの第一排気ポートを主に冷却する内側ルートと、二つの第二排気ポートを主に冷却する外側ルートとの二系統に流れが分割されている。さらに、仕切壁3Bの突出部3pの基端側の下面を覆うように設けられる中央の連通部と、集合排気ポート23の二つの股部16の下方に設けられるフロント側の連通部及びリア側の連通部とを有する。つまり、仕切壁3Bの先端部3eを含む突出部3pの下面には、ロアウォータジャケット33の外側ルートと中央の連通部とが設けられる。
【0050】
したがって、
図3に示すように、仕切壁3Bの突出部3pの上面及び下面には、ウォータジャケット32,33が設けられる。これにより、仕切壁3Bの先端部3eを含む突出部3pは上下から水冷される。
【0051】
[2.効果]
上記のシリンダヘッド構造では、二つの第一排気ポートの間の仕切壁3Bのうち少なくとも先端部3eは、上面及び下面に設けられるウォータジャケット32,33により上下から水冷される。先端部3eは、全てのシリンダ2から排出される排気が当たり、常に排気に晒されるため、仕切壁3Bのなかでも特に昇温されやすい部位である。本シリンダヘッド構造では、この先端部3eを上下から水冷することでこの部位の温度を下げることができ、高温になりやすい排気集合部23bやシリンダヘッド出口24近傍を冷却することができる。さらに、先端部3eの温度を下げることで、先端部3eに接触して流れる排気の温度を下げることもできる。
【0052】
また、仕切壁3Bは、少なくとも二つの第二排気ポートの流路中心線をそれぞれ延長した交点Qまで延設されるため、両端の第二排気ポートから排出された排気を仕切壁3Bに当てて、排気集合部23bの排気下流端側(シリンダヘッド出口24側)へ導くことができる。つまり、一側のシリンダ2から排出された排気が他側のシリンダ2に接続される排気ポート23aへ流れ込むことを防ぐことができ、排気干渉を防ぐことができる。これにより、排気集合部23bにおける排気の滞りが抑制され、スムーズに排気が排出されることで、排気集合部23bの温度上昇を抑制することもできる。
このように、本シリンダヘッド構造によれば、シリンダヘッド1の排気集合部23bの冷却性の向上と排気干渉の防止とを両立することができる。
【0053】
上記のシリンダヘッド構造では、集合排気ポート23は、第二排気ポートの最も外側に位置する内壁と仕切壁3Bの先端部3eとの距離が最短の位置における通路面積Sd(上記の大通路23Cの下流端の断面積S
3に対応)が、各シリンダ2に接続される二つの排気ポート23aの排気上流端の通路面積Su(上記の一対の小通路23Aの総断面積2S
1に対応)と同一に形成される。これにより、各シリンダ2から排出された排気の流速の低下を抑制することができ、よりスムーズに排気を排出することができるとともに、排気集合部23bを通過する排気の圧力損失を防ぐことができる。
【0054】
また、上記のシリンダヘッド構造では、仕切壁3Bのうち少なくとも、第一壁部3A及び第二壁部3Cの端部3d,3fの頂点同士を繋いだ平面よりもシリンダヘッド出口24側へ延設された突出部3pの上下にウォータジャケット32,33が配置される。突出部3pも、全てのシリンダ2から排出される排気が当たり、常に排気に晒されるため、仕切壁3Bのなかでも特に昇温されやすい部位である。本シリンダヘッド構造では、この突出部3pを上下から水冷することでこの部位の温度を下げることができ、高温になりやすい排気集合部23bやシリンダヘッド出口24近傍を冷却することができる。さらに、突出部3pの温度を下げることで、突出部3pに接触して流れる排気の温度を下げることもできる。
【0055】
また、上記のシリンダヘッド構造では、アッパウォータジャケット32及びロアウォータジャケット33が、それぞれ内側ルートと外側ルートの二系統に流れが分割されている。これにより、流路断面積を小さく形成することができるため、ウォータジャケット32,33内を流れる冷却水の流速を上げることができ、冷却効率を高めることができる。
【0056】
さらに、アッパウォータジャケット32及びロアウォータジャケット33は、内側ルートと外側ルートとを連通する連通部32a,32b,32cを有する。これらのうち、フロント側の連通部32a及びリア側の連通部32cは、集合排気ポート23の二つの股部の上方及び下方にそれぞれ設けられるため、昇温されやすい股部を効率よく冷却することができる。
【0057】
また、上記のシリンダヘッド構造では、集合排気ポート23は、仕切壁3Bのシリンダ列方向Lに直交する平面を中心に面対称であるため、シリンダヘッド構造を簡素化することができ、製造コストを削減することができる。
また、集合排気ポート23は、一つのシリンダ2に対して二つの排気ポート23aが接続されるため、一つの排気ポート23aの断面積を小さくすることができ、シリンダ2から排出された時点での排気の流速を高めることができる。
【0058】
[3.その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
上記実施形態では、仕切壁3Bの先端部3eが、両端の二つのシリンダ2に接続される排気ポート23aの流路中心線をそれぞれ延長した交点Qと一致して設けられているが、先端部3eの位置は交点Qと一致していなくてもよく、交点Qよりも排気下流側に延設されていてもよい。
また、上記実施形態では、通路面積Sdと通路面積Suとが同一になるように仕切壁3Bの先端部3eの位置が設定されているが、これらの通路面積Sd,Suは同一でなくもよい。
【0059】
また、ウォータジャケット30の形状は一例であって、上記したものに限られない。例えば、アッパウォータジャケット32及びロアウォータジャケット33が、内側ルートと外側ルートとを連通する連通部を四箇所以上有していてもよいし、あるいは二系統に分割されていなくてもよい。少なくとも、仕切壁3Bの先端部3eの上下にウォータジャケットが配置されていればよい。
【0060】
上記実施形態では、集合排気ポート23が、仕切壁3Bのシリンダ列方向Lに直交する平面を中心に面対称に形成されているが、集合排気ポート23の形状はこれに限られない。例えば、第一壁部3Aの形状と第二壁部3Cの形状とが異なっていてもよいし、シリンダヘッド出口24の位置が左右何れかにシフトしたような形状であってもよい。また、一つのシリンダ2に吸気バルブ孔11及び排気バルブ孔21が一つずつ設けられたエンジンであってもよいし、燃焼室の形状も上記したものに限られない。