特許第6248621号(P6248621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6248621ゴム組成物およびこれを用いる空気入りタイヤ
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  • 特許6248621-ゴム組成物およびこれを用いる空気入りタイヤ 図000012
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248621
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】ゴム組成物およびこれを用いる空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 7/00 20060101AFI20171211BHJP
   C08K 5/37 20060101ALI20171211BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20171211BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20171211BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   C08L7/00
   C08K5/37
   C08L9/00
   C08K3/04
   B60C1/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-267807(P2013-267807)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-124241(P2015-124241A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】釜堀 綾子
(72)【発明者】
【氏名】三原 諭
【審査官】 海老原 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−111042(JP,A)
【文献】 特開2012−201336(JP,A)
【文献】 特開2004−263134(JP,A)
【文献】 特開2011−089033(JP,A)
【文献】 特開2010−149842(JP,A)
【文献】 特開2007−092086(JP,A)
【文献】 特開2001−192506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 7/00
B60C 1/00
C08K 3/04
C08K 5/37
C08L 9/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴムを含有するジエン系ゴム100質量部に対して、
下記式(1)で示されるイソシアヌル酸誘導体及び/又は下記式(2)で示されるカルボン酸誘導体0.1〜10質量部と、
窒素吸着比表面積が90〜150m2/gであるカーボンブラック40〜60質量部とを含み、
前記天然ゴムの量が前記ジエン系ゴム100質量部中の40〜100質量部である、重荷重車輌用タイヤのキャップトレッド用のゴム組成物。
【化1】
[式(1)中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に−Ca2aOC(=O)Cb2bSHであり、a、bはそれぞれ独立に1以上の整数であり、R1、R2、R3は同一であっても異なってもよい。]
【化2】

[式(2)中、R4、R5、R6はそれぞれ独立に−OC(=O)Cn2nSHであり、R7はアルキル基又は水素原子であり、nはそれぞれ独立に2以上の整数であり、−OC(=O)Cn2nSHは同一であっても異なってもよい。]
【請求項2】
前記イソシアヌル酸誘導体又は前記カルボン酸誘導体の分子量が1,000以下である、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記式(2)中、nが2である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記ジエン系ゴムが、更にブタジエンゴムを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項5】
更に、充填剤(前記カーボンブラックを除く。)を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物を用いて形成したキャップトレッドを有する、重荷重車輌用の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重荷重車輌用タイヤのキャップトレッド用のゴム組成物およびこれを用いる空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、トラックやバスなどの重荷重車輌のタイヤ(重荷重タイヤ)のキャップ用のコンパウンドにおいては、摩耗性や偏摩耗性(偏摩耗とは、タイヤ路面部が均一に摩耗せず、摩耗状態に片寄が生じ、一部分に摩耗が進むことをいう。)の抑制及び低発熱性の両立を図る必要がある。加硫ゴムの高硬度化の一般的な手法として、例えば、カーボンブラックを増量する方法、架橋密度を上げる方法などが知られている。
一方、ジエン系ゴムの架橋は一般的に硫黄等に由来するスルフィド結合やパーオキサイド架橋によって形成される。また、ジエン系ゴムの他飽和ゴムにも適用できるパーオキサイド架橋の際には、例えばトリアリルイソシアヌレートのような架橋助剤が使用される(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−197421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本願発明者は、加硫ゴムの硬度を高くするためにカーボンブラックを単に増量した場合低発熱性が悪化し、硫黄を増量した場合耐熱老化性が悪化することを明らかとした。また、架橋剤としてトリアリルイソシアヌレートのようなアリル基を有するイソシアヌレート化合物等を使用する場合、硬度、耐摩耗性及び耐偏摩耗性が悪化することを明らかとした。
そこで、本発明は、優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗と優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性に優れる、重荷重車輌のキャップトレッド用のゴム組成物及びこれを用いる空気入りタイヤの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、天然ゴムを含有するジエン系ゴム100質量部に対して、特定の構造を有する、イソシアヌル酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体0.1〜10質量部と、窒素吸着比表面積が90〜150m3/gであるカーボンブラック40〜60質量部とを含み、前記天然ゴムの量が前記ジエン系ゴム100質量部中の40〜100質量部であるゴム組成物が、優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗と優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性に優れる、重荷重車輌用のタイヤのキャップトレッド用のゴム組成物となりうることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本願発明者らは以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
1. 天然ゴムを含有するジエン系ゴム100質量部に対して、
下記式(1)で示されるイソシアヌル酸誘導体及び/又は下記式(2)で示されるカルボン酸誘導体0.1〜10質量部と、
窒素吸着比表面積が90〜150m3/gであるカーボンブラック40〜60質量部とを含み、
前記天然ゴムの量が前記ジエン系ゴム100質量部中の40〜100質量部である、重荷重車輌用タイヤのキャップトレッド用のゴム組成物。
【化1】

[式(1)中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に−Ca2aOC(=O)Cb2bSHであり、a、bはそれぞれ独立に1以上の整数であり、R1、R2、R3は同一であっても異なってもよい。]
【化2】

[式(2)中、R4、R5、R6はそれぞれ独立に−OC(=O)Cn2nSHであり、R7は−OC(=O)Cn2nSH、アルキル基又は水素原子であり、nはそれぞれ独立に2以上の整数であり、−OC(=O)Cn2nSHは同一であっても異なってもよい。]
2. 前記イソシアヌル酸誘導体又は前記カルボン酸誘導体の分子量が1,000以下である、上記1に記載のゴム組成物。
3. 前記式(2)中、nが2である、上記1又は2に記載のゴム組成物。
4. 前記ジエン系ゴムが、更にブタジエンゴムを含有する、上記1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
5. 更に、充填剤(前記カーボンブラックを除く。)を含む、上記1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
6. 上記1〜5のいずれかに記載のゴム組成物を用いて形成したキャップトレッドを有する、重荷重車輌用の空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗と優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性に優れる、重荷重車輌用のタイヤのキャップトレッド用のゴム組成物、及び、これを用いる空気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明のゴム組成物、及び、本発明の空気入りタイヤについて説明する。
【0010】
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、天然ゴムを含有するジエン系ゴム100質量部に対して、
上記式(1)で示されるイソシアヌル酸誘導体及び/又は上記式(2)で示されるカルボン酸誘導体0.1〜10質量部と、
窒素吸着比表面積が90〜150m3/gであるカーボンブラック40〜60質量部とを含み、
前記天然ゴムの量が前記ジエン系ゴム100質量部中の40〜100質量部である、
重荷重車輌用タイヤのキャップトレッド用のゴム組成物である。
【0011】
本発明のゴム組成物は、このような構成をとるため、優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗と優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性に優れる。
これらの特性に優れる理由は明らかではないが、およそ以下のとおり推測される。
すなわち、特定構造を有するイソシアヌル酸誘導体および/またはカルボン酸誘導体は、例えば加硫時において、ジエン系ゴムが有する不飽和結合(例えば、共役ジエン単量体に由来する、ビニレン基、ビニル基等)と相互作用又は反応することによって、網目鎖の架橋点をモノスルフィド結合で形成すると考えられる。
また、イソシアヌル酸誘導体および/またはカルボン酸誘導体による架橋は、硫黄加硫による架橋点(スルフィド結合)とは異なり、3次元的な網目構造であるのでゴムの架橋密度を高くすることができ、架橋点間の距離が長いため柔軟性を付与することができると考えられる。
このような構造が、上記特性に寄与すると考えられる。
【0012】
ジエン系ゴムについて以下に説明する。本発明のゴム組成物に含まれるジエン系ゴムは天然ゴムを含有し、天然ゴムの量がジエン系ゴム100質量部中の40〜100質量部であること以外は特に制限されない。ジエン系ゴムの全部を天然ゴムとすることができる。
【0013】
天然ゴムは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。天然ゴムはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ジエン系ゴムが天然ゴム以外のジエン系ゴム(例えば後述するブタジエンゴム)を更に含有する場合、天然ゴムの量は、ジエン系ゴム100質量部中の40質量部以上とすることができる。
天然ゴムの量は、ジエン系ゴム100質量部中の60〜100質量部が好ましく、62〜100質量部がより好ましい。
【0014】
ジエン系ゴムは、耐摩耗性及び耐偏摩耗により優れ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性により優れるという観点から、更にブタジエンゴムを含有するのが好ましい。
ジエン系ゴムが含有することができるブタジエンゴムは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【0015】
ブタジエンゴムの重量平均分子量は、加工性に優れるという観点から、200,000〜700,000であるのが好ましく、300,000〜600,000であるのがより好ましい。ブタジエンの重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算で求めたものである(以下同様。)。
ブタジエンゴムはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0016】
ブタジエンゴムの量は、より優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗とより優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性により優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部中0〜60質量部とすることができ、0〜40質量部が好ましく、38質量部以下であるのがより好ましい。
【0017】
式(1)で示されるイソシアヌル酸誘導体及び式(2)で示されるカルボン酸誘導体について以下に説明する。
本発明において、式(1)で示されるイソシアヌル酸誘導体(これを単にイソシアヌル酸誘導体ということがある。)及び式(2)で示されるカルボン酸誘導体(これを単にカルボン酸誘導体ということがある。)は、ジエン系ゴムの架橋剤及び/又は連鎖移動剤、可塑剤として機能することができる。
【0018】
本発明において使用できるイソシアヌル酸誘導体は下記式(1)で示されるイソシアヌル酸誘導体である。
【化3】

[式(1)中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に−Ca2aOC(=O)Cb2bSHであり、a、bはそれぞれ独立に1以上の整数であり、R1、R2、R3は同一であっても異なってもよい。]
−Ca2aOC(=O)Cb2bSH中の「OC(=O)」はエステル結合を意味する。
aは、より優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗とより優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性により優れ、弾性率、破断物性(例えば、破断伸び。以下同様。)に優れるという観点から、1以上の整数であるのが好ましく、1〜18の整数であるのがより好ましく、2が更に好ましい。
bは、より優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗とより優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性により優れ、弾性率、破断物性に優れるという観点から、1以上の整数であるのが好ましく、1〜12の整数であるのがより好ましく、2が更に好ましい。
−Ca2aOC(=O)Cb2bSHは、より優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗とより優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性により優れ、弾性率、破断物性に優れるという観点から、−C24OC(=O)C24SH(a=b=2)が好ましい。
【0019】
本発明のゴム組成物に使用されるカルボン酸誘導体は、下記式(2)で示されるカルボン酸誘導体である。
【化4】

[式(2)中、R4、R5、R6はそれぞれ独立に−OC(=O)Cn2nSHであり、nはそれぞれ独立に2以上の整数であり、R7は−OC(=O)Cn2nSH、アルキル基又は水素原子であり、−OC(=O)Cn2nSHは同一であっても異なってもよい。]
−OC(=O)Cn2nSH中の「OC(=O)」はエステル結合を意味する。
nは、より優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗とより優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性により優れ、弾性率、破断物性に優れるという観点から、2以上の整数であるのが好ましく、2〜18の整数であるのがより好ましく、2であるのが更に好ましい。
アルキル基は特に制限されない。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基が挙げられる。
−OC(=O)Cn2nSHは、より優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗とより優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性により優れ、弾性率、破断物性に優れるという観点から、−OC(=O)C24SH(n=2)が好ましい。
7は、より優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗とより優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性により優れ、弾性率、破断物性に優れるという観点から、−OC(=O)C24SH(n=2)、メチル基が好ましい。
【0020】
イソシアヌル酸誘導体又はカルボン酸誘導体の分子量は、より優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗とより優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性により優れ、弾性率、破断物性に優れるという観点から、1,000以下であるのが好ましく、150〜1,000であるのがより好ましい。
【0021】
本発明において、イソシアヌル酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体の量(両者併用の場合はこれらの合計量。以下同様。)は、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、より優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗とより優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性に優れ、弾性率、破断物性に優れるという観点から、1〜8質量部であるのが好ましく、1〜6質量部であるのがより好ましい。上記のイソシアヌル酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体の量は本発明において硫黄を含有しない又は更に硫黄を含有する場合のイソシアヌル酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体の量とすることができる。
【0022】
本発明において、一般的にジエン系ゴムに使用される硫黄の少なくとも一部をイソシアヌル酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体に代えることができる。この場合、剛性に優れる。
【0023】
本発明において、ゴム組成物が更に硫黄を含む場合、硫黄は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。硫黄の量は、より優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗とより優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性に優れ、弾性率、破断物性に優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1〜5質量部であるのが好ましく、0.1質量部以上3.5質量部未満がより好ましく、0.1〜3質量部であるのが更に好ましい。
【0024】
本発明において、硫黄とイソシアヌル酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体とを併用する場合、その質量比[硫黄/(イソシアヌル酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体)]は、より優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗とより優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性に優れ、弾性率、破断物性に優れるという観点から、0.1〜100であるのが好ましく、0.1〜40であるのがより好ましく、0.1〜20であるのが更に好ましい。
【0025】
カーボンブラックについて以下に説明をする。本発明のゴム組成物に含まれるカーボンブラックは90〜150m3/gの窒素吸着比表面積(N2SA)を有するカーボンブラックである。
本発明におけるカーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる値である。
【0026】
カーボンブラックとしては、タイヤ工業において一般的に用いられる、SAF、ISAFが挙げられる。
カーボンブラックはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
本発明において、カーボンブラックの量は、ジエン系ゴム100質量部に対して40〜60質量部である。カーボンブラックの量は、低発熱性、耐熱老化性により優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、45〜60質量部であるのが好ましい。
【0028】
本発明のゴム組成物は、更に、充填剤(上記カーボンブラックを除く。)を含むことができる。充填剤としては、例えば、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、マイカ、水酸化アルミニウムのような白色充填剤;上記以外のカーボンブラックが挙げられる。充填剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、シリカが好ましい。
【0029】
シリカについて以下に説明する。本発明のゴム組成物が更に含むことができるシリカは特に制限されない。例えば湿式法シリカ、乾式法シリカ、表面処理シリカが挙げられる。
シリカの量は、耐熱老化性により優れ、弾性率、破断物性に優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、5〜95質量部であるのが好ましく、10〜95質量部であるのがより好ましい。
【0030】
本発明のゴム組成物が更にシリカを含む場合、シリカの分散性を向上させ、ジエン系ゴムに対する補強性を高くすることができるという観点から、当該ゴム組成物が更にシランカップリング剤を含むのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0031】
シランカップリング剤は特に制限されない。例えば、硫黄含有シランカップリング剤が好ましく、例えばビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイドのようなスルフィド系シランカップリング剤;γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランのようなメルカプト系シランカップリング剤;3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシランのようなチオエステル系シランカップリング剤;ポリシロキサン骨格及びメルカプト基を有するシランカップリング剤が挙げられる。なかでも、破断物性に優れるという観点から、スルフィド系シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
シランカップリング剤の量は、シリカの分散性を向上させ、ジエン系ゴムに対する補強性を高くすることができるという観点から、シリカの量の、3〜20質量%であるのが好ましく、4〜15質量%であるのがより好ましい。
【0033】
〔任意成分〕
本発明のゴム組成物は、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲でさらに添加剤を更に含有することができる。添加剤としては、例えば、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、加工助剤、オイル(例えば、アロマオイル、プロセスオイル)、テルペン樹脂、熱硬化性樹脂、加硫促進剤、式(1)で示されるイソシアヌル酸誘導体又は式(2)で示されるカルボン酸誘導体以外の架橋剤(例えば過酸化物)などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤が挙げられる。添加剤の量は、ゴム組成物の用途等に応じて、その効果や目的を損なわない範囲で、例えば、従来公知と同様の量とすることができる。
【0034】
〔ゴム組成物の製造方法〕
本発明のゴム組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。具体的には例えば、まず、硫黄と加硫促進剤とイソシアヌル酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体とを除く成分を混合してマスターバッチを製造し、得られたマスターバッチに硫黄と加硫促進剤とイソシアヌル酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体とを混合し、ゴム組成物を製造する方法が挙げられる。
また、本発明のゴム組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
本発明において、ジエン系ゴムが有する不飽和結合と、イソシアヌル酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体が有する3個以上のメルカプト基との相互作用及び/又は反応によって、網目鎖の架橋が形成される。このような架橋構造は耐老化特性に有利な働きをすると考えられる。当該網目構造の架橋は、硫黄加硫と同時にゴムに形成させることができる。
【0035】
本発明のゴム組成物の用途は重荷重車輌用のタイヤ(例えば空気入りタイヤ)のキャップトレッド用のゴム組成物である。このほか例えば、防振ゴム、免震ゴム用のゴム組成物;パッキン等の自動車用部品用のゴム組成物などが挙げられる。
【0036】
[空気入りタイヤ]
本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて形成した、キャップトレッドを有する、重荷重車輌用の空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤのキャップトレッドに使用されるゴム組成物は本発明のゴム組成物であれば特に制限されない。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは添付の図面に限定されない。
【0037】
図1において、空気入りタイヤは左右一対のビード部1およびサイドトレッド(サイドウォール部)2と、両サイドトレッド2に連なるキャップトレッド3からなり、ビード部1、1間にスチールコードが埋設されたカーカス層4が装架され、カーカス層4の端部がビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。トレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。ベルト層7の両端部には、ベルトクッション8が配置されている。空気入りタイヤの内面には、タイヤ内部に充填された空気がタイヤ外部に漏れるのを防止するために、インナーライナー9が設けられ、インナーライナー9を接着するためのタイゴム10が、カーカス層4とインナーライナー9との間に積層されている。図1に示す空気入りタイヤは重荷重車輌用タイヤである。
本発明において、キャップトレッドが本発明のゴム組成物を用いて形成される。
【0038】
本発明の空気入りタイヤは、例えば従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
【0039】
本発明の空気入りタイヤは、重荷重車輌のタイヤ(重荷重タイヤ)として使用することができる。重荷重車輌としては、例えば、トラック、バス、トラクターが挙げられる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
<ゴム組成物の製造>
下記表に示す成分を同表に示す割合(単位:質量部)で配合した。
具体的には、まず、下記表に示す成分のうち硫黄と加硫促進剤とイソシアヌル酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体を除く成分を、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて5分間混合し、150±5℃に達したときに放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキサーを用いて、得られたマスターバッチに硫黄と加硫促進剤とイソシアヌル酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体とを混合し、ゴム組成物を製造した。
【0042】
<加硫ゴムシートの製造>
上記のとおり製造したゴム組成物を縦15cm×横15cm×厚さ0.2cmの金型中で148℃で30分間プレス加硫して加硫ゴムシートを製造した。
【0043】
<重荷重車輌用空気入りタイヤの製造>
上記のとおり製造したゴム組成物をキャップトレッドに使用し、その他のタイヤの部位については公知の材料および条件を採用し、重荷重車輌用空気入りタイヤ(295/80R22.5)を製造した。
【0044】
<評価>
上記のとおりにして製造された、加硫ゴムシート又はゴム組成物を用いて以下の評価を行った。結果を下記表に示す。同表において硬度以外の評価結果を標準例1の結果を100とする指数で表示する。
・硬度:JIS K 6253に準拠して20℃の条件下で測定した。
・耐摩耗性:上述のとおり製造した重荷重車輌用空気入りタイヤをサイズ22.5×8.25のリムに組付け、トラクターヘッドのフロント軸に装着し、空気圧900kPaの条件でタイヤ1本当たり3650kgの負荷荷重をかけた状態で、5万km走行させた。その時の残溝を測定し「新品時溝深さ−走行後残溝」の値を得た。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを意味する。
・耐偏摩耗性:上述のとおり製造した重荷重車輌用空気入りタイヤをサイズ22.5×8.25のリムに組付け、トラクターヘッドのフロント軸に装着し、空気圧900kPaの条件でタイヤ1本当たり3650kgの負荷荷重をかけた状態で、5万km走行させた。走行後のインフレートプロファイルを新品時のインフレートプロファイルと比較し、偏摩耗量として「ショルダー部のタイヤ幅方向端部の摩耗量−ショルダー部の主溝隣接部位の摩耗量」の値から求められるショルダー部の肩落ち摩耗量を測定した。指数が大きいほど、耐偏摩耗性に優れることを意味する。
・発熱性:各ゴム組成物をキャップトレッドに使用した11R22.5サイズのタイヤを作成した。ドラム径1707mmのドラム試験機を用い、22.5X7.5のリムに装着し、空気圧900kPa、荷重33.8kN、速度80km/hの条件でこの空気入りタイヤの抵抗力を測定し、これを転がり抵抗とした。指数が小さいほど低転がり抵抗性である(発熱性が低い。)ことを示す。
・耐熱老化性(熱老化後の破断伸び減少量指数):上記のとおり製造したゴム組成物を160℃で60分間、加圧加硫した厚さ2mmのシートをJIS K6251に準拠して、このシートからダンベル状3号形試験片を打ち抜き、さらに80℃、168時間の条件で空気加熱老化処理を行い、該処理前後における破断伸びを測定し、得られた値を下記式に当てはめて耐熱老化後の破断伸び減少量を求めた。
熱老化後の破断伸び減少量(%)=[(処理前の破断伸び−処理後の破断伸び)/(処理前の破断伸び)]×100
標準例1を基準(100)とした指数で示し、この指数が小さいほど耐熱老化性(熱老化後の破断伸びの維持)に優れることを示す。
【0045】
【表1】
【0046】
上記表に示される各成分の詳細は以下のとおりである。
・NR:天然ゴム、RSS#1
・BR:日本合成ゴム社製、BR01、シス1,4構造97%、重量平均分子量500,000
・CB(ISAF):カーボンブラック、グレードISAF、キャボットジャパン社製シヨウブラックN234、窒素吸着比表面積123m2/g
・CB(FEF):カーボンブラック、グレードFEF、新日化カーボン社製、商品名N550、窒素吸着比表面積38m2/g
・ステアリン酸:NOFコーポレーション社製、「ステアリン酸YR」
・硫黄:軽井沢精錬所製、「油処理イオウ」
・加硫促進剤:大内新興化学工業製、「ノクセラーNS」
【0047】
・イソシアヌル化合物1(アリル基):下記式で表されるトリアリルイソシアヌレート、日本化成社製TAIC(アリル基)
【化5】

・イソシアヌル化合物2:下記式で表されるトリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、SC有機化学社製TEMPIC(SH=3)、MW525.62
【化6】

・プロピオネート1:下記式で表されるトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、SC有機化学社製TMMP(SH=3)、MW398.50
【化7】
【0048】
上記表において、標準例1は硫黄を含むので、ゴムの架橋はポリスルフィド結合を含むスルフィド結合によるものである。
同表に示す結果から明らかなように、カーボンブラックの量がジエン系ゴム100質量部に対して60質量部を超える比較例1は、標準例1より低発熱性、耐熱老化性が低かった。カーボンブラックの窒素吸着比表面積が90m3/g未満である比較例2は、標準例1より耐摩耗性、耐偏摩耗性、耐熱老化性が低かった。特定のイソシアヌル酸誘導体又はカルボン酸誘導体を使用せず、単に硫黄の量を増やした比較例3は標準例1より耐熱老化性が劣った。特定のイソシアヌル酸誘導体又はカルボン酸誘導体を使用せず代わりに、アリル基を有するイソシアヌル化合物1を使用する比較例4は、標準例1より硬度、耐摩耗性、耐偏摩耗性が劣った。
これに対して、実施例1〜3は標準例1と比較して、優れた耐摩耗性及び耐偏摩耗と優れた低発熱性とを両立させることができ、高い硬度を維持しながら耐熱老化性に優れる。
【符号の説明】
【0049】
1 ビード部
2 サイドトレッド(サイドウォール部)
3 キャップトレッド
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトクッション
9 インナーライナー
10 タイゴム
図1