(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電流入力端子及び電流出力端子と、前記電流入力端子から前記電流出力端子への通電経路上に設けられたスイッチと、該スイッチから前記電流出力端子への通電経路上の分岐点から分岐した分岐通電経路上に設けられ、両端に所定電圧以上の電圧が印加された場合に導通する導通素子とを備える回路装置において、
前記分岐通電経路における前記分岐点と異なる端部に電気的に接続されており、所定の導体に固定される導電性の固定部と、
前記導体に接続される端子の電位を基準とする所定の電圧を出力端より出力する電圧出力部と、
前記出力端と前記端部との間に接続された所定の負荷と、
前記分岐通電経路の前記端部の電位と前記電圧出力部の前記出力端の電位との電位差を検出する電位差検出部と、
該電位差検出部が検出した電位差が前記所定の電圧以下の閾値より低いか否かを判定する判定手段と
を備えることを特徴とする回路装置。
【背景技術】
【0002】
車輌においては、バッテリから負荷への通電経路に半導体スイッチを設け、半導体スイッチのオン/オフによってバッテリから負荷への給電を制御する。負荷は各種の車載機器である。負荷としては、コイルを備える誘導性負荷、例えば窓の開閉を行うモータ、又はワイパーを駆動するモータがある。半導体スイッチを介してバッテリから誘導性負荷に給電する電源システムでは、半導体スイッチがオンである場合、バッテリから負荷へ電流が流れ、誘導性負荷が給電される。
【0003】
半導体スイッチがオフになった場合、バッテリから誘導性負荷へ流れる電流が遮断される。斯かる場合、電流の変化に応答して、誘導性負荷に自己誘導による誘導起電力が発生する。例えば、バッテリの正極がスイッチを介して誘導性負荷の一端に接続され、バッテリの負極及び誘導性負荷の他端が車輌のボディに接地されている電源システムでは、半導体スイッチがオンからオフへ切り替わった場合、瞬時に電流が遮断されるため、大きな誘導起電力が負荷の両端に発生し、ボディの電位を基準とした負荷の一端の電位が絶対値の大きな負値になる。斯かる場合、半導体スイッチの両端に耐圧を超える電圧が印加され、半導体スイッチが例えばアバランシェ降伏して破壊される虞がある。
【0004】
このような破壊から半導体スイッチを保護するための電源システムが特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の電源システムでは、バッテリから半導体スイッチを介して負荷へ電流が流れる経路の他に、誘導性負荷の他端からダイオード及びボディを介して誘導性負荷の一端へ電流が流れる経路が設けられている。これにより、半導体スイッチがオンからオフへと切り替わったとき、電流が誘導性負荷とダイオードからなる閉回路を還流するため、誘導性負荷に発生する誘導起電力の絶対値が大きくならず、半導体スイッチが破壊から保護される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているような電源システムの中には、半導体スイッチ及びダイオードを含む回路装置が、バッテリ、誘導性負荷、及びボディに、着脱可能に接続されているものがある。このような電源システムにおいて、回路装置を装着する場合に誘導性負荷とダイオードからなる還流経路が確立していないときであっても、バッテリから誘導性負荷への通電経路が確立されていれば、誘導性負荷に給電することが可能である。斯かる場合、前述のように、半導体スイッチがオンからオフへ切り替わったとき、耐圧を超える電圧が半導体スイッチに印加され、半導体スイッチが破壊される虞がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、通電経路上に設けられたスイッチ(半導体スイッチ)に、耐圧を超える電圧が印加されることを防ぐことができる回路装置及び該回路装置を備える電源システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る回路装置は、電流入力端子及び電流出力端子と、前記電流入力端子から前記電流出力端子への通電経路上に設けられたスイッチと、該スイッチから前記電流出力端子への通電経路上の分岐点から分岐した分岐通電経路上に設けられ、両端に所定電圧以上の電圧が印加された場合に導通する導通素子とを備える回路装置において、前記分岐通電経路における前記分岐点と異なる端部に電気的に接続されて
おり、所定の導体に固定される導電性の固定部と
、前記導体に接続される端子の電位を基準とする所定の電圧を出力端より出力する電圧出力部と、前記出力端と前記端部との間に接続された所定の負荷と、前記分岐通電経路の前記端部の電位と前記電圧出力部の前記出力端の電位との電位差を検出する電位差検出部と、該電位差検出部が検出した電位差が前記所定の電圧以下の閾値より低いか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る回路装置では、スイッチ、例えば半導体スイッチが電流入力端子から電流
出力端子までの通電経路上に設けられている。スイッチから電流出力端子までの通電経路
上の分岐点から、分岐通電経路が分岐し、分岐通電経路の端部は導電性の固定部に電気的
に接続されている。分岐通電経路上には、両端に所定電圧以上の電圧が印加された場合に
導通する導通素子が設けられている。
また、電圧出力部は、例えば導体に接地された接地端子といった特定の端子の電位を基準とした一定の電圧を出力端より出力する。電圧出力部の出力端子は、例えばスイッチのオン/オフを制御するマイコン(マイクロコンピュータ)の電源入力端子に接続されている。更に、マイコンが備えるグラウンド端子は、例えば分岐通電経路の端部に接続されている。これにより、電圧出力部はマイコンに給電し、電圧出力部からマイコンを介して分岐通電経路の端部へと電流が流れる。電位差検出部は、電圧出力部の出力端と分岐通電経路の端部の電位差を検出する。
【0010】
例えば、電流入力端子に電源の一端が接続され、電流出力端子に負荷の一端が接続され、電源及び負荷の他端が導体に夫々接地されている場合、スイッチのオン/オフによって電源から負荷への給電は制御される。負荷がコイルを有する誘導性負荷であった場合、スイッチがオンからオフに切り替えられ電流が遮断されたとき、自己誘導により負荷の両端に誘導起電力(逆起電力)が発生する。例えば螺子によって固定部が導体に固定されることにより、分岐通電経路の端部を確実に接地することが可能となる。これにより、誘導性負荷の両端に逆起電力が発生した場合に誘導性負荷の他端から導体及びダイオードを介して誘導性負荷の一端まで電流が還流する還流経路が確実に形成される。従って、スイッチに耐圧を超える電圧が印加されることが防止され、スイッチが破壊から保護される。
また、固定部が導体へ接地されていない場合、マイコンのグラウンド端子から流れ出る電流は、固定部を介して導体に流れることができず、代わりにダイオードを介して負荷へと流れる。斯かる場合、例えば負荷の内部抵抗及びダイオードでの電圧降下が起こるため、分岐通電経路の端部の電位が上昇する。そのため、電位差検出部が検出する電位差は低下する。判定手段により、電位差検出部が検出した電位差が閾値より低いか否かを判定する。従って、電位差検出部が検出する電位差が閾値より低いか否かを判定することにより、分岐通電経路の端部が接地されているか否かを検知することができる。
【0011】
本発明に係る回路装置は、前記導通素子はダイオードであり、該ダイオードのアノードは前記端部に電気的に接続され、前記ダイオードのカソードは前記分岐点に接続されていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る回路装置では、導通素子はダイオードである。ダイオードのアノードは分岐通電経路の端部に電気的に接続され、カソードは分岐点に接続されている。従って、負荷の両端での逆起電力の発生により、固定部に対して分岐点側の電位が低くなると、ダイオードが導通し、導体及びダイオードを介して負荷の他端から一端へ電流が還流する。
【0013】
本発明に係る回路装置は、前記導通素子はバリスタであることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る回路装置では、導通素子は、両端に所定電圧以上の電圧が印加された場合に導通するバリスタである。従って、負荷の両端での逆起電力の発生により、固定部に対して分岐点側の電位が所定の値以上低くなるとバリスタが導通し、導体及びバリスタを介して負荷の他端から一端へ電流が還流する。
【0015】
本発明に係る回路装置は、
前記判定手段が低いと判定した場合に報知する報知手段を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る回路装置では、電位差検出部が検出した電位差が閾値より低
いと判定した場合、報知手段によって報知する。従って
、分岐通電経路の端部が接地され
ていないことを検知した場合、報知することにより、車輌の運転者又は整備士等に対して適切に接地するよう促すことができる。
【0018】
本発明に係る電源システムは、前述の回路装置と、電源と、誘導性負荷とを備え、前記電流入力端子は前記電源の一端に接続され、前記電流出力端子は前記誘導性負荷の一端に接続され、前記電源から前記誘導性負荷への給電を前記スイッチにより制御するようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る電源システムでは、前述の回路装置が備えるスイッチのオン/オフにより誘導性負荷への給電が制御されている。従って、誘導性負荷による逆起電力の発生によって半導体スイッチが破壊されることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、通電経路上に設けられたスイッチ(半導体スイッチ)に、耐圧を超える電圧が印加されることを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0023】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電源システム100の要部構成を示すブロック図である。電源システム100は、回路装置1、バッテリ(電源)2、誘導性負荷3を備える。バッテリ2は鉛蓄電池又はリチウムイオン電池等であり、誘導性負荷3は例えばパワーウィンドウ又はワイパー等の各種車載機器を駆動するモータである。バッテリ2の正極及び誘導性負荷3の一端は回路装置1に接続され、バッテリ2の負極及び誘導性負荷3の他端は車輌の導電性のボディ19に接地されている。従って、回路装置1、バッテリ2、誘導性負荷3、及びボディ19で閉回路を形成している。回路装置1は、バッテリ2から誘導性負荷3への給電を制御する。尚、回路装置1は、電源システム100に対して着脱可能に構成されている。
【0024】
回路装置1は、電流入力端子40、電流出力端子50、Nチャネル型のFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)6、ダイオード7a、マイコン8、レギュレータ(電圧出力部)9、電位差検出部10、記憶部11、固定部12、接地端子41、及び信号出力端子130を備えている。
【0025】
電流入力端子40はバッテリ2の正極に接続され、電流出力端子50は誘導性負荷3の一端に接続されている。FET6は電流入力端子40から電流出力端子50への通電経路15上に設けられており、FET6のドレインは電流入力端子40に接続され、ソースは電流出力端子50に接続されている。
【0026】
固定部12は鉄、ステンレス、銅又はアルミ等の導電性素材で形成されている。固定部12には、挿通孔12a(
図2参照)が設けられている。ボディ19には螺子穴19a(
図5参照)が設けられている。固定部12は螺子N1によって、ボディ19に固定されている。
【0027】
FET6から電流出力端子50までの通電経路15上の分岐点16から、分岐通電経路17が分岐している。分岐通電経路17の端部18は固定部12に電気的に接続されている。従って、固定部12がボディ19に固定されることによって、分岐通電経路17の端部18は、ボディ19に確実に接地される。更に、分岐通電経路17上には、ダイオード7aが設けられており、ダイオード7aのアノードは固定部12に接続され、カソードは分岐点16に接続されている。
【0028】
マイコン8は、例えば1又は複数のCPU又はMPU等により構成されている。マイコン8はFET6をオン又はオフに制御する。マイコン8からFET6のゲート及びソース間にゲート閾値電圧を超える電圧が印加された場合、FET6はオンとなり、バッテリ2から誘導性負荷3へ電流が流れる。また、ゲート及びソース間電圧がゲート閾値電圧以下になると、FET6はオフになり、バッテリ2から誘導性負荷3への電流が遮断される。
【0029】
レギュレータ9は、例えば三端子レギュレータであり、入力端子、出力端子、及びグラウンド端子を備える。レギュレータ9のグラウンド端子は、接地端子41に接続されており、接地端子41を介してボディ19に接地されている。レギュレータ9の入力端子は、電流入力端子40に接続されており、出力端子は、マイコン8の備える電源入力端子に接続されている。マイコン8のグラウンド端子は、ダイオード7aから固定部12への分岐通電経路17の中途に接続されており、端部18及び固定部12を介してボディ19に接地されている。レギュレータ9は、バッテリ2の出力電圧(例えば12V)を一定の電圧(例えば5V)に降圧し、降圧した電圧を出力端子から出力し、マイコン8の電源入力端子へ入力する。ここで、レギュレータ9の入力電圧及び出力電圧は、レギュレータ9のグラウンド端子の電位、すなわちボディ19の電位が基準とされる。
【0030】
電位差検出部10は例えば電圧計である。電位差検出部10の両端は、レギュレータ9の出力端子と、端部18とに夫々接続されている。電位差検出部10は、レギュレータ9の出力端子と端部18との電位差を検出する。マイコン8が備える電源入力端子は、レギュレータ9の出力端子に接続されており、マイコン8が備えるグラウンド端子は端部18に接続されているため、電位差検出部10が検出する電位差は、レギュレータ9がマイコン8に印加する電圧に略等しい。電位差検出部10は、検出した電位差を示す信号を、マイコン8に入力する。
【0031】
記憶部11は、EEPROM又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成されており、マイコン8に接続されている。記憶部11は、マイコン8の動作を制御するプログラム及びマイコン8の動作に必要な各種データを記憶している。尚、記憶部11は、マイコン8に内蔵されている構成であってもよい。
【0032】
電源システム100において、FET6がオンからオフへと切り替わり、電流が遮断された場合、誘導性負荷3の両端に自己誘導によって逆起電力が発生し、電流出力端子50に接続されている側の誘導性負荷3の一端の電位がボディ19の電位より低くなる。斯かる場合、ダイオード7aに順方向バイアスが印加され、ダイオード7aが導通する。これにより、ボディ19から固定部12及びダイオード7aを介して電流出力端子50へ電流が流れ、電流出力端子50の電位がボディ19の電位からダイオード7aの順方向バイアス電圧(例えば0.7V)だけ低下した値になる。従って、誘導性負荷3の両端に発生する逆起電力の絶対値が大きくなることが抑制され、バッテリ2から誘導性負荷3への給電を制御するFET6に、耐圧を超える電圧が印加されることを防ぐことができる。
【0033】
固定部12がボディ19へ接地されていない場合、マイコン8のグラウンド端子は、ダイオード7a、電流出力端子50、及び誘導性負荷3を介した経路によりボディ19に接地される。斯かる場合、電流がマイコン8のグラウンド端子からボディ19へ流れる過程において、ダイオード7aと誘導性負荷3の内部抵抗とによって電圧降下が起こるため、マイコン8のグラウンド端子の電位が上昇し、電位差検出部10が検出する電位差はレギュレータ9が出力する電圧よりも低下する。従って、マイコン8は、電位差検出部10の検出した電位差が、レギュレータ9の出力電圧以下であって、出力電圧からダイオード7aの順方向バイアス電圧を減じた値以上に設定され、記憶部11に記憶されている電位差閾値より低いか否かを判定することにより、固定部12がボディ19へ接地されているか否かを検知することができる。ここで、電位差閾値を、レギュレータ9の出力電圧以下で、かつレギュレータ9の出力電圧からダイオード7aの順方向バイアス電圧を減じた値以上に設定した場合、より確実に、固定部12がボディ19へ接地されているか否かを検知することができる。
【0034】
マイコン8が、固定部12がボディ19へ接地されていないことを検知した場合、マイコン8は信号出力端子130を介して報知信号を出力する。回路装置1には、信号出力端子130を介して、例えば液晶ディスプレイ若しくは有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置、LED等の照明装置、又はスピーカ等の音声装置で構成される報知装置14が接続されている。報知装置14は、信号出力端子130を介してマイコン8から報知信号が入力された場合、画像、光、又は音声等によって、固定部12がボディ19に接地されていないことを、車輌の運転者又は整備士等に報知する。
【0035】
従って、車輌の運転者又は整備士等は、回路装置1の固定部12がボディ19に接地されていない状態で誘導性負荷3を駆動させて、FET6を破壊させてしまう前に、端部18を確実に接地するといった対策を講じることができる。
【0036】
図2は、本発明の実施の形態1に係る回路装置1の外観斜視図である。
図2に示すように、回路装置1は筐体20を備え、筐体20の外面に電流入力コネクタ4、電流出力コネクタ5、信号出力コネクタ13、及び固定部12が設けられている。電流入力コネクタ4、電流出力コネクタ5、及び信号出力コネクタ13は、筐体20の一面に設けられている。電流入力コネクタ4は、電流入力端子40と接地端子41を備え、電流出力コネクタ5は、電流出力端子50を備えている。信号出力コネクタ13は、信号出力端子130を備えている。固定部12は、筐体第1パーツ20aの外面の一つに設けられている。前述のように、固定部12には挿通孔12aが開設されており、螺子N1によって固定部12はボディ19に固定され、ボディ19に接地される。
【0037】
図3は、本発明の実施の形態1に係る回路装置1の分解斜視図である。
図3に示すように、筐体20は、一面が開放された筐体第1パーツ20aと筐体第2パーツ20bに分かれており、筐体第1パーツ20aと筐体第2パーツ20bとが開放面を対向させた状態で接合されることによって形成されている。回路装置1の筐体20の内部には例えば樹脂製の基板21が収容されている。基板21上の一面にはマイコン8をはじめとした各種チップ類が固定されている。また、電流入力コネクタ4、電流出力コネクタ5、及び信号出力コネクタ13等の各コネクタ類も基板21上に固定されている。更に、基板21からは、グラウンド線22が延出しており、導電性のワッシャー23に電気的に接続されている。グラウンド線22は
図1に示される分岐通電経路17の一部を成しており、ワッシャー23は端部18を構成している。
【0038】
図4は、本発明の実施の形態1に係る回路装置1の筐体第1パーツ20aの内面を示す斜視図である。
図5は、本発明の実施の形態1に係る回路装置1の断面図である。
図4及び
図5に示すように、固定部12は筐体第1パーツ20aを貫通して設けられており、固定部12の筐体内面側には螺子穴12bが設けられている。導電性の螺子N2がワッシャー23の開口に挿通した状態で、ボディ19の螺子穴19aに螺合されることにより、グラウンド線22は固定部12に電気的に接続される。また、導電性の螺子N1が、固定部12の挿通孔12aに挿通され更にボディ19の螺子穴19aに螺合されることにより、固定部12はボディ19に固定される。従って、固定部12がボディ19に固定され接地されることにより、グラウンド線22はボディ19に確実に接地される。これにより、FET6がオンからオフに切り替わったときに誘導性負荷3において発生する逆起電力による破壊からFET6が保護される。更に、固定部12がボディ19に接地されていない場合であっても、既述のとおり、報知装置14により運転者又は整備士等に報知される。
【0039】
以上の構造により、固定部12がボディ19へ接地されていない状態で誘導性負荷3を駆動させることを防ぐための二重の対策が備えられ、発生した逆起電力により高電圧が印加されることによる破壊から、より確実にFET6が保護される。
【0040】
尚、上述の実施の形態1において、ワッシャー23の開口に挿通させた状態で、螺子N2を固定部12の螺子穴12bに螺合させることにより、端部18と固定部12とが電気的に接続される構成としているが、端部18と固定部12とを電気的に接続する構成はこれに限定されない。例えば、グラウンド線22が電気的に接続された金具を固定部12に嵌合又は挿着させる構成であってもよい。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態1においては、固定部12をボディ19に固定する構成は、固定部12に開設された挿通孔12aに挿通された状態で、螺子N1をボディ19に螺合する構成としてあるが、他の構成であってもよい。実施の形態2においては、回路装置1の筐体20の外面のうち、固定部12が設けられた一面に、導電板が設けられている点が、実施の形態1と異なる。以下、本実施の形態2における、実施の形態1と異なる構成について具体的に説明する。実施の形態1と共通の点については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0042】
図6は、本発明の実施の形態2に係る回路装置1の外観斜視図である。
図6に示すように、実施の形態2に係る回路装置1は、実施の形態1に係る回路装置1の構成要素に加えて、筐体20の外面のうち、固定部12が設けられている一面に、鉄、ステンレス、銅又はアルミ等の導電性素材で形成された導電板24を設けている。
図6に示す例においては、導電板24と固定部12は夫々別に形成されており、接触部分において電気的に接続されている。
【0043】
図7は、本発明の実施の形態2に係る回路装置1の筐体第1パーツ20aの内面を示す斜視図である。
図8は、本発明の実施の形態2に係る回路装置1の断面図である。
図7及び
図8に示すように、導電板24は固定部12と同様に、筐体第1パーツ20aを貫通して設けられている。実施の形態1では固定部12の内面側に螺子穴12bが設けられているのに対し、実施の形態2においては、導電板24の内面側に螺子穴24aが設けられている。実施の形態1と同様、ワッシャー23が内面側の螺子穴24aに、例えば導電性の螺子N2によって固定されることにより、グラウンド線22は固定部12に電気的に接続される。従って、グラウンド線22はボディ19に確実に接地されるため、FET6を確実に破壊から保護することができる。
【0044】
以上の構造により、固定部12がボディ19へ接地されていない状態で誘導性負荷3を駆動させることを防ぐための二重の対策が備えられ、逆起電力により高電圧が印加されることによる破壊から、より確実にFET6が保護される。
【0045】
実施の形態3.
実施の形態1に係る回路装置1においては、逆起電力が発生した際に導通する導通素子としてダイオード7aを用いたが、導通素子はダイオード7aに限定されず、両端に所定の閾値であるバリスタ電圧を超える電圧が印加されると導通するバリスタを用いてもよい。以下、本実施の形態3における、実施の形態1及び2と異なる特徴について具体的に説明する。実施の形態1及び2と共通の点については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0046】
図9は、本発明の実施の形態3に係る電源システム100の要部構成を示すブロック図である。
図9に示すように、実施の形態3に係る回路装置1は、実施の形態1と同様に、電流入力端子40、接地端子41、電流出力端子50、FET6、マイコン8、レギュレータ9、及び固定部12を備え、これらは実施の形態1と同様に接続されている。更に、実施の形態3に係る回路装置1は、導通素子として、ダイオード7aの代わりに、バリスタ7bを備える。バリスタ7bの一端は分岐点16に、他端は端部18に接続されている。バリスタ7bの両端間に印加される電圧が所定のバリスタ電圧以下である場合、バリスタ7bは大きな抵抗値を持つ一方、両端間に印加される電圧がバリスタ電圧を超えた場合、抵抗値が低下し、バリスタ7bは導通する。
【0047】
FET6がオンからオフに切り替わることにより、誘導性負荷3の両端に逆起電力が発生し、誘導性負荷3の電流出力端子50に接続された一端の電位がボディ19の電位に対して低下し、バリスタ7bの両端にバリスタ電圧を超える電圧が印加された場合、バリスタ7bは導通する。斯かる場合、ボディ19から固定部12及びバリスタ7bを介して誘導性負荷3の電流出力端子50に接続された一端まで電流が流れる。従って、電流出力端子50の負電位の絶対値が減少し、FET6のソース及びドレイン間に高電圧が印加されることが抑制されるため、FET6が破壊から保護される。
【0048】
ここで、バリスタはダイオードと異なり極性を持たないため、バリスタ電圧が、FET6がオンであるときに導通しない値となるように、バリスタ7bは選定される。すなわち、バリスタ7bのバリスタ電圧が、バッテリ2の起電力(例えば12V)より大きくなるよう、バリスタ7bは選定される。
【0049】
以上の構造により、固定部12がボディ19へ接地されない状態が防がれ、誘導性負荷3の両端に発生する逆起電力により高電圧が印加されることによる破壊から、FET6が保護される。
【0050】
尚、上述の各実施の形態において、スイッチはNチャネル型のFETとしているが、この例に限定されない。例えばPチャネル型のFETであってもよく、又はバイポーラトランジスタ等の他の半導体スイッチであってもよい。
【0051】
また、上述の各実施の形態においては、固定部12をボディ19に固定する構成は、螺子N1によって固定部12をボディ19に固定する構成としているが、これに限定されない。例えば固定部12をボディ19に嵌合させる構成であってもよく、又は挿着させる構成であってもよい。
【0052】
更に、上述の実施の形態1及び2において、報知装置は回路装置の外部に設けられているが、回路装置の筐体外面に設けられていてもよい。
【0053】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。