(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
気筒(11)内を往復動するピストン(12)と、前記気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁(24)とを備える圧縮自着火式内燃機関(10)で使用される燃料の燃焼性を検出する装置であって、
前記燃料噴射弁により前記気筒内に噴射された燃料の燃焼による前記機関の状態の変化量を検出する変化量検出部(43、42)と、
前記ピストンの圧縮上死点以後において前記燃料噴射弁による燃料の噴射タイミングを変化させて燃料を噴射させ、各噴射タイミングについて前記変化量検出部により前記変化量を複数回検出させ、各噴射タイミングでの前記変化量のばらつきを算出するばらつき算出部(30)と、
前記噴射タイミングと、前記ばらつき算出部により算出された前記ばらつきとの関係に基づいて、前記燃料の着火し易さあるいは失火しにくさである前記燃料の燃焼性を検出する燃焼性検出部(30)と、
を備え、
前記燃焼性検出部は、前記ばらつき算出部により算出された前記ばらつきが最大となる噴射タイミング(t2、t12)を検出し、前記ばらつきが最大となる噴射タイミングが前記ピストンの圧縮上死点に近いほど前記燃料の燃焼性が低いと検出し、前記ばらつきが最大となる噴射タイミングが前記ピストンの圧縮上死点から遠いほど前記燃料の燃焼性が高いと検出することを特徴とする燃料の燃焼性検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、筒内圧センサの検出値を、気体の状態方程式に適用して筒内温度を算出するとともに所定の換算式に適用して熱エネルギを算出し、総熱エネルギとして燃料の全てが燃焼したと仮定した場合の理論値を用いている。このため、内燃機関の個体差や種々の外乱要因により、算出される熱エネルギと実際の熱エネルギとがずれることとなり、燃料のセタン
価を正確に検出することが困難である。
【0005】
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、内燃機関の個体差や外乱要因にかかわらず、燃料の燃焼性を正確に検出することのできる燃料の燃焼性検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
【0007】
本発明は、気筒内を往復動するピストンと、前記気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁とを備える圧縮自着火式内燃機関で使用される燃料の燃焼性を検出する装置であって、前記燃料噴射弁により前記気筒内に噴射された燃料の燃焼による前記機関の状態の変化量を検出する変化量検出部と、前記ピストンの圧縮上死点以後において前記燃料噴射弁による燃料の噴射タイミングを変化させて燃料を噴射させ、各噴射タイミングについて前記変化量検出部により前記変化量を複数回検出させ、各噴射タイミングでの前記変化量のばらつきを算出するばらつき算出部と、前記噴射タイミングと、前記ばらつき算出部により算出された前記ばらつきとの関係に基づいて、
前記燃料の着火し易さあるいは失火しにくさである前記燃料の燃焼性を検出する燃焼性検出部と、
を備え、前記燃焼性検出部は、前記ばらつき算出部により算出された前記ばらつきが最大となる噴射タイミングを検出し、前記ばらつきが最大となる噴射タイミングが前記ピストンの圧縮上死点に近いほど前記燃料の燃焼性が低いと検出し、前記ばらつきが最大となる噴射タイミングが前記ピストンの圧縮上死点から遠いほど前記燃料の燃焼性が高いと検出することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、ピストンが気筒内を往復動させられ、気筒内の気体がピストンにより圧縮される。燃料噴射弁により気筒内に燃料が噴射され、噴射された燃料は気体を圧縮した熱により自着火して燃焼させられる。
【0009】
そして、燃料噴射弁により気筒内に噴射された燃料の燃焼による機関の状態の変化量が、変化量検出部により検出される。例えば、燃料の燃焼によって、気筒内の圧力が上昇した量や、機関の回転速度が上昇した量が、変化量検出部により検出される。ピストンの圧縮上死点以後において燃料噴射弁による燃料の噴射タイミングを変化させて燃料が噴射され、各噴射タイミングについて変化量検出部により機関の状態の変化量が複数回検出される。そして、各噴射タイミングで複数回算出された機関状態の変化量のばらつきが、ばらつき算出部により算出される。
【0010】
ここで、ピストンの圧縮上死点以後において燃料の噴射タイミングを変化させると、圧縮上死点近傍で燃料を噴射した場合は燃料が完全燃焼し、それよりも噴射タイミングを遅らせると燃料が失火する割合が増え、さらに噴射タイミングを遅らせると燃料が完全失火する。このため、機関状態の変化量のばらつきは、圧縮上死点近傍の噴射タイミングでは完全燃焼で安定して小さくなり、それよりも噴射タイミングが遅らされると燃焼と失火とが混在して大きくなって最大となり、さらに噴射タイミングが遅らされると完全失火で安定して小さくなる。そして、噴射タイミングと失火の発生との関係は、
燃料の着火し易さあるいは失火しにくさである燃料の燃焼性に応じて変化する。
【0011】
したがって、燃料の噴射タイミングと、ばらつき算出部により算出された機関状態の変化量のばらつきとの関係に基づいて、燃料の燃焼性を検出することができる。
具体的には、ばらつき算出部により算出されたばらつきが最大となる噴射タイミングを検出し、ばらつきが最大となる噴射タイミングがピストンの圧縮上死点に近いほど燃料の燃焼性が低いと検出し、ばらつきが最大となる噴射タイミングがピストンの圧縮上死点から遠いほど燃料の燃焼性が高いと検出する。さらに、こうした噴射タイミングと機関状態の変化量のばらつきとの関係は、内燃機関の個体差や外乱要因を含めて、実際の内燃機関で検出された各噴射タイミングでの状態の変化量の相対的関係を示している。このため、内燃機関の個体差や外乱要因にかかわらず、燃料の燃焼性を正確に検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、車両用のディーゼルエンジン(圧縮自着火式内燃機関)に適用され、使用される燃料の燃焼性を検出する装置として具体化している。
【0014】
図1に示すように、車両は、エンジン10、制御装置30、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ41、燃料タンク、給油口の開閉を検出する給油センサ55等を備えている。なお、給油センサ55は、燃料タンク内の燃料量を検出するものでもよい。
【0015】
エンジン10は、例えば4気筒のディーゼルエンジンである。なお、
図1では、1つの気筒のみを示している。エンジン10は、シリンダ11、ピストン12、クランク軸13、吸気通路15、ターボチャージャ16、スロットルバルブ装置19、吸気弁17、排気弁18、燃料ポンプ21、コモンレール22、燃料噴射弁24、排気通路25、EGRバルブ装置52、回転速度センサ42、筒内圧センサ43、吸気圧センサ44、吸気温センサ45、燃圧センサ46、エアフロメータ47、A/Fセンサ48、水温センサ49等を備えている。シリンダ11(気筒)及びピストン12によって、燃焼室14が区画されている。
【0016】
吸気通路15には、上流側から、インタークーラ54、スロットルバルブ装置19、サージタンク20、及びインテークマニホールド20aが設けられている。インタークーラ54は、ターボチャージャ16によって過給された空気を冷却する。スロットルバルブ装置19は、DCモータ等のアクチュエータ19aにより、スロットルバルブ19bの開度を調節する。サージタンク20と各気筒の燃焼室14とは、インテークマニホールド20aにより接続されている。吸気弁17の開閉により、インテークマニホールド20aと燃焼室14とが連通及び遮断される。ピストン12はシリンダ11内を往復動させられ、シリンダ11内の空気(気体)がピストン12により圧縮される。
【0017】
燃料ポンプ21は、燃料をコモンレール22へ圧送する。コモンレール22(蓄圧容器)は、燃料を蓄圧状態で保持する。燃料噴射弁24は、コモンレール22から供給された燃料を、燃焼室14(シリンダ11)内に噴孔(噴射孔)から直接噴射する。ピストン12の圧縮上死点(TDC)付近で燃焼室14内に噴射された燃料は、シリンダ11内の空気がピストン12により圧縮された熱により自着火して燃焼させられる。
【0018】
排気通路25には、浄化装置26が設けられている。浄化装置26は、排気通路25内を流通する排気を浄化する。排気弁18の開閉により、排気通路25と燃焼室14とが連通及び遮断される。
【0019】
吸気通路15と排気通路25との間には、ターボチャージャ16が設けられている。ターボチャージャ16は、吸気通路15に設けられた吸気コンプレッサ16aと、排気通路25に設けられた排気タービン16bと、これらを連結する回転軸16cとを備えている。そして、排気通路25内を流通する排気のエネルギにより排気タービン16bが回転され、その回転エネルギが回転軸16cを介して吸気コンプレッサ16aに伝達され、吸気コンプレッサ16aにより吸気通路15内の空気が圧縮される。すなわち、ターボチャージャ16によって空気が過給される。なお、ターボチャージャ16は、図示しない可変ベーンの開度を調節することにより、過給圧を調節可能となっている。
【0020】
排気通路25において排気タービン16bの上流側部分が、EGR通路51を介して吸気通路15におけるスロットルバルブ装置19の下流側部分(サージタンク20)に接続されている。EGR通路51には、EGRバルブ装置52、EGRクーラ53が設けられている。EGRバルブ装置52は、DCモータ等のアクチュエータ52aにより、EGRバルブ52bの開度を調節する。EGRバルブ52bの開度に応じて、排気通路25内の排気の一部(EGRガス)が、EGRクーラ53によって冷却された後に、吸気通路15内の吸気に導入される。なお、アクチュエータ52aは、EGRバルブ52bの開度を検出する機能を有している。
【0021】
回転速度センサ42は、エンジン10の回転速度NEを検出する。筒内圧センサ43(変化量検出部)は、シリンダ11(燃焼室14)内の筒内圧力Pcylを検出する。吸気圧センサ44は、サージタンク20(吸気通路15)内の圧力を検出する。吸気温センサ45は、サージタンク20(吸気通路15)内の吸気温度を検出する。燃圧センサ46は、コモンレール22内の燃料圧力Pcを検出する。エアフロメータ47は、吸気通路15内を流通する空気量(新気量)を検出する。A/Fセンサ48は、排気を浄化する浄化装置26の下流において空燃比を検出する。水温センサ49は、エンジン10の冷却水温度THWを検出する。
【0022】
制御装置30(ECU)は、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース、記憶装置等を備えるマイクロコンピュータである。制御装置30は、上記の各種センサの検出値に基づいて、燃料ポンプ21の駆動、燃料噴射弁24の駆動等を制御する。本実施形態では、制御装置30は、エンジン10で使用される燃料の燃焼性を検出する処理を実行する。なお、筒内圧センサ43及び制御装置30により、燃料の燃焼性検出装置が構成されている。
【0023】
図2は、燃料の燃焼性を検出する手順を示すフローチャートである。この一連の処理は、制御装置30によって所定の周期で繰り返し実行される。
【0024】
まず、車両の燃料タンクへ給油が実行されたか否か判定する(S11)。具体的には、給油センサ55による給油口の開閉検出に基づいて、燃料タンクへ給油が実行されたか否か判定する。この判定において、車両の燃料タンクへ給油が実行されていないと判定した場合(S11:NO)、この一連の処理を一旦終了する(END)。
【0025】
一方、S11の判定において、車両の燃料タンクへ給油が実行されたと判定した場合(S11:YES)、燃料の燃焼性検出における燃料噴射弁24による燃料の噴射タイミングを設定する(S12)。具体的には、燃料の燃焼性検出の開始時において噴射タイミングをピストン12の圧縮上死点(TDC)に設定し、遅角側の所定噴射タイミングまで所定量ずつ噴射タイミングを遅角させるように設定する。
【0026】
続いて、燃料の燃焼性検出における燃料の噴射及び筒内圧の上昇量検出を実行する条件が成立しているか否か判定する(S13)。具体的には、エンジン10が燃料カット中等の無負荷状態であること、及び燃料の燃焼性検出に用いる所定のシリンダ11が燃料を噴射するタイミングになっていることを、実行条件とする。なお、1つの噴射タイミングにいて、規定回数の燃料の噴射及び筒内圧の上昇量検出を実行する間は、エンジン10の回転速度NEが所定回転速度であることも条件とする。この判定において、燃料の燃焼性検出における燃料の噴射及び筒内圧の上昇量検出を実行する条件が成立していないと判定した場合(S13:NO)、S13の処理を繰り返して実行条件の成立を待つ。
【0027】
S13の判定において、燃料の燃焼性検出における燃料の噴射及び筒内圧の上昇量検出を実行する条件が成立したと判定した場合(S13:YES)、燃料噴射弁24により燃料の噴射を実行させる(S14)。具体的には、エンジン10の回転速度NEが所定回転速度になった時に、燃料の燃焼性検出に用いる所定のシリンダ11において、設定された噴射タイミングで燃料噴射弁24により検出用の微少量の燃料を噴射させる。
【0028】
続いて、噴射された燃料の燃焼による筒内圧の上昇量を検出する(S15)。具体的には、筒内圧センサ43により、燃料の燃焼がなかった場合の筒内圧に対する燃料の燃焼による筒内圧の上昇量(機関の状態の変化量)を検出させる。なお、燃料の燃焼がなかった場合の筒内圧は、燃料の燃焼性検出を行わない場合に予め検出しておくことができる。
【0029】
続いて、筒内圧の上昇量の検出回数が規定回数未満であるか否か判定する(S16)。この規定回数は、各噴射タイミングについて、筒内圧の上昇量のばらつきを所定精度以上で算出するために必要な回数(所定の複数回数)である。この判定において、筒内圧の上昇量の検出回数が規定回数未満であると判定した場合(S16:YES)、S13〜S15の処理を再度実行する。すなわち、各噴射タイミングについて、筒内圧の上昇量の検出を規定回数実行する。
【0030】
一方、S16の判定において、筒内圧の上昇量の検出回数が規定回数未満でないと判定した場合(S16:NO)、規定回数算出された筒内圧の上昇量の標準偏差(ばらつき)を算出する(S17)。続いて、設定された噴射タイミングで算出された筒内圧の上昇量の標準偏差を記憶する(S18)。すなわち、設定された噴射タイミングと筒内圧の上昇量の標準偏差とを対応付けて記憶する。
【0031】
続いて、噴射タイミングを順次遅角させて設定することにより、遅角側の所定噴射タイミングまで標準偏差の算出が終了したか否か判定する(S19)。この所定噴射タイミングは、TDCから十分に遅角された噴射タイミングであり、噴射された燃料が完全失火する噴射タイミングに設定されている。この判定において、遅角側の所定噴射タイミングまで標準偏差の算出が終了していないと判定した場合(S19:NO)、S12〜S18の処理を再度実行する。すなわち、所定量遅角させた噴射タイミングに設定し、燃料の噴射及び筒内圧の上昇量検出を規定回数行って、その噴射タイミングでの筒内圧の上昇量の標準偏差を算出して記憶する。
【0032】
一方、S19の判定において、遅角側の所定噴射タイミングまで標準偏差の算出が終了したと判定した場合(S19:YES)、噴射タイミングに対する標準偏差のグラフを取得する(S20)。すなわち、噴射タイミングと筒内圧の上昇量の標準偏差との関係を取得する。
【0033】
続いて、取得されたグラフに基づいて、標準偏差が最大となる噴射タイミングを検出する(S21)。具体的には、取得されたグラフに基づいて、TDCから所定噴射タイミングまでの噴射タイミングのうち、標準偏差が最大となる噴射タイミング(燃料の燃焼性)を検出する。その後、この一連の処理を一旦終了する(END)。
【0034】
なお、S12〜S19の処理がばらつき算出部としての処理に相当し、S20〜S21の処理が燃焼性検出部としての処理に相当する。
【0035】
図3は、噴射タイミングと筒内圧の上昇量の標準偏差との関係を示すグラフ(相関図)である。黒丸は燃料Aのグラフであり、白丸は燃料Bのグラフである。
【0036】
ピストン12の圧縮上死点(TDC)以後において燃料の噴射タイミングを変化させると、圧縮上死点近傍で燃料を噴射した場合は燃料が完全燃焼し、それよりも噴射タイミングを遅らせると燃料が失火する割合が増え、さらに噴射タイミングを遅らせると燃料が完全失火する。このため、燃料Aにおいて筒内圧の上昇量の標準偏差は、圧縮上死点近傍の噴射タイミングでは完全燃焼で安定して小さくなり(TDC〜t1)、それよりも噴射タイミングが遅らされると燃焼と失火とが混在して大きくなって最大となり(t1〜t2)、さらに噴射タイミングが遅らされると失火が燃焼よりも増加して小さくなり(t2〜t3)、それよりも噴射タイミングが遅らされると完全失火で安定して小さくなる(t3〜)。
【0037】
そして、噴射タイミングと失火の発生との関係は、燃料の燃焼性に応じて変化する。このため、燃料Aと燃料Bとでは、噴射タイミングに対する標準偏差のグラフが異なる傾向を有している。例えば、燃料Aにおいて標準偏差が最大となる噴射タイミングt2と、燃料Bにおいて標準偏差が最大となる噴射タイミングt12とは異なっている。
【0038】
ここで、標準偏差が最大となる噴射タイミングは、燃料の燃焼と失火とが略半々で混在する噴射タイミングである。この標準偏差が最大となる噴射タイミングが圧縮上死点に近いほど、燃料が燃焼するために空気がより圧縮された高温状態を必要とすることになる。このため、標準偏差が最大となる噴射タイミングは、燃料の着火し易さ、あるいは失火の発生し易さを示す指標となる。燃料Aの噴射タイミングt2は燃料Bの噴射タイミングt12よりも圧縮上死点に近いため、燃料Aは燃料Bよりも失火しやすい、換言すれば着火しにくいと言え、燃料Aは燃料Bよりも燃焼性が低いと言える。したがって、標準偏差が最大となる噴射タイミングt2,t12を検出することで、燃料A,Bの燃焼性をそれぞれ検出することができる。
【0039】
そして、制御装置30(制御部)は、検出された燃料の燃焼性に基づいて、燃料噴射弁24により燃料を噴射させる状態を制御する。具体的には、燃料の燃焼性が低いほど燃料の噴射タイミングを進角側に補正したり、燃料の燃焼性が低いほどパイロット噴射での噴射量を増量側に補正したり、燃料の燃焼性が低いほどEGR率を低下側に補正したりすることができる。
【0040】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0041】
・燃料の噴射タイミングと、筒内圧の上昇量(機関状態の変化量)の標準偏差(ばらつき)との関係に基づいて、燃料の燃焼性を検出することができる。さらに、こうした噴射タイミングと筒内圧の上昇量の標準偏差との関係は、エンジン10の個体差や外乱要因を含めて、実際のエンジン10で検出された各噴射タイミングでの筒内圧の上昇量の相対的関係を示している。このため、エンジン10の個体差や外乱要因にかかわらず、燃料の燃焼性を正確に検出することができる。
【0042】
・筒内圧の上昇量の標準偏差は、圧縮上死点近傍の噴射タイミングでは完全燃焼で安定して小さくなり、それよりも噴射タイミングが遅らされるにつれて失火が増加して大きくなる。そして、燃料の燃焼と失火とが略半々で混在する場合に、筒内圧の上昇量の標準偏差は最大となる。このため、筒内圧の上昇量の標準偏差が最大となる噴射タイミングt2,t12は、検出が容易であるとともに燃料の燃焼性を適切に反映することができる。
【0043】
・検出された燃料の燃焼性に基づいて、燃料噴射弁24により燃料を噴射させる状態が制御される。このため、燃料の燃焼性に応じて、燃料の噴射状態を適切に制御することができる。
【0044】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。
【0045】
・上記実施形態では、車両の燃料タンクへ給油が実行されたと判定した場合に、燃料の燃焼性を検出したが、車両が所定距離走行した場合や、エンジン10が所定時間運転された場合に、燃料の燃焼性を検出してもよい。
【0046】
・
図3に示すように、筒内圧の上昇量の標準偏差は、圧縮上死点近傍の噴射タイミング(TDC〜t1)では完全燃焼で安定して小さくなり、それよりも噴射タイミングが遅らされると失火が発生することで増加を開始する(t1〜t2)。そこで、燃料の燃焼性として、標準偏差が一定状態と増加状態とで変化する噴射タイミングt1を検出してもよい。具体的には、
図3のグラフにおいて、標準偏差の傾きが所定値よりも小さい値から所定値よりも大きい値になる噴射タイミングt1を検出してもよい。噴射タイミングt1は、燃料の失火が発生する噴射タイミングを示しており、燃料の燃焼性を適切に反映することができる。なお、算出された各標準偏差の間を補完したグラフに基づいて、燃料の燃焼性を検出してもよい。
【0047】
・
図3に示すように、筒内圧の上昇量の標準偏差は、燃焼と失火とが混在する場合に大きくなり(t1〜t3)、さらに噴射タイミングが遅らされると完全失火で安定して小さくなる(t3〜)。そこで、燃料の燃焼性として、標準偏差が減少状態と一定状態とで変化する噴射タイミングt3を検出してもよい。具体的には、
図3のグラフにおいて、標準偏差の傾きが所定値よりも小さい値から所定値よりも大きい値になる噴射タイミングt3を検出してもよい。噴射タイミングt3は、燃料が完全失火する噴射タイミングを示しており、燃料の燃焼性を適切に反映することができる。
【0048】
・
図3のグラフにおいて、燃料の燃焼性として、標準偏差が増加状態である部分(t1〜t2)の最大傾きを検出することもできる。また、
図3のグラフにおいて、燃料の燃焼性として、標準偏差が減少状態である部分(t2〜t3)の最小傾きを検出することもできる。また、
図3において、燃料の燃焼性として、グラフよりも下側の領域の重心を検出することもできる。要するに、噴射タイミングと標準偏差との関係に基づいて、燃料の燃焼性を検出することができる。
【0049】
・
図2のS12において、燃料の燃焼性検出の開始時において噴射タイミングを遅角側の所定噴射タイミングに設定し、ピストン12の圧縮上死点(TDC)まで所定量ずつ噴射タイミングを進角させるように設定することもできる。
【0050】
・筒内圧の上昇量のばらつきとして、標準偏差に代えて分散を用いてもよい。
【0051】
・機関の状態の変化量として、筒内圧の上昇量に代えて、エンジン10の回転速度の上昇量を用いてもよい。この場合、制御装置30は、回転速度センサ42(変化量検出部)により、燃料の燃焼がなかった場合のエンジン10の回転速度に対する燃料の燃焼によるエンジン10の回転速度の上昇量を検出させればよい。