特許第6248680号(P6248680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6248680同期整流コンバータおよび同期整流コンバータの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248680
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】同期整流コンバータおよび同期整流コンバータの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   H02M3/155 H
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-28549(P2014-28549)
(22)【出願日】2014年2月18日
(65)【公開番号】特開2015-154676(P2015-154676A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊坪 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100081330
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 外治
(72)【発明者】
【氏名】米澤 遊
(72)【発明者】
【氏名】中島 善康
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−014482(JP,A)
【文献】 特開2012−070589(JP,A)
【文献】 特開2008−035641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00 − 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導素子と、
前記誘導素子の一端と入力端子の一端との間に接続された第1スイッチング素子と、
前記誘導素子の一端と入力端子の他端との間に接続された第2スイッチング素子と、
前記誘導素子の他端と入力端子の他端との間に接続された容量素子と、
前記誘導素子と前記容量素子の接続ノードの電圧を検出し、検出した電圧に基づいて前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子を交互に導通させる制御信号を出力する制御回路と、
前記第2スイッチング素子から前記誘導素子に供給する電流の方向の反転を検出し、反転信号を出力する電流反転検出回路と、
前記反転信号を遅延して遅延反転信号を出力する遅延回路と、
前記遅延反転信号に応じて、前記第2スイッチング素子を遮断状態にするように前記制御信号を変化させる同期整流リセット回路と、
前記誘導素子と前記容量素子の接続ノードから負荷に供給する出力電流の低下を検出し、出力電流低下検出信号を出力する軽負荷状態検出部と、
前記出力電流低下検出信号の発生から徐々に値が低下する遅延制御信号を発生する遅延制御回路と、を有し、
前記遅延回路は、前記遅延制御信号の値に応じて前記遅延反転信号の遅延量を変化させる、ことを特徴とする同期整流コンバータ。
【請求項2】
前記軽負荷状態検出部は、前記出力電流が、前記誘導素子を流れる電流の変化分より小さくなる時に、前記出力電流低下検出信号を出力する請求項1に記載の同期整流コンバータ。
【請求項3】
前記制御回路、前記遅延回路、前記同期整流リセット回路および前記遅延制御回路は、DSPにより実現される請求項1または2に記載の同期整流コンバータ。
【請求項4】
誘導素子と、前記誘導素子の一端と入力端子の一端との間に接続された第1スイッチング素子と、前記誘導素子の一端と入力端子の他端との間に接続された第2スイッチング素子と、前記誘導素子の他端と入力端子の他端との間に接続された容量素子と、を有し、前記誘導素子と前記容量素子の接続ノードの電圧を検出し、検出した電圧に基づいて前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子を交互に導通させる同期整流コンバータの制御方法であって、
前記第2スイッチング素子から前記誘導素子に供給する電流の方向の反転を検出し、
前記反転の検出後、遅延して前記第2スイッチング素子を遮断状態にし、
前記誘導素子と前記容量素子の接続ノードから負荷に供給する出力電流の低下を検出し、
前記出力電流の低下検出からの時間に応じて、前記反転の検出から前記第2スイッチング素子を遮断状態にするまでの遅延量を変化させる、ことを特徴とする同期整流コンバータの制御方法。
【請求項5】
前記出力電流の低下は、前記出力電流が、前記誘導素子を流れる電流の変化分より小さくなる時に検出する請求項4に記載の同期整流コンバータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期整流コンバータおよび同期整流コンバータの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DC−DCコンバータが、各種の分野で使用されている。例えば、携帯型電子機器は、電池等のバッテリィを電源として使用するが、機器稼働に伴う電力消費にしたがい時間とともにバッテリィ電力は放電され、バッテリィの出力電圧は低下していく。こうしたバッテリィ電圧の継時変化に対して機器電源の電圧値を一定に維持するため、DC−DCコンバータにより供給電源の定電圧化が図られている。
【0003】
携帯型電子機器で使用されるDC−DCコンバータは、バッテリィの再充電あるいは交換に至るまでの機器の稼働時間を伸ばすため、電力損失の最小化を図る必要があり、特に高効率の電力変換が要求される。このようなDC−DCコンバータは、同期整流コンバータで実現するのが一般的である。
【0004】
同期整流式コンバータは、インダクタ(チョークコイル)と、第1(主)スイッチング素子と、第2(同期整流)スイッチング素子と、容量素子(コンデンサ)と、2つの入力端子と、2つの出力端子と、制御回路と、を有する。2つの入力端子には、入力電源から直流電圧が供給される。2つの出力端子は、負荷RLに接続される。2つの出力端子の他方は、2つの入力端子の他方に接続される。第1スイッチング素子は、インダクタの一端と入力端子の一方との間に接続される。第2スイッチング素子は、インダクタの一端と入力端子の他方との間に接続される。容量素子は、インダクタの他端と入力端子の他方との間に接続される。第1スイッチング素子を導通してインダクタに電流を供給し、第1スイッチング素子を遮断(オフ)してインダクタへの電流供給を停止する。インダクタはそのまま電流を流すように動作するので、第2スイッチング素子を導通すると、第2スイッチング素子から電流が供給される。この動作により、インダクタを介して、容量素子が充電される。
【0005】
上記のように、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を所定周期で交互に導通(オン)され、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を導通する時間で容量素子の充電電圧が変化する。このような制御を連続モードと称し、導通時間を変化させる制御をPWM(Pulse Width Modulation)制御と称する。負荷が大きく、出力電流(電力供給量)が大きいと容量素子の充電電圧は低下し、負荷が小さく、出力電流(電力供給量)が小さいと容量素子の充電電圧は上昇する。そこで、容量素子の充電電圧を検出し、容量素子の充電電圧に応じて、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を導通する時間を制御する。
【0006】
第1スイッチング素子と第2スイッチング素子は、MOSFET等で実現され、非同期コンバータで整流素子として使用されるダイオード等に比べて、導通損失が小さく、電源の状態に応じた精密な制御を行え、電力損失を低くできる。
【0007】
上記のような機器に使用される同期整流式コンバータは、電力供給量の大きい重負荷から電力供給量の小さい軽負荷までの広範囲の負荷領域での高効率化が求められる。ここで、軽負荷時に、第1および第2スイッチング素子の電流が逆流するため、重負荷時に比べて軽負荷時において電力変換効率の低下が大きいという問題がある。
【0008】
この問題を解決するため、第2スイッチング素子に流れる電流がゼロ、すなわち電流反転を検出すると、第2スイッチング素子が遮断するように制御することにより、逆流を防止することが提案されている。この制御方法は、ダイオードエミュレーション(不連続モード制御)と称され、不連続モード制御により軽負荷時の効率を改善する。
【0009】
一方、同期整流式コンバータは、負荷急変時に、出力電圧(容量素子の電圧)が変化するが、短時間で所望の出力電圧に復帰することが求められる。これを負荷急変応答性と称する。不連続モード制御では、コンバータのゲイン(利得)のゼロクロス周波数が低下し、応答性が劣化するため、負荷急変後の出力電圧の復旧が遅れる。すなわち、不連続モード制御は、負荷急変応答性が低いという問題がある。
【0010】
特許文献1は、上記問題を解決するため、電流反転を検出すると直ちに第2スイッチング素子が遮断するのではなく、電流反転検出後遅れて第2スイッチング素子を遮断するように制御することを開示している。これにより、インダクタに反転電流を流して、軽負荷時にインダクタのエネルギが過剰に負荷に送られるのを抑制する。特許文献1に記載された制御方法によれば、連続モードと不連続モードの中間の動作が行われることになり、インダクタに蓄積されるエネルギを早めに放出できるため応答性が改善する。
しかし、特許文献1に記載された制御方法は、軽負荷時の効率が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−014482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
実施形態によれば、負荷急変応答性が良好で且つ効率も良好な同期整流コンバータおよび同期整流コンバータの制御方法が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の第1の観点によれば、同期整流コンバータは、誘導素子と、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、容量素子と、制御回路と、電流反転検出回路と、遅延回路と、同期整流リセット回路と、軽負荷状態検出部と、遅延制御回路と、を有する。第1スイッチング素子は誘導素子の一端と入力端子の一端との間に接続され、第2スイッチング素子は誘導素子の一端と入力端子の他端との間に接続され、容量素子は、誘導素子の他端と入力端子の他端との間に接続される。制御回路は、誘導素子と容量素子の接続ノードの電圧を検出し、検出した電圧に基づいて第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を交互に導通させる制御信号を出力する。電流反転検出回路は、第2スイッチング素子から誘導素子に供給する電流の方向の反転を検出し、反転信号を出力する。遅延回路は、反転信号を遅延して遅延反転信号を出力する。同期整流リセット回路は、遅延反転信号に応じて、第2スイッチング素子を遮断状態にするように制御信号を変化させる。軽負荷状態検出部は、誘導素子と容量素子の接続ノードから負荷に供給する出力電流の低下を検出し、出力電流低下検出信号を出力する。遅延制御回路は、出力電流低下検出信号の発生から徐々に値が低下する遅延制御信号を発生する。遅延回路は、遅延制御信号の値に応じて遅延反転信号の遅延量を変化させる。
【0014】
発明の第2の観点によれば、制御対象の同期整流コンバータは、誘導素子と、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、容量素子と、を有し、誘導素子と容量素子のノード電圧を検出し、検出電圧に基づいて第1および第2スイッチング素子を交互に導通させる。同期整流コンバータの制御方法は、第2スイッチング素子から誘導素子に供給する電流の方向の反転を検出し、反転の検出後、遅延して前記第2スイッチング素子を遮断状態にし、誘導素子と容量素子の接続ノードから負荷に供給する出力電流の低下を検出する。そして、制御方法は、出力電流の低下検出からの時間に応じて、反転の検出から第2スイッチング素子を遮断状態にするまでの遅延量を変化させる。
【発明の効果】
【0015】
実施形態によれば、不連続モード制御と同等の良好な効率を有し、不連続モード制御に比べて負荷急変応答性を改善した同期整流コンバータおよびその制御方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一般的な同期整流型降圧(Buck)コンバータを示す図であり、(A)が回路図であり、(B)が動作を示すタイムチャートである。
図2図2は、図1の連続モード制御の同期整流コンバータの軽負荷時の動作を示すタイムチャートである。
図3図3は、不連続モード制御の同期整流式コンバータを示す図であり、(A)が回路図であり、(B)が動作を示すタイムチャートである。
図4図4は、図1の連続モード制御の同期整流コンバータと、図3の不連続モード制御の同期整流コンバータの、出力電流に応じた回路効率および回路損失を示す図であり、(A)が回路効率を、(B)が回路損失を示す。
図5図5は、図1の連続モード制御の同期整流コンバータと、図3の不連続モード制御の同期整流コンバータの、負荷急変応答性を示す図であり、(A)は、出力電流が急変した時の出力電圧の変動を、(B)は、ゲイン(利得)および位相の周波数特性を示す。
図6図6は、特許文献1に記載された同期整流コンバータを示す図であり、(A)が回路図、(B)が動作を示すタイムチャートである。
図7図7は、連続モード制御、不連続(断続)モード制御、および特許文献1に記載の制御を比較する図である。
図8図8は、連続モード制御の同期整流コンバータと、不連続モード制御の同期整流コンバータと、特許文献1に記載の同期整流コンバータの、出力電流に応じた回路効率および回路損失を示す図であり、(A)が回路効率を、(B)が回路損失を示す。
図9図9は、第1実施形態の同期整流コンバータの回路構成を示す図である。
図10図10は、第1実施形態の同期整流コンバータにおけるディレイ時間制御に関係する動作を示すタイムチャートである。
図11図11は、第1実施形態の同期整流コンバータにおける出力電流変動(負荷急変)時の出力電圧の変化をシミュレーションした結果を示す図であり、実線が第1実施形態の同期整流コンバータの特性を、破線が不連続モード制御の特性を、示す。
図12図12は、連続モード制御、不連続モード制御、特許文献1に記載の制御、および第1実施形態の制御を行った場合の同期整流コンバータの、出力電流に応じた回路効率および回路損失を示す図であり、(A)が回路効率を、(B)が回路損失を示す。
図13図13は、第1実施形態の同期整流コンバータで新たに追加した部分および変更する部分についての具体的な回路例を示す図である。
図14図14は、第2実施形態の同期整流コンバータの構成を示す図である。
図15図15は、デジタル処理のシーケンスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施形態を説明する前に、一般的な同期整流(型)コンバータについて説明する。
図1は、一般的な同期整流型降圧(Buck)コンバータを示す図であり、(A)が回路図であり、(B)が動作を示すタイムチャートである。
【0018】
同期整流コンバータは、インダクタ(チョークコイル)Lと、第1スイッチング素子SW1と、第2スイッチング素子SW2と、容量素子Cと、入力端子11および12と、出力端子13および14と、制御回路15と、を有する。入力端子11および12には、入力電源(電池)10から直流の電源電圧VINが供給される。出力端子13および14は、負荷RLに接続される。入力端子12と出力端子14は、接続される。
【0019】
SW1は、インダクタLの一端と入力端子11との間に接続される。SW2は、インダクタLの一端と入力端子12との間に接続される。したがって、SW1とSW2は、入力端子11と12の間に直列に接続され、その接続ノードにインダクタLの一端が接続される。容量素子Cは、インダクタLの他端(出力端子13)と入力端子12(出力端子14)との間に接続される。制御回路15は、図1の(B)に示すようなSW1の導通・遮断(オン・オフ)を制御する制御信号GSW1およびSW2のオン・オフを制御する制御信号GSW2を出力する。
【0020】
SW1とSW2は、N型MOSFETで実現され、GSW1およびGSW2がSW1、SW2のソース電極電位に対して「高(H: High)」の時に導通(オン)し、GSW1およびGSW2が「低(L: Low)」の時に遮断(オフ)する。GSW1は、周期TでHとLを繰り返し、GSW1がHとなり、SW1がオンする期間TONの周期Tに対するデューティ比(Duty)をTON/Tで表す。GSW1およびGSW2が同時にHにすると入力端子11と12間に大きな電流が流れるため、GSW1およびGSW2は、交互にHとなり、同時にHにならないように制御される。しかし、一方がLに立った直後に他方がHになるので、SW1とSW2はほぼ連続してオンするので、連続モード制御と称する。
【0021】
SW1を導通させると、電流ISW1がインダクタLに供給され、インダクタLに電流ILが流れる。電流ISW1は、SW1が導通すると流れ始め、徐々に増加する。これに応じて、電流ILおよび容量素子Cに流れ込む電流ICも徐々に増加し、容量素子Cの充電が行われ、出力電圧VOUT(容量素子Cの電圧)も変化する。SW1を遮断すると、電流ISW1はゼロになるが、インダクタLは逆起電力によりそのまま電流ILを流すように働くので、SW2を導通すると、SW2から電流ISW2が供給され、インダクタLに電流ILが流れ続けるが、電流は徐々に低下する。出力電圧VOUTは、電源電圧VINにデューティ比を乗じた値になり、出力電流IOUTは、VINを負荷RLで除した値となる。
【0022】
負荷RLは変動し、負荷RLが大きく、出力電流(電力供給量)IOUTが大きいと、出力電圧VOUTは低下し、負荷RLが小さく、出力電流IOUTが小さいと出力電圧VOUTは上昇する。そこで、制御回路15は、出力電圧VOUT(コンデンサの充電電圧)を検出し、所望の出力電圧VOUTが得られるように、デューティ比を制御する。
【0023】
同期整流コンバータは、電力供給量の大きい重負荷から電力供給量の小さい軽負荷までの広範囲の負荷領域での高効率化が求められる。図1の連続モード制御の同期整流コンバータは、軽負荷時に、SW1およびSW2で電流が逆流するため、重負荷時に比べて軽負荷時において電力変換効率の低下が大きいという問題がある。
【0024】
図2は、図1の連続モード制御の同期整流コンバータの軽負荷時の動作を示すタイムチャートである。
軽負荷であるため、SW2をオフし、SW1をオンする時に、輪Sで示す部分のように、ISW1が負となり、SW1を電流が逆流する。この電流の逆流により効率が低下し、損失が増大する。
【0025】
この問題を解決するため、第2スイッチング素子に流れる電流がゼロ、すなわち電流反転を検出すると、第2スイッチング素子が遮断するように制御することにより、逆流を防止することが提案されている。この制御方法は、ダイオードエミュレーション(不連続モード制御)と称され、不連続モード制御により軽負荷時の効率を改善する。
【0026】
図3は、不連続モード制御の同期整流式コンバータを示す図であり、(A)が回路図であり、(B)が動作を示すタイムチャートである。
図3の(A)に示すように、不連続モード制御の同期整流式コンバータは、図1の(A)の連続モード制御の同期整流式コンバータにおいて、SW2に流れる電流を検出するセンサ16を設けている。センサ16は、電流の逆流を検出するもので、電圧から逆流を検出ものでもよい。図2にも示すように、SW2がオンすると、ISW2は一旦大きな値になるがその後減少し、軽負荷のためにSW2がオンしている間にゼロを超えて減少する。そこで、図3の(B)に示すように、制御回路15は、ISW2がゼロになったことを検出すると、SW2をオフするように制御する。これにより、SW2がオフしてから次にSW1がオンするまでの期間、SW1およびSW2がオフとなり、インダクタLへの電流供給が中断し、電流供給が不連続となる。以上の通り、不連続モード制御を行う同期整流コンバータは、軽負荷時に電流の逆流を防止するので、効率が改善する。
【0027】
図4は、図1の連続モード制御の同期整流コンバータと、図3の不連続モード制御の同期整流コンバータの、出力電流に応じた回路効率および回路損失を示す図であり、(A)が回路効率を、(B)が回路損失を示す。図4において、実線が図1の連続モード制御の同期整流コンバータの特性を、破線が図3の不連続モード制御の同期整流コンバータの特性を示す。
【0028】
図4から、不連続モード制御の同期整流コンバータは、連続モード制御の同期整流コンバータに比べて、特に出力電流が小さい時(軽負荷時)に、回路効率が改善し、回路損失が削減されることが分かる。
【0029】
同期整流式コンバータは、負荷急変時に、出力電圧(コンデンサの電圧)が変化するが、短時間で所望の出力電圧に復帰することが求められる。これを負荷急変応答性と称する。
【0030】
図5は、図1の連続モード制御の同期整流コンバータと、図3の不連続モード制御の同期整流コンバータの、負荷急変応答性を示す図であり、(A)は、出力電流が急変した時の出力電圧の変動を、(B)は、ゲイン(利得)および位相の周波数特性を示す。図4において、実線が図1の連続モード制御の同期整流コンバータの特性を、破線が図3の不連続モード制御の同期整流コンバータの特性を示す。
【0031】
図5の(A)の下側に示すように、出力電流が急激に増加した場合、連続モード制御と不連続モード制御で出力電圧の変動にほとんど差はない。しかし、出力電流が急激に減少した場合、連続モード制御では出力電圧は振動しながらも短時間で所定電圧に収束するのに対して、不連続モード制御では、出力電圧が所定電圧に収束するまでの時間が長いことが分かる。
【0032】
図5の(B)に示すように、連続モード制御では、ゲインは104Hz付近まで20dBでほぼ一定であり、それ以上の周波数で徐々に低下する。これに対して、不連続モード制御では、ゲインは102Hz付近まで20dBでほぼ一定であり、それ以上の周波数で低下する。そのため、ゲインがゼロdBになるゼロクロス周波数は、連続モード制御では、2.5×104Hz付近であるのに対して、不連続モード制御では、103Hz付近となり、低下していることが分かる。また、位相は、連続モード制御では、104Hz付近でゼロから−150度まで急激に変化した後−90度に収束するのに対して、不連続モード制御では、100Hzから107Hz付近まで振動しながらでゼロから−90度まで変化する。
【0033】
以上の通り、不連続モード制御では、コンバータのゲイン(利得)のゼロクロス周波数が低下し、応答性が劣化するため、負荷急変後の出力電圧の復旧が遅れる。すなわち、不連続モード制御は、負荷急変応答性が低いという問題がある。不連続モード制御においては、効率改善降下と負荷急変応答性は、トレードオフの関係にあり、両方を同時に改善するのは難しい。
【0034】
特許文献1は、上記問題を解決するため、電流反転を検出すると直ちに第2スイッチング素子が遮断するのではなく、電流反転検出後遅れて第2スイッチング素子を遮断するように制御することを開示している。
【0035】
図6は、特許文献1に記載された同期整流コンバータを示す図であり、(A)が回路図、(B)が動作を示すタイムチャートである。
図6の(A)の同期整流コンバータは、センス抵抗Rsで、インダクタL1から容量素子C1に流れるまたはC1からL1に流れる電流を検出し、検出した電流値に応じて第1スイッチング素子FET1および第2スイッチング素子FET2をオン・オフする。これにより、C1の電圧(出力電圧)が所望の電圧値となるように制御される。なお、FET2のオン信号/Qは、FET1のオン信号Qの逆相信号である。さらに、比較器COMP2が、FET2のドレインの電圧をゼロレベルと比較し、FET2を流れる電流の逆流を検出する。逆流していない時には、COMP2の出力N1は「高(H: High)」であり、そのままAND1に入力し、FET2のオン信号/QがFET2のゲートに印加される。逆流が発生すると、COMP2の出力N1は「低(L: Low)」に変化するが、この場合は遅延回路DLを介してAND1に入力するため、FET2は逆流が発生してから遅れてオフする。これにより、インダクタに反転電流を流して、軽負荷時にインダクタのエネルギが過剰に負荷に送られるのを抑制する。
【0036】
図7は、連続モード制御、不連続(断続)モード制御、および特許文献1に記載の制御を比較する図である。図7の(A)から(C)は、連続モード制御、不連続モード制御、および特許文献1に記載の制御の動作タイムチャートである。図7の(D)から(F)は、出力電流が0Aから10Aに、または10Aから0Aに変化した時の出力電圧の変化を示し、2本の破線が変化した時を示す。
【0037】
図7の(A)に示すように、連続モード制御では、SW1とSW2が交互にオンし、インダクタLに流れる電流は、SW1はオンの時に増加し、SW2がオンの時に減少する。図7の(B)に示すように、不連続モード制御では、インダクタLの電流が逆流を開始すると、すなわちインダクタ電流がゼロになると、SW2をオフする。図7の(C)に示すように、特許文献1に記載の制御では、不連続モード制御のようにインダクタLの電流が逆流を開始したことを検出した後、遅延してSW2をオフする。
【0038】
図7の(D)に示すように、連続モード制御では、出力電流が変化しても、出力電圧はほとんど変動しない。図7の(E)に示すように、不連続モード制御では、出力電流が変化すると変動が発生し、特に電流が10Aから0Aに変化する電流オフ時の変動が大きく、所定の出力電圧に収束するまで時間がかかる。図7の(F)に示すように、特許文献1に記載の制御では、出力電流が変化すると変動が発生するが、不連続モード制御よりは早く収束する。
【0039】
図8は、連続モード制御の同期整流コンバータと、不連続モード制御の同期整流コンバータと、特許文献1に記載の同期整流コンバータの、出力電流に応じた回路効率および回路損失を示す図であり、(A)が回路効率を、(B)が回路損失を示す。図8において、実線が連続モード制御、破線が不連続モード制御、点線が特許文献1、の同期整流コンバータの特性を示す。
【0040】
図8から、特許文献1に記載の同期整流コンバータの回路効率および回路損失は、出力電流が小さい時(軽負荷時)には、連続モード制御と不連続モード制御の中間であることが分かる。特許文献1に記載された制御方法によれば、連続モードと不連続モードの中間の動作が行われることになり、インダクタに蓄積されるエネルギを早めに放出できるため応答性が改善する。しかし、特許文献1に記載された制御方法は、軽負荷時の効率が低下するという問題がある。このように、特許文献1に記載された制御でも、効率改善降下と負荷急変応答性は、トレードオフの関係にある。
【0041】
図9は、第1実施形態の同期整流コンバータの回路構成を示す図である。
第1実施形態の同期整流コンバータは、インダクタLと、第1(主)スイッチング素子SW1と、第2(同期整流)スイッチング素子SW2と、容量素子Cと、入力端子11および12と、出力端子13および14と、センサ16と、を有する。さらに、第1実施形態の同期整流コンバータは、フィードバック制御回路20と、PWM信号発生回路24と、を有する。なお、図示していないが、容量素子Cの電圧を検出する電圧センサが設けられ、フィードバック制御回路20は、制御回路15に対応し、容量素子Cの電圧に応じてデューティ、すなわちPWM信号を制御する。以上の要素は、図3の(A)に示した不連続モード制御を行う同期整流コンバータのものと同じであり、同様の機能を実現できるものであれば特に限定されない。
【0042】
さらに、第1実施形態の同期整流コンバータは、電流反転検出回路21と、ディレイ回路22と、同期整流リセット回路23と、を有する。以上の要素は、特許文献1に記載された各要素に対応する。例えば、電流反転検出回路21はCOMP2に、ディレイ回路22は遅延回路DLおよびスイッチSWに、同期整流リセット回路23はAND1に対応する。ただし、第1実施形態の電流反転検出回路21、ディレイ回路22および同期整流リセット回路23は、これに限定されるものではない。
【0043】
さらに、第1実施形態の同期整流コンバータは、出力電流(負荷電流)センサ30と、電流値平均化回路31と、出力電流低下検出器32と、遅延(Delay)時間制御回路33と、を有する。ディレイ回路22は、遅延(Delay)時間制御回路33からの遅延(ディレイ)時間制御信号に応じて遅延(ディレイ)時間が変化するように形成される。言い換えれば、第1実施形態の同期整流コンバータは、特許文献1に記載された同期整流コンバータに、出力電流センサ30、電流値平均化回路31、出力電流低下検出器32および遅延時間制御回路33を追加し、ディレイ回路22を変形した構成を有する。
【0044】
第1実施形態の同期整流コンバータでは、出力電流(負荷電流)が増大した後減少して閾値以下になると、出力電流センサ30、電流値平均化回路31および出力電流低下検出器32が、この出力電流の減少を検出し、遅延時間制御回路33を起動する。遅延時間制御回路33は、起動直後はディレイ回路22におけるディレイ時間を大きくし、その後時間の経過にしたがってディレイ回路22におけるディレイ時間を徐々に小さくし、最終的にゼロ近くにするように制御するディレイ時間制御信号を出力する。
【0045】
図10は、第1実施形態の同期整流コンバータにおけるディレイ時間制御に関係する動作を示すタイムチャートである。
出力電流はスイッチングに伴うリップルを有するので、電流値平均化回路31は、出力電流センサ30の検出した出力信号の高周波成分を除去して平均化した信号を生成する。平均化した出力電流が増大した後減少し、閾値Ith以下になると、出力電流低下検出器32の出力がHに変化し、低下検出信号を出力する。出力電流の低下に応じて、出力電圧は、例えば図示のように一時的に上昇する。
【0046】
ディレイ時間制御回路33は、低下検出信号に応じて、高レベルに立ち上がった後、徐々に低下するディレイ時間制御信号を発生し、ディレイ回路22に供給する。ディレイ回路22は、ディレイ時間制御信号のレベルに応じて、電流反転検出回路21の出力するSW2をオフする信号の遅延量を変化させる。例えば、ディレイ時間制御信号は、立ち上り時のディレイ時間(Delay Time)が、周期Tから、SW1のオン時間デューティ(Duty)×Tを減じた値T−Duty×Tとする。図10において、Taで示す時点では、ディレイ(Delay)Aをp×Ta(pは定数)とし、Tbで示す時点では、ディレイ(Delay)Aをp×Tbとする。Ta>Tbであるから、Delay A>Delay Bである。
【0047】
図11は、第1実施形態の同期整流コンバータにおける出力電流変動(負荷急変)時の出力電圧の変化をシミュレーションした結果を示す図であり、実線が第1実施形態の同期整流コンバータの特性を、破線が不連続モード制御の特性を、示す。
第1実施形態では、不連続モード制御に比べて、出力電圧は、負荷が急変すると変動しても、早く目標電圧へ戻ることが分かる。
【0048】
図12は、連続モード制御、不連続モード制御、特許文献1に記載の制御、および第1実施形態の制御を行った場合の同期整流コンバータの、出力電流に応じた回路効率および回路損失を示す図であり、(A)が回路効率を、(B)が回路損失を示す。図8において、実線が連続モード制御、点線が不連続モード制御、一点鎖線が特許文献1、太破線が第1実施形態の同期整流コンバータの特性を示す。
【0049】
図12から、第1実施形態の同期整流コンバータの回路効率および回路損失は、不連続モード制御の場合と同じであり、連続モード制御および特許文献1に記載の制御に比べて良好である。さらに、図11に示したように、第1実施形態での不連続モード制御で問題となる負荷急変応答性は、不連続モード制御の場合に比べて改善される。
【0050】
図13は、第1実施形態の同期整流コンバータで新たに追加した部分および変更する部分についての具体的な回路例を示す図である。
出力電流を検出するセンサ30は、容量素子Cの一端と出力端子13の間に接続された抵抗RIと、RIの両端の電圧を検出する増幅器OP1と、抵抗R1およびR2と、で形成される。センサ30は、特許文献1に記載されたインダクタの電流を検出する回路に類似した回路である。
【0051】
電流値平均化回路31は、OP1の出力に接続された容量素子C11で形成される。C11はローパスフィルタとして機能し、リップルを除去する。
【0052】
出力電流低下検出器32は、抵抗R1およびR2と、増幅器OP2と、コンパレータOP3と、とで形成される。コンパレータOP3は、C11の電圧(出力電流信号に対応する平均化された信号)を、OP2の出力する閾値電圧と比較し、C11の電圧が閾値電圧以下になると出力を変化させ、出力低下検出信号を出力する。
【0053】
ディレイ時間制御回路33は、D−FF1、D−FF2およびD−FF3と、遅延回路50および51と、トランジスタTr1およびTr2と、容量素子C12と、抵抗R11と、を有する。D−FF1は、OP3からの出力低下検出信号に応じて出力を立ち上げ、それに応じてD−FF2は、1ショットパルスを発生する。D−FF2は、/Qが遅延回路50を介してリセット端子に入力され、処理状態に復帰するので、1ショットパルスのパルス幅は遅延回路50の遅延量により決定される。D−FF3および遅延回路51は、出力電流が再び閾値を上回ると、D−FF1をリセットする動作を行う。なお、D−FF1をリセットする動作は、OP3の出力を使用せずに、出力電流を別の閾値電圧と比較することにより発生した信号により行うようにしてもよい。
【0054】
上記の1ショットパルスが発生すると、Tr1が導通し、Tr2が遮断する。これにより、C12が高い電圧に充電された状態になる。1ショットパルスが終了すると、Tr1が遮断し、Tr2が導通するので、C12に充電された電化がTr2および抵抗R11を介して放電し、C1の電圧は徐々に低下する。C12の電圧が、ディレイ時間制御信号である。
【0055】
ディレイ回路22は、2個のインバータInv1およびInv2と、p型ディプリーショントランジスタTr3と、容量C13と、で形成される。Tr3は、ゲートにディレイ時間制御信号が印加され、ディレイ時間制御信号の電圧が高い時には高い抵抗値を有し、ディレイ時間制御信号の電圧が低い時には低い抵抗値を有する抵抗として機能する。言い換えれば、ディレイ時間制御信号の電圧が高い時にはInv1の出力の負荷が大きく、ディレイ回路22の遅延時間が長くなり、ディレイ時間制御信号の電圧が低い時にはInv1の出力の負荷が小さく、ディレイ回路22の遅延時間が短い。このようにして、ディレイ時間制御信号の電圧に応じた遅延が行われる。なお、出力電流低下が検出されない時には、ディレイ時間制御信号はゼロであり、ディレイ回路22の遅延時間は長い。
【0056】
第1実施形態では、高負荷の時には連続モード制御が行われ、負荷が低下した軽負荷状態で不連続モード制御に切り替わる。出力電流低下検出器32が出力電流の低下を判定する閾値は、インダクタLの電流が反転するかどうかが切り替わる閾値に設定する事が望ましい。以下、その計算方法を説明する。
【0057】
インダクタLの電流ILの変化分ΔILは、次の式で表される。
ΔIL=VIN*Duty/(L*fSW
不連続モードに切り替わるのは出力電流IOUTがΔILより小さくなる場合であるため、IOUTがΔIL=VIN*Duty/(L*fSW)より小さい時に出力電流低下と判定されるように、閾値電圧を設定する。
【0058】
ディレイ回路22によるディレイ時間およびディレイ時間制御信号は、負荷電流が変化した後の電圧変動が最も小さくなるように設定することが望ましい。設定する方法としては、シミュレーションにより電圧変動を確認する方法と、実測により電圧変動を確認に、その電圧変動が最小になるようにディレイ時間を設定する。
【0059】
図14は、第2実施形態の同期整流コンバータの構成を示す図である。
第1実施形態の同期整流コンバータでは、各部をアナログ回路で実現したが、制御に関係する部分はデジタル処理により実現することも可能である。第2実施形態では、電流センサ30のアナログ出力をデジタル信号に変換するA/D変換器60を設ける。さらに、第2実施形態では、フィードバック制御回路20A、ディレイ回路22A、同期整流リセット回路23A、PWM信号発生回路24A、電流値平均化回路31A、出力電流低下検出器32A、ディレイ時間制御回路33Aを、デジタル処理回路で実現する。図14において、破線で囲った部分がデジタル処理で実現される部分で、例えばDSP(Digital Signal Processor)等で実現される。
【0060】
図15は、上記のデジタル処理のシーケンスを示すフローチャートである。
ステップS11では、A/D変換器60により、出力電流のA/D変換が行われる。
ステップS12では、デジタル出力電流の平均化処理を行い、平均化した出力電流を算出する。
ステップS13では、平均化した出力電流が閾値を超えているか判定し、超えていれば反転信号のディレイは固定値で行うので、S11に戻り、閾値以下の場合にはステップS14に進む。
ステップS14では、ディレイ設定値レジスタRGからディレイ設定値を読み込む。
ステップS15では、反転電流を検出してからのディレイ時間を生成する。
ステップS16では、生成したディレイ時間に基づいて同期整流リセット処理を行い、SW2をオフする。
【0061】
次に、第2実施形態で使用するA/D変換器60の望ましい特性について説明する。
出力電流を検出するA/D変換器60は、出力電流の変化を即座に検出できることが必要である。出力電流の最大変化量は、通常電源の仕様としてdi/dtが定義される。このdi/dtに対して、変化量を検出するには、di/dtで示される周波数成分1/dtに対して倍のサンプリング周波数が必要になる。この時の周波数は1/dtとなる。ここで、dtは、出力電流が最大変化する時の時間とする。
また、出力電流に含まれるスイッチング周波数fswの成分以上に対しては、負荷急変応答に対応する必要が無いため、それ以下の周波数とする。
以上のことから、A/D変換器60のサンプリング周波数Fsampleは、
1/dt≦Fsample≦fsw
となる。
【0062】
以上、実施形態を説明したが、各種の変形例が可能であるのは言うまでもない。例えば、例示した回路は一例であり、同様の機能を実現できるものであればどのようなものでもよい。
【0063】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものである。特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0064】
11、12 入力端子
13、14 出力端子
15 制御回路
16 センサ
20 フィードバック制御回路
21 電流反転検出回路
22 ディレイ回路
23 同期整流リセット回路
24 PWM信号発生回路
30 電流センサ
31 電流値平均化回路
32 出力電流低下検出器
33 ディレイ時間制御回路
L インダクタ
SW1 第1(主)スイッチング素子
SW2 第2(同期整流)スイッチング素子
C 容量素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15