(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
異なる通信手段の第1の通信部と第2の通信部とを有する管理端末と、該管理端末を介して管理され、該第1の通信部と通信可能な情報処理装置と、の通信を制御する通信制御システムであって、
前記情報処理装置は、
前記情報処理装置の管理状態に応じた通知用SSID(Service Set Identifier)が記憶されたSSID情報データベースに基づき、前記情報処理装置の通信のSSIDを、前記情報処理装置の管理状態に応じた通知用SSIDに変更するSSID変更部と、
前記変更した通知用SSIDを送信して、前記情報処理装置の管理状態を通知する第3の通信部と、
を有する通信制御システム。
異なる通信手段の第1の通信部と第2の通信部とを有する管理端末と、該管理端末を介して管理され、該第1の通信部と通信可能な情報処理装置と、の通信を制御する処理をコンピュータが実行する通信制御方法であって、
前記情報処理装置の管理状態に応じた通知用SSID(Service Set Identifier)が記憶されたSSID情報データベースに基づき、前記情報処理装置の通信のSSIDを、前記情報処理装置の管理状態に応じた通知用SSIDに変更し、
前記変更した通知用SSIDを送信して、前記情報処理装置の管理状態を通知する、
通信制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0013】
[通信制御システムの全体構成]
まず、本発明の一実施形態に係る通信制御システムについて、
図1を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態にかかる通信制御システムの全体構成の一例を示す。
【0014】
本実施形態にかかる通信制御システムは、サーバ1、管理端末2、基地局3及び保守センター4を有する。管理端末2は、無線LAN(Local Area Network)によりサーバ1と接続される。また、管理端末2は、キャリア回線により基地局3を介して保守センター4とインターネット接続される。
【0015】
サーバ1は、無線LANのアクセスポイントの機能を有し、無線LANの電波が届く所定エリア(例えば、サーバ1から20〜30m程度のエリア)内に存在する機器に対してユーザが居る場所に合わせたコンテンツサービスを提供する情報処理装置の一例である。サーバ1は、例えば、データ通信サービスを行うサービス事業者によって運用されてもよい。サーバ1は、インターネット接続の手段を有しないため、保守センター4からサーバ1を直接管理することはできない。そこで、管理端末2がサーバ1と保守センター4との通信を仲介することで、インターネット接続の手段を有しないサーバ1を、インターネット上で接続可能な保守センター4により管理可能とする。
【0016】
管理端末2は、異なる二つの通信手段を有する。一方は、所定エリア内の無線通信を可能とし、他方は前記所定エリア外の無線通信を可能とする。管理端末2としては、スマートフォンやタブレット型の端末が挙げられる。例えば、
図1の(a)に示すように、管理端末2は、無線LANとキャリア回線と接続可能であり、無線LANとキャリア回線とを切り替えて使用する。管理端末2は、サーバ1及び保守センター4との接続及び切断を制御することで、保守センター4がサーバ1を管理できるように保守センター4及びサーバ1間の通信を仲介する。このようにして、保守センター4は、管理端末2を介してサーバ1の管理情報を取得し、サーバ1を管理する。
【0017】
なお、無線LANは、所定エリア内の無線通信を可能とするネットワークの一例であり、例えば、Wi−Fi(登録商標)等が挙げられる。また、キャリア回線は、前記所定エリア外の無線通信を可能とするネットワークの一例であり、例えば、3G(Third Generation)やLTE(Long Term Evolution)携帯網、WAN(Wide Area Network)等が挙げられる。
【0018】
(デザリングの利用)
図2に示したように、インターネット接続機能を持たないサーバ11が、管理端末22を用いて間接的に保守センター4に管理される場合、管理端末22のテザリング機能を利用することでサーバ11をインターネットへ接続することができる。しかし、テザリングを利用する場合、管理端末22がサーバ11の状態を知るには、管理端末22がそれぞれのサーバ11へ個別に接続していく必要がある。例えば、管理端末22がキャリア回線により基地局3を介して保守センター4に接続され、サーバ1が構成するネットワーク(ここでは無線LAN)に接続されていないとき、管理端末22は、サーバ11からサーバ自身の状態を知ることができない。このため、
図2の(a)に示すように、管理端末22がキャリア回線の接続を切断し、無線LANへ接続を切り替えることでサーバ11からサーバ自身の状態を示す通知を受けることになる。つまり、管理端末22は、各サーバ11に対してポーリングを行う必要があり、接続の制御が煩雑になる。
【0019】
また、管理端末22がサーバ11へ接続している間、管理端末22は、インターネット経由で保守センター4と通信する処理を中断しなければならない。例えば、
図2の(a)では、管理端末22は、保守センター4から送られる、追加のアップデートファイルのダウンロード処理を中断し、サーバ11へ接続する状態が示されている。
【0020】
さらに、サーバ11がアップデート中であったため、
図2の(b)に示すように、管理端末22が保守センター4から別のアップデートファイルをダウンロードする、又は中断していたダウンロード処理の続きを行う場合がある。この場合、管理端末22はサーバ11との接続が切断されているため、サーバ11からのアップデート進捗状況の通知を受け取ることができないといった課題が生じる。
【0021】
そこで、本実施形態にかかる通信制御システムでは、管理端末2からサーバ1に対して、サーバ1の管理状態に応じた通知用SSID(Service Set Identifier)を送り、サーバ1へ事前に通知用SSIDを登録しておく。そして、
図1の(b)に示すように、サーバ1は、サーバ1の管理状態を管理端末2に通知する際、接続用SSID(
図1の(a)のサービス提供の接続のためのSSID)の「server01」から通知用SSIDの「server01_request」にSSIDを変更して送信する。例えば管理端末2に通知すべき情報があるとき、サーバ1は、無線LANのSSIDを通知用SSIDへ変更する。
【0022】
管理端末2は、キャリア回線に接続した状態で、無線LANのスキャンを行う。これにより、管理端末2は、周辺に送信されているSSIDをチェックし、サーバ1が通知する所定のSSID(通知用SSID)の存在を検知したときにサーバ1への接続の必要性を判断する。そして、
図1の(c)に示すように、管理端末2は、必要に応じてサーバ1が管理する無線LANへ接続を切り替える。
【0023】
このようにして、本実施形態では、サーバ1からサーバ1の状態を管理端末2に通知するための通知用SSIDが送信されるため、管理端末2は、サーバ1に接続することなく、サーバの状態を知ることができる。これにより、サーバ1と管理端末2との通信のための接続の負担を軽減することができる。
【0024】
以上、本実施形態にかかる通信制御システムの全体構成の一例について説明した。以上のようにして、通信制御システムは、異なる通信手段の無線LAN(第1の通信部の一例)とキャリア回線(第2の通信部の一例)とを有する管理端末2と、管理端末2を介して管理され、無線LANと通信可能なサーバ1との通信を制御する。
【0025】
[サーバ及び管理端末の機能構成の例]
次に、本実施形態に係るサーバ及び管理端末の機能構成について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、一実施形態にかかるサーバ1及び管理端末2の機能構成の一例を示す。
【0026】
(サーバの機能構成の例)
サーバ1は、無線LAN通信部10、記憶部11、SSID情報データベース12(以下、「データベース」を「DB」と表記する。)、状態監視部13、状態通知部14及びSSID変更部15を有する。
【0027】
記憶部11は、サーバ1が無線通信する際のSSIDを予めSSID情報DB12に記憶する。
図4は、本実施形態にかかるSSID情報DB12に記憶されたSSIDの一例を示す。
【0028】
本実施形態にかかるSSID情報DB12には、SSIDの種別として、接続用SSID及びサーバ1の管理状態に応じた通知用SSIDの二種類が設定されている。接続用SSIDは、サーバ1が、無線通信の到達範囲に存在する端末機器(管理端末2を含む)にサービスを提供する際のSSIDである。通知用SSIDは、無線通信の到達範囲に存在する端末機器(管理端末2を含む)にサーバ1の管理状態を通知する際のSSIDである。
【0029】
図4では、接続用SSIDの一例として、「server01」が示されている。通知用SSIDの一例としては、サーバ1の管理状態に応じた複数の通知用SSIDが示されている。
【0030】
具体的には、サーバ1が接続要求(接続されていない状態)を通知する際に変更される通知用SSIDの一例として、「server01_request」及び「server01_request_top」が示されている。「server01_request」は、サーバ1からの接続要求の通知であるのに対して、「server01_request_top」は、サーバ1からの優先順位の情報を含む接続要求の通知である。ここでは、「server01_request_top」は、最優先の接続要求であることを示す。なお、サーバ1の管理状態を示すサーバ1の状態情報は、サーバ1の接続状態や管理内容を示す情報である。接続要求、優先順位の情報は、サーバ1の管理状態を示すサーバ1の状態情報の一例である。
【0031】
また、サーバ1が管理端末2に接続後、サーバ1の管理状態に応じた通知用SSIDの一例として、「server01_update0」、「server01_update50」及び「server01_update100」が送信されてもよい。これらの通知用SSIDをサーバ1がブロードキャストにより送信することによって、サーバ1は、サーバ自身がアップデート中のため、この時点で管理端末2はサーバ1へ接続する必要がないことを管理端末2に通知できる。また、これらの通知用SSIDによって、サーバ1は、サーバ自身のアップデートの進捗状態を管理端末2に通知できる。
【0032】
例えば、「server01_update0」は、アップデートの進捗が0%(アップデート開始)であることを管理端末2に通知できる。また、「server01_update50」及び「server01_update100」は、アップデートの進捗が50%(アップデートが50%完了)及び100%(アップデート済)であることを管理端末2に通知できる。また、サーバ1のエラーの発生状態(エラーコード等)に応じた通知用SSIDの一例として、「server01_err001」が示されている。「server01_err001」は、サーバ1のエラーの発生とエラーコードを管理端末2に通知できる。なお、アップデートのイベント発生情報、アップデートの進捗情報及びエラーの発生情報は、サーバ1の状態情報の一例である。
【0033】
このように、通知用SSIDは、サーバ1のの接続要求、優先順位の情報、アップデートのイベント発生情報、アップデートの進捗情報及びエラーの発生情報の少なくともいずれかの情報を含む。
【0034】
なお、SSID情報DB12は、必ずしもサーバ1内の記憶領域に記憶されていなくてもよい。つまり、SSID情報DB12は、サーバ1からアクセス可能な記憶領域に記憶されていればよい。
【0035】
また、本実施形態では、通知用SSIDは、管理端末2により予め設定及び登録される。管理端末2は、初期設定時(例えば、製品出荷時)、サーバ1に接続したときに管理端末2側で設定した通知用SSIDをサーバ1に送信する。サーバ1では、無線LAN通信部10が、管理端末2側で設定された通知用SSIDを受信する。記憶部11は、受信した通知用SSIDをSSID情報DB12に記憶する。このようにして、管理端末2とサーバ1とは、予め通知用SSIDを共有する。ただし、通知用SSIDは、サーバ1により予め設定及び登録され、サーバ1が通知用SSIDを送信し、管理端末2がこれを受信することにより、通知用SSIDを管理端末2とサーバ1とで共有してもよい。なお、通知用SSIDは、初期設定時以降においても更新することができ、更新された通知用SSIDは、管理端末2とサーバ1とで共有される。
【0036】
無線LAN通信部10は、SSID変更部15が変更した通知用SSIDを送信する。無線LAN通信部10は、変更した通知用SSIDを送信して、情報処理装置の管理状態を通知する第3の通信部の一例である。
【0037】
状態監視部13は、サーバ1で現在実施しているイベントの発生を検知する。イベントの一例としては、管理端末2への接続要求、アップデートの発生、アップデートの適用状況、エラーの発生等が挙げられる。また、状態監視部13は、管理端末2との接続状態を判定し、状態通知部14に出力する。
【0038】
状態通知部14は、状態監視部13で検知されたイベントに基づくサーバ1の状態情報を生成する(
図6参照)。状態通知部14は、サーバ1の状態情報をSSID変更部15に出力する。
【0039】
SSID変更部15は、サーバ1の状態情報に基づき、SSID情報DB12に記憶されたSSIDからサーバ1の管理状態に応じた通知用SSIDを選択し、サーバ1のSSIDを、選択した通知用SSIDに変更する。例えば、SSID変更部15は、サーバ1と管理端末2とが接続されていない状態のとき、サーバ1のSSIDを「server01_request」又は「server01_request_top」等の接続要求を通知する通知用SSIDに変更する。
【0040】
また、例えば、SSID変更部15は、サーバ1と管理端末2とが接続状態にあり、アップデート及びエラーのイベントが発生しているとき、サーバ1のSSIDを「server01_update0」、「server01_update50」、「server01_update100」又は「server01_err001」等の所定のイベントの発生を通知する通知用SSIDに変更する。
【0041】
以上、本実施形態にかかるサーバ1の機能構成の一例について説明した。なお、サーバ1は、所定エリア内の管理端末2と通信可能な情報処理装置の一例である。情報処理装置は、パーソナルコンピュータ等であってもよい。その場合、本実施形態にかかるサーバ1の機能(後述されるSSID変更処理機能)を実行するためのサーバモジュール(チップ又は記憶媒体に記憶されたプログラム)をサーバ1に組み込んだり、サーバ1にインストールしてもよい。
【0042】
(管理端末の機能構成の例)
管理端末2は、設定登録部20、SSID情報DB21、無線LAN通信部22、キャリア回線通信部23、無線LANスキャン部24、判定部25、サーバ状態記録部26、サーバ状態情報DB27及び接続切替部28を有する。
【0043】
設定登録部20は、サーバ1の状態情報に応じたSSIDをサーバ1の状態情報に応じて設定し、SSID情報DB21に登録する。登録されるSSIDの一例が
図4に示されている。SSID情報DB21に登録されたSSIDは、前述したように、サーバ1に記憶されているSSID情報DB12と同一である。なお、SSID情報DB21は、必ずしも管理端末2内の記憶領域に記憶されていなくてもよい。つまり、SSID情報DB21は、管理端末2からアクセス可能な記憶領域に記憶されていればよい。
【0044】
無線LANスキャン部24は、スキャンした領域内のSSIDを検出する。無線LANスキャン部24は、サーバ1から送信されたSSID(通知用SSIDを含む)を検出する検出部の一例である。
【0045】
判定部25は、検出したSSIDに基づき、サーバ1へ接続するか否かを判定する。判定部25は、検出したSSIDとSSID情報DB21に登録された通知用SSIDとを比較し、検出したSSIDに一致する接続要求の通知用SSIDがある場合、サーバの接続要求を接続切替部28に出力する。
【0046】
サーバ状態記録部26は、通知用SSIDに含まれるサーバ1の状態情報をサーバ状態情報DB27に記録する。
【0047】
接続切替部28は、判定部25による判定に応じてキャリア回線と無線LANとの接続の切り替えを行う。接続切替部28は、サーバ1の接続要求に応じて、無線LAN通信部22と接続するように制御する。その際、接続切替部28は、キャリア回線通信部23の接続を切断するように制御する。ただし、接続切替部28は、キャリア回線通信部23と保守センター4との接続を切断しないように制御することもできる。
【0048】
無線LAN通信部22は、サーバの接続要求に応じて、無線LANによりサーバ1と接続して通信する。無線LAN通信部22は、キャリア回線通信部23と異なる通信手段を有する第1の通信部の一例である。
【0049】
キャリア回線通信部23は、キャリア回線により保守センター4と接続して通信する。キャリア回線通信部23は、無線LAN通信部22と異なる通信手段を有する第2の通信部の一例である。
【0050】
これにより、無線LAN通信部22は、無線LANによりサーバ1の無線LAN通信部10と接続して通信する。また、キャリア回線通信部23は、キャリア回線により保守センター4と接続して通信する。これにより、サーバ1は、管理端末2を介して保守センター4と間接的に通信することで、保守センター4に管理されるようになっている。
【0051】
[SSID変更処理(サーバの動作)]
次に、本実施形態に係るSSID変更処理の一例について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、一実施形態にかかるSSID変更処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態にかかるSSID変更処理は、サーバ1により実行される。
【0052】
SSID変更処理が開始されると、状態監視部13は、イベントの発生を検知する(ステップS100)。次に、状態監視部13は、管理端末2と接続されている状態か否かを判定する(ステップS102)。管理端末2と接続されている状態と判定された場合、本処理を終了する。一方、管理端末2と接続されていない状態と判定された場合、状態通知部14は、サーバの状態情報をSSID変更部15へ通知する(ステップS104)。
【0053】
次に、SSID変更部15は、サーバ1の状態情報に基づき、サーバ1の通信のSSIDに、サーバ1の管理状態に応じた通知用SSIDを割り当てる(ステップS106)。次に、無線LAN通信部10は、割り当てた通知用SSIDを管理端末2へ送信し(ステップ108)、本処理を終了する。
【0054】
以上、本実施形態に係る接続判定処理の一例を実行する管理端末2の動作を説明した。通知用SSIDのフォーマットの一例を
図6に示す。
図6のフォーマットの一例では、通知用SSID200は、サーバのID201及びSSID202を有する。ここでは、サーバのID201には、サーバ1を一意に特定する識別子が設定される。また、SSID202には、ステップS106で割り当てられた通知用SSID(「Server_request」等)が設定される。サーバ状態情報は、通知用SSIDの接続要求202a、優先度(優先順位)202b、アップデート(進捗情報)202c及びエラーコード202dの少なくともいずれかを設定することができる。
【0055】
例えば、無線LAN通信部10は、通知用SSIDを一定時間、ブロードキャスト送信することで、管理端末2が通知用SSIDを受信してサーバ1と接続できるようにしてもよい。この場合、無線LAN通信部10は、一定時間経過後、再び接続用SSIDを送信し、所定エリアへのサービスの提供を再開してもよい。
【0056】
このように、サーバ1が複数のSSID(マルチSSIDを)を使用できる場合、接続用SSIDと通信用SSIDを区別すると、ネットワークの状況がわかりやすいため好ましい。ただし、無線LAN通信部10は、一定時間経過後に再び接続用SSIDを送信することなく、通知用SSIDを継続したままサービスの提供を再開することもできる。これにより、サーバ1からのサービス提供を続けながら、サーバ1の接続の有無に関する通知やサーバ1の管理状態に関する通知を行うことができる。
【0057】
[接続判定処理(管理端末の動作)]
次に、本実施形態に係る接続判定処理の一例について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、一実施形態にかかる接続判定処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態にかかる接続判定処理は、管理端末2により実行される。
【0058】
接続判定処理が開始されると、無線LANスキャン部24は、スキャンした領域内のSSIDを検出する(ステップS200)。次に、判定部25は、検出したSSIDとSSID情報DB21に記憶されているSSIDとを比較する(ステップS202)。次に、判定部25は、検出したSSIDが、SSID情報DB21に記憶されたSSIDと一致し、登録済みかを判定する(ステップS204)。検出したSSIDと一致するSSIDがSSID情報DB21に保存されていない場合、ステップS200に戻り、再度SSIDの検出が行われる。
【0059】
一方、検出したSSIDと一致するSSIDがSSID情報DB21に保存されている場合、判定部25は、検出したSSIDが接続要求かを判定する(ステップS206)。検出したSSIDが接続要求でない場合、サーバ1への接続は必要ないため、サーバ状態記録部26は、検出されたSSIDに含まれるサーバの状態情報をサーバ状態情報DB27に記録し、本処理を終了する。
【0060】
一方、ステップS206にて、検出したSSIDが接続要求である場合、判定部25は、キャリア回線から無線LANへ接続を切り替え可能かを判定する(ステップS210)。切り替えが可能でない場合、キャリア回線を使用した処理を実行中であるため、接続要求の優先度に応じて接続切替処理を保留し、切り替えが可能になるまでステップS210の処理を繰り返し、切り替えが可能になったらステップS212に進む。ただし、検出されたSSIDの接続要求の優先度が最優先の場合、判定部25は、接続切替処理を保留しないと判定し、直ちにステップS212に進む。
【0061】
ステップS212では、判定部25から接続切替部28へサーバ1への接続要求を出力する。次に、接続切替部28は、無線LANへ接続を実行し、本処理を終了する。
【0062】
以上、本実施形態に係る接続判定処理の一例を実行する管理端末2の動作を説明した。
【0063】
管理端末のテザリング機能を利用する場合、管理端末が親機、サーバが子機となり、管理端末からサーバへ接続が行われる。管理端末は複数のサーバを管理する際、それぞれのサーバに逐一接続することで管理作業を行う(ポーリング)。また、サーバがアップデート中に、管理端末が保守センターから別のアップデートファイルをダウンロードする間、管理端末がサーバからアップデート進捗状況の通知を受け取ることは困難である。
【0064】
これに対して、本実施形態に係る通信制御システムによれば、サーバ1は管理される際に自身のネットワーク構成を変更する必要がなく、管理端末2も1又は複数のサーバ1の状態を、それぞれのサーバ1へ接続することなく同時に把握することが可能となる。また、この仕組みは無線LANの機能を転用することで、通知専用のハードウェアを追加することを必要とせず製品化のコストを抑えられる。
【0065】
よって、本実施形態に係る通信制御システムによれば、サーバ1がインターネットと接続できない場合、通知用SSIDに応じて仲介を行う管理端末2がサーバ1への接続を切り替えて、状態把握のためのポーリングをすることなく、適切な接続切替のタイミングを知ることができる。このため、仲介を行う管理端末2は、自身の処理を中断することなく管理対象であるサーバ1の状態を把握できる。例えば、管理端末2は、サーバ1の接続状態を問い合わせるために、保守センター4のアップデート等を中断する必要がなく、アップデート処理を継続することができる。
【0066】
<実施例>
次に、上記実施形態に係る通信制御システムの一実施例について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。
図8は、上記実施形態にかかる通信制御システムの一実施例の機能構成を示す。
図9は、上記実施形態にかかる接続判定処理の一実施例のフローチャートを示す。
【0067】
サーバ1は、無線LAN通信部10、記憶部11、SSID情報DB12、状態監視部13、状態通知部14及びSSID変更部15を有する。加えて、本実施例では、サーバ1は、サーバ管理情報更新部16及びサーバ管理情報DB17を有する。
【0068】
サーバ1のサーバ管理情報更新部16及びサーバ管理情報DB17以外の構成については既に説明したため、本実施例では、サーバ管理情報更新部16及びサーバ管理情報DB17についてのみ説明する。
【0069】
サーバ管理情報更新部16は、アップデート情報やログ情報等のサーバ管理情報の管理を行う。サーバ管理情報更新部16は、管理端末2との接続後、アップデート情報のダウンロードやログ情報のアップロード等を行う。サーバ管理情報更新部16は、アップデート情報やログ情報等のサーバ管理情報をサーバ管理情報DB17に蓄積する。無線LAN通信部10は、管理端末2の無線LAN通信部22と通信し、SSID情報及びサーバ管理情報を送受信する。例えば、無線LAN通信部22は、SSID情報を送信してもよい。その場合、無線LAN通信部10は、SSID情報を受信する。受信したSSID情報は、SSID情報DB12に記憶される。また、無線LAN通信部10は、サーバ管理情報DB17からサーバ管理情報を取得し、無線LAN通信部22に送信してもよい。
【0070】
管理端末2は、設定登録部20、SSID情報DB21、無線LAN通信部22、キャリア回線通信部23、無線LANスキャン部24、判定部25、サーバ状態記録部26、サーバ状態情報DB27及び接続切替部28を有する。加えて、本実施例では、管理端末2は、サーバ管理情報DB29を有する。管理端末2のサーバ管理情報DB29以外の構成については既に説明したため、本実施例では、サーバ管理情報DB29についてのみ説明する。
【0071】
例えば、無線LAN通信部10は、サーバ管理情報を送信してもよい。その場合、無線LAN通信部22はサーバ管理情報を受信する。受信したサーバ管理情報は、サーバ管理情報DB29に記憶される。
図8では、一つのサーバ1と管理端末2との構成のみ図示しているが、管理端末2は、複数のサーバと無線通信を行い、複数のサーバに対するサーバ管理情報及びサーバ状態情報を蓄積してもよい。無線LAN通信部22は、蓄積された複数のサーバに関するサーバ管理情報及びサーバ状態情報を、保守センター4と接続可能なときに保守センター4に送信する。これにより、各サーバの管理を保守センター4で行うことができる。
【0072】
[接続判定処理(管理端末の動作)]
上記実施例に係る管理端末2による接続判定処理について、
図9のフローチャートを参照しながら説明する。
図9のステップS200〜S214については、上記実施形態にかかる接続判定処理と同じであるため、ここでは説明を省略し、一のサーバの接続判定処理後のステップS216〜S220について説明する。
【0073】
ステップS216では、設定登録部20は、接続しているサーバのサーバ管理情報をサーバ管理情報DB29に記憶し、サーバ管理情報を更新する。次に、無線LANスキャン部24は、他のサーバからのSSIDを検出したかを判定する(ステップS218)。他のサーバか否かは、
図6のサーバのID201により判別可能である。
【0074】
他のサーバからのSSIDを検出した場合、ステップS200に戻り、他のサーバとの接続判定処理を実行する。一方、他のサーバからのSSIDを検出しなかった場合、ステップ220に進み、無線LAN通信部22は、蓄積された複数のサーバのサーバ管理情報及びサーバ状態情報を、保守センター4と接続可能なときに保守センター4に送信する。これにより、各サーバのサーバ管理情報及びサーバ状態情報を保守センター4に通知することができる。
【0075】
(ハードウェア構成例)
最後に、一実施形態にかかるサーバ1及び管理端末2のハードウェア構成について簡単に説明する。
図10は、本実施形態にかかるサーバのハードウェア構成の一例を示す。以下では、本実施形態にかかるサーバ1のハードウェア構成を説明し、管理端末2のハードウェア構成についは、サーバ1のハードウェア構成と同様であるため説明を省略する。
【0076】
サーバ1は、入力装置101、表示装置102、外部I/F103、RAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)105、CPU(Central Processing Unit)106、通信I/F107及びHDD(Hard Disk Drive)108を備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0077】
入力装置101は、キーボードやマウスなどを含み、サーバ1に各操作を入力するのに用いられる。表示装置102は、ディスプレイなどを含み、サーバ1の管理者に通信状態等のシステム運用状況等を表示する。
【0078】
通信I/F107は、無線LANに接続するインタフェースである。これにより、通信I/F107を介して管理端末2と無線通信を行うことができる。
【0079】
HDD108は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、装置全体を制御する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)、及びOS上において各種機能を提供するアプリケーションソフトウェアなどがある。また、HDD108は、上記実施形態のSSID変更処理を行うためにCPU106により実行されるプログラムを格納する。なお、管理端末2のHDDには、接続判定処理を行うためにCPU106により実行されるプログラムが格納されている。
【0080】
外部I/F103は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体103aなどがある。サーバ1は、外部I/F103を介して記録媒体103aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体103aには、CD(Compact Disk)、及びDVD(Digital Versatile Disk)、ならびに、SDメモリカード(SD Memory card)やUSBメモリ(Universal Serial Bus memory)等がある。一実施形態にかかるSSID変更処理や接続判定処理を実行するためのプログラムを記録媒体103aに記録してもよい。
【0081】
ROM105は、不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)であり、起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OS設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM104は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。CPU106は、上記記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)から、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行することで、装置全体の制御や搭載機能を実現する演算装置である。
【0082】
なお、サーバ1の各部及び管理端末2の各部は、HDD108等にインストールされた一実施形態にかかるSSID変更処理や接続判定処理を実行するためのプログラムをCPU106が実行することにより実現されてもよい。また、サーバ1の各データベース及び管理端末2の各データベースは、例えば、RAM104、HDD108、又はサーバ1や管理端末2に無線LANやキャリア回線を介して接続される記憶装置を用いて実現可能である。
【0083】
以上、通信制御システム、情報処理装置及び通信制御方法を上記実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【0084】
例えば、サーバ1の各機能及び管理端末2の各機能は、ソフトウェアにより実現してもよく、ハードウェアにより実現してもよく、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより実現してもよい。
【0085】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
異なる通信手段の第1の通信部と第2の通信部とを有する管理端末と、該管理端末を介して管理され、該第1の通信部と通信可能な情報処理装置と、の通信を制御する通信制御システムであって、
前記情報処理装置は、
前記情報処理装置の管理状態に応じた通知用SSID(Service Set Identifier)が記憶されたSSID情報データベースに基づき、前記情報処理装置の通信のSSIDを、前記情報処理装置の管理状態に応じた通知用SSIDに変更するSSID変更部と、
前記変更した通知用SSIDを送信して、前記情報処理装置の管理状態を通知する第3の通信部と、
を有する通信制御システム。
(付記2)
前記管理端末は、
前記送信された通知用SSIDを検出する検出部と、
前記検出した通知用SSIDに基づき、前記情報処理装置へ接続するか否かを判定する判定部と、を有する、
付記1に記載の通信制御システム。
(付記3)
前記管理端末は、
前記判定部による判定に応じて前記第2の通信部による前記機器への接続と該機器への接続の切断とを切り替える接続切替部を有する、
付記2に記載の通信制御システム。
(付記4)
前記通知用SSIDは、
前記情報処理装置の状態情報を含む、
付記1〜3のいずれか一項に記載の通信制御システム。
(付記5)
異なる通信手段の第1の通信部と第2の通信部とを有する管理端末を介して管理され、該第1の通信部と通信可能な情報処理装置であって、
前記情報処理装置の管理状態に応じた通知用SSID(Service Set Identifier)が記憶されたSSID情報データベースに基づき、前記情報処理装置の通信のSSIDを、前記情報処理装置の管理状態に応じた通知用SSIDに変更するSSID変更部と、
前記変更した通知用SSIDを送信して、前記情報処理装置の管理状態を通知する第3の通信部と、
を有する情報処理装置。
(付記6)
前記付記5の情報処理装置から送信された通知用SSIDを検出する検出部と、
前記検出した通知用SSIDに基づき、前記情報処理装置へ接続するか否かを判定する判定部と、を有する、
管理端末。
(付記7)
前記判定部による判定に応じて前記第2の通信部による前記機器への接続と該機器への接続の切断とを切り替える接続切替部を有する、
付記6に記載の管理端末。
(付記8)
前記通知用SSIDは、
前記情報処理装置の状態情報を含む、
付記5に記載の情報処理装置。
(付記9)
異なる通信手段の第1の通信部と第2の通信部とを有する管理端末と、該管理端末を介して管理され、該第1の通信部と通信可能な情報処理装置と、の通信を制御する処理をコンピュータが実行する通信制御方法であって、
前記情報処理装置の管理状態に応じた通知用SSID(Service Set Identifier)が記憶されたSSID情報データベースに基づき、前記情報処理装置の通信のSSIDを、前記情報処理装置の管理状態に応じた通知用SSIDに変更し、
前記変更した通知用SSIDを送信して、前記情報処理装置の管理状態を通知する、
通信制御方法。
(付記10)
前記送信された通知用SSIDを検出し、
前記検出した通知用SSIDに基づき、前記情報処理装置へ接続するか否かを判定する、
付記9に記載の通信制御方法。
(付記11)
前記情報処理装置へ接続するか否かの判定に応じて前記第2の通信部による前記機器への接続と該機器への接続の切断とを切り替える、
付記10に記載の通信制御方法。
(付記12)
前記通知用SSIDは、
前記情報処理装置の状態情報を含む、
付記9〜11のいずれか一項に記載の通信制御方法。