特許第6248719号(P6248719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248719
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】イオン交換装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20060101AFI20171211BHJP
   B01J 49/00 20170101ALI20171211BHJP
【FI】
   C02F1/42 A
   B01J49/00
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-49968(P2014-49968)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-174001(P2015-174001A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 元
(72)【発明者】
【氏名】中村 三郎
(72)【発明者】
【氏名】山崎 稔文
【審査官】 菊地 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−267642(JP,A)
【文献】 特開2012−166133(JP,A)
【文献】 特開平09−294981(JP,A)
【文献】 特開2005−313162(JP,A)
【文献】 特表2010−523324(JP,A)
【文献】 特開2000−218266(JP,A)
【文献】 特開2008−221117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/42
B01J 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を導入することにより処理水を製造するイオン交換樹脂床が収容される圧力タンクと、
前記イオン交換樹脂床を再生する再生液が貯留される再生液タンクと、
前記圧力タンク及び前記再生液タンクを支持する基部と、を備え、
前記再生液タンクは、有底の筒状体であり、
前記基部は、前記圧力タンクを差し込む圧力タンク用差込部及び前記再生液タンクを差し込む再生液タンク用差込部を有
前記再生液タンク用差込部は、前記再生液タンクが支持高さまで差し込まれたときに再生液タンクの底部が再生液タンク用差込部の底部よりも上方に位置している、イオン交換装置。
【請求項2】
前記圧力タンク用差込部は、当該圧力タンク用差込部に差し込まれる部分の前記圧力タンクの形状の少なくとも一部に対応する形状を有し、
前記再生液タンク用差込部は、当該再生液タンク用差込部に差し込まれる部分の前記再生液タンクの形状の少なくとも一部に対応する形状を有し、
前記基部は、前記圧力タンク用差込部及び前記再生液タンク用差込部を有する樹脂成形品である、請求項1に記載のイオン交換装置。
【請求項3】
前記圧力タンクは、前記圧力タンク用差込部に差し込まれることによって、前記基部上に位置決めされて支持され、
前記再生液タンクは、前記再生液タンク用差込部に差し込まれることによって、前記基部上に位置決めされて支持される、請求項2に記載のイオン交換装置。
【請求項4】
原水導入部及び処理水導出部を有する配管部と、
前記圧力タンク、前記再生液タンク及び前記配管部を収容する筐体と、をさらに備え、
前記再生液タンクの上部には、前記再生液の原料を投入する原料投入口が設けられ、
前記筐体は、前記圧力タンク及び前記再生液タンクの前面、背面及び上面を覆う筐体中央部と、前記筐体中央部の左側及び右側をそれぞれ覆う筐体左部及び筐体右部とによって構成され、
前記筐体中央部は、上面に開口を有し、前記開口と前記再生液タンクの前記原料投入口とが対応する位置において、前記基部上に位置決めされて据え付けられ、
前記圧力タンクには、所要高さに流路制御バルブユニットが付設され、
前記流路制御バルブユニットには、前記配管部の前記原水導入部から当該流路制御バルブユニットに至る入口管路、及び当該流路制御バルブユニットから前記配管部の前記処理水導出部に至る出口管路が接続され、
前記再生液タンクの前後方向又は左右方向への過度な動きは、当該再生液タンクの前記原料投入口と対応する位置に前記開口を有する前記筐体中央部によって規制され、
前記圧力タンクの前後方向への過度な動きは、前記筐体中央部の前面又は背面によって規制され、
前記圧力タンクの左右方向への過度な動きは、前記入口管路及び前記出口管路に接続された前記流路制御バルブユニットによって規制される、請求項3に記載のイオン交換装置。
【請求項5】
前記筐体左部及び前記筐体右部は、前記基部上に位置決めされて据え付けられた前記筐体中央部に対してそれぞれ着脱可能に固定される、請求項4に記載のイオン交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬水軟化装置等のイオン交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭の生活用水や食品製造業の加工用水として、軟水の特性や効能が注目されるようになり、軟水を製造するためのイオン交換装置(いわゆる、硬水軟化装置)が普及し始めている。軟水製造用のイオン交換装置は、水道水や地下水等の原水に含まれる硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)を陽イオン交換樹脂により吸着して除去し、処理水である軟水を製造する(特許文献1、2参照)。
【0003】
上記のような硬水軟化装置において、イオン交換樹脂床は、所定の採水量に達すると、イオン交換基が硬度成分でほぼ飽和状態になり、イオン交換能力を失う状態(即ち破過状態)になる。そこで、硬水軟化装置では、イオン交換樹脂床が破過状態になる前に、イオン交換樹脂床が収容される圧力タンクへ再生液としての塩水を供給してイオン交換能力を回復させる再生動作が行われる。再生液としての塩水は、再生液タンク(塩水タンク)に貯留される。
【0004】
一般的な硬水軟化装置は、イオン交換樹脂床が収容される圧力タンクと、再生液としての塩水が貯留される再生液タンクと、原水を導入する原水導入部及び圧力タンク内でイオン交換樹脂により処理された処理水を導出する処理水導出部を有する配管部とを備えて構成される。更に、家庭用の硬水軟化装置では、これらの要素に加えて、圧力タンク、再生液タンク及び配管部を収容する筐体を備えて構成される。圧力タンクには、通水工程や再生工程等の流路を切り換えるためのコントロールバルブが設けられ、このコントロールバルブを介して、圧力タンクは、配管部と接続される。
【0005】
家庭用の硬水軟化装置は、その使用中において、圧力タンクは、水を含んで数10kgの重量を有し、再生液タンクも、水を含んで数10kgの重量を有する。そのため、圧力タンク及び再生液タンクは、いずれもその重量を装置の基部(ベース)によって支持されることが好ましい。再生液タンクは、複数本のボルトを用いて装置の基部に固定される。圧力タンクは、例えば圧力タンクの底部と装置の基部との間に台座を介して、複数本のボルトを用いて装置の基部に固定される。このようなボルト留めによる固定によって、圧力タンク及び再生液タンクの耐震性は確保され、従って装置の耐震性も確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−178665号公報
【特許文献2】特開2005−261991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、製造工場や据付現場で装置を組み立てる際に、それぞれ複数本のボルトを用いて圧力タンク及び再生液タンクを装置の基部に固定することは、製造工場や据付現場での組立て工数が掛かる。また、ボルトを用いて固定するためには、圧力タンク側及び再生液タンク側に、ボルト通し孔を有するブラケット等のボルト留め用の部材が必要であり、基部側にも、ボルトねじ込み穴等のボルト留め用の部材が必要であるという課題があった。
【0008】
本発明は、製造工場や据付現場で装置を組み立てる際に、必ずしもボルトを用いて固定することなく、圧力タンク及び再生液タンクを装置の基部に安定して保持することのできるイオン交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、原水を導入することにより処理水を製造するイオン交換樹脂床が収容される圧力タンクと、前記イオン交換樹脂床を再生する再生液が貯留される再生液タンクと、前記圧力タンク及び前記再生液タンクを支持する基部と、を備え、前記再生液タンクは、有底の筒状体であり、前記基部は、前記圧力タンクを差し込む圧力タンク用差込部及び前記再生液タンクを差し込む再生液タンク用差込部を有前記再生液タンク用差込部は、前記再生液タンクが支持高さまで差し込まれたときに再生液タンクの底部が再生液タンク用差込部の底部よりも上方に位置している、イオン交換装置に関する。
【0010】
また、前記圧力タンク用差込部は、当該圧力タンク用差込部に差し込まれる部分の前記圧力タンクの形状の少なくとも一部に対応する形状を有し、前記再生液タンク用差込部は、当該再生液タンク用差込部に差し込まれる部分の前記再生液タンクの形状の少なくとも一部に対応する形状を有し、前記基部は、前記圧力タンク用差込部及び前記再生液タンク用差込部を有する樹脂成形品であることが好ましい。
【0011】
また、前記圧力タンクは、前記圧力タンク用差込部に差し込まれることによって、前記基部上に位置決めされて支持され、前記再生液タンクは、前記再生液タンク用差込部に差し込まれることによって、前記基部上に位置決めされて支持されることが好ましい。
【0012】
また、原水導入部及び処理水導出部を有する配管部と、前記圧力タンク、前記再生液タンク及び前記配管部を収容する筐体と、をさらに備え、前記再生液タンクの上部には、前記再生液の原料を投入する原料投入口が設けられ、前記筐体は、前記圧力タンク及び前記再生液タンクの前面、背面及び上面を覆う筐体中央部と、前記筐体中央部の左側及び右側をそれぞれ覆う筐体左部及び筐体右部とによって構成され、前記筐体中央部は、上面に開口を有し、前記開口と前記再生液タンクの前記原料投入口とが対応する位置において、前記基部上に位置決めされて据え付けられ、前記圧力タンクには、所要高さに流路制御バルブユニットが付設され、前記流路制御バルブユニットには、前記配管部の前記原水導入部から当該流路制御バルブユニットに至る入口管路、及び当該流路制御バルブユニットから前記配管部の前記処理水導出部に至る出口管路が接続され、前記再生液タンクの前後方向又は左右方向への過度な動きは、当該再生液タンクの前記原料投入口と対応する位置に前記開口を有する前記筐体中央部によって規制され、前記圧力タンクの前後方向への過度な動きは、前記筐体中央部の前面又は背面によって規制され、前記圧力タンクの左右方向への過度な動きは、前記入口管路及び前記出口管路に接続された前記流路制御バルブユニットによって規制されることが好ましい。
【0013】
また、前記筐体左部及び前記筐体右部は、前記基部上に位置決めされて据え付けられた前記筐体中央部に対してそれぞれ着脱可能に固定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、製造工場や据付現場で装置を組み立てる際に、必ずしもボルトを用いて固定することなく、圧力タンク及び再生液タンクを装置の基部に安定して保持することのできるイオン交換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のイオン交換装置の一実施形態としての硬水軟化装置1の斜視図である。
図2】本実施形態の硬水軟化装置1の展開斜視図である。
図3】本実施形態の硬水軟化装置1の一部を断面にして示す正面図である。
図4】本実施形態の硬水軟化装置1の一部を断面にして示す右側面図である。
図5】本実施形態の硬水軟化装置1の一部を断面にして示す平面図である。
図6】本実施形態の硬水軟化装置1において連結状態にあるコントロールバルブ及びバイパスバルブを示す斜視図である。
図7】本実施形態の硬水軟化装置1においてコントロールバルブ及びバイパスバルブの切り離した状態を示す斜視図である。
図8】本実施形態の硬水軟化装置1の通水工程を示す全体構成図である。
図9】本実施形態の硬水軟化装置1の再生工程を示す全体構成図である。
図10】本実施形態の硬水軟化装置1の押出工程を示す全体構成図である。
図11】本実施形態の硬水軟化装置1のリンス工程を示す全体構成図である。
図12】本実施形態の硬水軟化装置1においてコントロールバルブとバイパスバルブとを切り離した状態を示す全体構成図である。
図13】本実施形態の硬水軟化装置1における基部61の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のイオン交換装置の一実施形態としての硬水軟化装置1について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
本実施形態の硬水軟化装置1は、水道水、地下水、工業用水等の原水中に含まれる硬度成分をナトリウムイオン(又は、カリウムイオン)へ置換して軟水を生成する。硬水軟化装置1は、軟水を各種の用水として需要箇所へ供給する目的で使用される。硬水軟化装置1は、家屋やマンション等の居住建物、ホテルや大衆浴場等の集客施設、ボイラやクーリングタワー等の冷熱機器、食品加工装置や洗浄装置等の水使用機器等に接続される。特に、硬水軟化装置1は、一般家庭において水道水を原水として使用するのに適している。
【0018】
本実施形態の硬水軟化装置1は、原水W1をイオン交換樹脂床211(後述)で軟水化して得られた処理水(軟水)W2を浴室等の需要箇所(図示せず)に供給する通水工程、塩水W3を供給してイオン交換樹脂床211を再生させる再生工程、イオン交換樹脂床211に供給された塩水W3を押し出す押出工程、及びイオン交換樹脂床211に残留した塩水W3を洗浄するリンス工程を実行可能な構成を備える。
【0019】
まず、図1図5図8を参照して、本実施形態の硬水軟化装置1を構成する各構成要素について説明する。以下の説明において「ライン」とは、流路、経路、管路等の総称である。
【0020】
本実施形態の硬水軟化装置1は、圧力タンク2と、再生液タンクとしての塩水タンク4と、配管部5と、筐体6と、を備えて構成される。圧力タンク2の内部には、原水(例えば、水道水)W1を導入することにより処理水としての軟水W2を製造するイオン交換樹脂床211が収容される。塩水タンク4の内部には、圧力タンク2内のイオン交換樹脂床211を再生する再生液としての塩水W3が貯留される。配管部5は、原水W1を導入する原水導入部51、及び軟水W2を導出する処理水導出部としての軟水導出部52を有する。筐体6は、圧力タンク2、塩水タンク4及び配管部5を収容する。
【0021】
図2図3図8に示すように、圧力タンク2は、丸みを帯びた底部を有する筒状体(例えば、円筒)であり、上部に開口21を有している。圧力タンク2の内部には、開口21の中央部から圧力タンク2の底部付近まで延びる集配液管231(図8参照)が設けられる。圧力タンク2の開口21において集配液管231を除く領域には、頂部スクリーン241が設けられる。集配液管231の下端部と圧力タンク2の底部との間には、底部スクリーン242が設けられる。そのため、集配液管231の上端部から圧力タンク2に流入した液体は、集配液管231内を下降してその下端部から底部スクリーン242を通って集配液管231の外側に出て、集配液管231の外側における圧力タンク2の内部空間を上昇して頂部スクリーン241を通って圧力タンク2から外に出る。反対に、頂部スクリーン241を通って圧力タンク2に流入した液体は、圧力タンク2の内部空間を下降して底部スクリーン242を通って集配液管231の中に入り、集配液管231内を上昇してその上端部から圧力タンク2の外に出る。
【0022】
集配液管231の外側における圧力タンク2の内部空間には、陽イオン交換樹脂ビーズからなるイオン交換樹脂床211、及び濾過砂利からなる支持床212が、収容される。支持床212は、圧力タンク2の底部側に配置される。支持床212は、イオン交換樹脂床211に対する流体の整流部材として機能する。イオン交換樹脂床211は、支持床212の上方に積層される。イオン交換樹脂床211は、原水W1を軟水化する処理材として機能する。
【0023】
圧力タンク2の上部の開口21には、流路制御バルブユニットとしてのコントロールバルブ3が取り付けられる。図8に示すように、コントロールバルブ3は、流路切換バルブ31と、後述するバイパスバルブ32の着脱受け部3211と、エゼクタ33と、ストレーナ34と、ブラインバルブ35と、ドレンバルブ36と、原水ラインL12と、軟水ラインL21、L22、L23、L24と、希釈水ラインL31、L32と、塩水ラインL41、L42、L43、L44と、排水ラインL51、L52、L53、L54と、を備える。後述するように、軟水ラインL21〜L24、希釈水ラインL31、L32、塩水ラインL44は、原水ラインとしても機能する。軟水ラインL21は、塩水ラインとしても機能する。
【0024】
流路切換バルブ31は、一端部が開口した筒状のバルブハウジング311と、筒状のバルブ本体312とを備える。バルブ本体312は、一端部が開口し、バルブハウジング311の内部に収容されてバルブハウジング311の軸線方向に沿って摺動可能である。バルブハウジング311は、その周壁に、軸線方向に沿って所定の間隔を隔てて4つの孔3111〜3114を備える。バルブ本体312は、3つのシール部3121〜3123を備える。3つのシール部3121〜3123は、軸線方向に沿って所定の間隔を隔てて周壁から外方へ張り出している。バルブ本体312は、その頂部に1つの孔3124を備える。
【0025】
流路切換バルブ31の開口端部は、圧力タンク2の集配液管231の上端部に水密に取り付けられる。原水ラインL12の一端は、バイパスバルブ32の着脱受け部3211の後述する第2流路L2に接続される。原水ラインL12の他端は、流路切換バルブ31のバルブハウジング311の第1孔3111に接続される。軟水ラインL21の一端は、圧力タンク2の開口21において集配液管231を除く領域に水密に接続される。軟水ラインL21の他端は、軟水ラインL22の一端と、塩水ラインL44の一端との接続点に接続される。軟水ラインL22の他端は、流路切換バルブ31のバルブハウジング311の第3孔3113に接続される。軟水ラインL23の一端は、流路切換バルブ31のバルブハウジング311の第2孔3112に接続される。軟水ラインL23の他端は、軟水ラインL24の一端と、希釈水ラインL31の一端との接続点に接続される。軟水ラインL24の他端は、バイパスバルブ32の着脱受け部3211の後述する第3流路L3に接続される。
【0026】
希釈水ラインL31の他端は、ストレーナ34の一側に接続される。ストレーナ34の他側には、希釈水ラインL32の一端が接続される。希釈水ラインL32の他端は、エゼクタ33の一側に接続される。エゼクタ33の他側には、塩水ラインL44の他端が接続される。エゼクタ33の吸込み口には、塩水ラインL43の一端が接続される。塩水ラインL43の他端は、ブラインバルブ35の一側に接続される。ブラインバルブ35の他側には、塩水ラインL42の一端が接続される。塩水ラインL42の他端は、コントロールバルブ3の外方に設けられる塩水流量計44の一側に接続される。塩水流量計44の他側には、塩水ラインL41の一端が接続される。塩水ラインL41の他端は、塩水タンク4の塩水取り出し部に接続される。排水ラインL51の一端は、流路切換バルブ31のバルブハウジング311の第4孔3114に接続される。排水ラインL51の他端は、ドレンバルブ36の一側に接続される。ドレンバルブ36の他側には、排水ラインL52の一端が接続される。排水ラインL52の他端は、排水ラインL53の一端と、排水ラインL54の一端との接続点に接続される。排水ラインL53の他端は、塩水タンク4のオーバフロー部に接続される。排水ラインL54の他端は、系外の排水溝等に解放される。
【0027】
コントロールバルブ3には、配管部5の原水導入部51からコントロールバルブ3に至る原水ラインL11、及びコントロールバルブ3から配管部5の軟水導出部52に至る軟水ラインL25が接続される。具体的には、コントロールバルブ3付近の原水ラインL11及び軟水ラインL25には、バイパスバルブ32が設けられる。バイパスバルブ32は、原水ラインL11と軟水ラインL25とを直接接続して、コントロールバルブ3を含む圧力タンク2を原水ラインL11及び軟水ラインL25から切り離すことが可能である。
【0028】
バイパスバルブ32は、内部に4つの流路L1〜L4を有するバルブハウジング321と、バルブハウジング321の内部に収容されて流路L1〜L4の流通を切換可能なバルブ本体322と、を備える。バルブハウジング321の第1流路L1と第4流路L4とは、互いに一直線上に配置される。第2流路L2と第3流路L3とは、互いに平行に配置される。第1流路L1及び第4流路L4の向きと、第2流路L2及び第3流路L3の向きとは、互いに直交する。バルブハウジング321の第2流路L2及び第3流路L3側の先端部は、着脱受け部3211として、バルブハウジング321に対して着脱可能に構成される。
【0029】
図6図7に示すように、バイパスバルブ32の着脱受け部3211は、コントロールバルブ3側に設けられる。着脱受け部3211は、2つの円筒状の内周面3212、3213を有する。バイパスバルブ32の第2流路L2及び第3流路L3側を構成する部分は、2つの円筒部3214、3215を備える。円筒部3214、3215は、円筒状の外周面を有し、この外周面には、Oリング3216、3217がそれぞれ装着される。円筒部3214、3215を着脱受け部3211の内周面3212、3213に圧入したうえ、左右の連結金具3231、3232をねじ留めすることによって、バイパスバルブ32は、コントロールバルブ3に連結される。このとき、Oリング3216、3217の作用により、バイパスバルブ32とコントロールバルブ3とは、水密に連結される。左右の連結金具3231、3232を外したうえ、ハンドル324を操作すると、Oリング3216、3217の抵抗に抗して、円筒部3214、3215を着脱受け部3211の内周面3212、3213から抜き取ることができる。即ち、バイパスバルブ32は、コントロールバルブ3から切り離される。
【0030】
バイパスバルブ32の通常使用時には、バルブ本体322は、図8図11に示す位置にある。このとき、バイパスバルブ32の第1流路L1と第2流路L2とは、互いに連通する。バイパスバルブ32の第3流路L3と第4流路L4とは、互いに連通する。バイパスバルブ32の切り離し時には、バルブ本体322は、図12に示す位置にある。このとき、バイパスバルブ32の第1流路L1と第4流路L4とは、互いに連通する。バイパスバルブ32の第2流路L2と第3流路L3とは、互いに連通する。
【0031】
バイパスバルブ32の第1流路L1には、原水ラインL11の一端が接続される。バイパスバルブ32の第4流路L4には、軟水ラインL25の一端が接続される。原水ラインL11の他端及び軟水ラインL25の他端は、据付現場の給水配管(例えば、水道管)に接続される。即ち、水道管の上流側に原水ラインL11の他端が接続され、水道管の下流側に軟水ラインL25の他端が接続される。水道管に接続される原水ラインL11の他端は、原水W1を導入する原水導入部51を構成する。水道管に接続される軟水ラインL25の他端は、処理水としての軟水W2を導出する処理水導出部としての軟水導出部52を構成する。
【0032】
原水ラインL11には、原水導入部51に近い側から順に、通水流量計511、逆止弁付きボール止水栓512、ストレーナ513、減圧弁514、逃がし弁515、及びフロースイッチ516が設けられる。フロースイッチ516の下流側には、負圧破壊弁517及びフィルタ518が設けられる。通水流量計511は、原水W1の通水流量を計測する。逆止弁付きボール止水栓512は、原水W1の流れを一方向に規制して原水W1の逆流を防止する。ストレーナ513は、原水W1に含まれる微細粒子の流通を阻止する。減圧弁514は、原水W1を所定の水圧まで減圧する。逃がし弁515は、原水W1の水圧や装置二次側からの背圧が所定値以上になった場合に、過剰な圧力を系外に逃がすことにより、圧力タンク2やコントロールバルブ3を保護する。フロースイッチ516は、所定流量の原水W1が流通したことを検知すると、検出信号を制御部(図示せず)に出力する。負圧破壊弁517は、系内での負圧発生時に開弁して大気を吸入する。軟水ラインL25には、バイパスバルブ32に近い側から順に、コック付きストレーナ521、及び逆止弁付きボール止水栓522が設けられる。コック付きストレーナ521は、軟水W2に混入した異物(イオン交換樹脂の細粒や破砕片)を捕捉可能であり、コックを開けることによりその異物を系外に排出する。逆止弁付きボール止水栓522は、軟水W2の流れを一方向に規制して軟水W2の逆流を防止する。原水ラインL11及び軟水ラインL25におけるこれらの構成要素は、配管部5を構成する。
【0033】
流路切換バルブ31は、採水及び再生に関して、原水W1を圧力タンク2の底部スクリーン242へ配液しながら、頂部スクリーン241で集液することにより原水W1の上昇流を生成して、処理水である軟水W2を製造する通水工程の水(原水W1、軟水W2)の流れ、及び、再生液である塩水W3を頂部スクリーン241へ配液しながら、底部スクリーン242で集液することにより塩水W3の下降流を生成して、イオン交換樹脂床211を再生させる再生工程の塩水W3の流れを、切り換え可能なバルブである。
【0034】
流路切換バルブ31において、バルブ本体312の第1シール部3121がバルブハウジング311の第1孔3111と第2孔3112との間に位置するときに、バルブ本体312の第2シール部3122は、バルブハウジング311の第3孔3113と第4孔3114との間に位置し、バルブ本体312の第3シール部3123は、バルブハウジング311の第4孔3114と開口端部との間に位置する。このとき、バルブハウジング311の第1孔3111は、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙、バルブハウジング311の頂部内側の空間、及びバルブ本体312の頂部の孔3124を介して、バルブ本体312の内側の空間と連通する。即ち、バルブハウジング311の第1孔3111は、圧力タンク2の集配液管231の上端部と連通する。バルブハウジング311の第2孔3112と第3孔3113とは、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙を介して、互いに連通する。バルブハウジング311の第4孔3114は、他の孔又はバルブ本体312の内側の空間とは連通しない。以下、この位置関係を流路切換バルブ31の第1の状態という(後述する通水工程参照)。
【0035】
流路切換バルブ31において、バルブ本体312の第1シール部3121がバルブハウジング311の第1孔3111と頂部との間に位置するときに、バルブ本体312の第2シール部3122は、バルブハウジング311の第2孔3112と第3孔3113との間に位置し、バルブ本体312の第3シール部3123は、バルブハウジング311の第3孔3113と第4孔3114との間に位置する。このとき、バルブハウジング311の第1孔3111は、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙を介して、バルブハウジング311の第2孔3112と連通する。バルブハウジング311の第3孔3113は、他の孔又はバルブ本体312の内側の空間とは連通しない。バルブハウジング311の第4孔3114は、バルブ本体312の開口端部側と連通する。即ち、バルブハウジング311の第4孔3114は、圧力タンク2の集配液管231の上端部と連通する。以下、この位置関係を流路切換バルブ31の第2の状態という(後述する再生工程及び押出工程参照)。
【0036】
流路切換バルブ31において、バルブ本体312の第2シール部3122がバルブハウジング311の第2孔3112に対応する位置にあって第2孔3112を塞がないときに、バルブ本体312の第1シール部3121は、バルブハウジング311の第1孔3111と頂部との間に位置し、バルブ本体312の第3シール部3123は、バルブハウジング311の第3孔3113と第4孔3114との間に位置する。このとき、バルブハウジング311の第2孔3112は、流路切換バルブ31の第2の状態と同様に、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙を介して、バルブハウジング311の第1孔3111と連通すると共に、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙を介して、バルブハウジング311の第3孔3113とも連通する。バルブハウジング311の第4孔3114は、バルブ本体312の開口端部側と連通する。即ち、バルブハウジング311の第4孔3114は、圧力タンク2の集配液管231の上端部と連通する。以下、この位置関係を流路切換バルブ31の第3の状態という(後述するリンス工程参照)。
【0037】
塩水タンク4は、上下2段になった底部411を有する筒状体(例えば、角筒)であり、上部に再生液の原料すなわち塩(例えば、塩化ナトリウム)を投入する原料投入口としての塩投入口412を有している。塩水タンク4の内部には、イオン交換樹脂床211を再生する再生液としての塩水W3が貯留される。塩水タンク4の外周には、底部411から所定の高さに段部413が設けられる。段部413は、これよりも上方における塩水タンク4の横断面の大きさに比べて、これよりも下方における塩水タンク4の横断面の大きさが小さくなった実質的に水平の段部である。塩水タンク4の前側には、凹部414が設けられる。凹部414には、後述する入口管路としての原水ラインL11の一部を構成する原水接続管519が配置される。塩水タンク4の後側には、凹部415が設けられる。凹部415には、後述する出口管路としての軟水ラインL25の一部を構成する軟水接続管523が配置される。塩水タンク4は、塩水供給管42を備える。塩水供給管42は、再生工程において、貯留する塩水W3を圧力タンク2に供給するための塩水ラインL41の一部を構成する。塩水W3は、陽イオン交換樹脂ビーズを用いる硬水軟化装置においては、塩化ナトリウム、塩化カリウムの各水溶液等を利用することができる。
【0038】
ここで、圧力タンク2と、塩水タンク4と、配管部5との配置関係について説明する。図2図5に示すように、塩水タンク4は、装置1の中央に配置される。圧力タンク2は、塩水タンク4の一側(左側)に配置される。配管部5は、塩水タンク4の他側(右側)に配置される。圧力タンク2の上部に取り付けられたコントロールバルブ3に連結されたバイパスバルブ32と、配管部5とは、原水接続管519及び軟水接続管523によって接続される。原水接続管519は、塩水タンク4の前側の凹部414内において実質的に水平に配置される。軟水接続管523は、塩水タンク4の後側の凹部415において実質的に水平に配置される。原水接続管519は、原水ラインL11の一部を構成する。軟水接続管523は、軟水ラインL25の一部を構成する。
【0039】
筐体6は、圧力タンク2及び塩水タンク4を支持する装置1の基部61と、塩水タンク4全体及び圧力タンク2の一部の領域において、装置1の前面、背面及び上面を覆う筐体中央部62と、圧力タンク2が配置された側(左側)の筐体左部63と、配管部5が配置された側(右側)の筐体右部64と、を備える。基部61は、圧力タンク2の丸みを帯びた形状の底部を差し込む圧力タンク用差込部611と、塩水タンク4の段部413よりも下方部分を差し込む再生液タンク用差込部としての塩水タンク用差込部612と、を備える。圧力タンク用差込部611の形状は、圧力タンク2の丸みを帯びた形状の底部に対応する。具体的には、圧力タンク用差込部611は、図3図13に示すように、円筒状の枠部材6111と、枠部材6111の内側に配置される複数の互いに直交する桁部材6112と、底板6113とが連結されることによって構成される。枠部材6111及び桁部材6112の上面が圧力タンク2の丸みを帯びた形状の底部に対応するように、桁部材6112の高さは、中心部が最も低く、枠部材6111に向かって徐々に高くなる。そのため、圧力タンク用差込部611に圧力タンク2の丸みを帯びた底部が差し込まれると、圧力タンク2の底部の中心部は、圧力タンク用差込部611の中心部上に配置される。これによって、圧力タンク2は、圧力タンク用差込部611上に、直立した姿勢を保って安定して保持される。
【0040】
塩水タンク用差込部612は、塩水タンク4の段部413よりも下方部分が差し込まれたときに、塩水タンク4の段部413を支持する。具体的には、塩水タンク用差込部612は、図3図13に示すように、底板6121から上方へ立ち上がる実質的に角筒状の部材(角筒部材)6122によって構成される。角筒部材6122の上縁部6123は、実質的に水平である。底板6121から角筒部材6122の上縁部6123までの高さは、塩水タンク4の上下2段になった底部411の下段部4111から段部413までの高さよりも高い。角筒部材6122の内部空間の水平断面積は、塩水タンク4の段部413よりも下方部分の水平断面積よりも、大きい。角筒部材6122の上縁部6123の大きさは、塩水タンク4の段部413の大きさと実質的に同じである。角筒部材6122の上縁部6123を含む水平断面積は、塩水タンク4の段部413のすぐ上方部分の水平断面積と実質的に同じである。そのため、塩水タンク用差込部612に塩水タンク4が差し込まれると、塩水タンク4の段部413が角筒部材6122の上縁部6123上に載置される。これによって、塩水タンク4は、塩水タンク用差込部612の角筒部材6122上に、直立した姿勢を保って安定して保持される。このとき、塩水タンク4の上下2段になった底部411の下段部4111は、塩水タンク用差込部612の底板6121よりも上方に位置する。すなわち、塩水タンク4の底部411は、塩水タンク用差込部612の底板6121よりも上方に浮いている。圧力タンク用差込部611及び塩水タンク用差込部612は、合成樹脂材料によって一体に構成される。すなわち、基部61は、圧力タンク用差込部611及び塩水タンク用差込部612を有する樹脂成形品である。
【0041】
筐体中央部62は、前面部材621と、背面部材622と、上面部材623と、を備える。前面部材621の下端部は、基部61の前側に固定される。背面部材622の下端部は、基部61の後側に固定される。上面部材623の横幅は、前面部材621及び背面部材622の横幅に比べて長く、装置1全体の横幅に相当する長さを有する。上面部材623は、周囲に下向きのフランジ6231を有する。上面部材623は、塩水タンク4の上部の塩投入口412に対応する位置に、開口6232を有する。開口6232には、蓋体624が被せられる。上面部材623は、圧力タンク2の上部のコントロールバルブ3の上方位置に、開閉可能な窓6233を有する。前面部材621の上端部は、上面部材623の左右に関して中央において、フランジ6231の内側に固定される。背面部材622の上端部は、上面部材623の左右方向の中央において、フランジ6231の内側に固定される。
【0042】
筐体左部63は、左側面の前縁から左前面が張り出し、左側面の後縁から左背面が張り出した水平断面が略コ字形の形状を有する部材である。筐体左部63は、筐体中央部62の上面部材623の左側において、筐体左部63の上端部を下からフランジ6231の内側に差し込んだうえ、前面部材621及び背面部材622の左側部に係止されて、基部61上に着脱可能に取り付けられる。筐体左部63の取り付けには、適宜の取り付け方法を用いることができる。
【0043】
筐体右部64は、右側面の前縁から右前面が張り出し、右側面の後縁から右背面が張り出した水平断面が略コ字形の形状を有する部材である。筐体右部64は、筐体中央部62の上面部材623の右側において、筐体右部64の上端部を下からフランジ6231の内側に差し込んだうえ、前面部材621及び背面部材622の右側部に係止されて、基部61上に着脱可能に取り付けられる。筐体左部63の取り付けには、適宜の取り付け方法を用いることができる。筐体右部64の内側には、配管部5の保温用のヒータ53が設けられる。ヒータ53には、面状ヒータを用いることができる。
【0044】
次に、本実施形態における硬水軟化装置1の運転動作において、通水工程、再生工程、押出工程及びリンス工程について説明する。
〔通水工程〕
図8に示すように、通水工程では、コントロールバルブ3において、流路切換バルブ31は第1の状態にあり、ブラインバルブ35及びドレンバルブ36はいずれも閉位置にある。そのため、原水導入部51から装置1に導入される原水W1は、原水ラインL11、バイパスバルブ32の第1流路L1及び第2流路L2、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111及び孔3124を順次流れて、圧力タンク2の集配液管231に供給され、底部スクリーン242から配水される。底部スクリーン242から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211を上昇流で通過する。その過程において、原水W1の硬度成分は、ナトリウムイオン(又は、カリウムイオン)へ置換され、原水W1は軟水化される。
【0045】
イオン交換樹脂床211を通過した処理水(軟水W2)は、圧力タンク2の頂部で頂部スクリーン241へ集水される。その後、軟水W2は、軟水ラインL21、軟水ラインL22、流路切換バルブ31の第3孔3113及び第2孔3112、軟水ラインL23、軟水ラインL24、バイパスバルブ32の第3流路L3及び第4流路L4、軟水ラインL25を順次流れて、軟水導出部52から装置1の外部へ導出されて、軟水W2の需要箇所へ供給される。尚、軟水W2は、軟水ラインL22、流路切換バルブ31の第3孔3113及び第2孔3112、軟水ラインL23を順次流れるのと並行して、塩水ラインL44、エゼクタ33、希釈水ラインL32、ストレーナ34、希釈水ラインL31を順次流れる。
【0046】
〔再生工程〕
図9に示すように、再生工程では、コントロールバルブ3において、流路切換バルブ31は第2の状態にあり、ブラインバルブ35及びドレンバルブ36はいずれも開位置にある。そのため、原水導入部51から装置1に導入される原水W1は、原水ラインL11、バイパスバルブ32の第1流路L1及び第2流路L2、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111及び第2孔3112、軟水ラインL23、希釈水ラインL31、ストレーナ34、希釈水ラインL32、エゼクタ33を順次流れる。原水W1が所定の圧力でエゼクタ33を流れることにより、エゼクタ33の吸込み口には、吸込み力が発生する。この吸込み力により、塩水タンク4の内部に貯留された塩水W3は、塩水ラインL41、塩水流量計44、塩水ラインL42、ブラインバルブ35、塩水ラインL43を順次介して、エゼクタ33の吸込み口に吸込まれる。これにより、塩水W3と原水W1とは、エゼクタ33において混合され、所定濃度(約10重量%)の塩水W3となる。
【0047】
所定濃度の塩水W3は、塩水ラインL44、軟水ラインL21を介して、圧力タンク2の頂部に配置された頂部スクリーン241から配液され、圧力タンク2の内部を下降流で通過する。その過程において、塩水W3は、イオン交換樹脂床211を再生する。使用済みの塩水W3は、圧力タンク2の底部に配置された底部スクリーン242で集液され、圧力タンク2の集配液管231内を上昇して、流路切換バルブ31の第4孔3114、排水ラインL51、ドレンバルブ36、排水ラインL52、排水ラインL54を順次流れて系外に排水される。この再生工程は、所定時間実行され、所定量の塩水W3を供給することにより完了する。
【0048】
尚、軟水ラインL23を流れる原水W1は、希釈水ラインL31へ流れる一方、軟水ラインL24へも流れる。そのため、塩水W3を所定濃度に希釈するのに過剰な原水W1は、軟水ラインL24から、バイパスバルブ32の第3流路L3及び第4流路L4、軟水ラインL25、軟水導出部52を順次流れて、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
【0049】
〔押出工程〕
図10に示すように、押出工程では、コントロールバルブ3において、流路切換バルブ31は第2の状態にあり、ブラインバルブ35及びドレンバルブ36はいずれも開位置にある。これは、図9に示す再生工程と同じである。但し、塩水タンク4の内部には、塩水タンク4の塩水取り出し部から塩水ラインL41への塩水W3の流通を妨げることが可能なバルブ(図示せず)が、設けられている。このバルブは、再生工程では開位置にあり、塩水W3の流通を妨げないのに対して、押出工程では閉位置にあり、塩水W3の流通を妨げる。そのため、原水導入部51から装置1に導入される原水W1は、原水ラインL11、バイパスバルブ32の第1流路L1及び第2流路L2、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111及び第2孔3112、軟水ラインL23、希釈水ラインL31、ストレーナ34、希釈水ラインL32、エゼクタ33、塩水ラインL44、軟水ラインL21を介して、圧力タンク2の頂部に配置された頂部スクリーン241から配水され、圧力タンク2の内部を下降流で通過する。その過程において、原水W1は、先行して供給された塩水W3を押し出しながら、引き続き、イオン交換樹脂床211を再生する。使用済みの塩水W3及び原水W1は、圧力タンク2の底部に配置された底部スクリーン242で集水され、圧力タンク2の集配液管231内を上昇して、流路切換バルブ31の第4孔3114、排水ラインL51、ドレンバルブ36、排水ラインL52、排水ラインL54を順次流れて系外に排水される。この押出工程は、所定時間実行され、所定量の原水W1を供給して塩水W3を押し出すことにより完了する。
【0050】
尚、軟水ラインL23を流れる原水W1は、希釈水ラインL31へ流れる一方、軟水ラインL24へも流れる。そのため、塩水W3を押し出すのに過剰な原水W1は、軟水ラインL24から、バイパスバルブ32の第3流路L3及び第4流路L4、軟水ラインL25、軟水導出部52を順次流れて、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
【0051】
〔リンス工程〕
図11に示すように、リンス工程では、コントロールバルブ3において、流路切換バルブ31は第3の状態にあり、ブラインバルブ35は閉位置にあり、ドレンバルブ36は開位置にある。そのため、原水導入部51から装置1に導入される原水W1は、原水ラインL11、バイパスバルブ32の第1流路L1及び第2流路L2、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111及び第2孔3112を通り、この第2孔3112から、一方では、軟水ラインL23、希釈水ラインL31、ストレーナ34、希釈水ラインL32、エゼクタ33、塩水ラインL44を通る流れとなり、他方では、流路切換バルブ31の第3孔3113、軟水ラインL22を通る流れとなる。この両方の流れは、軟水ラインL21において合流して1つの流れとなって、圧力タンク2の頂部に配置された頂部スクリーン241から配水され、圧力タンク2の内部を下降流で通過する。その過程において、原水W1は、イオン交換樹脂床211の内部に残留する塩水W3を洗い流しながら、イオン交換樹脂床211をリンスする。使用済みの原水W1は、圧力タンク2の底部に配置された底部スクリーン242で集水され、圧力タンク2の集配液管231内を上昇して、流路切換バルブ31の第4孔3114、排水ラインL51、ドレンバルブ36、排水ラインL52、排水ラインL54を順次流れて系外に排水される。このリンス工程は、所定時間実行され、所定量の原水W1を供給することにより完了する。
【0052】
このように、リンス工程では、押出工程の場合に原水W1が流れる流路切換バルブ31の第2孔3112から軟水ラインL23、希釈水ラインL31、ストレーナ34、希釈水ラインL32、エゼクタ33、塩水ラインL44を通る流れとは別に、流路切換バルブ31の第3孔3113、軟水ラインL22を通る流れは、作られる。この両方の流れは、軟水ラインL21において合流して1つの流れとなって、圧力タンク2に供給される。従って、圧力タンク2への単位時間当たりの原水供給量は、押出工程の場合よりも大きくなる。このため、イオン交換樹脂床211の内部に残留する塩水W3は、速やかに洗い流される。
【0053】
このリンス工程の場合も、軟水ラインL23を流れる原水W1は、希釈水ラインL31へ流れる一方、軟水ラインL24へも流れる。そのため、過剰な原水W1は、軟水ラインL24から、バイパスバルブ32の第3流路L3及び第4流路L4、軟水ラインL25、軟水導出部52を順次流れて、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
【0054】
上述した本実施形態の硬水軟化装置1によれば、例えば、以下のような様々な効果が奏される。
本実施形態の硬水軟化装置1は、原水W1を導入することにより軟水W2を製造するイオン交換樹脂床211が収容される圧力タンク2と、イオン交換樹脂床211を再生する塩水W3が貯留される塩水タンク4と、圧力タンク2及び塩水タンク4を支持する基部61と、を備え、基部61は、圧力タンク2を差し込む圧力タンク用差込部611及び塩水タンク4を差し込む塩水タンク用差込部612を有する。
【0055】
そのため、製造工場や据付現場で装置1を組み立てる際に、圧力タンク2は、基部61の圧力タンク用差込部611に差し込むことによって、安定した姿勢を保ちながら圧力タンク用差込部611により保持される。塩水タンク4は、基部61の塩水タンク用差込部612に差し込むことよって、安定した姿勢を保ちながら塩水タンク用差込部612により保持される。従って、製造工場や据付現場で装置1を組み立てる際に、ボルトを用いて固定することなく、圧力タンク2及び塩水タンク4を装置1の基部61に安定して保持することができる。なお、装置1の構造によっては、製造工場や据付現場で装置1を組み立てる際にボルトを用いてもよい。
【0056】
また、圧力タンク用差込部611は、圧力タンク用差込部611に差し込まれる部分の圧力タンク2の形状の少なくとも一部に対応する形状を有し、塩水タンク用差込部612は、塩水タンク用差込部612に差し込まれる部分の塩水タンク4の形状の少なくとも一部に対応する形状を有し、基部61は、圧力タンク用差込部611及び塩水タンク用差込部612を有する樹脂成形品である。具体的には、圧力タンク用差込部611は、円筒状の枠部材6111と、枠部材6111の内側に配置される複数の互いに直交する桁部材6112とを有し、枠部材6111及び桁部材6112の上面が圧力タンク2の丸みを帯びた形状の底部に対応するように構成される。塩水タンク用差込部612は、角筒部材6122を有し、角筒部材6122の上縁部6123が塩水タンク4の段部413を支持する。そのため、樹脂成形品である基部61は、比較的容易に、且つ低コストで製造することができる。また、圧力タンク2の底部が丸みを帯びた形状以外の任意の形状であっても、合成樹脂製の圧力タンク用差込部611は、圧力タンク2の底部の形状に応じてそれに対応する形状に作ることができる。塩水タンク用差込部612も同様に、塩水タンク4の任意の形状に応じてそれに対応する形状に作ることができる。
【0057】
また、圧力タンク2は、圧力タンク用差込部611に差し込まれることによって、基部61上に位置決めされて支持され、塩水タンク4は、塩水タンク用差込部612に差し込まれることによって、基部61上に位置決めされて支持される。そのため、製造工場や据付現場で装置1を組み立てる際に、圧力タンク2及び塩水タンク4をただ単に基部61の圧力タンク用差込部611及び塩水タンク用差込部612に差し込むだけで、ボルトを用いて固定する場合に比べて遜色のない圧力タンク2及び塩水タンク4の位置決めすることができる。
【0058】
また、硬水軟化装置1は、原水導入部51及び軟水導出部52を有する配管部5と、圧力タンク2、塩水タンク4及び配管部5を収容する筐体6と、をさらに備え、塩水タンク4の上部には、塩水の原料である塩を投入する塩投入口412が設けられ、筐体6は、圧力タンク2及び塩水タンク4の前面、背面及び上面を覆う筐体中央部62と、筐体中央部62の左側及び右側をそれぞれ覆う筐体左部63及び筐体右部64とによって構成され、筐体中央部62は、上面に開口6232を有し、開口6232と塩水タンク4の塩投入口412とが対応する位置において、基部61上に位置決めされて据え付けられ、圧力タンク2には、所要高さにコントロールバルブ3が付設され、コントロールバルブ3には、配管部5の原水導入部51からコントロールバルブ3に至る原水ラインL11、及びコントロールバルブ3から配管部5の軟水導出部52に至る軟水ラインL25が接続され、塩水タンク4の前後方向又は左右方向への過度な動きは、塩水タンク4の塩投入口412と対応する位置に開口6232を有する筐体中央部62によって規制され、圧力タンク2の前後方向への過度な動きは、筐体中央部62の前面部材621又は背面部材622によって規制され、圧力タンク2の左右方向への過度な動きは、原水ラインL11及び軟水ラインL25に接続されたコントロールバルブ3によって規制される。そのため、塩水タンク4は、基部61上に据え付けられた筐体中央部62によって、前後方向及び左右方向に上下方向を含めてあらゆる方向への過度な動きを規制され、それにより、塩水タンク4の耐震性は確保される。また、圧力タンク2は、基部61上に据え付けられた筐体中央部62によって前後方向への過度な動きを規制される他、配管部5を介して据付現場の給水配管に接続されるコントロールバルブ3によって左右方向及び上下方向への過度な動きを規制され、それにより、圧力タンク2の耐震性は確保される。
【0059】
また、筐体左部63及び筐体右部64は、基部61上に位置決めされて据え付けられた筐体中央部62に対してそれぞれ着脱可能に固定される。そのため、筐体左部63及び筐体右部64が筐体中央部62に装着されることによって、筐体6の強度を一層増すことができ、それにより、装置1全体の耐震性は確保される。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 硬水軟化装置(イオン交換装置)
2 圧力タンク
3 コントロールバルブ(流路制御バルブユニット)
4 塩水タンク(再生液タンク)
412 塩投入口(原料投入口)
5 配管部
51 原水導入部
52 軟水導出部(処理水導出部)
6 筐体
61 基部
611 圧力タンク用差込部
612 塩水タンク用差込部(再生液タンク用差込部)
62 筐体中央部
6232 開口
63 筐体左部
64 筐体右部
L11 原水ライン(入口管路)
L25 軟水ライン(出口管路)
図1
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