(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
交流電源の周波数偏差に応じて、前記交流電源と連系する電力変換部が出力すべき進相無効電力または遅相無効電力である第1無効電力の変化量を導出する第1無効電力変化量導出部と、
前記電力変換部と前記交流電源との連系点の電圧の上昇を抑制するために前記電力変換部から出力すべき進相無効電力である第2無効電力の変化量を導出する第2無効電力変化量導出部と、
前記第2無効電力の変化量によって前記第1無効電力の変化量が干渉される場合、前記電力変換部と前記交流電源との間に設けられた位相差変化部を制御して、前記電力変換部から出力される電圧と電流との間の位相差を、前記第2無効電力の変化量によって前記第1無効電力の変化量が干渉しない方向に変化させる位相差制御部と
を備える制御装置。
前記位相差制御部は、前記第1無効電力の変化量が、前記第1無効電力が増加する方向に変化する進相無効電力の変化量で、かつ前記第2無効電力の変化量が負の値である場合、前記位相差変化部を制御して、前記電力変換部から出力される電圧と電流との間の位相差を、前記第2無効電力の変化量によって前記第1無効電力の変化量が干渉しない方向に変化させる、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の制御装置。
前記位相差制御部は、前記第1無効電力が遅相無効電力で、かつ前記第2無効電力の変化量が正の値である場合、前記位相差変化部を制御して、前記電力変換部から出力される電圧と電流との間の位相差を、前記第2無効電力の変化量によって前記第1無効電力の変化量が干渉しない方向に変化させる、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、本実施形態に係る電源システム全体のシステム構成の一例を示す図である。電源システムは、太陽電池アレイ200、パワーコンディショナ10、および位相差変化部80を備える。パワーコンディショナ10は、電力変換装置の一例である。太陽電池アレイ200は、直列または並列に接続された複数の太陽電池モジュールを有する。太陽電池アレイ200は、直流電源の一例である。太陽電池アレイ200は、単一の太陽電池、太陽電池を直列および並列に接続した太陽電池モジュールなどでもよい。直流電源として、太陽電池アレイ200以外の分散型電源を用いてもよい。分散型電源は、ガスエンジン、ガスタービン、マイクロガスタービン、燃料電池、風力発電装置、電気自動車、または蓄電システムでもよい。
【0017】
パワーコンディショナ10は、太陽電池アレイ200からの直流電圧を交流電圧に変換して系統電源300と連系する。系統電源300は、交流電源の一例であり、例えば、単相3線式電源でよい。系統電源300は、三相電源でもよい。
【0018】
位相差変化部80は、パワーコンディショナ10と系統電源300との間に設けられる。位相差変化部80は、負荷部82およびスイッチ84を備える。位相差変化部80は、制御装置100からの指示に応じて、スイッチ84をオンして、パワーコンディショナ10からの電力を負荷部82に供給する。パワーコンディショナ10からの電力が負荷部82に供給されることで、パワーコンディショナ10から出力される電圧と電流との間の位相差が変化する。パワーコンディショナ10が位相差変化部80を備えてもよい。
【0019】
パワーコンディショナ10は、制御装置100および電力変換部101を備える。電力変換部101は、太陽電池アレイ200から出力される直流電圧を系統電源300から出力される交流電圧である系統交流電圧に位相同期した交流電圧に変換して出力する。制御装置100は、電力変換部101を制御する。電力変換部101は、コンデンサC1、昇圧回路20、コンデンサC2、インバータ30、フィルタ回路40およびリレー50を備える。
【0020】
コンデンサC1の一端は、太陽電池アレイ200の正極に電気的に接続される。コンデンサC1の他端は、太陽電池アレイ200の負極に電気的に接続される。コンデンサC1は、太陽電池アレイ200から出力される直流電圧に含まれるノイズを低減するノイズ低減回路の一例である。言い換えれば、コンデンサC1は、太陽電池アレイ200から出力される直流電圧を平滑化する平滑化フィルタの一例である。
【0021】
昇圧回路20は、コンデンサC1によりノイズが低減された直流電圧を昇圧して出力する。昇圧回路20は、非絶縁型の昇圧回路の一例である。昇圧回路20は、いわゆるチョッパ方式スイッチングレギュレータでよい。昇圧回路20は、例えば、ハーフブリッジ型昇圧回路、フルブリッジ型昇圧回路などのトランス巻線を有する絶縁型の昇圧回路により構成してもよい。
【0022】
コンデンサC2は、昇圧回路20から出力される直流電圧を平滑化する。言い換えれば、コンデンサC2は、昇圧回路20から出力される直流電圧に含まれるノイズを低減する。
【0023】
インバータ30は、スイッチを含み、スイッチがオンオフすることで昇圧回路20から出力された直流電圧を交流電圧に変換し、系統電源300側に出力する。インバータ30は、太陽電池アレイ200からの電力を系統電源300からの電力と連系させる。
【0024】
インバータ30は、例えば、ブリッジ接続された4つの半導体スイッチを含む単相フルブリッジPWMインバータにより構成してもよい。4つの半導体スイッチのうち、一方の一対の半導体スイッチは直列に接続される。4つの半導体スイッチのうち、他方の一対の半導体スイッチは、直列に接続され、かつ一方の一対の半導体スイッチと並列に接続される。
【0025】
フィルタ回路40は、インバータ30から出力された交流電圧に含まれるノイズを低減する。フィルタ回路40は、一対のコイルLおよびコンデンサC3を含む。一対のコイルLのそれぞれの一端は、インバータ30の出力端に接続される。一対のコイルLのそれぞれの他端は、コンデンサC3の一端および他端に接続される。
【0026】
リレー50は、フィルタ回路40より系統電源300側に設けられる。リレー50は、インバータ30と系統電源300との間を電気的に遮断するか否かを切り替える。リレー50がオンすることで、パワーコンディショナ10と系統電源300とが電気的に接続され、オフすることでパワーコンディショナ10と系統電源300とが電気的に遮断される。
【0027】
パワーコンディショナ10は、出力端子52、および出力端子54をさらに備える。出力端子52および出力端子54は、電力変換部101と系統電源300との連系点の一例である。
【0028】
パワーコンディショナ10は、電圧センサ60、62、64、電流センサ70、72および74をさらに備える。電圧センサ60は、太陽電池アレイ200の両端の電位差に対応する電圧V1を検知する。電圧センサ62は、昇圧回路20の出力側の両端の電位差に対応する電圧V2を検知する。電圧センサ64は、連系点の電圧として、出力端子52と出力端子54との間の電位差に対応する電圧V3を検知する。
【0029】
電流センサ70は、太陽電池アレイ200から出力され、昇圧回路20の入力側に流れる電流I1を検知する。電流センサ72は、昇圧回路20から出力される電流I2を検知する。電流センサ74は、インバータ30から出力される電流I3を検知する。
【0030】
制御装置100は、電圧V1,V2,V3および電流I1,I2,I3などに基づいて昇圧回路20の昇圧動作およびインバータ30の直流交流変換動作を制御する。制御装置100は、太陽電池アレイ200から最大電力が得られるように、電圧センサ60,62,64により検知される電圧、並びに電流センサ70,72,74により検知される電流に基づいて、昇圧回路20、およびインバータ30のスイッチング動作を制御して、太陽電池アレイ200から出力される直流電圧を昇圧し、昇圧された直流電圧を交流電圧に変換して、系統電源300側に出力する。
【0031】
以上のように構成されたパワーコンディショナ10は、系統電源300が停止した場合には、リレー50をオフして、パワーコンディショナ10と系統電源300とを電気的に遮断しなければならない。また、パワーコンディショナ10は、パワーコンディショナ10と系統電源300との連系点の電圧が上限電圧以上にならないように、パワーコンディショナ10が出力する電圧を制御しなければならない。
【0032】
制御装置100は、インバータ30から出力される電流の位相と、電圧の位相との間の位相差、およびインバータ30から出力される電流の振幅を調整することで、系統電源300側に進相無効電力または遅相無効電力である所望の無効電力を供給する。制御装置100は、連系点の電圧に対応するパワーコンディショナ10の出力電圧の周波数変動を検知することで、系統電源300が停止している、つまりパワーコンディショナ10が単独運転していることを検知する。
【0033】
また、制御装置100は、パワーコンディショナ10から出力される電圧が上限電圧以上になった場合に、インバータ30から出力される電流の位相と、電圧の位相との間の位相差、およびインバータ30から出力される電流の振幅を調整することで、系統電源300側に供給している進相無効電力を増加させる。進相無効電力を増加させることで、系統電源300側から流入する電流が遅れ電流となり、配電線路インピーダンスの作用によりパワーコンディショナ10と系統電源300との連系点の電圧が低下する。これに伴い、制御装置100は、パワーコンディショナ10から出力される電圧が上限電圧より小さくなるように制御できる。
【0034】
ここで、制御装置100は、系統電源300の周波数偏差の大きさに応じた無効電力を系統電源300側に供給して、パワーコンディショナ10の出力電圧の周波数変動に基づいて単独運転を検出することがある。系統電源300の周波数偏差が大きくなるほど、系統電源300側に供給される無効電力の変動が増大する。系統電源300が停止している場合、パワーコンディショナ10の出力電圧の周波数偏差は大きくなる。また、無効電力の変化が大きいほど、系統電源300が停止しているときの無効電力の周波数変動は検知しやすくなる。
【0035】
しかし、制御装置100が、単独運転を検出すべく系統電源300側に供給する無効電力を変化させようとしている間に、パワーコンディショナ10から出力される電圧が上限電圧以上になったことに対応して、無効電力を増大させようとする場合がある。この場合、増大させようとした無効電力により、周波数変動に基づく無効電力の変化がキャンセルされ、パワーコンディショナ10の出力電圧の周波数変動が検知されにくくなる可能性がある。
【0036】
そこで、本実施形態に係る制御装置100は、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量により、単独運転の検出のために導出された無効電力の変化量が干渉される場合、位相差変化部80を制御して、電力変換部101から出力される電圧と電流との間の位相差を、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量によって単独運転の検出のために導出された無効電力の変化量が干渉しない方向に変化させる。
【0037】
制御装置100は、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量により、単独運転の検出のために導出された無効電力の変化量が干渉される場合、位相差変化部80のスイッチ84をオンして、電力変換部101から出力される電力を負荷部82に供給する。電力変換部101から出力される電力が負荷部82に供給されることで、電力変換部101から出力される電圧と電流との間の位相差が変化する。
【0038】
負荷部82は、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量に対応する位相差を相殺する方向に、電力変換部101から出力される電圧と電流との間の位相差を変化させる。
【0039】
負荷部82における電力消費量によって、電力変換部101から出力される電圧と電流との間の位相差の変化量は変化する。負荷部82は、例えば、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量に応じて電力消費量を変化させてよい。
【0040】
電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量により、単独運転の検出のために導出された無効電力の変化量が干渉される場合、制御装置100が、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量に応じた電力消費量を導出して、導出された電力消費量を位相差変化部80に提供してよい。制御装置100は、無効電力の変化量と電力消費量とを対応付けたテーブルを保持してよい。そして、制御装置100は、テーブルを参照して、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量に対応する電力消費量を特定することで、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量に応じた電力消費量を導出してよい。制御装置100は、制御装置100は、無効電力の変化量と電力消費量との関係を示す関数を用いて、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量に応じた電力消費量を導出してよい。位相差変化部80の負荷部82は、提供された電力消費量に応じて、電力変換部101から出力される電力を消費してよい。
【0041】
また、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量により、単独運転の検出のために導出された無効電力の変化量が干渉される場合、制御装置100が、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量を、位相差変化部80に提供してよい。位相差変化部80の負荷部82は、提供された無効電力の変化量に応じて、消費すべき電力量を導出し、導出された電力量に応じて電力変換部101から出力される電力を消費してよい。
【0042】
このように、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量により、単独運転の検出のために導出された無効電力の変化量が干渉される場合、位相差変化部80において、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量により、単独運転の検出のために導出された無効電力の変化量が抑制されないようにする。これにより電圧上昇の抑制のために導出された無効電力により、単独運転の検出のために導出された無効電力の変化がキャンセルされにくくなる。よって、パワーコンディショナ10の出力電圧の周波数変動に基づく単独運転の検出をより確実に行うことができる。
【0043】
図2は、本実施形態に係る制御装置100の機能ブロックの一例を示す。制御装置100は、周波数計測部102、移動平均値導出部104、周波数偏差導出部106、第1無効電力変化量導出部108、単独運転検出部110、第2無効電力変化量導出部112、出力電圧取得部114、目標無効電力導出部116、目標有効電力導出部118、リレー制御部120、PWM制御部130、および位相差制御部140を備える。なお、制御装置100は、モジュール化することで、パワーコンディショナ10の外部に設けられてもよい。この場合、制御装置100は、パワーコンディショナ10に設けられた制御部と通信し、パワーコンディショナ10に設けられた制御部に対してパワーコンディショナ10の出力を制御するための制御信号を出力してもよい。
【0044】
周波数計測部102は、電圧センサ64を介して系統電源300の電圧を取得し、取得した電圧から系統電源300の周波数を示す系統周波数を計測する。周波数計測部102は、例えば、電圧センサ64から検出される電圧信号の立ち下がりと立ち上がりの中間値と、次の立ち下がりと立ち上がりの中間値との時間差を一周期として計測する。系統電源300の系統周期が50Hz(1系統周期が20m秒)である場合、系統周期の計測周期は、系統周期の1/3以下、例えば、5m秒でもよい。
【0045】
移動平均値導出部104は、周波数計測部102により計測された系統周期に基づいて、予め定められた移動平均時間分の系統周期の移動平均値を順次導出する。移動平均時間は、系統周期の一周期、例えば20m秒よりも長く、かつ単独運転状態になってから単独運転状態が検出されるまでに許容されている時間以下でもよい。移動平均時間は、例えば100m秒よりも短い時間でもよく、移動平均時間は、例えば40m秒でもよい。
【0046】
周波数偏差導出部106は、移動平均値導出部104により導出された最新の移動平均値と、最新の移動平均値より過去の移動平均値、例えば、移動平均値導出部104が最新の移動平均値を導出するのに用いた最新の系統周期の終点から予め定められた時間(例えば200m秒)前に移動平均値導出部104により導出された過去の移動平均値との差分を周波数偏差として導出する。周波数偏差導出部106は、系統周期の計測周期と同一の周期ごと、例えば5m秒ごとに周波数偏差を導出してもよい。
【0047】
第1無効電力変化量導出部108は、系統電源300の周波数偏差に基づき今回の無効電力q1を導出し、前回の無効電力q1と今回の無効電力q1との差分を示す無効電力q1の変化量Δq1を導出する。第1無効電力変化量導出部108は、系統電源300の周波数偏差に比例して無効電力q1が多くなるように、無効電力q1の変化量Δq1を導出してよい。第1無効電力変化量導出部108は、例えば、
図3に示すような無効電力q1−周波数偏差特性を参照して、周波数偏差に対応する今回の無効電力q1を導出することで、変化量Δq1を導出してもよい。
【0048】
第1無効電力変化量導出部108は、系統電源300の周波数偏差が正の場合には、パワーコンディショナ10に系統周波数に対して位相が進んでいる電流を出力させる進相無効電力である今回の無効電力q1を導出する。一方、第1無効電力変化量導出部108は、系統電源300の周波数偏差が負の場合には、パワーコンディショナ10に系統周波数に対して位相が遅れている電流を出力させる遅相無効電力である今回の無効電力q1を導出する。なお、第1無効電力変化量導出部108が導出する変化量Δq1は、単位時間あたりの無効電力q1の変化量、つまり時間軸をX軸、無効電力q1の変化量をY軸とした場合の傾きを示してもよい。第1無効電力変化量導出部108が導出する変化量Δq1は、無効電力q1を変化させる速度を示してもよい。
【0049】
単独運転検出部110は、連系点における電圧に対応するパワーコンディショナ10の出力電圧の周波数変動に基づいて、系統電源300と連系するパワーコンディショナ10の単独運転を検出する。単独運転検出部110は、系統電源300が正常に動作している場合には、無効電力の変動に基づく電圧の周波数変動を検出しない。一方、系統電源300が停止している場合など異常が発生している場合には、単独運転検出部110は、無効電力の変動に基づく電圧の周波数変動を検出することで、パワーコンディショナ10の単独運転を検出する。
【0050】
リレー制御部120は、単独運転検出部110がパワーコンディショナ10の単独運転を検出した場合に、リレー50をオフして、パワーコンディショナ10と系統電源300との間を電気的に遮断する。
【0051】
出力電圧取得部114は、電圧センサ64により検出される連系点の電圧に対応するパワーコンディショナ10の出力電圧である電圧V3を検知する。第2無効電力変化量導出部112は、検知された電圧V3が、予め定められた上限電圧Vth以上か否かを判定する。第2無効電力変化量導出部112は、検知された電圧V3が上限電圧Vth以上の場合には、系統電源300側に供給すべき進相無効電力を増加させてパワーコンディショナ10の出力電圧の上昇を抑制すべく、今回の無効電力q2を導出し、前回の無効電力q2と今回の無効電力q2との差分を示す無効電力q2の変化量Δq2を導出する。なお、第2無効電力変化量導出部112が導出する変化量Δq2は、単位時間あたりの無効電力q2の変化量、つまり時間軸をX軸、無効電力q2の変化量をY軸とした場合の傾きを示してもよい。第2無効電力変化量導出部112が導出する変化量Δq2は、無効電力q2を変化させる速度を示してもよい。
【0052】
目標無効電力導出部116は、前回の目標無効電力Qc、第1無効電力変化量導出部108により導出された無効電力q1の変化量Δq1、および第2無効電力変化量導出部112により導出された無効電力q2の変化量Δq2を用いて、今回の目標無効電力Qtを導出する。目標無効電力導出部116は、前回の目標無効電力Qc、変化量Δq1および変化量Δq2を加算することで、今回の目標無効電力Qtを導出してもよい。目標無効電力導出部116は、導出された今回の目標無効電力QtをPWM制御部130に提供する。なお、目標無効電力導出部116は、無効電力q1の変化量Δq1および無効電力q2の変化量Δq2の代わりに、前回および今回の無効電力q1と前回および今回の無効電力q2とを第1無効電力変化量導出部108および第2無効電力変化量導出部112から取得し、前回および今回の無効電力q1と前回および今回の無効電力q2とを用いて今回の目標無効電力Qtを導出してもよい。
【0053】
目標有効電力導出部118は、パワーコンディショナ10から出力すべき目標有効電力Pを導出する。目標有効電力導出部118は、例えば、パワーコンディショナ10から最大または極大となる出力が得られるように、目標有効電力Pを導出する。目標有効電力導出部118は、導出された目標有効電力PをPWM制御部130に提供する。
【0054】
PWM制御部130は、目標有効電力Pに基づいて太陽電池アレイ200から最大または極大の有効電力が得られるようにインバータ30をPWM制御する。また、PWM制御部130は、目標無効電力導出部116から提供される今回の目標無効電力Qtに基づいて、インバータ30から出力される電流の位相と電圧の位相との間の位相差を調整することで、系統電源300側に供給する無効電力を制御する。
【0055】
位相差制御部140は、第2無効電力変化量導出部112によって導出された第2無効電力の変化量によって第1無効電力変化量導出部108によって導出された第1無効電力の変化量が干渉される場合、電力変換部101と系統電源300との間に設けられた位相差変化部80を制御して、電力変換部101から出力される電圧と電流との間の位相差を、第2無効電力の変化量によって第1無効電力の変化量が干渉しない方向に変化させる。
【0056】
位相差制御部140は、位相差変化部80によって、第2無効電力の変化量に対応する位相差を相殺する方向に、電力変換部101から出力される電圧と電流との間の位相差を変化させる。位相差制御部140は、例えば、第2無効電力の変化量に応じて負荷部82で消費させる電力消費量を変化させてよい。
【0057】
図4は、制御装置100により実行される電圧上昇の抑制制御の手順の一例を示すフローチャートである。制御装置100は、
図4に示す手順を定期的に実行する。出力電圧取得部114が電圧センサ64を介して連系点の電圧に対応するパワーコンディショナ10の出力電圧である電圧V3を取得する(S100)。第2無効電力変化量導出部112は、電圧V3が上限電圧、例えば107V以上か否かを判定する(S102)。電圧V3が上限電圧以上の場合、第2無効電力変化量導出部112は、力率が下限閾値、例えば0.85より大きいかどうかどうかを判定する。
【0058】
力率が下限閾値より大きい場合には、第2無効電力変化量導出部112は、進相無効電力が増加するように、無効電力q2の変化量Δq2を導出する(S106)。一方、力率が下限閾値以下の場合には、有効電力を減少させるように、目標有効電力導出部118が目標有効電力Pを導出する(S108)。
【0059】
電圧V3が上限電圧より小さい場合、目標有効電力導出部118は、現在の有効電力が抑制されているか否かを判定する(S110)。つまり、目標有効電力導出部118は、例えば、現在の有効電力が最大または極大であるか否かを判定する。最大または極大ではない場合には、目標有効電力導出部118は、有効電力が最大または極大になるように目標有効電力Pを導出する(S112)。
【0060】
現在の有効電力が抑制されていない場合、つまり目標有効電力導出部118が、現在の有効電力が最大または極大であると判定した場合、第2無効電力変化量導出部112は、現在の無効電力q2が0か否かを判定する(S114)。無効電力q2が0ではない場合、第2無効電力変化量導出部112は、進相無効電力である無効電力q2が減少するように、無効電力q2の変化量Δq2を導出する(S116)。
【0061】
制御装置100は、以上の処理を繰り返すことで、連系点の電圧が上限電圧より大きくならないようにパワーコンディショナ10の出力を制御している。
【0062】
図5は、
図4に示すフローチャートに沿って制御装置100が電圧上昇の抑制制御を実行した場合の電圧V3、力率、無効電力q2、および有効電力Pの時間変化の様子の一例を示す図である。
【0063】
区間1において、連系点の電圧の上昇に伴い電圧V3が上昇し、有効電力Pも上昇していく。区間1において、力率は1であり、無効電力q2はゼロである。電圧V3が上限電圧に達した時点で、区間2に移行し、区間2において、力率が下限閾値である0.85になるまで、進相無効電力である無効電力q2が増加していく。力率が0.85に達した時点で、区間3に移行する。電圧V3がまだ上限電圧を超えている場合には、区間3において、有効電力Pが減少していく。電圧V3が上限電圧より小さくなった時点で、区間4に移行する。区間4において、有効電力Pは、最大または極大となるまで増加する。有効電力Pの抑制がなくなった時点で、区間5に移行し、区間5において、進相無効電力q2が減少していき、力率が1に戻る。
【0064】
以上の処理の過程において、第1無効電力変化量導出部108が、系統電源300の周波数偏差に応じて、進相無効電力または遅相無効電力である無効電力q1の変化量Δq1を導出する場合がある。例えば、区間2において、第1無効電力変化量導出部108が、無効電力q1の変化量Δq1として遅延無効電力の変化量Δq1を導出した場合、第2無効電力変化量導出部112によって導出される無効電力q2は、進相無効電力であるので、無効電力q1の変化量Δq1と無効電力q2の変化量Δq2とは干渉してしまう。
【0065】
上記のような無効電力q1の変化量Δq1、無効電力q2の変化量Δq2および前回の目標無効電力Qcを用いて、例えば式:Qt=Qc+Δq1+Δq2により、目標無効電力導出部116が、今回の目標無効電力Qtを導出する場合、無効電力q2の変化量Δq2により無効電力q1の変化量Δq1が干渉されてしまう可能性がある。無効電力q2の変化量Δq2により無効電力q1の変化量Δq1が干渉されると、パワーコンディショナ10が単独運転している場合でも、単独運転検出部110は、パワーコンディショナ10が出力する無効電力により系統電源300の周波数変動を検出できない可能性がある。
【0066】
区間3および区間5に示すように、進相無効電力である無効電力q2が減少する方向に変化している場合に、第1無効電力変化量導出部108が、系統電源300の周波数偏差に応じて、無効電力q1の変化量Δq1として進相無効電力の変化量Δq1を導出した場合にも、無効電力q1の変化量Δq1と無効電力q2の変化量Δq2とは干渉してしまう。
【0067】
なお、区間2および区間4に示すように、進相無効電力である無効電力q2が増加する方向に変化している場合に、第1無効電力変化量導出部108が、無効電力q1の変化量Δq1として進相無効電力の変化量を導出した場合には、無効電力q1の変化量Δq1と無効電力q2の変化量Δq2とは干渉しない。また、区間3および区間5に示すように、進相無効電力である無効電力q2が減少する方向に変化している場合に、第1無効電力変化量導出部108が、無効電力q1の変化量Δq1として遅相無効電力の変化量を導出した場合にも、無効電力q1の変化量Δq1と無効電力q2の変化量Δq2とは干渉しない。
【0068】
以上の通り、無効電力q1の変化量Δq1および無効電力q2の変化量Δq2の値によっては、無効電力q1の変化量Δq1および無効電力q2の変化量Δq2から導出される目標無効電力Qtに基づきパワーコンディショナ10が出力する無効電力によって、正常にパワーコンディショナ10の単独運転が検出されない場合がある。
【0069】
そこで、本実施形態に係る制御装置100によれば、第2無効電力変化量導出部112によって導出された第2無効電力の変化量によって第1無効電力変化量導出部108によって導出された第1無効電力の変化量が干渉される場合、電力変換部101と系統電源300との間に設けられた位相差変化部80を制御して、電力変換部101から出力される電圧と電流との間の位相差を、第2無効電力の変化量によって第1無効電力の変化量が干渉しない方向に変化させる。
【0070】
図6は、位相差制御部140により実行される無効電力の干渉抑制に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。位相差制御部140は、
図6に示す処理手順を、第1無効電力変化量導出部108および第2無効電力変化量導出部112が無効電力q1の変化量Δq1および無効電力q2の変化量Δq2を導出する毎に実行してよい。
【0071】
位相差制御部140は、第1無効電力変化量導出部108により単独運転検出のために導出された無効電力q1の変化量Δq1および第2無効電力変化量導出部112により電圧上昇抑制のために導出された無効電力q2の変化量Δq2を取得する(S200)。
【0072】
位相差制御部140は、無効電力q1の変化量Δq1がゼロか否かを判定する(S202)。無効電力q1の変化量Δq1がゼロであれば、無効電力q1の変化量Δq1と無効電力q2の変化量Δq2とは干渉しないので、位相差制御部140は、処理を終了する。
【0073】
無効電力q1の変化量Δq1がゼロでない場合、位相差制御部140は、無効電力q2の変化量Δq2がゼロか否かを判定する(S204)。無効電力q2の変化量Δq2がゼロであれば、無効電力q1の変化量Δq1と無効電力q2の変化量Δq2とは干渉しないので、位相差制御部140は、処理を終了する。
【0074】
無効電力q1の変化量Δq1および無効電力q2の変化量Δq2がともにゼロでない場合、位相差制御部140は、無効電力q1が進相無効電力か否かを判定する(S206)。無効電力q1が進相無効電力ではない場合、つまり、無効電力q1が遅相無効電力である場合、位相差制御部140は、無効電力q2の変化量Δq2がゼロより小さいか否かを判定する(S208)。位相差制御部140は、無効電力q2の変化量Δq2が負の値か否か、つまり、位相差制御部140は、無効電力q2の変化量Δq2が、無効電力q2が減少する方向に変化する値であるか否かを判定する。
【0075】
無効電力q2の変化量Δq2がゼロより小さくなければ、位相差制御部140は、位相差変化部80を作動させる(S210)。位相差制御部140は、位相差変化部80によって、無効電力q2の変化量Δq2に対応する位相差を相殺する方向に、電力変換部101から出力される電圧と電流との間の位相差を変化させる。位相差制御部140は、例えば、無効電力q2の変化量Δq2に応じて負荷部82で消費させる電力消費量を変化させる。無効電力q1が遅相無効電力で、かつ無効電力q2の変化量Δq2が正の値であれば、つまり、無効電力q2の変化量Δq2が、無効電力q2が増加する方向に変化する値であれば、位相差制御部140は、位相差変化部80を作動させる。
【0076】
無効電力q1が遅相無効電力で、かつ無効電力q2の変化量Δq2がゼロより小さければ、無効電力q1の変化量Δq1と無効電力q2の変化量Δq2とは干渉しないので、位相差制御部140は、処理を終了する。
【0077】
無効電力q1が進相無効電力の場合、位相差制御部140は、無効電力q2の変化量Δq2がゼロより小さいか否かを判定する(S212)。無効電力q2の変化量Δq2がゼロより小さい場合、無効電力q2の変化量Δq2がゼロより小さくなければ、位相差制御部140は、位相差変化部80を作動させる(S210)。無効電力q1が進相無効電力で、かつ無効電力q2の変化量Δq2が負の値を示す場合、位相差制御部140は、位相差変化部80を作動させる。
【0078】
無効電力q1が進相無効電力で、かつ無効電力q2の変化量Δq2がゼロより大きければ、無効電力q1の変化量Δq1と無効電力q2の変化量Δq2とは干渉しないので、位相差制御部140は、処理を終了する。
【0079】
以上の通り、本実施形態に係る電源システムによれば、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力q2の変化量Δq2により、単独運転の検出のために導出された無効電力q1の変化量Δq1が干渉される場合、位相差変化部80において、パワーコンディショナ10から出力される電力を消費することで、無効電力q2の変化量Δq2により、無効電力q1の変化量Δq1が抑制されないようにする。これにより電圧上昇の抑制のために導出された無効電力により、単独運転の検出のために導出された無効電力の変化がキャンセルされにくくなる。よって、パワーコンディショナ10の出力電圧の周波数変動に基づく単独運転の検出をより確実に行うことができる。
【0080】
なお、上記の実施形態では、位相差変化部80は、電力変換部101から出力される電圧と電流との位相差を変化させるための手段として、負荷部82により電力変換部101から出力される電力を消費させる例について説明した。しかし、電力変換部101から出力される電圧と電流との位相差を変化させるための手段は、負荷を有する負荷部82には限定されない。例えば、位相差変化部80は、電力変換部101から出力される電圧と電流との位相差を変化させるための手段として、電力変換部101から出力される電力を蓄電する二次電池などの蓄電部を有してもよい。位相差変化部80は、電力変換部101から出力される電圧と電流との位相差を変化させるための手段として、負荷部82および蓄電部を有してもよい。
【0081】
制御装置100は、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量により、単独運転の検出のために導出された無効電力の変化量が干渉される場合、位相差変化部80のスイッチ84をオンして、電力変換部101から出力される電力を蓄電部に供給してよい。電力変換部101から出力される電力が蓄電部に供給され、蓄電部に電力を蓄電することで、電力変換部101から出力される電圧と電流との間の位相差を変化させることができる。
【0082】
蓄電部は、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量に対応する位相差を相殺する方向に、電力変換部101から出力される電圧と電流との間の位相差を変化させる。蓄電部における蓄電量によって、電力変換部101から出力される電圧と電流との間の位相差の変化量は変化する。
【0083】
蓄電部は、例えば、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量に応じて蓄電量を変化させてよい。
【0084】
電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力q2の変化量Δq2により、単独運転の検出のために導出された無効電力q1の変化量Δq1が干渉される場合、制御装置100が、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量に応じた蓄電量を導出して、導出された蓄電量を位相差変化部80に提供してよい。制御装置100は、無効電力の変化量と蓄電量とを対応付けたテーブルを保持してよい。そして、制御装置100は、テーブルを参照して、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量に対応する蓄電量を特定することで、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量に応じた蓄電量を導出してよい。制御装置100は、制御装置100は、無効電力の変化量と蓄電量との関係を示す関数を用いて、電圧上昇の抑制制御のために導出された無効電力の変化量に応じた電力消費量を導出してよい。位相差変化部80の蓄電部は、提供された蓄電量に応じて、電力変換部101から出力される電力を蓄電してよい。
【0085】
また、無効電力q2の変化量Δq2により、無効電力q1の変化量Δq1が干渉される場合、制御装置100が、無効電力q2の変化量Δq2を、位相差変化部80に提供してよい。位相差変化部80の蓄電部は、提供された無効電力の変化量に応じて、蓄電すべき蓄電量を導出し、導出された蓄電量に応じて電力変換部101から出力される電力を蓄電してよい。
【0086】
なお、本実施形態に係る制御装置100が備える各部は、パワーコンディショナ10の昇圧動作、直流交流変換動作、単独運転検出制御、および電圧上昇抑制制御に関する各種処理を行う、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムをインストールし、このプログラムをコンピュータに実行させることで、構成してもよい。つまり、コンピュータにパワーコンディショナ10の昇圧動作、直流交流変換動作、単独運転検出制御、および電圧上昇抑制制御に関する各種処理を行うプログラムを実行させることにより、制御装置100が備える各部としてコンピュータを機能させることで、制御装置100を構成してもよい。
【0087】
図7は、本実施形態に係る制御装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態に係る制御装置100は、ホストコントローラ902により相互に接続されるCPU904、RAM906を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ908によりホストコントローラ902に接続されるROM910、および通信インターフェイス912を備える。
【0088】
ホストコントローラ902は、RAM906と、高い転送レートでRAM906をアクセスするCPU904とを接続する。CPU904は、ROM910およびRAM906に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部を制御する。入出力コントローラ908は、ホストコントローラ902と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス912と、ROM910とを接続する。
【0089】
通信インターフェイス912は、電圧センサ60,62,64および電流センサ70,72,74などと通信する。ROM910は、制御装置100内のCPU904が使用するプログラムおよびデータを格納する。また、ROM910は、制御装置100が起動時に実行するブート・プログラム、制御装置100のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0090】
RAM906を介してROM910に提供されるプログラムは、CD−ROM、またはUSBメモリ等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM906を介して制御装置100内のROM910にインストールされ、CPU904において実行される。
【0091】
制御装置100にインストールされて実行されるプログラムは、CPU904等に働きかけて、制御装置100を、
図1から
図6にかけて説明した周波数計測部102、移動平均値導出部104、周波数偏差導出部106、第1無効電力変化量導出部108、単独運転検出部110、第2無効電力変化量導出部112、出力電圧取得部114、目標無効電力導出部116、目標有効電力導出部118、リレー制御部120、PWM制御部130、および位相差制御部140として機能させる。
【0092】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0093】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。