(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一次配線(40)が取り付けられる本体(11)と、角座金(51)を有して該角座金(51)で二次配線を押さえて固定するために上記本体(11)に取り付けられる配線固定ねじ(50)とを備え、
上記本体(11)には、上記角座金(51)に当たることで上記配線固定ねじ(50)の軸直交方向の変位を規制する規制部(14〜17)が設けられ、
上記配線固定ねじ(50)の頭部(50a)が下向きとなる姿勢で設置可能であり、上記配線固定ねじ(50)で固定された上記二次配線を上記一次配線(40)と電気的に接続する端子台(10)であって、
上記配線固定ねじ(50)の上記本体(11)からの脱落を防ぐための抜け止め板(60)を備え、
上記抜け止め板(60)は、上記本体(11)とは別体であって該本体(11)に取り付け可能であると共に、上記配線固定ねじ(50)よりも上記一次配線(40)側に位置する平板部(61)と、該平板部(61)に連続して形成されて上記角座金(51)の一部と当たることで上記配線固定ねじ(50)の軸方向への移動を制限する制限部(65)とを有し、
上記本体(11)には、銘板(30)が貼られる平坦な銘板設置部(18)が上記抜け止め板(60)の平板部(61)を覆うように設けられている
ことを特徴とする端子台。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、端子台は、さまざまな姿勢で使用され得る。例えば、端子台は、配線固定ねじの頭部が側方を向く姿勢や、当該頭部が下方を向く姿勢等で使用される。ここで、配線固定ねじの頭部が下方を向く姿勢で端子台を使用する場合には、配線固定ねじがねじ穴から外れても本体に保持されて脱落しない方が、作業性が良い。一方、配線固定ねじの頭部が側方ないし上方を向く姿勢で端子台を使用する場合には、接続する配線の端子を目視できる方が作業し易いため、配線固定ねじを本体から容易に外せることが好ましい。
【0006】
特許文献1の端子台は、配線固定ねじがねじ穴から外れた状態でも、当該配線固定ねじが本体に保持されるので、配線固定ねじの頭部が下方を向く姿勢で使用するのには適しているが、配線固定ねじの頭部が側方ないし上方を向く姿勢で使用するのには適さない。
【0007】
また、端子台には、配線の種類等を表示するための銘板を設ける必要がある。この銘板は視認性に優れていることが望ましいが、特許文献1では、端子台のうち銘板を設ける部分については言及されていない。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、さまざまな姿勢で使用される端子台において、作業性に優れたものにすると共に、銘板を設けるためのスペースを確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、一次配線(40)が取り付けられる本体(11)と、角座金(51)を有して該角座金(51)で二次配線を押さえて固定するために上記本体(11)に取り付けられる配線固定ねじ(50)とを備え、上記本体(11)には、上記角座金(51)に当たることで上記配線固定ねじ(50)の軸直交方向の変位を規制する規制部(14〜17)が設けられ、上記配線固定ねじ(50)の頭部(50a)が下向きとなる姿勢で設置可能であり、上記配線固定ねじ(50)で固定された上記二次配線を上記一次配線(40)と電気的に接続する端子台(10)が対象である。
【0010】
そして、第1の発明は、上記配線固定ねじ(50)の上記本体(11)からの脱落を防ぐための抜け止め板(60)を備え、上記抜け止め板(60)は、上記本体(11)とは別体であって該本体(11)に取り付け可能であると共に、上記配線固定ねじ(50)よりも上記一次配線(40)側に位置する平板部(61)と、該平板部(61)に連続して形成されて上記角座金(51)の一部と当たることで上記配線固定ねじ(50)の軸方向への移動を制限する制限部(65)とを有し、上記本体(11)には、銘板(30)が貼られる平坦な銘板設置部(18)が上記抜け止め板(60)の平板部(61)を覆うように設けられていることを特徴とする。
【0011】
第1の発明では、抜け止め板(60)によって配線固定ねじ(50)の本体(11)からの脱落が防がれる。すなわち、規制部(14〜17)によって配線固定ねじ(50)の軸直交方向の変位が規制されることに加えて、抜け止め板(60)の制限部(65)によって配線固定ねじ(50)の軸方向の移動も制限される。
【0012】
よって、本体(11)とは別体である抜け止め板(60)を当該本体(11)に取り付ける場合、配線固定ねじ(50)は本体(11)に保持される。これにより、配線固定ねじ(50)の頭部(50a)が下方を向く姿勢で端子台(10)を使用する際の作業性が向上する。一方、本体(11)に抜け止め板(60)を取り付けない場合、配線固定ねじ(50)は軸方向に移動して本体(11)から外れる。これにより、配線固定ねじ(50)の頭部(50a)が側方ないし上方を向く姿勢で端子台(10)を使用する際の作業性が向上する。
【0013】
また、本体(11)には、銘板(30)が貼られる平坦な銘板設置部(18)が設けられている。この銘板設置部(18)は、抜け止め板(60)の平板部(61)を覆うように設けられている。つまり、本体(11)に抜け止め板(60)を取り付けても、銘板設置部(18)が抜け止め板(60)に隠れない。よって、作業者は、本体(11)に抜け止め板(60)を取り付ける場合と取り付けない場合との両方において、銘板設置部(18)に貼られた銘板(30)を視認することができる。
【0014】
以上のように、本発明の端子台(10)は、さまざまな姿勢で使用される場合において作業性に優れていると共に、銘板(30)を設けるためのスペースが確保されている。
【0015】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記本体(11)には、複数かつ同数の上記一次配線(40)と上記配線固定ねじ(50)とが設けられ、上記複数の配線固定ねじ(50)は、上記本体(11)の一方の側部に沿って一列に配置され、上記銘板設置部(18)は、上記本体(11)の他方の側部に沿って設けられていることを特徴とする。
【0016】
第2の発明では、本体(11)の他方の側部に沿って銘板設置部(18)が設けられているので、当該他方の側部に沿って銘板(30)を設けるためのスペースが確保される。
【0017】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記制限部(65)は、上記平板部(61)から側方へ突き出た突起部(65)で構成されていることを特徴とする。
【0018】
第3の発明では、突起部(65)が配線固定ねじ(50)の角座金(51)の一部と当たることによって、配線固定ねじ(50)の軸方向の移動が制限される。
【0019】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記本体には、上記銘板設置部(18)の裏側に位置して上記一次配線(40)側から上記抜け止め板(60)が挿入される挿入孔(24)が形成され、上記本体(11)は、上記突起部(65)の先端(65a)に当接して上記抜け止め板(60)を位置決めする位置決め部(16b)を有していることを特徴とする。
【0020】
第4の発明では、抜け止め板(60)を挿入孔(24)に挿入するとき、位置決め部(16b)が突起部(65)の先端(65a)に当接することにより、それ以上深く抜け止め板(60)を挿入できなくなる。このため、抜け止め板(60)を本体(11)に取り付ける際、当該抜け止め板(60)が容易に位置決めされる。
【0021】
第5の発明は、空気調和機を対象としており、当該空気調和機は、第1〜第4の発明のいずれか1つに係る端子台(10)を備えている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、端子台(10)を、さまざまな姿勢で使用される場合において作業性に優れたものにすると共に、銘板(30)を設けるためのスペースを確保することができる。
【0023】
また、上記第3の発明によれば、簡易な構成の突起部(65)によって配線固定ねじ(50)の軸方向の移動が制限されるので、抜け止め板(60)の製造コストを抑えることができる。
【0024】
また、上記第4の発明によれば、抜け止め板(60)を本体(11)に取り付ける際、当該抜け止め板(60)を容易に位置決めすることができる。
【0025】
また、上記第5の発明によれば、上述したような効果を奏する空気調和機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0028】
−空気調和機の室内機−
図1は、本実施形態の空気調和機を構成する室内機(100)の断面図である。この室内機(100)は、冷凍サイクルを行う冷媒回路(図示せず)に接続されている。
【0029】
室内機(100)は、内部に各種構成機器を収容するケーシング(101)を備えている。このケーシング(101)は、ケーシング本体(102)と、ケーシング本体(102)の下側に配置された化粧パネル(103)とから構成されている。
【0030】
ケーシング本体(102)は、下面が下方から見て略矩形状に開口した箱状体である。
【0031】
化粧パネル(103)は、ケーシング本体(102)の開口および天井壁(C)の開口を覆うように、ケーシング本体(102)の下端部に固定されている。また、化粧パネル(103)は、下方から見て略矩形状の板状体である。化粧パネル(103)は、その略中央部に配設されかつ空調室内の空気を吸い込む吸込口(104)と、その周縁部における4つの辺にそれぞれ対応するように配設され、ケーシング本体(102)内から空調室内に空気を吹き出す4つの吹出口(105)とを備えている。
【0032】
ケーシング本体(102)の内部には、主に、空調室内の空気を吸込口(104)を通じてケーシング本体(102)内に吸い込んで外周方向に吹き出させる室内ファン(109)と、この室内ファン(109)の外周を囲むように配置された略環状の室内熱交換器(110)と、室内ファン(109)にシャフトが固定されたファンモータ(M)とが設けられている。
【0033】
室内ファン(109)の吸込口(104)側には、吸込口(104)から吸い込まれた空気をケーシング本体(102)内に案内するためのベルマウス(112)が設けられている。
【0034】
ベルマウス(112)の下面には、電装品箱(113)が取り付けられている。ここで、電装品箱(113)の内部には、回路基板(B)が収容されている。この回路基板(B)の下面には、端子台(10)が取り付けられている。端子台(10)は、後述する配線固定ねじ(50)が下方を向く姿勢で回路基板(B)に取り付けられている。
【0035】
−端子台の構成−
図2および
図3に示すように、本実施形態の端子台(10)は、本体(11)と、角座金(51)を有する複数(本実施形態では6つ)の配線固定ねじ(50)と、配線固定ねじ(50)が本体(11)から脱落するのを防ぐための抜け止め板(60)とを備えている。本実施形態の端子台(10)は、例えば、基板用配線(一次配線(40))と電源用配線(二次配線)とを電気的に接続するために用いられるものである。なお、以下では、説明の便宜上、
図2における手前側を「正面側」、奥側を「背面側」とし、
図2における上下左右を「上下左右」とする。
【0036】
本体(11)は、基台部(12)と、複数の側壁部(14)と、縦断壁部(15)と、複数の横断壁部(16)と、上下仕切部(19)と、頂面部(18)とを有していて、全体として直方体状に形成されている。
【0037】
基台部(12)は、左右に長い直方体状に形成されている。基台部(12)の左右両端には、端子台(10)を電装品箱(113)の回路基板(B)に取り付けるための脚部(13)が設けられている。脚部(13)は、基台部(12)の左右の端面から突出している。
【0038】
側壁部(14)は、基台部(12)の左右両端のそれぞれから上方に延びる矩形板状の部分である。側壁部(14)は、厚さ方向が左右方向に一致していて、基台部(12)の短辺と平行になっている。側壁部(14)の奥行き方向長さは、基台部(12)の奥行き方向長さと等しい。
【0039】
縦断壁部(15)は、2つの側壁部(14)の内側面に連続して左右に延びる矩形板状の部分である。縦断壁部(15)は、厚さ方向が奥行き方向に一致していて、基台部(12)の長辺と平行になっている。縦断壁部(15)の一端は、一方の側壁部(14)の奥行き方向中央部に連続しており、縦断壁部(15)の他端は、他方の側壁部(14)の奥行き方向中央部に連続している。縦断壁部(15)の上端は、各側壁部(14)の上端よりもやや低い位置にある。縦断壁部(15)の下端は、基台部(12)の上面よりもやや高い位置にあり、このため、縦断壁部(15)の下端と基台部(12)の上面との間には左右に延びる隙間が形成されている(
図3を参照)。この隙間は、後述する圧着端子(41)を背面側から差し込むための端子差込孔(22)を構成している。
【0040】
横断壁部(16)は、基台部(12)の上面から上方に延びる略矩形板状の部分である。横断壁部(16)は、厚さ方向が左右方向に一致していて、側壁部(14)と平行になっている。横断壁部(16)は、左右方向に等間隔に5つ形成されている。また、左右両端の横断壁部(16)と側壁部(14)との間隔は、隣り合う横断壁部(16)同士の間隔と等しい。横断壁部(16)の奥行き方向長さは、基台部(12)の奥行き方向長さと等しい。
【0041】
横断壁部(16)のうち縦断壁部(15)よりも正面側の部分の上辺は、段差状に形成されている。すなわち、当該部分の上辺は、正面側端から背面側に延びる上段部(16a)と、この上段部(16a)の背面側端から下方に延びる段差部(16b)と、この段差部(16b)の下端から縦断壁部(15)まで背面側に延びる下段部(16c)とから構成されている。上段部(16a)の奥行き方向長さは、下段部(16c)の奥行き方向長さよりも長い。上段部(16a)の高さは、縦断壁部(15)の高さよりもやや高く、かつ側壁部(14)の高さよりもやや低い。下段部(16c)の高さ(段差部(16b)の下端の高さ)は、縦断壁部(15)の高さと等しい。
【0042】
横断壁部(16)のうち縦断壁部(15)よりも背面側の部分の上辺は、水平に延びる直線状に形成されている。当該部分の高さは、縦断壁部(15)の高さと等しい。
【0043】
横断壁部(16)および側壁部(14)の互いに向かい合う側面のうち縦断壁部(15)よりも正面側の部分には、左右に突き出して上下に延びる突出部(17)が形成されている。突出部(17)の背面は、平面視で横断壁部(16)または側壁部(14)と垂直になっている(
図6を参照)。また、突出部(17)と横断壁部(16)との間隔は、隣り合う横断壁部(16)同士の間隔(横断壁部(16)と側壁部(14)との間隔)と等しい。つまり、縦断壁部(15)、隣り合う横断壁部(16)または側壁部(14)、および突出部(17)によって、平面視で略正方形状のねじ受け空間(21)が形成されている。ねじ受け空間(21)は、本体(11)の正面側の側面(側部)に沿うように6つ並んで形成されている。
【0044】
基台部(12)の上面のうちねじ受け空間(21)に臨む部分には、平面視で六角形の窪みであるナット穴(12a)が形成されている。このナット穴(12a)には、配線固定ねじ(50)をねじ込むためのねじ穴(52a)を有するナット(52)が嵌め込まれる。
【0045】
図4に示すように、上下仕切部(19)は、2つの側壁部(14)の内側面のうち縦断壁部(15)よりも背面側の部分に連続して左右に延びる矩形板状の部分である。上下仕切部(19)は、厚さ方向が上下方向に一致していて、基台部(12)の上面と平行になっている。上下仕切部(19)は、横断壁部(16)の上端よりもやや低い位置に設けられていて、各横断壁部(16)と垂直に交わっている。
【0046】
縦断壁部(15)の背面側には、基台部(12)と上下仕切部(19)と横断壁部(16)または側壁部(14)とによって、本体(11)に取り付けられる一次配線(40)および圧着端子(41)を収容するための収容空間(23)が形成されている。この収容空間(23)は、左右に並んで6つ形成されていて、背面側に向かって開口している。各収容空間(23)は、端子差込孔(22)を介して、その正面側に形成されたねじ受け空間(21)と連通している。
【0047】
図3に示すように、一次配線(40)は、複数(本実施形態では6つ)設けられていて、それぞれ端子台(10)の本体(11)に背面側から取り付けられる。一次配線(40)は、その先端部に角板状の圧着端子(41)が取り付けられており、この圧着端子(41)には、配線固定ねじ(50)を挿通するための挿通孔(41a)が形成されている。圧着端子(41)は、背面側から収容空間(23)を通って端子差込孔(22)に差し込まれ、その挿通孔(41a)がナット(52)のねじ穴(52a)と重なる位置で固定される。こうして圧着端子(41)が端子台(10)の本体(11)(基台部(12))に固定されることにより、一次配線(40)が当該本体(11)に取り付けられる。なお、一次配線(40)は、背面側に延びるように本体(11)に取り付けられる。
【0048】
図2、
図3および
図6に示すように、頂面部(18)は、2つの側壁部(14)のうち縦断壁部(15)よりも背面側の部分の上端部に連続して左右に延びる矩形板状の平坦な部分である。つまり、頂面部(18)は、本体(11)の背面側の側面(側部)に沿って設けられている。頂面部(18)は、厚さ方向が上下方向に一致していて、上下仕切部(19)と平行になっている。
【0049】
頂面部(18)は、本体(11)の背面側端から奥行き方向中央よりも正面側の部分までを覆うように形成されている。すなわち、
図6に示すように、頂面部(18)の奥行き方向長さD1は、本体(11)の奥行き方向長さD2の半分よりも長い(D1>D2/2)。頂面部(18)の正面側端は、縦断壁部(15)の上方に位置しており、このため、頂面部(18)はねじ受け空間(21)の上方を覆っていない。なお、頂面部(18)は、本体(11)の背面側端から奥行き方向中央までを覆っていてもよいし(D1=D2/2)、本体(11)の背面側端から奥行き方向中央よりも背面側の部分までを覆っていてもよい(D1<D2/2)。また、頂面部(18)の背面側端は、本体(11)の背面側端よりも正面側に位置していてもよい。
【0050】
頂面部(18)の左右両端部には、後述する抜け止め板(60)の係合突起(62)と係合する係合孔(18a)が1つずつ形成されている。この係合孔(18a)は、頂面部(18)を厚さ方向(上下方向)に貫通する矩形状の貫通孔である。
【0051】
図6に示すように、頂面部(18)の上面には、一次配線(40)および二次配線の種類を表示する銘板(30)が貼られている(
図2から
図5では、銘板(30)を省略している)。つまり、頂面部(18)は、本発明の銘板設置部を構成している。なお、銘板(30)には、一次配線(40)または二次配線のいずれか一方の種類が表示されていてもよいし、製造者の名称その他の任意の情報が表示されていてもよい。
【0052】
頂面部(18)の裏側には、頂面部(18)と上下仕切部(19)と側壁部(14)とにより、背面側から正面側に貫通する扁平な挿入孔(24)が形成されている。すなわち、挿入孔(24)は、縦断壁部(15)の上側において正面側に開口すると共に、収容空間(23)の上側において平面側に開口している。
【0053】
挿入孔(24)の下半部は、横断壁部(16)のうち上下仕切部(19)よりも上側の部分により、左右方向に等間隔に6つに仕切られている。かかる6つの空間のうち左右両方の外側から2つ目の空間は、後述するように、抜け止め板(60)を本体(11)に取り付ける際に当該抜け止め板(60)を案内する案内空間(25)を構成している。
【0054】
頂面部(18)の下面は、挿入孔(24)の内部を上下に延びる2つの板状の連結部(20)により、上下仕切部(19)の上面に連結されている。2つの連結部(20)は、6つのねじ受け空間(21)のうち中央の2つのねじ受け空間(21)に対応する位置に設けられている。連結部(20)は、厚さ方向が左右方向に一致していて、頂面部(18)の正面側端から奥行き方向中央まで延びている。連結部(20)が頂面部(18)および上下仕切部(19)を連結していることにより、平坦な板状部分である頂面部(18)が撓むことが防止される。
【0055】
図2および
図3に示すように、配線固定ねじ(50)は、一次配線(40)と同数(本実施形態では6つ)設けられていて、角座金(51)を有する座金組込ねじで構成されている。配線固定ねじ(50)の頭部(50a)には、ねじ回し(図示せず)の先端部が嵌合する十字溝が形成されている。角座金(51)は、平面視で略正方形状になっており、その一辺の長さは、配線固定ねじ(50)の頭部(50a)の外径よりも長い。つまり、角座金(51)の4つの角部は、平面視で頭部(50a)の外側に突出している。また、角座金(51)の一辺の長さは、隣り合う横断壁部(16)同士の間隔よりもわずかに短い。
【0056】
配線固定ねじ(50)は、本体(11)に取り付けられる際に上記ねじ受け空間(21)に収容される。ねじ受け空間(21)に配線固定ねじ(50)が収容される場合、側壁部(14)または横断壁部(16)と縦断壁部(15)とに角座金(51)の3辺が沿うようになっている。また、残りの1辺は、突出部(17)の背面に沿うようになっている。このため、ねじ受け空間(21)に収容された配線固定ねじ(50)は、側壁部(14)または横断壁部(16)、縦断壁部(15)、および突出部(17)が角座金(51)に当たることにより、その軸直交方向の変位を規制される。つまり、側壁部(14)または横断壁部(16)、縦断壁部(15)、および突出部(17)は、本発明の規制部を構成している。
【0057】
配線固定ねじ(50)は、圧着端子(41)の挿通孔(41a)に挿通されると共に、ナット(52)のねじ穴(52a)にねじ込まれる。このとき、角座金(51)と圧着端子(41)の間に二次配線(図示せず)を差し込むことにより、二次配線が角座金(51)で押さえられて圧着端子(41)と接触した状態で固定される。これにより、配線固定ねじ(50)が本体(11)に取り付けられると共に、一次配線(40)と二次配線とが電気的に接続される。
【0058】
また、6つの配線固定ねじ(50)は、本体(11)の正面側の側面(側部)に沿って形成された6つのねじ受け空間(21)に1つずつ収容されている。つまり、6つの配線固定ねじ(50)は、本体(11)の正面側の側面(側部)に沿って一列に配置されている。
【0059】
図3および
図4に示すように、抜け止め板(60)は、本体(11)と別体に設けられた板状の部材であって、配線固定ねじ(50)の本体(11)からの脱落を防ぐものである。この抜け止め板(60)は、扁平な長方形状に形成された平板部(61)と、この平板部(61)に連続して形成された突起部(65)とを有している。
【0060】
平板部(61)の左右方向長さは、上記頂面部(18)の左右方向長さよりもわずかに短い。また、平板部(61)の奥行き方向長さは、頂面部(18)の奥行き方向長さと等しい。そして、平板部(61)の厚さは、上記挿入孔(24)の正面側の開口部の高さ(頂面部(18)の下面と横断壁部(16)の上端との間隔)よりもわずかに薄い。
【0061】
平板部(61)の上面の左右両端部には、頂面部(18)の係合孔(18a)と係合する係合突起(62)が1つずつ設けられている。係合突起(62)の正面側の面は、背面側にいくに従って上方に傾斜している一方、係合突起(62)の背面は、平板部(61)に対して垂直に形成されている。
【0062】
平板部(61)の左右方向の中央部には、左右に所定の間隔をおいて並ぶように2つの細長いスリット(64)が形成されている。各スリット(64)は、平板部(61)の正面側端から奥行き方向の中央部まで延びている。また、各スリット(64)は、それぞれ上記連結部(20)に対応する位置に形成されている。そして、抜け止め板(60)を本体(11)に取り付けたときに、スリット(64)が連結部(20)に噛み合うようになっている。
【0063】
図4に示すように、平板部(61)の下面のうち、左右方向中央と右側端との中間部、および、左右方向中央と左側端との中間部には、奥行き方向に長い矩形状の補強突起(63)が下方に突出するように形成されている。この補強突起(63)により、薄い板状の抜け止め板(60)が変形することが防止される。
【0064】
突起部(65)は、平板部(61)から正面側の側方へ突き出た略三角形状の部分である。突起部(65)は、各横断壁部(16)および側壁部(14)に対応して左右方向に等間隔に7つ形成されている。突起部(65)の側面は、平面視で円弧状に窪むように形成されている。7つの突起部(65)のうち左右両端に位置するものを除く5つの突起部(65)は、左右両端に位置する突起部(65)よりも正面側に大きく突き出ていて、先端(65a)が鉛直に切り落としたように平らになっている。また、当該5つの突起部(65)の奥行き方向長さは、横断壁部(16)の下段部(16c)の奥行き方向長さと実質的に等しい。
【0065】
抜け止め板(60)は、上記挿入孔(24)に一次配線(40)側(背面側)から挿入される。そして、抜け止め板(60)の係合突起(62)が頂面部(18)の係合孔(18a)に係合することにより、当該抜け止め板(60)が本体(11)に取り付けられる。
【0066】
また、抜け止め板(60)を挿入孔(24)に挿入する際には、突起部(65)の平らな先端(65a)に横断壁部(16)の段差部(16b)が当接することにより、当該抜け止め板(60)がそれ以上深く挿入されなくなる。このように、段差部(16b)は、抜け止め板(60)を本体(11)に取り付ける際に当該抜け止め板(60)を位置決めする本発明の位置決め部を構成している。
【0067】
また、抜け止め板(60)を挿入孔(24)に挿入する際には、上記案内空間(25)に上記補強突起(63)が案内されて嵌まるようになっている。これにより、抜け止め板(60)を挿入孔(24)にスムーズに挿入できる。さらに、仮に、抜け止め板(60)を上下逆向きにして挿入孔(24)に挿入しようとした場合、補強突起(63)が頂面部(18)に当たるので、当該抜け止め板(60)を挿入孔(24)に挿入することができない。これにより、抜け止め板(60)の向きを誤って本体(11)に取り付けることが防止される。
【0068】
図2に示すように、抜け止め板(60)が本体(11)に取り付けられると、平板部(61)が頂面部(18)によって覆われた状態になる。このため、抜け止め板(60)を本体(11)に取り付けても、作業者は、頂面部(18)の上面に貼られた銘板(30)を容易に視認することができる。また、同図に示すように、抜け止め板(60)の平板部(61)は、配線固定ねじ(50)よりも背面側(一次配線(40)側)に位置している。
【0069】
また、
図5に拡大して示すように、抜け止め板(60)が本体(11)に取り付けられると、突起部(65)が挿入孔(24)の正面側開口部から突出した状態になる。かかる状態において、突起部(65)は、配線固定ねじ(50)の頭部の上方は覆わない一方、角座金(51)の背面側の2つの角部の上方を覆う。よって、配線固定ねじ(50)をナット(52)から外した場合、角座金(51)の一部(背面側の2つの角部)に突起部(65)が当たって当該配線固定ねじ(50)の軸方向への移動が制限される。これに加えて、上述のとおり、配線固定ねじ(50)の軸直交方向の変位は、側壁部(14)または横断壁部、縦断壁部(15)、および突出部(17)によって規制されている。したがって、配線固定ねじ(50)をナット(52)から外しても、ねじ受け空間(21)の中である程度上下に移動するだけで本体(11)から脱落しない。突起部(65)は、本発明の制限部を構成している。
【0070】
−端子台の使用方法−
〈配線固定ねじの頭部が下方を向く姿勢で使用する場合〉
本実施形態の端子台(10)は、上述のように、配線固定ねじ(50)の頭部(50a)が下方を向く姿勢(本体(11)の底面が上方を向く姿勢)で使用される。この場合、配線固定ねじ(50)をナット(52)から外しても本体(11)に保持されて脱落しない方が、作業性が良い。したがって、かかる姿勢で端子台(10)を使用する場合には、抜け止め板(60)を本体(11)に取り付ける。これにより、二次配線の付け外しを行うために配線固定ねじ(50)をナット(52)から外しても、抜け止め板(60)の突起部(65)が下方から角座金(51)に当たって、配線固定ねじ(50)が本体(11)から脱落せずにねじ受け空間(21)内に保持される。
【0071】
また、配線固定ねじ(50)を回すためには、ねじ回しの先端部を頭部(50a)の十字溝に下方から嵌合させる必要がある。ここで、本実施形態の端子台(10)では、抜け止め板(60)の突起部(65)が配線固定ねじ(50)の頭部(50a)を覆っていないので、本体(11)に抜け止め板(60)を取り付けた状態で、ねじ回しの先端部を頭部(50a)の十字溝に嵌合させて配線固定ねじ(50)を回すことができる。
【0072】
〈配線固定ねじの頭部が側方を向く姿勢で使用する場合〉
本発明に係る端子台(10)は、配線固定ねじ(50)の頭部(50a)が側方を向く姿勢で使用してもよい。その場合、接続する二次配線の端子を目視できる方が作業し易いため、配線固定ねじ(50)を本体(11)から容易に外せることが好ましい。したがって、かかる姿勢で端子台(10)を使用する場合には、本体(11)に抜け止め板(60)を取り付けない。これにより、二次配線の付け外しを行うときには、配線固定ねじ(50)をナット(52)から外してねじ受け空間(21)から容易に取り出すことができる。
【0073】
−実施形態の効果−
本実施形態の端子台(10)では、本体(11)に抜け止め板(60)を取り付けて使用することにより、配線固定ねじ(50)をナット(52)から外しても当該配線固定ねじ(50)が本体(11)から脱落しない。これにより、配線固定ねじ(50)の頭部(50a)が下方を向く姿勢で端子台(10)を使用する場合に、作業性が優れたものとなる。一方、本体(11)に抜け止め板(60)を取り付けないことにより、配線固定ねじ(50)を端子台(10)から容易に取り外せるようになる。これにより、配線固定ねじ(50)の頭部(50a)が側方ないし上方を向く姿勢で端子台(10)を使用する場合に、作業性が優れたものとなる。
【0074】
さらに、銘板(30)が貼り付けられる頂面部(18)は、本体(11)の上部のうち半分以上を覆っている。また、頂面部(18)は、本体(11)に抜け止め板(60)を取り付ける場合と取り付けない場合との両方において、本体(11)の上側に露出するようになっている。このため、抜け止め板(60)の有無によらず、作業者は容易に銘板(30)を視認することができる。
【0075】
以上のように、端子台(10)を、さまざまな姿勢で使用される場合において作業性に優れたものにすると共に、配線の種類等を表示する銘板(30)を設けるための十分なスペースを確保することができる。
【0076】
また、一体に形成された平板部(61)および突起部(65)からなる簡易な構成の抜け止め板(60)によって配線固定ねじ(50)の軸方向の移動を制限するようにしたので、抜け止め板(60)を低コストに製造することができる。つまり、さまざまな姿勢での使用に適用可能な端子台(10)を低コストに製造することができる。
【0077】
また、抜け止め板(60)を挿入孔(24)に挿入して本体(11)に取り付ける際、突起部(65)の先端(65a)に段差部(16b)が当接することにより、それ以上深く抜け止め板(60)を挿入できないようにした。このため、抜け止め板(60)を容易に位置決めすることができる。
【0078】
また、抜け止め板(60)が本体(11)に取り付けられていない場合、ねじ受け空間(21)に上方から配線固定ねじ(50)を流し入れることができる。このため、例えば製造ラインにおいて、抜け止め板(60)を取り付ける前に配線固定ねじ(50)を端子台(10)に組み込むようにすれば、端配線固定ねじ(50)を端子台(10)に容易に組み込むことができる。このように、本実施形態の端子台(10)は、量産性に優れている。
【0079】
また、配線固定ねじ(50)をナット(52)から外すときには、配線固定ねじ(50)の角座金(51)が抜け止め板(60)の突起部(65)に当たることにより、抜け止め板(60)には上方向への力が作用する。これに対し、抜け止め板(60)は本体(11)の背面側から挿入孔(24)に挿入されて取り付けられているので、その取り付け方向は上記力が作用する方向と異なっている。したがって、配線固定ねじ(50)をナット(52)から外すときに抜け止め板(60)が本体(11)から外れにくいので、端子台(10)を信頼性に優れたものとすることができる。
【0080】
また、抜け止め板(60)を挿入孔(24)に挿入する際には、案内空間(25)に補強突起(63)が案内されて嵌まるようになっている。これにより、抜け止め板(60)を挿入孔(24)にスムーズに挿入できる。さらに、仮に、抜け止め板(60)を上下逆向きにして挿入孔(24)に挿入しようとした場合、補強突起(63)が頂面部(18)に当たるので、抜け止め板(60)を挿入孔(24)に挿入することができない。これにより、抜け止め板(60)の向きを誤って本体(11)に取り付けることを防止することができる。
【0081】
また、抜け止め板(60)と一次配線(40)とは、共に背面側から本体(11)に取り付けられる。よって、本体(11)の向きを変えなくても一方向から抜け止め板(60)および一次配線(40)を取り付けることができるので、端子台(10)の量産性を向上させることができる。
【0082】
《その他の実施形態》
上記実施形態では、配線固定ねじ(50)の軸方向の移動を制限するために、抜け止め板(60)に突起部(65)を設けている。しかし、これに限らず、配線固定ねじ(50)の軸方向の移動を制限するために、例えば、抜け止め板(60)を本体(11)の背面側端から正面側端まで延びる矩形板状の部材とすると共に、この抜け止め板(60)のうち配線固定ねじ(50)の上方の部分に円形貫通孔を形成するようにしてもよい。この場合、円形貫通孔の直径を、配線固定ねじ(50)を回すのに用いるねじ回しの外径よりも大きく、かつ角座金(51)の一辺の長さよりも短くする必要がある。これにより、ねじ回しを用いて配線固定ねじ(50)を回すことができる一方、円形貫通孔の周縁部が角座金(51)に当たることで配線固定ねじ(50)の軸方向の移動が制限される。
【0083】
また、上記実施形態では、配線固定ねじ(50)によって一次配線(40)および二次配線の両方を固定して両者を電気的に接続している。しかし、これに限らず、例えば、奥行き方向に延びる導電板を本体(11)に設け、この導電板の背面側端部に一次配線(40)を固定すると共に、導電板の正面側端部に配線固定ねじ(50)を用いて二次配線を固定するようにしてもよい。この場合、導電板を介して一次配線(40)と二次配線とが互いに電気的に接続される。
【0084】
また、上記実施形態では、配線固定ねじ(50)や一次配線(40)等はそれぞれ6つ設けられているが、これに限らず、これらの数は5つ以下であってもよく、7つ以上であってもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、端子台(10)を空気調和機に用いているが、本発明に係る端子台(10)は、その他の用途にも好適に用いられ得るものである。