【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、PWM信号(C)を用いてモータ(4)を駆動するモータ制御方法であって、前記モータ(4)へ供給される相電圧(Vu,Vv又はVw)のパルス幅をパルス幅検出値(Wu,Wv又はWw)として検出し、前記PWM信号(C)のパルス幅であるパルス幅指令値(Wu
*,Wv
*又はWw
*)とこれに対応する相の前記パルス幅検出値(Wu,Wv又はWw)との間の誤差と、前記モータ(4)の前記対応する相の相電流との間の、予め求められた関係に基づいて、前記モータ(4)の相電流検出値(Iu,Iv又はIw)からパルス幅誤差予測値(Wuep,Wvep又はWwep)を求め、前記パルス幅指令値(Wu
*,Wv
*又はWw
*)を、前記パルス幅誤差予測値(Wuep,Wvep又はWwep)を用いて補正して、パルス幅予測値(Wup,Wvp又はWwp)を求め、前記パルス幅検出値(Wu,Wv又はWw)を、前記パルス幅予測値(Wup,Wvp又はWwp)を用いて、外乱の影響が低減されるように補正して、補正されたパルス幅(Wua,Wva又はWwa)を求め、前記補正されたパルス幅(Wua,Wva又はWwa)を用いて前記相電圧(Vu,Vv又はVw)の時間平均である出力電圧検出値(Vua,Vva又はVwa)を求め、前記出力電圧検出値(Vua,Vva又はVwa)を用いて前記モータ(4)のロータの位置(θ)を推定する。
【0008】
第1の発明では、予め求められた関係に基づいて、モータ(4)の相電流検出値(Iu,Iv又はIw)に対応する誤差をパルス幅誤差予測値(Wuep,Wvep又はWwep)として求め、パルス幅指令値(Wu
*,Wv
*又はWw
*)を、パルス幅誤差予測値(Wuep,Wvep又はWwep)を用いて補正して、パルス幅予測値(Wup,Wvp又はWwp)を求め、前記パルス幅検出値(Wu,Wv又はWw)を、パルス幅予測値(Wup,Wvp又はWwp)を用いて、外乱の影響が低減されるように補正する。これにより、補正されたパルス幅(Wua,Wva又はWwa)をより正確に安定して得ることができる。このため、外乱を受けても、モータ(4)の相電圧の時間平均を安定して求めることができ、モータ(4)のロータの位置をより精度よく推定することができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記モータ(4)の前記相電流検出値(Iu,Iv又はIw)が所定の値より小さい場合には、前記パルス幅検出値(Wu,Wv又はWw)を前記補正されたパルス幅(Wua,Wva又はWwa)として用いる。
【0010】
第2の発明によると、モータ(4)に出力される電流が小さい場合にはパルス幅の誤差も小さいので、処理を簡略化することができる。また、一般に、モータ(4)に出力される電流が小さい場合には、電流が変化すると、パルス幅指令値(Wu
*,Wv
*又はWw
*)とパルス幅検出値(Wu,Wv又はWw)との間の誤差が大きく変化する。第2の発明によると、実際の電流と検出されるモータ(4)の相電流との間に誤差が生じても、ロータの位置の推定に影響を与えないようにすることができる。
【0011】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記パルス幅予測値(Wup,Wvp又はWwp)と前記パルス幅検出値(Wu,Wv又はWw)との間の差を、パルス幅誤差(Wue,Wve又はWwe)として求め、前記パルス幅誤差(Wue,Wve又はWwe)を平滑化して、平滑化されたパルス幅誤差(Wuf,Wvf又はWwf)を求め、前記パルス幅予測値(Wup,Wvp又はWwp)と前記平滑化されたパルス幅誤差(Wuf,Wvf又はWwf)との和を、前記補正されたパルス幅(Wua,Wva又はWwa)として求める。
【0012】
第3の発明では、前記パルス幅予測値(Wup,Wvp又はWwp)と前記パルス幅検出値(Wu,Wv又はWw)との間の差を、パルス幅誤差(Wue,Wve又はWwe)として求め、パルス幅誤差(Wue,Wve又はWwe)を平滑化する。これにより、モータ(4)を駆動する回路の特性が、モータ(4)に出力される電流が変動してもあまり変動しないオフセットとして得られ、補正されたパルス幅(Wua,Wva又はWwa)をより正確に安定して得ることができる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、前記パルス幅誤差(Wue,Wve又はWwe)の絶対値が所定の値より大きい場合には、以前に求められた前記平滑化されたパルス幅誤差(Wuf,Wvf又はWwf)を用いる。
【0014】
第4の発明によると、ノイズが比較的大きいときには、以前に求められた値が選択されるので、外乱の影響をより受けにくくなる。
【0015】
第5の発明は、第3の発明において、同一の相についての前記パルス幅誤差(Wue,Wve又はWwe)の絶対値が所定の値より大きいことを連続して所定の回数検出した場合には、前記相の前記相電圧(Vu,Vv又はVw)を測定するセンサが故障したと判定する。
【0016】
第5の発明によると、相電圧(Vu,Vv又はVw)を測定するセンサの故障を検出することが可能になる。
【0017】
第6の発明は、第5の発明において、前記センサが故障したと判定された場合には、前記相については前記パルス幅予測値(Wup,Wvp又はWwp)を前記補正されたパルス幅(Wua,Wva又はWwa)として用いる。
【0018】
第6の発明では、パルス幅予測値(Wp)を前記補正されたパルス幅(Wua,Wva又はWwa)として用いるので、相電圧(Vu,Vv又はVw)から求められるパルス幅検出値(Wu,Wv又はWw)を用いる必要がなく、相電圧(Vu,Vv又はVw)を測定するセンサが故障してもモータ(4)の駆動を継続して行うことが可能となる。
【0019】
第7の発明では、第1の発明において、前記予め求められた関係は式として記憶されており、前記式に基づいて、前記モータ(4)の相電流検出値(Iu,Iv又はIw)に対応する前記誤差を前記パルス幅誤差予測値(Wuep,Wvep又はWwep)として算出する。
【0020】
第7の発明では、式を用いて、モータ(4)に出力される電流に対応する誤差をパルス幅誤差予測値(Wuep,Wvep又はWwep)として算出する。このため、モータ(4)に出力される電流に対応する誤差をテーブルとして記憶する場合に比べて、必要な記憶容量を大幅に小さくすることができる。
【0021】
第8の発明は、PWM信号(C)を用いてモータ(4)を駆動するモータ制御装置であって、前記モータ(4)へ供給される相電圧(Vu,Vv又はVw)のパルス幅をパルス幅検出値(Wu,Wv又はWw)として検出するパルス幅検出部(32)と、前記PWM信号(C)のパルス幅であるパルス幅指令値(Wu
*,Wv
*又はWw
*)とこれに対応する相の前記パルス幅検出値(Wu,Wv又はWw)との間の誤差と、前記モータ(4)の前記対応する相の相電流との間の、予め求められた関係に基づいて、前記モータ(4)の相電流検出値(Iu,Iv又はIw)からパルス幅誤差予測値(Wuep,Wvep又はWwep)を求め、前記パルス幅指令値(Wu
*,Wv
*又はWw
*)を、前記パルス幅誤差予測値(Wuep,Wvep又はWwep)を用いて補正して、パルス幅予測値(Wup,Wvp又はWwp)を求め、かつ、前記パルス幅検出値(Wu,Wv又はWw)を、前記パルス幅予測値(Wup,Wvp又はWwp)を用いて、外乱の影響が低減されるように補正して、補正されたパルス幅(Wua,Wva又はWwa)を求めるパルス幅補正部(40;240;340)と、前記補正されたパルス幅(Wua,Wva又はWwa)を用いて前記相電圧(Vu,Vv又はVw)の時間平均である出力電圧検出値(Vua,Vva又はVwa)を求める出力電圧演算部(34)と、前記出力電圧検出値(Vua,Vva又はVwa)を用いて前記モータ(4)のロータの位置(θ)を推定する位置推定部(26)とを有する。
【0022】
第8の発明では、パルス幅補正部(40;240;340)が、予め求められた関係に基づいて、モータ(4)の相電流検出値(Iu,Iv又はIw)に対応する誤差をパルス幅誤差予測値(Wuep,Wvep又はWwep)として求める。パルス幅補正部(40;240;340)は、パルス幅指令値(Wu
*,Wv
*又はWw
*)を、パルス幅誤差予測値(Wuep,Wvep又はWwep)を用いて補正して、パルス幅予測値(Wup,Wvp又はWwp)を求め、前記パルス幅検出値(Wu,Wv又はWw)を、パルス幅予測値(Wup,Wvp又はWwp)を用いて、外乱の影響が低減されるように補正する。これにより、補正されたパルス幅(Wua,Wva又はWwa)をより正確に安定して得ることができる。このため、外乱を受けても、モータ(4)の相電圧の時間平均を安定して求めることができ、モータ(4)のロータの位置をより精度よく推定することができる。