特許第6248815号(P6248815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248815
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】車両用シート空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20171211BHJP
   B60N 2/56 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   B60H1/00 102V
   B60N2/56
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-114828(P2014-114828)
(22)【出願日】2014年6月3日
(65)【公開番号】特開2015-37927(P2015-37927A)
(43)【公開日】2015年2月26日
【審査請求日】2016年8月23日
(31)【優先権主張番号】特願2013-148445(P2013-148445)
(32)【優先日】2013年7月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 貴央
(72)【発明者】
【氏名】新美 康彦
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−052747(JP,A)
【文献】 特開2011−194908(JP,A)
【文献】 特開2010−000846(JP,A)
【文献】 特開平11−078484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
B60N 2/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空気流路(15)が形成されるとともに、車両前後方向における位置が調整可能なシート(1)と、
車室内空間を空調する室内空調ユニット(21)に接続され、前記室内空調ユニットから供給される空調風を前記シート下方の位置に導くシート空調ダクト(11)と、
車室床面(4)の前記シート下方の位置に設けられ、前記シート空調ダクトの空気流れ下流側に連なる床側接続部(12)と、
前記シート底面(1c)に設けられ、前記空気流路に連なるシート側接続部(13)と、
前記床側接続部および前記シート側接続部の双方を介して、前記シート空調ダクトを流れる空気を前記空気流路へ導く接続ダクト(14)とを備え、
前記接続ダクトは、蛇腹形状の部分を有し、変形および伸縮可能に構成されており、
前記床側接続部および前記シート側接続部は、前記シートを車両前後方向に移動させた際に、車両上下方向で互いに重なり合わないように配置されており、
前記シートが車両前後方向の調整範囲内のどの位置にあっても、前記蛇腹形状の部分は、常に、鉛直方向に対して傾いた状態であり、
前記シートには、前記シート底面の車両左右両端側に、前記シートの車両前後方向位置を調整するための2つのシートレール(2)が設けられ、
前記接続ダクトは、前記床側接続部に接続される一端部(14a)と前記シート側接続部に接続される他端部(14b)の両方が、ともに、前記2つのシートレールのうち一方の前記シートレール側に偏って配置されており、
前記シートレールは、車体側に設けられた固定部材(3a、3b)に固定されており、
前記接続ダクトの一端部は、前記シートレールに設けられたブラケットに固定されているとともに、前記シートレールを前記固定部材に固定する際に、前記ブラケットが前記車室床面に押し付けられることで、前記接続ダクトと前記床側接続部とが接続される構成となっていることを特徴とする車両用シート空調装置。
【請求項2】
内部に空気流路(15)が形成されるとともに、車両前後方向における位置が調整可能なシート(1)と、
車室内空間を空調する室内空調ユニット(21)に接続され、前記室内空調ユニットから供給される空調風を前記シート下方の位置に導くシート空調ダクト(11)と、
車室床面(4)の前記シート下方の位置に設けられ、前記シート空調ダクトの空気流れ下流側に連なる床側接続部(12)と、
前記シート底面(1c)に設けられ、前記空気流路に連なるシート側接続部(13)と、
前記床側接続部および前記シート側接続部の双方を介して、前記シート空調ダクトを流れる空気を前記空気流路へ導く接続ダクト(14)とを備え、
前記接続ダクトは、変形および伸縮可能に構成されており、
前記床側接続部および前記シート側接続部は、前記シートを車両前後方向に移動させた際に、車両上下方向で互いに重なり合わないように配置されており、
前記シートには、前記シート底面の車両左右両端側に、前記シートの車両前後方向位置を調整するための2つのシートレール(2)が設けられ、
前記接続ダクトは、前記床側接続部に接続される一端部(14a)と前記シート側接続部に接続される他端部(14b)の両方が、ともに、前記2つのシートレールのうち一方の前記シートレール側に偏って配置されており、
前記シートレールは、車体側に設けられた固定部材(3a、3b)に固定されており、
前記接続ダクトの一端部は、前記シートレールに設けられたブラケットに固定されているとともに、前記シートレールを前記固定部材に固定する際に、前記ブラケットが前記車室床面に押し付けられることで、前記接続ダクトと前記床側接続部とが接続される構成となっていることを特徴とする車両用シート空調装置。
【請求項3】
前記床側接続部および前記シート側接続部は、前記シートを車両前後方向からみたときに、車両左右方向で異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用シート空調装置。
【請求項4】
前記床側接続部および前記シート側接続部は、前記シートの位置が車両前後方向における位置調整可能な範囲内での所定位置のときに、車両左右方向からみて、車両上下方向で互いに重なり合うように配置されていることを特徴とする請求項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項5】
前記床側接続部および前記シート側接続部は、前記シートを車両前後方向に移動させた際に、車両左右方向からみて、前記シート側接続部が前記床側接続部を車両前後方向にまたがって移動するように配置されていることを特徴とする請求項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項6】
前記床側接続部および前記シート側接続部は、前記シートの位置が車両前後方向における位置調整可能な範囲内での最前位置(P1)のときに、前記シート側接続部が前記床側接続部よりも車両後方側に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用シート空調装置。
【請求項7】
前記床側接続部および前記シート側接続部は、前記シートの位置が車両前後方向における位置調整可能な範囲内での最後位置(P3)のときに、前記シート側接続部が前記床側接続部よりも車両前方側に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用シート空調装置。
【請求項8】
前記車室床面(4)の下に配置され、送風空気を発生する送風機(16)を備え、
前記シート空調ダクトの下流側端部は、前記送風機を介して、前記床側接続部に連なっていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用シート空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートから空気を吹き出す車両用シート空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用シート空調装置は、車両前後方向位置が調整されるシートと、室内空調ユニットから供給される空調風をシート下方の位置に導くシート空調ダクトと、室内床面のシート下方の位置に設けられ、シート空調ダクトに連なる床側接続部と、シート底面に設けられ、シート内部の空気流路に連なるシート接続部と、床側接続部とシート側接続部とを連通させる接続ダクトとを備えている。これによれば、シート表面に設けられた吹出口から空調風を乗員に向けて吹き出すことで、乗員をいち早く快適にすることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−308045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シートの車両前後方向位置の調整範囲は広く、接続ダクトが配置されるシート下のスペースは高さ寸法がとても小さい。このため、接続ダクトには、シートの前後移動に追従可能な長さであることと、シートの前後方向位置にかかわらず、接続ダクトの高さ寸法が低いことが要求される。
【0005】
そこで、シートを前後移動させたときに、シート側接続部が床側接続部をまたいで移動するように、シート側接続部および床側接続部を配置する。そして、接続ダクトを変形および伸縮可能に構成することが考えられる。これにより、シートを前後移動させたときに、シート側接続部が床側接続部をまたがない場合と比較して、接続ダクトの最長長さを短く抑えつつ、シートの前後移動に接続ダクトを追従させることができる。
【0006】
しかし、シート側接続部と床側接続部が、車両左右方向で同一の位置に配置されていると、シートを前後移動させた際に、床側接続部の真上にシート側接続部が位置するときがある。このとき、接続ダクトは、シート側接続部と床側接続部とを鉛直方向で直線状につなぐ形状となる。このときの接続ダクトの高さ寸法は、接続ダクトが最も収縮したときが、最小値となる。すなわち、接続ダクトの最短長さよりも、接続ダクトの高さ寸法を小さくすることができない。このため、接続ダクトの最長長さを短く抑えても、接続ダクトの最短長さが、シート下のスペースの高さ寸法よりも長いと、シート下のスペースに収容できないという問題が生じる。
【0007】
なお、シート下のスペースに接続ダクトを収容できないという問題が発生するのは、シートを車両前後方向に移動させた際に、車両左右方向からみて、シート側接続部が床側接続部をまたいで移動するように、シート側接続部および床側接続部を配置する場合に限られない。シートを車両前後方向に移動させた際に、シート側接続部と床側接続部が車両上下方向で重なり合うときがあるように、シート側接続部と床側接続部が配置された場合に、上記した問題が生じる。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、シート下の限られたスペースに、接続ダクトを収容可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
内部に空気流路(15)が形成されるとともに、車両前後方向における位置が調整可能なシート(1)と、
車室内空間を空調する室内空調ユニット(21)に接続され、室内空調ユニットから供給される空調風をシート下方の位置に導くシート空調ダクト(11)と、
車室床面(4)のシート下方の位置に設けられ、シート空調ダクトの空気流れ下流側に連なる床側接続部(12)と、
シート底面(1c)に設けられ、空気流路に連なるシート側接続部(13)と、
床側接続部およびシート側接続部の双方を介して、シート空調ダクトを流れる空気を空気流路へ導く接続ダクト(14)とを備え、
接続ダクトは、蛇腹形状の部分を有し、変形および伸縮可能に構成されており、
床側接続部およびシート側接続部は、シートを車両前後方向に移動させた際に、車両上下方向で互いに重なり合わないように配置されており、
シートが車両前後方向の調整範囲内のどの位置にあっても、蛇腹形状の部分は、常に、鉛直方向に対して傾いた状態であり、
シートには、シート底面の車両左右両端側に、シートの車両前後方向位置を調整するための2つのシートレール(2)が設けられ、
接続ダクトは、床側接続部に接続される一端部(14a)とシート側接続部に接続される他端部(14b)の両方が、ともに、2つのシートレールのうち一方のシートレール側に偏って配置されており、
シートレールは、車体側に設けられた固定部材(3a、3b)に固定されており、
接続ダクトの一端部は、シートレールに設けられたブラケットに固定されているとともに、シートレールを固定部材に固定する際に、ブラケットが車室床面に押し付けられることで、接続ダクトと床側接続部とが接続される構成となっていることを特徴としている。
また、請求項に記載の発明では、
内部に空気流路(15)が形成されるとともに、車両前後方向における位置が調整可能なシート(1)と、
車室内空間を空調する室内空調ユニット(21)に接続され、室内空調ユニットから供給される空調風をシート下方の位置に導くシート空調ダクト(11)と、
車室床面(4)のシート下方の位置に設けられ、シート空調ダクトの空気流れ下流側に連なる床側接続部(12)と、
シート底面(1c)に設けられ、空気流路に連なるシート側接続部(13)と、
床側接続部およびシート側接続部の双方を介して、シート空調ダクトを流れる空気を空気流路へ導く接続ダクト(14)とを備え、
接続ダクトは、変形および伸縮可能に構成されており、
床側接続部およびシート側接続部は、シートを車両前後方向に移動させた際に、車両上下方向で互いに重なり合わないように配置されており、
シートには、シート底面の車両左右両端側に、シートの車両前後方向位置を調整するための2つのシートレール(2)が設けられ、
接続ダクトは、床側接続部に接続される一端部(14a)とシート側接続部に接続される他端部(14b)の両方が、ともに、2つのシートレールのうち一方のシートレール側に偏って配置されており、
シートレールは、車体側に設けられた固定部材(3a、3b)に固定されており、
接続ダクトの一端部は、シートレールに設けられたブラケットに固定されているとともに、シートレールを固定部材に固定する際に、ブラケットが車室床面に押し付けられることで、接続ダクトと床側接続部とが接続される構成となっていることを特徴としている。
【0010】
請求項1、2に記載の発明によれば、シートを前後移動させた際に、床側接続部の真上にシート側接続部が位置することがない。この場合、接続ダクトは、シートの前後方向位置にかかわらず、常に、鉛直方向に対して傾いた状態となる。
【0011】
ここで、接続ダクトの最収縮時の長さが、接続ダクトが鉛直方向に対して傾いた状態のときの高さ寸法よりも長くなる場合がある。この場合、本発明のように、シートの前後方向位置にかかわらず、常に、接続ダクトを鉛直方向に対して傾いた状態とすることで、シート下に設置された状態での接続ダクトの高さ寸法を小さくできる。よって、本発明によれば、シート下の限られたスペースに、接続ダクトを収容することが可能となる。
【0012】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態における車両用シート空調装置の側面図である。
図2図1中のシートの側面図である。
図3図1中のシートの正面図である。
図4】第1実施形態における接続ダクトと床側接続部との接続状態を示す断面図である。
図5A】比較例におけるシート移動時の床側接続部とシート側接続部の位置関係を示す図である。
図5B】比較例におけるシート移動時の接続ダクトの形状を示す図である。
図6A】第1実施形態におけるシート移動時の床側接続部とシート側接続部の位置関係を示す図である。
図6B】第1実施形態におけるシート移動時の接続ダクトの形状を示す図である。
図7】乗員着座時における図3中の座部の形状を示す図である。
図8】第2実施形態における接続ダクトと床側接続部との接続状態を示す断面図である。
図9A】第3実施形態におけるシート移動時の床側接続部とシート側接続部の位置関係を示す図である。
図9B】第3実施形態におけるシート移動時の接続ダクトの形状を示す図である。
図10A】第4実施形態におけるシート移動時の床側接続部とシート側接続部の位置関係を示す図である。
図10B】第4実施形態におけるシート移動時の接続ダクトの形状を示す図である。
図11A】第5実施形態におけるシート移動時の床側接続部とシート側接続部の位置関係を示す図である。
図11B】第5実施形態におけるシート移動時の接続ダクトの形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。また、図中の上下、前後、左右の矢印は、それぞれ、車両の上下方向、前後方向、左右方向を示している。
【0015】
(第1実施形態)
本実施形態は、図1に示すように、本発明の車両用シート空調装置を運転席または助手席の前部座席用のシート1に適用したものである。車両用シート空調装置10は、車室内空間を空調するための車両用空調装置20から供給される空調風を、シート1の表面から吹き出すように構成されている。具体的には、車両用シート空調装置10は、シート1と、シート空調ダクト11と、床側接続部12と、シート側接続部13と、接続ダクト14とを備えている。
【0016】
シート1は、内部に空気流路15を有している。具体的には、シート1は、座部1aと背もたれ部1bとを備えている。図示しないが、座部1aは、主に、シートパッドと、それを覆う表皮部材とによって構成されている。空気流路15は、シートパッドと表皮部材に形成されている。空気流路15の断面積は、シートパッドよりも表皮部材の方が小さくなっている。このため、空調風が通過する際の圧力損失が、シートパッドよりも表皮部材の方が高くなっている。また、シート底面1c、すなわち、座部1aの下面1cには、空気流路15に連なるシート側接続部13が設けられている。シート側接続部13は、空気流路15の入口を構成する。
【0017】
シート1は、シートレール2を介して車体床面3に固定されている。シートレール2は、シート1の前後方向位置を調整するためのものであり、シート底面1cの左右両端側にそれぞれ設けられている。シートレール2は、アッパーレール2aとロアレール2bとを有している。アッパーレール2aは、シート底面1cに固定されている。ロアレール2bは、車体床面3に設けられたクロス3a、3bに固定されている。クロス3a、3bは、シートレール2を支持する支持部材である。アッパーレール2aは、ロアレール2bに対して前後方向に摺動可能になっている。これにより、図2に示すように、シート1の前後方向位置を調整することができる。
【0018】
因みに、本実施形態では、シート1は、図示しないバーティカルアジャスター機構によって上下方向位置も調整可能になっている。また、クロス3a、3bは、車室床面4を嵩上げしている。すなわち、クロス3a、3bの上面位置にカーペットが設けられることにより、クロス3a、3bの上面位置に車室床面4が形成されている。カーペットは、車室内空間を仕切っていることから、車室床面4を構成している。なお、本明細書でいう車体床面3とは、車体が構成する床面のことであり、車室床面4とは、実際に車室内空間に面する床面のことである。
【0019】
また、シート側接続部13は、図2中二点差線で示すシート1の最前位置のとき、図2中実線で示すシート1の最後位置のときの両方において、前側クロス3a、後側クロス3bの間に位置するように配置されている。
【0020】
シート空調ダクト11は、車両用空調装置20の室内空調ユニット21から供給される空調風をシート1下方の位置に導くためのものである。室内空調ユニット21は、車室内最前部の計器盤5の内側に配置されている。室内空調ユニット21は、空調ケース21aの内部に、送風機、冷凍サイクルの蒸発器およびヒータコア等の各種空調機器を収容してなる。室内空調ユニット21で所望温度に調整された空調風は、空調ケース21aに接続された図示しないダクトおよび吹出口から車室内に吹き出される。
【0021】
シート空調ダクト11は、空調ケース21aの空気流れ下流側に接続されている。シート空調ダクト11は、空調ケース21aから車体床面3に向かって垂下した後に車体床面3に沿って車室後方側に向かって延びている。より具体的には、シート空調ダクト11のうち車体床面3に沿って延びる部位は、車体床面3と車室床面4との間に配置されている。
【0022】
シート空調ダクト11の下流側端部は、図2に示すように、送風機16を介して、床側接続部12に連なっている。床側接続部12は、車室床面4のシート1下方の位置に設けられている。床側接続部12は、接続ダクト14が接続される接続部である。
【0023】
送風機16は、車体床面3と車室床面4との間に配置されている。送風機16は、送風空気を発生する送風ファン、送風ファンを回転駆動するモータ、および送風ファンを収容するケーシングを有している。ケーシングの空気吸込口にシート空調ダクト11の下流側端部が接続されている。ケーシングの空気吹出口が床側接続部12に接続されている。なお、ケーシングの空気吹出口が床側接続部を兼ねていても良い。
【0024】
送風機16は、制御手段をなす図示しない制御装置によって制御される。制御装置には、図示しない空調操作パネルに設けられた送風機作動スイッチから操作信号が入力される。送風機作動スイッチによって、送風機16のオン・オフおよび送風機16の送風量を設定することができる。なお、空調操作パネルには、車両用空調装置20に対する各種操作スイッチも設けられている。
【0025】
接続ダクト14は、シート空調ダクト11とシート1内部の空気流路15とを連通させるものである。図2に示すように、接続ダクト14は、シート底面1cと車室床面4との間に配置され、一端部14aが床側接続部12に接続されるとともに、他端部14bがシート側接続部13に接続されている。接続ダクト14は、柔軟性を有する合成樹脂によって蛇腹状に形成されており、変形および伸縮可能に構成されている。このため、接続ダクト14は、シート1が車両前後方向調整範囲内のどの位置にあっても、床側接続部12とシート側接続部13とを直線状につなぐことができる。
【0026】
図3に示すように、シート1を車両前方からみたとき、床側接続部12とシート側接続部13とは車両左右方向で異なる位置に配置されている。換言すると、床側接続部12とシート側接続部13とは、シート側接続部13を車室床面4に投影したとき、両者12、13が車両前後方向に平行な仮想直線上に並んでいない配置となっている。このため、シート1を前後移動させたとき、シート側接続部13が床側接続部12の真上に位置することがない。
【0027】
図3に示すように、接続ダクト14の一端部14aは、シート1を車室内に搭載したときに、床側接続部12と対向する位置に配置されるように、シートレール2に固定されている。具体的には、ロアレール2bに、平板状のブラケット2cが設けられている。図4に示すように、ブラケット2cには開口部2dが設けられており、この開口部2dに接続ダクト14の一端部14aが嵌め込まれている。接続ダクト14の一端部14aの外周面には第1、第2鍔部14c、14dが離間して設けられている。接続ダクト14の一端部14aがブラケット2cの開口部2dに挿入され、第1、第2鍔部14c、14dがブラケット2cを挟むことで、接続ダクト14がブラケット2cに固定されている。
【0028】
接続ダクト14の一端部14aと床側接続部12との接続は、シート1が車室内に搭載されることで達成されている。すなわち、床側接続部12は、車室床面4を補強する補強板、例えば、金属板17に設けられた開口部によって構成されている。床側接続部12は、ブラケット2cの開口部2dに対応する位置に配置されている。そして、シート1の自重によって、ブラケット2cが車室床面4に押し付けられることにより、接続ダクト14と床側接続部12との接続箇所がシールされている。
【0029】
接続ダクト14の他端部14bとシート側接続部13は、例えば、両者が嵌め合わされることによって接続されている。
【0030】
次に、上記構成における作動を説明する。空調操作パネルの操作によって車両用シート空調装置10および車両用空調装置20を作動させると、室内空調ユニット21で空調された空調風が、送風機16の作動によって、シート空調ダクト11を流れる。シート空調ダクト11を流れる空調風は、接続ダクト14を介して、座部1a内部の空気流路15に流入し、座部1aの表面から乗員の臀部および大腿部に吹き出される。このとき、座部1aの内部を空調風が通過する際の圧力損失が、シートパッドよりも表皮部材の方が高くなっているので、座部の表面から吹き出される空調風の風速分布を均一にでき、乗員のフィーリングを良く保つことができる。
【0031】
次に、本実施形態の主な特徴を説明する。
【0032】
(1)まず、図5A、5Bに示す比較例1について説明する。なお、図5A中のシート側接続部13の位置P1、P2、P3は、それぞれ、図5B中のシート1の位置P1、P2、P3に対応している。比較例1は、シート1を車両前方からみたときに、床側接続部12とシート側接続部13とが、車両左右方向で同一の位置に配置されている点が本実施形態と異なり、その他の構成は本実施形態と同じである。
【0033】
ここで、上記発明が解決しようとする課題の欄での説明の通り、床側接続部12の真上にシート側接続部13が位置するとき、接続ダクト14は、シート側接続部13と床側接続部12とを鉛直方向で直線状につなぐ形状となる。このときの接続ダクト14の高さ寸法は、接続ダクト14が最も収縮したときの長さよりも小さくできない。近年、シート1下のスペースの高さ寸法は縮小化傾向にある。このため、接続ダクト14の最長長さを短く抑えても、接続ダクト14の最短長さが、シート1下のスペースの高さ寸法よりも長く、シート1下の限られたスペースに、接続ダクト14を収容できないという問題が生じる。
【0034】
具体的には、図5A、5Bに示すように、比較例1では、床側接続部12とシート側接続部13の車両前後方向位置が一致するシート1の位置P2のとき、床側接続部12の真上にシート側接続部13が位置する。このため、図5Bに示すように、シート1が位置P2以外の位置のときでは、接続ダクト14の高さ寸法H1をシート1下のスペースの高さ寸法H2内に維持できるが、シート1が位置P2のとき、接続ダクト14の高さ寸法H1を、スペースの高さ寸法H2内に維持できないという問題が生じる。なお、図5Bのシート位置P2のときの接続ダクト14は、シート1に重ね合わせて図示されているだけである。
【0035】
これに対して、本実施形態では、シート1を車両前方からみたときに、床側接続部12とシート側接続部13とが、車両左右方向で異なる位置に配置されている。このため、図6A、6Bに示すように、シート1を前後移動させた際に、床側接続部12の真上にシート側接続部13が位置することがない。すなわち、本実施形態では、床側接続部12とシート側接続部13は、シート1を車両前後方向に移動させた際に、車両上下方向で互いに重なり合わないように配置されている。この「床側接続部およびシート側接続部が車両上下方向で互いに重なり合わない」とは、車両上下方向に平行な方向でシート側接続部を車室床面に投影したときに、その投影像が床側接続部と重なり合わないことを意味する。
【0036】
この場合、接続ダクト14は、シート1の前後方向位置にかかわらず、常に、上下方向、すなわち、鉛直方向に対して傾いた状態で、変形、収縮した形状となる。これにより、シート1下のスペースに設置される状態での接続ダクト14の高さ寸法H1を、スペースの高さ寸法H2内に維持できる。これは、接続ダクト14の最収縮時の長さが、接続ダクト14が鉛直方向に対して傾いた状態のときの高さ寸法よりも長くなる場合、接続ダクト14を鉛直方向に対して傾いた状態とすることで、接続ダクト14の高さ寸法を小さくできるからである。
【0037】
したがって、本実施形態によれば、シート1下の限られたスペースに、接続ダクト14を収容することが可能となる。
【0038】
(2)図7に示すように、乗員の着座時では、主に座部1aの中心が下方にたわみ、シート1下方のスペースが狭くなる。このため、本実施形態と異なり、シート1の車両左右方向中心線C1の位置に、接続ダクト14の一端部14aと他端部14bの少なくとも一方が位置すると、乗員の着座時に、接続ダクト14がつぶれてしまう。また、車両左右方向において、シート1の車両左右方向中心線C1をまたがって、接続ダクト14の一端部14aと他端部14bとが配置されている場合も、乗員の着座時に、接続ダクト14がつぶれてしまう。
【0039】
これに対して、本実施形態では、接続ダクト14の一端部14aと他端部14bの両方が、シート1の車両左右方向中心線C1から一方のシートレール2側に離れて配置されている。これにより、乗員の着座時に接続ダクト14がシート1と車室床面4に挟まれてつぶれてしまうことを回避できる。特に、本実施形態では、接続ダクト14の一端部14aを、剛性の高いシートレール2に近接させているので、乗員の着座時における接続ダクト14のスペースを確保できる。
【0040】
(3)本実施形態では、上述の通り、接続ダクト14の一端部14aがブラケット2cに固定されている。そして、ブラケット2cが車室床面4に押し付けられることで、接続ダクト14の一端部14aと床側接続部12とが接続される構成となっている。
【0041】
このため、本実施形態では、シートレール2が取り付けられたシート1に、接続ダクト14を組付けておき、シート1を車室内に搭載するだけで、接続ダクト14と床側接続部12との接続を完了することができる。よって、本実施形態によれば、両者14、12の位置合わせや、両者14、12の嵌め合わせ等の接続作業が不要である。
【0042】
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対して、接続ダクト14の一端部14aと床側接続部12の接続構造を変更したものである。
【0043】
本実施形態では、図8に示すように、接続ダクト14の一端部14aがブラケット2cに溶接等の接合によって固定されている。ブラケット2cの車室床面4側の面に、開口部2dの周囲を囲むようにシール部材18が設けられている。そして、シート1の自重によって、ブラケット2cが車室床面4に押し付けられることにより、接続ダクト14と床側接続部12との接続箇所がシールされている。
【0044】
(第3実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対して、床側接続部12とシート側接続部13の配置を変更したものである。
【0045】
本実施形態では、図9Bに示すように、シート1の位置が車両前後方向における位置調整可能な範囲内での最前位置P1のときに、車両左右方向からみて、床側接続部12とシート側接続部13が車両上下方向で重なり合うように、床側接続部12とシート側接続部13が配置されている。ここで、床側接続部12とシート側接続部13が、車両上下方向で重なり合うとは、車両上下方向でシート側接続部13を車室床面に投影したときに、床側接続部12の少なくとも一部とシート側接続部13の少なくとも一部とが重なり合うことを意味する。
【0046】
また、第1実施形態と同様に、図9Aに示すように、床側接続部12とシート側接続部13は、車両前後方向からみて、車両左右方向で異なる位置に配置されている。このため、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0047】
なお、本実施形態では、床側接続部12とシート側接続部13が、シート1が最前位置P1のときに、車両左右方向からみて、車両上下方向で重なり合うように配置されていたが、シート1が最後位置P3のときに、車両左右方向からみて、車両上下方向で重なり合うように配置されていてもよい。
【0048】
(第4実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対して、床側接続部12とシート側接続部13の配置を変更したものである。
【0049】
本実施形態では、図10A、10Bに示すように、シート1の位置が車両前後方向における位置調整可能な範囲内での最前位置P1のときに、シート側接続部13が床側接続部12よりも車両後方側に位置するように、床側接続部12とシート側接続部13が配置されている。なお、図10Aでは、シート1の位置が位置P2、P3のときの接続ダクト14の図示を省略している。
【0050】
また、本実施形態では、床側接続部12は、車室床面4における前側クロス3aと後側クロス3bの間の領域のうち前側クロス3a側の位置に配置されている。また、図10Aに示すように、車両前後方向からみて、床側接続部12とシート側接続部13とが、車両左右方向で重なり合う位置に配置されている。
【0051】
このように、床側接続部12とシート側接続部13が配置されているので、シート1を最前位置P1から車両後方側へ移動させても、常に、シート側接続部13は床側接続部12よりも車両後方側に位置する。すなわち、本実施形態においても、床側接続部12とシート側接続部13は、シート1を車両前後方向に移動させた際に、車両上下方向で互いに重なり合わないように配置されている。
【0052】
したがって、本実施形態によれば、車両前後方向からみて、床側接続部12とシート側接続部13とが、車両左右方向で重なり合う位置関係であっても、シート1を車両前後方向に移動させた際に、床側接続部12の真上にシート側接続部13が位置することがない。よって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0053】
なお、車両前後方向からみて、床側接続部12とシート側接続部13とが、車両左右方向で重なり合う位置に配置されていたが、車両左右方向で重なり合わない位置に配置されていても良い。
【0054】
(第5実施形態)
本実施形態は、図11A、11Bに示すように、第4実施形態に対して床側接続部12の位置を、車室床面4における前側クロス3aと後側クロス3bの間の領域のうち後側クロス3b側の位置に変更したものである。なお、図11Aでは、シート1の位置が位置P2、P3のときの接続ダクト14の図示を省略している。
【0055】
本実施形態では、シート1の位置が車両前後方向における位置調整可能な範囲内での最後位置P3のときに、シート側接続部13が床側接続部12よりも車両前方側に位置するように、床側接続部12とシート側接続部13が配置されている。
【0056】
このように、床側接続部12とシート側接続部13が配置されているので、第4実施形態と同様に、シート1を最後位置P3から車両前方側へ移動させても、常に、シート側接続部13は床側接続部12よりも車両後方側に位置する。すなわち、本実施形態においても、床側接続部12とシート側接続部13は、シート1を車両前後方向に移動させた際に、車両上下方向で互いに重なり合わないように配置されている。
【0057】
したがって、本実施形態によっても、第4実施形態と同様の効果を奏する。なお、本実施形態においても、第4実施形態と同様に、床側接続部12とシート側接続部13とが、車両左右方向で重なり合わない位置に配置されていても良い。
【0058】
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、下記のように、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
【0059】
(1)第1実施形態では、接続ダクト14がブラケット2cの開口部2dに嵌め込まれた構成を採用し、第2実施形態では、接続ダクト14がブラケット2cに接合された構成を採用したが、接続ダクト14をブラケット2cに固定する態様は、これらに限られない。接続ダクト14がブラケット2cに固定された状態とは、接続ダクト14がブラケット2cに完全に拘束された状態に限られない。シート1を車室床面4に搭載するだけで、接続ダクト14と床側接続部12との接続を完了できる範囲内であれば、接続ダクト14が自由に動ける状態で、ブラケット2cに保持されていても良い。
【0060】
(2)上記した各実施形態では、接続ダクト14が蛇腹状に形成されていたが、変形および伸縮可能に構成されていれば、蛇腹状でなくても良い。例えば、接続ダクト14をゴム等の変形および伸縮する材料で構成しても良い。
【0061】
(3)上記した各実施形態では、シート側接続部13、すなわち、接続ダクト14の他端部14bが、シート1の車両左右方向中心線C1から離れて配置されていたが、座部1aの中心が下方にたわまない構造であれば、シート1の車両左右方向中心線C1の位置に配置されていても良い。同様に、座部1aの中心が下方にたわまない構造であれば、車両左右方向において、シート1の車両左右方向中心線C1をまたがって、接続ダクト14の一端部14aと他端部14bとが配置されていても良い。
【0062】
(4)上記した各実施形態では、接続ダクト14の一端部14aが、シートレール2に固定されていたが、シートレール2に固定されていなくても良い。ただし、この場合、接続ダクト14の一端部14aと床側接続部12の位置合わせおよび嵌め合わせ等の接続作業が必要となる。
【0063】
(5)上記した各実施形態では、送風機16が車室床面4の下に配置されていたが、送風機16の配置場所は任意に変更可能である。例えば、送風機16はシート1内部に配置されていても良い。
【0064】
(6)上記した各実施形態では、床側接続部12が車室床面4と面一に設けられていたが、車室床面4よりも上側や下側に設けられていても良い。なお、車体床面3が車室内空間を仕切る車室床面を構成していても良い。
【0065】
(7)上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0066】
1 シート
2 シートレール
2c ブラケット
4 車室床面
11 シート空調ダクト
12 床側接続部
13 シート側接続部
14 接続ダクト
15 シート内部の空気流路
16 送風機
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B