特許第6248826号(P6248826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6248826車両用無線通信システム、車載機、及び、携帯機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248826
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】車両用無線通信システム、車載機、及び、携帯機
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/102 20130101AFI20171211BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20171211BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20171211BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20171211BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20171211BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   B60R25/102
   E05B49/00 J
   B60R25/24
   G08B25/10 B
   H04M11/04
   H04Q9/00 321D
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-129343(P2014-129343)
(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公開番号】特開2016-7922(P2016-7922A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2016年8月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】河上 修
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−011305(JP,A)
【文献】 特開2000−306181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00−40
E05B 49/00
G08B 25/10
H04M 11/04
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載機(20)と、前記車載機と無線通信を行う携帯機(10)とを有する車両用無線通信システム(1)であって、
前記携帯機は、
自装置に対応付けられた対応車両に搭載された前記車載機と無線通信を行い、予め定められた処理を行う携帯機側制御手段(11,12,13)と、
前記処理の実行を指示するための操作部への操作、又は、前記携帯機の筐体の全部或いは一部が破壊されたことに応じて、前記対応車両及び他の車両に搭載された前記車載機に、緊急信号を送信する緊急信号送信手段(S105)と、
を備え、
前記車載機は、
自車両を前記対応車両とする前記携帯機と無線通信を行い、予め定められた処理を行う車載機側制御手段(21,22,23)と、
前記緊急信号を受信すると、自車両の外部に設けられた外部装置(70)に対し、緊急事態が発生した旨を通報する緊急通報を行う通報手段(S210)と、
を備え、
前記携帯機側制御手段により行われる処理と、前記車載機側制御手段により行われる処理とは、前記対応車両の施錠又は開錠を行うため処理であること、
を特徴とする車両用無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用無線通信システムにおいて、
前記緊急信号送信手段は、前記指示がなされた後、繰り返し、前記緊急信号を送信すること、
を特徴とする車両用無線通信システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用無線通信システムにおいて、
前記通報手段は、前記緊急通報を行う際、当該車両用無線通信システムを識別するための情報と、自車両が存在する場所に関する情報と、現在の日時に関する情報とのうちの少なくとも一つを、前記外部装置に送信すること、
を特徴とする車両用無線通信システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の車両用無線通信システムにおいて、
前記車載機では、前記緊急信号を受信すると、実行中の処理を継続しながら、前記通報手段により前記緊急通報がなされること、
を特徴とする車両用無線通信システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の車両用無線通信システムにおいて、
前記車載機では、前記緊急信号を受信すると、自装置の状態、及び、自装置に接続された装置の状態であって、自装置が搭載された車両の室内又は周辺から認識可能なものを変化させること無く、前記通報手段により前記緊急通報がなされること、
を特徴とする車両用無線通信システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の車両用無線通信システムにおいて、
前記通報手段は、前記緊急信号を受信した際、自装置にて行われている処理の負荷が大きい場合には、前記通報を行わないこと、
を特徴とする車両用無線通信システム。
【請求項7】
自装置に対応付けられた対応車両に搭載された車載機(20)と無線通信を行い、予め定められた処理を行う携帯機側制御手段(11,12,13)と、
前記処理の実行を指示するための操作部への操作、又は、自装置の筐体の全部或いは一部が破壊されたことに応じて、前記対応車両及び他の車両に搭載された前記車載機に、緊急信号を送信する緊急信号送信手段(S105)と、
を備え、
前記携帯機側制御手段により行われる処理とは、前記対応車両の施錠又は開錠を行うため処理であること、
を特徴とする携帯機(10)。
【請求項8】
自車両に対応付けられた携帯機(10)と無線通信を行い、予め定められた処理を行う車載機側制御手段(21,22,23)と、
自車両に対応付けられた前記携帯機、及び、他車両に対応付けられた前記携帯機が、前記処理の実行を指示するための操作部への操作、又は、当該携帯機の筐体の全部或いは一部が破壊されたことに応じて送信した緊急信号を受信すると、自車両の外部に設けられた外部装置(70)に対し、緊急事態が発生した旨を通報する緊急通報を行う通報手段(S210)と、
を備え、
前記車載機側制御手段により行われる処理とは、前記自車両の施錠又は開錠を行うため処理であること、
を特徴とする車載機(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された車載機と、該車載機と無線通信を行う携帯機とを有する車両用無線通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、犯罪に遭遇した際に所定の操作が行われると、警告音を発し、緊急事態が発生したことを周囲に知らせる装置が知られている。この他にも、犯罪等に遭遇したユーザから特殊な操作を受け付けると、外部に緊急信号を送信する車載機や携帯電話が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−261980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、犯罪に遭遇した際に警告音を発すると、犯人を刺激し、危害を加えられる恐れがある。また、携帯電話や車載機を操作していることが犯人に見つかると、犯人に怪しまれ、操作を妨害されたり、危害を加えられる恐れがある。
【0005】
本願発明は、犯罪等に遭遇した際、安全且つ確実に犯罪等の発生を通報できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みてなされた発明は、車両に搭載された車載機(20)と、車載機と無線通信を行う携帯機(10)とを有する車両用無線通信システム(1)に関するものである。
【0007】
携帯機は、自装置に対応付けられた対応車両に搭載された車載機と無線通信を行い、予め定められた処理を行う携帯機側制御手段(11,12,13)と、ユーザからの指示に応じて、対応車両及び他の車両に搭載された車載機に、緊急信号を送信する緊急信号送信手段(S105)と、を備える。
【0008】
また、車載機は、自車両を対応車両とする携帯機と無線通信を行い、予め定められた処理を行う車載機側制御手段(21,22,23)と、緊急信号を受信すると、自車両の外部に設けられた外部装置(70)に対し、緊急事態が発生した旨を通報する緊急通報を行う通報手段(S210)と、を備える。
【0009】
車両用無線通信システムを構成する携帯機は、自車両に関する処理を行うためのものであるため、犯罪に遭遇した際に被害者が携帯機を所持していても、犯人に警戒されず、犯人に見つからないように携帯機を操作し、通報を行うことができる。
【0010】
また、仮に、携帯機を操作している所を犯人に見られても、犯人は、被害者が何のために携帯機を操作しているかまでは把握できず、犯人を強く刺激することが無い。このため、犯人に操作を妨害されたり、危害を加えられたりする危険性が低くなる。
【0011】
したがって、該携帯機を所持しているユーザは、犯罪等に遭遇した際、安全且つ確実に犯罪等の発生を通報できる。
なお、帯機側制御手段により行われる処理と、車載機側制御手段により行われる処理とは、対応車両の施錠又は開錠を行うため処理であっても良い。
【0012】
このような構成によれば、携帯機は、自車両の施錠や開錠を行うためのものであるため、犯罪に遭遇した際、被害者が携帯機を所持していても、犯人に警戒されることが無くなる。このため、犯人に見つからないように携帯機を操作して通報を行うことができ、安全且つ確実に犯罪等の発生を通報できる。
【0013】
また、上述した車両用無線通信システムを構成する携帯機や車載機を、単体で市場に流通させても良い。このような場合であっても、携帯機と車載機とを組み合わせて車両用無線通信システムを構成することで、同様の効果を得ることができる。
【0014】
なお、この欄及び特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】車両用無線通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】携帯機と車載機の構成を示すブロック図である。
図3】緊急操作検出処理のフローチャートである。
図4】緊急通報処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0017】
[構成の説明]
本実施形態の車両用無線通信システム1は、車両60に搭載された車載機20と、車両60のドライバ等により携帯される携帯機10とを有する(図1参照)。
【0018】
車載機20は、無線通信装置30やナビゲーション装置40等が接続された車内LAN50に接続されている。無線通信装置30は、無線通信(例えば、広域無線通信や衛星通信等)により無線通信回線網にアクセス可能となっており、車内LAN50に接続された装置は、無線通信回線網を介して緊急通報センタ70等に各種情報を送信することができる。なお、緊急通報センタ70は、サーバ等から構成されている。
【0019】
車両用無線通信システム1は、携帯機10への操作に応じて無線通信により車載機20に信号を送信し、当該携帯機10に対応付けられた車両(自車両とも記載)60のドアの施錠,開錠を行うキーレスエントリシステムとして構成されている。また、車両用無線通信システム1は、いわゆるスマートエントリ&スタートシステムとして構成されており、携帯機10の操作をすることなく、自車両60のエンジンの始動やドアの施錠,開錠を可能とする無線認証機能を有する。
【0020】
さらに、車両用無線通信システム1は、携帯機10を所持しているユーザが事件等に遭遇した際に、自車両60や他の車両60に搭載された車載機20により、緊急通報センタ70に緊急事態が発生した旨の通報(緊急通報)を行う通報機能を有している。なお、詳細は後述する。
【0021】
車載機20は、照合ECU21と、送信機22と、受信機23と、ドア開検出スイッチ24と、ドアロックセンサ25と、ドアロック制御装置27とを有する(図2参照)。以後、車載機20が搭載された車両60を、自車両60とも記載する。
【0022】
照合ECU21は、当該照合ECU21を統括制御するCPU21a,ROM21b,RAM21cや、図示しないI/Oや、これらを接続するバスライン等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されている。
【0023】
CPU21aは、ROM21bから読み込んだプログラムに従って処理を実行する。また、ROM21bには、当該車両用無線通信システム1に割り当てられた固有の認証コードが記憶されている。
【0024】
照合ECU21には、送信機22と、受信機23と、ドア開検出スイッチ24と、ドアロックセンサ25と、ドアロック制御装置27とが接続されている。また、照合ECU21は、車内LAN50に接続されている。
【0025】
送信機22は、自車両60の室内及び周辺に設定された検知エリアにて受信可能な強度で、信号を送信する。送信機22は、LF帯の電波(例えば、134kHz近傍の電波)を搬送波とするFM変調又はAM変調を行って、信号を送信する。
【0026】
受信機23は、携帯機10から無線送信される信号を受信する。受信機23は、予め設定された範囲のUHF帯の電波を受信可能に構成されている。
ドア開検出スイッチ24は、自車両60のドアの開閉状態を検出する。
【0027】
ドアロックセンサ25は、自車両60のドアの施錠,開錠状態を検出する。
ドアロック制御装置27は、自車両60のドアの施錠と開錠を行うためのドアロックモータ26を駆動制御する。
【0028】
一方、携帯機10は、CPU11と、受信部12と、送信部13と、操作部14と、記憶部15とを有する(図2参照)。CPU11は、図示しないROM,RAM,I/O等と共に、マイクロコンピュータを構成している。
【0029】
CPU11は、図示しないROMに記憶されたプログラムに従い、当該携帯機10を統括制御する。
受信部12は、送信機22から送信された信号を図示しないアンテナにより受信し、その信号に含まれているデータをCPU11に提供する。
【0030】
送信部13は、CPU11から提供されたデータを含んだ信号を、図示しない送信アンテナから送信する。送信部13は、所定の周波数の搬送波によりFM変調又はAM変調を行い、信号を送信する。搬送波の周波数としては、例えば、UHF帯のうち、300〜400MHz帯(RF帯)の範囲内の周波数が考えられる。
【0031】
操作部14は、自車両60のドアを施錠させる施錠ボタンや、ドアを開錠させる開錠ボタン等が設けられている。
記憶部15は、各種データを記憶する部位であり、当該車両用無線通信システム1に割り当てられた認証コードが記憶されている。また、記憶部15には、携帯機10や車載機20や当該車両用無線通信システム1に固有に割り当てられた識別情報が記憶されていても良い。また、記憶部15は、一例として、電気的にデータ書換可能なフラッシュメモリから構成されていても良い。
【0032】
[動作の説明]
次に、本実施形態の車両用無線通信システム1の動作について説明する。
車両用無線通信システム1の携帯機10は、操作部14の操作に応じて、当該携帯機10のスリープ状態(一部の機能を停止させることで、消費電力を低減させた状態)を解除する。そして、携帯機10のCPU11は、記憶部15に記憶されている認証コードと、自車両60のドアの施錠又は開錠の指示を含む制御信号を送信部13に送信させ、再びスリープ状態となる。
【0033】
一方、車載機20では、受信機23が制御信号を受信すると、照合ECU21にて、制御信号に含まれる認証コードとROM21bに記憶されている認証コードとに基づき認証処理を行う。認証に成功すると、制御信号に含まれる指示に応じて、自車両60のドアの施錠や開錠が行われる。
【0034】
また、車両用無線通信システム1では、以下のようにして、スマートエントリ&スタートシステムとしての無線認証機能が実現される。
まず、車載機20を構成する送信機22は、周期的に送信要求信号を送信し、送信要求信号を送信すると、携帯機10からの応答信号の受信待ち状態となる。
【0035】
他方、携帯機10では、受信部12が送信要求信号を受信すると、当該携帯機10のスリープ状態が解除されて起動状態となり、これに伴い、CPU11は、送信部13に応答信号を送信させる。そして、CPU11は、車載機20からの認証コード要求信号の受信待ち状態となる。
【0036】
次いで、車載機20では、受信機23が応答信号を受信すると、送信機22に対し、携帯機10に認証コードを要求する認証コード要求信号を送信させ、携帯機10からの認証コードを含む認証信号の受信待ち状態となる。
【0037】
他方、携帯機10において、受信部12が認証コード要求信号を受信すると、CPU11は、記憶部15に記憶されている認証コードを含む認証信号を、送信部13に送信させる。
【0038】
そして、車載機20では、受信機23が認証信号を受信すると、照合ECU21にて、認証信号に含まれる認証コードと、ROM21bに記憶されている認証コードとに基づき認証処理を行う。認証に成功すると、自車両60での所定制御の実行が許可された状態とされる。具体的には、ドアの開錠やエンジンの始動等が許可された状態となり、ドアスイッチにタッチされた際にドアが開錠されたり、エンジンスイッチの操作に応じてエンジンの始動制御がなされる状態となる。
【0039】
また、車両用無線通信システム1では、以下のようにして、緊急事態が発生したことを緊急通報センタ70に通報する通報機能が実現される。
すなわち、携帯機10に対して緊急操作がなされると、携帯機10から繰り返し緊急信号が送信される。緊急信号は、自車両60や他の車両60に搭載されている全ての車載機20にて受信可能となっており、緊急信号を受信した車載機20は、無線通信装置30を介して、緊急通報センタ70に緊急通報を行う。
【0040】
ここで、緊急操作とは、例えば、携帯機10の操作部14に対して行われる予め定められた操作であっても良い。但し、このような緊急操作は、携帯機10が所持されている際に、誤って入力されてしまうことが無いような複雑な操作(例えば、施錠ボタンを押した後、X秒以内にY回にわたり開錠ボタンを押す等の操作)であるのが望ましい。さらに、緊急操作は、犯罪等に巻き込まれたユーザが、犯人に怪しまれることなく行うことができる操作であるのが望ましい。
【0041】
この他にも、例えば、携帯機10の筐体の所定の位置に強い力を加えるといった行為を、緊急操作としても良い。このような場合には、例えば、携帯機10に設けられた圧力センサ等からの信号により緊急操作を検出することが考えられる。
【0042】
また、例えば、携帯機10の筐体の全部又は一部を破壊するといった行為を、緊急操作としても良い。このような場合には、例えば、筐体が破壊されると、マイクロコピュータの所定のポートのレベルが変化するよう構成し、該ポートのレベルにより緊急操作を検出することが考えられる。
【0043】
また、例えば、携帯機10を所定回数にわたり所定の速度で振るという行為を、緊急操作としても良い。このような場合には、携帯機10に設けられた加速度センサ等からの信号により緊急操作を検出することが考えられる。
【0044】
無論、これらの操作を組み合わせたものを、緊急操作としても良い。
以下では、緊急通報を行うための処理について、詳しく説明する。
(1)緊急操作検出処理について
まず、携帯機10にて、当該携帯機10に対して行われた緊急操作を検出する緊急操作検出処理について、図3のフローチャートにより説明する。本処理は、緊急操作の検出のために携帯機10のスリープ状態が解除された際に開始される。
【0045】
なお、操作部14への操作を緊急操作とする場合であれば、操作部14を構成するボタンが押された際にスリープ状態を解除しても良い。また、携帯機10の筐体に強い力を加える行為や、携帯機10の筐体を破壊する行為や、携帯機10を振る行為を緊急操作とする場合には、緊急操作の検出のため、定期的なタイミングでスリープ状態を解除しても良い。
【0046】
S100では、携帯機10のCPU11は、上述した方法により緊急操作がなされたか否かを判定する。そして、CPU11は、肯定判定が得られた場合には(S100:Yes)、S105に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S100:No)、本処理を終了する。
【0047】
S105では、CPU11は、送信部13により、緊急事態が発生したことを示す緊急信号を車載機20に送信し、S110に処理を移行する。なお、この時、記憶部15から読みだされた識別情報を含む緊急信号を、車載機20に送信しても良い。
【0048】
S110では、CPU11は、緊急状態に移行し、その後、本処理を終了すると共に、スリープ状態に移行する。
緊急状態となった後は、携帯機10では、予め定められた送信タイミングが到来すると、スリープ状態が一時的に解除され、S105と同様にして車載機20に緊急信号が送信される。緊急状態となった後の緊急信号の送信は、繰り返し行われるようになっており、緊急信号を送信するインターバルは一定であっても良いし、不定であっても良い。
【0049】
また、緊急操作が行われた直後は、緊急信号を送信するインターバルを長くし、緊急操作が行われてからの時間が経過するにつれ、インターバルを短くするようにしても良い。こうすることにより、携帯機10の電力消費を抑えることができる。
【0050】
(2)緊急通報処理について
次に、車載機20が、携帯機10からの緊急信号に応じて緊急通報センタ70に緊急通報を行う緊急通報処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。本処理は、車載機20にて定期的に実行される。
【0051】
S200では、車載機20の照合ECU21は、受信機23にて緊急信号を受信したか否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S200:Yes)、S205に移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S200:No)、本処理を終了する。
【0052】
S205では、照合ECU21は、車載機20の処理負荷が大きいか否かを判定する。具体的には、例えば、車載機20にて予め定められた1又は複数の処理が行われている場合には、処理負荷が大きいとみなしても良い。また、例えば、照合ECU21にて認証処理が実行されている場合や、送信機22にて予め定められたサイズを超えるデータを送信している場合や、予め定められた数を超える複数の処理が並行して行われている場合等には、処理負荷が大きいとみなしても良い。
【0053】
そして、照合ECU21は、否定判定が得られた場合には(S205:No)、S210に処理を移行し、肯定判定が得られた場合には(S205:Yes)、本処理を終了する。
【0054】
S210では、照合ECU21は、無線通信装置30を介して、緊急通報センタ70に緊急事態が発生した旨を送信して緊急通報を行い、本処理を終了する。
緊急通報を行う際、照合ECU21は、現在の年月日時と、自車両60の現在地と、当該車両用無線通信システム1を識別するための情報とのうちの少なくとも一つを、無線通信装置30を介して緊急通報センタ70に送信しても良い。
【0055】
なお、現在の年月日時は、照合ECU21の時計機能により特定されたものであっても良いし、車内LAN50に接続された装置から取得したものであっても良い。なお、現在の年月日時に替えて、現在の年月日や時間帯等を送信しても良い。
【0056】
また、現在地は、車内LAN50を介してナビゲーション装置40から取得したものであっても良い。また、現在地に替えて、自車両60が存在する地域の地名や、走行中の道路の名称等、自車両60の周辺の情報をナビゲーション装置40等から取得し、緊急通報センタ70に送信する構成としても良い。
【0057】
また、当該車両用無線通信システム1を識別するための情報とは、当該車両用無線通信システム1や、携帯機10や、車載機20に固有に設定された識別情報であっても良く、このような識別情報は、照合ECU21のROM21bに記憶されていても良い。また、該識別情報は、携帯機10のROMに記憶されていても良く、緊急信号と共に携帯機10から車載機20に送信される構成としても良い。また、当該車両用無線通信システム1の持ち主の氏名や、自車両60のナンバーや車体番号等を、識別情報としても良い。
【0058】
なお、照合ECU21により緊急通報が行われる際、車載機20では、緊急通報の開始時に実行されていた処理が継続して行われる。
また、緊急通報が行われる際、車載機20は、当該車載機20の状態、及び、車内LAN50等を介して当該車載機20に接続された他の装置の状態であって、自車両60の室内や周辺から、通常の注意力を有する人間に認識可能なものを変化させない。
【0059】
より詳しく説明すると、車載機20は、例えば、当該車載機20に設けられたLED等の表示部を変化させたり、スピーカ等から音声を出力したり、自車両60のドアの施錠や開錠を行ったりすること無く、緊急通報を行う。また、車載機20は、車内LAN50を介して、他の車載装置に対し、LEDや液晶画面等といった表示部の状態を変化させる指示や、スピーカ等からの音声の出力状態を変化させる指示や、各種モータやエンジン等の機械の動作状態を変化させる指示を送信することなく、緊急通報を行う。また、緊急通報を行う際、無線通信装置30にて無線通信が行われている場合には、実行中の無線通信が終了した後に、緊急通報が行われる。
【0060】
こうすることにより、自車両60の室内や周辺に存在する人間は、車載機20にて緊急通報が行われていることを把握できなくなる。したがって、犯罪等に巻き込まれた際に、犯人に気付かれることなく緊急通報を行うことができる。
【0061】
[効果]
本実施形態によれば、車載機20は、携帯機10から緊急信号を受信すると、送信元の携帯機10により自車両60のドアの開錠等が可能であるか否かに関わらず、緊急通報を行う。そして、緊急通報と共に、現在の年月日時と、自車両60の現在地と、車両用無線通信システム1の識別情報とのうちの少なくとも一つが、緊急通報センタ70に送信される。
【0062】
このため、携帯機10を所持するユーザが犯罪等に巻き込まれたことや、犯罪に巻き込まれた時期や場所を特定することが可能となる。また、識別情報に基づき、犯罪等に巻き込まれたユーザの氏名等を把握することが可能となる。
【0063】
また、緊急操作が行われた携帯機10からは、繰り返し緊急信号が送信されるため、携帯機10の近くに車載機20が存在していれば、緊急信号が送信される度に該車載機20から緊急通報センタ70に緊急通報がなされる。
【0064】
したがって、犯罪等に巻き込まれたユーザが犯人に連れ去られたとしても、携帯機10が存在する場所や移動経路を特定することができ、ユーザや犯人の居場所を突き止めるための手がかりを得ることができる。
【0065】
また、車載機20は、携帯機10から緊急信号を受信しても、実行中の処理の負荷が大きい場合には緊急通報を実施しないため、緊急通報により実行中の処理が妨げられることは無い。このため、自車両60の室内や周辺に存在する人間に、車載機20にて緊急通報がなされたことを悟られることが無く、犯罪等に巻き込まれた際に、緊急通報がなされたことを犯人に気付かれないようにすることができる。
【0066】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
【0067】
(1)本実施形態では、キーレスエントリシステム、及び、スマートエントリ&スタートシステムとしての車両用無線通信システム1に本発明に係る通報機能を設けた場合を例に挙げて、本発明について説明した。しかしながら、本発明に係る通報機能は、このような車両用無線通信システム1に限らず、他の機能を実現するために無線通信を行う携帯機と車載機とから構成されるシステムにも適用することができる。
【0068】
(2)本実施形態の車両用無線通信システム1では、車載機20は、車内LAN50に接続された無線通信装置30により緊急通報センタ70に緊急通報を行う構成となっている。しかしながら、これに限らず、車載機20に設けられた無線通信部により、緊急通報センタ70に緊急通報を行う構成としても良い。このような場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0069】
(3)本実施形態の緊急通報処理は、緊急信号を受信した車載機20は、その時点における処理負荷が大きい場合には緊急通報を実施しない構成となっている。緊急信号を受信した際の処理負荷が大きい場合には、車載機20は、該緊急信号の受信後、処理負荷が低下した時点で緊急通報を実施しても良い。こうすることにより、犯人に気付かれること無く、確実に緊急通報を行うことができる。
【0070】
また、緊急信号を受信した車載機20は、処理負荷の大きさに関わらず、緊急通報を実施しても良い。こうすることにより、確実に緊急通報を行うことができる。
(4)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を、課題を解決できる限りにおいて省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【0071】
(5)上述した車両用無線通信システム1の他、当該システムを構成する携帯機10や車載機20としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、車両用無線通信システム1により実現される方法など、種々の形態で本発明を実現することもできる。
【0072】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
【0073】
緊急通報センタ70が、外部装置の一例に相当する。
また、携帯機10のCPU11,受信部12,送信部13が、携帯機側制御手段の一例に、車載機20の照合ECU21,送信機22,受信機23が、車載機側制御手段の一例に相当する。
【0074】
また、緊急操作検出処理のS105が、緊急信号送信手段の一例に、緊急通報処理のS210が、通報手段の一例に相当する。
【符号の説明】
【0075】
1…車両用無線通信システム、10…携帯機、11…CPU、12…受信部、13…送信部、14…操作部、20…車載機、21…照合ECU、22…送信機、23…受信機、24…ドア開検出スイッチ、25…ドアロックセンサ、26…ドアロックモータ、27…ドアロック制御装置、30…無線通信装置、40…ナビゲーション装置、50…車内LAN、60…車両、70…緊急通報センタ。
図1
図2
図3
図4