(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
<運転支援システム100の概略構成>
図1は、本発明が適用された運転支援システム100の概略的な構成の一例を示す図である。運転支援システム100は、車両に搭載されるものであり、
図1に示すように運転支援ECU1、カメラ2、車両状態センサ群3、操作スイッチ群4、表示装置5、エンジンECU6、ブレーキECU7、及びボデーECU8を含んでいる。運転支援システム100を搭載している車両を以降では自車と呼ぶ。
【0013】
カメラ2は、自車に設置されて自車周辺を撮像する。このカメラ2が請求項の撮像装置に相当する。本実施形態では、カメラ2としては、自車前方所定角範囲を撮像する前方カメラと、自車後方所定角範囲を撮像する後方カメラと、自車左側方所定角範囲を撮像する左側方カメラと、自車右側所定角範囲を撮像する右側方カメラとを用いる場合を例に挙げて説明を行う。カメラ2は、前方カメラ、後方カメラ、左側方カメラ、及び右側方カメラによって自車の全周囲の路面を撮像範囲としているものとする。
【0014】
車両状態センサ群3は、自車の車両状態を検出する各種センサ群である。車両状態センサ群3には、例えば自車の車速を検出する車速センサ、自車のシフトポジションを検出するシフトポジションセンサ、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ、舵角を検出する舵角センサなどが含まれる。操作スイッチ群4は、例えばステアリング周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等である。
【0015】
表示装置5は、運転支援ECU1の指示に従ってテキストや画像を表示する。例えば表示装置5は、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ等を用いて構成することができる。表示装置5としては、インストゥルメントパネル等に設けたディスプレイを用いる構成としてもよいし、HUD(Head-Up Display)を用いる構成としてもよい。
【0016】
エンジンECU6は、自車のエンジンのバルブタイミング、燃料噴射量、点火時期などを制御することで自車を加速させる。ブレーキECU7は、自車に制動力を印加するブレーキアクチュエータを制御することで自車を減速させる。ボデーECU8は、ヘッドライトやハザードランプ等の照明、ドアの施解錠、パワーウインドウ等を制御する。
【0017】
運転支援ECU1は、主にマイクロコンピュータとして構成され、いずれも周知のCPU、ROMやRAM等のメモリ、I/O、及びこれらを接続するバスによって構成される。運転支援ECU1は、カメラ2、車両状態センサ群3、操作スイッチ群4などから入力された各種情報に基づき、各種処理を実行する。この運転支援ECU1が、請求項の運転支援装置に相当する。
【0018】
なお、運転支援ECU1が実行する機能の一部又は全部を、一つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、運転支援ECU1は必ずしも一つのECUからなる構成に限らず、複数のECUからなる構成としてもよい。
【0019】
<実施形態1の運転支援ECU1の詳細構成>
図2に示すように、運転支援ECU1は、発進検出部11、撮像画像取得部12、画像変換部13、白線認識部14、駐車枠特定部15、重なり度合い特定部16、速度制限部17、表示処理部18、及び点灯処理部19を備えている。
【0020】
発進検出部11は、自車の駐車からの発進を検出する。一例としては、シフトポジションが駐車位置から前進位置や後退位置に移ったことを車両状態センサ群3のうちのシフトポジションセンサの信号から検出したことをもとに、駐車からの発進を検出する。他にも、車両状態センサ群3のうちのエンジン回転数センサの信号からエンジンが始動したことを検出した場合に、駐車からの発進を検出する構成としてもよいし、これらの条件を組み合わせて駐車からの発進を検出する構成としてもよい。
【0021】
撮像画像取得部12は、カメラ2で撮像された撮像画像を逐次取得する。本実施形態では、前方カメラ、後方カメラ、左側方カメラ、右側方カメラのそれぞれで撮像された撮像画像を逐次取得する。
【0022】
画像変換部13は、撮像画像取得部12で取得した前方カメラ、後方カメラ、左側方カメラ、右側方カメラのそれぞれの撮像画像を、周知の座標変換式を用いることにより、自車上方の仮想視点を視点位置として、路面上の座標系である地表面座標系の画像データ(つまり、地上面を鉛直方向に見下ろした鳥瞰画像)へと変換する。
【0023】
そして、画像変換部13は、前方カメラ、後方カメラ、左側方カメラ、右側方カメラのそれぞれの鳥瞰画像を、周知の変換式を用いることによって回転移動及び平行移動させ、一つの座標平面上に配置(つまり、一枚の画像とみなせるように鳥瞰画像を配置)し、それらの鳥瞰画像を合成した合成画像を生成する。なお、画像変換部13は、撮像画像にレンズ歪み補正などの必要な画像処理を施してから、鳥瞰画像に変換する構成としてもよい。
【0024】
また、画像変換部13は、合成画像を生成する場合に、予め運転支援ECU1のメモリに記憶しておいた自車の画像を読み出して、自車の位置に該当する箇所に配置し、鳥瞰画像とともに合成する。
【0025】
合成画像における自車の位置は、撮像画像に自車の一部が含まれている場合には、撮像画像に含まれている自車の一部から特定する構成とすればよい。なお、撮像画像に自車の一部が含まれていない場合であっても、合成画像における自車の位置を特定することはできる。詳しくは、以下の通りである。
【0026】
自車に対するカメラ2の設置位置及び光軸の向きが決まれば、撮像画像中での位置とカメラ2の設置位置との対応関係を特定することができる。よって、自車に対するカメラ2の設置位置及び光軸の向きから、合成画像中での位置に対するカメラ2の位置も特定することができる。また、自車に対するカメラ2の設置位置から、カメラ2の設置位置に対する自車の位置が特定できるので、合成画像中での位置に対するカメラ2の位置から、合成画像における自車の位置も特定できる。
【0027】
白線認識部14は、画像変換部13で得られた合成画像から、公知のエッジ検出等の手法を用いて白線を認識する。本実施形態では、駐車の対象とする駐車枠は2本の並行した白線によって囲まれた駐車枠であり、白線認識部14では2本の並行した白線が認識される場合を例に挙げて以降の説明を行う。
【0028】
駐車枠特定部15は、白線認識部14で認識した白線をもとに駐車枠を特定する。具体例について、
図3及び
図4を用いて説明を行う。
図3は駐車枠線が真っ直ぐに引かれている駐車枠の例であって、
図4は駐車枠線が斜めに引かれている駐車枠の例である。
【0029】
駐車枠特定部15は、白線認識部14で認識した2本の白線(
図3及び
図4のA参照)からそれぞれの白線の端部(
図3及び
図4のB参照)を検出し、検出した4つの端部を頂点とする矩形を特定する。なお、4つの端部を頂点とする矩形のお互いに対向する辺同士の長さに顕著な差が認められる場合には、白線の欠落があるものとして、長い方の辺に長さを合わせるようにして駐車枠を特定する構成とすればよい。これによれば、駐車枠の実際の4つの頂点のうちの一部が白線認識部14で認識できていなかった場合でも、精度良く駐車枠を特定することが可能になる。
【0030】
続いて、特定した矩形の1組の長手方向の辺の長さ(
図3及び
図4のC参照)や特定した矩形の1組の短手方向の辺の長さ(
図3及び
図4のD参照)が駐車枠の辺としての長さに収まっている場合には、特定した矩形を駐車枠(
図3及び
図4のE参照)と特定する。一方、特定した矩形の辺の長さが駐車枠の辺の長さから逸脱している場合(例えば短手方向の辺が2.75m以上など)には、特定した矩形を駐車枠と特定せず、制御対象外とする。
【0031】
なお、2本の並行した白線とその2本の白線を繋ぐ1本若しくは2本の白線とで囲まれた駐車枠を対象とした場合でも、白線と白線とがなす角や白線の端部を前述した4つの頂点として用いることで、前述したのと同様にして駐車枠特定部15で駐車枠を特定する構成とすればよい。
【0032】
重なり度合い特定部16は、画像変換部13で得られた合成画像と駐車枠特定部15で特定した駐車枠とをもとに、駐車枠と自車との重なり度合いを特定する。具体例としては、画像変換部13で得られた合成画像中における駐車枠特定部15で特定した駐車枠の領域のうちの、その合成画像中の自車が重なっている領域の割合を重なり度合いとして特定する。
【0033】
つまり、
図5に示すように、駐車枠(
図5のE参照)の面積のうち、自車(
図5のHV参照)と駐車枠とが重なっている領域(
図5のPi参照)の面積の割合(%)を重なり度合いとして特定する。本実施形態の例としては、合成画像中の駐車枠の総ピクセル数に対する、合成画像中の自車と駐車枠とが重なっている領域の総ピクセル数の割合を、重なり度合いとして特定する。
【0034】
なお、駐車枠と自車との重なり度合いは、自車の面積に対する、自車と駐車枠とが重なっている領域(
図5のPi参照)の面積の割合としてもよい。また、速度制限部17、表示処理部18、及び点灯処理部19については、後に詳述する。
【0035】
<実施形態1における駐車枠発進時支援処理>
ここで、運転支援ECU1での駐車枠発進時支援処理について
図3のフローチャートを用いて説明を行う。駐車枠発進時支援処理は、駐車枠に駐車した自車を発進させる際に急加速を抑制する処理である。
図6のフローチャートは、一例として、自車のイグニッション電源がオンになったときに開始される。
【0036】
まず、ステップS1では、発進検出部11が、自車の駐車からの発進を検出した場合(S1でYES)には、ステップS3に移る。一方、自車の駐車からの発進を検出しなかった場合(S1でNO)には、ステップS2に移る。発進は前進によるものでも後退によるものでもよい。
【0037】
ステップS2では、駐車枠発進時支援処理の終了タイミングである場合(S2でYES)には、駐車枠発進時支援処理を終了する。また、駐車枠発進時支援処理の終了タイミングでない場合(S2でNO)には、S1に戻って処理を繰り返す。ここでの駐車枠発進時支援処理の終了タイミングの一例としては、自車のイグニッション電源がオフになったときなどがある。
【0038】
ステップS3では、撮像画像取得部12が、前方カメラ、後方カメラ、左側方カメラ、右側方カメラのそれぞれで撮像された撮像画像を取得する。
【0039】
ステップS4では、画像変換部13が、S3で取得した前方カメラ、後方カメラ、左側方カメラ、右側方カメラのそれぞれの撮像画像を鳥瞰画像へと変換し、それらの鳥瞰画像を合成した合成画像を生成する。ステップS5では、白線認識部14が、S4で得られた合成画像から白線を認識する。ステップS6では、駐車枠特定部15が、S5で認識した白線をもとに駐車枠を特定する。
【0040】
ステップS7では、重なり度合い特定部16が、S4で得られた合成画像と、S5で特定した駐車枠とをもとに、駐車枠と自車との重なり度合いを特定する。ステップS8では、S7で特定した重なり度合いが所定値以上であった場合(S8でYES)に、ステップS9に移る。一方、S7で特定した重なり度合いが所定値未満であった場合(S8でNO)に、ステップS12に移る。ここで言うところの所定値とは任意に設定可能な値であって、例えば20%などとすればよい。
【0041】
ステップS9では、速度制限部17が、重なり度合い特定部16で特定した重なり度合いが大きくなるのに応じて、自車の車速の上限値を段階的に低く制限する。例えば、重なり度合いが50%以上の場合は車速の上限値を2km/h、30%以上且つ50%未満の場合は3km/h、0%より大きく且つ30%未満の場合は5km/h、0%で制限なしなどとすればよい。
【0042】
自車の車速の上限値を制限した場合には、速度制限部17がエンジンECU6に指示を行い、制限した上限値までの車速に収まるように加速を制限させる。また、制限した上限値までの車速に収まるように制動を行う必要のある場合には、速度制限部17がブレーキECU7に指示を行う、制限した上限値までの車速に収まるように制動力を印加させる。
【0043】
ステップS10では、表示処理部18が、自車の車速を制限中であることを示す表示を表示装置5に行わせる。つまり、速度制限部17で自車の車速を制限する場合に、自車の車速を制限中であることを示す表示を表示装置5に行わせる。一例としては、自車の車速を制限中であることを示すテキストやアイコンを表示装置5に表示させる構成とすればよい。これによれば、自車の車速を制限中であることを自車のドライバが認識できる。表示処理部18が、請求項の表示制御部に相当する。
【0044】
ステップS11では、点灯処理部19が、ボデーECU8に指示を行い、ハザードランプを点灯させる。つまり、速度制限部17で自車の車速を制限する場合にハザードランプを点灯させる。これによれば、自車の車速が制限中であって自車の移動が緩やかな場合でも、自車が運転中であることを自車の周辺のドライバや歩行者が認識しやすくなる。
【0045】
ステップS12では、駐車枠発進時支援処理の終了タイミングである場合(S12でYES)には、駐車枠発進時支援処理を終了する。また、駐車枠発進時支援処理の終了タイミングでない場合(S12でNO)には、S3に戻って処理を繰り返す。ここでの駐車枠発進時支援処理の終了タイミングの一例としては、自車の現在位置と駐車領域記憶部63に記憶されている対象駐車領域の位置とが、例えば前述の所定距離以上となったときや、自車のイグニッション電源がオフになったときなどがある。
【0046】
なお、駐車枠発進時支援処理を実行するか否かは、操作スイッチ群4によって切り換え可能であるものとする。また、自車の車速が制限中であることを示す表示の有無や自車の車速が制限中におけるハザードランプの点灯の有無も、操作スイッチ群4によって切り換え可能であるものとする。
【0047】
<実施形態1のまとめ>
実施形態1の構成によれば、駐車からの自車の発進時において、自車の駐車枠への重なり度合いが所定値以上であった場合に、車速を所定の上限値以下に制限するので、駐車枠からの発進時における急加速を抑制することが可能になる。
【0048】
また、自車の駐車枠への重なり度合いが大きくなるのに応じて、自車の車速の上限値を段階的に低く制限するので、発進時における自車の車速を制限しながらも、自車が駐車枠からはみ出ていくほど自車の車速を上げていくことができるようになる。よって、徐々に車速を上げながら駐車枠から発進することができるようになり、発進時における急加速を抑えながらも、円滑に発進できるようにすることが可能になる。
【0049】
さらに、実施形態1の構成によれば、既存のアクセル装置の部品を追加する必要がないので、アクセル装置の機械的な仕組みが複雑になるのを抑えながら、駐車枠からの発進時における急加速を抑制することも可能になる。その結果、アクセル装置の機械的な仕組みが複雑になるのを抑えながら、駐車枠からの発進時における急加速を抑制することが可能になる。
【0050】
また、従来、車両前方の所定距離内の障害物を検出して障害物方向への急加速を抑制する技術も知られているが、この技術では、周囲に障害物がなければ駐車枠からの発進時における自車の急加速が可能となる。自車の周囲に障害物がない場合であっても、ブレーキペダルとアクセルペダルとの踏み間違い等によって自車の急加速が生じる場合には、ドライバがパニックを起こしたり、このパニックによる更なる運転操作の誤りが生じたりするおそれがある。これに対して、実施形態1の構成によれば、自車の周囲に障害物がない場合であっても、駐車枠からの自車の発進時における急加速を抑制することが可能になるという利点がある。
【0051】
(変形例1)
実施形態1の
図6のフローチャートでは、S12で駐車枠発進時支援処理の終了タイミングでない場合に、S3に戻って処理を繰り返す構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、S12で駐車枠発進時支援処理の終了タイミングでない場合に、S7に戻って処理を繰り返す構成(以下、変形例1)としてもよい。なお、説明の便宜上、この変形例1以降の説明において、それまでの実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
変形例1の構成とする場合には、S12から戻って行うS7の処理において、重なり度合い特定部16が、前回のS7の処理からの自車位置の変化を推定し、推定した自車位置と、S4で得られた合成画像と、S5で特定した駐車枠とをもとに、駐車枠と自車との重なり度合いを特定する構成とすればよい。自車位置の変化は、前回のS7の処理から今回のS7の処理までの車速及び舵角の時系列データから推測する構成とすればよい。なお、車速及び舵角は車両状態センサ群3から逐次取得しておく構成とすればよい。
【0053】
変形例1の構成によれば、カメラ2から撮像画像を逐次取得したり、取得した撮像画像から画像変換や画像合成や白線認識や駐車枠特定を逐次行ったりする必要がなくなる。よって、画像変換や画像合成や白線認識や駐車枠特定を逐次行うことによる処理負荷を低減することが可能になる。
【0054】
(変形例2)
実施形態1では、駐車枠に駐車した自車を発進させる際に急加速を抑制する場合の例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、駐車枠に自車を駐車させる際にも急加速を抑制する構成(以下、変形例2)としてもよい。以下では、この変形例2について説明を行う。
【0055】
変形例2の運転支援システム100は、運転支援ECU1に駐車開始検出部20及び履歴記憶部21を備える点、及び駐車枠に自車を駐車させる際に急加速を抑制する駐車枠駐車時支援処理を運転支援ECU1で行う点を除けば、実施形態1の運転支援システム100と同様である。
【0056】
<変形例2の運転支援ECU1の詳細構成>
ここで、
図7を用いて、変形例2の運転支援ECU1について説明を行う。変形例2の運転支援ECU1は、発進検出部11、撮像画像取得部12、画像変換部13、白線認識部14、駐車枠特定部15、重なり度合い特定部16、速度制限部17、表示処理部18、点灯処理部19、駐車開始検出部20、及び履歴記憶部21を備えている。
【0057】
駐車開始検出部20は、自車の駐車開始を検出する。一例としては、車速が徐行程度の速度以下、且つ、シフトポジションが後退位置に移ったことをもとに、自車の後退での駐車開始を検出する。車速については車両状態センサ群3のうちの車速センサの信号から検出し、シフトポジションについては車両状態センサ群3のうちのシフトポジションセンサの信号から検出する構成とすればよい。また、操作スイッチ群4のうちの、駐車枠駐車時支援処理の開始をドライバが要求するためのスイッチの操作があったことをもとに、自車の駐車開始を検出する構成としてもよい。なお、履歴記憶部21については後に詳述する。
【0058】
<駐車枠駐車時支援処理>
続いて、運転支援ECU1での駐車枠駐車時支援処理について
図8のフローチャートを用いて説明を行う。
図8のフローチャートは、一例として、自車の車速が徐行程度の速度を超えたときに開始される構成とすればよい。
【0059】
まず、ステップS21では、駐車開始検出部20が、自車の駐車開始を検出した場合(S21でYES)には、ステップS23に移る。一方、自車の駐車開始を検出しなかった場合(S21でNO)には、ステップS22に移る。駐車は前進によるものでも後退によるものでもよい。
【0060】
ステップS22では、駐車枠駐車時支援処理の終了タイミングである場合(S22でYES)には、駐車枠駐車時支援処理を終了する。また、駐車枠駐車時支援処理の終了タイミングでない場合(ステップS22でNO)には、S21に戻って処理を繰り返す。ここでの駐車枠駐車時支援処理の終了タイミングの一例としては、自車の車速が徐行程度の速度を超えたときなどがある。
【0061】
ステップS23では、撮像画像取得部12が、前方カメラ、後方カメラ、左側方カメラ、右側方カメラのそれぞれで撮像された撮像画像を取得する。ステップS24では、画像変換部13が、S23で取得した前方カメラ、後方カメラ、左側方カメラ、右側方カメラのそれぞれの撮像画像を鳥瞰画像へと変換し、それらの鳥瞰画像を合成した合成画像を生成する。ステップS25では、白線認識部14が、S24で得られた合成画像から白線を認識する。ステップS26では、駐車枠特定部15が、S25で認識した白線をもとに駐車枠を特定する。
【0062】
ステップS27では、重なり度合い特定部16が、S24で得られた合成画像と、S25で特定した駐車枠とをもとに、駐車枠と自車との重なり度合いを特定する。ステップS28では、S8と同様にして、S27で特定した重なり度合いが所定値以上であった場合(S28でYES)に、ステップS29に移る。一方、S27で特定した重なり度合いが所定値未満であった場合(S28でNO)に、ステップS12に移る。
【0063】
ステップS29では、S9と同様にして、速度制限部17が、重なり度合い特定部16で特定した重なり度合いが大きくなるのに応じて、自車の車速の上限値を段階的に低く制限する。ステップS30では、S10と同様にして、表示処理部18が、自車の車速を制限中であることを示す表示を表示装置5に行わせる。ステップS31では、S11と同様にして、点灯処理部19が、ボデーECU8に指示を行い、ハザードランプを点灯させる。
【0064】
ステップS32では、駐車枠駐車時支援処理の終了タイミングである場合(S32でYES)には、ステップS33に移る。また、駐車枠駐車時支援処理の終了タイミングでない場合(S32でNO)には、S23に戻って処理を繰り返す。ここでの駐車枠駐車時支援処理の終了タイミングの一例としては、自車のシフトポジションが駐車位置となったときや、自車のイグニッション電源がオフになったときなどがある。
【0065】
ステップS33では、駐車枠特定部15が、直近のS26の処理で特定した駐車枠を履歴記憶部21に記憶する。つまり、自車が駐車枠に駐車完了した時点で特定していた駐車枠を履歴記憶部21に記憶する。この履歴記憶部21が請求項の記憶部に相当する。駐車枠を履歴記憶部21に記憶する場合には、自車の位置に対する駐車枠の位置を記憶する構成とすればよい。S33の処理が完了した後は、駐車枠駐車時支援処理を終了する。
【0066】
<変形例2における駐車枠発進時支援処理>
続いて、変形例2における運転支援ECU1での駐車枠発進時支援処理について
図9のフローチャートを用いて説明を行う。
図9のフローチャートは、一例として、自車のイグニッション電源がオンになったときに開始される。
【0067】
まず、ステップS41では、S1と同様にして、発進検出部11が自車の駐車からの発進を検出した場合(S41でYES)には、ステップS43に移る。一方、自車の駐車からの発進を検出しなかった場合(S41でNO)には、ステップS42に移る。
【0068】
ステップS42では、S2と同様にして、駐車枠発進時支援処理の終了タイミングである場合(S42でYES)には、駐車枠発進時支援処理を終了する。また、駐車枠発進時支援処理の終了タイミングでない場合(S42でNO)には、S41に戻って処理を繰り返す。
【0069】
ステップS43では、駐車枠駐車時支援処理において履歴記憶部21に記憶された、自車が駐車枠に駐車完了した時点で特定していた駐車枠を重なり度合い特定部16が読み出す。ステップS44では、重なり度合い特定部16が、S43で履歴記憶部21から読み出した、自車が駐車枠に駐車完了した時点で特定していた駐車枠をもとに、S7と同様にして、駐車枠と自車との重なり度合いを特定する。
【0070】
ステップS45では、S8と同様にして、重なり度合い特定部16で特定した重なり度合いが所定値以上であった場合(S45でYES)に、ステップS46に移る。一方、重なり度合いが所定値未満であった場合(S45でNO)に、ステップS49に移る。
【0071】
ステップS46〜ステップS48の処理については、S9〜S11の処理と同様である。ステップS49では、S12と同様にして、駐車枠発進時支援処理の終了タイミングである場合(S49でYES)には、駐車枠発進時支援処理を終了する。また、駐車枠発進時支援処理の終了タイミングでない場合(S49でNO)には、ステップS50に移る。
【0072】
ステップS50〜ステップS54の処理については、S3〜S7の処理と同様である。S54の処理の後は、S45に戻って処理を繰り返す。
【0073】
なお、駐車枠駐車時支援処理や駐車枠発進時支援処理を実行するか否かは、操作スイッチ群4によって切り換え可能であるものとする。例えば、駐車枠駐車時支援処理と駐車枠発進時支援処理との一方だけを実行するように操作スイッチ群4によって切り換え可能であるものとする。
【0074】
<変形例2のまとめ>
変形例2の構成によれば、駐車時において、自車の駐車枠への重なり度合いが所定値以上であった場合に、車速を所定の上限値以下に制限するので、駐車時における急加速を抑制することが可能になる。
【0075】
また、自車の駐車枠への重なり度合いが大きくなるのに応じて、自車の車速の上限値を段階的に低く制限するので、駐車時における自車の車速を制限しながらも、自車が駐車枠に進入していくほど自車の車速を下げていくことができるようになる。よって、徐々に車速を下げながら駐車枠に進入することができるようになり、駐車時における急加速を抑えながらも、円滑に駐車できるようにすることが可能になる。
【0076】
他にも、変形例2の構成によれば、自車の駐車からの発進を検出した場合に、自車が駐車枠に駐車完了した時点で特定していた駐車枠を履歴記憶部21から重なり度合い特定部16が読み出し、読み出した駐車枠をもとに駐車枠と自車との重なり度合いを特定する。よって、自車の駐車からの発進を検出した場合に、カメラ2で撮像された撮像画像を新たに取得し、画像変換、画像合成、白線認識、駐車枠特定を行って、駐車枠と自車との重なり度合いを特定する手間を省くことが可能になり、処理負荷を低減すること可能になる。
【0077】
さらに、変形例2の構成によっても、既存のアクセル装置の部品を追加する必要がないので、アクセル装置の機械的な仕組みが複雑になるのを抑えながら、駐車枠からの発進時における急加速を抑制することも可能になる。その結果、アクセル装置の機械的な仕組みが複雑になるのを抑えながら、駐車時における急加速を抑制することが可能になる。
【0078】
(変形例3)
変形例2の
図8のフローチャートにおいて、例えば、S32で駐車枠駐車時支援処理の終了タイミングでない場合に、S27に戻って処理を繰り返す構成としてもよい。この場合、変形例1と同様に、重なり度合い特定部16が、前回のS27の処理からの自車位置の変化を推定し、推定した自車位置と、S24で得られた合成画像と、S25で特定した駐車枠とをもとに、駐車枠と自車との重なり度合いを特定する構成とすればよい。
【0079】
(変形例4)
変形例2では、駐車枠発進時支援処理において、自車の駐車からの発進を検出した場合に、自車が駐車枠に駐車完了した時点で特定していた駐車枠をもとに駐車枠と自車との重なり度合いを特定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、実施形態1における駐車枠発進時支援処理と同様に、自車の駐車からの発進を検出した場合に、カメラ2で撮像された撮像画像を取得し、画像変換、画像合成、白線認識、駐車枠特定を行って、駐車枠と自車との重なり度合いを特定する構成としてもよい。
【0080】
(変形例5)
変形例2では、駐車枠発進時支援処理と駐車枠駐車時支援処理との両方を実行する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、駐車枠発進時支援処理と駐車枠駐車時支援処理とのうちの駐車枠駐車時支援処理のみを実行する構成としてもよい。駐車枠駐車時支援処理のみを実行する構成とした場合、
図8のフローチャートにおけるS33の処理は省略する構成としてもよい。
【0081】
(変形例6)
また、前述の実施形態では、重なり度合い特定部16で特定した重なり度合いが所定値以上であった場合に、重なり度合いが大きくなるのに応じて、自車の車速の上限値を段階的に低く制限する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、重なり度合い特定部16で特定した重なり度合いが所定値以上であった場合に、自車の車速の上限値を所定の固定値に制限する構成としてもよい。
【0082】
(変形例7)
また、前述の実施形態では、自車と駐車枠とが重なっている領域の面積の割合を重なり度合いとして特定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自車と駐車枠との自車前後方向の重なりの長さの割合を重なり度合いとして特定する構成(以下、変形例7)としてもよい。
【0083】
ここで、
図10を用いて、変形例7について説明を行う。
図10のAが白線、Eが駐車枠特定部15で特定された駐車枠、HVが自車、Fが自車の前後方向の長さ(つまり、車長)、Gが自車と駐車枠との自車前後方向の重なりの長さを示している。変形例7では、自車HVの車長Fのうち、自車HVと駐車枠Eとの自車前後方向の重なりの長さGの割合(%)を重なり度合いとして特定する。
【0084】
なお、自車と駐車枠との自車前後方向の重なりの長さの割合は、駐車枠の長手方向の長さに対する、自車と駐車枠との自車前後方向の重なりの長さ(
図10のG参照)の割合としてもよい。
【0085】
(変形例8)
また、自車と駐車枠とが重なっている領域の面積や、自車と駐車枠との自車前後方向の重なりの長さの割合を重なり度合いとして特定する構成に限らず、自車と駐車枠とが重なっている領域の面積や、自車と駐車枠との自車前後方向の重なりの長さそのものを重なり度合いとして特定する構成としてもよい。
【0086】
(変形例9)
前述の実施形態では、カメラ2として、前方カメラ、後方カメラ、左側方カメラ、右側方カメラの4つのカメラを用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、カメラ2として3つのカメラや2つのカメラや1つのカメラだけを用いる構成としてもよい。
【0087】
例えば、カメラ2として3つのカメラを用いる構成とする場合には、自車の前方から右側方までの所定角範囲を撮像するカメラと、自車の前方から左側方までの所定角範囲を撮像するカメラと、前述の後方カメラとを用いて、自車の全周囲の路面を撮像範囲とする構成とすればよい。
【0088】
また、カメラ2として2つのカメラを用いる構成とする場合には、前述の前方カメラと後方カメラとの組を用いたり、前述の左側方カメラと右側方カメラとの組を用いたりする構成とすればよい。この場合、前方カメラと後方カメラとの組では、自車の左右の所定角範囲が撮像範囲から外れ、左側方カメラと右側方カメラとの組では、自車の前後の所定角範囲が撮像範囲から外れることになる。しかしながら、撮像範囲から外れた範囲に含まれる駐車枠の白線については、前述したように、自車に対するカメラ2の設置位置及び光軸の向きから、撮像画像中での位置とカメラ2の設置位置との対応関係を特定することができるため、自車長や自車幅を用いて推定することができる。よって、カメラ2として2つのカメラを用いる構成とした場合でも、駐車枠を特定することができる。
【0089】
また、カメラ2として1つのカメラしか用いない構成とする場合には、その1つのカメラで逐次撮像した時系列に並んだ複数枚の撮像画像の鳥瞰画像を一枚の画像とみなせるように配置して合成した合成画像を得ることで、その合成画像をもとに白線認識や駐車枠特定を行う構成とすればよい。これによれば、1つのカメラで1度の撮像によって得られる撮像画像中からは、駐車枠の白線の前述した4つの頂点のうちの1つや2つしか検出できない場合であっても、時系列に並んだ複数枚の撮像画像の鳥瞰画像を合成した合成画像を用いることで、4つの頂点のうちの3つ以上を検出できるようにして、駐車枠の特定を可能にできる。
【0090】
(変形例10)
前述の実施形態では、撮像画像を鳥瞰変換した鳥瞰画像を用いて自車と駐車枠との重なりの度合いを特定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、撮像画像を鳥瞰変換した鳥瞰画像を用いずに、自車と駐車枠との重なりの度合いを特定する構成としてもよい。
【0091】
(変形例11)
前述の実施形態では、運転支援システム100をエンジン車に搭載する場合を例に挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。例えば、運転支援システム100を電気自動車やハイブリッド車に搭載する構成としてもよい。運転支援システム100を電気自動車やハイブリッド車に搭載する場合には、エンジン回転数の代わりに走行用モータの回転数を用いる構成とすればよい。
【0092】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。