(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(B2)窒素原子を有する分散剤が、(メタ)アクリル系分散剤及びポリエステル系分散剤であって、アミノ基、四級アンモニウム、アミド基及びイミノ基から選ばれる1以上の特性基を有する分散剤、並びにウレタン系分散剤のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載の着色組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
着色組成物
以下、本発明の着色組成物の構成成分について詳細に説明する。
【0016】
−(A)着色剤−
本発明の着色組成物は、(A)着色剤として、下記式(1)で表される顔料を含む。
【0018】
〔式(1)において、R
1及びR
2は相互に独立に、塩素原子又は臭素原子を表す。〕
【0019】
R
1及びR
2は共に塩素原子であるか、又はR
1及びR
2は共に臭素原子であることが好ましく、R
1及びR
2が共に臭素原子であることがより好ましい。なお、下記式(1)で表される顔料は、公知の方法で製造することが可能であり、例えば、R
1及びR
2が共に臭素原子である顔料は、国際公開第2009/144115号パンフレット等に記載の方法により製造することができる。
【0020】
本発明の着色組成物は、式(1)で表される顔料以外の着色剤(以下、「他の着色剤」とも称する。)を含むこともできる。他の着色剤としては、特に限定されるものではなく、用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができ、式(1)で表される顔料以外の顔料、染料及び天然色素の何れをも使用することができる。中でも、輝度及び色純度の高い画素を得るという意味においては、有機顔料、有機染料が好ましい。
【0021】
上記有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物が挙げられるが、中でも、特開2001−081348号公報、特開2010−026334号公報、特開2010−191304号公報、特開2010−237384号公報、特開2010−237569号公報、特開2011−006602号公報、特開2011−145346号公報等に記載のレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー80、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントイエロー215、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントバイオレット23等のレーキ顔料以外の有機顔料が好ましい。また、レーキ顔料の中では、トリアリールメタン系レーキ顔料、キサンテン系レーキ顔料、アゾ系レーキ顔料が好ましく、トリアリールメタン系レーキ顔料及びキサンテン系レーキ顔料がより好ましい。
【0022】
本発明において、式(1)で表される顔料及び任意に使用する他の顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用してもよい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0023】
本発明において、式(1)で表される顔料及び任意に使用する他の顔料と共に、更に公知の分散助剤を含有せしめることができる。公知の分散助剤としては、例えば、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等の顔料誘導体を挙げることができる。本発明において、分散助剤を使用する場合、ジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体が好ましい。
【0024】
また、上記有機染料としては、キサンテン系染料、トリアリールメタン系染料、メチン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料等を挙げることができる。より具体的には、特開2010−32999号公報、特開2010−254964号公報、特開2011−138094号公報、国際公開第2010/123071号パンフレット、特開2011−116803号公報、特開2011−117995号公報、特開2011−133844号公報、特開2011−174987号公報等に記載の有機染料を挙げることができる。
【0025】
中でも、上記有機染料としては、キサンテン系染料が好ましい。
キサンテン系染料としては、例えば、下記式で表される構造を有する化合物を挙げることができる。
【0027】
キサンテン系染料がカチオン性である場合、当該キサンテン染料が電気的に中性となるよう、アニオンを有することができる。アニオンとしては、例えば、ハロゲンイオン、ホウ素アニオン、リン酸アニオン、カルボン酸アニオン、硫酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、窒素アニオン、メチドアニオン、アゾ化合物を配位子に有する遷移金属錯体のアニオン等を挙げることができる。窒素アニオンとしては、特開2011−133844号公報、特開2011−116803号公報、特開2010−090341号公報に記載の窒素アニオンを挙げることができる。アゾ化合物を配位子に有する遷移金属錯体のアニオンとしては、特開2009−163226号公報、特開2012−212089号公報に記載のアニオンを挙げることができる。
【0028】
このほか、アンモニウムカチオンを有するキサンテン系酸性染料、ホスホニウムカチオンを有するキサンテン系酸性染料も好ましく用いることができる。ここで、キサンテン系酸性染料とは、アニオン部が発色団となるキサンテン系染料を意味する。アンモニウムカチオンを有するキサンテン系酸性染料の代表例としては、例えば、特許第4492760号明細書、特開2011−242752号公報に記載の染料を挙げることができる。
【0029】
本発明において他の着色剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0030】
本発明の着色組成物は赤色画素の形成に用いることが好ましい。この場合、(A)着色剤としては、式(1)で表される顔料と共に、他の着色剤として、式(1)で表される顔料以外の赤色顔料、赤色染料、紫色顔料、紫色染料、黄色顔料及び橙顔料よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッドに分類される顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド264がより好ましい。前記紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット23が好ましい。
前記赤色染料、紫色染料としては、キサンテン系染料が好ましく、より具体的には前述と同様のものを挙げることができる。
前記黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185が好ましい。前記橙顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ38が好ましい。
【0031】
(A)着色剤の含有量は、低露光量でも色度特性に優れ、かつ欠けを生じ難い画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックス、ブラックスペーサーを形成する点から、着色組成物の固形分中に、通常5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%である。ここで固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。
また、他の着色剤を用いる場合、他の着色剤の含有割合は、着色剤の合計含有量に対して99質量%以下が好ましく、95質量部以下がより好ましい。下限値は特に限定されるものではなく、0.01質量%以上であればよい。
【0032】
−(B)成分−
本発明の着色組成物は、(B)成分として、(B1)リン酸エステル(以下、単に「(B1)成分」とも称する。)と、(B2)窒素原子を有する分散剤(以下、単に「(B2)分散剤」とも称する。)とを含む。本発明の(B1)成分及び(B2)分散剤は、式(1)で表される顔料及び任意に使用する他の顔料を分散する、分散剤として作用するものである。本発明者らは、鋭意検討の結果、(B1)成分と(B2)分散剤を組み合わせて用いることにより、ジケトピロロピロール系顔料の分散性が良好で粘度を低く抑えられ、塗布性にも優れる着色剤分散液を調製することができ、その結果低露光量でも色度特性に優れ、かつ欠けを生じ難い硬化膜を形成可能であることを見出した。本発明の着色組成物は現像速度が早いこともメリットとして挙げられる。
【0033】
(B1)成分は、リン酸エステルであれば特に限定されず、リン酸モノエステルでも、リン酸ジエステルでも、リン酸トリエステルでも、これら2種以上の混合物であってもよい。また、リン酸エステルは塩の形態でもよく、塩としては、例えば、アミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を挙げることができる。(B1)成分としては、公知の方法により合成したものを使用することができるが、例えば、ソルスパース41000(ルーブリゾール(株)社製、ポリエーテルリン酸エステル系重合体、不揮発成分100質量%、酸価50mgKOH/g)、Disperbyk−111(ビックケミー(BYK)社製、リン酸エステル系重合体、不揮発成分95質量%、酸価129mgKOH/g)、フォスファノールRE−610、フォスファノールRS−710(アルキルエーテルリン酸エステル、酸価65mgKOH/g)(以上、東邦化学工業製)、ディスパロンPW−36(不揮発成分50質量%、酸価55mgKOH/g)、ディスパロンDA−375(ポリエーテルリン酸エステル重合体、不揮発成分100質量%、酸価14mgKOH/g)、ディスパロンDA−325(ポリエーテルリン酸エステルのアミン塩、不揮発成分100質量%、酸価14mgKOH/g)(以上、楠元化成製)等を商業的に入手して使用することもできる。中でも、(B1)成分としては、ジケトピロロピロール系顔料の分散性、粘度、塗布性の観点から、ポリエーテルリン酸エステル系重合体が好ましい。
【0034】
(B1)成分の酸価は1〜150mgKOH/gが好ましく、5〜90mgKOH/gがより好ましく、10〜60mgKOH/gが更に好ましい。このような態様は、ジケトピロロピロール系顔料の分散性、粘度、塗布性の観点から好ましい。ここで、本発明において「酸価」とは、分散剤溶液の溶媒を除いた不揮発分1gを中和するのに必要なKOHのmg数である。
【0035】
本発明の着色組成物は、(B1)成分と共に、(B2)分散剤を含有する。
(B2)分散剤が有する窒素原子としては、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基、四級アンモニウム、アミド基、イミノ基、ウレタン基等に含まれる窒素原子が挙げられる。
本発明における(B2)分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、及び(メタ)アクリル系分散剤から選ばれる分散剤であって、アミノ基、四級アンモニウム、アミド基及びイミノ基から選ばれる1以上の特性基を有する分散剤、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤を好ましく用いることができる。なお、アミノ基は、一級アミノ基でも、二級アミノ基でも、三級アミノ基であってもよい。
【0036】
中でも、(B2)分散剤としては、(メタ)アクリル系分散剤又はポリエステル系分散剤であって、アミノ基、四級アンモニウム、アミド基及びイミノ基から選ばれる1以上の特性基を有する分散剤、並びにウレタン系分散剤のうちの少なくとも1種が好ましく、アミノ基、四級アンモニウム、アミド基及びイミノ基から選ばれる1以上の特性基を有する(メタ)アクリル系分散剤がより好ましい。
(メタ)アクリル系分散剤は、前述の窒素原子を有する特性基以外に架橋性官能基を有していてもよい。該架橋性官能基としては、例えば、オキシラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等の含酸素飽和ヘテロ環基、エチレン性不飽和基、エピチオ基、(ジチオ)カーボナート基等を挙げることができる。これらの架橋性官能基の中では含酸素飽和ヘテロ環基が好ましく、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基がより好ましい。なお、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル系分散剤は、例えば特開2012−118505号公報に記載の方法により合成することができる。このような態様により、本発明の所望の効果をより得ることができる。
【0037】
(B2)分散剤は窒素原子を有するものであれば商業的に入手したものを使用することもでき、例えば、(メタ)アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116(不揮発成分40質量%)、BYK−LPN22102(以上、ビックケミー(BYK)社製)等、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製、不揮発成分50質量%)等、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)等、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821(不揮発成分100質量%)、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ(株)社製)の他、BYK−LPN21324(不揮発成分40質量%)(ビックケミー(BYK)社製)等を、それぞれ挙げることができる。
(B2)分散剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0038】
本発明の着色組成物は、(B1)成分と(B2)分散剤との含有割合を適宜選択することができるが、(B1)成分の含有量w
1と、(B2)分散剤の含有量w
2との比w
1/w
2は、質量比で10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、30/70〜70/30が更に好ましい。
【0039】
本発明において、(B1)成分及び(B2)分散剤の合計含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、5〜300質量部が好ましく、10〜200質量部がより好ましく、20〜100質量部が更に好ましい。このような態様とすることにより、本願の所望の効果を得やすくなる。
【0040】
−(C)バインダー樹脂−
本発明における(C)バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」とも称する。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(c1)」とも称する。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(c2)」とも称する。)との共重合体を挙げることができる。
【0041】
上記不飽和単量体(c1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(c1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0042】
また、上記不飽和単量体(c2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
【0043】
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
【0044】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(c2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0045】
不飽和単量体(c1)と不飽和単量体(c2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(c1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(c1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0046】
不飽和単量体(c1)と不飽和単量体(c2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728号公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0047】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平9−325494号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0048】
本発明におけるバインダー樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。このような態様とすることで、被膜の残膜率、パターン形状、耐熱性、電気特性、解像度がより一層高められ、また塗布時の乾燥異物の発生を高水準で抑制することができる。
【0049】
また、本発明におけるバインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、ここでいう、Mnは、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量をいう。
【0050】
本発明におけるバインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第2007/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0051】
本発明において、バインダー樹脂は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0052】
本発明において、バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部である。このような態様とすることで、アルカリ現像性、着色組成物の保存安定性、パターン形状、色度特性をより一層高めることができる。
【0053】
−(D)重合性化合物−
本発明において重合性化合物とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、重合性化合物としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0054】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0055】
ここで、脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0056】
また、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0057】
また、2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N',N',N'',N''−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0058】
これらの重合性化合物のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N',N',N'',N''−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。
本発明において、(D)重合性化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0059】
本発明における(D)重合性化合物の含有量は、(D)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、更に20〜700質量部、更に80〜500質量部が好ましい。このような態様とすることで、硬化性、アルカリ現像性がより一層高められ、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等の発生を高水準で抑制することができる。
【0060】
−(E)光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、光重合開始剤を含有せしめることができる。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。本発明に用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上記重合性化合物の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0061】
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、O−アシルオキシム化合物、オニウム塩化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、α−ジケトン化合物、多核キノン化合物、ジアゾ化合物、イミドスルホナート化合物等を挙げることができる。
【0062】
本発明において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、O−アシルオキシム化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0063】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0064】
また、上記アセトフェノン化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0065】
また、上記ビイミダゾール化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0066】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン水素供与体、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン水素供与体と1種以上のアミン水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0067】
また、上記トリアジン化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン化合物を挙げることができる。
【0068】
また、O−アシルオキシム化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA社製)、DFI−020、DFI−091(以上、ダイトーケミックス株式会社製)等を使用することもできる。
【0069】
本発明において、アセトフェノン化合物等のビイミダゾール化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0070】
本発明において、(E)光重合開始剤の含有量は、(D)重合性化合物100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。このような態様とすることで、硬化性、被膜特性をより一層高めることができる。
【0071】
−(F)溶媒−
本発明の着色組成物は、上記(A)〜(D)成分、及び任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。
(F)溶媒としては、着色組成物を構成する(A)〜(D)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0072】
このような溶媒のうち、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0073】
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール類;
ジアセトンアルコール等のケトアルコール類;
【0074】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0075】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類等を挙げることができる。
【0076】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、乳酸アルキルエステル類、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、他のエーテル類、ケトン類、ジアセテート類、アルコキシカルボン酸エステル類、他のエステル類が好ましく、特にプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
【0077】
本発明において、溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0078】
(F)溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%となる量がより好ましい。このような態様とすることにより、分散性、安定性の良好な着色剤分散液、並びに塗布性、安定性の良好な着色組成物を得ることができる。
【0079】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フルオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素界面活性剤、シリコーン界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサ−スピロ[5・5]ウンデカン、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0080】
本発明の着色組成物は、適宜の方法により調製することができるが、より好ましい着色組成物の調製方法は、本発明の着色剤分散液を用いる方法である。すなわち、(A)前記式(1)で表される顔料を含む着色剤を(F)溶媒中、(B1)成分及び(B2)分散剤、並びに所望により分散助剤、(C)バインダー樹脂の一部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して着色剤分散液とし、この着色剤分散液に、(C)バインダー樹脂及び(D)重合性化合物と、必要に応じて更に(E)光重合開始剤、追加の(F)溶媒、或いは添加剤を添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。なお、本発明の着色剤分散液中の(A)着色剤、(B1)成分、(B2)分散剤及び(F)溶媒、並びに必要に応じて添加される分散助剤、(C)バインダー樹脂の具体的構成は、前記において説明したとおりである。
また、本発明の着色剤分散液は、(B1)成分と(B2)分散剤を併用することにより、(B1)成分及び(B2)分散剤をそれぞれ単独で用いた場合に比して、ジケトピロロピロール系顔料の分散性が良好で粘度を低く抑えられ、塗布性にも優れ、その結果低露光量でも色度特性に優れ、かつ欠けを生じ難い硬化膜が形成可能な着色組成物を調製することができる。具体的には、着色剤分散液の粘度を、好ましくは20mPa・s以下、より好ましくは16mPa・s以下、更に好ましくは13mPa・s以下、特に好ましくは11mPa・s以下とすることができる。ここで、粘度は、25℃にてE型粘度計を用いて測定した値である。
【0081】
また、本発明の着色組成物は、着色剤として染料と顔料の両方を使用する場合、特開2010−132874号公報に開示されているように、染料溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した染料溶液を、別途調製した顔料分散液等と混合し、得られた着色組成物を第2のフィルタに通すことにより調製する方法を採用することができる。また、染料と、上記(B)〜(D)成分、並びに必要に応じて使用する他の成分を溶媒に溶解し、得られた溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した溶液を、別途調製した顔料分散液と混合し、得られた着色組成物を第2のフィルタに通すことにより調製する方法を採用してもよい。また、染料溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した染料溶液と、上記(B)〜(D)成分、並びに必要に応じて使用する他の成分を混合・溶解し、得られた溶液を第2のフィルタに通し、更に第2のフィルタを通過した溶液を、別途調製した顔料分散液と混合し、得られた着色組成物を第3のフィルタに通すことにより調製する方法も採用することができる。
【0082】
着色硬化膜及びその形成方法
本発明の着色硬化膜は、本発明の着色組成物を用いて形成されたものであり、具体的には、カラーフィルタを構成する各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等を意味する。
【0083】
以下、表示素子や固体撮像素子を構成するカラーフィルタに用いられる着色硬化膜及びその形成方法について説明する。
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、赤色の本発明の感放射線性着色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターン(着色硬化膜)が所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0084】
次いで、緑色又は青色の各感放射線性着色組成物を用い、上記と同様にして、各感放射線性着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0085】
上記ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。
【0086】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0087】
感放射線性着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法(スリット塗布法)、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0088】
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
【0089】
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
【0090】
画素及びブラックマトリックスから選ばれる少なくとも1種を形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。露光光源として、紫外線LEDを使用することもできる。波長は、190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0091】
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m
2が好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
【0092】
アルカリ現像液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0093】
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5μm、好ましくは1.0〜3μmである。
【0094】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、赤色の熱硬化性着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、青色の画素パターンを形成する。
【0095】
次いで、緑色又は青色の各熱硬化性着色組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び青色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0096】
なお、隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の熱硬化性着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の高さと同程度である。
【0097】
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物が用いられるが、本発明の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。
【0098】
本発明の感放射線性着色組成物は、上記カラーフィルタに用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等のいずれの着色硬化膜の形成においても、好適に用いることができる。
このようにして形成された本発明の着色硬化膜を含むカラーフィルタは、輝度及び色純度が極めて高いため、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。なお、後述する表示素子は、本発明の感放射線性着色組成物を用いて形成された着色硬化膜を少なくとも1以上具備するものであればよい。
【0099】
表示素子
本発明の表示素子は、本発明の着色硬化膜を具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造を採ることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることができる。また、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。なお、後者の構造を採用する場合、ブラックマトリックスやブラックスペーサーは、カラーフィルタを形成した基板側、並びにITO電極を形成した基板側のどちらに形成されていても良い。
【0100】
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
【0101】
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
【0102】
また、本発明の着色硬化膜を具備する有機EL表示素子は、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造を挙げることができる。
また、本発明の着色硬化膜を具備する電子ペーパーは、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開2007−41169号公報に開示されている構造を挙げることができる。
【0103】
固体撮像素子
本発明の固体撮像素子は、本発明の着色硬化膜を具備するものである。また、本発明の固体撮像素子は適宜の構造を採ることができる。例えば、1つの実施の形態として、本発明の着色組成物を用いて、CMOS基板などの半導体基板上に、前述と同様の操作により着色画素(着色硬化膜)を形成することにより、特に色再現性に優れた固体撮像素子を作製することができる。
【実施例】
【0104】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない
【0105】
<(B2)分散剤の合成>
合成例1
特開2012−118505号公報の合成例5に従って、ジメチルアミノエチルメタクリレート由来の繰り返し単位の約80モル%が4級アンモニウム化されたAブロックと、ノルマルブチルメタクリレート、メチルメタクリレート及びテトラヒドロフルフリルメタクリレート由来の繰り返し単位を有するBブロックからなるブロック共重合体溶液(不揮発成分40質量%)を得た。得られたブロック共重合体を「分散剤(B−1)」とする。
【0106】
<(C)バインダー樹脂の合成>
合成例2
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、3−メタクリロイルオキシメチル−3−エチルオキセタン25.0g、メタクリル酸18.0g、メタクリル酸2−ヒドロキシルエチルエステル14.0g、ベンジルメタクリレート24.0g、N−フェニルマレイミド10.0g及びこはく酸モノ2−アクリロキシエチル9.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300gに溶解し、さらに2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5.3gを投入し、その後15分間窒素パージした。窒素パージの後、反応液を攪拌及び窒素バブリングしながら80℃に加熱し、5時間重合することにより、前駆共重合体[c−1]を25質量%含む溶液を得た。この前駆共重合体[c−1]のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は10,000であった。
次に、前駆共重合体[c−1]を含む溶液200g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート15.9g、重合禁止剤としてフェノチアジン0.2gをフラスコに仕込み、110℃の温度で9時間反応させた。この反応液につき、1回当たり75gのイオン交換水で4回水洗し、減圧濃縮を行うことにより、バインダー樹脂溶液(C−1)(固形分濃度33質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mwが11,500であった。
【0107】
合成例3
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、ベンジルメタクリレート5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート23質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、バインダー樹脂溶液(C−2)(固形分濃度33質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mwが12,200、Mnが6,500であった。
【0108】
<着色剤の合成>
合成例4
攪拌子を入れた200mLのナス型フラスコに、キサンテン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52を2.9g(5.0mmol)、イオン交換水を29mL加え、撹拌しながらオイルバスにてバス温85℃に加熱した。この溶液に対し、イオン交換水60gにトリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミド5.2g(10.26mmol)を室温で溶解して得られた溶液を同温度で少しずつ添加した。全てを添加した時点で、非水溶性の着色したオイル状物質が生成することを確認した。その後、同温度で1時間攪拌した後、アイスバスを使用して室温付近まで冷却した。上澄みをデカンテーションにて除去し、続いて残渣をイオン交換水で洗浄した。この残渣をメタノールに溶解して回収後、ロータリーエバポレーターを使用して減圧濃縮した。得られたオイル状の残渣を50℃で12時間減圧乾燥することにより、赤紫色の固体を6.1g得た。
1H−NMRスペクトル(溶剤:重水素化クロロホルム)測定により、得られた化合物が下記式(A−2)で表される化合物であることを確認した。得られた化合物を、着色剤(A−2)とする。
【0109】
【化5】
【0110】
合成例5
特開2010-032999号公報の合成例3を参考にして、下記式(A−3)で表される化合物を合成した。この化合物を、着色剤(A−3)とする。
【0111】
【化6】
【0112】
合成例6
特開2012-181505号公報の合成例3を参考にして、下記式(A−4)で表される化合物を合成した。この化合物を、着色剤(A−4)とする。
【0113】
【化7】
【0114】
合成例7
特許第4492760号明細書の合成例を参考にして、下記式(A−5)で表される化合物を合成した。この化合物を、着色剤(A−5)とする、
【0115】
【化8】
【0116】
<着色剤分散液の調製及び評価>
実施例1
(A)着色剤として下記式(2)で表される顔料(以下、「着色剤(A−1)」とも称する。)を13質量部、(B1)成分としてソルスパース41000(ルーブリゾール(株)社製、不揮発成分100質量%)を2質量部、(B2)分散剤として分散剤(B−1)溶液(不揮発成分40質量%)を5質量部、及び溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを着色剤分散液が100質量部となるように用いて、ビーズミルにより混合・分散して、着色剤分散液(R−1)を調製した。
【0117】
【化9】
【0118】
着色剤分散液の粘度
得られた着色剤分散液の粘度を、25℃にてE型粘度計(東京計器製)を用いて測定した。評価結果を表1に示す。
【0119】
実施例2〜30及び比較例1〜14
実施例1において、混合・分散する各成分の種類及び量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、着色剤分散液(R−2)〜(R−44)を調製した。そして実施例1と同様にして、着色剤分散液の粘度を測定した。評価結果を表1に示す。
但し、実施例22〜25においては、(C)バインダー樹脂として、バインダー樹脂溶液(C−1)(固形分濃度33質量%)を15質量部加えた。実施例26においては、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとプロピレングリコールモノメチルエーテルの9/1(質量比)混合溶媒を用いた。
【0120】
【表1】
【0121】
なお、表1における記号は、以下の通りである。
R177 : C.I.ピグメントレッド177
R179 : C.I.ピグメントレッド179
Y150 : C.I.ピグメントイエロー150
R254 : C.I.ピグメントレッド254
S41000 : ソルスパース41000(ルーブリゾール(株)社製、不揮発成分100質量%)
BYK111 : Disperbyk−111(ビックケミー(BYK)社製、不揮発成分95質量%)
分散剤(B−1): 合成例1で合成した分散剤(B−1)溶液(不揮発成分40質量%)
LPN21324: BYK−LPN21324(ビックケミー(BYK)社製、不揮発成分40質量%)
LPN21116: BYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製、不揮発成分40質量%)
S76500 : ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製、不揮発成分50質量%)
PB821 : アジスパーPB821(味の素ファインテクノ(株)社製、不揮発成分100質量%)
【0122】
また表1において、「着色剤(A−1)/R177=50/50」は着色剤(A−1)とR177を、50/50(質量比)で混合したものを意味する。同様に、「着色剤(A−1)/R177/Y150=25/70/5」は着色剤(A−1)とR177とY150を、25/70/5(質量比)で混合したものを意味し、「着色剤(A−1)/R179=50/50」は着色剤(A−1)とR179を、50/50(質量比)で混合したものを意味し、「着色剤(A−1)/R179/R177=50/30/20」は着色剤(A−1)とR179とR177を、50/30/20(質量比)で混合したものを意味し、「着色剤(A−1)/着色剤(A−2)=85/15」は着色剤(A−1)と着色剤(A−2)を、85/15(質量比)で混合したものを意味し、「R254/R177=50/50」はR254とR177を、50/50(質量比)で混合したものを意味する。
比較例7及び比較例14では、着色剤を分散することができなかったため、粘度の測定はできなかった。
【0123】
<着色組成物の調製及び評価>
実施例101
顔料分散液(R−1)100質量部、(C)バインダー樹脂としてバインダー樹脂溶液(C−1)35質量部、(D)重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(以下、「(D−1)」と称する、日本化薬株式会社製、商品名KAYARAD DPHA)を13質量部、光重合開始剤として2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オンを10質量部、界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)を0.05質量部、及び溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと3−メトキシブチルアセテートを固形分濃度15質量%となるよう混合して、着色組成物(S−1)を調製した。なお、3−メトキシブチルアセテートを含有量は、着色組成物(S−1)に含まれる全溶媒中、30質量%となるよう調整した。
【0124】
現像速度の評価
着色組成物(S−1)を、表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が形成された直径4インチのソーダガラス基板上に、スリットダイコーターを用いて塗布したのち、ホットプレートにて90℃で1分間プレベークを行って、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。この基板に対して23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することにより、溶出終了時間(ブレーキングタイム)の計測を行ない、25秒未満を「○」、25秒以上30秒未満を「△」、30秒以上を「×」とした。評価結果を表2に示す。この時間が早いほど現像速度が速く、カラーフィルタ製造のタクトタイムを短縮できるという利点がある。
【0125】
パターン欠けの評価
着色組成物(S−1)を、ガラス基板上に、スリットダイコーターを用いて塗布した後、20分間、常温にて静置した。90℃のホットプレートで1分間プレベークを行って膜厚2.0μmの塗膜を形成したのち、この基板を室温に冷却した。高圧水銀ランプを用いて、90μm幅のストライプパターンを有するフォトマスクを介して、365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を、露光照度17mW、露光量400J/m
2、基板とマスク間の距離350μmの条件で露光した。その後、基板上の塗膜に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1.5kgf/cm
2(ノズル径1mm)で、未露光部の塗膜が完全に剥離し更に30秒経過するまで吐出することによりシャワー現像を行った。次いで、超純水をリンス圧1.5kgf/cm
2 (ノズル径1mm)で60秒間吐出することによりリンス処理を行った後、エアブローによりストライプパターンが形成された基板表面上の水分を除去することにより、90μm幅のストラープパターンを形成した。
光学顕微鏡を用いて、上記ストライプパターン5本を観察した。5本のストライプパターンの中に10個以上の欠けが観察される場合を「×」、1〜9個の欠けが観察される場合を「△」、欠けが全く観察されない場合を「○」として評価した。評価結果を表2に示す。
【0126】
コントラストの評価
着色組成物(S−1)を、ガラス基板上に、スリットダイコーターを用いて塗布した後、80℃のホットプレートで10分間プレベークを行って塗膜を形成した。スピンコーターの回転数を変えて同様の操作により、膜厚の異なる3枚の塗膜を形成した。
次いで、これらの基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介さずに、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を2,000J/m
2の露光量で露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に200℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、評価用硬化膜を形成した。
硬化膜が形成された基板を2枚の偏向板で挟み、背面側から蛍光灯(波長範囲380〜780nm)で照射しつつ前面側の偏向板を回転させ、輝度計LS−100(ミノルタ(株)製)により透過する光強度の最大値と最小値を測定した。そして、各々の硬化膜について、最大値を最小値で除した値をコントラスト比とした。測定結果より、色度座標値y=0.650でのコントラスト比を求めた。評価結果を表2に示す。コントラスト比は、数値が大きい程、良好であることを意味する。
【0127】
実施例102〜130及び比較例101〜114
実施例1において、表2に示すように着色剤分散液を変更した以外は実施例101と同様にして、着色組成物(S−2)〜(S−44)を調製した。次いで、得られた着色組成物を用いて、実施例101と同様にして各種評価を行った。結果を表2に示す。但し、コントラストの評価に関して、実施例109〜126、実施例128及び比較例108〜114においては、色度座標値y=0.663でのコントラスト比を求めた。
【0128】
【表2】
【0129】
比較例107及び比較例114では、着色剤分散液(R−35)及び着色剤分散液(R−44)を分散することができなかったため、着色組成物の各種評価もできなかった。
比較例105及び比較例112では、スリットダイコーターにより均一な塗膜を得ることが出来ず、評価が困難であった。
【0130】
<固体撮像素子用着色硬化膜の作製及び評価>
調製例1
(下地膜形成用組成物の調製)
フラスコ内を窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを0.6質量部溶解したメチル−3−メトキシプロピオネート溶液を200質量部仕込んだ。引き続きtert−ブチルメタクリレートを37.5質量部、グリシジルメタクリレート62.5質量部を仕込んだ後、撹拌し、70℃にて6時間加熱した。冷却後、重合体を含有する樹脂溶液を得た。
次に、この樹脂溶液を33.3質量部(重合体を10部含有)、メチル−3−メトキシプロピオネートを31.9質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルを3.4質量部で希釈したのち、トリメリット酸を0.3質量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.5質量部、商品名「FC−4432」(住友スリーエム(株)製)0.005質量部を溶解し、下地膜形成用組成物を調製した。
【0131】
実施例131
着色剤として着色剤(A−1)を9.0質量部、C.I.ピグメントイエロー139を6.0質量部、(B2)分散剤としてBYK−LPN22102(ビックケミー(BYK)社製)を10.0質量部(固形分濃度=40質量%)、(B1)成分としてフォスファノールRS−710(東邦化学工業社製)を2.0質量部、バインダー樹脂溶液(C−1)を5.0質量部(固形分濃度=40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート68.0質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して着色剤分散液(R−45を調製した。
なお、BYK−LPN22102は、アミノ基及び四級アンモニウム基を有する(メタ)アクリル系分散剤であり、該(メタ)アクリル系分散剤は、変性アクリル系ブロック共重合体のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールメチルエーテル=1/1(質量比)40質量%溶液である(酸価=0、アミン価=29mgKOH/g)。上記変性アクリル系ブロック共重合体は、メタクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド及びジメチルアミノエチルメタクリレート由来の繰り返し単位を有するブロックと、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート及びトリエチレングリコールエチルエーテルメタクリレート由来の繰り返し単位を有するブロックからなる。
次に、上記で調製した着色剤分散液(R−45)66.7質量部、(C)バインダー樹脂としてバインダー樹脂溶液(C−1)4.48質量部(固形分濃度=40質量%)、(D)重合性化合物としてカヤラッドDPEA−12(日本化薬株式会社製、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)2.81質量部、光重合開始剤としてアデカアークルズNCI−930(株式会社ADEKA社製)0.37質量部、フッ素系界面活性剤としてフタージェントFTX−218(株式会社ネオス社製)0.004質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25.67質量部を混合して、固形分濃度20質量%、且つ顔料濃度50質量%の着色組成物(S−45)を得た。
【0132】
画素パターンの形成及び評価
6インチシリコンウェハー上に、自動塗布現像装置(東京エレクトロン(株)製クリーントラック、商品名「MARK−Vz」)を用いて、前記下地膜形成用組成物をスピンコート法にて塗布した後、230℃で300秒間ベークを行い、膜厚0.6μmの下地膜を形成した。
この下地膜上に着色組成物(S−45)をスピンコート法にて塗布した後、90℃で150秒間プレベークを行って、膜厚0.75μmの塗膜を形成した。その後、得られた基板を室温に冷却し、基板上の塗膜に、フォトマスクを介して、縮小投影露光機((株)ニコン製NSR−2205i12D、レンズ開口数=0.50)を用いて、波長365nm(i線)にて30〜500mJ/cm
2の露光量を10mJ/cm
2間隔で露光した。続いて、自動塗布現象装置内で、0.6%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液により90秒間パドル(液盛り)現像し、超純水によりリンスし、スピン乾燥した後、ホットプレート上にて200℃で300秒間ポストベークを行って、赤色画素パターンを形成した。
上記赤色画素パターンは、固体撮像素子に求められる超薄膜であっても色分離性に優れることが確認された。従って本発明の着色組成物は、色再現性に優れ、固体撮像素子用に好適なカラーフィルタを作製できると言える。
【0133】
比較例115
着色剤として着色剤(A−1)を9.0質量部、C.I.ピグメントイエロー139を6.0質量部、(B2)分散剤としてBYK−LPN22102(ビックケミー(BYK)社製)を15.0質量部(固形分濃度=40質量%)、バインダー樹脂溶液(C−1)を5.0質量部(固形分濃度=40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート65.0質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して着色剤分散液(R−46)を調製した。
次に、着色剤分散液(R−45)に代えて上記で調製した着色剤分散液(R−46)を用いた以外は実施例131と同様にして、固形分濃度20質量%、且つ顔料濃度50質量%の着色組成物(S−46)を得た。そして実施例131と同様にして赤色画素パターンを形成した。
その結果、当該赤色画素パターン上には現像残渣が多く認められた。当該赤色画素パターンを用いて固体撮像素子用のカラーフィルタを作成すると、現像残渣に起因する混色が生じ、色再現性が悪化するおそれがある。