特許第6248840号(P6248840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248840
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】乗物用シートの跳ね上げ機構
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/30 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   B60N2/30
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-145672(P2014-145672)
(22)【出願日】2014年7月16日
(65)【公開番号】特開2016-22741(P2016-22741A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2016年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永安 秀隆
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−129799(JP,A)
【文献】 実開平04−096545(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/30
B60N 2/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用シートをフロアに対して回転により跳ね上げられるようにする乗物用シートの跳ね上げ機構であって、
乗物本体に取り付けられる固定部と、
前記乗物用シートに取り付けられる可動部と、
前記可動部を前記固定部に対して回転させられる状態に連結する回転連結部と、
前記乗物用シートを前記フロア上から跳ね上げた位置にロック可能なロック構造と、を有し、
前記ロック構造が、前記可動部と前記固定部とを繋ぎ前記可動部の動きに連動するリンク機構部と、前記可動部の跳ね上げにより前記リンク機構部に附勢により嵌合して前記リンク機構部の動きをロックするロック機構部と、を有する構成とされ
前記リンク機構部が、前記乗物用シートの跳ね上げにより前記フロア上から引き上げられる前記可動部の領域と前記固定部とを繋ぎ前記可動部の回転に伴い前記固定部との間で屈伸運動するリンク構造とされており、前記可動部の跳ね上げ方向の回転に伴い跳ね上げ方向に伸張し、前記可動部の倒れ込み方向の回転に伴い前記可動部の回転中心に向かう側に屈曲する構成とされている乗物用シートの跳ね上げ機構。
【請求項2】
請求項1に記載の乗物用シートの跳ね上げ機構であって、
前記ロック機構部が、前記固定部に回転可能に連結されて、常時、バネの附勢力により前記リンク機構部に弾性的に押し当てられた状態として設けられたロック部材により構成されており、前記可動部が跳ね上げられることにより前記リンク機構部との間に設けられた凹凸の嵌合構造が附勢により嵌合して前記リンク機構部の動きをロックするようになっている乗物用シートの跳ね上げ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートの跳ね上げ機構に関する。詳しくは、乗物用シートをフロアに対して回転により跳ね上げられるようにする乗物用シートの跳ね上げ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用のシートにおいて、その不使用時に、フロア上から横に跳ね上げて格納できるようになっているものが知られている(特許文献1)。上記シートは、上記格納位置に跳ね上げられることにより、その所定箇所に設けられたロック機構が車体側壁に設けられたストライカにロックして、格納位置に保持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−195098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術では、フロア上から跳ね上げられるシートとその跳ね上げ先となる車体側壁との間に互いに係合するロック機構とストライカとが設けられる構成であるため、各部品の組み付け位置や跳ね上げ位置の誤差によるロック不良が生じやすい構成となっている。本発明は、上述した問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、乗物用シートの跳ね上げ機構にロック不良の出にくいロック構造を設定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の乗物用シートの跳ね上げ機構は次の手段をとる。
【0006】
第1の発明は、乗物用シートをフロアに対して回転により跳ね上げられるようにする乗物用シートの跳ね上げ機構である。この乗物用シートの跳ね上げ機構は、乗物本体に取り付けられる固定部と、乗物用シートに取り付けられる可動部と、可動部を固定部に対して回転させられる状態に連結する回転連結部と、乗物用シートをフロア上から跳ね上げた位置にロック可能なロック構造と、を有する。ロック構造は、リンク機構部と、ロック機構部と、を有する。リンク機構部は、可動部と固定部とを繋ぎ可動部の動きに連動する。ロック機構部は、可動部の跳ね上げによりリンク機構部に附勢により嵌合してリンク機構部の動きをロックする。
【0007】
この第1の発明によれば、ロック構造が跳ね上げ機構の固定部と可動部との間に設けられることで、ロック構造が回転連結部に近い位置でロック作動する構成となる。これにより、乗物用シートの各構成部品間に組み付け位置や跳ね上げ位置のズレが生じても、これらのズレによる誤差がロック構造に影響しにくくなるため、ロック構造を安定した形でロック作動させることができる。
【0008】
第2の発明は、上述した第1の発明において、次の構成とされているものである。リンク機構部は、可動部の回転に伴い固定部との間で屈伸運動するリンク構造とされており、可動部の跳ね上げ方向の回転に伴い跳ね上げ方向に伸張し、可動部の倒れ込み方向の回転に伴い可動部の回転中心に向かう側に屈曲する構成とされている。
【0009】
この第2の発明によれば、リンク機構部を、乗物用シートのシート内側への張り出しの少ない形に設けることができる。したがって、ロック構造をコンパクトに構成することができ、乗物用シートを跳ね上げた後のフロア上のスペースをより広く確保することができる。
【0010】
第3の発明は、上述した第1又は第2の発明において、次の構成とされているものである。ロック機構部は、固定部に回転可能に連結されて、常時、バネの附勢力によりリンク機構部に弾性的に押し当てられた状態として設けられたロック部材により構成されている。ロック機構部は、可動部が跳ね上げられることによりリンク機構部との間に設けられた凹凸の嵌合構造が附勢により嵌合してリンク機構部の動きをロックするようになっている。
【0011】
この第3の発明によれば、ロック機構部を跳ね上げに追従しない定位置(固定部)でロック部材を回転させるのみの簡素な構成とすることができ、乗物用シートを跳ね上げた後のフロア上のスペースをより広く確保することができる。また、乗物用シートと共に跳ね上げられる可動側構造の重量を軽くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の乗物用シートの跳ね上げ機構の概略構成を表した斜視図である。
図2】乗物用シートの着座使用状態を表した斜視図である。
図3】跳ね上げ機構の分解斜視図である。
図4】跳ね上げ機構の跳ね上げ前の状態を車両後部側から模式的に見た状態図である。
図5】跳ね上げ機構の跳ね上げ途中の状態図である。
図6】跳ね上げ機構が跳ね上げ位置でロックされた状態図である。
図7】解除レバーの操作により跳ね上げ機構のロックが解除された状態図である。
図8】乗物用シートを跳ね上げ位置からフロア上に落とし込む様子を表した斜視図である。
図9】実施例2の乗物用シートの跳ね上げ機構の概略構成を表した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
始めに、実施例1の跳ね上げ機構6の構成について、図1図8を用いて説明する。本実施例の跳ね上げ機構6は、図1に示すように、いわゆるミニバンタイプの自動車の右側のリヤシート1に適用されている。上記リヤシート1は、図2に示すように、1人掛け用の座席として構成されており、着座乗員の背凭れとなるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、頭凭れとなるヘッドレスト4と、を備えた構成となっている。
【0015】
上述したリヤシート1は、通常、座席として使用される時には、シートクッション3がフロアF上に倒し込まれた状態にロックされており、シートバック2がシートクッション3の後部から僅かに後傾した起立姿勢にロックされた状態とされている。ヘッドレスト4は、シートバック2の上部に固定された状態とされている。より詳しくは、上述したシートクッション3は、その車両外側となる図示右側の側部箇所が、上述した跳ね上げ機構6を介してフロアF上に跳ね上げ回転可能に連結された状態とされている。
【0016】
そして、シートクッション3は、その車両内側となる図示左側の底部箇所が、同底部箇所から下方側へ延びる脚板3Bを介して、その前後2箇所の下端部に設けられたフック3CによりフロアF上の各ストライカSに着脱可能に連結された状態とされている。これにより、シートクッション3は、常時は、上述した跳ね上げ機構6による車両外側に向けての跳ね上げ回転が、上述した各フック3Cと各ストライカSとの連結により規制されて、フロアF上に倒し込まれた状態に保持された状態となっている。上述したシートクッション3の跳ね上げの規制状態は、上述した各フック3Cが後述するシートバック2の前倒れ回転に伴い各ストライカSとの連結状態から外されることによって解除されるようになっている。
【0017】
シートバック2は、その左右両側の下部箇所が、それぞれリクライナ5を間に介してシートクッション3の左右両側の後部箇所に連結された状態とされている。これにより、シートバック2は、常時は、上述した各リクライナ5の回転止め構造によって、その背凭れ角度が固定された状態に保持されるようになっている。上述した各リクライナ5によるシートバック2の背凭れ角度の固定状態は、シートクッション3の車両内側寄りの後部箇所に設けられた解除ストラップ3Aが後方側へ引かれる操作によって解除されるようになっている。この解除操作によって、シートバック2は、シートクッション3との間に掛着された図示しないバネの附勢力によって、シートクッション3の上面部に畳み込まれる位置まで前側に倒し込まれるようになっている。
【0018】
そして、上記シートバック2の前倒れ動作によって、上述したシートクッション3の車両内側の側部箇所をフロアF上に固定している各フック3Cが、それぞれ、上記シートバック2の前倒れ動作によって操作される図示しない動作機構の作動によって各ストライカSとの連結状態から一斉に外されるよう操作されるようになっている。これによって、リヤシート1は、シートバック2をシートクッション3の上面部に折り畳んだ状態で、上述した跳ね上げ機構6を中心に車体側壁Wに向けて跳ね上げることができる状態となる。
【0019】
上述したリヤシート1の車体側壁Wに向けての跳ね上げ回転は、跳ね上げ機構6に組み付けられた跳ね上げバネ6Dのバネ力によってアシストされながら行えるようになっている。また、上述したリヤシート1は、そのフロアF上からの跳ね上げ回転に伴い、シートクッション3の車両内側の底部箇所から下方側へ延びるように立設されていた脚板3Bが、シートクッション3の底面部に沿って折り畳まれるように引き込み操作されるようになっている(図1参照)。
【0020】
上述した脚板3Bは、図8に示すように、上記リヤシート1が車体側壁Wの跳ね上げ位置からフロアF上に落とし込まれる動きによって、再び、シートクッション3の底部箇所から下方側へ延びるように立設された状態に戻されるようになっている。そして、上述した脚板3Bの前後2箇所の下端部に設けられた各フック3Cは、リヤシート1がフロアF上に落とし込まれる動きに伴って、フロアF上の各ストライカSに押し込まれるように操作されて、その操作力によって各ストライカSに引っ掛けられるように押し回されて、各ストライカSと連結されるようになっている(図1参照)。このように、リヤシート1は、車体側壁Wの跳ね上げ位置からフロアF上に落とし込まれる動きのみによって、フロアF上にロックされて跳ね上げが規制された状態に戻されるようになっている。
【0021】
ところで、上述したリヤシート1の跳ね上げ回転は、図1及び図6に示すように、上述した跳ね上げ機構6によって、車体側壁Wと形状を重ねるほぼ垂直な角度位置まで跳ね上げられるようになっている。そして、上記リヤシート1は、上記跳ね上げ位置まで跳ね上げられることにより、跳ね上げ機構6に設けられたロック構造10によって、それ以上の跳ね上げ回転とその逆の倒れ込み回転とがそれぞれ規制されるようにロックされるようになっている。
【0022】
以下、上述した跳ね上げ機構6の具体的な構成について詳しく説明する。跳ね上げ機構6は、図3図6に示すように、固定部6Aと、可動部6Bと、回転軸6Cと、跳ね上げバネ6Dと、ロック構造10と、を有する構成となっている。ここで、回転軸6Cが本発明の「回転連結部」に相当する。固定部6Aは、フロアF上に図示しないボルト締結等の固定手段によって一体的に固定されて設けられている。可動部6Bは、シートクッション3の車両外側の側部箇所に、図示しないボルト締結等の固定手段によって一体的に固定されて設けられている。回転軸6Cは、上述した可動部6Bを固定部6Aに対して回転させられる状態に連結している。跳ね上げバネ6Dは、可動部6Bを固定部6Aに対して跳ね上げ方向に回転附勢する状態となるように設けられている。
【0023】
より具体的に説明すると、固定部6Aは、断面L字状の形に折り曲げられた鋼板材により形成されており、その底面部がフロアF上にボルト締結されて固定された状態として設けられている。上記固定部6Aは、その前後側の各縁部も、それぞれ、車両内側に折り曲げられた形状とされている。そして、上記固定部6Aの前後側の各折り曲げられた面部の下端部も、更に前方或いは後方にそれぞれ折り曲げられて、フロアF上にボルト締結されて固定された状態とされている。
【0024】
可動部6Bは、断面J字状の形に折り曲げられた鋼板材により形成されており、J字の平面部分にシートクッション3の車両外側の骨組み構造があてがわれてボルト締結により一体的に固定された状態とされている。上記可動部6Bは、そのJ字の湾曲面領域の前後側の各縁部に折り曲げられて形成された前後側の各面部が、それぞれ、上述した固定部6Aの前後側の折り曲げられた各縁部面に前後方向に形状を重ね合わされるようにセットされて、これらに貫通するように回転軸6Cが前後方向に挿通されることにより、固定部6Aに対してその前後2箇所の位置でそれぞれ回転可能に連結された状態とされている。
【0025】
上記連結により、可動部6Bが固定部6Aに対して、回転軸6Cのまわりに回転することができるように連結された状態とされている。具体的には、上記可動部6Bは、図4に示すように、固定部6AのL字の開口断面に蓋をする形に垂下した初期位置と、図6に示すように、上記初期位置からほぼ水平角度の位置まで起こし上げられた跳ね上げ位置と、の間の約90度の角度範囲内を起倒回転することができるようになっている。上記可動部6Bは、上述した図4の初期位置にてシートクッション3をフロアF上に落とし込ませた状態をとるようになっている。また、上記可動部6Bは、上述した図6の跳ね上げ位置にてシートクッション3をフロアF上から車体側壁Wに向けてほぼ垂直な角度位置まで跳ね上げた状態をとるようになっている。
【0026】
跳ね上げバネ6Dは、トーションバネにより構成されており、そのコイル状に巻かれた中央部が上述した回転軸6Cに巻装された状態として設けられている。そして、上記跳ね上げバネ6Dは、その一端が固定部6Aに対して弾発力の発揮方向に押し当てられ、他端が可動部6Bに対して弾発力の発揮方向に押し当てられた状態として、可動部6Bに対して常時、固定部6Aから跳ね上げる方向の附勢力をかけた状態とされている。上記附勢力により、リヤシート1をフロアF上から跳ね上げる際のアシスト力が付与されるようになっている。
【0027】
次に、上記跳ね上げ機構6に設けられたロック構造10について説明する。図3図6に示すように、ロック構造10は、上述した可動部6Bと固定部6Aとを繋ぐ形に設けられて、可動部6Bの動きに追従するリンク機構部11と、可動部6Bの跳ね上げによりリンク機構部11に附勢により嵌合してリンク機構部11の動きをロックするロック機構部12と、ロック機構部12のロックの解除操作を行う解除レバー13と、を有する構成となっている。
【0028】
上述したリンク機構部11は、図4図6に示すように、可動部6Bの回転に伴って、可動部6Bと固定部6Aとの間で屈伸運動する態様でリンク運動する第1のリンク11Aと第2のリンク11Bとの繋ぎ合わされたリンク構造により構成されている。また、ロック機構部12は、固定部6Aに回転可能に連結されたストッパリンク12Aが、上記リンク機構部11に引掛けられてリンク機構部11の動きをロックする構成とされている。また、解除レバー13は、図7図8に示すように、ロック機構部12に繋がれて跳ね上げ機構6の後部側箇所に露呈した状態として設けられている。ここで、ストッパリンク12Aが本発明の「ロック部材」に相当する。
【0029】
具体的に説明すると、リンク機構部11は、図3に示すように、第1のリンク11Aと第2のリンク11Bとがそれぞれ前後一対で設けられた構成となっている。第1のリンク11Aは、その一端が連結ピン11C1により可動部6Bの回転軸6Cから離れた先端部分に回転可能にピン連結されている。第2のリンク11Bは、その一端が連結ピン11C2により第1のリンク11Aの他端と回転可能にピン連結されている。また、第2のリンク11Bは、その他端が、連結ピン11C3により、固定部6AのフロアF上に固定された底面部上に回転可能にピン連結されている。これら連結ピン11C1〜11C3は、それぞれ、跳ね上げ機構6の回転軸6Cと同様に、車両前後方向に軸方向を向けて配設されている。
【0030】
上記構成のリンク機構部11は、図4に示すように、可動部6Bが固定部6Aに覆い被さるように垂下した初期位置の状態では、第1のリンク11Aと第2のリンク11Bとが互いの成す角をほぼ閉じた状態となる形に屈曲して(折り畳まれて)、可動部6Bと固定部6Aとの間の狭い隙間内に車両外側上方向きの斜めの角度姿勢でコンパクトに収められた状態とされるようになっている。そして、上記リンク機構部11は、図5に示すように、可動部6Bが上記初期位置から跳ね上げられる動きに伴って、第1のリンク11Aと第2のリンク11Bとの成す角を広げていく形にリンク運動する。
【0031】
そして、上記リンク機構部11は、図6に示すように、可動部6Bが跳ね上げ位置まで跳ね上げられた時には、第1のリンク11Aと第2のリンク11Bとの成す角を180度近くに大きく広げた形をとるが、僅かに回転軸6Cに向かって屈曲した「く」の字型の角度姿勢をとってロック機構部12により回転ロックされるようになっている。上記リンク機構部11が図6の跳ね上げ位置で上記のように回転軸6Cに向かって屈曲した「く」の字型の角度姿勢をとって回転ロックされるようになっていることにより、リンク機構部11を可動部6Bの下側のスペースに大きく張り出させることなく展開(伸張)させた状態とすることができるようになっている。
【0032】
また、ロック機構部12は、図3に示すように、上述した固定部6Aに回転可能に連結されたストッパリンク12Aと、ストッパリンク12Aに対してリンク機構部11に押し当てる方向の回転附勢力をかける引張バネ12Cと、を有する。上述したストッパリンク12Aは、固定部6Aの後方寄りの箇所にて、その一端が連結軸12Bにより固定部6Aの立壁面部上の中間部に回転可能にピン連結されている。
【0033】
上記連結軸12Bは、車両前後方向に軸方向を向けて配設されている。上記連結軸12Bは、上述したストッパリンク12Aの一端と一体的に結合されており、固定部6Aに対して回転可能に連結された状態とされている。上記連結軸12Bは、上記ストッパリンク12Aとの結合部から車両後方側へ延びて、固定部6Aの後側の縁部に折り曲げられて形成された後側の面部を貫通し、その先で、後述する解除レバー13と一体的に結合された状態とされている。
【0034】
引張バネ12Cは、図4に示すように、上述したストッパリンク12Aの連結軸12Bに近い根元寄りの箇所と、固定部6Aの底面部箇所と、の間に掛けられている。これにより、上記引張バネ12Cは、上述したストッパリンク12Aに対して、常時、図示反時計回り方向の回転附勢力をかけた状態とされている。そして、この回転附勢力の作用により、ストッパリンク12Aは、常時、上述したリンク機構部11の前後一対の第2のリンク11Bの間に架橋されたロックピン11B1に上方側から押し当てられた状態に保持されるようになっている。
【0035】
具体的には、上述したロックピン11B1は、図4に示すように、上述した第2のリンク11Bのリンク長方向の中央部よりも連結ピン11C3寄りの箇所(下側寄りの箇所)に連結されており、ストッパリンク12Aの連結軸12Bよりも僅かに低い位置に設けられた状態とされている。これにより、ストッパリンク12Aは、上記ロックピン11B1に対し、水平姿勢から下方側に僅かに傾斜した角度姿勢で上方側から押し当てられた状態とされるようになっている。
【0036】
ここで、図4図6に示すように、上述した第2のリンク11Bは、図4に示す垂直姿勢から僅かに右傾した初期位置と図6に示す垂直姿勢から僅かに左傾した跳ね上げ位置との間の角度領域を揺動するようになっている。これにより、上述したロックピン11B1は、上記可動範囲内においては、第2のリンク11Bと同様に、高さ方向に大きく変位することなくシート幅方向に大きく変位する構成とされている。したがって、上記ロックピン11B1に上方側から押し当てられているストッパリンク12Aも、上記第2のリンク11Bの可動範囲内では高さ方向に大きく変位することなく(すなわちほとんど回転変位することなく)、比較的定位置でロックピン11B1に押し当てられた状態に保たれるようになっている。
【0037】
上述したストッパリンク12Aは、図4図5に示すように、上述した第2のリンク11Bが図4の初期位置から可動部6Bの跳ね上げ回転に伴って回転していく動きに伴って、その下面に押し当てられたロックピン11B1を下面に沿って先端側に向けて滑らせていくようになっている。そして、ストッパリンク12Aは、図6に示すように、上述した第2のリンク11Bが跳ね上げ位置に対応する位置まで回転することにより、その先端部の下面に凹み形成されたロック溝12A1がロックピン11B1に掛け入れられるように落とし込まれる。このストッパリンク12Aの落とし込み回転は、ストッパリンク12Aの重力作用と引張バネ12Cのバネ力作用の両方が働いて行われるようになっている。ここで、上記ロック溝12A1がロックピン11B1に嵌まり込む嵌合構造が、本発明の「凹凸の嵌合構造」に相当する。
【0038】
上記ストッパリンク12Aのロック溝12A1がロックピン11B1に引っ掛けられることにより、第2のリンク11Bのそれ以上の展開方向の回転と、戻り方向の回転と、の双方向の回転が規制された状態となる。具体的には、上記ストッパリンク12Aは、第2のリンク11Bの主たる移動方向となるシート幅方向に対して垂直な上方側から下方側に向けての落とし込みによってロック溝12A1をロックピン11B1に掛け入れる構成となっている。これにより、第2のリンク11Bは、上記ストッパリンク12Aによって、シート幅方向の双方向の移動が、大きな隙間を生じることなく規制された状態とされるようになっている。
【0039】
より詳しくは、上記ストッパリンク12Aは、ロック溝12A1がロックピン11B1に掛け入れられた状態時には、ストッパリンク12Aと第2のリンク11Bとの成す角が90度となる角度姿勢をとるようになっている。このような形態でストッパリンク12Aのロック溝12A1がロックピン11B1に掛けられる構成となっていることにより、ロック溝12A1がロックピン11B1に対して、第2のリンク11Bの回転方向の双方向に側面をあてがえた状態として、回転方向の隙間が少ない状態に嵌め込まれるようになっている。また、ロック溝12A1をロックピン11B1に嵌め込んだ状態では、ストッパリンク12Aが第2のリンク11Bの接線方向に延びる構成となるため、第2のリンク11B(リンク機構部11)の正逆双方向の回転移動をストッパリンク12Aに大きな曲げの負荷をかけることなく強く受け止めさせることができるようになっている。したがって、上記ロック構造10によって、車体側壁Wに跳ね上げたリヤシート1を、跳ね上げ方向や落とし込み方向にガタ付かせることなく定位置に安定して保持することができる。
【0040】
上記ロック構造10による跳ね上げ機構6の回転ロック状態は、図7図8に示すように、跳ね上げ機構6の後部に設けられた解除レバー13の引き上げ操作を行うことによって解除される。具体的には、上記解除レバー13は、上述したストッパリンク12Aの連結軸12Bの車両後方側に延びた先の端部に一体的に連結されて設けられており、連結軸12Bとの連結箇所から車両内側に延びた形となっている。これにより、上記解除レバー13を上方側へ引き上げる操作によって、連結軸12Bを図7における図示時計回り方向に回転させて、ストッパリンク12Aをロック溝12A1をロックピン11B1から外すように操作することができるようになっている。上記解除操作によって、図8に示すように、車体側壁Wへ跳ね上げたリヤシート1をフロアF上に落とし込んで元の着座使用状態に戻すことができる。
【0041】
以上をまとめると、本実施例の跳ね上げ機構6は、次のような構成となっている。すなわち、跳ね上げ機構6は、固定部6Aと、可動部6Bと、回転連結部(回転軸6C)と、ロック構造10と、を有する。固定部6Aは、フロアFと一体的な状態に固定される。可動部6Bは、乗物用シート(リヤシート1)と一体的な状態に固定される。回転連結部(回転軸6C)は、可動部6Bを固定部6Aに対して回転させられる状態に連結する。ロック構造10は、乗物用シート(リヤシート1)をフロアF上から跳ね上げた位置にロック可能な構成となっている。ロック構造10は、リンク機構部11と、ロック機構部12と、を有する。リンク機構部11は、可動部6Bと固定部6Aとを繋ぎ、可動部6Bの動きに連動する。ロック機構部12は、可動部6Bの跳ね上げによりリンク機構部11に附勢により嵌合して、リンク機構部11の動きをロックする。
【0042】
このように、ロック構造10が跳ね上げ機構6の固定部6Aと可動部6Bとの間に設けられることで、ロック構造10が回転連結部(回転軸6C)に近い位置でロック作動する構成となる。これにより、乗物用シート(リヤシート1)の各構成部品間に組み付け位置や跳ね上げ位置のズレが生じても、これらのズレによる誤差がロック構造10に影響しにくくなるため、ロック構造10を安定した形でロック作動させることができる。
【0043】
また、リンク機構部11は、可動部6Bの回転に伴い固定部6Aとの間で屈伸運動するリンク構造とされており、可動部6Bの跳ね上げ方向の回転に伴い跳ね上げ方向に伸張し、可動部6Bの倒れ込み方向の回転に伴い可動部6Bの回転中心(回転軸6C)に向かう側に屈曲する構成とされている。このような構成となっていることにより、リンク機構部11を、乗物用シート(リヤシート1)のシート内側への張り出しの少ない形に設けることができる。したがって、ロック構造10をコンパクトに構成することができ、乗物用シート(リヤシート1)を跳ね上げた後のフロアF上のスペースをより広く確保することができる。
【0044】
また、ロック機構部12は、固定部6Aに回転可能に連結されて、常時、バネの附勢力によりリンク機構部11に弾性的に押し当てられた状態として設けられたロック部材(ストッパリンク12A)により構成されている。ロック機構部12は、可動部6Bが跳ね上げられることによりリンク機構部11との間に設けられた凹凸の嵌合構造(ロック溝12A1がロックピン11B1に嵌合する構造)が附勢により嵌合してリンク機構部11の動きをロックするようになっている。このような構成となっていることにより、ロック機構部12を跳ね上げに追従しない定位置(固定部6A)でロック部材(ストッパリンク12A)を回転させるのみの簡素な構成とすることができ、乗物用シート(リヤシート1)を跳ね上げた後のフロアF上のスペースをより広く確保することができる。また、乗物用シート(リヤシート1)と共に跳ね上げられる可動側構造の重量を軽くすることができる。
【実施例2】
【0045】
続いて、実施例2の跳ね上げ機構6の構成について、図9を用いて説明する。本実施例では、ストッパリンク12Aに、ロック溝12A1に加えて、ラチェット溝12A2が2つ形成されている。各ラチェット溝12A2は、ストッパリンク12Aの先端部の下面に形成されたロック溝12A1と横並び状に、ロック溝12A1よりストッパリンク12Aの回転中心(連結軸12B)に近い側の領域に形成されている。各ラチェット溝12A2は、溝の図示左側の側面が開口を広げる形に傾斜した形状とされている。このような形状とされていることにより、各ラチェット溝12A2は、跳ね上げ機構6の可動部6Bが初期位置(図4参照)から跳ね上げられる動きに伴ってそれらの溝内にロックピン11B1が受け入れられても、その傾斜した側面に沿ってロックピン11B1を溝の外側へ逃がすことができるようになっている。
【0046】
しかし、各ロック溝12A1は、可動部6Bが跳ね上げ位置(図6参照)から初期位置(図4参照)へ戻される方向(落とし込み方向)に動かされるときには、それらの溝内にロックピン11B1が受け入れられることで、ロックピン11B1を溝の垂直な側の側面によって受け止めて、可動部6Bの戻り方向(落とし込み方向)の移動をその位置で食い止めるようになっている。このようなラチェット溝12A2が形成されていることにより、リヤシート1を車体側壁Wの跳ね上げ位置から落とし込む際に、リヤシート1が一気にフロアF上に落とし込まれることなく、段階的に止められながら小刻みに落とし込まれるようになっている。また、リヤシート1を車体側壁Wへ跳ね上げる際にも、リヤシート1を跳ね上げ途中の位置で係止させられるようになるため、跳ね上げ途中で手を離してもフロアF上に落とし込まれることなく途中位置に留めておくことができるようになる。
【0047】
以上、本発明の実施形態を2つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、本発明の乗物用シートの跳ね上げ機構は、自動車のリヤシート以外のシートや、鉄道車両等の自動車以外の車両や航空機・船舶等の他の乗物用に供されるシートにも広く適用することができるものである。また、上記跳ね上げ機構は、乗物用シートをフロアに対して跳ね上げ方向に回転させられるようにするものであればよく、乗物用シートを折り畳み状態にすることなく、例えばシートバックを後側にフラットに倒し込んだ状態にして側方などへ跳ね上げるものであってもよい。また、上記跳ね上げ機構による乗物用シートの跳ね上げ方向は、前後方向や隣り合うシートに向けた横方向などであってもよい。
【0048】
また、上記各実施例では、本発明の「回転連結部」に相当する構成として、可動部を固定部に対して単軸まわりに回転させられるように連結する回転軸を例示した。しかし、回転連結部は、可動部を固定部に対して回転させられる状態に連結するものであればよく、例えば、可動部を固定部に対して4節リンク機構の形で回転させられるように連結するものであってもよい。
【0049】
また、ロック構造のリンク機構部は、可動部と固定部とを繋ぎ可動部の動きに連動するものであればよく、例えば、一端が可動部に対して回転可能にピン連結され、他端が固定部に対してスライド可能に連結されたもの、もしくはその逆の連結とされたものなど、屈伸運動以外の形で可動部の動きに連動する構成とされたものであってもよい。また、ロック機構部は、可動部の跳ね上げによりリンク機構部に附勢により嵌合してリンク機構部の動きをロックするものであればよく、上記嵌合構造として、例えば上記実施例で示したロックピンとロック溝との凹凸関係を逆の関係にしたもの(ストッパリンクに凹部を設け、リンク機構部に凸部を設けるもの)など、様々な嵌合構造を適用することができるものである。また、上記ロック機構部は、固定部に限らず可動部やリンク機構部に設けられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 リヤシート
2 シートバック
3 シートクッション
3A 解除ストラップ
3B 脚板
3C フック
4 ヘッドレスト
5 リクライナ
6 跳ね上げ機構
6A 固定部
6B 可動部
6C 回転軸(回転連結部)
6D 跳ね上げバネ
10 ロック構造
11 リンク機構部
11A 第1のリンク
11B 第2のリンク
11B1 ロックピン(凹凸の嵌合構造)
11C1〜11C3 連結ピン
12 ロック機構部
12A ストッパリンク(ロック部材)
12A1 ロック溝(凹凸の嵌合構造)
12A2 ラチェット溝
12B 連結軸
12C 引張バネ
13 解除レバー
F フロア
S ストライカ
W 車体側壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9