(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の着色組成物は、少なくとも(A)着色剤、(B)バインダー樹脂、及び(C)重合性化合物を含有する。
【0014】
<(A)着色剤>
本発明の着色剤組成物に含有される(A)着色剤は、少なくとも
(a1)シアニン系化合物(以下、「着色剤(a1)」ともいう。)と、
(a2)ピリドンアゾ系化合物、キサンテン系化合物、アゾメチン系化合物、キノフタロン系化合物、クマリン系化合物、ピラゾロン系化合物、前記式(M1)で表される構造を有する化合物、前記式(M2)で表される構造を有する化合物及びC.I.ベーシックイエロー11よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「着色剤(a2)」ともいう。)と
を含有する。
【0015】
[着色剤(a1)]
本発明における着色剤(a1)であるシアニン系化合物としては、例えば特開2009−235392号公報の実施例に記載された(A−2)〜(A−6)成分、特開2012−212089号公報の段落〔0096〕〜〔0108〕に記載された化合物、特開2012−214718号公報の段落〔0054〕〜〔0063〕に記載された化合物、特開2012−214719号公報の段落〔0050〕〜〔0054〕に記載された化合物等を用いることができるが、中でも、下記式(C)で表される構造を有する化合物及びC.I.ソルベントオレンジ107よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
〔式(C)において、
R
1〜R
3は、相互に独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は置換若しくは非置換の炭化水素基を示す。
環Z
1A及び環Z
2Aは、相互に独立に、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素環を示す。
Q
1及びQ
2は、相互に独立に、−O−、−S−又は−CR
13R
14−を示す。
R
11〜R
14は、相互に独立に、置換若しくは非置換の炭化水素基を示す。〕
【0018】
R
1〜R
3及びR
11〜R
14における炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基を挙げることができる。
【0019】
脂肪族炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよく、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。これら脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜24がより好ましく、1〜20が特に好ましい。また、これら脂肪族炭化水素基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。具体的には、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルデシル基、ドデシル基、1−メチルウンデシル基、1−エチルデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、tert−ドデシル基、ペンタデシル基、1−ヘプチルオクチル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヘンエイコサン−1−イル基、ドコサン−1−イル基、トリコサン−1−イル基、テトラコサン−1−イル基等を挙げることができる。アルケニル基としては、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−エチル−2−ブテニル基、2−オクテニル基、(4−エテニル)−5−ヘキセニル基、2−デセニル基等を挙げることができる。また、アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−エチル-2−ブチニル基、2−オクチニル基、(4−エチニル)−5−ヘキシニル基、2−デシニル基等を挙げることができる。
【0020】
脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基が好ましい。脂環式炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよく、例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、縮合多環炭化水素基、橋かけ環炭化水素基、スピロ炭化水素基、環状テルペン炭化水素基等を挙げることができる。より具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;1−シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;トリシクロデカニル基、デカヒドロ−2−ナフチル基、アダマンチル基等の縮合多環炭化水素基;トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル基、ペンタシクロペンタデカニル基、イソボニル基、ジシクロペンテニル基、トリシクロペンテニル基等の橋かけ環炭化水素基;スピロ[3,4]ヘプタン、スピロ[3,4]オクタンから水素原子を1つ除いた1価の基等のスピロ炭化水素基;p−メンタン、ツジャン、カラン等から水素原子を1つ除いた1価の基等の環状テルペン炭化水素基等を挙げることができる。前記シクロアルキル基及びシクロアルケニル基においては、炭素数が3〜12であることがより好ましい。
【0021】
芳香族炭化水素基としては、炭素数が6〜20のものが好ましく、6〜10のものがより好ましい。芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基が挙げられる。ここで、本明細書において「アリール基」とは、単環〜3環式芳香族炭化水素基をいい、具体例としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、アズレニル基、9−フルオレニル基等を挙げることができる。
【0022】
中でも、R
1〜R
3における炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0023】
中でも、R
11〜R
12における炭化水素基としては、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより更に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が特に好ましい。
また、R
13〜R
14における炭化水素基としては、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0024】
R
1〜R
3としては、水素原子が好ましい。
Q
1及びQ
2は、−O−、−CR
13R
14−が好ましい。
【0025】
環Z
1A及び環Z
2Aにおける芳香族炭化水素環としては、炭素数が6〜20の芳香族炭化水素環が好ましく、炭素数6〜10の芳香族炭化水素環がより好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環が更に好ましい。
【0026】
環Z
1A及び環Z
2Aにおける芳香族炭化水素環、及びR
1〜R
3における炭化水素基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、トリアルキルシリル基、メルカプト基、アリル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルファモイル基、ハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基、複素環基等を挙げることができる。中でも、ハロゲン原子又はハロゲン化炭化水素基が好ましく、ハロゲン原子又はハロゲン化C
1−8炭化水素基がより好ましく、ハロゲン原子又はハロゲン化C
1−4アルキル基が更に好ましい。
【0027】
着色剤(a1)であるシアニン系化合物の中では、下記式(C1)及び(C2)のそれぞれで表される構造を有する化合物並びにC.I.ソルベントオレンジ107よりなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。
【0029】
〔式(C1)において、
R
C1〜R
C6は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を表す。
式(C2)において、
R
C7〜R
C10は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を表し、
R
C11は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基を表す。〕
【0030】
R
C1〜R
C10における炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。このような炭素数1〜8のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基、アミル基、第三アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、第三オクチル基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。
R
C1、R
C2、R
C7及びR
C8の脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
R
C3〜R
C6、R
C9及びR
C10の脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
R
C11のハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができ、これらのうち塩素原子であることが好ましい。
R
C11における炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基の骨格をなす炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましい。該脂肪族炭化水素基の具体例としては、R
C1〜R
C10におけるのと同様のものを挙げることができ、中でも炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基が好ましい。R
C11の炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を挙げることができるが、得られる着色組成物の耐熱性の観点から、フッ素原子であることが好ましい。なお、ハロゲン原子は、炭化水素基の水素原子の一部又は全部を置換していてもよい。R
C11のハロゲン化炭化水素基の具体例としては、例えばトリフルオロメチル基等を挙げることができる。
【0031】
上記式(C1)で表される構造としては、例えば下記式(C1−1)〜(C1−3)のそれぞれで表される構造等を;
上記式(C2)で表される構造としては、例えば下記式(C2−1)〜(C2−3)のそれぞれで表される構造等を、それぞれ挙げることができる。
【0033】
上記式(C)、(C1)及び(C2)のそれぞれで表される構造がカチオン性である場合、該構造を有する化合物は、全体として電気的に中性となるようにカウンターアニオンを有する。該カウンターアニオンとしては、例えばハロゲン化物イオン、ホウ素アニオン、リンアニオン、カルボン酸アニオン、硫酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、窒素アニオン、メチドアニオン、アゾ化合物を配位子に有する遷移金属錯体のアニオン、過塩素酸イオン等を挙げることができる。
上記ハロゲン化物イオンとしては、例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等を挙げることができる。
上記ホウ素アニオンとしては、例えばBF
4-、B(CN)
4等の無機ホウ素アニオンの他、特開2012−173399号公報の段落〔0038〕、米国特許出願公開第2008/0275224号明細書の段落〔0014〕に記載されたホウ素アニオン等を挙げることができる。
上記リンアニオンとしては、例えばHPO
42−、PO
43−、PF
6-等のリンアニオンの他、特開2012−173399号公報の段落〔0037〕、米国特許出願公開第2008/0275224号明細書の段落〔0019〕に記載されたリンアニオンを挙げることができる。
上記カルボン酸アニオンとしては、例えばCH
3COO
−、C
2H
5COO
−、C
6H
5COO
−等の他、特開2009−265641号公報及び特開2008−096680号公報に記載されたカルボン酸アニオンを挙げることができる。
上記硫酸アニオンとしては、例えば硫酸アニオン、亜硫酸アニオン等を挙げることができる。
上記有機スルホン酸アニオンとしては、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸アニオン;
ベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸、p−トリフルオロメチルスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸イオン等のアリールスルホン酸アニオンの他;
2−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸、2−(4−ビニルフェニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸、特開2011−070172号公報の段落〔0037〕、特開2014−080519号公報の表1に記載された有機スルホン酸アニオン等を挙げることができる。
【0034】
上記窒素アニオンとしては、例えば[(CN)
2N]
-、[(FSO
2)
2N]
-、[(FSO
2)N(CF
3SO
2)]
-、[(CF
3SO
2)
2N]
-、[(FSO
2)N(CF
3CF
2SO
2)]
-、[(FSO
2)N{(CF
3)
2CFSO
2}]
-、[(FSO
2)N(CF
3CF
2CF
2SO
2)]
-、[(FSO
2)N(CF
3CF
2CF
2CF
2SO
2)]
-、[(FSO
2)N{(CF
3)
2CFCF
2SO
2}]
-、[(FSO
2)N{CF
3CF
2(CF
3)CFSO
2}]
-、[(FSO
2)N{(CF
3)
3CSO
2}]
-等の他、米国特許出願公開第2008/0275224号明細書の段落〔0026〕、特開2011−133844号公報、特開2011−116803号公報、特開2012−173399号公報の段落〔0039〕等に記載された窒素アニオンを挙げることができる。
上記メチドアニオンとしては、例えば(CF
3SO
2)
3C
-、(CF
3CF
2SO
2)
3C
-、[(CF
3)
2CFSO
2]
3C
-、(CF
3CF
2CF
2SO
2)
3C
-、(CF
3CF
2CF
2CF
2SO
2)
3C
-、[(CF
3)
2CFCF
2SO
2]
3C
-、[CF
3CF
2(CF
3)CFSO
2]
3C
-、[(CF
3)
3CSO
2]
3C
-、(FSO
2)
3C
-等を挙げることができる。
上記アゾ化合物を配位子に有する遷移金属錯体のアニオンとしては、特開2009−163226号公報、特開2012−212089号公報の段落〔0048〕〜〔0062〕に記載されたアゾ金属錯体アニオン、特開2012−214718号公報の段落〔0053〕〜〔0063〕に記載された塩のアニオン部、特開2012−214719号公報の段落〔0049〕〜〔0054〕に記載された塩のアニオン部に記載のアニオンを挙げることができる。
【0035】
上記式(C)、(C1)及び(C2)で表される構造を有する化合物におけるカウンターアニオンとしては、上記のうち、ハロゲン化物イオン、ホウ素アニオン、窒素アニオン、メチドアニオン、アゾ化合物を配位子に有する遷移金属錯体のアニオン又は過塩素酸イオンであることが好ましい。
【0036】
[着色剤(a2)]
本発明における着色剤(a2)は、ピリドンアゾ系化合物、キサンテン系化合物、アゾメチン系化合物、キノフタロン系化合物、クマリン系化合物、ピラゾロン系化合物、前記式(M1)で表される構造を有する化合物、前記式(M2)で表される構造を有する化合物及びC.I.ベーシックイエロー11よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
−ピリドンアゾ系化合物−
本発明における着色剤(a2)のうちのピリドンアゾ系化合物としては、例えば特開2012−194200号公報に記載された化合物を使用することができる。ピリドンアゾ系化合物は、好ましくは下記式(P)で表される化合物である。
【0038】
〔式(P)において、
Zは、置換又は非置換の芳香族炭化水素基を表し、
R
P1は、水素原子、シアノ基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、炭化水素基、炭素数3〜20の複素環基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜8のアルコキシアルキル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数1〜30の脂肪族スルホニル基、又は炭素数6〜30のアリールスルホニル基を表し、
R
P2は、水素原子、シアノ基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、アミノ基、又は炭化水素基を表し、
R
P3は、水素原子、カルボキシ基、トリフルオロメチル基、又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。〕
【0039】
Zにおける芳香族炭化水素基としては、アリール基が挙げられ、具体的としては、R
1〜R
3及びR
11〜R
14における芳香族炭化水素基と同様のものを挙げることができる。中でも、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
かかる芳香族炭化水素基は、置換基を有することが好ましく、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換又は非置換の炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1〜8のアルコキシ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホ基、スルファモイル基、カルバモイル基、N−置換スルファモイル基、アルキルオキシカルボニル基等を挙げることができる。置換基としてスルホ基を有する場合、スルホ基は、塩の形であってもよい。この場合のカチオンは、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン等であることができる。また、アルキルオキシカルボニル基は、アルキル基のC−C結合間に酸素原子を有していてもよい。なお、置換基の位置及び数は任意であり、当該置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0040】
上記式(P)におけるZとしては、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基、N−置換スルファモイル基、ニトロ基、アルキルオキシカルボニル基及びナトリウム塩型スルホ基よりなる群から選択される1個若しくは2個の置換基を有するフェニル基であるか、又は1個若しくは2個のスルホ基で置換されたナフチル基であることが好ましく、N−置換カルバモイル基を有するフェニル基が更に好ましい。ここで、ハロゲン原子としては、塩素原子であることが好ましい。「ナトリウム塩型スルホ基」とは−SO
3Na基を意味する。
N−置換スルファモイル基におけるN位置換基としては、例えば炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、複素環式構造を含む炭素数4〜8の有機基等を挙げることができる。中でも、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数4〜16のアルキル基がより好ましく、炭素数4〜12のアルキル基が更に好ましい。なお、該アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。また、アルキルオキシカルボニル基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜7より好ましい。アルキルオキシカルボニル基におけるアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキルオキシカルボニル基の具体例としては、例えば、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、メチルオキシプロピルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0041】
Zの具体例は、例えば以下のとおりである;
4−スルホフェニル基、3−スルホ―4−クロロフェニル基、2−スルホ−3−トルイル基、2−スルホ−3−メトキシフェニル基、3−スルホフェニル基、3−クロロ−4−スルホフェニル基、2−スルホフェニル基、2,5−ジスルホフェニル基、4−(N−ドデシルスルファモイル)フェニル基、4,8−ジスルホナフタレン−1−イル基、4−(N−ペンチルスルファモイル)フェニル基、4−(N−(3−フェニル−1−メチルプロピル)スルファモイル)フェニル基、4−(N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル)フェニル基、2−(N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル)フェニル基、4−(N−メチル−N−n−オクチルスルファモイル)フェニル基、4−(N−フェニル−N−n−オクチルスルファモイル)フェニル基、4−ニトロ−2−(N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル)フェニル基、2−クロロ−4−(N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル)フェニル基、2−メチル−5−(N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル)フェニル基、4−(N−(n−オクチル)スルファモイル)フェニル基、3−(N−(n−オクチル)スルファモイル)フェニル基、2−メトキシ−5−(N−(n−オクチル)スルファモイル)フェニル基、2−メトキシ−5−(N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル)フェニル基、4−(N−(1,5−ジメチルヘキシル)スルファモイル)フェニル基、4−(N−(1,1,3−トリメチルブチル)スルファモイル)フェニル基、4−(N−(n−プロピル)スルファモイル)フェニル基、4−(N,N−ビス(2−メトキシエチル)スルファモイル)フェニル基、n−ニトロ−4−クロロフェニル基、3−ニトロ−4−クロロフェニル基、2−ナトリウム塩型スルホフェニル基、1−スルホナフタレン−1−イル基、4−(N−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)スルファモイル)フェニル基、4−(N−(4−ナトリウム塩型スルホフェニル)スルファモイル)フェニル基、4−クロロフェニル基、4−((N−(2−N,N−ジメチルアミノ)エチル)スルファモイル)フェニル基、4−(N−(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)スルファモイル)フェニル基、4−((N−2−メトキシ−1−メチルエチル)スルファモイル)フェニル基、4−(N−(1−i−プロピルペンチル)スルファモイル)フェニル基、2,3−ビス(メチルオキシエチルオキシカルボニル)フェニル基、3,4−ビス(メチルオキシエチルオキシカルボニル)フェニル基等。
【0042】
R
P1におけるN−置換カルバモイル基中のN位置換基としては、例えば、炭素数1〜12のアルキル基等を挙げることができる。
R
P1における炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられ、それらの具体的構成はR
1〜R
3及びR
11〜R
14の炭化水素基において説明したとおりである。中でも、R
P1における炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。なお、アルキル基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれでもよく、水酸基で置換されていてもよい。
R
P1における複素環基は、例えば、単環式複素環でも、多環式複素環でもよい。複素環基は、不飽和環でも飽和環でもよく、また同種又は異種の2以上のヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子)を環内に有していてもよい。複素環基としては、炭素数3〜10の複素環基が好ましく、具体例としては、例えば、ピロリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ホモピペラジニル基、モルホリニル基、モルホリノ基等の脂環式複素環基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、チエニル基、フリル基、ピラジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、インドリル基、インダゾリル基、ペンゾイミダゾリル基、プリニル基等の芳香族複素環基を挙げることができる。
R
P1におけるアルキルオキシカルボニル基の炭素数は2〜12が好ましく、2〜8が更に好ましい。具体例としては、Zの置換基におけるアルキルオキシカルボニル基と同様のものを挙げることができる。
R
P1におけるアリールオキシカルボニル基の炭素数は7〜11が好ましく、具体例として、例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基を挙げることができる。
R
P1におけるアルコキシアルキル基とは、C
1−12アルコキシ置換C
1−12アルキル基が好ましい。具体例として、例えば、エトキシエチル基を挙げることができる。
R
P1における脂肪族スルホニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましく、具体例として、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、デカニルスルホニル基、テトラデシルスルホニル基、t−ドデシルスルホニル基、オクタデシルスルホニル基等を挙げることができる。
R
P1におけるアリールスルホニル基としては、炭素数6〜14のアリールスルホニル基が好ましく、具体例として、例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等を挙げることができる。
中でも、R
P1としては、水素原子又は炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
【0043】
R
P2におけるN−置換カルバモイル基中のN位置換基としては、例えば、炭素数1〜12のアルキル基等を挙げることができる。
R
P2及びR
P3における炭化水素基としては、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。なお、アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でよい。
中でも、R
P2としては、シアノ基が好ましい。また、R
P3としては、水素原子又は炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。なお、アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でよい。
【0044】
上記式(P)で表される化合物のうち、特に好ましくは下記式(P1)で表される化合物である。
【0046】
〔式(P1)において、
R
P4は、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基を表し、
R
P5及びR
P6は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を表す。〕
【0047】
上記式(P1)におけるR
P4の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数4〜12のアルキル基であり、アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、分岐鎖状が好ましい。
R
P5及びR
P6における炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、更に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
上記式(P1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(P1−1)及び(P1−2)のそれぞれで表される化合物等を挙げることができる。
【0049】
−キサンテン系化合物−
本発明における着色剤(a2)のうちのキサンテン系化合物としては、例えば特開2013-100463号公報の実施例に記載の式(A1)〜(A6)で表される化合物、特開2012−181505号公報の段落〔0038〕〜〔0043〕及び段落〔0048〕〜〔0050〕、特開2013−007032号公報の段落〔0036〕〜〔0038〕等に記載された化合物を用いることができる。キサンテン系化合物として、好ましくは、下記式(X)で表される構造を有する化合物である。
【0051】
〔式(X)において、
R
X1〜R
X4は、相互に独立に、水素原子、R
01、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、
R
X5及びR
X6は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、
R
X7は、−SO
3−、−SO
3H、−SO
3M、−CO
2H、−CO
2R
01、−SO
3R
01、−SO
2NHR
02、−SO
2NR
02R
03、又は重合性不飽和基を有する基を表し、
rは、0〜5の整数を表し、rが2以上の整数である場合、複数のR
X7は、同一でも異なっていても良い。
R
01は、炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基を有しても良い炭素数1〜10の飽和炭化水素基、又は、炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基を有しても良い炭素数1〜10のハロゲン化飽和炭化水素基を表し、
R
02及びR
03は、相互に独立に、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数5〜10の芳香族複素環基を表し、R
02及びR
03は相互に連結して置換若しくは非置換の炭素数1〜10の複素環基を形成していてもよい。
Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子を表す。〕
【0052】
上記式(X)で表される構造には種々の共鳴構造が存在するが、限界構造の1つが上記式(X)で表される構造であれば、上記式(X)で表される構造に該当すると理解されるべきである。
【0053】
R
X1〜R
X4における芳香族炭化水素基は、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基が更に好ましい。
R
01の飽和炭化水素基及びハロゲン化飽和炭化水素基の骨格をなす飽和炭化水素基は、炭素数が1〜10であれば、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、また橋かけ構造を有していてもよい。かかる飽和炭化水素基としては、例えば、飽和脂肪族炭化水素基、飽和脂環式炭化水素基が挙げられ、中でも、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。ハロゲン化飽和炭化水素基のハロゲンとしては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でも、塩素原子が好ましい。なお、ハロゲン原子は、飽和炭化水素基の水素原子の一部又は全部を置換していてもよい。
また、R
01の飽和炭化水素基、及びハロゲン化飽和炭化水素基は、その骨格をなす飽和炭化水素基のC−C結合間に炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基を有してもよい。かかる連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−CONH−、−SO
2−、−NR’−(但し、R’は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基である。)等を挙げることができる。
R
02及びR
03における芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましい。また、R
02及びR
03が相互に連結して形成される複素環基、R
02及びR
03における芳香族複素環基の具体例としては、それぞれR
P1における複素環基、芳香族複素環基と同様のものを挙げることができる。中でも、R
02及びR
03としては、炭素数4〜10のアルキル基が好ましく、炭素数4〜8のアルキル基が更に好ましく、アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でよいが、分岐鎖状が好ましい。
【0054】
R
X1〜R
X4の芳香族炭化水素基における置換基としては、例えばハロゲン原子、R
01、−OH、−OR
01、−SO
3H、−SO
3M、−CO
2H、−CO
2R
01、−SO
3R
01、−SO
2NHR
02又は−SO
2NR
02R
03等を挙げることができる。
R
02及びR
03の芳香族炭化水素基及び芳香族複素環式基における置換基としては、例えばハロゲン原子、−OH、R
01、−OR
01、−NO
2、−CH=CH
2、−CH=CHR
01等を挙げることができる。
R
02及びR
03の直鎖状アルキル基及びシクロアルキル基における置換基としては、例えばハロゲン原子、−OH、−W、−CH=CH
2、−CH=CHR
01等を挙げることができる。
R
02及びR
03が相互に連結して形成した複素環式基における置換基としては、例えば−R
01、−OH、−W等を挙げることができる。
上記の−Wは、置換若しくは非置換の炭素数炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数5〜10の芳香族複素環式基である。−Wの芳香族炭化水素基及び芳香族複素環式基における置換基としては、例えばハロゲン原子、−OH、R
01、−OR
01、−NO
2、−CH=CH
2、−CH=CHR
01等を挙げることができる。
なお、これら置換基の置換位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。また、上記のすべてにおいて、R
01〜R
03は、ぞれぞれ、式(X)中で定義したのと同じ意味である。
【0055】
上記式(X)におけるR
X1〜R
X4としては、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数6〜12のN−置換スルファモイルアリール基又は炭素数6〜12のスルホアリール基であることが好ましい。これらの具体例は、例えば水素原子、メチル基、エチル基、キシリル基、N−置換スルファモイルキシリル基、スルホキシリル基等である。
上記式(X)におけるR
X5及びR
X6は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。具体的には、例えば水素原子、メチル基等である。
上記式(X)におけるR
X7としては、カルボキシ基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、N−置換スルファモイル基、スルホ基、重合性不飽和基を有する基であることが好ましい。これらの具体例は、例えばカルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、N−置換スルファモイル基、スルホ基等である。上記式(X)におけるN−置換スルファモイル基中のN位置換基としては、例えば直鎖状又は分岐鎖状である炭素数4〜10のアルキル基等を挙げることができる。
【0056】
R
X7における重合性不飽和基を有する基において、重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルアリール基、ビニルオキシ基、アリル基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。重合性不飽和基を有する基の好適な具体例としては、下記式(1x)又は(2x)で表わされる基を挙げることができる。
【0058】
〔式(1x)及び(2x)において、
R
X8及びR
X9は、相互に独立に、水素原子又はメチル基を示す。
Y
1、Y
2、Y
3及びY
4は、相互に独立に、置換又は非置換の炭素数1〜12のアルカンジイル基を示す。
Z
Xは、−CO−基又は−COO−(*)基を示す(但し、*はY
2との結合手を表す)。
Q
Xは、2価の脂環式炭化水素基を示す。
p
1は、0〜12の整数を示す。
p
2及びp
3は、相互に独立に、0〜6の整数を示す。〕
【0059】
R
X8及びR
X9としては、水素原子及びメチル基のうち、メチル基が好ましい。
Y
1〜Y
4における炭素数1〜12のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基等を挙げることができ、中でも、炭素数2〜8のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2〜6のアルカンジイル基がより好ましい。
アルカンジイル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、(メタ)アクリロイルオキシ基、フェノキシ基等を挙げることができる。中でも、水酸基が好ましい。
Q
Xにおける2価の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基がより好ましい。なお、脂環式炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよく、2〜4環の架橋環式炭化水素基でもよい。具体例としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロブテニレン基、シクロペンテニレン基、シクロヘキセニレン基等の単環式炭化水素環基、1,4−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基等のノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等の架橋環式炭化水素環基等を挙げることができる。
p
1は、0〜3の整数が好ましく、またp
2及びp
3は、相互に独立に、0〜3の整数が好ましい。
【0060】
上記式(X)で表される構造としては、例えば下記式(X−1)〜(X−16)のそれぞれで表される構造等を挙げることができる。
【0064】
〔式(X−7)〜(X−9)において、R
cは2−エチルヘキシル基である。〕
【0065】
上記式(X)で表される構造がカチオン性である場合、該構造を有する化合物は、全体として電気的に中性となるようにカウンターアニオンを有する。また、上記式(X)で表される構造がアニオン性である場合、該構造を有する化合物は、全体として電気的に中性となるようにカウンターカチオンを有する。
上記カウンターアニオンとしては、上記式(C)、(C1)及び(C2)のそれぞれで表される構造がカチオン性である場合におけるカウンターアニオンとして上記したのと同じものを使用することができる。
【0066】
上記カウンターカチオンとしては、例えばプロトン、金属カチオン、オニウムカチオン等を挙げることができる。
上記金属カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン等の1価の金属カチオン;
マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン等の2価の金属カチオン等を挙げることができる。
上記オニウムカチオンとしては、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等を挙げることができる。上記アンモニウムカチオンとしては、例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、モノステアリルトリメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム、トリステアリルモノメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、ジオクチルジメチルアンモニウム、モノラウリルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、トリラウリルメチルアンモニウム、トリアミルベンジルアンモニウム、トリヘキシルベンジルアンモニウム、トリオクチルベンジルアンモニウム、トリラウリルベンジルアンモニウム、ベンジルジメチルステアリルアンモニウム、ベンジルジメチルオクチルアンモニウム、ジC
14−18アルキルジメチルアンモニウム等のほか、特開2012−32770号公報に記載された、側鎖にアンモニウムカチオン性基を有する樹脂等を;
上記ホスホニウムカチオンとしては、例えば、メチルトリオクチルホスホニウム、オクチルトリブチルホスホニウム、ドデシルトリブチルホスホニウム、ヘキサデシルトリブチルホスホニウム、ジヘキシルジオクチルホスホニウム等のテトラアルキルホスホニウム、ベンジルトリブチルホスホニウム等のアリールトリアルキルホスホニウム、ジブチルジフェニルホスホニウム等のジアルキルジアリールホスホニウム、ブチルトリフェニルホスホニウム等のアルキルトリフェニルホスホニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム等のテトラアリールホスホニウム等を、それぞれ挙げることができる。
【0067】
−アゾメチン系化合物−
本発明における着色剤(a2)のうちのアゾメチン系化合物としては、例えば特開2011−219655号公報の段落〔0014〕、特開2013−145258号公報に記載された化合物等であることができる。アゾメチン系化合物としては、例えば下記式(A)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
【0069】
〔式(A)において、
R
A1〜R
A4は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を表し、
R
A5は、水素原子、又は炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基を有しても良い炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を表す。〕
【0070】
上記式(A)におけるR
A1〜R
A4の炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。このような炭素数1〜8のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基、アミル基、第三アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、第三オクチル基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。R
A1〜R
A4の脂肪族炭化水素基における炭素数は、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
上記式(A)におけるR
A5の炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基については、R
A1〜R
A4の炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基について上記したところと同様であるが、炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基を有してもよく、かかる連結基を介してフェニル基に結合していてもよい。この場合の連結基としては、例えば−O−、−S−、−CO−、−COO−、−CONH−、−SO
2−等を挙げることができ、これらのうち、−O−、−CO−又は−COO−であることが好ましく、−O−又は−COO−であることがより好ましい。これら連結基の方向は問わない。R
A5として最も好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基である。R
A5の脂肪族炭化水素基における炭素数は、好ましくは1〜6である。なお、炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
【0071】
上記式(A)で表される構造がカチオン性である場合、該構造を有する化合物は、全体として電気的に中性となるようにカウンターアニオンを有する。該カウンターアニオンとしては、上記式(C)、(C1)及び(C2)のそれぞれで表される構造がカチオン性である場合におけるカウンターアニオンについて上記したものと同様のものを挙げることができる。中でも、好ましくは窒素アニオン、ハロゲン化物イオン、有機スルホン酸アニオン、ホウ素アニオン等であり、特に[(CF
3SO
2)
2N]
-であることが好ましい。
【0072】
上記式(A)で表される構造を有する化合物の具体例としては、例えば下記式(A−1)〜(A−3)のそれぞれで表される化合物等を挙げることができる。
【0074】
−キノフタロン系化合物−
本発明における着色剤(a2)のうちのキノフタロン系化合物としては、例えば特開平5−039269号公報、特開平6−220339号公報、特開平8−171201号公報、特開2006−126649号公報に記載の式(2)で表される化合物、特開2010−250291号公報に記載の式(1)で表される化合物、特開2013−209614号公報に記載の式(1)で表される化合物を使用することができる。キノフタロン系化合物として、好ましくは、下記式(Q)で表される化合物である。
【0076】
〔式(Q)において
R
Q1は、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換若しくは非置換のフェノキシ基、チオアルコキキシ基、置換若しくは非置換のチオフェノキシ基、又は置換若しくは非置換の炭素数1〜20の炭化水素基を表し、
R
Q2は、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオアルコキキシ基、置換若しくは非置換のアミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、又は置換若しくは非置換の炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
pは、0〜3の整数を表し、pが2以上の整数である場合、複数のR
Q1は、同一でも異なっていても良い。
qは、0〜4の整数を表し、qが2以上の整数である場合、複数のR
Q2は、同一でも異なっていても良い。〕
【0077】
R
Q1及びR
Q2におけるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
R
Q1及びR
Q2におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく炭素数1〜4のアルコキシ基が更に好ましい。
R
Q1及びR
Q2における炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基を挙げることができ、具体的には、R
1〜R
3及びR
11〜R
14における炭化水素基の説明で挙げたものと同様である。中でも、脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基が特に好ましい。
R
Q2におけるアルコキシアルコキシ基としては、炭素数が2〜8のアルコキシアルコキシ基が好ましく、炭素数が2〜5のアルコキシアルコキシ基が更に好ましい。具体例としては、例えば、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、n−プロポキシエトキシ基、エトキシプロポキシ基等を挙げることができる。
R
Q2におけるアルコキシカルボニル基としては、炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基が更に好ましい。具体例としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル等を挙げることができる。
R
Q2におけるアミノ基及びN−置換カルバモイル基中のN位置換基としては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。また、フェノキシ基、チオフェノキシ基、炭化水素基の置換基としては、R
1〜R
3における炭化水素基の置換基と同様のものを挙げることができる。
p及びqは、0又は1が好ましい。pが1である場合、R
Q1は炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。qが1である場合、R
Q2はN−置換カルバモイル基が好ましく、N位置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。
【0078】
上記式(Q)で表される化合物の具体例としては、例えば(Q1)で表される化合物等を挙げることができる。
【0080】
−クマリン系化合物−
本発明における着色剤(a2)のうちのクマリン系化合物としては、例えば特開平4−179955号公報の実施例4に記載の化合物、特開2013−151668号公報に記載の式(1)で表される化合物、特開2013−231165号公報に記載の式(1)で表される化合物、特開2014−044419号公報に記載の式(1)で表される化合物を使用することができる。クマリン系化合物として、好ましくは、下記式(Cou)で表される化合物である。
【0082】
〔式(Cou)において、
R
u1は、水素原子又は置換若しくは非置換の炭素数1〜20の炭化水素基を表し、
R
u2及びR
u3は、相互に独立に、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換若しくは非置換のアミノ基、又は置換若しくは非置換の炭素数1〜20の炭化水素基を表し、
sは、0〜3の整数を表し、sが2以上の整数である場合、複数のR
u2は、同一でも異なっていても良い。
tは、0〜4の整数を表し、tが2以上の整数である場合、複数のR
u3は、同一でも異なっていても良い。〕
【0083】
R
u1〜R
u3における炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられ、中でも、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。なお、炭化水素基の置換基としては、R
1〜R
3における炭化水素基の置換基と同様のものを挙げることができる。
R
u2及びR
u3におけるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
R
u2及びR
u3におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく炭素数1〜4のアルコキシ基が更に好ましい。
R
u2及びR
u3におけるアミノ基は置換基を有することが好ましく、N位置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
sは、1が好ましく、その場合、R
u2は置換アミノ基が好ましく、ジアルキル置換アミノ基がより好ましく、ジ(C
1−8アルキル)置換アミノ基が更に好ましい。tは0が好ましい。
好適な態様としては、R
u1が水素原子、sが1でR
u2が置換アミノ基、tが0であり、より好適な態様としては、R
u1が水素原子、sが1でR
u2がジアルキル置換アミノ基、tが0である。
【0084】
上記式(Cou)で表される化合物の具体例としては、例えば(Cou−1)及び(Cou−2)のそれぞれで表される化合物等を挙げることができる。
【0086】
−ピラゾロン系化合物−
本発明における着色剤(a2)のうちのピラゾロン系化合物としては、例えば特開2006−016564号公報に記載の式(1)で表される化合物、特開2006−063171号公報に記載の式(1)で表される化合物を使用することができる。ピラゾロン系化合物として、好ましくは、下記式(Pzo)で表される化合物である。
【0088】
〔式(Pzo)において、
R
Z1及びR
Z3は、相互に独立に、アルキル基又はアリール基を表し、
R
Z2は、アルキル基を表す。〕
【0089】
R
Z1、R
Z2及びR
Z3におけるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基が更に好ましい。アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状であってもよい。
【0090】
R
Z1及びR
Z3におけるアリール基としては、炭素数6〜10の単環又は2環のアリール基が好ましく、フェニル基、ベンジル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、ナフチル基が更に好ましい。
【0091】
上記式(Pzo)で表される化合物の具体例としては、例えば(Pzo−1)〜(Pzo−10)のそれぞれで表される化合物等を挙げることができる。
【0093】
−式(M1)で表される構造を有する化合物−
式(M1)で表される構造を有する化合物は、下記の化合物である。
【0095】
〔式(M1)において、
R
M1は、水素原子、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表し、
R
M2は、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表し、
R
M3及びR
M4は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を表す。〕
【0096】
R
M1の炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。このような炭素数1〜8のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基、アミル基、第三アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、第三オクチル基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。R
M1の脂肪族炭化水素基における炭素数は、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
R
M1の炭素数3〜20の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基であることが好ましい。その具体例としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクチル基等を挙げることができる。
R
M2の炭素数1〜8のアルカンジイル基としては、例えばメチレン基、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基等を挙げることができる。これらのうち、炭素数1〜6のアルカンジイル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルカンジイル基であることがより好ましい。
R
M3及びR
M4の炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基としては、R
M1の炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基について上記したところと同様であり、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
【0097】
上記式(M1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(M1−1)で表される化合物等を挙げることができる。
【0099】
−式(M2)で表される構造を有する化合物−
式(M2)で表される構造を有する化合物は、下記の化合物である。
【0101】
〔式(M2)において、
R
M5は、シアノ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、又はベンゾイミダゾリル基を表し、
R
M6は、水素原子、アルキルカルボニル基、又はトリアルキルシリル基を表し、
R
M7及びR
M8は、相互に独立に、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基を表し、R
M7及びR
M8は互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。〕
【0102】
R
M5におけるアルキルオキシカルボニル基は、炭素数が2〜20であることが好ましく、より好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜7である。アルキルオキシカルボニル基が有するアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。具体例としては、例えば、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
R
M5におけるアリールオキシカルボニル基は、炭素数が7〜11であることが好ましく、具体例としては、例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
R
M5におけるアリールアミノカルボニル基は、炭素数が7〜11であることが好ましく、具体例としては、例えば、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基等を挙げることができる。
R
M6におけるアルキルカルボニル基は、炭素数が2〜20であることが好ましく、より好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜7である。アルキルカルボニル基におけるアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。具体例としては、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等を挙げることができる。
R
M6におけるトリアルキルシリル基が有するアルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、より好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4である。トリアルキルシリル基が有するアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、3つのアルキル基は同一でも異なっていてもよい。具体例としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等を挙げることができる。
R
M7及びR
M8におけるアルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、より好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4である。アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。具体例としては、R
1〜R
3及びR
11〜R
14において例示したものと同様のものを挙げることができる。
R
M7及びR
M8におけるアリール基としては、R
1〜R
3及びR
11〜R
14における芳香族炭化水素基と同様のものを挙げることができる。中でも、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
R
M7及びR
M8におけるアルキル基及びアリール基が有する置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシ基、ニトロ基、アルコキシ基等を挙げることができる。
R
M7及びR
M8が互いに結合して形成される含窒素複素環としては、炭素数3〜10の複素環基が好ましく、具体例としては、例えば、R
P1において例示したものと同様のものを挙げることができる。中でも、モルホリニル基、モルホリノ基等の含窒素脂環式複素環基が好ましい。
【0103】
上記式(M2)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(M2−1)〜(M2−6)のそれぞれで表される化合物等を挙げることができる。
【0105】
本発明における着色剤(a2)のうちのC.I.ベーシックイエロー11は、下記式(M3)で表される化合物である。
【0107】
本発明においては、(A)着色剤として着色剤(a1)及び着色剤(a2)という特定の染料を組み合わせて用いることを特徴とするものである。そして、このような(A)着色剤を含有する着色組成物は、赤色硬化膜の形成、とりわけ表示素子や固体撮像素子が有する赤色画素の形成に好適に用いることができる。
【0108】
[その他の着色剤]
本発明の着色組成物における(A)着色剤は、上記のような着色剤(a1)及び着色剤(a2)を必須として含有するが、任意的に、これら以外に他の着色剤を含有していてもよい。
ここで使用できる他の着色剤としては、例えば着色剤(a1)及び着色剤(a2)以外の染料、並びに顔料のいずれをも使用することができる。しかしながら、輝度及び色純度の高い画素を得るためには、他の着色剤として有機顔料及び有機染料から選択して使用することが好ましく、有機顔料を使用することがより好ましい。
上記有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメントに分類されている化合物を挙げることができる。中でも、特開2001−081348号公報、特開2010−026334号公報、特開2010−191304号公報、特開2010−237384号公報、特開2010−237569号公報、特開2011−006602号公報、特開2011−145346号公報等に記載のレーキ顔料;
C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー80、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントイエロー215、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントバイオレット23等のレーキ顔料以外の有機顔料を、好ましいものとして挙げることができる。上記レーキ顔料としては、トリアリールメタン系レーキ顔料、キサンテン系レーキ顔料及びアゾ系レーキ顔料が好ましく、トリアリールメタン系レーキ顔料及びキサンテン系レーキ顔料がより好ましい。
本発明の着色組成物は赤色硬化膜の形成に用いられることが好ましい。この場合、その他の着色剤としては赤色顔料、赤色染料が好ましい。
【0109】
他の着色剤として顔料を使用する場合、公知の方法によって、精製及び表面改質から選択される一種以上の処理を行った後に使用してもよく;
公知の分散剤及び分散助剤を併用してもよい。公知の分散剤としては、例えばウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤等を;
公知の分散助剤としては顔料誘導体等を、それぞれ挙げることができる。
【0110】
[(A)着色剤の組成]
本発明の着色組成物における(A)着色剤において、着色剤(a1)の使用割合は、着色剤(a1)及び着色剤(a2)の合計質量に対して、10〜90質量%とすることが好ましく、25〜80質量%とすることがより好ましく、特に40〜70質量%とすることが好ましい。
着色剤(a2)は、上記のピリドンアゾ系化合物、キサンテン系化合物、アゾメチン系化合物、キノフタロン系化合物、クマリン系化合物、ピラゾロン系化合物、前記式(M1)で表される構造を有する化合物、前記式(M2)で表される構造を有する化合物及びC.I.ベーシックイエロー11よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることができるが、これらのうちから選択される1種のみを使用することが好ましい。
本発明の着色組成物における(A)着色剤が、着色剤(a1)及び着色剤(a2)のほかに他の着色剤として顔料を含有する場合、該顔料の使用割合としては、(A)着色剤の全質量に対して、50質量%以下とすることが好ましく、30質量%以下とすることがより好ましく、特に10質量%以下とすることが好ましく、最も好ましくはこれを使用しないことである。
【0111】
<(B)バインダー樹脂>
本発明の着色組成物に含有される(B)バインダー樹脂は、特に限定されるものではないが、酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。前記酸性官能基としては、例えばカルボキシル基、フェノール性水酸基等を挙げることができ、カルボキシル基が好ましい。
本発明における(B)バインダー樹脂として、特に好ましくは
(b1)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b1)」という。)と、
(b2)不飽和単量体(b1)と共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2)」という。)と
の共重合体、又は
重合性不飽和結合とカルボキシル基とを有する重合体
である。
【0112】
上記不飽和単量体(b1)としては、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができ、これらのうちから選択される少なくとも1種を使用することができる。
【0113】
上記不飽和単量体(b2)としては、例えばN−位置換マレイミド、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエーテル、重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。これらの具体例としては、上記N−位置換マレイミドとして、例えばN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を;
上記芳香族ビニル化合物として、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレン等を;
上記(メタ)アクリル酸エステルとして、例えばメチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタン等を;
上記ビニルエーテルとして、例えばシクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタン等を、それぞれ挙げることができる。上記重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマーにおける重合体としては、例えばポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0114】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)との共重合体の具体例としては、例えば特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報及び特開2004−101728号公報に開示されている共重合体等を挙げることができる。
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)との共重合体中の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(b1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
上記重合性不飽和結合とカルボキシル基とを有する重合体における重合性不飽和結合は、該重合体の側鎖にあることが好ましい。このような重合体の具体例としては、例えば特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平09−325494号公報、特開平11−140144号公報及び特開2008−181095号公報に開示されている共重合体等を挙げることができる。
【0115】
本発明における(B)バインダー樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(溶出溶媒:テトラヒドロフラン、以下「GPC」という。)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000〜100,000であり、より好ましくは3,000〜50,000である。このような態様とすることにより、形成される着色硬化膜の耐熱性、被膜特性、電気特性、パターン形状及び解像度をより良好なものとすることができる。(B)バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0であり、より好ましくは1.0〜3.0である。上記Mnとは、GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
上記のような(B)バインダー樹脂は、公知の方法により製造することができる。例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第2007/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造、Mw、Mw/Mn等を所望の範囲に制御しつつ合成することができる。
【0116】
本発明における(B)バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の着色組成物における(B)バインダー樹脂の含有割合は、(A)着色剤100質量部に対して、好ましくは10〜1,000質量部であり、より好ましくは20〜500質量部であり、更に好ましくは50〜350質量部であり、特に100〜250質量部であることが好ましい。(B)バインダー樹脂の含有割合を上記の範囲とすることにより、得られる着色素子物の保存安定性及びアルカリ現像性、並びに形成される着色硬化膜の色度特性を、より良好なものとすることができる。
【0117】
<(C)重合性化合物>
本発明の着色組成物に含有される(C)重合性化合物は、重合可能な基を分子内に2個以上有する化合物である。ここで、重合可能な基としては、例えばエチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。
本発明における(C)重合性化合物としては、(メタ)アクリロイル基を分子内に2個以上有する化合物又はN−アルコキシメチルアミノ基を分子内に2個以上有する化合物を使用することが好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を分子内に2個以上有する化合物の具体例としては、例えば脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物とを反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0118】
上記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物等を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。上記酸無水物としては、例えば無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物;無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物等を挙げることができる。
【0119】
上記カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば特開平11−44955号公報の段落[0015]〜[0018]に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選択される少なくとも1種により変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選択される少なくとも1種により変性されたイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選択される少なくとも1種により変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選択される少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選択される少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選択される少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選択される少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0120】
一方、上記N−アルコキシメチルアミノ基を分子内に2個以上有する化合物としては、例えばメラミン構造、ベンゾグアナミン構造又はウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。ここでメラミン構造とはトリアジン環の1個以上を、ベンゾグアナミン構造とはフェニル基置換トリアジン環の1個以上を、それぞれ基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン及びこれらの縮合物を包含する概念である。N−アルコキシメチルアミノ基を分子内に2個以上有する化合物の具体例としては、例えばN,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
本発明における(C)重合性化合物としては、上記のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン及びN,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい化合物群である。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリルと酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが;
カルボキシルもとを有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸とを反応させて得られる化合物及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水コハク酸とを反応させて得られる化合物が、形成される着色硬化物が高強度で表面平滑性に優れ、且つミロ後部の基板上及び遮光相乗日汚れ、巻く残り等を発生し難い点で、特に好ましい。
【0121】
本発明における(C)重合性化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の着色組成物における(C)重合性化合物の含有割合は、(A)着色剤100質量部に対して、好ましくは10〜1,000質量部であり、より好ましくは20〜700質量部であり、更に好ましくは100〜500質量部であり、特に200〜400質量部が好ましい。(C)重合性化合物の使用割合をこの範囲に設定することにより、着色組成物のアルカリ現像性及び硬化性をより良好にすることができる。
【0122】
<(D)光重合開始剤>
本発明の着色組成物には光重合開始剤を含有せしめることができる。本発明の着色組成物に含有される(D)光重合開始剤は、可視光線、紫外線、塩紫外線、電子線、X等の光を照射することにより、上記(C)重合性化合物の重合を開始し得る活性種を発生する化合物である。
本発明における(D)光重合開始剤としては、ビイミダゾール系化合物、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、トリアジン系化合物及びO−アシルオキシム系化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。上記ビイミダゾール系化合物としては、例えば2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフ
ェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を;
上記チオキサントン系化合物としては、例えばチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を;
【0123】
上記アセトフェノン系化合物としては、例えば2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を、それぞれ挙げることができる。上記トリアジン系化合物としてはハロメチル基を有するトリアジン化合物が好ましく、例えば2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等を挙げることができる。上記O−アシルオキシム系化合物としては、例えば1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0124】
本発明における(D)光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を使用する場合、該ビイミダゾール系化合物とともに水素供与体を併用することが、光感度を向上することができる点で好ましい。ここで、「水素供与体」とは、光照射によってビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して水素原子を供与することができる化合物である。このような水素供与体としては、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体;及び4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。これらの水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、メルカプタン系水素供与体の少なくとも1種とアミン系水素供与体の少なくとも1種とを組み合わせて使用することが、高感度を極めて高くすることができる点で好ましい。
一方、本発明における(D)光重合開始剤として、ビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤、好ましくはチオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、トリアジン系化合物及びO−アシルオキシム系化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を使用する場合、これらの光重合開始剤とともに増感剤を使用してもよい。このような増感剤としては、例えば4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができ、これらのうちから選択される少なくとも1種を使用することができる。
【0125】
本発明の着色組成物における(D)光重合開始剤の含有割合は、(C)重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜120質量部であり、より好ましくは1〜100質量部である。(D)光重合開始剤の含有割合を上記の範囲に設定することにより、着色組成物の硬化性をより良好にすることができる点で、好ましい。
(D)光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を使用し、該ビイミダゾール系化合物とともに水素供与体を併用する場合、該水素供与体の使用割合としては、(C)重合性化合物100質量部に対して、好ましくは40質量部以下であり、より好ましくは0.01〜40質量部であり、さらに好ましくは1〜30質量部であり、特に好ましくは2〜20質量部である。
【0126】
<その他の添加剤>
本発明の着色組成物は、上記のような(A)着色剤、(B)バインダー樹脂及び(C)重合性化合物を含有し、好ましくはこれらの成分が後述の溶媒中に配合された液状組成物として調製される。しかしながら本発明の着色組成物は、これら以外にその他の添加剤が配合されていてもよい。
このようなその他の添加剤としては、例えば充填剤、高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、残渣改善剤、現像性改善剤等を挙げることができる。これらの具体例としては、上記充填剤として、例えばガラス、アルミナ等を;
上記高分子化合物として、例えばポリビニルアルコール、ポリ(フルオロアルキルアクリレート)類等を;
上記界面活性剤として、例えばフッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等を;
上記密着促進剤として、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を;
上記酸化防止剤として、例えば2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等を;
【0127】
上記紫外線吸収剤として、例えば2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等を;
上記凝集防止剤として、例えばポリアクリル酸ナトリウム等を;
上記残渣改善剤として、例えばマロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等を;
上記現像性改善剤として、例えばこはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等を、それぞれ挙げることができる。
【0128】
<溶媒>
本発明の着色組成物は、上記したような(A)着色剤、(B)バインダー樹脂及び(C)重合性化合物、並びに必要に応じて任意的に使用される(D)光重合開始剤やその他の添加剤が、好ましくは溶媒中に配合された液状組成物として調製される。
本発明の着色組成物に使用される溶媒は、(A)〜(C)の各成分及び任意的に使用される(D)光重合開始剤やその他の添加剤を溶解又は分散することができ、且つこれらと反応せず、適度の揮発性を有するものから選択して使用することが好ましい。
【0129】
このような溶媒としては、例えば(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、その他のエーテル類、乳酸アルキルエステル類、(シクロ)アルキルアルコール類、ケトアルコール類、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、ジアセテート類、アルコキシカルボン酸エステル類、その他のエステル類、芳香族炭化水素類、アミド類、ラクタム類等を挙げることができ、これらのうちから選択される少なくとも1種を使用することができる。これらの具体例としては、上記(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類として、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等を;
上記その他のエーテル類として、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等を;
上記乳酸アルキルエステル類として、例えば乳酸メチル、乳酸エチル等を;
上記(シクロ)アルキルアルコール類として、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等を;
上記ケトアルコール類として、例えばジアセトンアルコール等を;
【0130】
上記(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類として、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等を;
上記ケトン類として、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等を;
上記ジアセテート類として、例えばプロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等を;
上記アルコキシカルボン酸エステル類として、例えば3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等を;
【0131】
上記その他のエステル類として、例えば酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等を;
上記芳香族炭化水素類として、例えばトルエン、キシレン等を;
上記アミド類として、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等を;
上記ラクタム類として、例えばN−メチルピロリドン等を、それぞれ挙げることができる。
【0132】
これらの溶媒うち、良好な溶解性、塗布性等を確保するとの観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル及びピルビン酸エチルよりなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
本発明の着色組成物における溶媒の使用割合は、特に限定されるものではないが、着色組成物の良好な分散性、安定性及び塗布性を確保するとの観点から、着色組成物の固形分濃度(着色組成物における溶媒以外の成分の合計濃度が着色組成物の全量に占める割合)が、5〜50質量%となる割合とすることが好ましく、10〜40質量%となる割合とすることがより好ましい。
【0133】
<着色組成物の調製方法>
本発明の着色組成物は適宜の方法によって調製することができる。本発明の着色組成物の調製方法としては、例えば特開2008−58642号公報、特開2010−132874号公報等に開示されている方法を挙げることができる。
具体的には、例えば、(A)着色剤を含有する溶液を予め調製しておき、該着色剤溶液と、(B)〜(C)の各成分および任意的に使用される(D)光重合開始剤やその他の成分と、を混合する方法によることができる。予め調製される着色剤溶液及び混合後の組成物は、それぞれ、適当な孔径を有するフィルターを用いてろ過した後、使用に供してもよい。
【0134】
<着色硬化膜の形成方法>
上記のような本発明の着色組成物を用いて着色硬化膜を形成することができる。本発明における着色硬化膜とは、表示素子及び固体撮像素子に用いられる各色の画素;ブラックマトリックス;ブラックスペーサー等を包含する概念である。
本発明の着色組成物を用いて着色硬化膜を形成するには、以下のいずれかの方法によることが好ましい。
第一の方法は、基板上に、本発明の着色組成物を塗布して塗膜を形成し、次いで該塗膜の少なくとも一部に光照射した後、現像し、好ましくは更に加熱(ポストベーク)する方法であり;
第二の方法は、基板上に、インクジェット方式によって本発明の着色組成物をパターン状に塗布して塗膜を形成し、任意的に該塗膜に光照射した後、好ましくは更に加熱(ポストベーク)する方法である。
上記いずれの方法においても、レッド、グリーン及びブルー三色又はシアン、マゼンダ及びイエロー三色の着色組成物を用いて各色の画素となる着色硬化膜を順次に形成することにより、カラーフィルタを形成することができ;
黒色の着色組成物を用いて黒色の着色硬化膜を形成することにより、ブラックマトリックス又はブラックスペーサーを形成することができる。
上記基板としては、例えばガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等からなる基板を挙げることができる。これらの基板に対して、必要に応じて、薬品(例えばシランカップリング剤)処理、プラズマ処理、イオンプレーティング処理、スパッタリング処理、気相反応法による処理、真空蒸着法による処理等の適宜の前処理を施しておいてもよい。
【0135】
本発明の着色組成物をカラーフィルタの画素を形成するために用いる場合に使用される基板には、画素領域を区画するようにブラックマトリックスが形成されていることが好ましい。このブラックマトリックスは、所望のパターンを有する金属(例えばクロム等)の薄膜、着色組成物から形成された着色硬化膜等であることができる。パターン状の金属薄膜は、例えば基板上にスパッタ法、蒸着法等によって形成した金属薄膜にフォトリソグラフィーを適用することによって形成することができる。着色組成物から形成されたパターン状の着色硬化膜は、黒色の着色組成物を用いて本発明と同様の方法によって形成することができる。インクジェット方式を用いる第二の方法においては、上記ブラックマトリックスは、遮光機能のほかにインクジェット方式によって吐出された各色組成物が混色しないための障壁の機能をも果たす。従って、この場合のブラックマトリックスは一定以上の膜厚を有していることが好ましく、従ってこの場合のブラックマトリックスは、黒色の着色組成物を用いて形成された黒色硬化膜であることが好ましい。
本発明の着色組成物をブラックマトリックスの形成に用いる場合に使用される基板には、画素領域を区画するブラックマトリックスが未だ形成されていない基板であることが好ましい。
更に、本発明の着色組成物をブラックスペーサーの形成に用いる場合に使用される基板は、画素領域を区画するブラックマトリックス及び画素の双方が形成された基板であることが好ましい
【0136】
上記第一の方法において、基板上に着色組成物を塗布する方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法(スリット塗布法)、バー塗布法等を挙げることができる。これらのうち、スピンコート法又はスリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
上記のような方法又はインクジェット方式によって塗布した後、これを塗膜をするには、好ましくは塗布後の着色組成物を加熱(プレベーク)して溶媒を除去する方法によることができる。このプレベークの条件は、好ましくは70〜110℃において、好ましくは1〜10分程度である、プレベークは、減圧下に行うことが好ましい。減圧度としては、到達圧力(絶対圧)が50〜200Paとなるように設定することが好ましい。
【0137】
塗膜の厚さは、溶媒除去後の厚さとして、好ましくは0.6〜12μm、より好ましくは1.2〜10μmである。
形成された塗膜に光照射する際に使用される光源としては、例えばキセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー、紫外線LED等を挙げることができる。照射する光としては、190〜450nmの範囲に輝線を有する光であることが好ましい。光照射量は、10〜10,000J/m
2であることが好ましく、50〜5,000J/m
2であることがより好ましい。
【0138】
上記の現像は、アルカリ現像液を用いて行われる。現像処理によって、塗膜のうちの未露光部が除去され、パターン状の塗膜となる。このアルカリ現像液としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液を使用することが好ましい。該水溶液には、必要に応じて、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤;界面活性剤等を、適当な範囲で添加して使用してもよい。
現像方法としては、例えばシャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温において、5〜300秒とすることが好ましい。現像後の塗膜は、水洗することが好ましい。
上記ポストベークは、例えば180〜280℃の温度において、例えば10〜60分間行うことができる。
【0139】
上記のようにして形成される着色硬化膜の膜厚は、その用途に応じて以下のとおりである。
画素:好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは1〜3μm
ブラックマトリックス:好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは0.8〜5μm
ブラックスペーサー:好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜7μm
【0140】
上記のようにして各色の画素を形成して得られた画素パターンは、この上に必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜及びスペーサーをこの順で形成することにより、表示素子のカラーフィルタとして使用することができる。
【0141】
<表示素子>
本発明における表示素子は、上記のようにして形成された画素及びカラーフィルタ、ブラックマトリックス並びにブラックスペーサーよりなる群から選択される少なくとも1種の着色硬化膜を具備するものである。上記表示素子としては、例えばカラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
上記カラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の、公知の適宜の液晶モードを適用することができる。
【0142】
上記カラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造の液晶セルを有することができる。液晶セルの構造としては、例えば薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板と、カラーフィルタが形成された対向基板と、を一対として用い、これら一対の基板間に液晶層を挟持した構造;
薄膜トランジスター(TFT)及びカラーフィルタの双方を有する基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板と、を一対として用い、これら一対の基板間に液晶層を挟持した構造
等を例示することができる。
【0143】
カラー液晶表示装置は、上記の液晶セルのほかにバックライトユニットを具備することができる。バックライトユニットにおける光源としては、例えば冷陰極蛍光管、白色LED等を挙げることができる。
上記有機EL表示素子は、適宜の構造をとることが可能であり、例えば特開平11−307242号公報に開示されている構造等を採ることができる。
上記電子ペーパーは、適宜の構造をとることが可能であり、例えば特開2007−41169号公報に開示されている構造等を採ることができる。
【実施例】
【0144】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<(B)バインダー樹脂の合成>
合成例1
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。これを80℃に加熱後、同温度において、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、ベンジルメタクリレート5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート23質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部からなる混合溶液を1時間かけて滴下し、80℃の温度を保持して2時間重合反応を行った。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温し、更に1時間重合反応を行うことにより、バインダー樹脂(B1)を33質量%含有する溶液を得た。バインダー樹脂(B1)のMwは12,200であり、Mnは6,500であった。
【0145】
<着色組成物の調製及び評価>
実施例1
(1)着色組成物の調製
(A)着色剤として、着色剤(a1)である下記式(C1−1−1)で表される化合物を5質量%含有するシクロヘキサノン溶液23.4質量部及び
着色剤(a2)である上記式(P1−1)で表される化合物を5質量%含有するシクロヘキサノン溶液16.6質量部、
(B)バインダー樹脂として上記合成例1で得たバインダー樹脂(B1)を含有する溶液(固形分濃度33質量%)26.3質量部、
(C)重合性化合物としてM−402(商品名、東亞合成(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)9.9質量部、
(D)光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名「イルガキュア369」、BASF社製)1.8質量部、
フッ素系界面活性剤としてメガファックF−554(商品名、DIC(株)製)0.05質量部、並びに
溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
を混合することにより、固形分濃度20質量%の着色組成物を調製した。
【0146】
(2)色度特性の評価
スピンコーターを用いてガラス基板上に上記で調製した着色組成物を塗布した後、80℃のホットプレート上で10分間プレベークを行って塗膜を形成した。スピンコーターの回転数を変えて同様の操作を行い、膜厚の異なる3枚の塗膜を形成した。
上記で形成した塗膜を室温まで放冷した後、各塗膜に対して、波長365nm、405nm及び436nmの輝線を含む光を、フォトマスクを介さずに照射量2,000J/cm
2にて全面照射した。照射後の各基板につき、23℃の0.04質量%水酸化カリウム溶液からなるアルカリ現像液を用いて、ノズル径1mm及び現像圧1kg/cm
2の条件下で90秒間のシャワー現像を行った。次いで、現像後の各基板を超純水で洗浄し、風乾した後、200℃のクリーンオーブン内で30分間のポストベークを行うことにより、3枚の赤色硬化膜を形成した。
上記3枚の硬化膜について、カラーアナライザー(大塚電子(株)製、型番「MCPD2000」)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。得られた測定結果から、色度座標値x=0.661のときの色度座標値(y)及び刺激値(Y)を求めた。これらの値を表1に示した。この刺激値(Y)の値が大きいほど、輝度が高いと評価することができる。
【0147】
(3)異物評価
5℃で3日間静置した着色組成物(S−1)を表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO2 膜が形成された10cm×10cmのソーダガラス基板上に、スリットダイコーターを用いて塗布したのち、90℃のホットプレートで4分間プレベークを行って、プレベーク後の膜厚が2.5μmとなる塗膜を形成した。得られた基板を光学顕微鏡で観察し、塗膜上に異物の発生が観察されなければ「○」、塗膜上の異物の発生数が1個以上10個以下であれば「△」、塗膜上の異物の発生数が11個以上観察されれば「×」とした。評価結果を表1に示す。
【0148】
実施例2〜19及び比較例1〜11
上記実施例1の「(1)着色組成物の調製」において、表1に示した種類の染料を5質量%含有するシクロヘキサノン溶液のそれぞれを表1に示した量(質量部)で混合使用したほかは、実施例1と同様にして着色組成物を調製し、評価を行った(使用した着色剤溶液の合計量及び該溶液中に含有される着色剤の合計量は、それぞれ、40質量部及び2質量部に固定)。
評価結果は表1に示した。
【0149】
【表1】
【0150】
表1の着色剤欄における着色剤の略称は、それぞれ以下の意味である。
<着色剤(a1)>
C1−1−1:下記式(C1−1−1)で表される化合物
C1−2−1:下記式(C1−2−1)で表される化合物(C.I.ベーシックレッド12)
C1−3−1:下記式(C1−3−1)で表される化合物
C2−1−1:下記式(C2−1−1)で表される化合物
C2−2−1:下記式(C2−2−1)で表される化合物
SO−107:C.I.ソルベントオレンジ107
【0151】
<着色剤(a2)>
P1−1:上記式(P1−1)で表される化合物(ピリドンアゾ系化合物)
P1−2:上記式(P1−2)で表される化合物(ピリドンアゾ系化合物)
A−1:上記式(A−1)で表される化合物(アゾメチン系化合物)
A−2:上記式(A−2)で表される化合物(アゾメチン系化合物)
A−3:上記式(A−3)で表される化合物(アゾメチン系化合物)
Q1:下記式(Q1)で表される化合物(C.I.ソルベントイエロー114)
M1−1:上記式(M1−1)で表される化合物(C.I.ソルベントイエロー179)
M2:下記式(M2−1)で表される化合物
M3:上記式(M3)で表される化合物(C.I.ベーシックイエロー11)
X−1−1:下記式(X−1−1)で表される化合物(キサンテン系化合物)
X−1−2:下記式(X−1−2)で表される化合物(キサンテン系化合物)
X−2−1:下記式(X−2−1)で表される化合物(キサンテン系化合物)
Cou−1:下記式(Cou−1)で表される化合物(特開平4−179955号公報の実施例4に記載のクマリン系化合物)
Cou−2:下記式(Cou−2)で表される化合物(C.I.ディスパースイエロー82、クマリン系化合物)
Pzo−1:上記式(Pzo−1)で表される化合物(ピラゾロン系化合物)
【0152】
<その他の着色剤>
R−1:下記式(R−1)で表される化合物(C.I.アシッドイエロー19、アゾ系化合物)
R−2:下記式(R−2)で表される化合物
R−3:下記式(R−3)で表される化合物(C.I.アシッドオレンジ56、アゾ系化合物)
Y150:C.I.ピグメントイエロー150
【0153】
【化27】
【0154】
【化28】
【0155】
【化29】
【0156】
【化30】
【0157】
【化31】
【0158】
【化32】