(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作部材の前記第3方向の前記一方側の端部は、前記第1面の前記第3方向の前記一方側の端部よりも、前記第3方向の前記他方側に配置され、且つ、前記操作部材の前記第3方向の前記他方側の端部は、前記第1面の前記第3方向の前記他方側の端部よりも、前記第3方向の前記一方側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
前記操作部材のうち、前記第1方向の第1特定位置における前記第2方向の前記一方側の端部の前記第3方向の長さが、前記操作部材のうち前記第1特定位置における前記第2方向の他方側の端部の前記第3方向の長さよりも短く、且つ、前記操作部材のうち、前記第3方向の第2特定位置における前記第2方向の前記一方側の端部の前記第1方向の長さが、前記操作部材のうち前記第2特定位置における前記第2方向の他方側の端部の前記第1方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
前記操作部材は錐台形状を有し、下底から上底に向けて延びる方向は、前記第2方向の前記一方側を向き、前記第2方向と、前記操作部材における前記錐台形状の側面とのなす角度の鋭角が40度以下であることを特徴とする請求項3に記載のヘッドマウントディスプレイ。
前記筐体の前記第1面から、前記操作部材の前記第2方向の前記一方側の端部までの前記第2方向の長さが、3mm以上であることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display、以下、「HMD」という。)1は、光学透過型のシースルーHMDである。使用者の眼前の景色の光は、ハーフミラー56を透過することによって使用者の眼に直接導かれる。HMD1の投影形式は、虚像投影型である。ハーフミラー56は、液晶パネル72B(
図6参照、後述)に表示された画像の光を、使用者の片側の眼に向けて反射させる。HMD1は、使用者に対して、眼前の景色に画像を重ねて認識させることができる。HMD1は、本体部材11、装着具8、及び、接続具9を備える。以下、図の説明の理解を助けるため、HMD1の上側、下側、左側、右側、前側、及び、後側を定義する。HMD1の上側、下側、左側、右側、前側、及び、後側は、例えば、
図1の上側、下側、左側、右側、左斜め下側、及び、右斜め上側にそれぞれ対応する。HMD1の上側、下側、左側、右側、前側、及び、後側は、それぞれ、装着具8が使用者に着用された場合の方向に対応する。
【0022】
<装着具8、接続具9、本体部材11>
装着具8は、樹脂や金属(例えば、ステンレス)などの、可撓性を有する材質で構成される。装着具8は、第1部分8A及び第2部分8B、8Cを有する。第1部分8A及び第2部分8B、8Cは、それぞれ、湾曲した細長い板状部材である。第1部分8Aは、左右方向に延び、且つ、前側に凸状に湾曲する。第2部分8Bは、第1部分8Aの一方側(例えば、左側)の端部から延びる。第2部分8Cは、第1部分8Aの他方側(例えば、右側)の端部から延びる。第2部分8B、8Cは、それぞれ、第1部分8Aと接続する側と反対側(例えば、後側)の端部が互いに近づく方向に延びる。装着具8は、使用者の前頭部、右側頭部、及び、左側頭部のそれぞれに、第1部分8A、第2部分8B、8Cを接触させた状態で、使用者の頭部に着用される。この状態で、第1部分8Aは使用者の額に沿って左右方向に延びる。
【0023】
接続具9は棒状である。接続具9は、樹脂や金属などで構成される。接続具9の一端側(例えば、上側)は、装着具8の第1部分8Aのうち第2部分8Cと接続する部分の近傍に接続される。接続具9と装着具8とは、ボールジョイントで接続される。接続具9の他端側(例えば、下側)に、後述する本体部材11が接続される。接続具9と本体部材11とは、ボールジョイントで接続される。接続具9は、装着具8から離隔した位置に本体部材11を保持する。接続具9は、装着具8が使用者の頭部に着用された状態で、本体部材11のハーフミラー56を、使用者の左眼の前方に配置させることができる。
【0024】
図1、
図2、
図3に示すように、本体部材11は、筐体12、操作部材3、調節機構4(
図6参照)、偏向ユニット59、レンズユニット6(
図6参照)、画像ユニット7(
図6参照)を備えている。偏向ユニット59は、ホルダ5及びハーフミラー56を有する。
【0025】
<筐体12>
図1、
図2、
図4に示すように、筐体12は、本体部12Aと突出部12Bとを有する。本体部12Aは、角が湾曲した略直方体状の形状を有する。突出部12Bは、本体部12Aの右後側から後方に突出する。筐体12は中空箱状である。本体部12Aの前側、上側、下側、後側、及び、右側を、それぞれ、第1筐体21、第2筐体22、第3筐体23(
図1参照)、第4筐体24(
図4参照)、及び、第5筐体25(
図1参照)という。第1筐体21の前側の面、第2筐体22の上側の面、第3筐体23の下側の面、第4筐体24の後側の面、及び、第5筐体25の右側の面を、それぞれ、第1表面21M、第2表面22M、第3表面23M、第4表面24M(
図4参照)、及び、第5表面25M(
図1参照)という。なお、筐体12の左側は開放し、筐体12内部のレンズユニット6(後述)の左側は露出する。レンズユニット6の左側は、筐体12によって覆われない。
【0026】
図1、
図2に示すように、第1表面21Mと第2表面22Mとが接続する部分の近傍(以下、湾曲部分212という。)、第1表面21Mと第3表面23Mとが接続する部分の近傍(以下、湾曲部分213という。)は、それぞれ湾曲する。
図1に示すように、第1表面21Mと第5表面25Mとが接続する部分の近傍(以下、湾曲部分215という。)、第2表面22Mと第5表面25Mとが接続する部分の近傍(以下、湾曲部分225という。)、及び、第3表面23Mと第5表面25Mとが接続する部分の近傍(以下、湾曲部分235という。)は、それぞれ湾曲する。
【0027】
なお以下では、湾曲部分212のうち、接線が水平方向に対して45度傾斜する位置を、接続位置212S(
図3参照)と定義する。接続位置212Sは、第1表面21M及び第2表面22Mが接続する位置である。接続位置212Sは、また、第1筐体21及び第2筐体22が接続する位置でもある。湾曲部分213のうち、接線が水平方向に対して45度傾斜する位置を、接続位置213S(
図3参照)と定義する。接続位置213Sは、第1表面21M及び第3表面23Mが接続する位置である。接続位置213Sは、また、第1筐体21及び第3筐体23が接続する位置でもある。湾曲部分215のうち、接線が水平方向に対して45度傾斜する位置を、接続位置215Sと定義する。接続位置215Sは、第1表面21M及び第5表面25Mが接続する位置である。接続位置215Sは、また、第1筐体21及び第5筐体25が接続する位置でもある。湾曲部分225のうち、接線が水平方向に対して45度傾斜する位置を、接続位置225Sと定義する。接続位置225Sは、第2表面22M及び第5表面25Mが接続する位置である。接続位置225Sは、また、第2筐体22及び第5筐体25の接続する位置でもある。湾曲部分235のうち、接線が水平方向に対して45度傾斜する位置を、接続位置235Sと定義する。接続位置235Sは、第3表面23M及び第5表面25Mが接続する位置である。接続位置235Sは、また、第3筐体23及び第5筐体25が接続する位置でもある。
【0028】
第2表面22Mは、後側から前側に向かうに従って斜め下方向に傾斜する。第3表面23Mは、後側から前側に向かうに従って斜め上方向に傾斜する。このため、第2表面22Mと第3表面23Mとの間の上下方向の距離は、後側から前側に向かうに従って徐々に小さくなる。従って、第5表面25Mの上下方向の長さ、言い換えると、接続位置225Sと接続位置235Sとの間の上下方向の長さも、後側から前側に向かうに従って徐々に小さくなる。
【0029】
図2に示すように、第1筐体21の左端21Cは、上下方向両端部から上下方向中心に向けて、右方に凹む。左端21Cは略円弧を形成する。左端21Cの最も右側の位置は、第2筐体22の左端22C、及び、第3筐体23の左端23Cのそれぞれの最も左側の位置よりも、右側に配置される。
図4に示すように、第4筐体24の左端24Cの最も左側の位置は、左端21C、22C、23Cのそれぞれの最も左側の位置よりも、右側に配置される。
【0030】
以下、第1筐体21、第2筐体22、第3筐体23、及び、第4筐体24のそれぞれのうち、後述するレンズユニット6(
図6参照)よりも左側の部分を、それぞれ、第1延出部21A、第2延出部22A、第3延出部23A、及び、第4延出部24Aという。第1延出部21Aは、レンズユニット6の左端と、左端21Cとの間に延びる部分に対応する。第2延出部22Aは、レンズユニット6の左端と、左端22Cとの間に延びる部分に対応する。第3延出部23Aは、レンズユニット6の左端と、左端23Cとの間に延びる部分に対応する。第4延出部24Aは、レンズユニット6の左端と、左端24Cとの間に延びる部分に対応する。第1延出部21Aの上側は、第2延出部22Aの前側に接続する。第1延出部21Aの下側は、第3延出部23Aの前側に接続する。第1延出部21Aの後側の面、第2延出部22Aの下側の面、及び、第3延出部23Aの上側の面を、それぞれ、第1裏面21B、第2裏面22B、第3裏面23Bという。第2裏面22B及び第3裏面23Bは対向する。
【0031】
図4、
図5に示すように、第2裏面22Bの前側に、前側第1規制部材221Aが設けられる。前側第1規制部材221Aは、第2裏面22Bのうち湾曲部分212(
図1参照)の内側から下方に延びる板状の部材である。
図5に示すように、第3裏面23Bの前側に、前側第1規制部材231Aが設けられる。前側第1規制部材231Aは、第3裏面23Bのうち湾曲部分213(
図1参照)の内側から上方に延びる板状の部材である。前側第1規制部材221A、231Aのそれぞれの両面は、左右方向を向く。前側第1規制部材221A、231Aのそれぞれの左右方向の位置は等しい。
【0032】
図4に示すように、第2裏面22Bの後側に、後側第1規制部材221Bが設けられる。後側第1規制部材221Bは、第2延出部22Aの後端に沿って下方に延びる板状の部材である。第3裏面23Bの後側に、後側第1規制部材231Bが設けられる。後側第1規制部材231Bは、第3延出部23Aの後端に沿って上方に延びる板状の部材である。後側第1規制部材221B、231Bのそれぞれの両面は、前後方向を向く。前側第1規制部材221A、231Aの左右方向の位置と、後側第1規制部材221B、231Bの右端の左右方向の位置とは略等しい。後側第1規制部材221Bの右端、第4筐体24の左端24Cの上端、及び第2裏面22Bは、上方に凹んだ溝部221Cを形成する。後側第1規制部材231Bの右端、第4筐体24の左端24Cの下端、及び第3裏面23Bは、下方に凹んだ溝部231Cを形成する。
【0033】
図4、
図5に示すように、第1筐体21の上下方向中心、且つ、筐体12の左右方向中心よりも左側に、前後方向に貫通する穴21Dが設けられる。穴21Dには、後述する調節機構4(
図6参照)が後側から嵌る。第1筐体21の穴21Dの周囲に、後方に向けて円形に凹んだ凹部21Eが設けられる。凹部21Eには、後述する操作部材3(
図6参照)が前側から嵌る。第1裏面21Bのうち、凹部21Eの左側、且つ左端21Cの近傍に、第2規制部材211が設けられる。第2規制部材211は、第1裏面21Bの上下方向中心を含む位置から、後方に延びる板状の部材である。第2規制部材211の両面は、左右方向を向く。
図5に示すように、第2規制部材211は、前側第1規制部材221A、231Aのそれぞれの左右方向の位置よりも、右側に配置される。
図4に示すように、第2規制部材211は、後側第1規制部材221B、231Bのそれぞれの右端の左右方向の位置よりも、右側に配置される。前側第1規制部材221A、231A、及び、後側第1規制部材221B、231Bのそれぞれの右端と、第2規制部材211の左端との間の左右方向の長さは、後述するホルダ5(
図9参照)の第1端部51(
図9参照)の左右方向の長さ(厚さ)と等しい。
【0034】
図4に示すように、第4筐体24のうち、筐体12の左右方向中心よりも右側に、前後方向に貫通する複数の穴24D、及び、複数の穴24Eが設けられる。複数の穴24Dのそれぞれは、後述する画像ユニット7を筐体12に取り付けるための複数の螺子穴である。複数の穴24Eのそれぞれは、接続具9を筐体12に取り付けるための複数の螺子穴である。突出部12Bの後端に、前後方向に貫通する穴25Dが設けられる。穴25Dには、通信線28(
図2参照)が接続される。HMD1は、外部機器(図示略)と通信線28を介して接続される。外部機器は、HMD1に画像データを出力する。
【0035】
第4筐体24の第4延出部24A、より具体的には、第4筐体24の左端24Cに、筐体係合部241が設けられる。筐体係合部241は、第4筐体24の左端24Cの上下方向中心を含む位置から、左方に延びる板状の部材である。
【0036】
図6に示すように、筐体12は、前側筐体13と後側筐体14とを組み合わせることによって形成される。前側筐体13は、第1筐体21、第2筐体22及び第3筐体23のそれぞれの前側部分、及び、第5筐体25を有する。後側筐体14は、第2筐体22及び第3筐体23のそれぞれの後側部分、及び、第4筐体24を有する。レンズユニット6、画像ユニット7、及び、調節機構4は、筐体12内に配置される。ホルダ5は、筐体12の左端に保持される。ホルダ5、レンズユニット6、及び、画像ユニット7は、左側から右側に向けて順番に並ぶ。調節機構4は、レンズユニット6の前側に配置される。後側筐体14の後方の側面(第4筐体24)の前側の面に、後方に向けて凹んだ溝部242が設けられる。溝部242は左右方向に延びる。
【0037】
<画像ユニット7>
画像ユニット7は、通信線28(
図2参照)を介して外部機器から受信した画像データに応じた画像の画像光を生成し、射出する。
図6に示すように、画像ユニット7は、第1保持部材71、液晶表示装置72、及び、第2保持部材73を有する。
【0038】
第1保持部材71は、円筒部材71A、側板部材71B、71C、71Dを有する。円筒部材71Aは、左右方向に延びる円筒状の部材である。側板部材71B、71C、71Dは、それぞれ、円筒部材71Aの右端部の前端、後端、及び、下側のそれぞれから右側に延びる平面板状の部材である。側板部材71Bの下端は、側板部材71Dの前端に接続し、側板部材71Cの下端は、側板部材71Dの後端に接続する。第1保持部材71は、複数の穴24D(
図4参照)に挿入される螺子によって、筐体12に対する固定的な位置に保持される。
【0039】
液晶表示装置72は、ガラス基板72A及び液晶パネル72Bを有する。ガラス基板72A及び液晶パネル72Bは、第1保持部材71のうち側板部材71B、71C、71Dで囲まれた部分に配置される。液晶パネル72Bは矩形状の周知の液晶パネルである。液晶パネル72Bは、左側面に画像を表示させることによって、画像光を生成する。ガラス基板72Aは、液晶パネル72Bの左側面に設けられ、液晶パネル72Bの表示面を保護する。例えば、液晶パネル72Bが反射型液晶の場合、光源(非図示)からの光が液晶パネル72Bに入射する。液晶パネル72Bは、入射した光を反射することで、画像光を生成する。液晶パネル72Bによって生成された画像光は、ガラス基板72Aを左側に透過する。
【0040】
第2保持部材73は、基板保持部分73A及び制御基板73Bを有する。基板保持部分73Aは、液晶表示装置72の液晶パネル72Bの右側に配置される。制御基板73Bは、基板保持部分73Aの右側に配置される。制御基板73Bは、フレキシブルプリント基板(図示略)を介して液晶パネル72Bに接続される。制御基板73Bに通信線28(
図2参照)が接続される。制御基板73Bは、外部機器から送信された画像データを、通信線28を介して受信する。制御基板73Bは、フレキシブルプリント基板を介して液晶パネル72Bに制御信号を出力することによって、画像データに応じた画像を液晶パネル72Bに表示させる。
【0041】
なお、本発明において、液晶パネル72Bの代わりに、Digital Mirror Device(DMD)、有機EL等の二次元表示装置が用いられてもよい。更に、2次元的に走査された光を使用者の網膜上に投影する網膜走査型の投影装置(Retinal Scanning Display)が用いられてもよい。
【0042】
<レンズユニット6>
レンズユニット6は、画像ユニット7の左側に配置される。レンズユニット6は、画像ユニット7から射出された画像光を、レンズユニット6の左側に配置されたハーフミラー56に導く。レンズユニット6は、保持部材61、円筒部材62、及び、複数のレンズ63を有する。
【0043】
保持部材61は、左右方向に延びる略四角筒状の部材である。保持部材61の内側に複数のレンズ63が固定されている。複数のレンズ63のそれぞれの光軸は、保持部材61の中心を左右方向に延びる軸線上に配置されている。円筒部材62は、左右方向に延びる円筒状の部材である。円筒部材62は、保持部材61の右側に設けられる。円筒部材62の半径は、画像ユニット7の円筒部材71Aの半径よりも僅かに小さい。円筒部材62の少なくとも一部は、円筒部材71Aの内側に嵌る。画像ユニット7によって生成された画像光は、円筒部材62の内部に右側から入射し、保持部材61及び円筒部材62内部を通過し、保持部材61の左端から左側に向けて射出する。複数のレンズ63は、右側から入射する画像光を屈折させ、左側に出射させる。
【0044】
保持部材61の前側の面61Aに、前方に向けて突出する凸部64が設けられる。凸部64は円柱状である。凸部64は、後述する調節機構4のカム溝42(
図8参照)に嵌る。
図7に示すように、保持部材の後側の面61Bに、後方に向けて突出する凸部65が設けられる。凸部65は、左右方向に長い棒状である。凸部65は、第4筐体24の溝部242(
図6参照)に嵌る。
【0045】
<操作部材3>
図6に示すように、操作部材3は円錐台状の部材である。操作部材3の中心軸は、前後方向に延びる。操作部材3は、中心軸を支点として回動可能である。操作部材3は、前端面3A、後端面3B、及び、側面3Cを有する。前端面3Aは、操作部材3の前側の底部である。前端面3Aは、円錐台形状の上底に対応する。後端面3Bは、操作部材3の後側の底面である。後端面3Bは、円錐台形状の下底に対応する。前端面3A及び後端面3Bは、夫々、前後方向に直交する。後端面3Bには、調節機構4の突出部4A(後述)が嵌合する嵌合溝(図示略)が設けられている。側面3Cは、円錐台形状の側面に対応する。側面3Cには、前後方向に延びる複数の凹凸が設けられている。凹凸は、使用者が指を側面3Cに接触させて力を加えた場合に、操作部材3に対して指が滑ることを防止する。
【0046】
後端面3Bは、第1筐体21に設けられた凹部21Eに嵌る。なお、凹部21Eは、第1筐体21のうち筐体12の左右方向中心よりも左側に設けられているので、操作部材3は、筐体12の左右方向中心よりも左側に配置される。前端面3Aと後端面3Bとの間の距離、即ち、操作部材3の前後方向の長さLhは、使用者が側面3Cに指を接触させて操作部材を回転させるために適切な所定の長さ(例えば3mm)に設定される。なお、後端面3Bの前後方向の位置は、第1筐体21の第1表面21Mのうち操作部材3が設けられる部分の前後方向の位置と略等しい。従って、
図3に示すように、操作部材3の第1表面21Mに対する高さ(=長さLh)は3mmになる。なお、本発明において、長さLhは3mmに限定されず、3mmよりも大きい値であってもよい。
【0047】
図3に示すように、前端面3Aの直径Lfは、後端面3B(
図6参照)の直径Lrよりも小さい。このため、操作部材3の左右方向の特定の位置(以下、「左右特定位置」という。)における前端面3Aの上下方向の長さは、左右特定位置における後端面3Bの上下方向の長さよりも常に短くなる。又、操作部材3の上下方向の特定の位置(以下、「上下特定位置」という。)における前端面3Aの左右方向の長さは、上下特定位置における後端面3Bの左右方向の長さよりも常に短くなる。又、操作部材3において、中心軸の延びる方向(前後方向)に対する側面3Cの角度θは、使用者が筐体12を親指と人差し指で上下から保持した状態で、中指の腹と側面3Cとが、操作を容易にする程度に平行となるように、所定の角度(例えば40度)に設定される。なお、本発明において、角度θは40度に限定されず、40度よりも小さい値であってもよい。
【0048】
<調節機構4>
図6に示すように、調節機構4は円形板状の部材である。調節機構4の両面は、前後方向を向く。調節機構4の側面に、前後方向に延びる複数の凹部41が設けられている。筐体12の内部に設けられた板バネ40は、複数の凹部41の何れかに係合する。調節機構4は、円形の中心付近から前方に向けて突出する突出部4Aを有する。突出部4Aは、第1筐体21の穴21Dに後側から進入し、第1筐体21の第1表面21Mの前側に突出する。突出部4Aのうち、第1表面21Mの前側に突出した部分は、操作部材3の後端面3Bの嵌合溝(図示略)に嵌合する(
図13、
図14参照)。これによって、操作部材3及び調節機構4は第1筐体21に保持される。調節機構4は、円形中心を通って前後方向に延びる軸を支点として、操作部材3と一体となって回動可能である。なお、調節機構4は、操作部材3と一体に形成されてもよい。
【0049】
操作部材3及び調節機構4が第1筐体21に保持された状態では、
図3に示すように、後端面3B(
図6参照)の直径Lrは、第1表面21Mの上下方向の長さ、詳細には、接続位置212Sと接続位置213Sとの間の上下方向の長さL1よりも短い。後端面3Bの上側の端部は、第1表面21Mの上側の端部、即ち、接続位置212Sよりも下側に配置され、後端面3Bの下側の端部は、第1表面21Mの下側の端部、即ち、接続位置213Sよりも上側に配置される。
【0050】
図8に示すように、調節機構4の後側面にカム溝42が設けられる。カム溝42は、調節機構4の後側面の一部が前方に向けて凹むことによって形成される。カム溝42は、調節機構4の円形中心Xを支点として渦巻き状に延びる。カム溝42は、後側からみた状態で、時計回りに旋回するに従って円形中心Xから離間する。以下、カム溝42の形状を説明する場合には、後側から見た状態を前提とする。カム溝42は、第1端42Aと第2端42Bとを有する。第1端42Aは、カム溝42のうち時計回り方向の端部であり、第2端42Bは、反時計回り方向の端部である。円形中心Xから第1端42Aを通過して外側に延びる方向48と、円形中心Xから第2端42Bを通過して外側に延びる方向49とのなす角度のうち、カム溝42側の角度φは、120度である。なお、本発明において、角度φは120度に限定されず、120度よりも小さい値であってもよい。カム溝42には、操作部材3及び調節機構4が第1筐体21に保持された状態で、レンズユニット6の凸部64が後方から嵌る。
【0051】
<偏向ユニット59>
偏向ユニット59は、ハーフミラー56及びホルダ5を有する。
図6に示すように、ハーフミラー56は、レンズユニット6の左側に配置される。ハーフミラー56は、レンズユニット6を通過して右側から入射する画像光を、後側に反射させることができる。使用者の眼は、ハーフミラー56によって後側に反射された画像光に基づいて、虚像を視認できる。又、ハーフミラー56は、前側から入射した外界の光を後側に透過させることができる。
【0052】
ハーフミラー56は矩形板状である。ハーフミラー56は、例えば、透明な樹脂やガラスの基板上に、アルミや銀などの金属を所定の反射率(例えば50%)となるように蒸着することで構成される。ハーフミラー56は、後述するホルダ5によって保持される。ホルダ5に保持された状態のハーフミラー56の両面のうち一方の面56Bは、右斜め後方を向き、他方の面56Cは、左斜め前方を向く。ハーフミラー56は、面56B、56Cのそれぞれに入射した光の一部(例えば50%)を反射させ、他部を透過させることができる。
【0053】
なお、本発明において、上記のハーフミラー56の代わりに、面56Bに入射した画像光を後側に全反射させることが可能な反射部材が用いられてもよい。又、ハーフミラー56の代わりに、プリズムや回折格子のような光路偏向部材が用いられてもよい。
【0054】
ホルダ5は、レンズユニット6の左側に配置され、ハーフミラー56を保持する。
図9、
図10に示すように、ホルダ5は基礎部材50を備える。基礎部材50は、それぞれが板状の第1端部51、第2端部52、第3端部53、及び、第4端部54を有する。第1端部51の互いに平行な3つの一対の平面のうち、面積の最も大きい一対の平面のそれぞれは、左右方向を向く。第1端部51の前端の上側及び下側の角は湾曲する。第2端部52は、第1端部51の後端部の上側から後方に延びる。第3端部53は、第1端部51の後端部の下側から後方に延びる。第2端部52及び第3端部53のそれぞれの互いに平行な3つの一対の平面のうち、面積の最も大きい一対の平面のそれぞれは、上下方向を向く。第4端部54は、第2端部52及び第3端部53のそれぞれの後端部の間に架設される。第4端部54の互いに平行な3つの一対の平面のうち、面積の最も大きい一対の平面のそれぞれは、前後方向を向く。第4端部54の左右方向の長さは、第2端部52及び第3端部53のそれぞれの左右方向の長さよりも短い。第1端部51、第2端部52、第3端部53、及び、第4端部54のそれぞれの右端の面の左右方向の位置は一致し、それぞれは同一平面を形成する。第1端部51〜第4端部54によって囲まれた部分に、穴51Bが形成される。以下、
図10に示すように、第1端部51、第2端部52、第3端部53、及び、第4端部54のそれぞれの右端の面を、それぞれ、第1端面51A、第2端面52A、第3端面53A、及び、第4端面54Aという。
【0055】
図9に示すように、第2端部52の左前側の角の近傍に、上下方向に貫通する穴52Cが設けられる。第3端部53の左前側の角の近傍に、上下方向に貫通する穴53Cが設けられる。
図6に示すように、ハーフミラー56の上端部から上方に突出する上側突出部56Aは、穴52Cに下方から嵌る。ハーフミラー56の下端部から下方に突出する下側突出部(図示略)は、穴53Cに上方から嵌る。ホルダ5は、ハーフミラー56の上側突出部56Aを穴52Cで支持し、且つ、ハーフミラー56の下側突出部(図示略)を穴53Cで支持することによって、ハーフミラー56を保持する。ハーフミラー56は、第1端面51A〜第4端面54Aのそれぞれを含む平面に対して左側に配置される。
【0056】
図9、
図10に示すように、第2端部52のうち、第4端部54と接続する部分の上面に、ホルダ突出部52Bが設けられる。ホルダ突出部52Bは、延設部521B、522Bを備える。延設部521Bは、第2端面52A(
図10参照)に対して左方に突出する板状の部位である。延設部521Bの左右方向の長さは、第4延出部24Aの左端24C(
図4参照)の上端と、後側第1規制部材221B(
図4参照)の右端との間の左右方向の長さ(以下、「溝部221C(
図4参照)の左右方向の長さ」ともいう。)と等しい。延設部522Bは、延設部521Bの左端から前方に向けて延びる板状の部位である。第3端部53のうち、第4端部54と接続する部分の下面に、ホルダ突出部53Bが設けられる。ホルダ突出部53Bは、延設部531B、532Bを備える。延設部531Bは、第3端面53Aに対して左方に突出する板状の部位である。延設部531Bの左右方向の長さは、第4延出部24Aの左端24Cの下端と、後側第1規制部材231B(
図4参照)の右端との間の左右方向の長さ(以下、「溝部231C(
図4参照)の左右方向の長さ」ともいう。)と等しい。延設部532Bは、延設部531Bの左端から前方に向けて延びる板状の部位である。
【0057】
図10に示すように、第4端部54の第4端面54Aに、第1ホルダ係合部541A、及び、第2ホルダ係合部542A、542Bが設けられる。第1ホルダ係合部541Aは、第4端面54Aの上下方向中心、且つ前後方向中心よりも前側から、右方に突出する。第2ホルダ係合部542Aは、第4端面54Aの上下方向中心よりも上側、且つ、前後方向中心よりも後側から、右方に突出する。第2ホルダ係合部542Bは、第4端面54Aの上下方向中心よりも下側、且つ、前後方向中心よりも後側から、右方に突出する。
【0058】
偏向ユニット59は、筐体12に着脱可能に支持される。
図11は、偏向ユニット59が筐体12に装着される前の状態を示す。偏向ユニット59は、第2筐体22の第2延出部22A、及び、第3筐体23の第3延出部23Aによって上下方向を覆われた領域に対して、ホルダ5が後側から前側に移動することによって、筐体12に装着される。偏向ユニット59が筐体12に装着される過程で、ホルダ5のホルダ突出部52Bは、第2延出部22Aの溝部221Cに後側から入り込み、ホルダ5のホルダ突出部53Bは、第3延出部23Aの溝部231C(
図4参照)に後側から入り込む。ホルダ5の第2端部52は、筐体12の第2延出部22Aの第2裏面22B(
図4参照)の下側を、第2裏面22Bに沿って平行に移動する。ホルダ5の第3端部53は、筐体12の第3延出部23Aの第3裏面23B(
図4参照)の上側を、第3裏面23Bに沿って平行に移動する。
【0059】
偏向ユニット59が筐体12に装着される過程で、第1ホルダ係合部541A(
図10参照)は、第4筐体24の左端24Cに設けられた筐体係合部241(
図4参照)に対して後側から接触する。ホルダ5に対して前側に更に力が加えられた場合、第4端部54が左側に撓むことによって、第1ホルダ係合部541Aは、筐体係合部241の左側を乗り越えて、筐体係合部241の前側に移動する。
【0060】
図12は、偏向ユニット59が筐体12に装着された状態を示す。ホルダ5の第1端部51の前端は、第1筐体21の第1延出部21Aの第1裏面21B(
図11参照)の左端21Cの近傍に、後側から接触する。これによって、ホルダ5の前方への移動は規制される。ホルダ5は、第2筐体22の第2延出部22A、及び、第3筐体23の第3延出部23Aによって上下方向を覆われた領域に配置される。ホルダ5は、第1端面51A〜第4端面54A(
図10参照)に対して左側にハーフミラー56を保持する(
図6参照)ので、ハーフミラー56は、第1端部51が接触する第1裏面21Bよりも左側に配置される。
【0061】
ホルダ5の第1端部51の第1端面51A(
図10参照)のうち、上下方向中心を含む位置に、第2規制部材211(
図11参照)の左側面が接触する。ホルダ5の第1端部51の左端面のうち上側の位置に、前側第1規制部材221A(
図5参照)が接触する。ホルダ5の第1端部51の左端面のうち下側の位置に、前側第1規制部材231A(
図5参照)の右側面が接触する。
【0062】
なお、前側第1規制部材221A、231Aのそれぞれの右端と、第2規制部材211の左端との間の長さは、ホルダ5の第1端部51の左右方向の長さ(厚さ)と等しい。従って、偏向ユニット59が筐体12に装着された状態で、前側第1規制部材221A、231Aのそれぞれの右端面と、第2規制部材211の左端面とは、ホルダ5の前側の左右方向の移動を規制する。
【0063】
ホルダ突出部52B(
図9参照)の延設部521Bは、溝部221Cに嵌る。延設部521Bの右端、即ち、第2端面52Aの後端部は、溝部221Cを構成する第4延出部24Aの左端24Cの上端部に接触する。延設部521Bの左端は、後側第1規制部材221Bの右端に接触する。ホルダ突出部53B(
図9参照)の延設部531Bは、溝部231Cに嵌る。延設部531Bの右端、即ち、第3端面53Aの後端部は、溝部231Cを構成する第4延出部24Aの左端24Cの下端部に接触する。延設部531Bの左端は、後側第1規制部材231Bの右端に接触する。
【0064】
ホルダ5の第2端部52(
図9参照)の上側の面は、筐体12の第2延出部22Aの第2裏面22B(
図4参照)よりも下側に、第2端部52に対するホルダ突出部52Bの上方向の突出量分離隔して対向配置する。ホルダ5の第3端部53(
図9参照)の下側の面は、筐体12の第3延出部23Aの第3裏面23B(
図4参照)よりも上側に、第3端部53に対するホルダ突出部53Bの下方向の突出量分離隔して対向配置する。
【0065】
なお、延設部521Bの左右方向の長さと溝部221Cの左右方向の長さは等しい。又、延設部531Bの左右方向の長さと溝部231Cの左右方向の長さは等しい。従って、偏向ユニット59が筐体12に装着された状態で、溝部221Cを構成する後側第1規制部材221Bの右端と第4延出部24Aの左端24Cの上端部とは、ホルダ5の後側の左右方向の移動を規制する。又、偏向ユニット59が筐体12に装着された状態で、溝部231Cを構成する後側第1規制部材231Bの右端と第4延出部24Aの左端24Cの下端部とは、ホルダ5の左右方向の移動を規制する。
【0066】
偏向ユニット59が筐体12に装着された状態で、筐体係合部241(
図4参照)の前側面は、第1ホルダ係合部541A(
図10参照)の後側面に接触する。筐体係合部241の後側面は、第2ホルダ係合部542A、542Bのそれぞれの前側面に接触する。このように、第1ホルダ係合部541A及び第2ホルダ係合部542A、542Bと、筐体係合部241とは係合する。従って、ホルダ5の前後方向の移動は、筐体係合部241によって規制され、偏向ユニット59が筐体12に装着された状態は維持される。
【0067】
<動作概要(ピント調節)>
HMD1の動作概要について説明する。初めに使用者は、HMD1の装着具8(
図1参照)を頭部に着用する。使用者は、偏向ユニット59(
図1参照)が筐体12に装着された状態の本体部材11(
図1参照)を持ち、ハーフミラー56が(
図1参照)が左眼の前方に配置されるように位置を調節する。
【0068】
外部機器(図示略)から、画像データの出力が開始される。制御基板73B(
図6参照)は、通信線28(
図2参照)を介して画像データを受信する。制御基板73Bは、受信した画像データに応じた画像を、液晶パネル72Bに表示させる。液晶パネル72Bに表示された画像の画像光は、ガラス基板72A及び円筒部材71Aを左側に通過し、画像ユニット7から左側に射出する。画像ユニット7から射出した画像光は、レンズユニット6の複数のレンズ63を左側に通過し、レンズユニット6から左側に射出する。ハーフミラー56は、レンズユニット6から射出された画像光を後側に反射させる。画像光は使用者の左眼に入射する。又、ハーフミラー56は、前側から入射した外界の光を後側に透過させる。これによって使用者は、HMD1の本体部材11に対して前側の景色に虚像を重ねて認識する。
【0069】
ピント調節を行なうために使用者が操作部材3を回転させた場合の、レンズユニット6の動きについて説明する。操作部材3の回動に応じて調節機構4が回動する場合、凸部64(
図6参照)は、カム溝42(
図8参照)に沿って移動する。凸部64の移動に応じてレンズユニット6が移動するとき、溝部242は、凸部65(
図7参照)の上下方向への移動を規制する。このためレンズユニット6は、調節機構4の回動に応じて左右方向に移動する。なお、以下における回転方向(時計回り又は反時計回り)の説明は、特段の限定がない限り、HMD1を前側から見た時の方向を示すものとする。
【0070】
図13を参照し、操作部材3が時計回りに回動した場合を例に挙げて具体的に説明する。操作部材3の回動に応じて調節機構4が回転した場合、カム溝42(
図8参照)を形成する前後方向に伸びる互いに平行な一対の壁面は、接触する凸部64に対して右側に力を作用させ、凸部64を右側に移動させる。凸部64の移動に伴い、レンズユニット6は右側に移動する。レンズユニット6の円筒部材62(
図6参照)は、画像ユニット7の円筒部材71A内に入り込む。カム溝42の第1端42A(
図8参照)に凸部64が接触することによって、操作部材3の時計回りの回動は規制される。このとき、レンズユニット6の保持部材61の右端は、画像ユニット7の円筒部材71Aの左端に近接する。画像ユニット7の液晶パネル72B(
図6参照)と、レンズユニット6の複数のレンズ63(
図6参照)との間の距離は近接する。
【0071】
図14を参照し、操作部材3が反時計回りに回動した場合を例に挙げて具体的に説明する。操作部材3の回動に応じて調節機構4が回転した場合、カム溝42(
図8参照)を形成する前後方向に伸びる互いに平行な一対の壁面は、接触する凸部64に対して左側に力を作用させ、凸部64を左側に移動させる。凸部64の移動に伴い、レンズユニット6は左側に移動する。レンズユニット6の円筒部材62は、画像ユニット7の円筒部材71A内から左方外側に移動する。カム溝42の第2端42Bに凸部64が接触することによって、操作部材3の反時計回りの回動は規制される。このとき、レンズユニット6の保持部材61の右端は、画像ユニット7の円筒部材71Aの左端に対して左側に離隔する。画像ユニット7の液晶パネル72B(
図6参照)と、レンズユニット6の複数のレンズ63(
図6参照)との間の距離は離隔する。
【0072】
なお、レンズユニット6が左右方向に移動したとき、複数のレンズ63によって、ユーザによって視認される虚像となる画像光の広がり角が変化する。従って使用者は、操作部材3を回動させることによってピント調節を行うことができる。なお、
図8に示すように、方向48と方向49とのなす角度φは120度であるので、操作部材3の回動可能な角度も120度になる。
【0073】
操作部材3及び調節機構4の回動に応じてレンズユニット6が左右方向に移動するとき、円筒部材62と円筒部材71Aとのそれぞれの左右方向の少なくとも一部は、常に重なる。このため、画像ユニット7によって生成された画像光は、レンズユニット6が左右方向に移動しても、画像ユニット7及びレンズユニット6から外部に漏れ出ない。
【0074】
調節機構4が回動する過程で、複数の凹部41のうち1つに板バネ40(
図6参照)が係合した状態から、複数の凹部41のうち隣接する他に板バネ40(
図6参照)が係合した状態に変化する。調節機構4の回動は、凹部41に板バネ40が係合した状態で抑制され、調節機構4の位置は安定化する。このため使用者は、操作部材3及び調節機構4を所望する位置に容易に保持させることができるので、ピント調節を容易に行うことができる。
【0075】
<効果>
使用者は、装着具8を着用し、左眼(向かって右側の眼)の前にハーフミラー56を配置させる。ここで、
図15に示すように、使用者が左手(向かって右側の手)の人差し指85と親指87とで筐体12の第2表面22M及び第3表面23Mを上下方向から挟んで筐体12を保持し、中指86によって、第1表面21Mの操作部材3に力を加えて回動させる場合を例に挙げる。ここで、操作部材3は、前後方向に延びる軸を支点として回動可能であるため、使用者は、右上から左下(向かって左上から右下)に向けて傾斜した方向に中指86を移動させることによって、操作部材3を回動させることができる。なお使用者は、上記のように中指86を移動させる動作を、中指86を伸縮させることによって実現できる。このため使用者は、操作部材3を回動させる動作を自然に行うことができる。従ってHMD1は、使用者がピント調整を行うときの操作部材3の操作性を良好にできる。
【0076】
又、操作部材3は、第1表面21Mのうち、筐体12の左右方向の中心よりも左側の位置に設けられる(
図1等参照)。この場合、使用者が左手(向かって右側の手)の人差し指85と親指87とで筐体12を保持した場合に、人差し指85及び親指87と筐体12(第2表面22M及び第3表面23M)との接触面積をより大きくできる。従って使用者は、筐体12を適切に保持した状態で操作部材3を操作できる。
【0077】
操作部材3の上端部は、第1表面21Mの上端部、即ち、接続位置212Sよりも下側に配置される。又、操作部材3の下端部は、第1表面21Mの下端部、即ち、接続位置213Sよりも上側に配置される。この場合、使用者は、筐体12を保持する人差し指85よりも掌側で、中指86を移動させ、操作部材3に力を加えて回動させることができる。なお通常、使用者が中指86を伸縮させるとき、中指86は、人差し指85よりも掌側を移動する。従って使用者は、中指86の伸縮動作によって操作部材3を適切に回動させることができる。このように、HMD1は、使用者がピント調整を行うときの操作部材3の操作性をより良好にできる。
【0078】
操作部材3の側面3Cは、前後方向に対して傾斜する。なお、使用者が人差し指85によって筐体12を保持した状態で、中指86を掌側に移動させた場合、中指86の腹の部分86Aは、人差し指85の腹の部分85Aに対して傾斜する。従って使用者は、中指86を操作部材3に接触させたときに、操作部材3に力を加え易くなる。このため使用者は、操作部材3を更に容易に操作できる。
【0079】
操作部材3は錐台形状を有しており、前後方向と側面3Cとのなす角度の鋭角は40度である。ここで、使用者が中指86を掌側に移動させたときの、人差し指85の腹の部分85Aに対する中指86の腹の部分86Aの角度は、40度以下となる場合が多い。従って使用者は、操作部材3の側面3Cに対して中指86の腹の部分86Aを密着させて力を加えることが容易に可能となる。このため使用者は、操作部材3を更に容易に操作できる。
【0080】
レンズユニット6は、操作部材3が120度回動することによって、最も右側に移動した状態(
図13参照)から、最も左側に移動した状態(
図14参照)まで変化する。このため使用者は、ピント調整を行うときに操作部材3を何周も回転させる必要がないので、操作部材3に対する操作によるピント調節の応答性を良好にできる。
【0081】
筐体12の第1表面21Mから、操作部材3の前端面3Aまでの前後方向の長さは、3mmである。この場合、使用者は、操作部材3の側面3Cに対して中指86の腹の部分86Aを適切に密着させて力を加えることができる。
【0082】
筐体12の第1表面21Mと第2表面22Mとが接続する湾曲部分212、及び、第1表面21Mと第3表面23Mとが接続する湾曲部分213は、それぞれ湾曲する。この場合、使用者は、第2表面22Mから操作部材3に向けて中指86を近づける過程で、中指86が筐体12の角に引っ掛かることを抑制できる。このため使用者は、操作部材3の操作をスムーズに行うことができる。
【0083】
第2表面22Mと第3表面23Mとの間の距離は、後方から前方に向かうに従って小さくなる。この場合、使用者が筐体12を保持するために第2表面22Mに接触させた人差し指85を、後方斜め上側から前方斜め下側に向けて自然に傾斜させることができる。この場合、使用者は、中指86を、後方斜め上側から前方斜め下側に更に傾斜させ易くなる。このため使用者は、中指86によって操作部材3に更に力を加え易くなるので、操作部材3を更に容易に操作できる。
【0084】
ホルダ5及びハーフミラー56は、第2延出部22A及び第3延出部23Aによって上下方向を挟まれた領域に配置される。この場合、使用者は、第2表面22M及び第3表面23Mのうちハーフミラー56が保持された部分の上下部分を、人差し指85と親指87とで保持できる。従って使用者は、人差し指85及び親指87によって筐体12を保持し、ハーフミラー56を左眼の前に配置させ易くなる。又、ハーフミラー56は、第2表面22M及び第3表面23Mで挟まれた部分に配置されるので、使用者の指がハーフミラー56に接触してハーフミラー56が汚れることを抑制できる。更に、第1延出部21Aの左端21Cが右方に湾曲するので、ハーフミラー56の前方に第1延出部21Aは配置されない。このため、前方から到来する外界の光は、第1筐体21によって遮蔽されず、ハーフミラー56に適切に進入する。このため、HMD1は、第1延出部21Aの第1表面21Mによって外界の光が遮蔽されることを抑制できる。
【0085】
HMD1の装着具8は、左右方向に延び且つ前方に向けて凸状に湾曲する第1部分8A、及び、第1部分8Aの両側から後側に延びる第2部分8B、8Cを有する。又、HMD1は、装着具8の第1部分8Aから延びる接続具9を有する。接続具9の先端に本体部材11が接続される。従って、装着具8が使用者の頭部に着用された状態で、使用者の眼前にハーフミラー56を保持できる。従って使用者は、ハーフミラー56によって偏向された画像光を視認しつつ、両手を使用して作業を行うことができる。
【0086】
<変形例>
図16を参照し、本発明の変形例におけるHMD1の本体部材11Aについて説明する。本体部材11Aは、操作部材3が操作部材30に変更されているという点で本体部材11(
図2等参照)と異なり、他の部分は同一である。以下では、操作部材30についてのみ説明し、他の部分の説明は省略する。
【0087】
本体部材11Aにおいて、操作部材30は、第1部材36及び第2部材37を有する。第1部材36は、第1筐体21の第1表面21Mの凹部21Eから、前方に突出する。第1部材36は円柱状である。第1部材36の中心軸は前後方向に平行となる。第2部材37は、第1部材36の前端面36Aに設けられる。第2部材37は、断面が長方形を有する棒状である。第2部材37は、前後方向と直交する方向(
図16の場合、上下方向)に延びる。第2部材37の長さは、第1部材36の前端面36Aの直径よりも大きい。第2部材37の一方側の端部37A及び他方側の端部37Bは、第1部材36の側面よりも外側に突出する。
【0088】
第1部材36の後端面に、調節機構4の突出部4A(
図6参照)が嵌合する嵌合溝(図示略)が設けられている。突出部4Aが嵌合溝に嵌合した状態で、操作部材30及び調節機構4は第1筐体21に保持される。操作部材30及び調節機構4は、操作部材30の中心軸を支点として一体となって回動可能である。
【0089】
以上の場合、使用者が装着具8を着用し、左眼(向かって右側の眼)の前にハーフミラー56を配置させたときに、使用者は、操作部材30の第2部材37の端部37Aに中指86で力を加えることが容易に可能となる。従って使用者は、操作部材30を容易に回動させることができる。
【0090】
使用者が右眼(向かって左側の眼)の前にハーフミラー56を配置させた状態を例に挙げる。この場合、使用者は、本体部材11によって使用者の左眼の視界が遮られないように、第2筐体22の第2表面22Mを下側に配置させ、第3筐体23の第3表面23Mを上側に配置させた状態(即ち、
図1に対して上下方向を反転させた状態)で本体部材11を使用する。第2部材37の端部37Aは、第1部材36に対して下側に突出し、端部37Bは、第1部材36に対して上側に突出する。この場合、使用者は、端部37Bに中指86で力を加えることが容易にできるので、操作部材30を容易に回動させることができる。このように、操作部材30の場合、本体部材11の上下方向が反転された状態、即ち、使用者の左眼(向かって右側の眼)の前にハーフミラー56が配置された状態で使用された場合でも、使用者はピント調節を容易に行うことができる。
【0091】
なお、本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されず、様々な変形が可能である。上記のHMD1において、画像ユニット7を左右方向に移動させることによってピント調節が行われてもよい。具体的には次の通りである。画像ユニット7が左右方向に移動可能に保持されていてもよい。画像ユニット7の前側の面に凸部が設けられていてもよい。調節機構4のカム溝42に、画像ユニット7の凸部が後方から嵌っていてもよい。操作部材3、30及び調節機構4が回動した場合、画像ユニット7が左右方向に移動してもよい。又、画像ユニット7及びレンズユニット6の両方を左右方向に移動させることによって、ピント調節が行われてもよい。
【0092】
筐体12は、レンズユニット6及び画像ユニット7のうち一部のみを覆っていてもよい。操作部材3の円錐台形状の側面と、前後方向のとのなす角度θは、40度よりも大きくてもよい。操作部材3の形状は、円錐台形状以外の形状であってもよい。例えば操作部材3は、角錐台形状であってもよいし、円柱又は角柱であってもよい。操作部材3の回動可能な角度φは、120度より大きくてもよい。操作部材3の前後方向の長さLh(高さ)は、3mm未満であってもよい。筐体12の第1表面21Mと第2表面22Mとが接続する部分、及び、第1表面21Mと第3表面23Mとが接続する部分は、角張っていてもよい。第2表面22Mと第3表面23Mとの間の距離は均一であってもよい。即ち、第2表面22Mと第3表面23Mとは平行であってもよい。筐体12は、左右方向を軸線方向とする略円筒状であってもよい。
【0093】
第1筐体21の左端21Cは、上下方向両端部から上下方向中心に向けて、右方に凹んでいた。ここで、凹んだ部分に透明の部材が設けられていてもよい。この場合、第2延出部22Aの左端22C及び第3延出部23Aの左端23Cの左右方向の位置と、透明の部材の左端の左右方向の位置とが同一であってもよい。
【0094】
上記において、HMD1は装着具8及び接続具9を備えず、本体部材11のみの構成であってもよい。本体部材11は、眼鏡等に直接固定されてもよい。また、HMD1は、装着具8を備えず、接続具9及び本体部材11で構成されてもよい。
【0095】
上記において、操作部材30の第2部材37は、第1部材36の前端面36Aの中心から1方向に延びる棒状の部材であってもよい。又、第2部材37は、第1部材36の前端面36Aの中心から3以上の方向に延びる複数の棒状の部材であってもよい。第2部材37の延びる方向は、前後方向と直交する方向に対して傾斜していてもよい。操作部材30の第2部材37は、第1部材36の側面から突出してもよい。
【0096】
HMD1の左右方向は本発明の「第1方向」の一例である。HMDの左側は本発明の「第1方向の一方側」の一例であり、右側は本発明の「第1方向の他方側」の一例である。HMD1の前後方向は本発明の「第2方向」の一例である。HMDの前側は本発明の「第2方向の一方側」の一例であり、後側は本発明の「第2方向の他方側」の一例である。HMD1の上下方向は本発明の「第3方向」の一例である。HMDの上側は本発明の「第3方向の一方側」の一例であり、下側は本発明の「第3方向の他方側」の一例である。ハーフミラー56は本発明の「偏向部材」の一例である。第1表面21Mは本発明の「第1面」の一例である。第2表面22Mは本発明の「第2面」の一例である。第3表面23Mは本発明の「第3面」の一例である。