(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
<膜形成用組成物>
当該膜形成用組成物は、[A]化合物及び[B]溶媒を含有する。当該膜形成用組成物は、好適成分として[C]酸発生剤及び[D]架橋剤を含有してもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について説明する。
【0015】
<[A]化合物>
[A]化合物は、部分構造(I)を有し、かつ分子間結合形成基(a)を有する化合物である。当該膜形成用組成物は、[A]化合物を含有することで、エッチング耐性等の一般特性を維持しつつ耐熱性及び平坦性に優れる膜を形成することができる。当該膜形成用組成物が上記構成を有することで上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば、以下のように推察することができる。すなわち、[A]化合物は、部分構造(I)と分子間結合形成基(a)とを有している。部分構造(I)は、上記式(1)のように、スピロ炭素原子を共有するX
1及びX
2の環構造が、それぞれ芳香環に縮環している特定構造を有するものである。当該膜形成用組成物から形成される膜は、上記特定構造と上記分子間結合形成基(a)から形成される分子連結構造とを共に備えることで、高い耐熱性を発揮すると考えられる。また当該膜形成用組成物は、[A]化合物が上記特定構造を有することに加えて、上記分子間結合形成基(a)により分子連結構造が形成して膜を形成するので、トレンチを十分に埋め込むことができ、平坦性に優れる膜を形成することができると考えられる。
【0016】
[部分構造(I)]
部分構造(I)は、下記式(I)で表される。
【0018】
上記式(1)中、X
1及びX
2は、それぞれ独立して、スピロ炭素原子及び芳香環の炭素原子と共に構成される置換又は非置換の環員数4〜10の環構造を表す。R
1及びR
2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基又は1価の有機基である。a1及びa2は、それぞれ独立して、0〜8の整数である。R
1及びR
2がそれぞれ複数の場合、複数のR
1は同一でも異なっていてもよく、複数のR
2は同一でも異なっていてもよい。n1及びn2は、それぞれ独立して、0〜2の整数である。k1及びk2は、それぞれ独立して、0〜8の整数である。但し、k1+k2は1以上である。a1+k1及びa2+k2は8以下である。*は、上記部分構造以外の部分との結合部位を示す。
【0019】
上記X
1及びX
2で表される環構造としては、上記構造を有する限り特に限定されず、脂環構造でもよく、環構成炭素原子間の二重結合を有する環構造でもよく、上記式(1)に示す芳香環以外の芳香環の一部を含む環構造でもよく、環構成原子として、炭素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよく、環構成原子に結合する置換基を有していてもよい。また、X
1及びX
2で表される環構造は、同一でも異なっていてもよいが、膜の耐熱性をより高める観点、及び部分構造(I)を与える化合物の合成容易性の観点からは、同一であることが好ましい。
【0020】
上記環構造の環員数としては、形成される膜の耐熱性をより高める観点から、4以上8以下が好ましく、5又は6がより好ましく、5がさらに好ましい。
【0021】
上記環構造が有していてもよい置換基としては、例えば、
1価の置換基として、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、エテニル基、プロペニル基等のアルケニル基、エチニル基、プロピニル基等アルキニル基などの鎖状炭化水素基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等のシクロアルケニル基などの脂環式炭化水素基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などの芳香族炭化水素基などの炭化水素基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ、ナフチルオキシ基等のオキシ炭化水素;
メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のカルボニルオキシ炭化水素基;
ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;
アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;
シアノ基、ニトロ基、ホルミル基などが挙げられ、
2価の置換基として、
メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基等の鎖状炭化水素基;
シクロプロピリデン基、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基、シクロへキシリデン基、ノルボルニリデン基等の脂環式炭化水素基;
ベンジリデン基、フェネチリデン基、ナフチルメチリデン基、フルオレニリデン基等の芳香族炭化水素基などの炭化水素基;
ケト基(=O)等が挙げられる。
【0022】
これらの置換基の中で、
1価の置換基としては、炭化水素基が好ましく、鎖状炭化水素基、芳香族炭化水素基がより好ましく、アルキル基、アリール基がさらに好ましく、メチル基、エチル基、フェニル基が特に好ましく、メチル基がさらに特に好ましい。
2価の置換基としては、炭化水素基、ケト基が好ましく、芳香族炭化水素基、ケト基がより好ましく、フルオレニリデン基、ケト基がさらに好ましい。
【0023】
上記環構造が含んでいてもよいヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。これらの中で、膜の耐熱性をより高める観点から、酸素原子が好ましい。環構造が含んでいてもよいヘテロ原子の数としては、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
【0024】
上記X
1及びX
2で表される環構造としては、例えば、下記式(1−1)〜(1−3)で表される環構造等が挙げられる。
【0026】
上記式(1−1)〜(1−3)中、R
aは、X
1及びX
2の両方の環構造で共有されるスピロ炭素原子である。R
b及びR
cは、X
1又はX
2の環構造と、芳香環とに共有される2個の炭素原子である。R
Aは、環構造を構成する炭素原子が有する水素原子を置換する1価の基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される2価の基を表す。R
Aが複数の場合、複数のR
Aは同一でも異なっていてもよい。
上記式(1−1)中、p1及びp2は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。但し、p1+p2は、1以上7以下である。s1は、0〜14の整数である。
上記式(1−2)中、q1、q2及びq3は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。但し、q1+q2+q3は、0以上5以下である。s2は、0〜14の整数である。
上記式(1−3)中、r1、r2及びr3は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。但し、r1+r2+r3は、0以上6以下である。s3は、0〜14の整数である。
【0027】
上記式(1−1)において、p1としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。p2としては、0〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、2がさらに好ましい。p1+p2としては、1以上4以下が好ましく、2又は3がより好ましく、2がさらに好ましい。s1としては、0〜4の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、2がさらに好ましい。
【0028】
上記式(1−2)において、q1としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。q2としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。q3としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。q1+q2+q3としては、0以上2以下が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。s2としては、0〜4の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、1がさらに好ましい。
【0029】
上記式(1−3)において、r1としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。r2としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。r3としては、0〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、2がさらに好ましい。r1+r2+r3としては、0以上4以下が好ましく、1又は2がより好ましく、2がさらに好ましい。s3としては、0〜4の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、2がさらに好ましい。
【0030】
上記R
Aで表される1価又は2価の基としては、例えば、上記X
1及びX
2で表される環構造が有していてもよい置換基として例示した1価又は2価の基と同様の基等が挙げられる。
【0031】
上記式(1)におけるR
1及びR
2で表される1価の有機基としては、例えば、1価の炭化水素基、オキシ炭化水素基、アシル基、アシロキシ基、カルボニルオキシ炭化水素基等が挙げられる。これらのそれぞれの基としては、例えば、上記X
1及びX
2で表される環構造が有していてもよい1価の基と同様の基等が挙げられる。
【0032】
a1及びa2としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0033】
n1及びn2としては、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
【0034】
k1及びk2としては、1〜8の整数が好ましく、1〜4の整数がより好ましく、1〜3の整数がさらに好ましく、1又は2が特に好ましい。
k1+k2としては、2〜16の整数が好ましく、2〜8の整数がより好ましく、2〜4の整数がさらに好ましく、2又は4が特に好ましい。
【0035】
部分構造(I)としては、例えば、下記式(1−1−1)〜(1−3−3)で表される構造(以下、「部分構造(I−1−1)〜(I−3−3)」ともいう)等が挙げられる。
【0039】
上記式(1−1−1)〜(1−3−3)中、k1、k2及び*は、上記式(1)と同義である。
【0040】
これらの中で、部分構造(I)としては、部分構造(I−1−1)〜(I−1−5)、部分構造(I−2−1)、部分構造(I−3−1)が好ましく、部分構造(I−1−1)がより好ましい。
【0041】
[分子間結合形成基(a)]
分子間結合形成基(a)は、例えば付加反応、縮合反応等により分子間に共有結合を形成し得る基である。[A]化合物が分子間結合形成基(a)を有することで、[A]化合物同士間等の結合により、膜の強度を高めることができる。[A]化合物は、上記分子間結合形成基(a)を上記部分構造(I)中に有していてもよく、上記部分構造(I)以外の部分中に有していてもよいが、膜の耐熱性をより高める観点から、上記部分構造(I)以外の部分中に有していることが好ましい。
【0042】
上記分子間結合形成基(a)としては、例えば、炭素−炭素三重結合含有基、炭素−炭素二重結合含有基、ヒドロキシ鎖状炭化水素基、アシル基、アシロキシ基、エポキシ基、アルコキシメチル基、ジアルキルアミノメチル基、ジメチロールアミノメチル基等が挙げられる。これらの中で、炭素−炭素三重結合含有基、炭素−炭素二重結合含有基、ヒドロキシ鎖状炭化水素基、アシル基、カルボニルオキシ炭化水素が好ましい。分子間結合形成基(a)としては、炭素−炭素三重結合含有基、炭素−炭素二重結合含有基がより好ましい。このとき、炭素−炭素多重結合同士の付加反応により分子間結合を形成でき、その結果、基の脱離を要することなく硬化させることができるので、膜収縮を抑制しつつ膜を形成することができ、その結果、より平坦性に優れる膜を形成することができる。
【0043】
上記炭素−炭素三重結合含有基としては、例えば置換又は非置換のエチニル基、置換又は非置換のプロパルギル基、下記式(3−1)で表される基(以下、「基(3−1)」ともいう)等が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合含有基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、下記式(3−2)で表される基(以下、「基(3−2)」ともいう)等が挙げられる。
【0045】
上記式(3−1)中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。qは、1又は2である。qが2の場合、複数のR
3は同一でも異なっていてもよい。
上記式(3−2)中、R
5、R
6及びR
7は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。
【0046】
上記R
3〜R
7で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、上記式(1)におけるR
1及びR
2として例示した同様の基等が挙げられる。
上記R
3及びR
4としては、当該膜形成用組成物の硬化性向上の観点から、水素原子
アルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記qとしては、当該膜形成用組成物の硬化性向上の観点から、2が好ましい。
上記R
5、R
6及びR
7としては、当該膜形成用組成物の硬化性向上の観点から、水素原子、アルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0047】
上記ヒドロキシ鎖状炭化水素基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−2−プロピル基等の1価の基、ヒドロキシメタンジイル基、1−ヒドロキシ−1,1−エタンジイル基、1−ヒドロキシ−1,1−プロパンジイル基等の2価の基などが挙げられる。これらの中で、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシ−2−プロピル基、ヒドロキシメタンジイル基、1−ヒドロキシ−1,1−エタンジイル基が好ましい。
【0048】
上記アシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。これらの中で、ホルミル基、アセチル基が好ましい。
【0049】
上記カルボニルオキシ炭化水素基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基等が挙げられる。これらの中で、メトキシカルボニル基が好ましい。
【0050】
[A]化合物が有する分子間結合形成基(a)の数としては、1個でも2個以上でもよいが、膜の耐熱性をより高める観点からは2個以上が好ましい。
【0051】
[A]化合物の態様としては、例えば、1つの部分構造(I)を有する化合物(以下、「[A1]化合物」ともいう)、2つ以上の部分構造(I)を有し、部分構造(I)を繰り返し単位として有する重合体(以下、「[A2]重合体」ともいう)等が挙げられる。以下、[A1]化合物、[A2]重合体の順に説明する。
【0052】
<[A1]化合物>
[A1]化合物は、1つの部分構造(I)を有する化合物である。当該膜形成用組成物は、[A]化合物を[A1]化合物とすることで、トレンチへの埋め込み性をさらに高めることができ、その結果、より平坦性に優れる膜を形成することができる。
【0053】
[A1]化合物としては、1つの部分構造(I)を有する限り、特に限定されないが、例えば、下記式(2)で表される化合物等が挙げられる。下記式(2)で表される化合物は、芳香族エーテル結合により構成されているので、膜の耐熱性をさらに高めることができる。
【0055】
上記式(2)中、Z
1は、上記式(1)で表される部分構造である。k1及びk2は、上記式(1)と同義である。Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数6〜20のアレーンジイル基である。p1及びp2は、それぞれ独立して、0〜3の整数である。Ar
3は、置換又は非置換の炭素数6〜20のアレーンの芳香環から(j1+1)個の水素原子を除いた基である。Ar
4は、置換又は非置換の炭素数6〜20のアレーンの芳香環から(j2+1)個の水素原子を除いた基である。j1及びj2は、それぞれ独立して、1〜9の整数である。Y
1及びY
2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の分子間結合形成基である。Ar
1〜Ar
4、Y
1、Y
2、p1、p2、j1及びj2がそれぞれ複数の場合、複数のAr
1は同一でも異なっていてもよく、複数のAr
2は同一でも異なっていてもよく、複数のAr
3は同一でも異なっていてもよく、Ar
4は同一でも異なっていてもよく、複数のY
1は同一でも異なっていてもよく、複数のY
2は同一でも異なっていてもよく、複数のp1は同一でも異なっていてもよく、複数のp2は同一でも異なっていてもよく、複数のj1は同一でも異なっていてもよく、複数のj2は同一でも異なっていてもよい。
【0056】
上記Ar
1及びAr
2で表される炭素数6〜20のアレーンジイル基としては、例えば、ベンゼンジイル基、トルエンジイル基、キシレンジイル基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基等が挙げられる。これらの中で、膜の平坦性をより高める観点から、ベンゼンジイル基、ナフタレンジイル基が好ましく、ベンゼンジイル基がより好ましい。
【0057】
上記Ar
1及びAr
2のアレーンジイル基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、炭素数1〜20の1価の有機基等が挙げられる。これらの中で、膜の耐熱性をより高める観点及び[A]化合物の合成容易性の観点から、ニトロ基、炭素数1〜20の1価の有機基が好ましく、ニトロ基、シアノ基がより好ましく、シアノ基がさらに好ましい。
【0058】
上記p1及びp2としては、膜の耐熱性及び平坦性をより高める観点から、0〜2の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1がさらに好ましい。
【0059】
上記Ar
3及びAr
4で表される基を与える炭素数6〜20のアレーンとしては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ビフェニル、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン等が挙げられる。
【0060】
上記Ar
3及びAr
4で表される基の置換基としては、例えば、上記Ar
1及びAr
2のアレーンジイル基の置換基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
【0061】
上記Y
1及びY
2で表される炭素数1〜20の1価の分子間結合形成基としては、例えば、上記分子間結合形成基(a)として例示したものと同様の基等が挙げられる(但し、炭素数1〜20のものに限る)。
Y
1及びY
2の炭素数1〜20の1価の分子間結合形成基としては、これらの中で、炭素−炭素二重結合含有基、炭素−炭素三重結合含有基が好ましく、上記基(3−1)、上記基(3−2)がより好ましい(ただし、炭素数20以下のものに限る)。
【0062】
j1及びj2としては、1〜4の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。
j1+j2としては、2〜8の整数が好ましく、2〜6の整数がより好ましく、2〜4の整数がさらに好ましく、2又は4が特に好ましい。
【0063】
k1及びk2としては、1〜4の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。
k1+k2としては2〜8の整数が好ましく、2〜6の整数がより好ましく、3〜6の整数がさらに好ましく、4〜6の整数が特に好ましく、4又は6がさらに特に好ましい。
【0064】
[A1]化合物としては、例えば、下記式(2−1)〜(2−28)で表される化合物(以下、「化合物(2−1)〜(2−28)」ともいう)等が挙げられる。
【0070】
これらの中で、化合物(2−1)、(2−4)〜(2−7)、(2−11)〜(2−28)が好ましく、化合物(2−1)、(2−4)〜(2−7)、(2−11)〜(2−16)が特に好ましい。
【0071】
<[A1]化合物の合成方法>
[A1]化合物は、例えば、下記式(2−m)で表されるポリオール化合物(以下、「ポリオール(2−m)」ともいう)を含むポリオール成分(A’)と、分子間結合形成基(a)を有する芳香族モノハロゲン化物を含むモノハロ成分(B’)とを、有機溶媒中、アルカリ金属又はアルカリ金属化合物の存在下で反応させることにより合成することができる。上記反応方法以外でも、ポリオール成分(A’)とアルカリ金属又はアルカリ金属化合物とを有機溶媒中で反応させて、ポリオール成分(A’)のアルカリ金属塩を得た後、得られた金属塩とモノハロ成分(B’)とを反応させてもよい。モノハロ成分(B’)は、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基又は1価の有機基を有する芳香族ジハロ化合物と、分子間結合形成基(a)を有する芳香族モノオール化合物とを、塩基性化合物の存在下に反応させること等により得ることができる。また、モノハロ成分(B’)の代わりに、分子間結合形成基(a)に変換可能な基(例、アミノ基等)を有する芳香族モノハロゲン化物を含む成分を使用し、ポリオール成分(A’)と反応後に、分子間結合形成基(a)に変換可能な基を分子間結合形成基(a)(例、上記式(3−1)で表される基等)に変換してもよい。上記分子間結合形成基(a)を有する芳香族モノオール化合物としては、例えば、ビニルフェノール、ビニルナフトール、ホルミルフェノール、ホルミルナフトール、アセチルフェノール、アセチルナフトール、ビニルオキシフェノール、ビニルオキシナフトール、プロパルギルオキシフェノール、プロパルギルオキシナフトール、メトキシカルボニルフェノール、メトキシカルボニルナフトール、プロペニルフェノール、プロペニルナフトール等が挙げられる。
【0073】
上記式(2−m)中、X
1、X
2、R
1、R
2、a1、a2、n1、n2、k1及びk2は、上記式(1)と同義である。
【0074】
上記反応に用いる塩基性化合物及び有機溶媒としては、上記[A2]重合体の合成に用いたものと同様の化合物等が挙げられる。上記塩基性化合物の量としては、ポリオール成分(A’)が有する−OH基に対し、1倍当量〜3倍当量が好ましく、1倍当量〜2倍当量がより好ましく、1倍当量〜1.5倍当量がさらに好ましい。
【0075】
モノハロ成分(B’)の使用量としては、ポリオール成分(A)が有する−OH基に対し、1倍当量〜3倍当量が好ましく、1倍当量〜2倍当量がより好ましく、1倍当量〜1.5倍当量がさらに好ましい。
【0076】
反応温度としては、60℃〜250℃が好ましく、80℃〜200℃がより好ましい。反応時間としては、15分〜100時間が好ましく、1時間〜24時間がより好ましい。
【0077】
合成した化合物は、反応液から再沈殿法等により回収し精製することができる。再沈殿に用いる溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒等が挙げられ、これらの中でも、メタノールが好ましい。
【0078】
[A1]化合物の分子量の下限としては、300が好ましく、600がより好ましく、800がさらに好ましい。上記分子量の上限としては、3,000が好ましく、2,000がより好ましく、1,500がさらに好ましい。[A1]化合物は、上記分子量を上記下限と上記上限の間とすることで、膜の平坦性をさらに向上させることができる。
【0079】
<[A2]重合体>
[A2]重合体は、下記式(4)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(I)」ともいう)を有する重合体である。当該膜形成用組成物は、[A]化合物として[A2]重合体を含有することで、膜の耐熱性をより高めることができる。「重合体」とは、繰り返し単位を2個以上有するものをいい、通常、オリゴマーに分類されるもの及びポリマーに分類されるものの両方を含む。
【0081】
上記式(4)中、Z
2は、上記式(1)で表される部分構造である。k1は、上記式(1)と同義である。
【0082】
[A2]重合体は、繰り返し単位(I)以外にも、後述する分子間結合形成基を有する繰り返し単位(II)及び/又は繰り返し単位(III)を有していてもよく、これらの繰り返し単位以外にも、その他の繰り返し単位を有していてもよい。以下、各繰り返し単位について説明する。
【0083】
[繰り返し単位(I)]
繰り返し単位(I)は、上記式(4)で表される繰り返し単位である。繰り返し単位(I)としては、例えば、下記式(1P−1−1)〜(1P−3−3)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(1P−1−1)〜(1P−3−3)」ともいう)等が挙げられる。
【0087】
上記式(1P−1−1)〜(1P−3−3)中、k1及びk2は、上記式(1)と同義である。*は、部分構造(I)以外の部分との結合部位を示す。
【0088】
これらの中で、繰り返し単位(1P−1−1)、繰り返し単位(1P−3−1)が好ましく、k1+k2が3以上6以下の繰り返し単位(1P−1−1)、k1+k2が3以上6以下の繰り返し単位(1P−3−1)がより好ましく、k1+k2が4又は6の繰り返し単位(1P−1−1)、k1+k2が4の繰り返し単位(1P−3−1)がさらに好ましい。
【0089】
繰り返し単位(I)の含有割合としては、[A2]重合体を構成する全繰り返し単位に対して、0.1モル%〜20モル%が好ましく、0.2モル%〜10モル%がより好ましく、0.5モル%〜7モル%がさらに好ましく、1モル%〜5モル%が特に好ましい。繰り返し単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、膜の耐熱性及び平坦性をさらに向上させることができる。
【0090】
[A]重合体は、繰り返し単位(I)を主鎖及び側鎖のいずれに有していてもよいが、主鎖に有することが好ましい。[A]重合体が繰り返し単位(I)を主鎖に有することで、膜の耐熱性及び平坦性がより優れるものとなる。ここで、「主鎖」とは、[A]重合体を構成する複数の原子が結合されてなる鎖のうち、最も長いものをいう。「側鎖」とは、[A]重合体における鎖のうち、主鎖以外のものをいう。
【0091】
上記k1及びk2が1の場合、上記繰り返し単位(I)を含む構造は、下記式(X)で表されることが好ましい。
【0093】
上記式(X)中、Zは、上記部分構造(I)である。Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数6〜40のアレーンジイル基である。
【0094】
上記Ar
1及びAr
2で表される炭素数6〜40のアレーンジイル基としては、例えば、ベンゼンジイル基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基等が挙げられる。
【0095】
[繰り返し単位(II)]
繰り返し単位(II)は、下記式(5−1)又は式(5−2)で表される繰り返し単位である。繰り返し単位(II)は、分子間結合形成基Y
3又はY
4を有している。[A2]重合体が繰り返し単位(II)を有することで、当該膜形成用組成物の硬化性がより向上し、その結果、膜の耐熱性がより高くなる。
【0097】
上記式(5−1)中、Y
3は、炭素数1〜20の1価の分子間結合形成基である。bは、1〜8の整数である。R
8は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基又は1価の有機基である。cは、0〜8の整数である。但し、b+cは8以下である。Y
3及びR
8がそれぞれ複数の場合、複数のY
3は同一でも異なっていてもよく、複数のR
8は同一でも異なっていてもよい。mは、0〜2の整数である。mが1又は2の場合、Y
3及びR
8はいずれの環に結合していてもよい。上記式(5−2)中、Y
4は、炭素数1〜20の2価の分子間結合形成基である。R
9及びR
10は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基又は1価の有機基である。d及びeは、それぞれ独立して、0〜8の整数である。R
9が複数の場合、複数のR
9は同一でも異なっていてもよい。R
10が複数の場合、複数のR
10は同一でも異なっていてもよい。m1及びm2は、それぞれ独立して、0〜2の整数である。
【0098】
上記Y
3で表される炭素数1〜20の1価の分子間結合形成基としては、例えば、上記分子間結合形成基(a)として例示したもののうちの1価の基と同様の基等が挙げられる(但し、炭素数1〜20のものに限る)。
これらの中で、炭素−炭素二重結合含有基、炭素−炭素三重結合含有基が好ましく、上記基(3−1)、上記基(3−2)がより好ましい(但し、炭素数20以下のものに限る)。
上記Y
4で表される炭素数1〜20の2価の分子間結合形成基としては、例えば、上記分子間結合形成基(a)として例示したもののうちの2価の基と同様の基等が挙げられる(但し、炭素数1〜20のものに限る)。
これらの中で、ヒドロキシメタンジイル基、1−ヒドロキシ−1,1−エタンジイル基、1−ヒドロキシ−1,1−プロパンジイル基等が好ましく、ヒドロキシメタンジイル基、1−ヒドロキシ−1,1−エタンジイル基がより好ましい。
【0099】
上記R
8〜R
10で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。これらの中で、フッ素原子、塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0100】
上記R
8〜R
10で表される1価の有機基としては、例えば、上記式(1)におけるR
1及びR
2として例示した1価の有機基と同様の基等が挙げられる。これらの中で、シアノ基、ホルミル基が好ましい。
【0101】
上記R
8〜R
10としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基が好ましく、塩素原子、ニトロ基、シアノ基がより好ましく、シアノ基がさらに好ましい。上記R
8〜R
10を電子求引基とすることで、[A2]重合体を合成する重合反応を促進させることができる。
【0102】
上記bとしては、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1がさらに好ましい。
上記cとしては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記mとしては、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
上記dとしては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記eとしては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記m1としては、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
上記m2としては、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
【0103】
繰り返し単位(II)において、mが0の場合、芳香環の2つの結合手の位置としては、メタ位が好ましい。繰り返し単位(II)における結合手の位置をメタ位とすることで、[A2]重合体の主鎖の直線性を低減させることができ、その結果、膜の平坦性をより向上させることができる。
【0104】
繰り返し単位(II)としては、例えば、下記式(3−1)〜(3−12)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(II−1)〜(II−12)」ともいう)等が挙げられる。
【0106】
上記式(3−2)及び(3−6)中、Halは、ハロゲン原子である。
上記式(3−9)〜(3−11)中、Rは、1価の炭化水素基である。
【0107】
これらの中で、繰り返し単位(II)としては、繰り返し単位(II−1)〜(II−8)、(II−12)、(II−13)が好ましく、繰り返し単位(II−1)〜(II−4)、(II−13)がより好ましく、繰り返し単位(II−1)、(II−13)がさらに好ましい。
【0108】
繰り返し単位(II)の含有割合としては、[A2]重合体を構成する全繰り返し単位に対して、5モル%〜95モル%が好ましく、20モル%〜80モル%がより好ましく、30モル%〜75モル%がさらに好ましい。繰り返し単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、[A2]重合体の塗布性をより向上させることができる。
【0109】
[繰り返し単位(III)]
繰り返し単位(III)は、下記式(4)で表される繰り返し単位である。[A2]重合体が繰り返し単位(III)を有することで、膜の耐熱性をより高めることができる。
【0111】
上記式(4)中、R
B1〜R
B4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基又は1価の有機基である。t1及びt2は、それぞれ独立して、0〜6の整数である。t3及びt4は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。i1及びi2は、0〜2の整数である。
【0112】
上記R
B1〜R
B4で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0113】
上記R
B1〜R
B4で表される1価の有機基としては、例えば、上記式(1)におけるR
1及びR
2として例示した1価の有機基と同様の基等が挙げられる。
【0114】
上記R
B1〜R
B4としては、1価の炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基が好ましく、1価の炭化水素基がより好ましい。
【0115】
上記t1及びt2としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0116】
上記t3及びt4としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0117】
i1及びi2としては、0又は1が好ましく、1がより好ましい。i1及びi2を1、すなわちナフタレン環とすることで、膜の吸光係数を高くすることができ好ましい。
【0118】
繰り返し単位(III)としては、例えば、下記式(4−1)〜(4−6)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(III−1)〜(III−6)」ともいう)等が挙げられる。
【0120】
これらの中で、繰り返し単位(III)としては、繰り返し単位(III−1)、繰り返し単位(III−2)が好ましい。
【0121】
繰り返し単位(III)の含有割合としては、k1+k2が3以上の場合、[A2]重合体を構成する全繰り返し単位に対して、5モル%〜95モル%が好ましく、10モル%〜70モル%がより好ましく、15モル%〜50モル%がさらに好ましい。また、k1及びk2が1の場合、[A2]重合体を構成する全繰り返し単位に対して、5モル%〜95モル%が好ましく、10モル%〜55モル%がより好ましく、15モル%〜35モル%がさらに好ましい。繰り返し単位(III)の含有割合を上記範囲とすることで、[A2]重合体の耐熱性及びPGMEA等への溶媒溶解性をさらに高めることができ、その結果、当該膜形成用組成物の塗布性及び得られる膜の耐熱性をさらに向上させることができる。
【0122】
[その他の繰り返し単位]
[A2]重合体は、上記繰り返し単位(I)〜(III)以外のその他の繰り返し単位を有していてもよい。その他の繰り返し単位としては、例えば、下記式(5−1)〜(5−6)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(IV−1)〜(IV−6)」ともいう)等が挙げられる。
【0124】
上記式(5−3)中、s1及びs2は、それぞれ独立して、0〜2の整数である。
【0125】
これらの中で、その他の繰り返し単位としては、繰り返し単位(IV−1)〜(IV−4)が好ましい。
【0126】
[A2]重合体は、その他の繰り返し単位として、上記繰り返し単位(IV−1)〜(IV−6)以外の繰り返し単位を有していてもよい。この繰り返し単位としては、芳香環を含まないものであってもよく、またエーテル基を含まないものであってもよい。
【0127】
その他の繰り返し単位の含有割合としては、[A2]重合体を構成する全繰り返し単位に対して、60モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。
【0128】
[A2]重合体の含有量としては、当該膜形成用組成物の全固形分に対して、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。
【0129】
<[A2]重合体の合成方法>
[A2]重合体は、例えば、上記式(1)におけるk1及びk2が共に1であるとき、分子間結合形成基(a)を上記繰り返し単位(II)に含む場合、下記式(1−m)で表されるポリオール化合物(以下、「ポリオール(1−m)」ともいう)を含むポリオール成分(A)と、分子間結合形成基(a)を有する芳香族ジハロゲン化物を含むジハロ成分(B)とを、有機溶媒中、アルカリ金属又はアルカリ金属化合物の存在下で反応させることにより合成することができる。上記反応方法以外でも、ポリオール成分(A)とアルカリ金属又はアルカリ金属化合物とを有機溶媒中で反応させて、ポリオール成分(A)のアルカリ金属塩を得た後、得られた金属塩とジハロ成分(B)とを反応させてもよい。また、ジハロ成分(B)の代わりに、分子間結合形成基(a)に変換可能な基を有する芳香族ジハロゲン化物を含む成分を使用し、ポリオール成分(A)と反応後に、分子間結合形成基(a)に変換可能な基を分子間結合形成基(a)に変換してもよい。ポリオール成分(A)としては、上記ポリオール(1−m)以外にも、必要に応じて、例えば、下記式(4−m)で表されるジオール化合物、その他のジオール化合物等を含んでいてもよい。ジハロ成分(B)としては、例えば、下記式(3−m)で表される化合物等が挙げられる。
【0131】
上記式(1−m)中、X
1、X
2、R
1、R
2、a1、a2、n1、n2、k1及びk2は、上記式(1)と同義である。
上記式(3−m)中、R
3は上記分子間結合形成基(a)を表し、bは1〜8の整数である。mは0〜2の整数である。Yは、ハロゲン原子である。
上記式(4−m)中、R
B1〜R
B4、t1〜t4並びにi1及びi2は上記式(4)と同義である。
【0132】
上記Y’で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。これらの中で、フッ素原子、塩素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
【0133】
上記アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
【0134】
上記アルカリ金属化合物としては、例えば、
炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;
炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;
水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物などが挙げられる。
これらの中で、アルカリ金属炭酸塩が好ましく、炭酸カリウムがより好ましい。これらのアルカリ金属及びアルカリ金属化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0135】
上記ジハロ成分(B)の芳香族ジハロゲン化物の芳香環に電子求引基が結合している(例えば、上記式(3−m)におけるR
3が電子求引基である)場合には、成分(A)と成分(B)との反応を促進することができ好ましい。この電子求引基としては、例えば、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0136】
上記アルカリ金属又はアルカリ金属化合物の量としては、ジオール成分(A)が有する−OH基に対し、1倍当量〜3倍当量が好ましく、1倍当量〜2倍当量がより好ましく、1倍当量〜1.5倍当量がさらに好ましい。
【0137】
反応に使用する有機溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)、トリアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)等が挙げられる。これらの溶媒の中で、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシド等の誘電率の高い極性有機溶媒が好ましい。上記有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0138】
反応の際には、さらにベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等の水と共沸する溶媒を用いることもできる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0139】
k1+k2が3以上の場合、ポリオール成分(A)の使用量としては、ポリオール成分(A)とジハロ成分(B)との合計100モル%に対して、45モル%以上70モル%以下が好ましく、48モル%以上65モル%以下がより好ましく、53モル%以上65モル%未満がさらに好ましい。ジハロ成分(B)の使用量としては30モル%以上55モル%以下が好ましく、35モル%以上52モル%以下がより好ましく、35モル%を超えて47モル%以下がさらに好ましい。また、k1及びk2が1の場合、ポリオール(A)の使用量としては、ポリオール成分(A)とジハロ成分(B)との合計100モル%に対して、45モル%以上75モル%以下が好ましく、48モル%以上70モル%以下がより好ましく、60モル%以上70モル%未満がさらに好ましい。ジハロ成分(B)の使用量としては25モル%以上55モル%以下が好ましく、30モル%以上52モル%以下がより好ましく、30モル%を超えて40モル%以下がさらに好ましい。
【0140】
反応温度としては、60℃〜250℃が好ましく、80℃〜200℃がより好ましい。反応時間としては、15分〜100時間が好ましく、1時間〜24時間がより好ましい。
【0141】
合成した重合体は、反応液から再沈殿法等により回収し精製することができる。再沈殿に用いる溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒等が挙げられ、これらの中でも、メタノールが好ましい。
【0142】
[A2]重合体の重量平均分子量(Mw)の下限としては、600が好ましく、1,500がより好ましく、2,500がさらに好ましく、3,000が特に好ましい。[A2]重合体のMwの上限としては、100,000が好ましく、50,000がより好ましく、15,000がさらに好ましく、6,000が特に好ましい。[A2]重合体のMwを上記下限と上記上限との間とすることで、膜の耐熱性をより高めることができる。
【0143】
[A2]重合体の重量平均分子量の数平均分子量に対する比(Mw/Mn)としては、1以上5以下が好ましく、1以上3以下がより好ましく、1以上2.5以下がさらに好ましい。[A2]重合体のMw/Mw比を上記範囲とすることで、膜の平坦性をより高めることができる。
【0144】
[A2]重合体としては、上記ポリオール成分(A)として2種以上のポリオール化合物を用いて得られるものが好ましい。このようにして得られる[A2]重合体は、主鎖の直線性が低下しており、その結果、PGMEA等への溶媒溶解性をより高めることができる。上記2種以上のポリオール化合物としては、繰り返し単位(I)を与える化合物と繰り返し単位(I)以外の繰り返し単位を与える化合物との組合せが好ましい。このようにすることで、[A2]重合体の主鎖の直線性をより低下させることができる。用いるポリオール化合物が2種の場合、繰り返し単位(I)を与える化合物と繰り返し単位(III)を与える化合物との組合せが好ましい。
【0145】
また、このような[A2]重合体においては、2種以上のポリオール化合物に由来する繰り返し単位がランダムに配置されていることが好ましい。すなわち、[A2]重合体を合成する重合反応がランダム共重合であることが好ましい。[A2]重合体は、2種の繰り返し単位をランダム配置とすることで、主鎖の直線性がさらに低下し、その結果、PGMEA等への溶媒溶解性をさらに高めることができる。
【0146】
<[B]溶媒>
当該膜形成用組成物は、[B]溶媒を含有する。[B]溶媒としては、[A]化合物及び必要に応じて含有する任意成分を溶解又は分散することができれば特に限定されない。
【0147】
[B]溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒等が挙げられる。[B]溶媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0148】
上記アルコール系溶媒としては、例えば、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール等の多価アルコール系溶媒などが挙げられる。
【0149】
上記ケトン系溶媒としては、例えば、
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の脂肪族ケトン系溶媒;
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒;
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、メチルn−アミルケトンなどが挙げられる。
【0150】
上記アミド系溶媒としては、例えば、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン等の環状アミド系溶媒;
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
【0151】
上記エーテル系溶媒としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ジイソアミルエーテル等のジ脂肪族エーテル系溶媒;
アニソール、フェニルエチルエーテル等の脂肪族−芳香族エーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル系溶媒などが挙げられる。
【0152】
上記エステル系溶媒としては、例えば、
乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のカルボン酸エステル系溶媒;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル系溶媒などが挙げられる。
【0153】
これらの中で、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒が好ましく、エーテル系溶媒がより好ましい。エーテル系溶媒としては、多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒、ジ脂肪族エーテル系溶媒が好ましく、多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒がより好ましく、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートがさらに好ましく、PGMEAが特に好ましい。ケトン系溶媒としては、メチルn−ペンチルケトン、環状ケトン系溶媒が好ましく、シクロヘキサノン、シクロペンタノンがより好ましく、シクロヘキサノンがさらに好ましい。エステル系溶媒としては、カルボン酸エステル系溶媒、ラクトン系溶媒が好ましく、カルボン酸エステル系溶媒がより好ましく、乳酸エチルがさらに好ましい。
【0154】
多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒、その中でもプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、特にPGMEAは、[B]溶媒に含まれることで、当該膜形成用組成物のシリコンウエハ等の基板への塗布性を向上させることができることから好ましい。当該膜形成用組成物に含有される[A]化合物はPGMEA等への溶媒溶解性が高くなっていることから、[B]溶媒に多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒を含めることで、当該膜形成用組成物は優れた塗布性を発揮させることができる。[B]溶媒中の多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒の含有率としては、20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。
【0155】
k1及びk2が1の場合、[A2]重合体のMwが、例えば2,000程度以上の場合、[A2]重合体の[B]溶媒への溶解性を高め、当該膜形成用組成物の塗布性等を向上させる観点から、[B]溶媒は、多価アルコール部分エーテルアセテート溶媒と、ケトン系溶媒及び/又はエステル系溶媒とを含む混合溶媒とすることが好ましい。この場合、[B]溶媒中のケトン系溶媒及びエステル系溶媒の含有率の合計としては、20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
【0156】
<[C]酸発生剤>
[C]酸発生剤は、熱や光の作用により酸を発生し、[A]化合物の架橋を促進する成分である。当該膜形成用組成物が[C]酸発生剤を含有することで[A]化合物の架橋反応が促進され、形成される膜の硬度をより高めることができる。[C]酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0157】
[C]酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物等が挙げられる。
【0158】
上記オニウム塩化合物としては、例えば、スルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。
【0159】
スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0160】
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0161】
ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0162】
N−スルホニルオキシイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0163】
これらの中で、[C]酸発生剤としては、オニウム塩化合物が好ましく、ヨードニウム塩がより好ましく、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートがさらに好ましい。
【0164】
[C]酸発生剤の含有量としては、[A]化合物100質量部に対して、0質量部〜20質量部が好ましく、1質量部〜15質量部がより好ましく、3質量部〜10質量部がさらに好ましい。[C]酸発生剤の含有量を上記範囲とすることで、[A]化合物の架橋反応をより効果的に促進させることができる。
【0165】
<[D]架橋剤>
[D]架橋剤は、熱や酸の作用により、当該膜形成用組成物中の[A]化合物等の成分同士の架橋結合を形成する成分である。当該膜形成用組成物が[D]架橋剤を含有することで、形成される膜の硬度を高めることができる。[D]架橋剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0166】
上記[D]架橋剤としては、例えば、多官能(メタ)アクリレート化合物、エポキシ化合物、ヒドロキシメチル基置換フェノール化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物、アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物、下記式(6−P)で表されるアセナフチレンとヒドロキシメチルアセナフチレンとのランダム共重合体、下記式(6−1)〜(6−12)で表される化合物等が挙げられる。
【0167】
上記多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0168】
上記エポキシ化合物としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0169】
上記ヒドロキシメチル基置換フェノール化合物としては、例えば、2−ヒドロキシメチル−4,6−ジメチルフェノール、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、3,5−ジヒドロキシメチル−4−メトキシトルエン[2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール]等が挙げられる。
【0170】
上記アルコキシアルキル基含有フェノール化合物としては、例えば、メトキシメチル基含有フェノール化合物、エトキシメチル基含有フェノール化合物等が挙げられる。
【0171】
上記アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物としては、例えば、(ポリ)メチロール化メラミン、(ポリ)メチロール化グリコールウリル、(ポリ)メチロール化ベンゾグアナミン、(ポリ)メチロール化ウレア等の一分子内に複数個の活性メチロール基を有する含窒素化合物であって、そのメチロール基の水酸基の水素原子の少なくとも一つが、メチル基やブチル基等のアルキル基によって置換された化合物等が挙げられる。なお、アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物は、複数の置換化合物を混合した混合物でもよく、一部自己縮合してなるオリゴマー成分を含むものであってもよい。
【0174】
上記式(6−6)、(6−8)、(6−11)及び(6−12)中、Acは、アセチル基を示す。
【0175】
なお、上記式(6−1)〜(6−12)で表される化合物は、それぞれ、以下の文献を参考に合成することができる。
式(6−1)で表される化合物:
Guo,Qun−Sheng;Lu,Yong−Na;Liu,Bing;Xiao,Jian;Li,Jin−Shan Journal of Organometallic Chemistry,2006,vol.691,#6 p.1282−1287
式(6−2)で表される化合物:
Badar,Y.et al. Journal of the Chemical Society,1965,p.1412−1418
式(6−3)で表される化合物:
Hsieh,Jen−Chieh;Cheng,Chien−Hong Chemical Communications(Cambridge,United Kingdom),2008,#26 p.2992−2994
式(6−4)で表される化合物:
特開平5−238990号公報
式(6−5)で表される化合物:
Bacon,R.G.R.;Bankhead,R. Journal of the Chemical Society,1963,p.839−845
式(6−6)、(6−8)、(6−11)及び(6−12)で表される化合物:
Macromolecules 2010,vol43,p2832−2839
式(6−7)、(6−9)及び(6−10)で表される化合物:
Polymer Journal 2008,vol.40,No.7,p645−650、及びJournal of Polymer Science:Part A,Polymer Chemistry,Vol 46,p4949−4968
【0176】
これらの[D]架橋剤の中で、メトキシメチル基含有フェノール化合物、アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物、アセナフチレンとヒドロキシメチルアセナフチレンとのランダム共重合体が好ましく、アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物がより好ましく、1,3,4,6−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリルがさらに好ましい。
【0177】
[D]架橋剤の含有量としては、[A]化合物100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、0.5質量部〜50質量部がより好ましく、1質量部〜30質量部がさらに好ましく、3質量部〜20質量部以下が特に好ましい。[D]架橋剤の含有量を上記範囲とすることで、[A]化合物の架橋反応をより効果的に起こさせることができる。
【0178】
<その他の任意成分>
上記その他の任意成分としては、例えば、他の樹脂、界面活性剤、密着助剤等が挙げられる。
【0179】
[他の樹脂]
当該膜形成用組成物は、他の樹脂を含有していてもよい。
上記他の樹脂としては、例えば、ナフトールノボラック樹脂、炭素−炭素三重結合含有ナフトールノボラック樹脂、アセナフチレン樹脂、ビニルナフタレン樹脂等が挙げられる。
【0180】
上記ナフトールノボラック樹脂としては、例えば、下記式で表される構造単位を有する樹脂等が挙げられる。
【0181】
下記式(7−1)で表される繰り返し単位を必須の構成単位として有し、
下記式(7−2)で表される繰り返し単位、下記式(7−3)で表される繰り返し単位、及び下記式(7−4)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位を更に有する樹脂
【0183】
上記式(7−1)中、R
21は、水酸基又は水素を示し、g1は、0〜6の整数を示す。但し、g1=2〜6である場合には、複数のR
21は同一であっても異なっていてもよい。Q
1は、炭素数1〜20の置換可能なアルキレン基、又は炭素数6〜14の置換可能なアリーレン基を示し、f1は、1〜8の整数を示す。但し、f1=2〜8である場合には、複数のXは同一であっても異なっていてもよい。g1+f1は、1〜8の整数である。
【0185】
上記式(7−2)中、R
22は、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、炭素数1〜6の置換可能なアルケニル基、炭素数1〜6の置換可能なアルコキシ基、炭素数2〜10の置換可能なアルコキシカルボニル基、炭素数6〜14の置換可能なアリール基、又はグリシジルエーテル基を示し、g2は、0〜6の整数を示す。但し、g2=2〜6である場合には、複数のR
22は同一であっても異なっていてもよい。Q
2は、炭素数1〜20の置換可能なアルキレン基、又は炭素数6〜14の置換可能なアリーレン基を示し、f2は1〜8の整数を示す。但し、f2=2〜8である場合には、複数のYは同一であっても異なっていてもよい。g2+f2は、1〜8の整数である。
【0187】
上記式(7−3)中、Q
3は、炭素数1〜20の置換可能なアルキレン基、又は炭素数6〜14の置換可能なアリーレン基を示し、f3は、1〜8の整数を示す。但し、f3=2〜8である場合には、複数のQ
3は同一であっても異なっていてもよい。hは0〜2の整数を示し、f3+hは、1〜8の整数である。
【0189】
上記式(7−4)中、Aは、単結合又は二重結合を示し、Q
4は、炭素数1〜20の置換可能なアルキレン基、又は炭素数6〜14の置換可能なアリーレン基を示し、f4は、1〜6の整数を示す。
【0190】
また、ナフトールノボラック樹脂としては、例えば、下記式(8)で表される構造単位を有する樹脂等も挙げられる。
【0192】
上記式(8)中、R
23は水酸基、炭素数1〜6の置換可能なアルキル基、炭素数1〜6の置換可能なアルコキシ基、炭素数2〜10の置換可能なアルコキシカルボニル基、炭素数6〜14の置換可能なアリール基、又は炭素数2〜6の置換可能なグリシジルエーテル基を示す。g3は0〜6の整数である。ただし、g3が2〜6のときには複数のR
23は同一でも異なっていてもよい。Q
5は、メチレン基、炭素数2〜20の置換可能なアルキレン基、炭素数6〜14の置換可能なアリーレン基、又はアルキレンエーテル基を示す。f5は1〜8の整数である。f5が2〜8のときは複数のQ
5は同一でも異なっていてもよい。また、g3+f5は1〜8の整数である。
【0193】
上記炭素−炭素三重結合含有ナフトールノボラック樹脂としては、例えば、下記式(9)で表される構造単位を有する樹脂等が挙げられる。
【0195】
上記一般式(9)において、kは0又は1を示す。R
24は、置換されてもよいメチレン基、炭素数2〜20の置換されてもよいアルキレン基、又は炭素数6〜20の置換されてもよいアリーレン基を示す。R
25は、水素原子、炭素数1〜20の置換されてもよいアルキル基、又は炭素数6〜20の置換されてもよいアリール基を示す。R
26〜R
30は、水酸基、炭素数1〜6の置換されてもよいアルキル基、炭素数1〜6の置換されてもよいアルコキシ基、炭素数2〜10の置換されてもよいアルコキシカルボニル基、炭素数6〜14の置換されてもよいアリール基、又は炭素数2〜6の置換されてもよいグリシジルエーテル基を示す。R
31は、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキルエーテル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示す。
【0196】
上記アセナフチレン樹脂としては、例えば、下記式(10)で表される構造単位を有する樹脂等が挙げられる。
【0198】
上記式(10)において、R
32は水素原子又は1価の有機基を示し、R
33及びR
34は相互に独立に1価の原子又は1価の有機基を示す。
【0199】
上記ビニルナフタレン樹脂としては、例えば、下記式(11−1)及び式(11−2)で表される構造単位を有し、かつ置換基を有していてもよいアセナフチレンに由来する構造単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位等をさらに有していてもよい樹脂等が挙げられる。
【0201】
上記式(11−1)及び式(11−2)において、R
35及びR
37は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。R
36及びR
38は、それぞれ独立して、アルキル基を表す。q1及びq2は、それぞれ独立して、0〜7の整数である。
【0202】
他の樹脂は、これらの構造単位を1種又は2種以上組み合せて有することができる。
【0203】
他の樹脂の含有量の下限としては、[A]化合物100質量部に対して、1質量部が好ましく、5質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、500質量部が好ましく、200質量部がより好ましく、100質量部がさらに好ましい。上記他の樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0204】
[界面活性剤]
当該膜形成用組成物は、界面活性剤を含有することで塗布性を向上させることができ、その結果、形成される膜の塗布面均一性が向上し、かつ塗布斑の発生を抑制することができる。界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0205】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン−n−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−n−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。また、市販品としては、KP341(信越化学工業社)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社油脂化学工業社)、エフトップEF101、同EF204、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社)、メガファックF171、同F172、同F173(以上、大日本インキ化学工業社)、フロラードFC430、同FC431、同FC135、同FC93(以上、住友スリーエム社)、アサヒガードAG710、サーフロンS382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(以上、旭硝子社)等が挙げられる。
【0206】
界面活性剤の含有量としては、[A]化合物100質量部に対して、0質量部〜10質量部が好ましく、0.001質量部〜5質量部がより好ましく、0.005質量部〜1質量部以下がさらに好ましい。界面活性剤の含有量を上記範囲とすることで、当該膜形成用組成物の塗布性をより向上させることができる。
【0207】
[密着助剤]
密着助剤は、下地との密着性を向上させる成分である。当該膜形成用組成物が密着助剤を含有することで、形成される膜と、下地としての基板等との密着性を向上させることができる。密着助剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0208】
密着助剤としては、例えば、公知の密着助剤を用いることができる。
【0209】
密着助剤の含有量としては、[A]化合物100質量部に対して、0質量部〜10質量部が好ましく、0.01質量部〜10質量部がより好ましく、0.01質量部〜5質量部がさらに好ましい。
【0210】
<膜形成用組成物の調製方法>
当該膜形成用組成物は、[A]化合物、[B]溶媒、必要に応じて、[C]酸発生剤、[D]架橋剤及びその他の任意成分を所定の割合で混合することにより調製できる。組成物の固形分濃度としては0.1質量%〜50質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、3質量%〜20質量%がさらに好ましく、5質量%〜15質量%が特に好ましい。
【0211】
当該膜形成用組成物は、上述したように、耐熱性及び平坦性に優れた膜を形成でき、膜形成用として好適である。当該膜形成用組成物は、膜形成用の中でも、これらの特性が高いレベルで求められる多層レジストプロセス等において、レジスト下層膜形成用として、特に好適に用いることができる。
【0212】
<パターンが形成された基板の製造方法>
本発明のパターンが形成された基板の製造方法は、
レジスト下層膜形成工程、レジストパターン形成工程、及び基板パターン形成工程を備える。上記レジスト下層膜を当該膜形成用組成物により形成する。
当該パターンが形成された基板の製造方法によれば、耐熱性及び平坦性に優れるレジスト下層膜を容易に形成することができ、この優れた特性を有するレジスト下層膜を用いて良好なパターンを形成することができる。
【0213】
[レジスト下層膜形成工程]
本工程では、当該膜形成用組成物により基板の上面側にレジスト下層膜を形成する。このレジスト下層膜の形成は、通常、当該膜形成用組成物の基板の上面側へ塗布して塗膜を形成し、この塗膜を加熱することにより行われる。
【0214】
上記基板としては、例えば、シリコンウエハ、アルミニウムで被覆したウエハ等が挙げられる。また、基板への当該膜形成用組成物の塗布方法は特に限定されず、例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の方法で実施することができる。
【0215】
上記塗膜の加熱は、通常、大気下で行われる。加熱温度としては、通常、150℃〜500℃であり、好ましくは200℃〜450℃である。加熱温度が150℃未満である場合、酸化架橋が十分に進行せず、レジスト下層膜として必要な特性が発現しないおそれがある。加熱時間は、通常30秒〜1,200秒であり、好ましくは60秒〜600秒である。
【0216】
加熱時の酸素濃度は5容量%以上であることが好ましい。加熱時の酸素濃度が低い場合、レジスト下層膜の酸化架橋が十分に進行せず、レジスト下層膜として必要な特性が発現できないおそれがある。
【0217】
上記塗膜を150℃〜500℃の温度で加熱する前に、60℃〜250℃の温度で予備加熱しておいてもよい。予備加熱における加熱時間は特に限定されないが、10秒〜300秒が好ましく、30秒〜180秒がより好ましい。この予備加熱を行うことにより、溶媒を予め気化させて膜を緻密にしておくことで、脱水素反応を効率良く進めることができる。
【0218】
なお、当該レジスト下層膜形成方法においては、通常、上記塗膜を加熱してレジスト下層膜を形成するが、当該レジスト下層膜形成用組成物が光酸発生剤を含有する場合にあっては、露光と加熱とを組み合わせることにより塗膜を硬化させてレジスト下層膜を形成することもできる。この露光に用いられる放射線としては、光酸発生剤の種類に応じ、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等から適宜選択される。
【0219】
形成されるレジスト下層膜の膜厚としては、0.05μm〜5μmが好ましく、0.1μm〜3μmがより好ましい。
【0220】
上記レジスト下層膜形成工程の後に、必要に応じて、上記レジスト下層膜上に中間層(中間膜)を形成する工程をさらに有していてもよい。この中間層は、レジストパターン形成において、レジスト下層膜及び/又はレジスト膜が有する機能をさらに補ったり、これらが有していない機能を与えたりするために上記機能が付与された層のことである。例えば、反射防止膜を中間層として形成した場合、レジスト下層膜の反射防止機能をさらに補うことができる。
【0221】
この中間層は、有機化合物や無機酸化物により形成することができる。上記有機化合物としては、市販品として、例えば、「DUV−42」、「DUV−44」、「ARC−28」、「ARC−29」(以上、Brewer Science社);「AR−3」、「AR−19」(以上、ローム アンド ハース社)等が挙げられる。上記無機酸化物としては、市販品として、例えば、「NFC SOG01」、「NFC SOG04」、「NFC SOG080」(以上、JSR社)等が挙げられる。また、CVD法により形成されるポリシロキサン、酸化チタン、酸化アルミナ、酸化タングステン等を用いることができる。
【0222】
中間層の形成方法は特に限定されないが、例えば、塗布法やCVD法等を用いることができる。これらの中でも、塗布法が好ましい。塗布法を用いた場合、レジスト下層膜を形成後、中間層を連続して形成することができる。また、中間層の膜厚としては特に限定されず、中間層に求められる機能に応じて適宜選択されるが、10nm〜3,000nmが好ましく、20nm〜300nmがより好ましい。
【0223】
[レジストパターン形成工程]
本工程では、上記レジスト下層膜の上方にレジストパターンを形成する。この工程を行う方法としては、例えば、レジスト組成物を用いる方法等が挙げられる。
【0224】
上記レジスト組成物を用いる方法では、具体的には、得られるレジスト膜が所定の膜厚となるようにレジスト組成物を塗布した後、プレベークすることによって塗膜中の溶媒を揮発させることにより、レジスト膜を形成する。
【0225】
上記レジスト組成物としては、例えば、光酸発生剤を含有するポジ型又はネガ型の化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド系感光剤とからなるポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤とからなるネガ型レジスト組成物等が挙げられる。
【0226】
上記レジスト組成物の全固形分濃度としては、通常1質量%〜50質量%である。また、上記レジスト組成物は、一般に、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過して、レジスト膜の形成に供される。なお、この工程では、市販のレジスト組成物をそのまま使用することもできる。
【0227】
レジスト組成物の塗布方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート法等が挙げられる。また、プレベークの温度としては、使用されるレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、通常30℃〜200℃であり、50℃〜150℃が好ましい。
【0228】
次に、選択的な放射線照射により上記形成されたレジスト膜を露光する。露光に用いられる放射線としては、レジスト組成物に使用される光酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等から適切に選択される。これらの中で、遠紫外線が好ましく、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、F
2エキシマレーザー光(波長157nm)、Kr
2エキシマレーザー光(波長147nm)、ArKrエキシマレーザー光(波長134nm)、極紫外線(波長13nm等)等がより好ましい。
【0229】
上記露光後、解像度、パターンプロファイル、現像性等を向上させるためポストベークを行うことができる。このポストベークの温度は、使用されるレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、通常50℃〜200℃であり、70℃〜150℃が好ましい。
【0230】
次に、上記露光されたレジスト膜を現像液で現像してレジストパターンを形成する。上記現像液は、使用されるレジスト組成物の種類に応じて適宜選択される。現像液としては、アルカリ現像の場合、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性水溶液が挙げられる。これらのアルカリ性水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類などの水溶性有機溶媒、界面活性剤等を適量添加することもできる。また、有機溶媒現像の場合、現像液としては、例えば、上述の[B]溶媒として例示した種々の有機溶媒等が挙げられる。
【0231】
上記現像液での現像後、洗浄し、乾燥することによって、所定のレジストパターンが形成される。
【0232】
上記レジストパターン形成工程を行う方法として、上述のレジスト組成物を用いる方法以外にも、ナノインプリント法を用いる方法、自己組織化組成物を用いる方法等も用いることができる。
【0233】
[基板パターン形成工程]
本工程では、レジストパターンをマスクとして、少なくとも上記レジスト下層膜及び基板をエッチングし、基板にパターンを形成する。上記中間層を有さない場合はレジスト下層膜、基板の順に順次エッチングし、上記中間層を有する場合は中間層、レジスト下層膜、基板の順に順次エッチングを行う。このエッチングの方法としては、ドライエッチング、ウエットエッチング等が挙げられる。これらの中で、ドライエッチングが好ましい。このドライエッチングには、例えば、酸素プラズマ等のガスプラズマ等が用いられる。上記エッチングの後、所定のパターンを有する基板が得られる。
【0234】
<膜>
本発明の膜は、当該膜形成用組成物から形成される。当該膜は、上述の当該膜形成用組成物から形成されるので、エッチング耐性等の一般特性を維持しつつ耐熱性及び平坦性に優れる膜を形成することができる。当該膜は、上記特性を有しているので、レジスト下層膜等として好適に用いることができる。
【0235】
<化合物>
本発明の化合物は、部分構造(I)を有し、かつ分子間結合形成基を有する。
当該化合物は、上述の当該膜形成用組成物の成分として好適に用いることができ、この膜形成用組成物によれば、エッチング耐性等の一般特性を維持しつつ耐熱性及び平坦性に優れる膜を形成することができる。当該化合物は、上述の当該膜形成用組成物が含有する[A]化合物であり、上記説明している。
【実施例】
【0236】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。各物性値は下記方法により測定した。
【0237】
[Mw及びMn]
重合体のMw及びMnは、東ソー社のGPCカラム(「G2000HXL」2本、及び「G3000HXL」1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ(検出器:示差屈折計)により測定した。
【0238】
[膜厚]
膜厚は、分光エリプソメータ(J.A.WOOLLAM社の「M2000D」)を用いて測定した。
【0239】
<[A]化合物の合成>
[[A1]化合物の合成]
[実施例1](化合物(A1−1)の合成)
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、下記化合物(M−1)15質量部及び化合物(M−2)17質量部、塩基性化合物としての水素化ナトリウム2質量部並びに溶媒としてのTHF50質量部を仕込み、攪拌しつつ0℃で3時間反応を行い反応液を得た。この反応液を、メタノールと水との混合液に加えて再沈殿を行い、得られた沈殿物を乾燥させ、下記化合物(M−4)を得た。次に、この得られた化合物(M−4)、下記化合物(M−3)17質量部、塩基性化合物としての炭酸カリウム17質量部及び溶媒としてのジメチルアセトアミド80質量部を混合し、攪拌しつつ140℃で4時間縮合反応を行い反応液を得た。この反応液をろ過後、メタノールを加えて再沈殿を行い、得られた沈殿物を乾燥させて下記化合物(M−5)を得た。次いで、この得られた化合物(M−5)、臭化プロパルギル33質量部、塩基性化合物としての炭酸カリウム19質量部及び溶媒としてのジメチルアセトアミド80質量部を混合し、攪拌しつつ、60℃で4時間反応を行い反応液を得た。この反応液をろ過後、メタノールを加えて再沈殿を行い、得られた沈殿物を乾燥させて下記化合物(A1−1)60質量部を得た。
【0240】
【化36】
【0241】
[実施例2〜4](化合物(A1−2)〜(A1−4)の合成)
実施例1において、原料を変更した以外は、実施例1と同じ反応スキームに従い、下記化合物(A1−2)〜(A1−4)を合成した。
【0242】
【化37】
【0243】
[実施例5](化合物(A1−5)の合成)
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、下記化合物(M−6)15質量部及び化合物(M−7)17質量部、塩基性化合物としての水素化ナトリウム2質量部並びに溶媒としてのTHF50質量部を仕込み、攪拌しつつ0℃で3時間反応を行い反応液を得た。この反応液に、メタノールと水との混合液を加えて再沈殿を行い、得られた沈殿物を乾燥させ下記化合物(M−9)を得た。この得られた化合物(M−9)、下記化合物(M−8)17質量部、塩基性化合物としての炭酸カリウム17質量部及び溶媒としてのジメチルアセトアミド80質量部を混合し、攪拌しつつ140℃で4時間縮合反応を行い反応液を得た。この反応液をろ過後、メタノールを加えて再沈殿を行い、得られた沈殿物を乾燥させて下記化合物(A1−5)60質量部を得た。
【0244】
【化38】
【0245】
[実施例6〜8](化合物(A1−6)〜(A1−8)の合成)
実施例5において、原料を変更した以外は、実施例と同じ反応スキームに従い、下記化合物(A1−6)〜(A1−8)を合成した。
【0246】
【化39】
【0247】
[実施例9](化合物(A1−9)の合成)
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、下記化合物(M−10)15質量部及び化合物(M−11)17質量部、塩基性化合物としての水素化ナトリウム2質量部並びに溶媒としてのTHF50質量部を仕込み、攪拌しつつ0℃で3時間反応を行い反応液を得た。この反応液にメタノールと水との混合液を加えて再沈殿を行い、得られた沈殿物を乾燥させ下記化合物(M−13)を得た。この得られた化合物(M−13)、下記化合物(M−12)17質量部、塩基性化合物としての炭酸カリウム17質量部及び溶媒としてのジメチルアセトアミド80質量部を混合し、攪拌しつつ140℃で4時間縮合反応を行い反応液を得た。この反応液をろ過後、メタノールを加えて再沈殿を行い、得られた沈殿物を乾燥させて下記化合物(A1−9)60質量部を得た。
【0248】
【化40】
【0249】
[実施例10〜13](化合物(A1−10)〜(A1−13)の合成)
実施例9において、原料を変更した以外は、実施例9と同じ反応スキームに従い、下記化合物(A1−10)〜(A1−13)を合成した。
【0250】
【化41】
【0251】
[実施例14](化合物(A1−14)の合成)
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、上記合成した化合物(A1−9)10質量部、メチルマグネシウムブロミドのTHF溶液(濃度1M)37質量部及び溶媒としてのTHF40質量部を仕込みし、攪拌しつつ65℃で3時間反応を行い反応液を得た。この反応液にメタノールを加えて再沈殿を行い、得られた沈殿物を乾燥させて下記化合物(A1−14)を得た。
【0252】
【化42】
【0253】
[実施例15〜20](化合物(A1−15)〜(A1−20)の合成)
実施例14において、原料を変更した以外は、実施例14と同じ反応スキームに従い、下記化合物(A1−15)〜(A1−20)を合成した。
【0254】
【化43】
【0255】
[実施例21](化合物(A1−21)の合成)
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、下記化合物(M−14)15質量部、臭化プロパルギル16質量部、塩基性化合物としての炭酸カリウム11質量部及び溶媒としてのジメチルアセトアミド80質量部を仕込み、攪拌しつつ30℃で4時間反応を行い反応液を得た。この反応液にメタノールと水との混合液を加えて再沈殿を行い、得られた沈殿物を乾燥させ下記化合物(M−15)を得た。この得られた化合物(M−15)、下記化合物(M−16)19質量部、塩基性化合物としての炭酸カリウム11質量部及び溶媒としてのジメチルアセトアミド80質量部を混合し、攪拌しつつ120℃で4時間縮合反応を行い反応液を得た。この反応液をろ過後、メタノールを加えて再沈殿を行い、得られた沈殿物を乾燥させて下記化合物(M−17)を得た。この得られた化合物(M−17)、下記化合物(M−18)10質量部、塩基性化合物としての炭酸カリウム11質量部及び溶媒としてのジメチルアセトアミド80質量部を混合し、攪拌しつつ140℃で4時間縮合反応を行い反応液を得た。この反応液をろ過後、メタノールを加えて再沈殿を行い、得られた沈殿物を乾燥させて下記化合物(A1−21)30質量部を得た。
【0256】
【化44】
【0257】
[実施例22](化合物(A1−22)の合成)
実施例21において、原料を変更した以外は、実施例21と同じ反応スキームに従い、下記化合物(A1−22)を合成した。
【0258】
【化45】
【0259】
[[A2]重合体の合成]
[実施例23](重合体(A2−1)の合成)
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、下記化合物(M−19)15質量部及び下記化合物(M−20)8質量部、塩基性化合物としての炭酸カリウム4質量部並びに溶媒としてのジメチルアセトアミド80質量部を仕込み、攪拌しつつ140℃で4時間縮合反応を行い反応液を得た。この反応液をろ過後、メタノールを加えて再沈殿を行い、得られた沈殿物を乾燥させて下記式(M−21)で表される構造単位を有する重合体を得た。この得られた重合体、メチルマグネシウムブロミドのTHF溶液(濃度1M)35質量部並びに溶媒としてのTHF40質量部を混合し、攪拌しつつ65℃で3時間反応を行い反応液を得た。この反応液にメタノールを加えて再沈殿を行い、得られた沈殿物を乾燥させて下記式(A−23)で表される構造単位を有する重合体(A2−1)を得た。重合体(A2−1)のMwは4,000であった。
【0260】
【化46】
【0261】
[合成例1](重合体(a2−1)の合成)
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、下記化合物(M−22)140質量部及び下記化合物(M−23)100質量部、塩基性化合物としての炭酸カリウム140質量部並びに溶媒としてのジメチルアセトアミド500質量部を仕込み、攪拌しつつ140℃で4時間縮合重合反応を行い反応液を得た。この反応液をろ過後、メタノールを加えて再沈殿を行い、得られた沈殿物を乾燥させて下記式(a−1)で表される構造単位を有する重合体(a2−1)を得た。重合体(a2−1)のMwは4,000であった。
【0262】
[合成例2](重合体(a2−2)の合成)
温度計を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下で、2,7−ジヒドロキシナフタレン100質量部、ホルマリン30質量部、p−トルエンスルホン酸1質量部及び溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテル150質量部を仕込み、攪拌しつつ80℃で6時間重合反応を行い反応液を得た。次いで、反応液を酢酸n−ブチル100質量部で希釈し、得られた有機層を、多量の水とメタノールとの混合液(質量比1:2)で洗浄した後、溶媒を留去して下記式(a−2)で表される構造単位を有する重合体(a2−2)を得た。重合体(a2−2)のMwは1,800であった。
【0263】
【化47】
【0264】
<膜形成用組成物の調製>
膜形成用組成物の調製に用いた[A]成分以外の各成分について以下に示す。
【0265】
[[B]溶媒]
B−1:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
B−2:シクロヘキサノン
【0266】
[[C]酸発生剤]
C−1:ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート(下記式(C−1)で表される化合物)
【0267】
【化48】
【0268】
[[D]架橋剤]
D−1:三和ケミカル社の「ニカラックN−2702」(下記式(D−1)で表される化合物)
D−2:4,4’−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシ−3,5−ビス(メトキシメチル)フェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビス(2,6−ビス(メトキシメチル)フェノール)(下記式(D−2)で表される化合物)
【0269】
【化49】
【0270】
[実施例24](膜形成用組成物(J−1)の調製)
[A]化合物としての(A1−1)10質量部及び[B]溶媒としての(B−1)100質量部を混合して溶液を得た。そして、この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過することにより膜形成用組成物(J−1)を調製した。
【0271】
[実施例25〜49並びに比較例1及び2](膜形成用組成物(J−2)〜(J−25)並びに(CJ−1)及び(CJ−2)の調製)
下記表1に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、各膜形成用組成物を調製した。なお、表1中の「−」は該号する成分を使用しなかったことを示す。
【0272】
【表1】
【0273】
<評価>
上記得られた膜形成用組成物を用い、下記項目について下記方法で評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0274】
[PGMEAへの溶解性]
上記得られた膜形成用組成物を、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)溶媒に加え、溶解性試験を行った。PGMEAへの溶解性は、溶液中に濁りや析出なく溶解していた場合は「〇」(良好)と、溶液中に濁りや析出があった場合は「×」(不良)と評価した。
【0275】
[光学特性(屈折率及び減衰係数)]
上記得られた膜形成用組成物を直径8インチのシリコンウエハ基板の表面にスピンコートした後、350℃(ただし、実施例49のみ400℃)で2分間加熱を行い、膜厚250nmのレジスト下層膜を形成した。そして、分光エリプソメータ(J.A.WOOLLAM社の「M2000D」)を用い、形成されたレジスト下層膜の波長193nmにおける屈折率及び減衰係数を測定した。レジスト下層膜の光学特性は、屈折率が1.3以上1.6以下かつ減衰係数が0.2以上0.8以下の場合は良好と評価できる。
【0276】
[エッチング耐性]
上記得られた膜形成用組成物を、直径8インチのシリコンウエハ上にスピンコートして、膜厚300nmのレジスト下層膜を形成した。次いで、このレジスト下層膜を、圧力:0.03Torr、高周波電力:3,000W、Ar/CF
4=40/100sccm、基板温度:20℃の条件でエッチング処理し、エッチング処理後のレジスト下層膜の膜厚を測定した。上記エッチング処理におけるレジスト下層膜の膜厚の減少量と処理時間との関係からエッチングレート(nm/分)を算出し、比較例2に対する比率を算出した。この値が小さいほど、エッチング耐性が良好である。
【0277】
[耐熱性]
上記得られた膜形成用組成物を、直径8インチのシリコンウエハ上にスピンコートしてレジスト下層膜を形成し、このレジスト下層膜の膜厚を上記分光エリプソメータを用いて測定した(この測定値をXとする)。次に、このレジスト下層膜を350℃(ただし、実施例49のみ400℃)で120秒間加熱し、加熱後のレジスト下層膜の膜厚を上記分光エリプソメータを用いて測定した(この測定値をYとする)。そして、加熱前後のレジスト下層膜の膜厚減少率(100×(X−Y)/X)(%)を算出し、この算出値を耐熱性とした。耐熱性の値が小さいほど、レジスト下層膜の加熱時に発生する昇華物や膜分解物が少なく、良好(高い耐熱性)であることを示す。
【0278】
[平坦性]
幅42nm、ピッチ84nm、深さ180nmのトレンチ(アスペクト比:4.3)、幅100nm、ピッチ150nm、深さ180nmのトレンチ(アスペクト比:1.8)、幅5μm、深さ180nmのトレンチ(オープンスペース)(アスペクト比:0.036)が混在するSiO
2段差基板(互いに異なるアスペクト比における最大値と最小値の比:119)上に、上記得られた膜形成用組成物をそれぞれ塗布した。その後、大気雰囲気下にて、250℃で60秒間(ただし、実施例49のみ400℃で120秒間)焼成(ベーク)して、膜厚200nmのレジスト下層膜を形成した。このレジスト下層膜の形状を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「S−4800」)にて観察し、トレンチ又はスペース上におけるレジスト下層膜の膜厚の最大値と最小値の差(ΔFT)を測定した。平坦性は、このΔFTが20nm未満の場合は「○」(良好)と、20nm以上の場合は「×」(不良)と評価した。
【0279】
【表2】
【0280】
表2から明らかなように、実施例の膜形成用組成物は、溶媒としてPGMEAを用いることができ、形成されるレジスト下層膜は、屈折率、減衰係数及びエッチング耐性についての特性を満たすと共に、比較例の膜形成用組成物から形成されるレジスト下層膜に比べ、高い耐熱性及び高い平坦性を有する。