特許第6248873号(P6248873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248873
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】端子金具
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/18 20060101AFI20171211BHJP
   H01R 4/62 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   H01R4/18 A
   H01R4/62 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-183909(P2014-183909)
(22)【出願日】2014年9月10日
(65)【公開番号】特開2016-58243(P2016-58243A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2016年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 純弥
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−25987(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/000609(WO,A1)
【文献】 特開2014−150044(JP,A)
【文献】 特開2010−40455(JP,A)
【文献】 実開昭55−141475(JP,U)
【文献】 特開2015−76329(JP,A)
【文献】 特開2015−79570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/18
H01R 4/62
H01R 43/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側の端子金具が接続可能な接続部と、
一対のカシメ片で電線の導体を包み込むようにして前記導体に圧着される導体圧着部と、
底壁および前記底壁の両側に立つ一対の側壁を有して前記接続部と前記導体圧着部とを連結する連結部と、
前記側壁のうち前記導体圧着部に近い側の部分に設けられ、前記導体圧着部が前記導体に圧着される前の状態において前記側壁の立ち上がり方向における先端が前記側壁の内側に位置するように屈曲された屈曲部と、
を備えている端子金具。
【請求項2】
前記屈曲部が、前記側壁の立ち上がり方向における先端縁に突設されている請求項1に記載の端子金具。
【請求項3】
前記導体に前記導体圧着部が圧着されることに伴って内側に倒れた一対の前記屈曲部の間に隙間が形成されている請求項1または請求項2に記載の端子金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線の端末部において露出された導体に圧着する導体圧着部を有した端子金具が知られている。例えば下記特許文献1に記載の端子金具は、導体圧着部に備えられた一対の圧着片で電線の導体を包み込むようにして導体に圧着される。導体圧着部と、相手側の端子金具と接続可能な接続部とは、連結部(文献1では底板部)によって連結されている。連結部は、底壁および底壁の両側に立つ一対の側壁を有して、所定の強度が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−26905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、銅電線に代えて、アルミニウム電線を用いる場合がある。その際、アルミニウムは、表面に形成される酸化被膜が銅に比べて形成されやすいため、端子金具との間の接触抵抗が高くなる傾向がある。そこで、アルミニウム電線の導体を導体圧着部で強く圧着されることで表面の酸化被膜を破壊し、端子金具とアルミニウム電線間の接触抵抗を低減する方法がある。この方法においては、アルミニウム電線の導体の圧縮率を、従来の銅電線の圧縮率に比して高くする必要があるため、導体圧着部の高さを低くしなければならず、連結部の側壁と導体圧着部との高低差によって側壁に亀裂が生じる虞がある。しかし、側壁を低くすると、連結部の強度を確保することが難しくなってしまう。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、側壁に亀裂が入ることを防ぐことが可能な端子金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の端子金具は、相手側の端子金具が接続可能な接続部と、一対のカシメ片で電線の導体を包み込むようにして前記導体に圧着される導体圧着部と、底壁および前記底壁の両側に立つ一対の側壁を有して前記接続部と前記導体圧着部とを連結する連結部と、前記側壁のうち前記導体圧着部に近い側の部分に設けられ、前記導体圧着部が前記導体に圧着される前の状態において前記側壁の立ち上がり方向における先端が前記側壁の内側に位置するように屈曲された屈曲部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導体圧着部の圧着作業に伴って、側壁のうち導体圧着部に近い側の部分に形成された屈曲部が倒れることで、側壁に亀裂が入ることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例における端子金具を示す一部拡大側面図
図2】端子金具を示す一部拡大平面図
図3】圧着加工前の屈曲部を示す断面図であって、図1のA−A位置における断面に相当する断面図
図4】圧着加工の様子を示す一部拡大側面図
図5】圧着加工後の導体圧着部を示す断面図であって、図4のB−B位置における断面に相当する断面図
図6】圧着加工後の連結部を示す断面図であって、図4のC−C位置における断面に相当する断面図
図7】圧着加工後の屈曲部を示す断面図であって、図4のD−D位置における断面に相当する断面図
図8】防食処理後の端子金具を示す一部拡大断面図
図9】防食処理後の屈曲部を示す断面図であって、図8のE−E位置における断面に相当する断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
本発明の端子金具は、前記屈曲部が、前記側壁の立ち上がり方向における先端縁に突設されているものとしてもよい。このような構成によれば、連結部のうち屈曲部を除く部分は、従来の形状とすることができるから、既存のコネクタハウジングを使用することができる。
【0010】
また、本発明の端子金具は、前記導体に前記導体圧着部が圧着されることに伴って内側に倒れた一対の前記屈曲部の間に隙間が形成されているものとしてもよい。このような構成によれば、一対の屈曲部の間の隙間を利用して電線の端末部に防食処理をすることができる。
【0011】
<実施例>
以下、本発明を具体化した一実施例について、図1図9を参照しつつ詳細に説明する。
本実施例における端子金具10は、電線20の端末部に圧着されるものである。ここでは、電線20が、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の複数の素線を撚り合わせてなる導体21の外周を、絶縁被覆22によって包囲したアルミ電線である場合について説明する。電線20の端末部は、図8に示すように、所定の長さにわたって絶縁被覆22が除去されて導体21が露出しており、導体21の露出部分に端子金具10が圧着されることで、電線20と端子金具10との間の電気的接続が取られる。
【0012】
端子金具10は、銅合金等の導電性の板材をプレス成形することによって形成されている。端子金具10は、図示しない相手側の端子金具と接続可能な接続部11と、電線20の端末部に圧着される圧着部12と、接続部11と圧着部12とを連結する連結部13とを備えている。
【0013】
端子金具10は、前後方向に細長く延びる底壁14を有し、その前端部に接続部11が設けられ、後端部に圧着部12が設けられ、中間部に連結部13が設けられている。なお、各構成部材において、接続部11が設けられている側(図1の左側)を前方、圧着部12が設けられている側(図2の右側)を後方として説明する。
接続部11は、底壁14の上面側に、前後方向に開口した角筒状をなして形成され、前方から図示しない雄型の相手側端子金具が挿入されて電気的な接続が図られる。
圧着部12は、電線20の導体21の露出部分に圧着される導体圧着部12Gと、絶縁被覆22の端部に圧着される被覆圧着部12Hとを備えている。
【0014】
導体圧着部12Gおよび被覆圧着部12Hは、それぞれ底壁14の左右両側縁から上方に立ち上がる一対のカシメ片15G,15Hを備え、その断面は略U字形状をなしている。導体圧着部12Gのカシメ片15Gおよび被覆圧着部12Hのカシメ片15Hの下側部分は、前後方向に連続した壁状に形成されている(図1参照)。
【0015】
導体圧着部12Gおよび被覆圧着部12Hは、それぞれ一対のカシメ片15G,15Hで、底壁14に載置された電線20の導体21および絶縁被覆22の端部をそれぞれ包み込みようにして圧着される。なお、導体圧着部12Gの底壁14には、複数の小溝からなるセレーション16が形成されている(図2参照)。
【0016】
連結部13は、図3に示すように、底壁14および底壁14の両側に立つ一対の側壁17を有して断面略U字状をなしている。一対の側壁17は、接続部11の後端および導体圧着部12Gの前端に連結されている。
【0017】
連結部13には、端子金具10が電線20に圧着される前の状態において先端が内側に屈曲された屈曲部18が設けられている。屈曲部18は、一対の側壁17の両方に設けられ、端子金具10の幅方向における中心を挟んで対称な形状とされている。屈曲部18は、側壁17に対して内側に屈曲されたテーパ形状をなしている。屈曲部18は、図3に示すように、側壁17の先端縁から45度よりも小さい角度αで内側に曲げられている。
【0018】
屈曲部18は、図1に示すように、各側壁17のうち導体圧着部12Gに近い側の部分に設けられ、各側壁17の略後半部分の先端縁に突設された突起形状をなしている。屈曲部18の突出高さは、電線20の端末部に導体圧着部12Gが圧着されることに伴って内側に倒れたときに、一対の屈曲部18の間に隙間Sが形成される寸法とされている。
【0019】
屈曲部18は、側面視台形状をなし、その前縁(外縁のうち接続部11側に位置する縁)は、前方に向かって次第に下がる傾斜をなし、後縁(外縁のうち圧着部12側に位置する縁)は、底壁14に対して略垂直に切り立っている。また、屈曲部18の先端縁(突出端縁)は、底壁14に対して略平行をなし、接続部11の上端よりも低い位置に配されている。
【0020】
連結部13のうち屈曲部18と導体圧着部12Gとの間には、弧状をなして下方に凹む凹部19が形成されている。凹部19の前後方向の寸法は、屈曲部18の前後方向の寸法よりも小さくされている。
【0021】
各側壁17のうち屈曲部18を挟んで前後に位置する部分は、高さ寸法が互いに同等とされている。そして、各側壁17のうち屈曲部18より前側の部分は、前方に向かって高さ寸法が若干増すように緩く傾斜している。
【0022】
次に、電線20の端末部に端子金具10を圧着して端子金具付き電線Wを製造する作業の一例を説明する。
まず、電線20の端末部において所定の長さ寸法だけ絶縁被覆22を除去し、導体21の端部を露出させる。
【0023】
次に、圧着機によって端子金具10と電線20とを接続するための圧着加工を施す(図4参照)。
まず、端子金具10を圧着機の所定の位置にセットする。圧着機のクリンパ30の前端が、屈曲部18の前後方向の略中間に位置するように端子金具10をセットする。
次いで、導体21を露出させた電線20の端末部を端子金具10の所定の位置に載置する。このとき、電線20の導体21の先端部が、導体圧着部12Gよりも前方に突出して屈曲部18の形成範囲に配される位置にセットする。
【0024】
次に、圧着機によりクリンパ30を所定の高さまで下降させる。ここでは、電線20の導体21を高圧縮するため、圧着後の導体圧着部12Gの高さ寸法が側壁17の高さ寸法よりも小さくなる位置までクリンパ30を下降させる。クリンパ30の下降に伴って、導体圧着部12Gのカシメ片15Gが導体21を包み込むように内側に屈曲し、カシメ片15Gのそれぞれの先端部が互いの外面を擦り合わせながら下側(底壁14側)に突出するように曲げられて導体21に食い込んだ状態になる(図5参照)。また、被覆圧着部12Hのカシメ片15Hが、絶縁被覆22を包み込むように内側に屈曲し、絶縁被覆22の端部に圧着される。
【0025】
また、クリンパ30の下降に伴って、屈曲部18の略後半部分がクリンパ30に直接押えられ、屈曲部18は、クリンパ30に直接押えられた部分に追従して全体が導体21の上側に倒れ込んでいく。これにより、導体21の先端部(導体圧着部12Gよりも前側に突出している部分)の跳ね上がりが制限される。また、屈曲部18が倒れ込むことに追従して、側壁17のうち屈曲部18と導体圧着部12Gとの間の部分の先端部が、図6に示すように、内側に倒れる。ここで、従来のように側壁が起立している場合には、側壁のうちクリンパの前端を境にして前後に位置する部分、すなわちクリンパに直接押される部分と押されない部分との間で大きな高低差ができる。この高低差は、電線の導体を高圧縮する場合に特に顕著になるため、側壁にクラックが発生する虞がある。しかしながら、本実施例の端子金具10においては、側壁17に屈曲部18が設けられていることによって側壁17が倒れるため、そのような大きな高低差が生じることが回避され、もって側壁17にクラックが発生することを防ぐことができる。
【0026】
倒れた屈曲部18は、図7に示すように、先端側が根元側(側壁17との連結側)よりも若干下側に位置する向きで傾いている。また、屈曲部18は、クリンパ30によって直接押された部位から前方に向かって次第に倒れの程度が小さくなっている。そして、内側に倒れた一対の屈曲部18の先端の間には隙間Sが形成されている。
【0027】
こうして、導体圧着部12Gが前端および後端にベルマウスが形成されていない状態で電線20の導体21に圧着されるとともに、被覆圧着部12Hが絶縁被覆22の端部に圧着されて、端子金具10が電線20の端末部に固着される。
【0028】
次に、端子金具10の圧着部に防食処理を行う。端子金具10が銅合金製であるのに対し、電線20の導体21がアルミニウム製であるから、異種金属同士の接合であり、この箇所に水分等が介在することによる腐食(電食)が発生することが懸念されるため、導体21と端子金具10との接続箇所に防食処理を行う。防食処理は、図8に示すように、導体21の露出部分の全体を防食剤40で包囲する方法とする。防食剤40は、被覆圧着部12Hの上面側から、導体21のうち絶縁被覆22と導体圧着部12Gとの間に配される部分の上面側、導体圧着部12Gの上面側、屈曲部18の上面側にわたって、導体21の露出部分を隙間なく覆うように配される。屈曲部18においては、一対の屈曲部18の間に形成された隙間Sから、防食剤40を内側(一対の側壁17および底壁14によって包囲される側)に充填するようにする。
【0029】
その後、防食剤40が、隙間なく導体21の露出部分を覆っているか否かを視認する。この際、一対の屈曲部18間に適切に防食剤40が配されているかどうかは、端子金具10を上方のみから視認することにより確認することができる。すなわち、図9に示すように、倒された屈曲部18の上面に防食剤40が配されている場合には十分に防食剤40が充填されていることがわかる。ここで、従来のように連結部の側壁が略垂直に立っている場合には、側壁間が防食剤で満たされていることを確認するためには、防食剤が側壁の内側から外側面に至るまで配されていることを確認する必要があるため、上方および両側方、すなわち三方向から視認しなければならなかった。しかしながら、本実施例の端子金具10によれば、一方向から視認するのみでよいから、防食処理の検査を容易に行うことができる。
そして、防食処理が適切に施されたことが確認されたら、端子金具付き電線Wの製造作業が完了する。
【0030】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
本実施例の端子金具10は、相手側の端子金具10と接続可能な接続部11と、一対のカシメ片15Gで電線20の導体21を包み込むようにして導体21に圧着される導体圧着部12Gと、底壁14および底壁14の両側に立つ一対の側壁17を有して接続部11と導体圧着部12Gとを連結する連結部13と、を有し、側壁17のうち導体圧着部12Gに近い側の部分に、導体圧着部12Gが導体21に圧着される前の状態において先端が内側に位置するように屈曲された屈曲部18が設けられている。
この構成によれば、導体圧着部12Gの圧着作業に伴って、側壁17のうち導体圧着部12Gに近い側の部分に形成された屈曲部18が倒れることで、側壁17に亀裂が入ることを防ぐことができる。
【0031】
また、屈曲部18が、側壁17の先端縁(側壁17の立ち上がり方向における先端であって、図1では上端)に突設されている。この構成によれば、連結部13のうち屈曲部18を除く部分は、従来の端子金具と同様の形状とすることができるから、既存のコネクタハウジングを使用することができる。
また、電線20の導体21に導体圧着部12Gが圧着されることに伴って内側に倒れた一対の屈曲部18の間に隙間Sが形成されている。この構成によれば、一対の屈曲部18の間の隙間Sを利用して電線20の端末部に防食処理をすることができる。
【0032】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、端子金具10をアルミ電線20の端末部に固着する場合について説明したが、これに限らず、例えば端子金具を銅電線の端末部に固着してもよい。
(2)上記実施例では、内側に倒れた一対の屈曲部18の間に隙間Sが形成されているが、これに限らず、一対の屈曲部の間に隙間がなくてもよい。
(3)上記実施例では、導体21の露出部分の全体を防食剤40で覆って防食処理をしているが、これに限らず、他の方法によって防食を防ぐものとしてもよい。
(4)上記実施例では、屈曲部18の屈曲程度は側壁17に対して45度より小さくされているが、これに限らず、屈曲部の屈曲程度は側壁の壁面と平行な面より内側であれば適宜設定することができる。
【符号の説明】
【0033】
S…隙間
10…端子金具
11…接続部
12G…導体圧着部
13…連結部
14…底壁
15G…カシメ片
17…側壁
18…屈曲部
20…電線
21…導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9