(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
用紙に画像を印刷する印刷部、および、前記印刷部から搬送される複数枚分の用紙からなる用紙束に対して、ステープル箇所の数および位置を定めた複数種のステープルパターンのうちユーザー指定のステープルパターンに基づきステープル処理を行う後処理部、を含むジョブ実行部と、
情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記記憶部は、前記複数種のステープルパターンごとに、ダメージ抑制処理を実行するか否かの判断基準として予め定められた用紙束の最小枚数である閾値枚数を記憶し、
前記閾値枚数は、対応するステープルパターンのステープル箇所が多いほど少なくなるよう設定され、
前記ステープル処理の対象となる対象用紙束の用紙枚数が、ユーザー指定のステープルパターンに対応する前記閾値枚数よりも少ないとき、前記ジョブ実行部は、前記ステープル処理を行わずに用紙を排出する第1処理、前記対象用紙束の用紙枚数を前記閾値枚数に達するまで増やして前記ステープル処理を行う第2処理、ユーザー指定のステープルパターンのステープル箇所よりも多くの箇所に前記ステープル処理を行う第3処理、のうち少なくとも1つの処理を前記ダメージ抑制処理として実行することを特徴とする画像形成装置。
前記受付部は、前記対象用紙束の用紙枚数が前記閾値枚数よりも少ないときに、その都度、前記ダメージ抑制処理として実行する処理の選択をユーザーから受け付けることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態による画像形成装置について、複合機を例にとって説明する。
【0012】
<複合機の全体構成>
図1に示すように、複合機100(本発明の「画像形成装置」に相当)は、画像読取部1および印刷部2を備える。
【0013】
画像読取部1は、載置読取用のコンタクトガラス1a上に載置された原稿を読み取り、原稿の画像データを生成する。なお、この画像読取部1には、搬送読取用のコンタクトガラス1b上に原稿を搬送するための原稿搬送ユニット11が装着される。そして、原稿搬送ユニット11により原稿をコンタクトガラス1b上に搬送する場合、画像読取部1は、コンタクトガラス1b上を通過する原稿を読み取り、原稿の画像データを生成する。
【0014】
印刷部2は、給紙部3、用紙搬送部4、画像形成部5および定着部6によって構成される。そして、印刷部2は、用紙Pを本体搬送路10に沿って搬送し、搬送中の用紙Pに対して画像データに基づく画像を印刷する。たとえば、印刷部2は、画像読取部1による原稿の読み取りによって得られた原稿の画像データに基づく画像を用紙Pに印刷する(コピージョブ)。あるいは、印刷部2は、後述する通信部113がユーザー端末300から受信した画像データに基づく画像を用紙Pに印刷する(プリンタージョブ)。
【0015】
給紙部3は、ピックアップローラー31および給紙ローラー対32を含み、用紙カセット33に収容された用紙Pを本体搬送路10に供給する。用紙搬送部4は、複数の搬送ローラー対41を含み、本体搬送路10に沿って用紙Pを搬送する。なお、複合機100(印刷部2)には、複数の用紙カセット33が設けられる。すなわち、複合機100は、複数種の用紙Pを同時に収納することが可能となっている。たとえば、各用紙カセット33には、紙厚(強度)が互いに異なる用紙Pが収容されたり、サイズが互いに異なる用紙Pが収容されたりする。なお、紙厚やサイズが互いに同じ用紙Pを各用紙カセット33に収容することもできる。
【0016】
画像形成部5は、感光体ドラム51、帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラー55およびクリーニング装置56を含む。そして、画像形成部5は、画像データに基づきトナー像を形成し、そのトナー像を用紙Pに転写する。定着部6は、加熱ローラー61および加圧ローラー62を含み、用紙Pに転写されたトナー像を加熱および加圧して定着させる。
【0017】
また、複合機100は、操作パネル7を備える。操作パネル7は、タッチパネル付きの液晶表示パネル71を含む。液晶表示パネル71は、各種設定を受け付けるためのソフトキーやメッセージなどを表示する。さらに、操作パネル7には、テンキーやスタートキーなどのハードキー72も設けられる。
【0018】
ここで、複合機100には、後処理部200が設けられる。後処理部200が設けられた複合機100では、後処理部200を用いることにより、印刷済みの用紙Pに対して後処理を行うことができる。たとえば、後処理部200は、印刷済みの用紙Pに対して、パンチ処理やステープル処理などの後処理を行う。
【0019】
なお、この複合機100の構成においては、印刷部2および後処理部200が「ジョブ実行部」に相当する。以下、印刷部2および後処理部200を総じてジョブ実行部100Jと称する場合がある。
【0020】
<後処理部の構成>
図2に示すように、後処理部200は、印刷部2から搬送される印刷済みの用紙Pの受け入れ口となる搬入口201を有する。そして、後処理部200は、搬入口201を介して搬入された用紙Pを後処理搬送路20に沿って搬送し、用紙Pに対して後処理を行う。このため、後処理部200には、用紙Pを後処理搬送路20に沿って搬送するための搬送ローラー対202が複数設けられる。また、後処理部200は、後処理を実行する部分として、パンチ処理部210およびステープル処理部220を備える。
【0021】
パンチ処理部210は、パンチユニット211を含み、後処理搬送路20の上流側(搬入口201の近傍)に配置される。パンチユニット211は、搬入口201から搬入された用紙Pに対してパンチ処理を行う。
【0022】
また、ステープル処理部220は、ステープルユニット221および処理トレイ222を含み、後処理搬送路20の下流側に配置される。ステープルユニット221は、処理トレイ222に積載された用紙束(複数枚の用紙Pが束になったもの)に対してステープル処理を行う。なお、ステープルユニット221は、移動可能に装着されており、ステープル処理を行うとき、ユーザー指定のステープルパターン(ステープル箇所の数および位置を定めたパターン)に基づき移動する。
【0023】
処理トレイ222は、その一端側(排紙トレイ203側)から他端側に向かって斜め下方向に傾けられる。そして、処理トレイ222の一端側には、用紙Pを排紙トレイ203に排出するための排紙ローラー対223(上部ローラー223aおよび下部ローラー223b)が設けられる。また、上部ローラー223aにはアーム224の一端が接続され、そのアーム224の他端には回動軸225が接続される。これにより、回動軸225を支点としてアーム224の一端を上方向に回動させると、上部ローラー223aが上方向に移動するので、上部ローラー223aを下部ローラー223aから離間させることができる。一方で、回動軸225を支点としてアーム224の一端を下方向に回動させると、上部ローラー223aが下方向に移動するので、上部ローラー223aを下部ローラー223bに接近させることができる。
【0024】
処理トレイ222に用紙Pを積載するときには、上部ローラー223aを下部ローラー223bから離間させ、上部ローラー223aと下部ローラー223bとの間に用紙Pの先端を進入させる。その後、たとえば、図示しないパドルにより、処理トレイ222の積載面に沿って用紙Pを斜め下方向に移動させる(あるいは、用紙Pが自重により処理トレイ222の積載面に沿って斜め下方向に移動する)。
【0025】
処理トレイ222から排紙トレイ203に用紙Pを排出するときには、上部ローラー223aを下部ローラー223bに接近させることにより、上部ローラー223aと下部ローラー223bとで用紙Pを挟み込む。これにより、上部ローラー223aおよび下部ローラー223bを回転させることにより、処理トレイ222に積載された用紙Pが排紙トレイ203に排出される。
【0026】
また、処理トレイ222には、用紙Pの幅方向(搬送方向と直交する方向)に移動可能なガイド225が設けられる。このようなガイド225を処理トレイ222に設けることにより、排紙トレイ203に排出される用紙Pを幅方向にシフトさせることができる(用紙Pを仕分けることができる)。
【0027】
なお、後処理搬送路20の中間部分(パンチ処理部210とステープル処理部220との間)には、パンチ処理部210から送られてきた用紙Pを一時的に退避させるための退避部230が配置される。退避部230は、回転駆動するよう支持された待避ドラム231を含み、その回転ドラム231に用紙Pを巻回することにより、パンチ処理部210から送られてきた用紙Pを一時的に退避させる(ステープル処理部220への用紙Pの搬送を遅らせる)。これにより、先行の部の用紙束がステープル処理部220で処理されているときに、後行の部の用紙束の用紙Pがステープル処理部220に搬送されるのを抑制することができる。
【0028】
<複合機のハードウェア構成>
図3に示すように、複合機100は、メイン制御部110を備える。メイン制御部110は、メインCPU111およびメイン記憶部112を含む。メイン記憶部112には、メインCPU111を動作させるプログラムが記憶される。そして、メイン制御部110(メインCPU111)は、複合機100の全体制御や画像処理制御などを行う。また、メイン制御部110は、エンジン制御部120、スキャン制御部130およびパネル制御部140と接続され、各制御部に指示を与える。
【0029】
エンジン制御部120は、エンジンCPU121およびエンジン記憶部122を含む。エンジン記憶部122には、エンジンCPU121を動作させるためのプログラムが記憶される。そして、エンジン制御部120(エンジンCPU121)は、メイン制御部110から指示を受け、印刷部2の印刷動作を制御する。また、エンジン制御部120は、後処理制御部240と通信可能に接続される。
【0030】
後処理制御部240は、後処理CPU241および後処理記憶部242を含む。後処理記憶部242には、後処理CPU241を動作させるためのプログラムが記憶される。そして、後処理制御部240(後処理CPU241)は、エンジン制御部120から指示を受け、後処理部200の後処理動作を制御する。
【0031】
スキャン制御部130は、スキャンCPU131およびスキャン記憶部132を含む。スキャン記憶部132には、スキャンCPU131を動作させるためのプログラムが記憶される。そして、スキャン制御部130(スキャンCPU131)は、メイン制御部110から指示を受け、画像読取部1の読取動作を制御する。
【0032】
パネル制御部140は、パネルCPU141およびパネル記憶部142を含む。パネル記憶部142には、パネルCPU142を動作させるためのプログラムが記憶される。そして、パネル制御部140(パネルCPU141)は、メイン制御部110から指示を受け、操作パネル7の表示動作を制御したり、操作パネル7に対して行われた操作を検知したりする。また、パネル制御部140は、操作パネル7に対して行われた操作を検知すると、検知結果をメイン制御部110に通知する。
【0033】
また、メイン制御部110は、通信部113と接続される。通信部113は、ネットワークを介して、ユーザーにより使用されるパーソナルコンピューターであるユーザー端末300と通信可能に接続される。そして、通信部113は、メイン制御部110から指示を受け、ユーザー端末300と通信する。たとえば、通信部113は、ユーザー端末300から印刷データ(画像データを含む)を受信したり、ユーザー端末300に画像データを送信したりする。
【0034】
<ステープル処理>
コピージョブやプリンタージョブでは、印刷部2により、画像データに基づく画像の用紙Pへの印刷が行われる。そして、印刷部2は、印刷済みの用紙Pを後処理部200に搬送する。このとき、後処理部200は、ステープル処理の実行指示を受け付けていれば、印刷部2から搬送される複数枚分の用紙Pからなる用紙束に対して、ユーザー指定のステープルパターンに基づきステープル処理を行う。なお、後処理部200は、ステープル処理の実行指示を受け付けていなければ、印刷部2から搬送される用紙Pをそのまま排出する。
【0035】
コピージョブでは、コピージョブの実行条件に関する設定を操作パネル7が受け付けるが、このときに、ステープル処理を実行するか否かの受け付けも行われる。操作パネル7は、ステープル処理を実行するか否かを受け付けるとき、
図4に示すようなステープル設定画面70Aを表示する。ステープル設定画面70Aには、ステープルパターンを指定するための指定キーDKが複数配される。各指定キーDKは、複数種のステープルパターンにそれぞれ対応する。また、各指定キーDKには、それぞれ、対応するステープルパターンを示す情報(テキストや図形など)が表記される。そして、複数の指定キーDKのうちいずれかをタッチすると、タッチした指定キーDKに対応するステープルパターンを指定することができる。
【0036】
このステープル設定画面70Aにおいて、「左上」を指定した場合には、用紙束の左上の1箇所にステープル処理が行われ、「右上」を指定した場合には、用紙束の右上の1箇所にステープル処理が行われる。「左2点」を指定した場合には、用紙束の左側の2箇所にステープル処理が行われ、「右2点」を指定した場合には、用紙束の右側の2箇所にステープル処理が行われる。「左3点」を指定した場合には、用紙束の左側の3箇所にステープル処理が行われ、「右3点」を指定した場合には、用紙束の右側の3箇所にステープル処理が行われる。なお、図示しないが、単一の用紙束に対するステープル箇所が4箇所以上となるよう設定できてもよい。また、用紙束の上側にステープル処理が行われるよう設定できてもよい。
【0037】
プリンタージョブでは、プリンタージョブの実行条件に関する設定をユーザー端末300が受け付け、このときに、ステープル処理を実行するか否かの受け付けも行われる。そして、ユーザー端末300は、複合機100に印刷データを送信するとき、ステープル処理を実行するか否かを示すステープル情報も送信する。なお、ユーザー端末300は、ステープル処理を実行する旨を受け付けた場合、ユーザー指定のステープルパターンを示す情報をステープル情報に含める。
【0038】
<ダメージ抑制処理>
本実施形態では、ステープル処理の対象となる用紙束(以下、対象用紙束と称する)にダメージが加わるのを抑制するためのダメージ抑制処理の実行が可能となっている。具体的には、ダメージ抑制処理を実行するか否かの判断基準として予め定められた用紙束の最小枚数である閾値枚数がメイン記憶部112に記憶される。すなわち、メイン記憶部112は「記憶部」に相当する。なお、閾値枚数は、エンジン記憶部122に記憶されてもよいし、後処理記憶部242に記憶されてもよい。そして、対象用紙束の用紙枚数が閾値枚数よりも少ないとき、ダメージ抑制処理が実行される。
【0039】
ダメージ抑制処理を実行するか否かの判断基準となる閾値枚数は、実験的または経験的に求めることができる。たとえば、用紙束の用紙枚数を変えて実際にステープル処理を行い、用紙束にダメージが加わるのを抑制できる用紙束の最小枚数を求め、その求めた用紙束の最小枚数を閾値枚数とする。
【0040】
なお、用紙束へのダメージの加わり易さはステープル箇所の数によって変わり、ステープル箇所が少ないほど用紙束にダメージが加わり易い。たとえば、用紙束の用紙枚数が同じであっても、ステープル箇所が1箇所の場合には、用紙束の用紙Pをユーザーが引っ張るなどしたときに発生する力が1箇所に集中する。一方で、ステープル箇所が2箇所の場合には、用紙束の用紙Pをユーザーが引っ張るなどしたときに発生する力が2箇所に分散される。したがって、ステープル箇所が1箇所の場合と2箇所の場合とでは、ステープル箇所が1箇所の場合の方が用紙束にダメージが加わり易い。このため、メイン記憶部112は、複数種のステープルパターンごとに閾値枚数を記憶する。そして、複数種のステープルパターンにそれぞれ対応する各閾値枚数は、対応するステープルパターンのステープル箇所が多いほど少なくなるよう設定される。
【0041】
たとえば、ステープル箇所が1箇所の場合の閾値枚数を6枚に設定し、ステープル箇所が2箇所の場合の閾値枚数を3枚に設定したとする。この場合、対象用紙束の用紙枚数が5枚であるとき、ユーザー指定のステープルパターンで示されるステープル箇所が1箇所であれば、閾値枚数が6枚となり、対象用紙束の用紙枚数(5枚)が閾値枚数(6枚)よりも少なくなるので、ダメージ抑制処理が実行される。一方で、ユーザー指定のステープルパターンで示されるステープル箇所が2箇所であれば、閾値枚数が3枚となり、対象用紙束の用紙枚数(5枚)が閾値枚数(3枚)よりも多くなるので、ダメージ抑制処理は実行されない。
【0042】
また、用紙束へのダメージの加わり易さは用紙束の用紙Pの紙厚によっても変わり、用紙束の用紙Pの紙厚が薄いほど用紙束にダメージが加わり易い。なぜなら、用紙Pの紙厚が薄い方が用紙Pの強度が弱いためである。したがって、閾値枚数は、複数種の紙厚ごとにさらに分類される。そして、複数種の紙厚にそれぞれ対応する各閾値枚数は、対応するステープルパターンが同じ場合、対応する紙厚が厚いほど少なくなるよう設定される。
【0043】
ダメージ抑制処理を実行するか否かの判断は、メイン制御部110が行う。メイン制御部110は、ダメージ抑制処理を実行するか否かを判断するため、対象用紙束の用紙枚数を検知する。具体的に、ステープル処理を伴うコピージョブを実行する場合、メイン制御部110は、画像読取部1による原稿の読み取りによって得られた原稿の画像データに基づき対象用紙束の用紙枚数を判別する。また、ステープル処理を伴うプリンタージョブを実行する場合、メイン制御部110は、ユーザー端末300から受信した印刷データに基づき対象用紙束の用紙枚数を判別する。なお、対象用紙束の用紙枚数は、両面印刷や集約印刷などの機能を実行するか否かによって増減する。したがって、主制御部110は、対象用紙束の用紙枚数を検知するとき、両面印刷や集約印刷など印刷枚数に影響する機能の設定内容も確認する。
【0044】
この後、メイン制御部110は、ユーザー指定のステープルパターンを判別するとともに、ユーザー指定の用紙カセット33(ユーザーが給紙元として指定した用紙カセット33)に収容された用紙Pの紙厚を判別する。なお、複数の用紙カセット33にそれぞれ収容される用紙Pの紙厚は、ユーザーによって予め登録され、紙厚情報としてメイン記憶部112に記憶される。したがって、メイン制御部110による紙厚判別は、メイン記憶部112に記憶された紙厚情報に基づき行われる。あるいは、用紙カセット33に収容された用紙Pの紙厚を判別するための紙厚判別部を別途設けてもよい。たとえば、光の透過または反射を利用して紙厚を検知する光学センサーや、超音波の透過または反射を利用して紙厚を検知する超音波センサーなどを紙厚判別部として用いることができる。
【0045】
ユーザー指定のステープルパターンおよびユーザー指定の用紙カセット33を判別した後、メイン制御部110は、ユーザー指定のステープルパターンに対応し、かつ、ユーザー指定の用紙カセット33に収容された用紙Pの紙厚に対応する閾値枚数を判別する。そして、その判別した閾値枚数よりも対象用紙束の用紙枚数が少ないとき、メイン制御部110は、ジョブ実行部100Jに指示し、ダメージ抑制処理を実行させる。このとき、メイン制御部110は、後述する第1処理、第2処理、第3処理および第4処理のうちから、ダメージ抑制処理としてジョブ実行部100Jに実行させる処理を選択する。
【0046】
第1処理の実行指示を受けたとき、ジョブ実行部100Jは、ステープル処理を行わずに用紙Pを排出する。具体的には、印刷部2は、ユーザー指定の用紙カセット33に収容された用紙Pを搬送し、印刷対象の画像データに基づく画像を用紙Pに印刷する。また、印刷部2は、印刷済みの用紙Pを後処理部200に向けて搬送する。そして、後処理部200は、印刷部2から搬送される用紙Pに対するステープル処理を行わず、そのまま排出する。
【0047】
第2処理の実行指示を受けたとき、ジョブ実行部100Jは、対象用紙束の用紙枚数を閾値枚数に達するまで増やしてステープル処理を行う。具体的には、印刷部2は、ユーザー指定の用紙カセット33に収容された用紙Pを搬送し、印刷対象の画像データに基づく画像を用紙Pに印刷する。また、印刷部2は、印刷済みの用紙Pを後処理部200に向けて搬送する。このとき、印刷部2は、後処理部200への用紙Pの搬送枚数が閾値枚数に達するまで、後処理部200への用紙Pの搬送を続ける。すなわち、印刷部2は、後処理部200に搬送する用紙Pを追加する。なお、追加搬送分の用紙Pには、印刷は行われない(追加搬送分の用紙Pは白紙のままである)。あるいは、予め登録された画像(たとえば、広告画像など)が追加搬送分の用紙Pに印刷されてもよい。そして、後処理部200は、印刷対象の画像データに基づく画像が印刷された用紙Pと追加搬送分の用紙Pとからなる対象用紙束に対して、ユーザー指定のステープルパターンのステープル箇所にステープル処理を行う。その後、後処理部200は、ステープル処理済みの対象用紙束を排出する。
【0048】
第3処理の実行指示を受けたとき、ジョブ実行部100Jは、ユーザー指定のステープルパターンのステープル箇所よりも多くの箇所にステープル処理を行う。具体的には、印刷部2は、ユーザー指定の用紙カセット33の用紙Pを搬送し、印刷対象の画像データに基づく画像を用紙Pに印刷する。また、印刷部2は、印刷済みの用紙Pを後処理部200に向けて搬送する。そして、後処理部200は、印刷部2から搬送される複数枚分の用紙Pからなる対象用紙束に対してステープル処理を行う。このときのステープル処理は、複数種のステープルパターンのうち、対応する閾値枚数が対象用紙束の用紙枚数以下となっているステープルパターンに基づき行われる。言い換えると、後処理部200は、複数種のステープルパターンのうち、対応する閾値枚数が対象用紙束の用紙枚数以下となっているステープルパターンのステープル箇所にステープル処理を行う。その後、後処理部200は、ステープル処理済みの対象用紙束を排出する。
【0049】
第4処理の実行指示を受けたとき、ジョブ実行部100Jは、ユーザー指定の用紙カセット33に収容された用紙Pよりも紙厚が厚い用紙Pに印刷対象の画像データに基づく画像を印刷して後処理部200に搬送する。具体的には、印刷部2は、複数の用紙カセット33のうち、対応する閾値枚数が対象用紙束の用紙枚数以下となっている紙厚の用紙Pを収容する用紙カセット33を給紙元に設定するとともに、その用紙カセット33の用紙Pを搬送し、印刷対象の画像データに基づく画像を用紙Pに印刷する。また、印刷部2は、印刷済みの用紙Pを後処理部200に向けて搬送する。そして、後処理部200は、印刷部2から搬送される複数枚分の用紙Pからなる対象用紙束に対して、ユーザー指定のステープルパターンのステープル箇所にステープル処理を行う。その後、後処理部200は、ステープル処理済みの対象用紙束を排出する。
【0050】
ここで、第2処理、第3処理および第4処理のうち、2つ以上を組み合わせた処理をダメージ抑制処理として設定することもできる。たとえば、第2処理および第3処理を組み合わせた場合、ジョブ実行部100Jは、対象用紙束の用紙枚数を閾値枚数に達するまで増やし、ユーザー指定のステープルパターンのステープル箇所よりも多くの箇所にステープル処理を行う。また、第3処理および第4処理を組み合わせた場合、ジョブ実行部100Jは、ユーザー指定の用紙カセット33に収容された用紙Pよりも紙厚が厚い用紙Pに画像を印刷し、ユーザー指定のステープルパターンのステープル箇所よりも多くの箇所にステープル処理を行う。また、第2処理および第4処理を組み合わせた場合、ジョブ実行部100Jは、ユーザー指定の用紙カセット33に収容された用紙Pよりも紙厚が厚い用紙Pに画像を印刷し、対象用紙束の用紙枚数を閾値枚数に達するまで増やす。なお、第2処理、第3処理および第4処理の3つを組み合わせた処理をダメージ抑制処理としてもよい。
【0051】
ただし、メイン制御部110は、用紙カセット33の設置数が1つだけの場合や、複数の用紙カセット33のそれぞれに収容された各用紙Pの紙厚が互いに同じである場合、第1処理、第2処理および第3処理のうちから、ダメージ抑制処理としてジョブ実行部100Jに実行させる処理を選択する(第4処理を選択肢に加えない)。すなわち、メイン制御部110は、複数の用紙カセット33にそれぞれ収容される各用紙Pの紙厚が互いに異なる場合にのみ、第1処理、第2処理、第3処理および第4処理の4つのうちから、ダメージ抑制処理としてジョブ実行部100Jに実行させる処理を選択する。
【0052】
第1処理、第2処理、第3処理および第4処理のうちダメージ抑制処理として実行する処理は、ユーザーにより選択される。ダメージ抑制処理として実行する処理の選択は、たとえば、操作パネル7が受け付ける。この場合には、操作パネル7が「受付部」に相当することになる。なお、ダメージ抑制処理として実行する処理の選択をユーザー端末300が受け付けるようになっていてもよい。
【0053】
操作パネル7は、ダメージ抑制処理として実行する処理の選択をユーザーから受け付けるとき、
図5に示すような処理選択画面70Bを表示する。処理選択画面70Bには、第1処理〜第4処理にそれぞれ対応する選択キーSK1〜SK4が配される。そして、メイン制御部110は、選択キーSK1〜SK4のうちいずれかの選択キーに対するタッチ操作を検知すると、タッチされた選択キーに対応する処理をダメージ抑制処理として設定する。
【0054】
操作パネル7は、予め、ダメージ抑制処理として実行する処理の選択をユーザーから受け付ける。たとえば、操作パネル7は、所定操作(処理選択画面70Bを表示させる操作として予め定められた操作)を受け付けたとき、処理選択画面70Bを表示する。これにより、予め、ダメージ抑制処理として実行する処理を選択しておくことができるようになる。
【0055】
あるいは、操作パネル7は、対象用紙束の用紙枚数が閾値枚数よりも少ないときに、その都度、ダメージ抑制処理として実行する処理の選択をユーザーから受け付ける。たとえば、メイン制御部110は、対象用紙束の用紙枚数を検知した結果、その対象用紙束の用紙枚数が閾値枚数よりも少なかったとき、操作パネル7に指示し、処理選択画面70Bを表示させる。
【0056】
<ステープル処理を伴うジョブを実行するときの制御の流れ>
以下に、
図6に示すフローチャートを参照して、ステープル処理を伴うジョブ(コピージョブやプリンタージョブなど)を実行するときの制御の流れを説明する。
【0057】
まず、
図6に示すフローチャートのスタート時点では、ダメージ抑制処理として実行する処理が予め設定されている(ユーザーによって選択されている)とする。そして、ステープル処理を伴うジョブの実行指示を複合機100が受け付けたとき、
図6に示すフローチャートがスタートする。
【0058】
ステップS1において、メイン制御部110は、ユーザー指定のステープルパターン(ステープル箇所の数および位置)を判別する。また、ステップS2において、メイン制御部110は、ユーザー指定の用紙カセット33に収容された用紙Pの紙厚を判別する。なお、ユーザー指定の用紙カセット33に収容された用紙Pの紙厚を判別してから、ユーザー指定のステープルパターンを判別してもよい。そして、ステップS3において、メイン制御部110は、ユーザー指定のステープルパターンおよびユーザー指定の用紙カセット33に収容された用紙Pの紙厚に基づき、閾値枚数を決定する。
【0059】
次に、ステップS4において、メイン制御部110は、対象用紙束の用紙枚数を判別する。なお、コピージョブでは、画像読取部1による原稿の読み取りによって得られた原稿の画像データに基づき、対象用紙束の用紙枚数を判別する。プリンタージョブでは、ユーザー端末300から受信した印刷データ(画像データを含むデータ)に基づき、対象用紙束の用紙枚数を判別する。
【0060】
その後、ステップS5において、メイン制御部110は、対象用紙束の用紙枚数が閾値枚数よりも少ないか否かを判断する。その結果、対象用紙束の用紙枚数が閾値枚数よりも少ないとき、ステップS6に移行する。そして、ステップS6において、メイン制御部110は、ジョブ実行部100Jに指示し、ダメージ抑制処理を実行させる。
【0061】
一方で、ステップS5において、対象用紙束の用紙枚数が閾値枚数以上であるとメイン制御部110が判断すれば、ステップS7に移行する。ステップS7に移行すると、メイン制御部110は、ジョブ実行部100Jに指示し、通常処理を実行させる。通常処理の実行指示を受けた場合、ジョブ実行部100Jは、ユーザー指定の用紙カセット33に収容された用紙Pを搬送し、印刷対象の画像データに基づく画像を用紙Pに印刷する。また、印刷部2は、印刷済みの用紙Pを後処理部200に向けて搬送する。このとき、余分な用紙Pは後処理部200へは搬送されない。そして、後処理部200は、印刷部2から搬送される複数枚分の用紙Pからなる対象用紙束に対して、ユーザー指定のステープルパターンのステープル箇所にステープル処理を行う。その後、後処理部200は、ステープル処理済みの対象用紙束を排出する。
【0062】
本実施形態の複合機100(画像形成装置)は、上記のように、用紙Pに画像を印刷する印刷部2、および、印刷部2から搬送される複数枚分の用紙Pからなる用紙束に対して、ステープル箇所の数および位置を定めた複数種のステープルパターンのうちユーザー指定のステープルパターンに基づきステープル処理を行う後処理部200、を含むジョブ実行部100Jと、情報を記憶するメイン記憶部112(記憶部)と、を備える。メイン記憶部112は、ダメージ抑制処理(ステープル処理を行ったことに起因するダメージが用紙束に加わるのを抑制するための処理)を実行するか否かの判断基準として予め定められた用紙束の最小枚数である閾値枚数を記憶する。そして、対象用紙束の用紙枚数が閾値枚数よりも少ないとき、ジョブ実行部100Jは、ステープル処理を行わずに用紙Pを排出する第1処理、対象用紙束の用紙枚数を閾値枚数に達するまで増やしてステープル処理を行う第2処理、ユーザー指定のステープルパターンのステープル箇所よりも多くの箇所にステープル処理を行う第3処理、のうち少なくとも1つの処理をダメージ抑制処理として実行する。
【0063】
本実施形態では、対象用紙束の用紙枚数が閾値枚数よりも少ないとき、第1処理、第2処理および第3処理のうち少なくとも1つの処理をダメージ抑制処理として実行するので、ステープル処理を行ったことに起因するダメージが対象用紙束に加わるのを抑制することができる。具体的に、第1処理をダメージ抑制処理として実行した場合には、対象用紙束に対するステープル処理を行わないので、ステープル処理を行ったことに起因するダメージが対象用紙束に加わることはない。第2処理をダメージ抑制処理として実行した場合には、対象用紙束の用紙枚数が増えているので、ステープル処理を行ったことに起因するダメージが対象用紙束に加わるのを抑制することができる。第3処理をダメージ抑制処理として実行した場合には、対象用紙束のステープル箇所が増えているので、ステープル処理を行ったことに起因するダメージが対象用紙束に加わるのを抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、複数の用紙カセット33にそれぞれ収容される各用紙Pの紙厚が互いに異なる場合において、対象用紙束の用紙枚数が閾値枚数よりも少ないとき、ジョブ実行部100Jは、第1処理、第2処理、第3処理、および、複数の用紙カセット33のうちユーザー指定の用紙カセット33に収容された用紙Pよりも紙厚が厚い用紙Pに画像を印刷して後処理部200に搬送する第4処理、のうち少なくとも1つの処理をダメージ抑制処理として実行する。この構成において、第4処理をダメージ抑制処理として実行した場合には、対象用紙束の用紙Pの強度が強くなっている(紙厚が厚くなっている)ので、ステープル処理を行ったことに起因するダメージが対象用紙束に加わるのを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、メイン記憶部112は、複数種のステープルパターンごとに閾値枚数を記憶する。また、閾値枚数は、対応するステープルパターンのステープル箇所が多いほど少なくなるよう設定される。そして、ジョブ実行部100Jは、ユーザー指定のステープルパターンに対応する閾値枚数よりも対象用紙束の用紙枚数が少ないときに、ダメージ抑制処理を実行する。ここで、用紙束の用紙枚数が同じであっても、ステープル箇所が少ないほど、用紙束にダメージが加わり易い。したがって、ステープルパターン(ステープル箇所の数)ごとに閾値枚数を定めておくのが好ましい。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、閾値枚数は、複数種の紙厚ごとにさらに分類されるとともに、対応するステープルパターンが同じ場合、対応する紙厚が厚いほど少なくなるよう設定される。そして、ジョブ実行部100Jは、ユーザー指定のステープルパターンに対応し、かつ、ユーザー指定の用紙カセット33に収容された用紙Pの紙厚に対応する閾値枚数よりも対象用紙束の用紙枚数が少ないときに、ダメージ抑制処理を実行する。ここで、用紙束の用紙枚数が同じであっても、用紙Pの紙厚が薄いほど、用紙束にダメージが加わり易い。したがって、閾値枚数を複数種の紙厚ごとにさらに分類しておくのが好ましい。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、操作パネル7(受付部)は、第1処理、第2処理、第3処理および第4処理のうちから、予め、ダメージ抑制処理として実行する処理の選択をユーザーから受け付ける。あるいは、操作パネル7は、対象用紙束の用紙枚数が閾値枚数よりも少ないときに、その都度、第1処理、第2処理、第3処理および第4処理のうちから、ダメージ抑制処理として実行する処理の選択をユーザーから受け付ける。これにより、ユーザーからすると、第1処理、第2処理、第3処理および第4処理のうち所望の処理をダメージ抑制処理として選択できるので、利便性が良い。すなわち、ユーザーの意図しない処理がダメージ抑制処理として実行されるのを抑制することができる。
【0068】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。