特許第6248886号(P6248886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6248886ランダムデータ生成器及びデータ通信端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248886
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】ランダムデータ生成器及びデータ通信端末
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/12 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   H03M1/12 C
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-203978(P2014-203978)
(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公開番号】特開2016-76741(P2016-76741A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2016年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】591230295
【氏名又は名称】NTTエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】後藤 哲二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賢
(72)【発明者】
【氏名】相澤 和宏
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 茂樹
【審査官】 齋藤 正貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−273030(JP,A)
【文献】 特開2004−127217(JP,A)
【文献】 特開2004−032405(JP,A)
【文献】 特開2003−132450(JP,A)
【文献】 特開2014−123284(JP,A)
【文献】 特開2013−134267(JP,A)
【文献】 特開2007−034836(JP,A)
【文献】 特開2004−302915(JP,A)
【文献】 特開平11−312078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 1/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動してから入力電圧が安定化するまでの不安定期間を有するA/D変換器と、
前記不安定期間に前記A/D変換器の出力を複数回取得し、その結果に基づいてランダムデータを生成するランダムデータ生成部とを備え
前記ランダムデータ生成部は、1回目に取得した前記A/D変換器の出力の一定桁数の下位ビット値に基づいて、前記A/D変換器の出力を取得する回数を決定することを特徴とするランダムデータ生成器。
【請求項2】
起動してから入力電圧が安定化するまでの不安定期間を有するA/D変換器と、
前記不安定期間に前記A/D変換器の出力を複数回取得し、その結果に基づいてランダムデータを生成するランダムデータ生成部とを備え、
前記ランダムデータ生成部は、最後に取得した前記A/D変換器の出力に基づいて前記ランダムデータを生成することを特徴とするランダムデータ生成器。
【請求項3】
前記ランダムデータ生成部は、取得した前記A/D変換器の複数回の出力を組み合わせた値に基づいて前記ランダムデータを生成することを特徴とする請求項に記載のランダムデータ生成器。
【請求項4】
データを自律的にセンタに送信するデータ通信端末であって、
請求項1〜の何れか1項に記載のランダムデータ生成器と、
端末時計と、
前記端末時計を前記センタの時計に同期させる時刻同期部と、
前記センタの時計に同期させた前記端末時計の時刻を前記ランダムデータ生成部が生成したランダムデータに基づいてオフセットさせる時刻オフセット部と、
オフセットさせた前記端末時計の時刻に基づいて前記データを前記センタへ送信する無線通信部とを備えることを特徴とするデータ通信端末。
【請求項5】
前記ランダムデータは第1及び第2のランダムデータを有し、
前記時刻オフセット部は、
前記端末時計の時刻を前記第1のランダムデータに基づいて分単位でオフセットさせる第1の時刻オフセット部と、
前記端末時計の時刻を前記第2のランダムデータに基づいて秒単位でオフセットさせる第2の時刻オフセット部とを有することを特徴とする請求項に記載のデータ通信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低コストで広い範囲のランダムデータを生成することができるランダムデータ生成器及びそれを使用したデータ通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
センシングデータをセンタに転送するM2Mセンシングシステムの使用例として太陽光発電遠隔監視システムがある。図7は太陽光発電遠隔監視システムを示す図である。太陽光パネルで発生した直流電流をパワーコンディショナーで交流電流に変換する。これにより発生した電力を電気設備の駆動や売電に使用する。この際に正常に電流を発生しているかを遠隔から監視するためにセンシング端末が用いられる。
【0003】
センシング端末で検出した電流値は30分毎にセンタに送信される。一般的には、通信前にセンシング端末がNW側に接続されると、センタとの間で時刻同期が行われる。センシング端末は次の時刻同期が行われるまではその時刻に基づいて自走する。
【0004】
一般的にはセンシング端末は複数存在する。この時、複数の端末は一定の時刻毎(例えば10時00分、10時30分といった30分毎)に一斉にセンタにデータを転送する。この時刻は複数の端末でほぼ同時刻になる。従って、センシング端末が無線でデータを送信する場合、限られた無線チャネルに対して、複数の端末が一斉に接続要求をかけ、無線チャネルのトラヒックにおいて輻輳する状態が発生する恐れがある。従って、一部の端末のデータが送信できなかったり、遅れたりする場合がある。
【0005】
このような場合、ランダムデータにより送信タイミングにオフセットをかけることにより、トラヒックを分散して複数のセンシング端末からのデータを効率良くセンタに転送することができる。例えば、センサ端末の固有の数値を入力してハッシュ関数(疑似乱数生成関数)演算を行って論理的にランダムなデータを生成し、そのデータを遅延時間として送信開始時刻を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、回路上の信号の不確定さをもとに物理的にランダムなデータを生成する方法がある。例えばPLLの制御信号を入力としてランダムデータを生成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−150811号公報
【特許文献2】特開2003−69557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ハッシュ関数を用いる方法では入力値が同一ならば出力値も同一となる。従って、端末毎に入力値としてユニークな値を持つ必要があり、端末にはユニークな値の保持及び設定する手段を備えることが前提となってしまう。このような手段を持たない端末は利用できないという問題がある。
【0008】
また、PLLの制御信号を用いる方法では、PLLがロックされた後に電圧を検出するため、電圧がある程度安定化してしまい、ランダム性が低い。従って、電圧入力をそのままA/D変換した値だけでは一定値近傍のみにしか留まらない可能性があり、ランダムデータとして実用できない場合もある。また、PLLの制御電圧に他回路を接続することは、本来の制御電圧の動作の安定化に影響を与えかねないという問題がある。
【0009】
また、ランダムデータ生成用に専用の特殊な回路を用いる方法もあるが、機構が複雑になりコストが増えてしまう。例えば、ハードウェアにより乱数生成器を実現する場合、FPGAによる回路で数百〜千スライス数程度を使用する例もある。
【0010】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は低コストで広い範囲のランダムデータを生成することができるランダムデータ生成器及びそれを使用したデータ通信端末を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るランダムデータ生成器は、起動してから入力電圧が安定化するまでの不安定期間を有するA/D変換器と、前記不安定期間に前記A/D変換器の出力を複数回取得し、その結果に基づいてランダムデータを生成するランダムデータ生成部とを備え、前記ランダムデータ生成部は、1回目に取得した前記A/D変換器の出力の一定桁数の下位ビット値に基づいて、前記A/D変換器の出力を取得する回数を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、低コストで広い範囲のランダムデータを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係るランダムデータ生成器を示す図である。
図2】起動後のA/D変換器の入力電圧の変化を示す図である。
図3】不安定期間におけるA/D変換器の出力の下位ビットのランダム性を示す図である。
図4】本発明の実施の形態に係るランダムデータ生成部によるランダムデータの生成手順を示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係るデータ通信端末を示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係るデータ通信端末の動作原理を説明する図である。
図7】太陽光発電遠隔監視システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係るランダムデータ生成器を示す図である。ランダムデータ生成器1は、A/D変換器2と、A/D変換器2の出力に基づいてランダムデータを生成するランダムデータ生成部3とを備える。
【0015】
図2は、起動後のA/D変換器の入力電圧の変化を示す図である。A/D変換器2は空き端子を入力とする。一般的に空き端子は電圧が定まっていないため、A/D変換器2は起動(電源ON)してから入力電圧が安定化するまでの不安定期間を有する。不安定期間では、入力電圧は停止状態の電圧からある電圧レベルに向かって徐々に変化する。
【0016】
図3は、不安定期間におけるA/D変換器の出力の下位ビットのランダム性を示す図である。横軸はA/D変換器2の出力を取得した回数、縦軸はA/D変換器2の出力の下位ビットである。0〜100の間でばらつく様子が分かる。このように不安定期間におけるA/D変換器2の出力の下位ビットは雑音成分により比較的ランダムなデータとなる。また、A/D変換器2を他のA/D変換器に置き換えて取得した場合のデータも、元のA/D変換器2の場合とは無関係なランダムなデータとなる。
【0017】
図4は、本発明の実施の形態に係るランダムデータ生成部によるランダムデータの生成手順を示す図である。上記のA/D変換器2の出力の下位ビットは一定値近傍のみにしか留まらない可能性があり、ランダムデータとして実用できない場合もある。そこで、ランダムデータ生成部3は、不安定期間にA/D変換器2の出力を複数回(ここではm回)取得し、その結果に基づいて所定の演算によりランダムデータを生成する。これにより、A/D変換器2の出力の下位ビットよりも広い範囲で予測不可能で再現性のないランダムデータを生成することができる。
【0018】
マイクロプロセッサの種類によってはA/D変換機能を有するものもある。この場合は新たにA/D変換器を付加することなく、上記機能を達成することができる。従って、ハードウェア回路を製造した後においても、マイコンのプログラムを変更することで、ハードウェア回路を変更することなく、ランダムデータを容易に生成することができる。よって、ランダムデータ生成用に専用の特殊な回路を用いる必要がないため、コストを抑制することができる。
【0019】
また、ランダムデータ生成部3は、起動してから1回目に取得したA/D変換器2の出力の一定桁数の下位ビットの値に基づいて、A/D変換器2の出力を取得する回数(ここではm回)を決定する。例えば、1回目に取得したA/D変換器2の出力の下位3ビットの値を採用する場合、A/D変換器2の出力を取得する回数を0〜7回の範囲で決定する。これにより、A/D変換器2の出力を取得する回数についてもランダムに変化させることができるため、更に予測不可能で再現性のないランダムデータを生成することができる。
【0020】
また、ランダムデータ生成部3は、最後に取得したA/D変換器2の出力(ここではm回目の出力)に基づいてランダムデータを生成する。例えば、最後に取得したA/D変換器2の出力の下位ビットをランダムデータとする。また、最後に取得したA/D変換器2の出力を更に疑似乱数生成関数に入力させ、その出力値からランダムデータを生成してもよい。なお、A/D変換器2がm回のA/D変換を行う代わりに、1回目のA/D変換からm回目に相当する時間だけ待ってA/D変換を行うことでもよい。
【0021】
あるいは、ランダムデータ生成部3は、取得したA/D変換器2の複数回の出力を組み合わせた値に基づいてランダムデータを生成してもよい。例えば、複数回の出力を組み合わせた値について加減算、論理和、論理積等の論理演算を行った結果を、疑似乱数を算出する疑似乱数生成関数に入力させ、その出力値を用いてランダムデータを生成する。
【0022】
なお、上記の実施の形態ではA/D変換器2は空き端子を入力とするが、これに限らず電池電圧を入力としてもよい。電池による動作を行う端末の場合、電池電圧を監視することはよくある。A/D変換器2で検出すると、電池電圧の下位ビットは比較的ランダムなデータとなる。これを利用して上記の実施の形態と同様にランダムデータを生成する。
【0023】
また、A/D変換器2はオペアンプを入力としてもよい。一般的にオペアンプの入力電圧がローレベル(一般的にはGNDレベル)又はハイレベルになっている場合、A/D変換しても、その電圧が下限又は上限に固定され、下位ビットにおけるランダム性が小さい。そこで、入力電圧にオフセット電圧を付加してA/D変換の下限又は上限にならないように設定する。これにより、A/D変換器2の出力の下位ビットは比較的ランダムなデータとなる。オフセット電圧は、A/D変換器2への入力電圧が下限又は上限にならない範囲であれば任意の電圧でよい。オペアンプの中には、プログラマブルオペアンプと称して、オフセット電圧をマイコンから制御可能なものもある。このプログラマブルオペアンプを使用すれば、特別な回路を付加することなく、上記機能を達成することができる。
【0024】
また、A/D変換器2は温度センサを入力としてもよい。一般的に温度検出値の下位ビットは雑音成分によって比較的ランダムなデータとなる。例えば同じような場所にあるセンシング端末同士でも、25.32℃、25.43℃等のように温度検出値の下位ビットでは誤差が大きくなる。マイクロプロセッサには温度検出機能を有するものもあり、その場合は特別な回路を付加することなく、上記機能を達成することができる。
【0025】
続いて、上記のランダムデータ生成器を使用したデータ通信端末について説明する。図5は、本発明の実施の形態に係るデータ通信端末を示す図である。このデータ通信端末4は、太陽光発電遠隔監視システム等に用いられるセンシング端末であり、センサ5で検出したセンシングデータを自律的にセンタ6に送信する。
【0026】
時刻同期部7は、データ通信端末4内部の端末時計8をセンタ6の時計9に同期させる。具体的には、センタ6から送られてきた時刻(m時n分)に端末時計8の時刻を設定し、次の設定までは自走させる。例えば、時刻として午前4時10分がセンタ6から送られて来たら、時刻同期部7は端末時計8の時刻を午前4時10分に設定する。
【0027】
ランダムデータ生成器1は第1及び第2のランダムデータを生成する。第1及び第2のランダムデータは同じでもよい。第1の時刻オフセット部10は端末時計8の時刻を第1のランダムデータに基づいて分単位でオフセットさせる。例えば端末時計8の時刻を2分進める。第2の時刻オフセット部11は端末時計8の時刻を第2のランダムデータに基づいて秒単位でオフセットさせる。例えば端末時計8の時刻を14秒進める。
【0028】
送信タイミング生成部12は、オフセットさせた端末時計8の時刻が所定の時刻になった場合に無線通信部13に送信タイミングを出力する。無線通信部13は送信タイミングを受け取るとデータをセンタ6へ送信する。
【0029】
図6は、本発明の実施の形態に係るデータ通信端末の動作原理を説明する図である。まず、センシング端末A及びセンシング端末Bの電源をONにする。次に、センシング端末Aの時計を第1のランダムデータに基づいて秒単位(ここでは18秒)でオフセットする。例えば10進数表示で2桁のばらつきkが得られた場合、k×(60/100)で、60秒内のばらつきに変換できる。具体的な実装では、AD入力値を乱数生成関数のSeedに入力して乱数を生成し、その乱数を60で割った余りを秒のオフセットとする。
【0030】
次に、センシング端末Aの時計を第2のランダムデータに基づいて分単位(ここでは2分)でオフセットする。例えば10進数表示で2桁のばらつきkが得られた場合、k×(3/50)の四捨五入で、0、+1、+2、+3のばらつきに変換できる。具体的な実装では、上記のSeedによる乱数生成関数から乱数を生成し、その乱数をパラメータ(例えば3分)で割った余りを分のオフセットとする。そして、センシング端末Aは、自分の時計で所定の時刻(ここでは10時30分)に無線通信部からセンタにデータを送信する。
【0031】
同様に、センシング端末Bの時計を第3のランダムデータに基づいて秒単位(ここでは35秒)でオフセットし、第4のランダムデータに基づいて分単位(ここでは1分)でオフセットする。そして、センシング端末Bは、自分の時計で所定の時刻(ここでは10時30分)に無線通信部からセンタにデータを送信する。なお、上記の動作はマイクロプロセッサのプログラムによって容易に実現できる。
【0032】
複数の端末が一斉に接続要求をかけると、無線チャネルのトラヒックにおいて輻輳する状態が発生する恐れがある。これに対して、本実施の形態では、センシングデータをランダム化した送信タイミングでセンタ6に送信することができるので、トラヒックが集中することがなく、効率良くセンシングデータをセンタ6に転送できる。
【0033】
また、送信時刻を分単位でずらすことは有効であるが、送信時刻が決められている場合は多数の端末の送信時刻を個々にずらすことは困難となる。そこで、上記のように送信タイミングを分単位だけでなく秒単位でもランダムとすることで、複数の端末が同時刻に送信する確率が低減される。従って、無線信号が互いに衝突する確率が減るため、再送回数も減り、効率よく接続が確立され安定な通信を行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ランダムデータ生成器、2 A/D変換器、3 ランダムデータ生成部、7 時刻同期部、8 端末時計、10 第1の時刻オフセット部、11 第2の時刻オフセット部、13 無線通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7