特許第6248898号(P6248898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248898
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20171211BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20171211BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20171211BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   F24F11/02 103A
   F24F1/00 401E
   F25B49/02 520M
   F25B1/00 396Z
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-223394(P2014-223394)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-90108(P2016-90108A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2015年10月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井川 慎介
(72)【発明者】
【氏名】田坂 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】多田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】北村 聖子
(72)【発明者】
【氏名】長岡 伸二
(72)【発明者】
【氏名】村田 勝則
【審査官】 関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−318208(JP,A)
【文献】 特開2003−344339(JP,A)
【文献】 特開2003−057203(JP,A)
【文献】 特開2000−186848(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/015617(WO,A1)
【文献】 特開2007−071604(JP,A)
【文献】 特開2003−172565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/20
F24F 1/46
F24F 11/02
F24F 13/20
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気より大きい比重の可燃性冷媒が使用され、かつ冷媒ガス検出センサが内部に配置される空気調和機であって、
前記冷媒ガス検出センサは、
冷媒ガス漏れを検出する検出素子と、
前記検出素子の周囲に配置されるケース部材とを備え、
前記ケース部材は、その上端が塞がれると共に、冷媒ガスを内部に取り込むための第1開口を有しており、
前記第1開口の全域が、前記検出素子より下方にあることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記冷媒ガス検出センサは、
前記検出素子が下面に固定されるプリント基板を有しており、
前記ケース部材が、前記プリント基板の下面に固定される筒状の部材であることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記プリント基板及び前記ケース部材の周囲を覆う周囲部材を有しており、
前記周囲部材の底面に、第2開口が形成されることを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記冷媒ガス検出センサは、
前記検出素子が下面に固定されるプリント基板を有しており、
前記ケース部材が、前記プリント基板の周囲を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃性冷媒が使用される空気調和機に関する。
【0002】
従来から、可燃性冷媒が使用される空気調和機において、空気調和機の室内機又は室外機等に冷媒ガス検出センサが取り付けられたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−13348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷媒ガス検出センサは、一般的に、漏洩した冷媒ガスを内部に取り込むための開口が上向きとなるように取り付けられることが考えられるが、その場合、空気調和機の外部から吸い込んだプロパンや殺虫剤などの少量の異ガスを冷媒ガスと誤検出するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、空気調和機の外部から吸い込んだ異ガスを冷媒ガスと誤検出するのを防止できる空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明にかかる空気調和機は、空気より大きい比重の可燃性冷媒が使用され、かつ冷媒ガス検出センサが内部に配置される空気調和機であって、前記冷媒ガス検出センサは、冷媒ガス漏れを検出する検出素子と、前記検出素子の周囲に配置されるケース部材とを備え、前記ケース部材は、その上端が塞がれると共に、冷媒ガスを内部に取り込むための第1開口を有しており、前記第1開口の全域が、前記検出素子より下方にあることを特徴とする。
【0007】
この空気調和機では、冷媒ガス検出センサは、ケース部材において、全域が検出素子よりも下方にある第1開口からケース部材の内部に取り込まれたガスを検出する。そのため、空気調和機の外部から吸い込んだプロパンや殺虫剤などの少量のガスが、冷媒ガス検出センサで検出される可能性が極めて低い。したがって、空気調和機の外部から吸い込んだ異ガスを冷媒ガスと誤検出するのを防止できる。
【0008】
第2の発明にかかる空気調和機は、第1の発明にかかる空気調和機において、前記冷媒ガス検出センサは、前記検出素子が下面に固定されるプリント基板を有しており、前記ケース部材が、前記プリント基板の下面に固定される筒状の部材であることを特徴とする。
【0009】
この空気調和機では、ケース部材が、検出素子の周囲に配置され、かつプリント基板の下面に固定される筒状の部材であるので、空気調和機の外部から吸い込んだ異ガスを冷媒ガスと誤検出するのをより防止でき、また、検出素子に水や塵埃が付着するのを防止できる。
【0010】
第3の発明にかかる空気調和機は、第1または第2の発明にかかる空気調和機において、前記プリント基板及び前記ケース部材の周囲を覆う周囲部材を有しており、前記周囲部材の底面に、第2開口が形成されることを特徴とする。
【0011】
この空気調和機では、プリント基板及びケース部材の周囲を覆う周囲部材を有するので、空気調和機の外部から吸い込んだ異ガスを冷媒ガスと誤検出するのをより防止でき、プリント基板に水や塵埃が付着するのを防止しつつ、かつ、検出素子に水や塵埃が付着するのをより防止できる。
【0012】
第4の発明にかかる空気調和機は、第1の発明にかかる空気調和機において、前記冷媒ガス検出センサは、前記検出素子が下面に固定されるプリント基板を有しており、前記ケース部材が、前記プリント基板の周囲を覆っていることを特徴とする。
【0013】
この空気調和機では、ケース部材が、プリント基板の周囲を覆っているので、空気調和機の外部から吸い込んだ異ガスを冷媒ガスと誤検出するのをより防止でき、また、プリント基板及び検出素子に水や塵埃が付着するのを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0015】
第1の発明では、冷媒ガス検出センサは、ケース部材において、全域が検出素子よりも下方にある第1開口からケース部材の内部に取り込まれたガスを検出する。そのため、空気調和機の外部から吸い込んだプロパンや殺虫剤などの少量のガスが、冷媒ガス検出センサで検出される可能性が極めて低い。したがって、空気調和機の外部から吸い込んだ異ガスを冷媒ガスと誤検出するのを防止できる。
【0016】
第2の発明では、ケース部材が、検出素子の周囲に配置され、かつプリント基板の下面に固定される筒状の部材であるので、空気調和機の外部から吸い込んだ異ガスを冷媒ガスと誤検出するのをより防止でき、また、検出素子に水や塵埃が付着するのを防止できる。
【0017】
第3の発明では、プリント基板及びケース部材の周囲を覆う周囲部材を有するので、空気調和機の外部から吸い込んだ異ガスを冷媒ガスと誤検出するのをより防止でき、プリント基板に水や塵埃が付着するのを防止しつつ、かつ、検出素子に水や塵埃が付着するのをより防止できる。
【0018】
第4の発明では、ケース部材が、プリント基板の周囲を覆っているので、空気調和機の外部から吸い込んだ異ガスを冷媒ガスと誤検出するのをより防止でき、また、プリント基板及び検出素子に水や塵埃が付着するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態にかかる空気調和機の冷媒回路を示す回路図である。
図2図1に示す室内機の斜視図である。
図3】室内機の正面図である。
図4図3に示すIV-IV線断面図である。
図5図3に示すV-V線断面図である。
図6】室内機から前面グリル及び前面パネルを取り外したときの斜視図である。
図7】室内機から前面グリル及び前面パネルを取り外したときの正面図である。
図8】(a)は、図6に示すドレンパンの平面図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、右側面図である。
図9】室内機の制御ブロックを示す図である。
図10】(a)は、図5に示す冷媒ガス検出センサから下ハウジングを取り外したときの斜視図であり、(b)は、冷媒ガス検出センサの断面図である。
図11】(a)は、冷媒ガス検出センサが配置される部分を正面から見た拡大図であり、(b)は、(a)から連絡配管の図示を省略した図であり、(c)は、(b)から冷媒ガス検出センサを取り外したときの図である。
図12】(a)は、冷媒ガス検出センサが、センサ取付部に取り付けられた状態を示す断面図であり、(b)は、冷媒ガス検出センサの取り外しを説明する図である。
図13】本発明の変形例にかかる空気調和機の室内機の冷媒ガス検出センサの断面図である。
図14】検出素子とケース開口との位置関係を説明するための図であり、(a)は、ケース開口が検出素子よりも下方において水平に配置される場合、(b)は、ケース開口が所定方向に傾斜している場合、(c)は、ケース開口が所定方向と反対方向に傾斜している場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る空気調和機の実施の形態について説明する。
【0021】
[空気調和機の全体構成]
図1に示すように、本実施形態の空気調和機は、圧縮機1と、圧縮機1の吐出側が一端に接続された四路切換弁2と、四路切換弁2の他端に一端が接続された室外熱交換器3と、室外熱交換器3の他端に一端が接続された電動膨張弁4と、電動膨張弁4の他端に閉鎖弁12、連絡配管L1を介して一端が接続された室内熱交換器5と、室内熱交換器5の他端に閉鎖弁13、連絡配管L2、四路切換弁2を介して一端が接続され、他端が圧縮機1の吸入側に接続されたアキュムレータ6とを備えている。上記の圧縮機1、四路切換弁2、室外熱交換器3、電動膨張弁4、室内熱交換器5およびアキュムレータ6で冷媒回路が構成されている。
【0022】
また、この空気調和機は、室外熱交換器3の近傍に配置された室外ファン7と、室内熱交換器5の近傍に配置された室内ファン8とを備えている。上記の圧縮機1、四路切換弁2、室外熱交換器3、電動膨張弁4、アキュムレータ6、及び室外ファン7は、室外機10に配置され、室内熱交換器5、及び室内ファン8は、室内機20に配置されている。
【0023】
この空気調和機では、暖房運転時、四路切換弁2を実線の切換え位置に切り換えて、圧縮機1を起動すると、圧縮機1から吐出された高圧冷媒が四路切換弁2を通って室内熱交換器5に入る。そして、室内熱交換器5で凝縮した冷媒は、電動膨張弁4で減圧された後に室外熱交換器3に入る。室外熱交換器3で蒸発した冷媒が四路切換弁2およびアキュムレータ6を介して圧縮機1の吸入側に戻る。こうして、圧縮機1、室内熱交換器5、電動膨張弁4、室外熱交換器3およびアキュムレータ6で構成された冷媒回路を冷媒が循環して、冷凍サイクルを実行する。そして、室内ファン8により室内熱交換器5を介して室内空気を循環させることにより室内を暖房する。
【0024】
これに対して、冷房運転時(除湿運転時を含む)は、四路切換弁2を点線の切換え位置に切り換えて、圧縮機1を起動すると、圧縮機1から吐出された高圧冷媒が四路切換弁2を通って室外熱交換器3に入る。そして、室外熱交換器3で凝縮した冷媒は、電動膨張弁4で減圧された後に室内熱交換器5に入る。室内熱交換器5で蒸発した冷媒が四路切換弁2およびアキュムレータ6を介して圧縮機1の吸入側に戻る。こうして、圧縮機1、室外熱交換器3、電動膨張弁4、室内熱交換器5およびアキュムレータ6の順に冷媒が循環する冷凍サイクルを実行する。そして、室内ファン8により室内熱交換器5を介して室内空気を循環させることにより室内を冷房する。
【0025】
この空気調和機では、可燃性冷媒が使用される。本発明において「可燃性冷媒」とは、可燃性冷媒のほか微燃性冷媒を含む。この空気調和機では、微燃性冷媒であるR32が用いられるが、例えばR290が用いられてもよい。また、この空気調和機では、空気よりも比重が大きい冷媒が使用される。
【0026】
[室内機]
図2図4に示すように、室内機20は、床置き型の室内機であって、室内の壁面に後面側が取り付けられる略長方形状の底フレーム21と、底フレーム21の前面側に取り付けられ、前面に略長方形状の開口部22cを有する前面グリル22と、前面グリル22の開口部22cを覆うように取り付けられた前面パネル23とを備えている。この底フレーム21、前面グリル22、及び前面パネル23により、ケーシング20aが形成されている。
【0027】
前面グリル22の上部には、上側吹出口22aが設けられ、前面グリル22の下部には、下側吹出口22bが設けられている。上側吹出口22aに連通する上側吹き出し通路P1には、上下方向について上側吹出口22aから吹き出される空気流の風向を変更する上下フラップ24が設けられている。上下フラップ24には、フラップモータ24a(図9参照)が接続されている。上下フラップ24は、フラップモータ24aの駆動により、水平方向に沿った回転軸の周りを回動可能である。この上下フラップ24は、冷房運転および暖房運転時には、上側吹出口22aから冷風または温風が前方かつ斜め上方に吹き出される位置まで回動して、その位置で停止する。また、運転停止時は、図2に示すように、上側吹出口22aを閉じる。
【0028】
一方、下側吹出口22bに連通する下側吹き出し通路P2内には、下側吹出口22bを開閉するシャッター30と、左右方向について下側吹出口22bから吹き出される空気流の風向を変更する左右フラップ31が配置されている。シャッター30には、シャッターモータ30bが接続されている。シャッター30は、シャッターモータ30bの駆動により、図4に示すように、水平方向に沿った軸30aを中心に回動する。このシャッター30は、一点鎖線で示すAの位置で停止して、下側吹出口22bを開き、一点鎖線で示すBの位置で停止して、下側吹出口22bを閉じる。なお、左右フラップ31は、手動でフラップの向きが調整されるものである。
【0029】
また、上記前面パネル23の上側には、上側吸込口23aが設けられ、前面パネル23の下側には、下側吸込口23bが設けられ、さらに前面パネル23の左右の側面には、側方吸込口23c(図2では右側のみを示す)が設けられている。
【0030】
図4に示すように、底フレーム21の略中央には、ファンモータ26が固定されている。このファンモータ26の軸が接続された室内ファン8が、軸が前後方向になるように底フレーム21に配置されている。室内ファン8は、前面側から吸い込んだ空気を軸に対して半径方向外側に吹き出すターボファンである。また、底フレーム21は、室内ファン8の前面側に形成されたベルマウス27を有している。そして、ベルマウス27の前面側に室内熱交換器5が配置され、その室内熱交換器5の前面側に前面グリル22が取り付けられる。また、その前面グリル22のさらに前面側に前面パネル23が取り付けられる。前面グリル22の開口部22cには、フィルタ25が取り付けられている。
【0031】
この空気調和機では、運転が開始されると、ファンモータ26が駆動して、室内ファン8が回転する。そして、室内ファン8の回転によって、上側吸込口23a、下側吸込口23b、及び側方吸込口23cから室内機20の内部に室内空気が吸い込まれて、室内機20の内部に吸い込まれた室内空気は、室内熱交換器5で熱交換された後、上側吹出口22aおよび下側吹出口22bからが室内に吹き出される。なお、シャッター30が、下側吹出口22bを閉じている場合には、室内機20の内部に吸い込まれた室内空気は、上側吹出口22aのみから吹き出される。
【0032】
図5図7に示すように、室内熱交換器5の下方には、室内熱交換器5で生じた空気中からの凝縮水を受け取って排水するためのドレンパン28が配置されている。このドレンパン28の周囲は、断熱材40で覆われている。また、室内熱交換器5の右外側(長手方向外側)、かつ上方には、電装品箱50が配置されている。電装品箱50の下方には、センサ取付部70(図11(c)参照)が配置されており、センサ取付部70には、冷媒ガス検出センサ9が着脱可能に取り付けられている。この冷媒ガス検出センサ9は、室内熱交換器5及びドレンパン28の右外側(長手方向外側)に配置される。図5に示すように、電装品箱50は、冷媒ガス検出センサ9から延びたハーネス68が接続されるハーネス接続部52を有している。ハーネス68は、図5に示すように、室内熱交換器5の長手方向(左右方向)について、室内熱交換器5から延在し且つ連絡配管L1、L2に接続される冷媒配管5a、5bよりも、室内熱交換器5の外側を引き回される。
【0033】
(ドレンパン)
ドレンパン28は、図8(a)に示すように、底部41と、底部41の全周囲から上方に延在した周壁部42とを有している。このドレンパン28は、長手方向について、右端28R近傍(冷媒ガス検出センサ側の端部)に、凝縮水を排水するための排出孔43を有している。排出孔43には、排出ホース44が接続されている。この排出ホース44は、連絡配管L1、L2とともに、室外まで延在する。図8(b)に示すように、ドレンパン28の底部41は、左端28Lから右端28Rに向かうにつれて(長手方向について、冷媒ガス検出センサに近づくにつれて)、下方に傾斜している。したがって、室内熱交換器5からドレンパン28に落下した凝縮水は、ドレンパン28の左端28L側から右端28R側に向かって流れて、排出孔43から排出される。なお、図8(b)では、図の理解を容易とするために、実際よりもドレンパン28の底部41の傾斜を大きく図示している。
また、図8(c)に示すように、ドレンパン28の周壁部42のうち、冷媒ガス検出センサ9側には、切欠き45が形成されている。切欠き45は、詳しくは、ドレンパン28の右端28R側の側面(周壁部42の右側面)に形成される。なお、「冷媒ガス検出センサ側の周壁部」とは、室内熱交換器5の長手方向中央(左右方向中央)よりも冷媒ガス検出センサ9側の周壁部42のことを指す。したがって、切欠きは、必ずしも周壁部42の右側面に形成される必要はなく、冷媒ガス検出センサ9側の周壁部42であればどこに形成されていてもよい。
【0034】
この空気調和機では、万一、室内熱交換器5内の冷媒配管が破損するなどして、冷媒ガスが漏洩した場合、空気より比重の大きい冷媒ガスは下方に流れて、ドレンパン28に達する。ドレンパン28に達した冷媒ガスは、ドレンパン28の傾斜に沿って左端28L側から右端28R側に向かって流れるため、ドレンパン28に達した冷媒ガスは、長手方向について冷媒ガス検出センサ9側において、ドレンパン28から溢れやすく、特に、周壁部42に形成された切欠き45から溢れやすい。溢れた冷媒ガスは、室内機20の底に滞留し、室内機20から外部に漏洩する。
【0035】
(電装品箱)
電装品箱50には、制御部51が収納されており、空気調和機の冷暖房運転等に必要な各構成部品の制御を行う。この制御部51は、図9に示すように、ファンモータ26、冷媒ガス検出センサ9、フラップモータ24a、シャッターモータ30bを接続しており、室内ファン8、上下フラップ24、シャッター30の制御を行ったり、冷媒ガス検出センサ9で検出された冷媒ガスの検出結果に基づいて、冷媒漏れの有無を判断したりする。
【0036】
(冷媒ガス検出センサ)
冷媒ガス検出センサ9は、漏洩した冷媒ガスを検出するセンサであり、図5に示すように、ドレンパン28と同じ高さ又はドレンパン28より下方に配置されている。また、この冷媒ガス検出センサ9は、ドレンパン28の右外側(長手方向外側)かつドレンパン28及び室内熱交換器5よりも奥(後方)に配置されている。
【0037】
この冷媒ガス検出センサ9は、図10(a)、(b)に示すように、冷媒ガスを検出する検出素子61と、検出素子61の周囲に配置される筒状(例えば円筒状)のケース部材62と、検出素子61及びケース部材62が下面に固定されるプリント基板63と、プリント基板63の周囲を覆うハウジング(周囲部材)64とを有している。このケース部材62は、検出素子61の周方向近傍に配置されており、検出素子61とケース部材62の内周面との距離は、僅かである。
【0038】
ケース部材62は、その下端に、漏洩した冷媒ガスをケース部材62の内部に取り込むためのケース開口(第1開口)62aを有している。ケース開口62aには、例えば網目状のフィルタが取り付けられている。図10(b)に示すように、ケース開口62aは、水平面に沿って形成されており、ケース開口62aの全域が、検出素子61よりも下方にある。また、ケース部材62の上端は、プリント基板63で塞がれており、冷媒ガスが、ケース開口62a以外からケース部材62の内部に取り込まれないようになっている。また、ハウジング(周囲部材)64は、プリント基板63の周囲かつ上方を覆う第1ハウジング65と、プリント基板63の周囲かつ下方、及びケース部材62の周囲を覆う第2ハウジング66とを有している。第2ハウジング66の底面には、複数のスリット(第2開口)66aが形成されている。この冷媒ガス検出センサ9では、冷媒ガスが、スリット66a以外からハウジング64の内部に取り込まれないようになっている。また、第1ハウジング65には、後述するネジ(固定部材)Sが通過する孔部67が形成されている。
【0039】
ここで、「冷媒ガス検出センサが、ドレンパンと同じ高さに配置される」とは、図11(b)に示すように、冷媒ガス検出センサ9のケース開口62aが、ドレンパン28の右端28Rの上端28Raと下端28Rbの間にあることを意味する。また、「冷媒ガス検出センサが、ドレンパンより下方に配置される」とは、冷媒ガス検出センサ9のケース開口62aが、ドレンパン28の右端28Rの下端28Rbよりも下方にあることを意味する。
【0040】
図11及び図12に示すように、センサ取付部70は、冷媒ガス検出センサ9を取り付けるためのネジ孔(センサ固定部)71と、冷媒ガス検出センサ9の後端部を収容する収容部72とを有する。図12(a)に示すように、冷媒ガス検出センサ9がセンサ取付部70に取り付けられた状態においては、冷媒ガス検出センサ9の後端部が、収容部72に収容されるとともに、冷媒ガス検出センサ9の孔部67にネジ(固定部材)Sが通過した状態で、ネジ(固定部材)Sがネジ孔(センサ固定部)71に螺合されている。
【0041】
この冷媒ガス検出センサ9では、冷媒ガス検出センサ9がセンサ取付部70から取り外される際には、まず、ネジ(固定部材)Sがネジ孔(センサ固定部)71から前方向(固定部材が抜かれる方向(図12(a)参照))に抜かれたあと、冷媒ガス検出センサ9が、センサ取付部70に対して、前方向(冷媒ガス検出センサの取り外し方向(図12(a)参照))に所定距離(所定のスライド範囲)スライドされることによって取り外される。
【0042】
この室内機20では、図5図7及び図11(a)に示すように、冷媒ガス検出センサ9の取り外し方向に配置された前面グリル22及び前面パネル23(ケーシング20a)が開いた状態(取り外された状態)において、冷媒ガス検出センサ9の取り外し方向に、冷媒ガス検出センサ9の取り外しを規制する連絡配管(規制部材)L1、L2が配置されている。したがって、サービスマンやユーザ等が、前面グリル22及び前面パネル23(ケーシング20a)を取り外して、室内機20をメンテナンスする場合、誤って冷媒ガス検出センサ9を取り外そうとしても、連絡配管L1、L2が邪魔になって、冷媒ガス検出センサ9を容易に取り外すことができないようになっている。
【0043】
この連絡配管L1、L2は、室内熱交換器5から延びた冷媒配管5a、5bに接続される連絡配管(冷媒配管)であって、室内機20の下方に引き回された後で、室内機20の後方に引き回されて、室外機10側に延在している。2本の連絡配管L1、L2は、例えば1つの断熱材Hによって、覆われている。このように、2本の連絡配管L1、L2は、断熱材Hに覆われているので、連絡配管L1、L2が剥き出しの場合に比べて、手やドライバーで、冷媒ガス検出センサ9やネジSに触れにくいので、より冷媒ガス検出センサ9を取り外しにくくなっている。なお、2本の連絡配管は、それぞれ別の断熱材で覆われていてもよく、その場合でも、同様の効果が得られる。
【0044】
また、図5に示すように、冷媒配管5a、5bに接続される連絡配管L1、L2の接続部L1a、L2aは、冷媒ガス検出センサ9よりも上方に配置される。サービスマンやユーザ等は、冷媒回路を流れる冷媒を抜いて、連絡配管L1、L2を冷媒配管5a、5bから取り外したあとでなければ、冷媒ガス検出センサ9を取り外すことができないようにされている。
【0045】
ここで、「冷媒ガス検出センサの取り外し方向」とは、固定部材を介して冷媒ガス検出センサがセンサ固定部に固定されるものにおいては、固定部材が抜かれる方向を意味する。したがって、センサ固定部に固定された固定部材が抜かれると、冷媒ガス検出センサが下方に落下するものであっても、「冷媒ガス検出センサの取り外し方向」は、固定部材が抜かれる方向となる。また、冷媒ガス検出センサの取り外し方向に冷媒ガス検出センサがスライドするものにおいては、「冷媒ガス検出センサの取り外し方向」は、そのスライド方向を意味する。また、本実施形態のように、固定部材を介して冷媒ガス検出センサがセンサ固定部に固定され、かつ、冷媒ガス検出センサの取り外し方向に冷媒ガス検出センサがスライドするものにおいては、「冷媒ガス検出センサの取り外し方向」は、固定部材が抜かれる方向、および、冷媒ガス検出センサのスライド方向となる。ただし、本実施形態では、固定部材が抜かれる方向、および、冷媒ガス検出センサのスライド方向は、いずれも前方向であるため、「冷媒ガス検出センサの取り外し方向」は、前方向である。なお、例えば、固定部材が抜かれる方向と冷媒ガス検出センサのスライド方向とが異なる場合には、その2つの方向が、「冷媒ガス検出センサの取り外し方向」である。
【0046】
また、「規制部材」は、冷媒ガス検出センサの取り外しを規制するものであるため、冷媒ガス検出センサの取り外しを規制する位置に配置される必要がある。本実施形態では、規制部材である連絡配管L1、L2は、図11(a)に示すように、冷媒ガス検出センサ9がセンサ取付部70に取り付けられた状態において、正面視で冷媒ガス検出センサ9と重なる位置であって、かつ、冷媒ガス検出センサ9のスライド範囲内(図12(b)参照)に配置されている。また、連絡配管L1、L2は、ネジSがネジ孔71に螺合された状態において、ドライバーでネジSを抜くのを妨害する位置、すなわち、正面視においてネジSに重なる位置またはその近傍であって、かつ、ネジSと連絡配管L1、L2との距離がドライバーの長さの範囲内となるように配置されている。
【0047】
[本実施形態の空気調和機の特徴]
本実施形態の空気調和機には、以下の特徴がある。この空気調和機では、冷媒ガス検出センサ9は、ケース部材62の下方からケース部材62の内部に取り込まれたガスを検出するため、空気調和機の外部(例えば空調空間)から吸い込んだプロパンや殺虫剤などのように、ガスの量が少量である場合には、冷媒ガス検出センサ9で検出される可能性が極めて低い。したがって、空気調和機の外部から吸い込んだ異ガスを冷媒ガスと誤検出するのを防止できる。また、この空気調和機では、ケース開口62aが下向きであるため、ケース開口62aに塵埃が付着して冷媒ガス検出センサ9の検出精度が低下するのを防止できる。また、この空気調和機では、ケース開口62aが下向きであるため、例えばユーザ等が室内機20に水を誤って掛けてしまった場合や、凝縮水がドレンパン28から溢れる又は跳ねる場合など、冷媒ガス検出センサ9に水がかかる場合において、検出素子61に水が付着しにくいので、冷媒ガス検出センサ9が故障するのを防止できる。
【0048】
また、本実施形態の空気調和機では、ケース部材62が、検出素子61の周囲に配置され、かつプリント基板63の下面に固定される筒状の部材であるので、空気調和機の外部から吸い込んだ異ガスを冷媒ガスと誤検出するのをより防止でき、検出素子61に水や塵埃が付着するのをより防止できる。
【0049】
また、本実施形態の空気調和機では、プリント基板63及びケース部材62の周囲を覆うハウジング(周囲部材)64を有するので、空気調和機の外部から吸い込んだ異ガスを冷媒ガスと誤検出するのをより防止でき、プリント基板63に水や塵埃などが付着するのをより防止しつつ、かつ、検出素子61に水や塵埃などが付着するのをより防止できる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0051】
[変形例]
次に、図13を参照しつつ本発明の変形例にかかる空気調和機について説明する。図13に示すように、上記実施形態にかかる空気調和機の室内機20に取り付けられる冷媒ガス検出センサ9は、本発明の「ケース部材」が、プリント基板63の下面に固定される筒状の部材(ケース部材62)であるとともに、プリント基板63及び当該ケース部材62の周囲を覆うハウジング(周囲部材)64を有するが、本変形例にかかる空気調和機の室内機は、プリント基板63の下面に固定される筒状の部材を有しておらず、プリント基板63の周囲を覆うハウジング64aが、本発明の「ケース部材」に相当する点で上記実施形態と異なり、その他の点で上記実施形態と同じである。図13において、上記実施形態と構成が同じであるものについては、同じ符号を付している。
【0052】
この空気調和機では、ハウジング64a(すなわち、本発明の「ケース部材」)が、プリント基板63の周囲を覆っているので、空気調和機の外部(例えば空調空間)から吸い込んだ異ガスを冷媒ガスと誤検出するのをより防止でき、プリント基板63及び検出素子61に水や塵埃が付着するのをより防止できる。
【0053】
[その他変形例]
上述の実施形態では、冷媒ガスを内部に取り込むためのケース開口(第1開口)62aが、検出素子61よりも下方において水平に配置される場合、すなわち、ケース開口62aが、図14(a)に示すように、鉛直下向きである場合について説明したが、図14(b)、(c)に示すように、ケース開口62aの全域が検出素子61よりも下方にあれば、ケース開口62aが斜め下方を向いていてもよい。
【0054】
また、上述の実施形態では、プリント基板63及びケース部材62の周囲を覆うハウジング(周囲部材)64を有しており、ハウジング(周囲部材)64の底面に、スリット(第2開口)66aが形成される場合について説明したが、第2開口は、周囲部材の底部以外に形成されていてもよい。また、周囲部材は、なくてもよい。
【0055】
また、上述の実施形態では、冷媒ガス検出センサ9が、プリント基板63を有する構成のものである場合について説明したが、冷媒ガス検出センサの種類はそれに限られず、様々な構成のものを用いることができる。
【0056】
また、上述の実施形態では、室内機が床置き型の室内機である場合を説明したが、室内機は床置き型以外の室内機であってよいし、壁掛けの室内機であってよい。
【0057】
また、上述の実施形態では、冷媒ガス検出センサ9が室内機20の内部に配置される場合について説明したが、冷媒ガス検出センサが例えば室外機の内部に配置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明を利用すれば、空気調和機の外部から吸い込んだ異ガスを冷媒ガスと誤検出するのを防止できる。
【符号の説明】
【0059】
9 冷媒ガス検出センサ
61 検出素子
62 ケース部材
62a ケース開口(第1開口)
63 プリント基板
64 ハウジング(周囲部材)
64a ハウジング(ケース部材)
66a スリット(第2開口)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14