(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
<1.第1の実施形態>
[1−1.仮上屋の構成]
まず、
図1〜
図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る仮上屋30Aの構成について説明する。仮上屋30Aは、
図1に示すように、コークス炉本体100の炉団方向であるY方向にそれぞれ交互に並んだ、10棟の第1の分割仮上屋31a〜31jと、9棟の第2の分割仮上屋32a〜32iとを備える。さらに、仮上屋30Aは、
図2に示すように、第1の分割仮上屋31および第2の分割仮上屋32の内部に、柱51と、柱51に固定されY方向に延在するランウェイ52a,52bと、ランウェイ52a,52b上をY方向に移動可能に設けられた天井クレーン53とを備える。
【0017】
第1の分割仮上屋31は、
図3に示すように、X方向に対向するようにそれぞれ設けられた2つの壁部311と、2つの壁部311のZ軸の正方向側となる上端側に橋設された屋根部312と、2つの壁部311の下端にそれぞれ2つずつ軸支された車輪36とを有する。壁部311および屋根部312は、剛性を有する素材からなり、例えば鉄等の金属製であってもよい。第1の分割仮上屋31は、2つの壁部311にそれぞれ軸支された車輪36が、Y方向に延材しX方向に対向するように敷設された第1の分割仮上屋軌条41a,41b上にそれぞれ設けられることにより、第1の分割仮上屋軌条41a,41b上をY方向に移動することができる。
図3に図示した例では、Y軸の負方向側の端側に設けられた第1の分割仮上屋31aは、2つの壁部311aと、屋根部312aと、4つの車輪36とを有する。第1の分割仮上屋31aのY軸の正方向側に設けられた第1の分割仮上屋31b,31cも同様に、2つの壁部311b,311cと、屋根部312b,312cと、4つの車輪36とをそれぞれ有する。
【0018】
第2の分割仮上屋32は、第1の分割仮上屋31と同様に、X方向に対向するようにそれぞれ設けられた2つの壁部321と、2つの壁部321のZ軸の正方向側となる上端側に橋設された屋根部322と、壁部321の下端にそれぞれ2つずつ軸支された車輪36とを有する。第2の分割仮上屋32は、2つの壁部321にそれぞれ軸支された車輪36が、Y方向に延材しX方向に対向するように、第1の分割仮上屋軌条41a,41bの内側に設けられた第2の分割仮上屋軌条42a,42b上にそれぞれ設けられることにより、第2の分割仮上屋軌条42a,42b上をY方向に移動することができる。
図3に図示した例では、第2の分割仮上屋32a,32bは、2つの壁部321a,321bと、屋根部322a,322bと、4つの車輪36とをそれぞれ有する。
【0019】
また、第2の分割仮上屋32は、Z−X平面において、第1の分割仮上屋31と同様な形状有しているが、第1の分割仮上屋31よりもサイズが小さくなっており、第1の分割仮上屋31の内部に入子状に収容可能に構成される。例えば、
図1のように配置された状態において、第2の分割仮上屋32のY軸の正方向および負方向の端部は、それぞれ隣接する第1の分割仮上屋31に収容される。また、第2の分割仮上屋32が第1の分割仮上屋31に入子状に収容可能に構成されることにより、第1の分割仮上屋31または第2の分割仮上屋32を、異なる分割仮上屋軌条に設けられた第2の分割仮上屋32または第1の分割仮上屋31に影響されずにY方向に移動することが可能となる。
【0020】
さらに、第1の分割仮上屋31b〜31iは、壁部311および屋根部312のY軸の正方向および負方向の端部に、コークス炉本体100側が収容される側である内側に向かって突出するヘリ313を有する。ヘリ313は、壁部311および屋根部312の内側に連続して設けられ、ゴム等の可撓性を有する素材からなる。また、仮上屋30Aの端部に設けられる第1の分割仮上屋31a,31jは、第2の分割仮上屋32が隣接する側の壁部311および屋根部312のY方向の端部に、第1の分割仮上屋31b〜31iと同様にヘリ313を有する。
【0021】
また、第2の分割仮上屋32は、壁部321および屋根部322のY軸の正方向および負方向の端部に、コークス炉本体100側が収容される側と反対側である外側に向かって突出するヘリ324を有する。ヘリ324は、壁部321および屋根部322の内側に連続して設けられ、剛性を有する素材からなり、例えば壁部311および屋根部312と同じ素材であってもよい。
【0022】
図4に示すように、第1の分割仮上屋31a〜31jおよび第2の分割仮上屋32a〜32iが
図1のように配置された状態において、ヘリ313aとヘリ324bとは接触した状態となる。つまり、
図1の状態において、隣接する第1の分割仮上屋31および第2の分割仮上屋32のヘリ313,324同士が接触することで、第1の分割仮上屋31と第2の分割仮上屋32との間に生じる隙間が密閉される。これにより、外部からの雨水等の内部への侵入を防止することが可能となる。
【0023】
また、第1の分割仮上屋31および第2の分割仮上屋32は、ヘリ313が可撓性を有しているため、ヘリ313とヘリ324との干渉に影響されず、それぞれY方向に自在に移動することができる。例えば、
図4に示す状態から、第1の分割仮上屋31aをY軸の負方向側、または第2の分割仮上屋32aをY軸の正方向側に移動することができる。
柱51は、
図2に示すように、第1の分割仮上屋31および第2の分割仮上屋32が
図1に示す所定位置に配置された状態において、第2の分割仮上屋軌条42a,42bの内側に、Y方向に2列に並んで12本ずつ設けられる。また、柱51は、X方向の列の間隔が、建設されるコークス炉本体100のX方向の長さよりも長くなるように設けられる。
【0024】
ランウェイ52a,52bは、柱51の各列の内側にそれぞれ固定されて設けられる軌条である。
天井クレーン53は、ランウェイ52a,52bの上にそれぞれ設けられるサドル(不図示)と、サドル間に設けられたY方向に並ぶ2つのガータ(不図示)と、2つのガータ上にX方向に移動可能に設けられるトロリ(不図示)とを備える。
【0025】
[1−2.コークス炉本体の構成]
次に、
図5〜
図15を参照して、本実施形態において建設されるコークス炉本体100の構成について説明する。なお、図面を見易くするため、
図7、
図9においては、後述する煉瓦壁モジュール110の最下段(1段目)に位置する煉瓦をハッチングで示している。また、
図12および
図15は煉瓦壁モジュール110の底面図であるため、煉瓦壁モジュール110の平面図である
図11および
図14に対して第1の外壁部分110aと第2の外壁部分110bとが紙面に向かって上下入れ替わっている。
【0026】
本実施形態に係るコークス炉は、
図5〜
図7に示すコークス炉本体100を備えている。また、本実施形態に係るコークス炉は、図示していないが、炭槽、移動機(装炭車,押出機,ガイド車,消火車)、消火設備等を備えている。
コークス炉本体100は、複数の煉瓦101を積み上げた煉瓦積み構造体であり、X方向またはY方向に沿う横目地101bが連続目地であるが、Z方向に沿う縦目地101aが段毎に交互になった千鳥配列をとっている。また、コークス炉本体100は、主に、蓄熱室102、コーベル103、燃焼室104、炭化室106、および炉頂107からなり、燃焼室104と炭化室106とが炉団方向であるY方向に沿って交互にそれぞれ複数配列されている。燃焼室104と炭化室106は、燃焼室104の周囲を囲むようにして形成された煉瓦壁105で区画されている。燃焼室104は、煉瓦壁105で周囲を囲まれた領域内において複数のフリュー領域104aに区画されている。
【0027】
煉瓦壁105および炭化室106は、互いに直交するX方向(長手方向)およびY方向(短手方向)を含む平面方向においてX方向に延在し、このX方向を長手方向とする長尺状で形成されている。また、煉瓦壁105および炭化室106は、X方向およびY方向とそれぞれ直交するZ方向(高さ方向)に高さを有する構成になっている。本実施形態において、煉瓦壁105および炭化室106は、X方向の長さが約16m程度、Z方向の高さが約6〜8m程度である。また、煉瓦壁105のY方向の幅は約750〜1150mm程度、炭化室106のY方向の幅は約400〜600mm程度である。
【0028】
燃焼室104の周囲を囲む煉瓦壁105は、
図8〜
図15に示す煉瓦壁モジュール110を用いたモジュール工法で構築されている。本実施形態では、1つの煉瓦壁105に対して5個の煉瓦壁モジュール110が用いられている(
図7参照)。煉瓦壁モジュール110は、コークス炉本体100の一部もしくは全体の更新時や新築時の構築に用いることができる。
【0029】
次に、煉瓦壁モジュール110の構成について
図7〜
図11を参照して説明する。
煉瓦壁モジュール110は、X方向およびY方向を含む平面方向において複数の煉瓦101を並べてなる煉瓦層が平面方向と直交するZ方向に複数段積層された煉瓦積み構造になっている。本実施形態では、煉瓦壁モジュール110は、例えば8段積層構造になっている(
図9参照)。
【0030】
ここで、煉瓦壁モジュール110の説明において、下から数えて第8段目、すなわち最上段の煉瓦層を構成する煉瓦101を個別に煉瓦113と称することもある。また、下から数えて第1段目、すなわち最下段の煉瓦層を構成する煉瓦101を個別に煉瓦114と称することもある。
煉瓦壁モジュール110は、X方向に延在し、Y方向において互いに離間する第1および第2の外壁部分110a,110bと、Y方向に延在し、X方向において互いに離間し、かつ第1および第2の外壁部分110a,110bのそれぞれに連結された第3および第4の外壁部分110c,110dとを有している。
【0031】
また、煉瓦壁モジュール110は、第1〜第4の外壁部分110a〜110dで周囲を囲まれた領域内においてY方向に延在し、第1および第2の外壁部分110a,110bのそれぞれに連結され、かつX方向に所定の間隔を置いて配列された複数の内壁部分110eを有している。
そして、煉瓦壁モジュール110は、第1および第2の外壁部分110a,110bが第3および第4の外壁部分110c,110dよりも長い長方形の平面形状で形成されている。
【0032】
ここで、煉瓦壁モジュール110は、第1〜第4の外壁部分110a〜110dで周囲を囲まれた領域を有し、この領域は前述した燃焼室104に対応するので、煉瓦壁モジュール110においても燃焼室104と呼ぶ。また、第1〜第4の外壁部分110a〜110dで周囲を囲まれた領域は複数の内壁部分110eで複数の小室に区画されており、この小室は前述のフリュー領域104aに対応するので、煉瓦壁モジュール110においてもフリュー領域104aと呼ぶ。すなわち、煉瓦壁モジュール110は、第1〜第4の外壁部分110a〜110dで周囲を囲まれた燃焼室104が、複数の内壁部分110eにより複数のフリュー領域104aに区画されている。
【0033】
煉瓦壁モジュール110において、X方向およびY方向を含む平面方向において互いに隣り合う2つの煉瓦101の間の縦目地101a、および、Z方向において互いに隣り合う2つの煉瓦101の間の横目地101bは、モルタル119で充填されている(
図10参照)。煉瓦101およびモルタル119は例えば耐熱性の珪石材料で形成されている。
煉瓦壁モジュール110において、最上段(第8段目)の煉瓦層は、
図11および
図12に示すように、主に、異形の煉瓦113a〜113g、フロント煉瓦と呼称される異形の煉瓦113r〜113t等を含む複数の煉瓦113(煉瓦101)の組み合わせによって構成されている。
【0034】
最上段(第8段目)の煉瓦層において、第1および第2の外壁部分110a,110bは、煉瓦113a,113b,113c,113d,113e,113r,113sの組み合わせによって形成されている。また、第3および第4の外壁部分110c,110dは、内方に向かって2列になっており、煉瓦113d,113e,113fからなる列と、煉瓦113r,113s,113tからなる列との組み合わせによって形成されている。また、内壁部分110eは、煉瓦の組み合わせが異なる2種類の内壁部分110e1,110e2があり、一方の内壁部分110e1は煉瓦113b,113fの組み合わせによって形成され、他方の内壁部分110e2は煉瓦113c,113gの組み合わせによって形成されている。
【0035】
最上段の第1および第2の外壁部分110a,110bにおいて、煉瓦113a,113b,113c,113d,113eは、X方向においてそれぞれ互いに連結されている。また、最上段の第3および第4の外壁部分110c,110dにおいて、外側の列を構成する煉瓦113r,113s,113t、内側の列を構成する煉瓦113d,113e,113fは、Y方向において列毎にそれぞれ互いに連結されている。
【0036】
煉瓦113bおよび113cは、外壁部分および内壁部分を構成している。第1の外壁部分110aおよび内壁部分110e(110e1)を構成する煉瓦113bと、第2の外壁部分110bおよび内壁部分110e(110e1)を構成する煉瓦113bとは、煉瓦113fを介在して互いに支持されている。また、第1の外壁部分110aおよび内壁部分110e(110e2)を構成する煉瓦113cと、第2の外壁部分110bおよび内壁部分110e(110e2)を構成する煉瓦113cとは、煉瓦113gを介在して互いに支持されている。
【0037】
なお、第2段目から第7段目の煉瓦層においても、最上段(第8段目)の煉瓦層と同様の煉瓦113の組み合わせによって構成されている。ただし、同一煉瓦層内(X方向またはY方向)において互いに隣り合う2つの煉瓦101の間の縦目地101aがZ方向(積層方向)において互いに隣り合う2つの煉瓦層に亘って一直線状に繋がるのを避けるため、例えば煉瓦113bおよび113fの組み合わせからなる煉瓦群と、煉瓦113cおよび113gの組み合わせからなる煉瓦群との配置を段毎(層毎)に入れ替える等の工夫がなされている。
【0038】
煉瓦壁モジュール110において、最下段(第1段目)の煉瓦層は、
図14および
図15に示すように、主に、異形の煉瓦114b〜煉瓦114g、フロント煉瓦と呼称される異形の煉瓦114r〜114t等を含む複数の煉瓦114(煉瓦101)の組み合わせによって構成されている。
最下段(第1段目)の煉瓦層において、第1および第2の外壁部分110a,110bは、煉瓦114b,114c,114d,114e,114r,114sの組み合わせによって形成されている。また、第3および第4の外壁部分110c,110dは、内方に向かって2列になっており、煉瓦114d,114e,114fからなる列と、煉瓦114r,114s,114tからなる列との組み合わせによって形成されている。また、内壁部分110eは、煉瓦の組み合わせが異なる2種類の内壁部分110e1,110e2があり、一方の内壁部分110e1は煉瓦114b,114fの組み合わせによって形成され、他方の内壁部分110e2は煉瓦114c,114gの組み合わせによって形成されている。
【0039】
最下段の第1および第2の外壁部分110a,110bにおいて、煉瓦114b,114c,114d,114eは、X方向においてそれぞれ互いに連結されている。また、最下段の第3および第4の外壁部分110c,110dにおいて、外側の列を構成する煉瓦114r,114s,114t、内側の列を構成する煉瓦114d,113e,114fは、Y方向において列毎にそれぞれ互いに連結されている。
【0040】
煉瓦114bおよび114cは、外壁部分および内壁部分を構成している。煉瓦114bおよび114cは、外壁部分(110a,110b)を構成する部分の幅が内壁部分(110e1,110e2)を構成する部分の幅よりも広いT字形の平面形状になっている。すなわち、第1の外壁部分110aの最下段の煉瓦114b,114cは、第1の外壁部分110aを構成する第1の部分114b1,114c1および内壁部分110eを構成する第2の部分114b2,114c2を有し、この第1の部分114b1,114c1の幅が第2の部分114b2,114c2の幅よりも広いT字形の平面形状で形成されている。また、第2の外壁部分110bの最下段の煉瓦114b,114cも、第2の外壁部分110bを構成する第1の部分114b1,114c1および内壁部分110eを構成する第2の部分114b2,114c2を有し、この第1の部分114b1,114c1の幅が第2の部分114b2,114c2の幅よりも広いT字形の平面形状で形成されている。
【0041】
煉瓦114dおよび114eは、X方向に延在する外壁部分(110a,110b)およびY方向に延在する外壁部分(110c,110d)を構成し、L字形の平面形状になっている。
煉瓦114rおよび煉瓦114sは、X方向に延在する外壁部分(110a,110b)とY方向に延在する外壁部分(110c,110d)とが交差する角部に配置されているので、X方向に延在する外壁部分(110a,110b)およびY方向に延在する外壁部分(110c,110d)を構成している。
【0042】
第1の外壁部分110aおよび内壁部分110e(110e1)を構成する煉瓦114bと、第2の外壁部分110bおよび内壁部分(110e1)を構成する煉瓦114bとは、煉瓦114fを介在して互いに支持されている。また、第1の外壁部分110aおよび内壁部分(110e2)を構成する煉瓦114cと、第2の外壁部分110bおよび内壁部分(110e2)を構成する煉瓦114cとは、煉瓦114gを介在して互いに支持されている。また、第1の外壁部分110aを構成する煉瓦114rと、第2の外壁部分110bを構成する煉瓦114sとは、煉瓦114tを介在して互いに支持されている。
【0043】
すなわち、本実施形態の煉瓦壁モジュール110は、最下段(第1段目)の煉瓦層において、第1の外壁部分110aを構成する煉瓦(114b,114c,114d,114r)と第2の外壁部分110bを構成する煉瓦(114b,114c,114e,114s)とがY方向において互いに支持された構造になっている。
第2段目〜第8段目(最上段)の煉瓦113f,113g(
図12参照)、および第1段目(最下段)の煉瓦114f,114g(
図15参照)は、その厚さ方向、すなわちZ方向に延びる通気孔115を有している。この通気孔115は、各煉瓦層に亘って連通している。煉瓦113や煉瓦114には、通気孔115を通る気体をフリュー領域104aに噴出すための穴が設けられていてもよい。
【0044】
各煉瓦層(各段)の煉瓦101は、
図12、
図13および
図15に示すように、その厚さ方向(Z方向)において互いに反対側に位置する上面および下面のうち、上面に嵌合凹部116が設けられ、下面に嵌合凸部117が設けられている。この嵌合凹部116と嵌合凸部117は、Z方向(煉瓦の厚さ方向)において互いに隣り合う上下2つの煉瓦101のずれ止めの役割を持ち、下側の煉瓦101の嵌合凹部116に上側の煉瓦101の嵌合凸部117が嵌め込まれることによって上下2つの煉瓦101の位置決めが成される。
【0045】
なお、煉瓦壁モジュール110の最下段の煉瓦114(煉瓦101)の嵌合凸部117は、煉瓦壁モジュール110を据え付ける相手側の煉瓦の嵌合凹部、例えば炉体構築現場に最初に据え付ける初段の煉瓦壁モジュール110の場合は炉体構築現場の煉瓦の嵌合凹部に、炉体構築現場に既に据え付けられた下段の煉瓦壁モジュール110に上段の煉瓦壁モジュール110を据え付ける場合は下段の煉瓦壁モジュール110の最上段の煉瓦113の嵌合凹部116に嵌め込まれ、両者の位置決めが成される。
【0046】
煉瓦壁モジュール110は、最下段(1段目)の煉瓦114の下面にその下面から突出するようにして予め形成された複数のスペーサ118を有している(
図13参照)。このスペーサ118は、後で詳細に説明するが、
図20および
図22を参照すれば、煉瓦壁モジュール110を据え付ける相手側の煉瓦(120または113)と、煉瓦壁モジュール110の最下段の煉瓦114(煉瓦101)との間にモルタル119を介在して相手側の煉瓦(120または113)に煉瓦壁モジュール110を据え付ける際、相手側の煉瓦(120または113)と煉瓦壁モジュール110の最下段の煉瓦114との間の離間距離tを確保するためのものである。このスペーサ118は、バランスを取るため、1つの煉瓦114に対して複数個設けられている。
【0047】
このように構成された煉瓦壁モジュール110は、コークス炉本体100の炉体構築現場から離れた別地で予め形成され、この別地から炉体構築現場に直接搬送、もしくは一旦保管場所に搬送した後に炉体構築現場に搬送される。
[1−3.コークス炉本体の建設方法]
次に、
図16〜
図22を参照して、本実施形態に係るコークス炉本体の建設方法について説明する。なお、図面を見やすくするため、
図19および
図21においては、煉瓦壁モジュール110の最下段(1段目)に位置する煉瓦をハッチングで示している。
【0048】
まず、コークス炉本体100の炉体構築現場(オンサイト)から離れた別地(オフサイト)において、1つの煉瓦壁105に対して5個の煉瓦壁モジュール110を予め形成する(
図16の煉瓦壁モジュールの形成工程:S11)。煉瓦壁モジュール110は、手積み、すなわち1段毎に煉瓦積みして形成されるが、本実施形態では1つの煉瓦壁105に対して5個の煉瓦壁モジュール110を用いているので、1つの煉瓦壁105に対して最大で5個の煉瓦壁モジュール110を同時進行で形成することができる。
【0049】
次に、別地にて形成された複数の煉瓦壁モジュール110をこの別地から炉体構築現場に直接搬送、もしくは一旦保管場所に搬送した後に炉体構築現場に搬送され、仮上屋30A内に搬入される(
図16の煉瓦壁モジュールの搬送工程:S12)。
ここで、ステップS12の搬送工程に先立ち、炉体構築現場には仮上屋30Aが予め設けられる。仮上屋30Aの第1の分割仮上屋31および第2の分割仮上屋32は、コークス炉本体100が建設される前に、炉体構築現場のコークス炉本体建設区域外で建設(組み立て)され、組み立てが完成した後にコークス炉本体建設区域に移動され、
図1に示す所定位置に固定される。また、第1の分割仮上屋31および第2の分割仮上屋32の組み立て作業と並行して、柱51、ランウェイ52a,52bおよび天井クレーン53が設置される。なお、第1の分割仮上屋軌条41a,41bおよび第2の分割仮上屋軌条42a,42bには、不図示のガイド車軌条、消火車軌条、押し出し機軌条等の既設のレールが用いられてもよい。一方、第1の分割仮上屋軌条41a,41bおよび第2の分割仮上屋軌条42a,42bに既設のレールが用いられない場合には、新たにレールを敷設する必要があり、このような場合には第1の分割仮上屋31および第2の分割仮上屋32の組み立ての前に予めレールの敷設が行われる。
【0050】
また、ステップS12の搬送工程では、煉瓦壁モジュール110を仮上屋30A内に搬入する際に、搬入される煉瓦壁モジュール110が設置される位置に対応した第1の分割仮上屋31または第2の分割仮上屋32の少なくとも一方をY方向に移動し、仮上屋30Aの任意の領域を外部に開放する。つまり、搬入される煉瓦壁モジュール110が設置される領域に応じて、この領域に含まれる第1の分割仮上屋31および第2の分割仮上屋32、さらに必要に応じてその周囲の第1の分割仮上屋31および第2の分割仮上屋32を移動する。また、搬入される煉瓦壁モジュール110は、仮上屋30Aの外部に設けられたクレーンや重機等により、仮上屋30Aの外部に開放された箇所から、仮上屋30A内に直接搬入される。
【0051】
図17は
図1に示す所定位置に配置された仮上屋30AのY軸の負方向側端部を示し、
図18は
図17の状態から第1の分割仮上屋31bをY軸の負方向に移動することで仮上屋30Aの一部が外部に開放された状態を示す。
図18では、第1の分割仮上屋31bを移動することで、第2の分割仮上屋32aと第2の分割仮上屋32bとの間が外部に開放される。これにより、第2の分割仮上屋32aと第2の分割仮上屋32bとの間に領域に設けられる煉瓦壁モジュール110が、設置される位置に外部から直接搬入される。
【0052】
次に、炉体構築現場において、1つの煉瓦壁105に対して煉瓦壁モジュール110を複数段積層する(
図16の煉瓦壁モジュールの据付工程:S13)。本実施形態では煉瓦壁モジュール110を5段積層する。具体的には、まず、
図19および
図20に示すように、炉体構築現場の煉瓦120と、初段の煉瓦壁モジュール110の最下段の煉瓦114との間にモルタル119を介在した状態で炉体構築現場上に初段の煉瓦壁モジュール110を据え付ける。次に、
図21および
図22に示すように、炉体構築現場に既に据え付けた初段の煉瓦壁モジュール110の最上段の煉瓦113と次段の煉瓦壁モジュール110の最下段の煉瓦114との間にモルタル119を介在した状態で初段の煉瓦壁モジュール110上に次段の煉瓦壁モジュール110を据え付ける。この後、同様にして次段の煉瓦壁モジュール110上にさらに次段の煉瓦壁モジュール110を順次据え付ける。なお、煉瓦壁モジュール110の据え付けに伴う煉瓦壁モジュール110のハンドリング作業は、ステップS12と同様に、仮上屋30Aの作業が行われる領域が外部に開放された状態において、外部に設けられたクレーンや重機等により行われる。
【0053】
この煉瓦壁モジュール110の据付工程では、初段および次段の煉瓦壁モジュール110の何れの据え付けにおいても、煉瓦壁モジュール110を据え付ける相手側の煉瓦(初段の煉瓦壁モジュール110を据え付ける場合は炉体構築現場の煉瓦120、次段の煉瓦壁モジュール110を据え付ける場合は前段の煉瓦壁モジュール110の最上段の煉瓦113)と、据え付ける煉瓦壁モジュール110の最下段の煉瓦114との間にモルタル119を介在して行われるが、相手側の煉瓦120または113と、煉瓦壁モジュール110の最下段の煉瓦114との間には、相手側の煉瓦120または113と煉瓦壁モジュール110の最下段の煉瓦114との離間距離tを確保するスペーサ118が設けられている。
【0054】
この煉瓦壁モジュール110の据付工程において、炉体構築現場に1つの煉瓦壁モジュール110を据え付けることにより、その煉瓦壁モジュール110の煉瓦層の段数に相当する分の煉瓦積みが完了するので、1段毎に煉瓦積みする場合と比較して、煉瓦壁105の構築に掛かる時間を短くすることができる。
この後、最上段の煉瓦壁モジュール110上に残りの部分を例えば手積みで構築することにより、燃焼室104を囲む煉瓦壁105がほぼ完成する。
【0055】
ここで、煉瓦壁モジュール110を据え付けるときのモルタル119はペースト状であり、煉瓦壁モジュール110を据え付けた後、乾燥させて硬化させている。ペースト状のモルタル119は、圧縮力により変形し易いので、重量が大きい煉瓦壁モジュール110を据え付ける場合は、設計上必要なモルタル119の厚さを確保することが困難となる。
これに対し、本実施形態では、煉瓦壁モジュール110の据付工程において、初段および次段の煉瓦壁モジュール110の何れの据え付けにおいても、煉瓦壁モジュール110を据え付ける相手側の煉瓦(初段の煉瓦壁モジュール110を据え付ける場合は炉体構築現場の煉瓦120、次段の煉瓦壁モジュール110を据え付ける場合は前段の煉瓦壁モジュール110の最上段の煉瓦113)と、据え付ける煉瓦壁モジュール110の最下段の煉瓦114との間には相手側の煉瓦120または113と煉瓦壁モジュール110の最下段の煉瓦114との離間距離tを確保するスペーサ118が設けられているので、重量が大きい煉瓦壁モジュール110を据え付ける場合においても、モルタル119の厚さを適正に保持して寸法精度を確保できる。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る建設方法では、煉瓦壁モジュール110の仮上屋30Aの内部への搬入や据え付け等に伴う煉瓦壁モジュール110のハンドリングを、仮上屋30Aの外部に設けられたクレーン重機等により行う。このため、煉瓦壁モジュール110を仮上屋30A内に入れ込んだ後に、仮上屋30A内で通過させることができない箇所を回避させるために煉瓦壁モジュール110を旋回・移動させる必要がなくなり、一体型の仮上屋に比べて工期を短縮することが可能となる。
【0057】
また、仮上屋が一体型の場合、コークス炉本体100の建設に用いられる他の煉瓦や金物に比べ重量が大きい煉瓦壁モジュール110について自由度のあるハンドリングをしようとすると、超重量物を吊り上げ可能な天井クレーン等の大掛かりな設備を設ける必要があり、さらにこのような設備の大型に伴い仮上屋を高強度化する必要があった。これに対し、本実施形態に係る仮上屋30Aでは、例えば天井クレーン53等の仮上屋30Aの内部に設けられるクレーンで煉瓦壁モジュール110をハンドリングする必要がないため、煉瓦壁モジュール110のハンドリングに伴う大掛かりな設備を設ける必要がなく、仮上屋30Aを高強度化する必要もなくなる。
【0058】
さらに、本実施形態に係る仮上屋30Aでは、天井クレーン53を用いて煉瓦壁モジュール110を移動させる必要がなくなるため、他の部材に比べて高さのある煉瓦壁モジュール110を、建設途中で高さのあるコークス炉本体100の上側を天井クレーン53で移動させる必要がない。このため、本実施形態に係る仮上屋30Aでは、一体型の仮上屋の場合に比べ、仮上屋30Aの高さや天井クレーン53が設けられる高さを低くすることが可能となる。
【0059】
<2.第2の実施形態>
[2−1.仮上屋の構成]
次に、本発明の第2の実施形態に係る仮上屋30Bおよびコークス炉本体の建設方法について説明する。本実施形態に係るコークス炉本体100の建設方法は、仮上屋30Bの構成が第1の実施形態と異なるが、それ以外の構成であるコークス炉本体100の構成や建設方法については第1の実施形態と同様である。
【0060】
まず、
図23〜
図27を参照して、本実施形態に係る仮上屋30Bの構成について説明する。仮上屋30Bは、
図23に示すように、コークス炉本体100の炉団方向であるY方向に並んだ、10棟の第3の分割仮上屋33a〜33jと、4棟の第4の分割仮上屋34a〜34dとを備える。また、仮上屋30Bは、
図2に示す第1の実施形態と同様に、第3の分割仮上屋33および第4の分割仮上屋34の内部に、柱51と、柱51に固定されY方向に延在するランウェイ52a,52bと、ランウェイ52a,52b上をY方向に移動可能に設けられた天井クレーン53とを備える。
【0061】
第3の分割仮上屋33は、
図24に示すように、X方向に対向するようにそれぞれ設けられた2つの壁部331と、2つの壁部331のZ軸の正方向側となる上端側に橋設された屋根部332と、2つの壁部331の下端にそれぞれ2つずつ軸支された車輪36とを有する。壁部331および屋根部332は、剛性を有する素材からなり、例えば鉄等の金属製であってもよい。第3の分割仮上屋33は、2つの壁部331にそれぞれ軸支された車輪36が、Y方向に延材しX方向に対向するように敷設された第3の分割仮上屋軌条43a,43b上にそれぞれ設けられることにより、第3の分割仮上屋軌条43a,43b上をY方向に移動することができる。
図24に図示した例では、第3の分割仮上屋33a,33b,33cは、2つの壁部331a,331b,331cと、屋根部332a,332b,332cと、4つの車輪36とをそれぞれ有する。
【0062】
また、第3の分割仮上屋33は、隣接する第3の分割仮上屋33または第4の分割仮上屋34と、不図示の掛止機構等が設けられることで着脱可能に接続される。なお、図示しないが、隣接する第3の分割仮上屋33同士の間、または第3の分割仮上屋33と第4の分割仮上屋34との間には、外部から雨水が侵入しないように、ゴム等からなるシール部材が設けられる。これにより、仮上屋30Bは、
図23〜
図25に示すように隣接する第3の分割仮上屋33および第4の分割仮上屋34が接続された状態において、外部からの雨水等の内部への侵入を防止することが可能となる。
【0063】
第4の分割仮上屋34は、カバー部材345と、3つのフレーム部材346(346A〜346C)と、リンク部材347と、枢着部材348と、車輪36とを備える。
カバー部材345は、プラスティック等からなる防水性および柔軟性を有するシートであり、フレーム部材346の外側に固定される。
フレーム部材346は、剛性を有する金属等からなり、第3の分割仮上屋33の壁部331および屋根部332とY方向に同様な形状を有する。フレーム部材346の下端には、第3の分割仮上屋33と同様に、2つの車輪36が軸支される。フレーム部材346A,346B,346Cは、Y方向に並んで設けられ、端側に設けられたフレーム部材346A,346Cは、隣接する第3の分割仮上屋33と着脱可能に接続される。
図24に示した例では、第4の分割仮上屋34aのフレーム部材346A,346Cは、隣接する第3の分割仮上屋33b,33cにそれぞれ接続される。フレーム部材346は、軸支された車輪36が、第3の分割仮上屋軌条43a,43b上にそれぞれ設けられることにより、第3の分割仮上屋軌条43a,43b上をY方向に移動することができる。
【0064】
リンク部材347は、剛性を有する金属等からなり、長手方向の一端が枢着部材348によりY方向の端側のフレーム部材346A,346Cに回動可能に固定され、長手方向の他端が枢着部材348によりY方向の中央のフレーム部材346Bに回動可能およびフレーム部材346Bの長手方向に移動可能に固定される。
図24に図示した例では、リンク部材347A,347B,347C,347Dは、長手方向の一端がフレーム部材346A,346Cの何れかに、枢着部材348A,348B,348E,348Fにより回動可能にそれぞれ固定される。さらに、リンク部材347A,347B,347C,347Dは、長手方向の他端がフレーム部材346Bに、枢着部材348C,348Dにより回動可能およびフレーム部材346Bの長手方向に移動可能に固定される。なお、リンク部材347および枢着部材348は、第4の分割仮上屋34の、隣接する第3の分割仮上屋33の2つの壁部331に対応した面にそれぞれ設けられる。つまり、
図24では図示していないが、X軸の負方向側の壁部331についても、上記のX軸の正方向側等同様にリンク部材347および枢着部材348が設けられる。
【0065】
第4の分割仮上屋34は、上記の構成を有することにより、Y方向に蛇腹式に伸縮可能に構成される。このため、仮上屋30Bは、
図23に示す状態から、任意の第3の分割仮上屋33同士または第3の分割仮上屋33と第4の分割仮上屋34との接続が解除され、任意の第4の分割仮上屋34が縮むことで、仮上屋30Bの任意の領域が外部に開放される。さらに、外部に開放される領域の位置や大きさに応じて、この第4の分割仮上屋34の周囲の第3の分割仮上屋33および第4の分割仮上屋34がY方向に移動してもよい。
【0066】
図26に図示した例では、
図25に図示した状態から第3の分割仮上屋33bと第4の分割仮上屋34aとの接続が解除され、フレーム部材346A,346BがY軸の正方向側に移動され、第3の分割仮上屋33bと第4の分割仮上屋34aとの間の領域が外部に開放される。また、
図27に図示した例では、
図25に図示した状態から第3の分割仮上屋33aと第3の分割仮上屋33bとの接続が解除され、フレーム部材346A,346Bおよび第3の分割仮上屋33bがY軸の正方向側に移動され、第3の分割仮上屋33aと第3の分割仮上屋33bとの間の領域が外部に開放される。
【0067】
[2−2.コークス炉本体の建設方法]
次に、本実施形態に係るコークス炉本体100の建設方法について説明する。本実施形態に係るコークス炉本体100の建設方法は、
図16のステップS12,S13における仮上屋30Bの領域を外部に開放する方法が第1の実施形態と異なるが、それ以外の建設方法については、
図16〜
図22で説明したように第1の実施形態と同様に行われる。
【0068】
本実施形態の煉瓦壁モジュール110の搬送工程(
図16のステップS12に相当)では、上記のように搬入される煉瓦壁モジュール110が設置される位置に対応して、任意の第3の分割仮上屋33同士または第3の分割仮上屋33と第4の分割仮上屋34との接続が解除され、第4の分割仮上屋34が縮むことにより、仮上屋30Bの任意の領域が外部に開放される。これにより、第1の実施形態と同様に、煉瓦壁モジュール110が設置される位置に外部から直接搬入される。
【0069】
また、本実施形態の煉瓦壁モジュール110の据付工程(
図16のステップS13に相当)では、煉瓦壁モジュール110のハンドリング作業は、本実施形態の搬送工程と同様に煉瓦壁モジュール110が据え付けられる領域が外部に開放された状態において、外部に設けられたクレーンや重機等により行われる。
以上のように、本実施形態に係る建設方法では、第1の実施形態と同様に、煉瓦壁モジュール110を仮上屋30B内に入れ込んだ後に、仮上屋30B内で通過させることができない箇所を回避させるために煉瓦壁モジュール110を旋回・移動させる必要がなくなり、工期を短縮することが可能となる。また、煉瓦壁モジュール110のハンドリングに伴う大掛かりな設備を設ける必要がなく、仮上屋30Bを高強度化する必要もなくなる。さらに、一体型の仮上屋の場合に比べ、仮上屋30Bの高さや天井クレーン53が設けられる高さを低くすることが可能となる。
【0070】
また、本実施形態に係る建設方法では、第3の分割仮上屋33および第4の分割仮上屋34が第3の分割仮上屋軌条43a,43bの上を移動するため、第1の実施形態に比べ仮上屋30Bの移動に必要な軌条の数を少なくすることができる。このため、仮上屋30Bの移動に必要な軌条として、ガイド車軌条、消火車軌条、押し出し機軌条等の既設のレールを使用し易くなる。
【0071】
<3.まとめ>
以上、上記の実施形態では、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0072】
例えば、第1の分割仮上屋31、第2の分割仮上屋32、第3の分割仮上屋33および第4の分割仮上屋34の設けられる数や形状、配置は、実施例に限定されない。
また、上記の第2の実施形態では、仮上屋30Bは、炉団方向に2棟の第3の分割仮上屋33と、1棟の第4の分割仮上屋34とが交互に配列される構成であったが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、仮上屋30Bは、炉団方向に1棟の第3の分割仮上屋33と、1棟の第4の分割仮上屋34とが交互に配列される構成であってもよい。さらに、仮上屋30Bは、少なくとも一つの第4の分割仮上屋34からなる構成であってもよい。
【0073】
また、第4の分割仮上屋34は、蛇腹式に伸縮可能であればよく、フレーム部材346、リンク部材347および枢着部材348の設けられる数や形状は、実施例に限定されない。さらに、第4の分割仮上屋34は、上記の蛇腹式に伸縮可能な形状に限定されない。例えば、第4の分割仮上屋34は、
図24に示した例からフレーム部材346B、リンク部材347A〜347Dおよび枢着部材348A〜348Fの構成を除き、カバー部材345を支持できるようにフレーム部材346Aおよび346Cの複数個所をそれぞれワイヤーで接続する構成でもよい。
【0074】
以上のように、本発明に係る建設方法は、互いに直交する第1および第2の方向(X方向およびY方向)を含む平面方向に複数の煉瓦を並べてなる煉瓦層が平面方向と直交する第3の方向(Z方向)に複数段積層された複数の煉瓦壁モジュール110を第3の方向が一致するように、複数の煉瓦壁モジュール110を複数段積層して煉瓦壁105を形成するモジュール工法を用いたコークス炉本体100の建設方法において、コークス炉本体100を建設する際に、コークス炉本体100の炉団方向に並び、炉団方向に移動可能な複数の分割仮上屋31〜34で、建設されるコークス炉本体100を覆う。
【0075】
これにより、モジュール工法を用いてコークス炉本体100の建設する際に、一体型の仮上屋を用いる場合に比べて工期を短縮化することができる。
また、このコークス炉本体100の建設方法において、分割仮上屋は、第1の分割仮上屋31と、該第1の分割仮上屋よりも小さな外形を有し、入子状に第1の分割仮上屋31に収容可能な第2の分割仮上屋32とからなってもよい。
【0076】
さらに、このコークス炉本体100の建設方法において、分割仮上屋は、第3の分割仮上屋33と、炉団方向に収縮可能な第4の分割仮上屋34とからなってもよい。
さらに、このコークス炉本体100の建設方法において、分割仮上屋は、炉団方向に収縮可能な第4の分割仮上屋34からなってもよい。
さらに、このコークス炉本体100の建設方法において、分割仮上屋31〜34で建設されるコークス炉本体100が覆われた状態で、分割仮上屋31〜34の内部に分割仮上屋31〜34と独立して天井クレーン53が備えられてもよい。
【0077】
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る仮上屋30A,30Bは、互いに直交する第1および第2の方向(X方向およびY方向)を含む平面方向に複数の煉瓦を並べてなる煉瓦層が平面方向と直交する第3の方向(Z方向)に複数段積層された複数の煉瓦壁モジュール110を第3の方向が一致するように、複数の煉瓦壁モジュール110を複数段積層して煉瓦壁105を形成するモジュール工法を用いたコークス炉本体100の建設方法で用いられる仮上屋において、建設されるコークス炉本体100を覆い、コークス炉本体100の炉団方向に並び、炉団方向に移動可能な複数の分割仮上屋31〜34を備える。
【0078】
さらに、この仮上屋30Aにおいて、分割仮上屋は、第1の分割仮上屋31と、該第1の分割仮上屋31よりも小さな外形を有し、入子状に第1の分割仮上屋31に収容可能な第2の分割仮上屋32とからなってもよい。
さらに、この仮上屋30Bにおいて、分割仮上屋は、第3の分割仮上屋33と、炉団方向に収縮可能な第4の分割仮上屋34とからなってもよい。
【0079】
さらに、この仮上屋30Bにおいて、分割仮上屋は、炉団方向に収縮可能な第4の分割仮上屋34からなってもよい。
さらに、この仮上屋30A,30Bにおいて、分割仮上屋31〜34で建設されるコークス炉本体100が覆われた状態で、分割仮上屋31〜34の内部に分割仮上屋31〜34と独立して天井クレーン53が備えられてもよい。