(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
昇降シリンダ(10)の伸縮端にイコライザリンク(3b)を支持し、その両端に左右支持輪(3,3)別に支持高さを調節する左右の昇降調節ロッド(3a,3a)を連結して車高調節する移植機において、
前記イコライザリンク(3b)は、前記昇降シリンダ(10)の伸縮端に回動可能に軸支した釣合支軸(51a)と、この釣合支軸(51a)の両端でその回動軸線から互いに逆方向に偏心して前記左右の昇降調節ロッド(3a,3a)を個別連結する左右の連結アーム(51b,51b)とから構成し、かつ、両昇降調節ロッド(3a,3a)を互いに逆動作可能に前記釣合支軸(51a)を回動するローリングシリンダ(14)を設け、
該ローリングシリンダ(14)は、伸縮可能に片側の昇降調節ロッド(3a)及び連結アーム(51b)と連結するとともに、前記片側の昇降調節ロッド(3a)の上方または下方に形成される懐部に配置し、かつ、該ローリングシリンダ(14)の基部を、前記片側の昇降調節ロッド(3a)の中間位置に設けるとともに、前記片側の昇降調節ロッド(3a)の端部を前記片側の昇降調節ロッド(3a)と前記連結アーム(51b)の接続位置と異なる位置に配置する構成とし、
前記イコライザリンク(3b)は、前記釣合支軸(51a)と同心に歯車(52b,52b)を軸支し、夫々と噛合するラック(53,53)をさらに備え、
前記ラック(53,53)は、前記歯車(52b,52b)との噛合状態が保持される様に前記釣合支軸(51a)を案内するガイド穴を形成したガイド板(53a,53a)を備えることを特徴とする移植機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記ローリングシリンダは、機体中央に配置の昇降シリンダの直上位置でその伸縮に伴って移動可能に構成されることから、両シリンダの上下の重なりによって車高調節装置の高さ寸法の低減の余地が無く、機体のコンパクト化の障害となっていた。
【0005】
本発明は、機体中央配置の昇降シリンダと可動支持のローリングシリンダとを備える車高調節装置の構成高さ寸法を抑えて機体のコンパクト化を可能とする移植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、昇降シリンダ(10)の伸縮端にイコライザリンク(3b)を支持し、その両端に左右支持輪(3,3)別に支持高さを調節する左右の昇降調節ロッド(3a,3a)を連結して車高調節する移植機において、
前記イコライザリンク(3b)は、前記昇降シリンダ(10)の伸縮端に回動可能に軸支した釣合支軸(51a)と、この釣合支軸(51a)の両端でその回動軸線から互いに逆方向に偏心して前記左右の昇降調節ロッド(3a,3a)を個別連結する左右の連結アーム(51b,51b)とから構成し、かつ、両昇降調節ロッド(3a,3a)を互いに逆動作可能に前記釣合支軸(51a)を回動するローリングシリンダ(14)を
設け、
該ローリングシリンダ(14)は、伸縮可能に片側の昇降調節ロッド(3a)及び連結アーム(51b)と連結するとともに、前記片側の昇降調節ロッド(3a)の上方または下方に形成される懐部に配置し、かつ、該ローリングシリンダ(14)の基部を、前記片側の昇降調節ロッド(3a)の中間位置に設けるとともに、前記片側の昇降調節ロッド(3a)の端部を前記片側の昇降調節ロッド(3a)と前記連結アーム(51b)の接続位置と異なる位置に配置する構成とし、
前記イコライザリンク(3b)は、前記釣合支軸(51a)と同心に歯車(52b,52b)を軸支し、夫々と噛合するラック(53,53)をさらに備え、
前記ラック(53,53)は、前記歯車(52b,52b)との噛合状態が保持される様に前記釣合支軸(51a)を案内するガイド穴を形成したガイド板(53a,53a)を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項
2に係る発明は、請求項
1に係る発明において、両昇降調節ロッド(3a,3a)の連結アーム(51b,51b)との連結支点が左右同一高さか又は前記連結支点の互いの高さの差が小さくなるよう、前記イコライザリンク(3b)を左右に傾斜させた構成とすることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、
昇降シリンダ(10)の伸縮端にイコライザリンク(3b)を支持し、その両端に左右支持輪(3,3)別に支持高さを調節する左右の昇降調節ロッド(3a,3a)を連結して車高調節する移植機において、前記イコライザリンク(3b)は、前記昇降シリンダ(10)の伸縮端に回動可能に軸支した釣合支軸(51a)と、この釣合支軸(51a)の両端でその回動軸線から互いに逆方向に偏心して前記左右の昇降調節ロッド(3a,3a)を個別連結する左右の連結アーム(51b,51b)とから構成するとともに、両昇降調節ロッド(3a,3a)の連結アーム(51b,51b)との連結支点が左右同一高さか又は前記連結支点の互いの高さの差が小さくなるよう、左右に傾斜させた構成とし、かつ、両昇降調節ロッド(3a,3a)を互いに逆動作可能に前記釣合支軸(51a)を回動するローリングシリンダ(14)を設け、該ローリングシリンダ(14)は、伸縮可能に片側の昇降調節ロッド(3a)及び連結アーム(51b)と連結し、前記イコライザリンク(3b)は、前記釣合支軸(51a)と同心に歯車(52b,52b)を軸支し、夫々と噛合するラック(53,53)をさらに備え、前記ラック(53,53)は、前記歯車(52b,52b)との噛合状態が保持される様に前記釣合支軸(51a)を案内するガイド穴を形成したガイド板(53a,53a)を備え、さらに、両昇降調節ロッド(3a,3a)の連結アーム(51b,51b)との連結支点が左右同一高さか又は前記連結支点の互いの高さの差が小さくなるよう、前記イコライザリンク(3b)を左右に傾斜させた構成とすることを特徴とする。
【0010】
請求項
4に係る発明は、請求項
3に係る発明において、前記バルブ制御アーム(64)の制御支点(64a)を長穴(64b)の範囲で位置調節可能に形成し、この長穴(64b)は、中立位置の前記バルブ制御アーム(64)について、前記検出支点(62a)及び前記保持支点(61b)の軸線を中心とする円弧形状に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明により、昇降シリンダ(10)の伸縮により、その伸縮端に支持したイコライザリンク(3b)を介して左右の昇降調節ロッド(3a,3a)が左右支持輪(3,3)の支持高さを調節して機体を昇降調節支持し、このとき、ローリングシリンダ(14)の伸縮によってイコライザリンク(3b)の釣合支軸(51a)を回動することにより、両端の連結アーム(51b,51b)によって互いに逆方向に偏心連結された両昇降調節ロッド(3a,3a)が互いに逆向き動作し、左右の支持輪(3,3)別に上昇側と下降側に調節されることから、機体の左右傾斜を調節することができる。
この場合において、ローリングシリンダ(14)は、いずれかの昇降調節ロッド(3a,3a)の上方または下方で連結アーム(51b)との間の懐部に配置することができることから、車高調節部の構成高さを抑えることができるので、機体の高さ寸法を抑えてコンパクトに構成することができる。
また、前記昇降シリンダ(10)の伸縮の際に、歯車(52b,52b)が、ラック(53,53)によって噛合転動することから、前記釣合支軸(51a)の安定移動を確保することができる。
【0013】
請求項
2に係る発明により
、イコライザリンク(3b)を左右に傾斜させて両昇降調節ロッド(3a,3a)の連結アーム(51b,51b)との連結支点が左右同一高さか又は前記連結支点の互いの高さの差が小さくなるよう構成することにより、昇降シリンダ(10)の伸縮により左右支持輪(3,3)を均等に上下動させることができ、安定した昇降調節が可能となる。
【0014】
請求項
3に係る発明により、
請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、機体傾斜時は、振子式の傾斜検出アーム(62)が振子支点(61c)を中心に傾動されることから、傾斜検出アーム(62)が直立するまでの範囲で検出傾斜量が連係部材(63)を介してバルブ制御アーム(64)に作用し、ローリングシリンダ(14)の作動によって機体の傾斜が元に戻される。
また、傾動レバー(61a)を傾動操作すると、一体構成の傾動アーム(61)が傾動されて振子支点(61c)が側方に移動されることから、傾斜検出アーム(62)が検出支点(62a)の元の位置を通って直立するまでの範囲、すなわち、傾斜検出アーム(62)が直立するとともに傾動アーム(61)が直立するまでの範囲で機体が側方に傾斜され、このとき、傾動アーム(61)と平行する傾動レバー(61a)の操作角度と対応して機体が傾斜されることから、傾動レバー(61a)の操作角度と対応して機体を傾斜調節することができる。
【0015】
請求項
4に係る発明により、請求項
3に係る発明の効果に加え、前記バルブ制御アーム(64)は、前記連係部材(63)の連結位置を長穴(64b)の範囲で調節することによって作用半径の変更による感度調節が可能となり、このとき、長穴(64b)が前記検出支点(62a)の元の位置を中心とする円弧形状であることから、連係部材(63)を介して互いに連結する傾斜検出アーム(62)とバルブ制御アーム(64)の相互間の関係が左右傾斜中立時において維持されるので、傾斜調節機能を損なうことなく、制御感度の調節が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
移植機の車高調節部は、その側面図、平面図を順に
図1、
図2に示すように、機体幅の中央に配置した昇降シリンダ10と、その伸縮端に左右等長に支持したイコライザリンク3bと、このイコライザリンク3bを構成する左右等長の釣合支軸51aと、この釣合支軸51aの両端でその回動軸線から互いに逆方向に偏心して左右の昇降調節ロッド3a,3aを個別連結する左右の連結アーム51b,51bと、左右いずれか(図例は左側)の昇降調節ロッド3aと連結アーム51bとの間に伸縮可能に連結したローリングシリンダ14とによって要部を構成する。
【0018】
左右の昇降調節ロッド3a,3aは、変速伝動部4から左右に延びる伝動軸を中心に左右の走行伝動ケース9,9を回動して左右の後輪3,3の支持高さを個々に調節可能に構成し、昇降シリンダ10の伸縮により、その伸縮端に支持したイコライザリンク3bを介して左右の昇降調節ロッド3a,3aが左右支持輪3,3の支持高さを調節して機体を昇降調節支持し、このとき、ローリングシリンダ14の伸縮によってイコライザリンク3bの釣合支軸51aを回動することにより、両端の連結アーム51b,51bによって互いに逆方向に偏心連結された両昇降調節ロッド3a,3aが互いに逆向き動作し、左右の支持輪3,3別に上昇側と下降側に調節することにより、機体の左右傾斜を調節することができる。
【0019】
ローリングシリンダ14は、ピストンロッド14aの先端を昇降調節ロッド3aと反対側に偏心して連結アーム51bと連結し、ローリングシリンダ14の基部を昇降調節ロッド3aの中間位置に連結する。
【0020】
このように、ローリングシリンダ14は、いずれかの昇降調節ロッド3a,3aの上方または下方で連結アーム51bとの間の懐部に配置することができることから、車高調節部の構成高さを抑えることができるので、機体の高さ寸法を抑えてコンパクトに構成することができる。
【0021】
また、連結アーム51bについてローリングシリンダ14の支点の偏心量をより大きくすることにより、高精度の左右の傾斜調節が可能となり、複数支点から選択により偏心量を多段に切替え可能に構成することにより、トレッド変更に対応して傾斜のストロークと作動速度を調節することができる。
【0022】
(イコライザ)
また、釣合支軸51aは、昇降シリンダ10のピストンロッド10aの先端に一体に構成した支持部10bに回動可能に軸支してイコライザリンク3bを構成し、さらに、釣合支軸51aと同心に2つの同径歯車52b,52bを接続部材52aによって一体に軸支し、夫々と噛合する2つのラック53,53を設け、両ラック53,53を植付伝動部18aに支持するとともに、釣合支軸51aを案内可能にガイド穴を形成した左右のガイド板53a,53aを設ける。
【0023】
イコライザリンク3bは、昇降シリンダ10の伸縮の際に、接続部材52aによって一体構成の2つの同径歯車52b,52bが、それぞれのラック53,53によって互いに同速で噛合転動することから、前記釣合支軸51aの安定移動によって機体の安定昇降を確保することができるとともに、釣合支軸51aの支点として作用する同径歯車52b,52bにより、釣合支軸51aの支持剛性を増加することができる。
【0024】
また、イコライザリンク3bは、その要部背面図を
図3に示すように、左右に傾斜して両昇降調節ロッド3a,3aの支点を左右同一高さ位置に構成することにより、昇降シリンダ10の伸縮時に両昇降調節ロッド3a,3aの作動条件が左右同等となることから、左右同速の安定した昇降調節が可能となる。
【0025】
(傾斜調節制御)
次に、傾斜センサによる傾斜調節制御部について説明する。
傾斜調節制御部41は、ローリングシリンダ14を油圧駆動制御する油圧切替バルブ部40のバルブ制御アーム64に振子式の左右傾斜センサ62を連結して構成する。
【0026】
詳細には、傾斜調節制御部は、その正面図(a)と側面図(b)を
図4に示すように、傾動レバー61aを一体に備える傾動アーム61と、傾動アーム61に軸支した振子式の傾斜検出アーム62と、この傾斜検出アーム62とバルブ制御アーム64との間を連結する連係部材63とからなり、傾斜検出アーム62が機体の左右傾斜を検出すると、連係部材63を介してバルブ制御アーム64に作用し、ローリングシリンダ14を油圧駆動制御して傾斜を戻すように構成し、また、傾動レバー61aの操作によって機体を傾斜可能に構成する。
【0027】
詳細には、傾動アーム61は、傾動レバー61aの操作により直立位置から左右傾斜保持可能に保持支点61bに軸支し、この傾動アーム61に振子支点61cを設け、また、傾動レバー61aは、保持支点61bの軸線上に操作支持部61gを設けて操作可能位置に支持するとともに、振子支点61cと保持支点61bとを通る振子支持線と平行に配置する。
【0028】
傾斜検出アーム62は、その下端に振子62bを備え、傾動アーム61の振子支点61cに直立位置から機体の左右傾斜により左右回動可能に軸支し、直立姿勢時に傾動アーム61の保持支点61bの軸線上位置に検出支点62aを設けて連係部材63の一端を軸支する。
【0029】
バルブ制御アーム64は、連係部材63の他端を軸支する制御支点64aを備え、中立位置から左右回動により、傾斜検出アーム62の傾斜検出の範囲で傾斜低減側に前記ローリングシリンダ14を駆動制御する。
【0030】
上記構成の傾斜調節制御部により、機体傾斜時は、振子式の傾斜検出アーム62が振子支点61cを中心に傾動されることから、傾斜検出アーム62が直立するまでの範囲で連係部材63を介してバルブ制御アーム64に作用し、ローリングシリンダ14の作動によって機体の傾斜が元に戻される。
【0031】
また、傾動レバー61aを傾動操作すると、一体構成の傾動アーム61が傾動されて振子支点61cが側方に移動されることから、傾斜検出アーム62が検出支点62aの元の位置を通って直立するまでの範囲、すなわち、傾斜検出アーム62が直立した時に、傾動アーム61が直立するまでの範囲で機体が側方に傾斜され、このとき、傾動アーム61と平行する傾動レバー61aの操作角度と対応して機体が傾斜されることから、傾動レバー61aの操作角度と対応して機体を傾斜調節することができる。
【0032】
また、バルブ制御アーム64の制御支点64aを長穴64bの範囲で位置調節可能に形成し、この長穴64bは、中立位置の前記バルブ制御アーム64について、前記保持支点61bの軸線を中心とする円弧形状に形成する。
【0033】
上記構成のバルブ制御アーム64は、前記連係部材63の連結位置を長穴64bの範囲で調節することによって作用半径の変更による感度調節が可能となり、このとき、長穴64bが前記検出支点62aの元の位置を中心とする円弧形状であることから、連係部材63を介して互いに連結する傾斜検出アーム62とバルブ制御アーム64の相互間の関係が左右水平時において維持されるので、前記傾斜調節機能を損なうことなく、制御感度の調節が可能となる。
【0034】
また、傾斜センサからアームを介して制御バルブに連結することにより、傾斜センサの支点を低位に配置することができるので、機体の振れに対して支点の動きが小さくなり、傾斜センサの反応遅れを小さくすることができる。
【0035】
また、バルブ制御アーム64の両側方の過大な傾動を抑えるストッパ64cをアーム側に設けることにより、傾動アームを操作した場合の傾斜センサの動きを確保することができる。
【0036】
また、傾動アーム61をハンドル8に設けた左右傾斜調節レバーに連結することにより、植付け走行時に手元で機体の左右傾斜調節が可能となる。さらに、傾動アーム61について、保持支点61bが振子支点61cに近いために、ガタを抑えることができる。
【0037】
(油圧制御回路)
次に、ローリング制御の油圧回路について説明する。
ローリング制御の油圧制御回路は、その構成例1のチェック弁回路図(a)とそのバルブ構成図(b)を
図5に示すように、ローリングシリンダ14と油圧切替バルブ部40との間に、シリンダ停止時における押し/引き各方向への漏れを防止する2つのパイロット操作型チェック弁71,71を設けてダブルチェック弁回路を構成し、押し/引きの各油路における圧力を外部操作によって強制的に抜く圧抜き機構71b,71cを設ける。
【0038】
2つのパイロット操作型チェック弁71,71を設けたダブルチェック弁油圧回路においては、切替え操作が一定時間以上行われない状態が継続した場合に、温度変化に伴う油の膨張により、内部圧力が上昇し、パイロット圧による切替え作動ができなくなることがあるので、外部より強制的に圧力を抜くことができる圧抜き機構71b,71cを設けることにより、上記事態による作動不能状態を容易に回復させることができる。
【0039】
また、シリンダがストローク途中にある場合は、片側に設けた圧抜き機構が両方向に作用するが、ストロークエンドで使用している時は、片側構成の圧抜き機構が機能しない場合があることから、上記圧抜き機構71c,71cは、シリンダの押し/引き各方向にそれぞれ設けることにより、シリンダストローク位置に関係なく、圧抜きが可能となる。
【0040】
また、ダブルチェック弁は、2つのシングルのパイロットチェック弁71,71を並設し、各々を油路で接続してダブルチェック弁回路を構成するとともに、両チェック弁71,71に圧抜き機構71c,71cをそれぞれ設けることにより、外部操作による圧抜き機構を安価で容易に構成することができる。
【0041】
圧抜き機構は、パイロットスプール71b,71bの端部に外部操作用のプッシュピン71c,71cを設けることにより、外部操作による圧抜き機構を安価で容易に構成することができる。また、プッシュピン71c,71cは、パイロットスプール71b,71bに作用するパイロット圧によって自動復帰可能に構成することにより、復帰操作を要することなく、押し操作だけで簡単に圧抜き動作させることができる。
【0042】
次に、ローリング制御の油圧制御の別のチェック弁回路は、構成例2のチェック弁回路図とそのバルブ構成図を順に
図6と
図7に示すように、コントロールバルブブロックV1から作動油を受けるチェックバルブブロックV2を設け、チェックバルブ71,71とシリンダ14との間に、作動油膨張による内圧増加を抑えるダンパ72を設けてチェックバルブブロックV2を構成する。
【0043】
ダンパ72の構成は、チェックバルブ71,71とシリンダ14とを結ぶ油路に臨んでピストン72aを設け、Oリング72bでシールするとともに、反対側から付勢するスプリング72cを大気開放の収容空間A内に保持することにより、所定油圧の範囲で内圧増加を抑えることができる。
【0044】
また、構成例3のチェック弁回路図(a)とバルブ構成図(b)を
図8に示すように、スプリング72cの収容空間AをタンクポートTに接続してダンパ72を構成することにより、大気開放に伴う錆やゴミ侵入の問題を解消することができる。
【0045】
また、構成例4のチェック弁回路図を
図9に示すように、シリンダ14の両側にそれぞれ前記ダンパ72,72を設けることにより、シリンダ14がストロークエンドにあり(ダンパのある側の閉じ込み圧力が0kgf毎平方センチメートルの時)、反対側の内圧増加が抑えられないという問題を解消することができる。
【0046】
また、構成例5のチェック弁回路図(a)とバルブ構成図(b)を
図10に示すように、スプリング72cの収容空間Aを両チェックバルブ71,71の手前にそれぞれ接続してダンパ72,72を構成することにより、チェックバルブ71が閉じたときは、ピストン72aの両側が同圧力であり、作動油の膨張によるピストン72aの両端の圧力差分でピストン72aが作動するようにスプリング72cの付勢力を抑えることができるので、スプリング72cの小型化が可能となり、また、コスト増要因となる外部への配管および配管アダプタ等を要することなく、チェックバルブブロックV2内でダンパ構成を完結することができる。
【0047】
また、構成例6のチェック弁回路図を
図11に示すように、チェックバルブ71,71より上流にある切替バルブVaが中立の時に、チェックバルブ71,71のINポートA1,B1をタンクポートTに接続する。
【0048】
チェックバルブ71,71のINポートA1,B1は、上流の切替バルブVaのスプールのリーク等があると、ダンパ72,72のピストン72a,72aが不安定となる可能性があるが、上記構成により、スプリング力とピストン作動圧の関係が明確化されるので、安定作動を確保することができる。
【0049】
また、構成例7のチェック弁回路図を
図12に示すように、ダンパ72の接続口に2個の逆止弁73,73を設け、それぞれのチェックバルブ71,71からシリンダ14に至る接続油路から逆止弁73,73を介してダンパ72に接続することにより、コスト増なしに単一のダンパ72でストロークエンドの反対側についても圧抜きが可能となる。
【0050】
また、構成例8のチェック弁回路図を
図13に示すように、ダンパ72の接続口にシャトル弁74を設けることにより、上記同様に、コスト増なしに単一のダンパ72でストロークエンドの反対側についても圧抜きが可能となる。
【0051】
(植付株間)
次に、車輪の回転検知による植付け株間調節について説明する。
4輪上下機構で前輪の左右ローリングが無い移植機は、圃場凹凸で対角接地すると一方の前輪が回らないことがあるので、左右の前輪に回転検知部を付設し、先に株間を検知した左右どちらかの信号で植付部を作動させることで、前輪の一方が回転しなくても、正確な株間で植付けすることができる。
【0052】
また、左右のタイヤの一方に泥が付いても、他方の車輪が先に株間を検知することから、株間のずれを生じない(タイヤ径が大きい方が一定距離進んでも、回転数が少ないため)。
【0053】
上記構成の植付けにおいて、左右どちらかのセンサのみで連続して感知し続けた場合は、エラーとして表示することにより、メンテナンスによってセンサ故障や泥付着に対応することができる。
【0054】
また、前輪とギヤの両方にセンサを取付けて株間検知し、ギヤセンサ側で出力した場合に操作パネルのランプを点灯することにより、作動センサの区別を目視認識することができる。目視認識の結果により、出力がギヤセンサ側のみであれば、タイヤの回転異常と判断されることから、タイヤの泥落し等の適切な対応が可能となる。また、手動で株間補正を行うことにより、ギヤセンサ側による植付けに対応することができる。
【0055】
また、前輪とギヤのセンサによる植付け株間の検出比較図を
図14に示すように、設定株間Lの直前の位置で両センサによる株間検知を比較し、ズレ量Dが所定以上の場合はローラの回転異常と判断することができ、そのような場合であっても、ギヤセンサの出力によって所定の株間による植付けを行うことができる。
【0056】
(回転センサ)
回転センサ91は、回転センサ取付部の断面図(a)と側面図(b)を
図15に示すように、前輪支持アーム92のベアリングハブ92aの側面に、粉塵混入防止用のOリング93を介して取付ける。
【0057】
回転センサ91のセンサ軸91aは、回転センサ取付部の分解図を
図16に示すように、前輪軸2aの軸受部2bの軸端に嵌合プレート94を取付けてそのDカット穴に嵌合することにより、前輪回転の検出を確保することができる。
【0058】
(移植機)
次に、本発明の適用対象となる移植機について説明する。
図17に、本発明の適用対象の苗移植機1の概略の左側面図を示し、
図18に概略の平面図を示す。
【0059】
野菜などの苗を移植する苗移植機1は、
図17、
図18に示すように、走行車輪としての左右一対の前輪2および後輪3を備えた走行車体15と、走行車体15の前部に配置されたエンジン12およびミッションケース(主伝動ケースとも呼ぶ)4と、走行車体15の後部に配置された、苗を圃場に植え付けるべく植付具11を上下揺動させる苗植付装置300と、その苗を収容したトレイを供給するトレイ供給装置100と、そのトレイ供給装置100のトレイの育苗ポットの内部に取出部材260を突入させて苗を取りだして植付具11へ供給する取出装置200と、苗の植付深さを一定に保つためのセンサ板710を含む植付深さ調整機構と、鎮圧輪13、操縦ハンドル8、及び操縦ハンドル8の中央部に配置された操作部600等を備えて構成されている。
【0060】
また、トレイ供給装置100には、
図18に示す通り、トレイ搬送路111上にトレイが載置されていないことを検知するためのトレイ検知装置1100が設けられている。
【0061】
本実施の形態の苗移植機1のトレイ供給装置100の送り動作には、(1)トレイの横方向一列分の育苗ポットの苗が、取出部材260により順次取り出されるべく、苗置台110が、間欠的に左右横方向に送られる横送り動作と、(2)横方向一列分の全ての育苗ポットの苗の取り出しが完了した後、苗置台110上のトレイが、トレイ送りロッド121により育苗ポットの横方向一列分について下方向に送られる縦送り動作がある。
【0062】
トレイ送りロッド121による縦送りは、トレイの裏面側の隣接する育苗ポット間の溝部にトレイ送りロッド121の先端部が係合した状態となり、この状態でトレイ送りロッド121が側面視で略四角形の軌跡を描いて回動することにより、トレイがトレイ搬送路111に沿って斜め下方に間欠的に縦送りされることで実行される。本実施の形態のトレイ送りロッド121は、本発明のトレイ縦送り具の一例である。また、本実施の形態の育苗ポットは、本発明のポットの一例にあたる。
【0063】
また、
図17、
図18に示す通り、エンジン12から出力される回転動力は、ミッションケース4により分岐され、左右一対の走行伝動ケース9を介して左右一対の後輪3に伝動されるとともに、ミッションケース4の後側に設けられた植付伝動装置18にも伝動される構成である。
【0064】
即ち、本実施の形態の苗移植機1では、育苗ポットから苗を取り出して圃場の畝部に植付けるべく、ミッションケース4からの動力が植付伝動装置18に伝動されて、チェーンベルト202を介して取出装置200に伝動されるとともに、その植付伝動装置18に取り付けられた苗植付装置駆動機構400と、苗植付装置300を介して植付具11に伝達される。
【0065】
また、本実施の形態の苗移植機1の植付動作は、苗植付装置駆動機構400により間欠的に行える構成である。
【0066】
また、ミッションケース4の後端の左右方向に配置された左右フレーム16の後部には、右寄りの位置に延びる主フレーム17を設けている。該主フレーム17の後端部には左右端側から後方に延びた操縦ハンドル8を設け、この操縦ハンドル8が主フレーム17および左右フレーム16を介してミッションケース4に支持された構成となっている。
【0067】
これにより、作業者は、走行車体15の後方を歩きながら操縦ハンドル8で走行車体15の操向操作を行うことが出来る。
【0068】
即ち、本実施の形態の苗移植機1は、左右一対の前輪2、2及び左右一対の後輪3、3によって畝Uを跨いだ状態で走行車体15を進行させながら、トレイに収容されている苗を畝Uの上面に自動的に植え付けることが出来る構成である。
【0069】
また、走行部には、走行車体15に対し左右一対の後輪3、3を上下動させて、走行車体15の姿勢及び車高を制御する機体制御機構500が設けられている。
【0070】
機体制御機構500には、左右一対の後輪3の走行伝動ケース9と走行車体15との間において、後輪3の上げ下げによって走行車体15を昇降する油圧昇降シリンダ10と、走行車体15を左右傾斜させる水平用油圧シリンダ14とが設けられており、この油圧昇降シリンダ10を伸縮作動させると、左右一対の後輪3が同方向に同量だけ走行車体15に対し上下動し、走行車体15が昇降する。
【0071】
また、油圧昇降シリンダ10は、ミッションケース4の上部に取り付けられた油圧切替バルブ部40に固着して設けられ、ミッションケース4に取り付けられた油圧ポンプからの油圧を切り替える油圧切替バルブ部40に備えられた昇降操作バルブ(図示省略)を操作することにより作動する構成である。
【0072】
尚、昇降操作バルブには、操縦ハンドル8に配置した昇降操作レバーおよびローリングレバー(不図示)がケーブルを介して連結されている。
【0073】
また、ミッションケース4の右側には振り子式の左右傾斜センサ41が設けられており、この左右傾斜センサ41の検出により油圧切替バルブ部40に備えられた水平操作バルブ(図示省略)を介して水平用油圧シリンダ14を作動させ、左右の後輪3,3を互いに上下に対向動作させて、畝Uの谷部の凹凸に関係なく走行車体15を左右水平に維持すべく構成されている。