特許第6248934号(P6248934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6248934光通信用のレンズ、光通信モジュール及び成形金型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248934
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】光通信用のレンズ、光通信モジュール及び成形金型
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/32 20060101AFI20171211BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20171211BHJP
   G02B 13/00 20060101ALI20171211BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20171211BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   G02B6/32
   G02B6/42
   G02B13/00
   G02B3/00 Z
   B29C45/26
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-538353(P2014-538353)
(86)(22)【出願日】2013年9月10日
(86)【国際出願番号】JP2013074344
(87)【国際公開番号】WO2014050537
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年9月25日
(31)【優先権主張番号】特願2012-213662(P2012-213662)
(32)【優先日】2012年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107272
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 敬二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109140
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 研一
(72)【発明者】
【氏名】中山 佳佑
【審査官】 野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/040148(WO,A1)
【文献】 特開昭63−145010(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/111748(WO,A1)
【文献】 特開平01−226189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/32
G02B 6/42
B29C 45/40
G02B 3/00
H01L 31/0232
H01S 5/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子もしくは光ファイバーから出射された光束を集光する光通信用のレンズであって、
前記レンズは第1の金型と第2の金型とを用いてプラスチック素材を成形することにより得られ、筒状の脚部と、前記脚部の端部に形成されたレンズ部とを有し、
前記脚部は前記レンズ部の前記脚部側のレンズ端よりも光軸方向に突出しており、
前記レンズの光軸方向全長をLとしたときに、前記第1の金型と前記第2の金型のパーティングラインを、光軸方向における前記レンズ部側のレンズ端からL/10〜L/2の位置に設けたことを特徴とする光通信用のレンズ。
【請求項2】
前記パーティングラインから前記レンズ部の前記レンズ端側の光学面端面までのいずれかにおいて、前記パーティングラインにおける外径よりも小さな外径を有することを特徴とする請求項1に記載の光通信用のレンズ。
【請求項3】
前記レンズ部側の前記レンズ端と前記パーティングラインとの間における前記レンズの外周には、テーパー面が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光通信用のレンズ。
【請求項4】
前記レンズ部側の前記レンズ端と前記パーティングラインとの間における前記レンズの外周には、曲面が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光通信用のレンズ。
【請求項5】
前記レンズ部側の前記レンズ端と前記パーティングラインとの間における前記レンズの外周には、段差が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光通信用のレンズ。
【請求項6】
前記レンズ部側の前記レンズ端と前記パーティングラインとの間における前記レンズの外周は、粗し面であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光通信用のレンズ。
【請求項7】
前記第1の金型と前記第2の金型のうち少なくとも一方に、樹脂を流入させるためのゲート部が設けられ、前記ゲート部は前記脚部の外周面に対応する位置に連通しており、前記脚部の内周面に対応する位置とは対向しない様に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光通信用のレンズ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の光通信用のレンズを、光学素子を支持した基板に組み付けてなることを特徴とする光通信モジュール。
【請求項9】
光学素子もしくは光ファイバーから出射された光束を集光する光通信用のレンズを成形する成形金型であって、可動金型と固定金型とを含み、
前記レンズは、前記可動金型と前記固定金型とを用いてプラスチック素材を成形することにより得られ、筒状の脚部と、前記脚部の端部に形成されたレンズ部とを有し、
前記脚部は前記レンズ部の前記脚部側のレンズ端よりも光軸方向に突出しており、
前記可動金型により前記脚部と前記レンズ部の一方の光学面が成形され、前記固定金型により前記レンズ部の他方の光学面が成形され、
前記レンズの光軸方向全長をLとしたときに、前記固定金型における前記可動金型との合わせ面は、前記固定金型の転写面における前記合わせ面から最も遠い位置より光軸方向にL/10〜L/2の位置に設けたことを特徴とする成形金型。
【請求項10】
前記固定金型の転写面の光軸直交方向寸法は、前記可動金型との合わせ面より奥側で小さくなっていることを特徴とする請求項9に記載の成形金型。
【請求項11】
前記固定金型の転写面において、前記可動金型との合わせ面から奥側にテーパー面転写面を設けたことを特徴とする請求項10に記載の成形金型。
【請求項12】
前記固定金型の転写面において、前記可動金型との合わせ面から奥側に曲面転写面を設けたことを特徴とする請求項10に記載の成形金型。
【請求項13】
前記固定金型の転写面において、前記可動金型との合わせ面から奥側に段差転写面を設けたことを特徴とする請求項10に記載の成形金型。
【請求項14】
前記固定金型の転写面において、前記他方の光学面を転写する転写面の周囲に粗し面を形成したことを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の成形金型。
【請求項15】
前記可動金型に、樹脂を流入させるためのゲート部が設けられており、前記ゲート部は前記脚部の外周面に対応する位置に連通しており、前記脚部の内周面に対応する位置とは対向しない様に設けられていることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の成形金型。
【請求項16】
前記可動金型は、前記脚部を成形する主金型と、前記主金型に対して相対的に可動可能であって、前記レンズ部の一方の光学面を成形する副金型とを有することを特徴とする請求項9〜15のいずれかに記載の成形金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信等に用いられ、例えば半導体レーザ等の光学素子からの光を光ファイバーもしくは受光素子に結合する光通信用のレンズ及び光通信モジュール、並びにかかるレンズの製造に好適な成形金型に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信等において、半導体レーザまたは受光素子と、光ファイバーとの間で効率よく光結合させるために、光結合用のレンズが用いられている。ところで、従来の光結合用のレンズでは、主にガラスレンズをステンレス製の脚部で支持する構成が広く用いられている。しかるに、非球面を有するガラスレンズは一般的に高価であり、更に素材が異なる脚部と組み立てる工程を経ることで、顕著なコスト高を招くという問題がある。そこで、特許文献1に示すような、高精度な非球面の成形が容易で大量生産を可能とする、プラスチック製の脚部一体型レンズが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−183565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の脚部一体型レンズにおいては、光伝送路取付用の円筒部と、光電素子取付用の円筒部と、レンズとを一体成形しているので、これらの同軸度は精度良く確保されるが、この脚部一体型レンズを介在させる、発光素子又は受光素子と、光ファイバーとの間に芯ズレが生じていた場合、どのようにして調整するかという問題がある。芯ズレ調整のためには、光伝送路取付用の円筒部と、光電素子取付用の円筒部とを切り離し、光軸直交方向に変位可能な構成とするのが好ましい。レンズは、一方の円筒部に設ければ良い。しかしながら、このように、特許文献1の脚部一体型レンズを改良したとしても、以下に述べるような問題がある。
【0005】
このような脚部一体型レンズは、一般的に、内部に発光素子や受光素子を組み込むスペースを確保するために円筒形状になっており、要求される仕様によって、発光素子から発せられた光がレンズ光学面に到達するまでのスペース、あるいはレンズ光学面で集光された光が受光素子に到達するまでのスペースを広く設計しなくてはならないことが多い。そのため、発光素子又は受光素子の全長と、光の拡散又は集光に必要な距離によって円筒部分(脚部という)の長さが決まってくるが、脚部が長<なればその分、成形金型からの離型性が悪化してしまうという問題が発生する。
【0006】
また光通信用のレンズは、光ファイバーを介した長距離の光通信を目的としているため、レンズ表面の些細な汚れによる性能低下でも伝送効率が顕著に悪化してしまう。そのため、光ピックアップレンズのような他のレンズに比べて、汚れに対しての要求水準が厳しいという実情がある。しかるに、射出成形を行う上では、レンズをランナーから切り難すことは必須であり、切り離した部分(ゲート)の研磨処理をすることも要求されるため、ゲートを切り離した際のプラスチック片や研磨時に生じる研磨粉が、レンズ光学面に付着してしまう恐れがあり、汚れに対する要求水準を満たすためには丁寧な洗浄等の工程が必要になって、コスト高を招く場合がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、成形性が向上し、製造工程における汚染等を抑制することができ、更にコスト低減を図れる光通信用のレンズ及びそれを用いた光通信モジュール並びに成形金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の光通信用のレンズは、光学素子もしくは光ファイバーから出射された光束を集光する光通信用のレンズであって、
前記レンズは第1の金型と第2の金型とを用いてプラスチック素材を成形することにより得られ、筒状の脚部と、前記脚部の端部に形成されたレンズ部とを有し、
前記脚部は前記レンズ部の前記脚部側のレンズ端よりも光軸方向に突出しており、
前記レンズの光軸方向全長をLとしたときに、前記第1の金型と前記第2の金型のパーティングラインを、光軸方向における前記レンズ部側のレンズ端からL/10〜L/2の位置に設けたことを特徴とする。
【0009】
レンズが脚部を有する場合、パーティングラインを、光軸方向におけるレンズ部側のレンズの端に設けると、脚部を成形する金型から成形品を離型する際の抜き出し長さと抜き抵抗が増大し、脚部の破損等を招く恐れがある。本発明によれば、前記レンズの光軸方向全長をLとしたときに、前記第1の金型と前記第2の金型のパーティングラインを、光軸方向における前記レンズ部側の前記レンズ端からL/10以上離すことで、前記第1の金型から成形品を離型する際の抜き出し長さと抜き抵抗を減少させ、前記脚部の破損等を招く恐れを回避できる。更に、前記パーティングラインを、光軸方向における前記レンズ部側の前記レンズ端からL/10以上離すことで、ゲートの切断時や研磨処理時に、プラスチック片や研磨粉がレンズ光学面に付着することが抑制される。ただし、「光軸方向における前記レンズ部側のレンズ端」とは、前記レンズ部における前記脚部より光軸方向に最も離れた部位をいう。
【0010】
一方、前記第1の金型と前記第2の金型のパーティングラインを、光軸方向における前記レンズ部側の前記レンズ端からL/2を超えて離すと、前記第2の金型の抜き抵抗が増大し、前記第1の金型より離型が生じてしまい、工程が複雑化する恐れがある。そこで、前記パーティングラインを、光軸方向における前記レンズ部側の前記レンズ端からL/2以下とすることで、最初に前記第2の金型から成形品を離型することを促し、所定の成形手順を確保することが可能になる。一般的には、レンズ部を離型するより、脚部を離型する方が抜き抵抗が大きいので、前記パーティングラインを前記レンズ端からL/2以下とすれば、最初に前記第2の金型から離型が行われる。尚、第1の金型が可動金型であり、第2の金型が固定金型であると好ましい。
【0011】
請求項2に記載の光通信用のレンズは、請求項1に記載の発明において、前記パーティングラインから前記レンズ部の前記レンズ端側の光学面端面までのいずれかにおいて、前記パーティングラインにおける外径よりも小さな外径を有することを特徴とする。
【0012】
一般的な射出成形時には、肉厚部ほど素材冷却時の収縮が大きいとされる。本発明においては、前記パーティングラインから前記レンズ部の前記レンズ端側の光学面端面までのいずれかにおいて、前記パーティングラインにおける外径よりも小さな外径を有するようにしたので、前記レンズ部周囲の肉厚を抑えることができ、成形後の前記レンズ部の収縮を抑制でき、高精度なレンズ部を成形できる。又、前記レンズ全体の体積が小さくなって、素材が減少するので低コストになる。特に、レンズの形状が光軸を中心にした円周上で略同一の形状となっていることが好ましい。
【0013】
請求項3に記載の光通信用のレンズは、請求項2に記載の発明において、前記レンズ部側の前記レンズ端と前記パーティングラインとの間における前記レンズの外周には、テーパー面が設けられていることを特徴とする。
【0014】
前記レンズを光通信モジュールに組み込む場合、その外周に、光ファイバーを取り付けるための円筒スリーブ状のホルダを嵌合させることが多い。本発明のように、前記レンズ端部に前記テーパー面を形成することで、ホルダへの挿入時のガイドが形成されて、スムーズな挿入が可能になる。尚、前記テーパー面は光軸周りに軸対称に形成されていると、成形後における前記レンズ部の収縮が均等になって、より高い光学性能が確保される。加えて、前記テーパー面を設けることで前記第2の金型からの離型性が向上する。
【0015】
請求項4に記載の光通信用のレンズは、請求項2に記載の発明において、前記レンズ部側の前記レンズ端と前記パーティングラインとの間における前記レンズの外周には、曲面が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、前記レンズ端部に前記曲面を形成することで、ホルダへの挿入時のガイドが形成されて、スムーズな挿入が可能になる。尚、前記曲面は光軸周りに軸対称に形成されていると、成形後における前記レンズ部の収縮が均等になって、より高い光学性能が確保される。又、前記曲面を形成することで前記第2の金型からの離型性が向上する。
【0017】
請求項5に記載の光通信用のレンズは、請求項2に記載の発明において、前記レンズ部側の前記レンズ端と前記パーティングラインとの間における前記レンズの外周には、段差が設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、前記レンズ端部に前記段差を形成することで、低コスト化を図れる。
尚、前記段差は光軸周りに軸対称に形成されていると、成形後における前記レンズ部の収縮が均等になって、より高い光学性能が確保される。
【0019】
請求項6に記載の光通信用のレンズは、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記レンズ部側の前記レンズ端と前記パーティングラインとの間における前記レンズの外周は、粗し面であることを特徴とする。
【0020】
発光素子又は光ファイバーから前記レンズ部に向かう光束が、前記レンズ部の周囲に入射すると、迷光となってノイズの原因となる恐れがある。本発明によれば、前記レンズ端と前記パーティングラインとの間における前記レンズの外周を粗し面としたので、入射光を拡散することで、迷光の発生を抑制できる。特に、全周を粗し面とした場合には、レンズ部を通らない光は全て拡散されるため、迷光の発生を抑制できるだけでなく、レンズの形状による光の反射などを考慮する必要がなくなるためレンズの設計が容易となる。加えて、適度な粗し面を設けることで、離型性向上の効果がある。
【0021】
請求項7に記載の光通信用のレンズは、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記第1の金型と前記第2の金型のうち少なくとも一方に、樹脂を流入させるためのゲート部が設けられ、前記ゲート部は前記脚部の外周面に対応する位置に連通しており、前記脚部の内周面に対応する位置とは対向しない様に設けられていることを特徴とする。
【0022】
前記ゲート部は前記脚部の外周面に対応する位置に連通しており、前記脚部の内周面に対応する位置と対向しないように設けられていると、前記ゲート部から流入した樹脂が、前記脚部の内周面を転写する金型の面にあたり抵抗を受けるということがなく、スムーズに充填されるのでより適切な成形を行うことができる。
【0023】
請求項8に記載の光通信モジュールは、請求項1〜7のいずれかに記載の光通信用のレンズを、光学素子支持した基板にを組み付けてなることを特徴とする。
【0024】
請求項9に記載の成形金型は、光学素子もしくは光ファイバーから出射された光束を集光する光通信用のレンズを成形する金型構造であって、可動金型と固定金型とを含み、
前記レンズは、前記可動金型と前記固定金型とを用いてプラスチック素材を成形することにより得られ、筒状の脚部と、前記脚部の端部に形成されたレンズ部とを有し、
前記脚部は前記レンズ部の前記脚部側のレンズ端よりも光軸方向に突出しており、
前記可動金型により前記脚部と前記レンズ部の一方の光学面が成形され、前記固定金型により前記レンズ部の他方の光学面が成形され、
前記レンズの光軸方向全長をLとしたときに、前記固定金型における前記可動金型との合わせ面は、前記固定金型の転写面における前記合わせ面から最も遠い位置より光軸方向にL/10〜L/2の位置に設けたことを特徴とする。

【0025】
前記可動金型と前記固定金型により成形されるレンズが脚部を有する場合、そのパーティングラインを、光軸方向におけるレンズ部側のレンズの端に設けると、脚部を成形する前記可動金型から成形品を離型する際の抜き出し長さと抜き抵抗が増大し、脚部の破損等を招く恐れがある。本発明によれば、前記レンズの光軸方向全長をLとしたときに、前記固定金型における前記可動金型との合わせ面は、前記固定金型の転写面における前記合わせ面から最も遠い位置よりL/10以上離すことで、前記可動金型から成形品を離型する際の抜き出し長さと抜き抵抗を減少させ、前記脚部の破損等を招く恐れを回避できる。更に、前記固定金型における前記可動金型との合わせ面を、前記固定金型の転写面における前記合わせ面から最も遠い位置よりL/10以上離すことで、ゲートの位置が前記固定金型の光学面よりも遠くなるため、ゲートの切断時や研磨処理時に、プラスチック片や研磨粉がレンズ光学面に付着することが抑制される。又、パーティングラインで生じたバリが折損したときに、レンズ光学面に付着する恐れが少ない。
【0026】
一方、前記固定金型における前記可動金型との合わせ面を、前記固定金型の転写面における前記合わせ面から最も遠い位置よりL/2を超えて離すと、前記固定金型の抜き抵抗が増大し、離型の際に前記固定金型に製品が残ってしまう恐れがある。そこで、前記固定金型における前記可動金型との合わせ面を、前記固定金型の転写面における前記合わせ面から最も遠い位置よりL/2以内とすることで、最初に前記固定金型から成形品を離型することを促し、その後前記可動金型から製品を離型させるというように、所定の成形手順を確保できる。一般的には、レンズ部を離型するより、脚部を離型する方が抜き抵抗が大きいので、前記固定金型における前記可動金型との合わせ面を、前記固定金型の転写面における前記合わせ面から最も遠い位置よりL/2以内とすれば、最初に前記固定金型から離型が行われる。
【0027】
請求項10に記載の成形金型は、請求項9に記載の発明において、前記固定金型の転写面の光軸直交方向寸法は、前記可動金型との合わせ面より奥側で小さくなっていることを特徴とする。
【0028】
一般的な射出成形時には、肉厚部ほど素材冷却時の収縮が大きいとされる。本発明においては、前記固定金型の転写面の光軸直交方向寸法を、前記可動金型との合わせ面より奥側で小さくしたので、成形したレンズにおけるフランジ部の肉厚を抑えることができ、これにより成形後の前記レンズ部の収縮を抑制でき、高精度なレンズ部を成形できる。又、前記レンズ全体の体積が小さくなって、素材が減少するので低コストになる。
【0029】
請求項11に記載の成形金型は、請求項10に記載の発明において、前記固定金型の転写面において、前記可動金型との合わせ面から奥側にテーパー面転写面を設けたことを特徴とする。
【0030】
前記レンズを光通信モジュールに組み込む場合、その外周に、光ファイバーを取り付けるための円筒スリーブ状のホルダを嵌合させることが多い。本発明のように、前記固定金型の転写面において、前記可動金型との合わせ面から奥側にテーパー面転写面を設けることで、前記レンズに先細のテーパー面が転写されるため、これがホルダへの挿入時のガイドが形成されて、スムーズな挿入が可能になる。尚、前記テーパー面転写面は軸対称に形成されていると、成形後における前記レンズ部の収縮が均等になって、より高い光学性能が確保される。加えて、前記テーパー面転写面を設けることで前記固定金型からの離型性が向上する。
【0031】
請求項12に記載の成形金型は、請求項10に記載の発明において、前記固定金型の転写面において、前記可動金型との合わせ面から奥側に曲面転写面を設けたことを特徴とする。
【0032】
本発明によれば、前記固定金型の転写面において、前記可動金型との合わせ面から奥側に曲面転写面を設けることで、前記レンズに先細の曲面が転写されるため、これがホルダへの挿入時のガイドとなるので、スムーズな挿入が可能になる。尚、前記曲面転写面は軸対称に形成されていると、成形後における前記レンズ部の収縮が均等になって、より高い光学性能が確保される。又、前記曲面転写面を形成することで前記固定金型からの離型性が向上する。
【0033】
請求項13に記載の成形金型は、請求項10に記載の発明において、前記固定金型の転写面において、前記可動金型との合わせ面から奥側に段差転写面を設けたことを特徴とする。
【0034】
本発明によれば、前記固定金型の転写面において、前記可動金型との合わせ面から奥側に段差転写面を設けることで、前記レンズに先が縮径した段差が転写されるため、低コスト化を図れる。尚、前記段差転写面は軸対称に形成されていると、成形後における前記レンズ部の収縮が均等になって、より高い光学性能が確保される。
【0035】
請求項14に記載の成形金型は、請求項9〜13のいずれかに記載の発明において、前記固定金型の転写面において、前記他方の光学面を転写する転写面の周囲に粗し面を形成したことを特徴とする。
【0036】
発光素子又は光ファイバーから前記レンズ部に向かう光束が、前記レンズ部の周囲に入射すると、迷光となってノイズの原因となる恐れがある。本発明によれば、前記固定金型の転写面において、前記他方の光学面を転写する転写面の周囲に粗し面を設けたので、それにより転写されるフランジ部外周が粗し面となり、入射光を拡散することで、迷光の発生を抑制できる。特に、全周を粗し面とした場合には、レンズ部を通らない光は全て拡散されるため、迷光の発生を抑制できるだけでなく、レンズの形状による光の反射などを考慮する必要がなくなるためレンズの設計が容易となる。加えて、適度な粗し面を設けることで、離型性向上の効果がある。
【0037】
請求項15に記載の成形金型は、請求項9〜14のいずれかに記載の発明において、前記可動金型に、樹脂を流入させるためのゲート部が設けられており、前記ゲート部は前記脚部の外周面に対応する位置に連通しており、前記脚部の内周面に対応する位置とは対向しない様に設けられていることを特徴とする。
【0038】
前記ゲート部は前記脚部の外周面に対応する位置に連通しており、前記脚部の内周面に対応する位置と対向しないように設けられていると、前記ゲート部から流入した樹脂が、前記脚部の内周面を転写する金型の面にあたり抵抗を受けるということがなく、スムーズに充填されるのでより適切な成形を行うことができる。
【0039】
請求項16に記載の成形金型は、請求項9〜15のいずれかに記載の発明において、前記可動金型は、前記脚部を成形する主金型と、前記主金型に対して相対的に可動可能であって、前記レンズ部の一方の光学面を成形する副金型とを有することを特徴とする。
【0040】
前記固定金型から離型を行った後、前記主金型から前記副金型を突き出すことで、成形された前記レンズを前記主金型から容易に離型できる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、成形性が向上し、製造工程における汚染等を抑制することができ、更にコスト低減を図れる光通信用のレンズ及びそれを用いた光通信モジュール並びに成形金型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本実施の形態にかかる光通信モジュール10の光軸方向断面図である。
図2】第1の実施の形態のレンズの製造工程(a)〜(d)を示す図である。
図3】第2の実施の形態のレンズの製造工程(a)〜(d)を示す図である。
図4】第3の実施の形態のレンズの製造工程(a)〜(d)を示す図である。
図5】第4の実施の形態のレンズの製造工程(a)〜(d)を示す図である。
図6】第5の実施の形態のレンズの製造工程(a)〜(d)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態にかかる光通信モジュール10の光軸方向断面図である。給電用の棒状の端子11を有する円板状のステム12の略中央に、チップ搭載部13が取り付けられ、チップ搭載部13の側面にヒートシンク14を介して発光素子としてのレーザチップ15が取り付けられている。レーザチップ15は、不図示の配線を介して端子11に接続されている。なお、光学素子としてはLED(Light Emitting Diode),LD(Laser Diode)、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)、などが用いられる。また、用いられる波長は、シングルモードの場合には一般に1310±15nmまたは1550±15nm程度の波長が、マルチモードの場合には850±15nm程度の波長が用いられる。なお、受光素子を用いる場合にはPD(Photo Diode)などが用いられる。
【0044】
レーザチップ15の外側を覆うようにして、レンズ20が配置されている。レンズ20は、プラスチック製であり、略円筒状の脚部21と、脚部21の端部に設けられたレンズ部22とから一体的に形成されている。脚部21の先端21bをステム12に接着することで、レンズ20はステム12に取り付けられている。また、ステム12は、通常、一様な厚みを有するセラミック材料で形成されており、光軸方向から見た際に円板状の形状をしているが、厚みが異なる部分があっても、多角形状や楕円形などであってもよい。また、ステム12の大きさは、光軸方向から見た際にホルダ30の外径よりも十分大きくなっており、加えて、ステム12の表面には金メッキが施されている。
【0045】
脚部21の内周面21a又は外周面21cは、光軸に平行な円筒面となっている。レンズ部22は、レーザチップ15側の光学面S1と、光ファイバー32側の光学面S2と、その周囲のテーパー面22aとを有する。光学面S1、S2は共に有効光学面と光軸に対して垂直な平面と、それらを繋ぐ遷移面とを有している。テーパー面22aは,光学面S2に向かうにつれて縮径し、粗し面となっている。粗し面の十点平均粗さRzは1.0μm以上、50μm以下である。また、脚部21とステム12とは、溶着などで接合されても良いが、通常、接着剤により接合されることが多い。接着剤としては、熱硬化性接着剤・熱溶融性接着剤・UV硬化性接着剤・嫌気性感圧性接着剤・エポキシ系接着剤などが挙げられるが、接着時のレンズへの影響が小さいUV硬化性接着剤やエポキシ系接着剤を用いることが好ましく、また、金属系と樹脂系に十分な接着力があり、低粘度かつ液体が広がらないチクソ性の高い接着剤を用いることが望ましい。なお、脚部21を有しているレンズ20は樹脂製であり、ステム12は通常金メッキがなされているため、脚部21の底面は溶着などをされず接着剤によって取り付けられている。
【0046】
実施の形態に係るレンズ20の光軸方向全長Lは3.5mmであり、その最大外径Dは4.7mmであり、脚部21の光軸方向長Δ1は2mmである。なお、Δ1は、レンズ内面のうち、光学面を除いて、取り付け基準面から最も遠いところから取り付け基準面までの光軸方向の距離をいう。本実施の形態のレンズは、後述するように金型により成形され、そのパーティングラインPLは、脚部21の円筒状外周面21cと、テーパー面22aとの交差部であり、光軸方向におけるレンズ部22側のレンズ端(ここでは光学面S2の面頂点)から距離Δ2=L/10〜L/2の位置に設けられている。また、レンズは通常の射出成形により成形することができる。なお、光通信用のレンズに用いられる樹脂としては、赤外線の透過率が良好な樹脂であれば特に制限はなく、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも特に、吸湿による光学性能の変化が生じにくいという観点から、シクロオレフィン樹脂を用いることが好ましい。また、レンズ20を光軸方向から見た際の形状は円形状であることが好ましいが、四角形などの多角形状や楕円形状であってもよい。また、光通信用のレンズの外形の大きさは一般的に2〜6mmであり、光軸方向の全長は3〜7mmとなっている。なお、本明細書における光軸とは、レンズ部22のうち、最も厚い部分又は最も薄い部分、あるいはレンズ部22の中心を通過する直線のことを指す。
【0047】
また、本明細書において略○○と記載されている場合には○○自体も含むものとする。例えば、略光軸方向とは、光軸方向そのものも含む。なお、略光軸方向という場合には、光軸からのからの傾きが2度以下までの方向を指す。
【0048】
レンズ20の光軸直交方向外側に、わずかな隙間を空けて円筒状のステンレス製であるホルダ30が、ステム12に溶接されるようにして嵌合的に取り付けられている。ホルダ30の先端には、より小さい径の円筒状のスリーブ31が固定され、その内部に光ファイバーFBが挿入されているフェルール32が挿入されており、光ファイバーFBの端部はレンズ部22に対向している。本実施の形態においては、ステム12に接着したレンズ20にホルダ30を嵌合的に組み付ける際に、テーパー面22aがガイドの機能を果たすので、スムーズに挿入を行える。また、ホルダ30の内周とレンズ20の外周の光軸周方向における距離は0.002mm〜0.020mmの間であることが好ましい。0.002mm以上であることにより、ホルダ30をレンズ20にスムーズに挿し込むことができ、0.020mm以下であることにより、ホルダ30とレンズ20とを略嵌合させることができる。
【0049】
本実施の形態の光通信モジュール10の動作を説明する。端子11を介して給電が行われると、レーザチップ15が発光し、その出射光束は、レンズ部22を通過して、屈折面で屈折され、光ファイバーFBの端面に集光し、その後光ファイバーFB内を伝播することとなる。尚、レーザチップ15から出射し、テーパー面22aに入射した光は、粗し面で拡散されるので、迷光となることを抑制できる。
【0050】
(第1の実施の形態)
図2は、上述の実施の形態に好適なレンズの製造工程(a)〜(d)を示す図である。固定金型FMは、光学面S2を転写する転写面FM1と、テーパー面22aを転写する転写面(テーパー面斜面)FM2と、合わせ面FM3とを有する。固定金型FMの合わせ面FM3は、固定金型FMの最も奥(ここでは転写面FM1の中央)から光軸方向にΔ2=L/10〜L/2の位置にある。転写面FM2は粗し面とされている。
【0051】
一方、固定金型FMに対して可動である可動金型MMは、主金型AMと、入れ子型(副金型)BMとを有する。主金型AMは、脚部21を転写する転写面AM1と、中央の円形開口AM2と、外部から樹脂を流入させるためのゲート部AM3と、合わせ面AM4とを有する。
【0052】
円筒状の入れ子型BMは、円形開口AM2に嵌合しており主金型AMに対して可動となっていて、先端に光学面S1を転写する転写面BM1を有する。尚、ゲート部AM3は可動金型MMの固定金型FMとの合わせ面に設けられている。ゲート部AM3は脚部21の外周面に対応する位置に連通しており、脚部21の内周面に対応する位置とは対向しない様にレンズ部22に向けて設けられている。
【0053】
本実施の形態の製造工程を説明すると、まず、図2(a)に示すように、合わせ面FM3,AM4を密着させるようにして、固定金型FMに対して可動金型MMを型締めする。
密着した面がパーティングラインを形成する。かかる状態で、ゲート部AM3を介して内部のキャビティ内に溶融したプラスチック(アクリル、PC等)を注入する。更に、図2(b)に示すように、素材冷却後に、固定金型FMに対して可動金型MMを一体的に遠ざけように変位させる。このとき、固定金型FMの合わせ面FM3は、固定金型FMの最も奥から光軸方向にΔ2=L/10〜L/2の位置にあるので、固定金型FMの抜き抵抗が小さく、よって成形品は可動金型MM側に張り付いた状態にある。また、テーパー面斜面FM2が抜きテーパーの役割を果たすため、固定金型FMの抜き抵抗がより一層小さくなっている。さらに、成形されるレンズはレンズ部周辺がテーパー面となっているため、レンズ部周辺が肉厚となることを抑えることができ、レンズ部の収縮を抑制でき、高精度なレンズ部を得ることができる。又、レンズ全体の体積が小さくなって、素材が減少するので低コストになる。加えて、適度な粗し面を設けることで、離型性向上の効果がある。
【0054】
次いで、図2(c)に示すように、主金型AMから入れ子型BMを突き出すように相対移動させる。すると、転写面BM1により成形品であるレンズ20の光学面が押し出されて、脚部21が主金型AMから安定的に抜け出るようになる。その後、転写面BM1から成形品を取り外すが、成形品にはゲート部AM3内で固化したゲートGTが連結されているので、図2(d)に示す工程で、これをカット(C)し、切断面を研磨する。これによりレンズ20を得ることができる。
【0055】
本実施の形態によれば、固定金型FMの合わせ面FM3を、固定金型FMの最も奥から光軸方向にΔ2=L/10〜L/2の位置にしたので、ゲートGTを光学面S2から離すことができ、ゲートの切断時や研磨処理時に、プラスチック片や研磨分が光学面S2に付着することが抑制される。又、パーティングラインでたとえバリが生じたとしても、折損したバリがレンズ光学面に付着する恐れが少ない。
【0056】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態にかかるレンズの製造工程(a)〜(d)を示す図である。本実施の形態においては、第1の実施の形態に対して、固定金型FMの最も奥から固定金型FMの合わせ面FM3までの光軸方向距離Δ2を、より大きくした例である。それ以外の構成は,上述した実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
(第3の実施の形態)
図4は、第3の実施の形態にかかるレンズの製造工程(a)〜(d)を示す図である。本実施の形態においては、第1の実施の形態に対して、固定金型FMの転写面FM1の周囲に、曲面を転写する転写面(曲面転写面)FM2’を設けている点が異なる。これにより、図4(d)に示すように、レンズ20の光学面S2の周囲には、光学面S2に向かうにつれて縮径する曲面22a’が形成されることとなる。曲面22a’はフランジ部外周面になる。それ以外の構成は,上述した実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0058】
(第4の実施の形態)
図5は、第4の実施の形態にかかるレンズの製造工程を示す図(a)〜(d)である。本実施の形態においては、第1の実施の形態に対して、固定金型FMの転写面FM1の周囲の径を小さくしている例である。これにより、図5(d)に示すように、レンズ20の光学面S2の周囲には、縮径した段差面22a”が形成されることとなる。ここでは、FM2が段差転写面である。フランジ部外周面としての段差面22a”(外周面)を粗し面とすると好ましい。それ以外の構成は,上述した実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0059】
(第5の実施の形態)
図6は、第5の実施の形態にかかるレンズの製造工程を示す図(a)〜(d)である。本実施の形態においては、第4の実施の形態に対して、固定金型FMの転写面FM1の周囲の径を、可動金型MMの内径と等しくしている例である。これにより、図6(d)に示すように、レンズ20の光学面S2の周囲には、脚部21の外周と面一のフランジ部22Aが形成されることとなる。それ以外の構成は,上述した実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
(実施例)
以下、本発明者が行った検討結果について説明する。本発明者は、図2に示す金型において、パーティングラインの位置を変更して、離型性と、ゲートカット時の汚れ具合を評価した。評価結果を表1に示す。尚、表における離型性の評価基準については、以下の通りである。
◎:非常に良い
○:良い
△:若干悪い
×:悪い
【0061】
一方、ゲートカット時の汚れ具合の評価基準については、以下の通りである。
悪:プラスチック片や研磨粉が10個以上付着
普:プラスチック片や研磨粉が5〜9個付着
良:プラスチック片や研磨粉が4個以下付着もしくは無し
【0062】
【表1】
【0063】
表1の結果によれば、可動金型からの離型性は、パーティングラインの位置を規定するΔ2がL/15であれば×、L/12であれば△であるが、Δ2=L/10〜L/2で○であり、Δ2が5L/8より大きければ◎であった。一方、固定金型からの離型性は、Δ2がL/10より小さければ◎であり、Δ2=L/8〜L/2で○であるのに対し、Δ2が5L/8より大きければ×であった。よって、双方の離型性を満足する範囲は、Δ2=L/10〜L/2であることがわかった。
【0064】
一方、ゲートカット時の汚れ具合の評価によれば、Δ2がL/12より小さければ(悪)であり、Δ2=L/10〜L/8で(普)であり、L/5より大きければ(良)であった。以上を総合するに、パーティングラインの位置がΔ2=L/10〜L/2であると、離型性と対汚れ性のいずれも満足することがわかった。なお、図3図6の金型においてもパーティングラインの位置がΔ2=L/10〜L/2の範囲内であれば、可動金型及び固定金型からの離型性、耐汚れ性を満足することが分かった。
【0065】
本発明は、明細書に記載の実施形態・実施例に限定されるものではなく、他の実施例・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施形態・技術思想から本分野の当業者にとって明らかである。例えば、光ファイバーから出射した光を受光素子に集光するために、本発明のレンズを用いても良い。
【符号の説明】
【0066】
10 光通信モジュール
11 端子
12 ステム
13 チップ搭載部
14 ヒートシンク
15 レーザチップ
20 レンズ
21 脚部
21a 内周面
21b 先端
21c 円筒状外周面
22 レンズ部
22A フランジ部
22a テーパー面
22a’ 曲面
22a” 段差面
30 ホルダ
31 スリーブ
32 光ファイバー
AM 主金型
AM1 転写面
AM2 円形開口
AM3 ゲート部
AM3a 脚部側面
AM4 合わせ面
BM 入れ子型
BM1 転写面
FM 固定金型
FM1 転写面
FM2、FM2’転写面
FM3 転写面
FM3 合わせ面
GT ゲート
MM 可動金型
PL パーティングライン
S1 光学面
S2 光学面
図1
図2
図3
図4
図5
図6