特許第6248947号(P6248947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248947
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】電極材料および二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/60 20060101AFI20171211BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20171211BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20171211BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20171211BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20171211BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20171211BHJP
   C08L 101/02 20060101ALI20171211BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20171211BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20171211BHJP
   C08K 7/06 20060101ALI20171211BHJP
   C08F 16/28 20060101ALI20171211BHJP
   C08F 20/36 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   H01M4/60
   H01M4/36 E
   H01M4/36 B
   H01M4/505
   H01M4/525
   H01M4/485
   H01M4/58
   C08L101/02
   C08K3/22
   C08K3/04
   C08K7/06
   C08F16/28
   C08F20/36
【請求項の数】10
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-558580(P2014-558580)
(86)(22)【出願日】2014年1月21日
(86)【国際出願番号】JP2014051151
(87)【国際公開番号】WO2014115737
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2015年7月15日
(31)【優先権主張番号】特願2013-9602(P2013-9602)
(32)【優先日】2013年1月22日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(74)【代理人】
【識別番号】100129610
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 暁子
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 繁之
(72)【発明者】
【氏名】安井 基陽
(72)【発明者】
【氏名】西 教徳
【審査官】 青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/090832(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/034117(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00− 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Li金属酸化物及び導電性材料が、還元状態においてラジカル部分構造をとる高分子ラジカル材料の内部において分散していることを特徴とする、高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体。
【請求項2】
前記Li金属酸化物及び前記導電性材料が、前記高分子ラジカル材料の内部において均一に分散している、請求項1に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体。
【請求項3】
前記高分子ラジカル材料が、酸化状態において下記化学式(1)で示されるニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態において下記化学式(2)で示されるニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル高分子化合物である、請求項1または2に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体。
【化1】
【請求項4】
前記高分子ラジカル材料が、下記化学式(4)及び/又は(5)の化学構造で表される高分子化合物、又はこの化学構造を繰り返し単位として含む共重合体である、請求項3に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体。
【化2】
【化3】
(化学式(4)及び(5)中、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基を表し、Rは水素又はメチル基を表す。)
【請求項5】
前記導電性材料が、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ炭素繊維、及びカーボンナノチューブからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体。
【請求項6】
前記Li金属酸化物がLiMnO、LiMn(0<x<2)、LiCoO、LiNiO、Li(0<y<2)、LiFePO、LiNi0.5Mn1.5、LiCr0.5Mn1.5、LiCo0.5Mn1.5、LiCoMnO、LiNi0.5Mn0.5、LiNi0.33Mn0,33Co0.33、LiNi0.8Co0.2、LiNi0.5Mn1.5−zTi(0<z<1.5)およびLiNiAl1−x(0<x<1)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体を電極材料として用いることを特徴とする二次電池。
【請求項8】
前記電極が正極である、請求項7に記載の二次電池。
【請求項9】
還元状態においてラジカル部分構造をとる高分子ラジカル材料が溶解又は膨潤しており且つLi金属酸化物及び導電性材料が分散又は溶解している原料溶液を調製し、
前記原料溶液を、前記高分子ラジカル材料、前記Li金属酸化物及び前記導電性材料が溶解又は膨潤しない溶液に滴下又は注ぐことにより、前記高分子ラジカル材料、前記Li金属酸化物及び前記導電性材料からなる沈殿物を生成することを特徴とする高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体の製造方法。
【請求項10】
前記高分子ラジカル材料が、酸化状態において下記化学式(1)で示されるニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態において下記化学式(2)で示されるニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル高分子化合物であることを特徴とする、請求項9に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体の製造方法。
【化4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極活物質としてラジカル化合物を用いた二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信システムの発展に伴い、ノート型パソコン、携帯電話、スマートフォンなどの携帯電子機器が急激に普及してきた。携帯電子機器は、高機能化が進む一方で、機能や形状などの多様化も進んでいる。そこで、その電源である二次電池に対しても、高エネルギー密度、高出力密度、小型、軽量などの様々な要求が高まっている。
【0003】
そこで、軽量でエネルギー密度の大きな二次電池を得る目的で、電極活物質に硫黄化合物や有機化合物を用いた二次電池が開発されてきた。特許文献1及び特許文献2には、ジスルフィド結合を有する有機化合物を正極に用いた二次電池が開示されている。これらの二次電池は、ジスルフィド結合の生成、解離を伴う電気化学的な酸化還元反応を利用したものである。特許文献1および2に記載された二次電池は、硫黄や炭素といった比重の小さな元素を主成分とする電極材料から構成されており、高エネルギー密度の二次電池という点において一定の効果を奏している。
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2の二次電池では、解離したジスルフィド結合が再度、結合する効率が小さいことや電極中の活物質の電解液への拡散のため、安定な充放電サイクルを行うことができない場合があった。そのため、場合によっては、充放電サイクルを重ねると、容量が低下しやすいという欠点があった。
【0005】
また、有機化合物を利用した二次電池として、導電性高分子を電極材料に用いた二次電池が提案されている。この二次電池は、導電性高分子に対する電解質イオンのドープ、脱ドープ反応を利用したものである。ドープ反応とは、導電性高分子の酸化もしくは還元によって生ずる荷電ラジカルを、対イオンによって安定化させる反応のことである。特許文献3には、このような導電性高分子を正極もしくは負極の材料とした二次電池が開示されている。
【0006】
特許文献3の二次電池は、電極材料が炭素や窒素といった比重の小さな元素のみから構成されたものであり、高容量の二次電池として期待されていた。しかしながら、導電性高分子には、酸化還元によって生じる荷電ラジカルがπ電子共役系の広い範囲に亘って非局在化し、それらが静電反発やラジカルの消失をもたらす相互作用をする、という特性がある。このことは発生する荷電ラジカル、すなわちドープ濃度に限界をもたらすものであり、二次電池の容量を制限するものであった。例えば、ポリアニリンを正極に用いた二次電池のドープ率は50%以下、ポリアセチレンの場合は7%である、と報告されている。導電性高分子を電極材料とする二次電池では軽量化という点では一定の効果を奏しているものの、大きなエネルギー密度を持つ二次電池は得られていなかった。
【0007】
一方、有機化合物を電極用の活物質として用いた二次電池として、ラジカル化合物の酸化還元反応を用いたものが提案されている。この二次電池は、有機ラジカル電池と呼ばれている。特許文献4は、ニトロキシルラジカル化合物、アリールオキシラジカル化合物および特定のアミノトリアジン構造を有するポリマーなどの有機ラジカル化合物を電極用の活物質として開示し、この有機ラジカル化合物を正極または負極の材料として用いた二次電池が開示されている。
【0008】
特許文献5には、ニトロキシル化合物の中でも、特に環状ニトロキシル構造を有する化合物を電極活物質として用いた二次電池が開示されている。環状ニトロキシル構造は、安定したp型酸化還元を示すことが知られている。電極用の活物質として用いられるポリラジカル化合物には、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を有するポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルメタクリレート)(PTMA)などのニトロキシルラジカル化合物が知られている。ニトロキシルラジカル化合物の酸化還元反応では、酸化状態においてオキソアンモニウムカチオン部分構造をとり、還元状態においてニトロキシルラジカル部分構造をとり、その2つの状態間で電子の授受が行わる。この電極反応は比較的速く反応が進むため、ニトロキシルラジカル化合物を電極に用いた二次電池は大きな電流での放電が可能である。
【0009】
特許文献6には、ニトロキシル化合物と導電材料の複合体を電極に用いた有機ラジカル電池が開示されている。例えば、炭素を導電材料に用いた場合、電極における炭素の分散性が良くなる。このため、電極抵抗が低減される。これにより、より高出力な二次電池が得られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4833048号明細書
【特許文献2】特許第2715778号明細書
【特許文献3】米国特許第4442187号明細書
【特許文献4】特開2002−151084公報
【特許文献5】特開2002−304996号公報
【特許文献6】特開2009−230951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
有機ラジカル電池は、大きな電流での放電が可能な電池、すなわち高出力放電が可能な電池である。しかし、Liイオン電池と比較し、エネルギー密度が小さな電池である。携帯電子機器用Liイオン電池のエネルギー密度は体積あたり500Wh/L以上といわれているが、有機ラジカル電池の場合、100Wh/L以下とLiイオン電池に比べて小さい。これは、有機ラジカル電池の電極活物質としての容量密度がLiイオン電池に比べて小さいこと、また理論上必要となる電解液量が、有機ラジカル電池ではLiイオン電池に比べかなり多くなることに由来する。
【0012】
有機ラジカル電池の電極活物質の容量密度は、代表的な電極活物質であるポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルメタクリレート)(PTMA)では重量あたり111mAh/gである。一方Liイオン電池の代表的な電極活物質であるLiCoOの理論容量密度は140mAh/gと有機ラジカル電池の電極活物質と比べて大きい。有機ラジカル電池では、Liイオン電池比べ容量密度の小さな電極活物質が主に用いられている。これはLiイオン電池に比べエネルギー密度が小さい一因となっている。
【0013】
また、PTMAを用いた有機ラジカル電池では、酸化還元の形態は、中性ラジカルとカチオン間で行うp型酸化還元である。この場合、充電の進行とともに電解質塩のアニオンがラジカル化合物にドープされるため、電解液中のアニオン濃度は減少することとなる。また、逆に、放電時には、ラジカル化合物からの脱ドープにより電解液中のアニオン濃度が増加する。このため、p型酸化還元の場合は、ドーパントとなるアニオンを電解液中に蓄えておく必要があり、多量の電解液が必要となる。この結果として、高いドープ率で酸化還元を行ったとしても、電解液が大量に用いられるため電池の重量が重くなり、結果としてエネルギー密度は低くなる。Liイオン電池の場合、充放電反応に伴いリチウムイオンは正極と負極間を往復する形態(いわゆる、ロッキングチェア型)であるため、充放電の深度にかかわらず電解液濃度は一定となる。Liイオン電池に必要な電解液は、少量(電極間を満たす量)となる。有機ラジカル電池では、Liイオン電池に比べ電解液を多く用いる必要がある。これはLiイオン電池に比べエネルギー密度が小さい一因となっている。
【0014】
また、有機ラジカル電池において、電極活物質は概して導電性が低いため、電極活物質と導電材料を混合するだけでは、電極の抵抗が大きくなり、大きな電流での放電ができない。すなわち、出力性能の低下の原因となっている。
【0015】
本発明は、有機ラジカル電池のエネルギー密度が小さいという課題、および電極の形態において電極活物質と導電材料を混合するだけでは抵抗が大きくなるという課題を解決し、より大きなエネルギー密度の、また、大きな電流での放電が可能な二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様は、Li金属酸化物及び導電性材料が、還元状態においてラジカル部分構造をとる高分子ラジカル材料の内部に取り込まれて複合化していることを特徴とする、高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体に関する。
【0017】
本発明の一態様は、還元状態においてラジカル部分構造をとる高分子ラジカル材料が溶解又は膨潤しており且つLi金属酸化物及び導電性材料が分散又は溶解している原料溶液を、前記高分子ラジカル材料、前記Li金属酸化物、及び前記導電性材料が溶解又は膨潤しない溶液に滴下又は注いで、前記Li金属酸化物と前記導電性材料とが前記高分子ラジカル材料の内部に取り込まれた沈殿物として得られた高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体によれば、より大きなエネルギー密度の、また、大きな電流での放電が可能な二次電池が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態によるラミネート型二次電池の斜視図である
図2】本発明の実施形態によるラミネート型二次電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明につきさらに詳しく説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
【0021】
[高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体の製造方法]
本発明の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体の製造方法は、還元状態においてラジカル部分構造をとる高分子ラジカル材料が溶解又は膨潤しており且つLi金属酸化物及び導電性材料が分散又は溶解している原料溶液を、高分子ラジカル材料、Li金属酸化物、及び導電性材料が溶解又は膨潤しない溶液に滴下又は注いで、高分子ラジカル材料、Li金属酸化物、及び導電性材料からなる沈殿物を生成する方法である。
【0022】
本発明においては、高分子ラジカル材料、Li金属酸化物及び導電性材料を用いた複合体において、本発明に係る上記方法により、高分子ラジカル材料、Li金属酸化物及び導電性材料を均一に分布させることができるようになる。そのため、得られる高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体に良好な電子伝導性をもたせることができる。この結果、高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体により製造した電極では、高分子ラジカル材料のラジカル部位の酸化還元に関与できる割合が高くなる。
【0023】
それゆえ、高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体により製造した電極は、高分子ラジカル材料、Li金属酸化物、導電性材料を単に混合して得られた電極に比べ放電容量が大きくなる。また、高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体を用いた電極では、高分子ラジカル材料の酸化還元に伴う電子の受け渡しが導電性材料を通じてスムーズとなっているため、大きな電流での充放電が可能となる。また、数秒レベルで大きな電流を流すことが可能となる。
【0024】
以下、各構成要素について説明する。
【0025】
(高分子ラジカル材料)
先ず、高分子ラジカル材料について説明する。高分子ラジカル材料としては、二次電池の電極材料として利用可能な材料であって、還元状態においてラジカル部分構造をとる材料を用いることができる。より詳しくは、下記反応式(A)に示すように、酸化状態において化学式(1)で示されるニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態において化学式(2)で示されるニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル高分子化合物を好ましく用いることができる。
【0026】
【化1】
なお、反応式(A)は正極の電極反応を表しており、こうした反応を伴う高分子ラジカル材料は、電子の蓄積と放出を行う二次電池用材料として機能させることができる。反応式(A)に示す酸化還元反応は、有機化合物の構造変化を伴わない反応機構であるため、反応速度が大きく、この高分子ラジカル材料を電極材料として二次電池を構成すれば、一度に大きな電流を流すことが可能となる。
【0027】
本発明において、ニトロキシル高分子化合物は、還元状態において化学式(3)で示される環状ニトロキシル構造を含む高分子化合物となっていることが好ましい。
【0028】
【化2】
化学式(3)において、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基を表し、それぞれ独立に直鎖状のアルキル基が好ましい。また、ラジカルの安定性の観点から、R〜Rはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0029】
Xは、化学式(3)が5〜7員環を形成するような2価の基を表す。ただし、Xの少なくとも一部は、ポリマーの主鎖の一部を構成している。こうしたXの構造は、特に制限されることはないが、水素、炭素、酸素、窒素、及び硫黄からなる群より選ばれる元素から構成されることが好ましい。
【0030】
Xとしては、化学式(3)が5〜7員環を形成するような2価の基を表し、特に制限はないが、具体的には、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、−CH=CH−、−CH=CHCH−、−CH=CHCHCH−、−CHCH=CHCH−が挙げられ、その中で、隣接しない−CH−は、−O−、−NH−又は−S−によって置き換えられていてもよく、−CH=は、−N=によって置き換えられていてもよい。また、環を構成する原子に結合した水素原子は、アルキル基、ハロゲン原子、=O、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基等により置換されていてもよい。
【0031】
なかでも、特に好ましい環状ニトロキシル構造は、還元状態において、化学式(6)で示される2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシルラジカル、化学式(7)で示される2,2,5,5−テトラメチルピロリジノキシルラジカル、及び化学式(8)で示される2,2,5,5−テトラメチルピロリノキシルラジカルからなる群より選ばれるものである。なお、化学式(6)〜(8)中、R〜Rは前記化学式(3)と同じである。
【0032】
【化3】
ただし、上記の化学式(3)で示される環状ニトロキシル構造は、側鎖もしくは主鎖の一部としてポリマーの一部を構成している。すなわち、Xの少なくとも一部は、ポリマーの主鎖の一部を構成しており、環状構造を形成する元素に結合する少なくとも1つの水素を取った構造としてポリマーの側鎖もしくは主鎖の一部に存在している。合成等の容易さから側鎖に存在している方が好ましい。側鎖に存在するときは、下記化学式(9)で示される残基のように、化学式(3)で示される環状ニトロキシル構造の基X中の環員を構成する−CH−、−CH=又は−NH−から水素を取った残基X’によって主鎖ポリマーに結合している。
【0033】
【化4】
化学式(9)中、R〜Rは前記化学式(3)と同じであり、X’は前記化学式(3)のXから水素を取った残基を表したものである。このとき用いられる主鎖ポリマーの構造としては特に制限はなく、どのようなものであっても、化学式(9)で示される残基が側鎖に存在していればよい。具体的には、次に挙げるポリマーに、化学式(9)で示される残基が付加したもの、又はポリマーの一部の原子又は基が、化学式(9)で示される残基によって置換されたものを挙げることができる。いずれの場合も、化学式(9)で示される残基が直接ではなく、適当な2価の基を中間に介して結合していてもよい。
【0034】
主鎖ポリマーの構造としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリデセン、ポリドデセン、ポリヘプテン、ポリイソブテン、ポリオクタデセン等のポリアルキレン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリイソブテン等のジエン系ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸;ポリ(メタ)アクリロニトリル;ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリメチル(メタ)アクリルアミド、ポリジメチル(メタ)アクリルアミド、ポリイソプロピル(メタ)アクリルアミド等のポリ(メタ)アクリルアミド類ポリマー;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリアルキル(メタ)アクリレート類;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー;ポリスチレン、ポリブロモスチレン、ポリクロロスチレン、ポリメチルスチレン等のポリスチレン系ポリマー;ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン等のビニル系ポリマー;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブテンオキサイド、ポリオキシメチレン、ポリアセトアルデヒド、ポリメチルビニルエーテル、ポリプロピルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリベンジルビニルエーテル等のポリエーテル系ポリマー;ポリメチレンスルフィド、ポリエチレンスルフィド、ポリエチレンジスルフィド、ポリプロピレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテトラフルフィド、ポリエチレントリメチレンスルフィド等のポリスルフィド系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンパラフェニレンジアセテート、ポリエチレンイソプロピリデンジベンゾエート等のポリエステル類;ポリトリメチレンエチレンウレタン等のポリウレタン類;ポリエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン等のポリケトン系ポリマー;ポリオキシイソフタロイル等のポリ無水物系ポリマー;ポリエチレンアミン、ポリヘキサメチレンアミン、ポリエチレントリメチレンアミン等のポリアミン系ポリマー;ナイロン、ポリグリシン、ポリアラニン等のポリアミド系ポリマー;ポリアセチルイミノエチレン、ポリベンゾイルイミノエチレン等のポリイミン系ポリマー;ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズイミド、ポリピロメルイミド等のポリイミド系ポリマー;ポリアリレン、ポリアリレンアルキレン、ポリアリレンアルケニレン、ポリフェノール、フェノール樹脂、セルロース、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾキサジン、ポリベンゾキサゾール、オリカルボラン、ポリジベンゾフラン、ポリオキソイソインドリン、ポリフランテトラカルボキシル酸ジイミド、ポリオキサジアゾール、ポリオキシンドール、ポリフタラジン、ポリフタライド、ポリシアヌレート、ポリイソシアヌレート、ポリピペラジン、ポリピペリジン、ポリピラジノキノキサン、ポリピラゾール、ポリピリダジン、ポリピリジン、ポリピロメリチミン、ポリキノン、ポリピロリジン、ポリキノキサリン、ポリトリアジン、ポリトリアゾール等のポリアロマティック系ポリマー;ポリジシロキサン、ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系ポリマー;ポリシラン系ポリマー;ポリシラザン系ポリマー;ポリホスファゼン系ポリマー;ポリチアジル系ポリマー;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン等の共役系ポリマーを挙げることができる。なお、(メタ)アクリルとはメタクリル又はアクリルを意味する。
【0035】
この中で、電気化学的な耐性に優れている点で、ポリアルキレン系ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド類ポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート類、ポリスチレン系ポリマーを主鎖構造として有することが好ましい。主鎖とは、高分子化合物中で、最も炭素数の多い炭素鎖のことである。この中でも、還元状態で下記化学式(10)で示される単位を含むことができるように、ポリマーが選ばれることが好ましい。
【0036】
【化5】
ここで、化学式(10)中、R〜Rは前記化学式(3)と同じであり、X’は前記化学式(9)と同じである。Rは、水素又はメチル基である。Yは特に限定されないが、−CO−、−COO−、−CONR−、−O−、−S−、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアリーレン基、及びこれらの基の2つ以上を結合させた2価の基を挙げることができる。Rは、炭素数1〜18のアルキル基を表す。化学式(10)で示される単位で、特に好ましいものは、下記化学式(11)〜(13)で示される単位である。
【0037】
【化6】
化学式(11)〜(13)において、R〜Rは前記化学式(3)と同じであり、Yは上記化学式(10)と同じであるが特に−COO−、−O−及び−CONR−のいずれかが好ましい。
【0038】
本発明において、化学式(9)で示される残基が、側鎖のすべてに存在しなくてもよい。例えば、ポリマーを構成する単位のすべてが化学式(10)で示される単位であっても、又は一部が化学式(10)で示される単位であってもいずれでもよい。ポリマー中にどの程度含まれるかは、目的、ポリマーの構造、製造方法により異なるが、わずかでも存在していればよく、通常1質量%以上、特に10質量%以上が好ましい。ポリマーの合成に特に制限が無く、またできるだけ大きな蓄電作用を得たい場合には、50質量%以上、特に80質量%以上が好ましい。
【0039】
以下に、本発明で好ましく用いられるニトロキシル高分子が有する単位の例として、下記化学式(4)及び/又は(5)の化学構造で表される高分子化合物、又はその化学構造を繰り返し単位として含む共重合体を挙げることができる。なお、化学式(4)、(5)中、R〜Rは前記化学式(3)と同じであり、Rは、水素又はメチル基である。
【0040】
【化7】
【0041】
本発明におけるニトロキシル高分子の分子量は特に制限はないが、二次電池を構成した際にその電解質に溶けないだけの分子量を有していることが好ましく、これは電解質中の有機溶媒の種類との組み合わせにより異なる。一般には重量平均分子量1,000以上であり、好ましくは10,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、また、5,000,000以下、好ましくは500,000以下である。また、化学式(9)で示される残基を含むポリマーは、架橋していてもよく、それにより電解質に対する耐久性を向上させることができる。
【0042】
また、ニトロキシル高分子化合物は、単独で用いることができるが、二種類以上を混合してもよい。
【0043】
(Li金属酸化物)
本発明で用いられるLi金属酸化物としては、Liイオン電池に用いられている電極活物質を用いることができる。例えば、LiMnO、LiMn(0<x<2)等の層状構造またはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoO、LiNiO等の層状構造を有するLi遷移金属複合酸化物;Li(0<y<2);LiFePO等のオリビン系材料が挙げられる。また、これらの化合物の一部を他元素で置換した材料も用いることができ、例えば、スピネル構造を有するマンガン酸リチウム中のMnの一部を他の遷移金属で置換した材料、例えばLiNi0.5Mn1.5、LiCr0.5Mn1.5、LiCo0.5Mn1.5、LiCoMnO、LiNi0.5Mn1.5−zTi(0<z<1.5);層状構造を有するLi遷移金属複合酸化物の遷移金属の一部を他元素で置換した材料、例えばLiNi0.5Mn0.5、LiNi0.33Mn0.33Co0.33、LiNi0.8Co0.2、LiNiAl1−x(0<x<1);LiMPO(MはFe、Mn、Ni、Coで表される少なくとも1種である。)で表されるオリビン系材料等が挙げられる。これらは、例えばLi過剰組成など非化学量論組成であっても良い。これらの中でも特に、LiFePO、マンガン酸リチウム、LiCoOを用いることが好ましい。本発明では、これらを2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0044】
(導電性材料)
次に、導電性材料について説明する。導電性材料としては、上記高分子ラジカル材料の内部に取り込まれることによって、その複合体に良好な電子伝導性を発現できる導電性を有する微粒子状材料、粉体状材料、ファイバー状材料、チューブ状材料であれば種々の導電性材料を用いることができる。例えば、炭素材料、導電性無機材料、導電性高分子材料等を挙げることができる。なかでも、炭素材料が好ましく、具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ炭素繊維、及びカーボンナノチューブからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。これら、導電性材料は、本発明の要旨の範囲内において任意の割合で2種以上を混合して用いてもよい。
【0045】
導電性材料の大きさは特に限定されないが、均一分散の観点からは細かいほど好ましく、例えば微粒子である場合における粒径としては、一次粒子の平均粒子径で、500nm以下が好ましく、ファイバー状やチューブ状材料である場合における直径としては、500nm以下、長さとしては5nm以上、50μm以下が好ましい。なお、ここでの平均粒径や各寸法は、電子顕微鏡にける観測で得られる平均値、又はレーザー回折式粒度分布測定装置で測定した粒度分布のD50値粒度分布系により測定された値である。
【0046】
こうした導電性材料は、後述の製造方法の欄でも説明するように、原料溶液を構成する溶媒には溶解してもしなくてもよいが、その原料溶液内の高分子ラジカル材料、Li金属酸化物、及び導電性材料を沈殿物として生成するための溶液には、これらすべての材料が溶解も膨潤もしない性質をもつことが必要である。なお、通常、Li金属酸化物、導電性のよい炭素材料、無機材料は原料溶液にも沈殿物を生成するための溶液にも溶解せず、分散するものがほとんどである。
【0047】
(製造方法)
高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体の製造方法は、還元状態においてラジカル部分構造をとる高分子ラジカル材料が溶解又は膨潤しており且つLi金属酸化物及び導電性材料が分散又は溶解している原料溶液を、高分子ラジカル材料、Li金属酸化物及び導電性材料が溶解又は膨潤しない溶液に滴下又は注いで、高分子ラジカル材料、Li金属酸化物及び導電性材料からなる沈殿物を生成させる方法である。
【0048】
高分子ラジカル材料とLi金属酸化物と導電性材料は上述したとおりであるので、以下においては、それ以外の構成について説明する。
【0049】
高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体の原料溶液を構成する溶媒は、上述した高分子ラジカル材料を溶解又は膨潤することができる溶媒であることが必要である。通常、Li金属酸化物や導電性のよい炭素材料や無機材料は、溶媒に不溶性のものが多いため、その溶媒は、必ずしもLi金属酸化物や導電性材料を溶解させてもさせなくてもよいが、分散させる必要がある。このような溶媒としては具体的には、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。これらの中でも、N−メチルピロリドンが好ましい。
【0050】
原料溶液の調製は、通常、先ず、高分子ラジカル材料を溶解又は膨潤可能な溶媒中に、高分子ラジカル材料を入れて溶解または膨潤させる。そこに、Li金属酸化物及び導電性材料を加えて撹拌する。
【0051】
加える導電性材料の量としては、電子伝導性等を考慮して調整されるが、高分子ラジカル材料を100重量部としたとき、通常、5重量部以上200重量部以下、好ましくは7重量部以上100重量部以下、さらに好ましくは10重量部以上50重量部以下の範囲で配合する。この配合量とすれば、得られた電極の導電性を十分なものとしやすくなるとともに、高分子ラジカル材料の量が相対的に少なくなるということがなくなり、電池の容量も確保しやすくなる。
【0052】
加えるLi金属酸化物の量としては、高分子ラジカル材料を100重量部としたとき、通常、1重量部以上500重量部以下、好ましくは3重量部以上300重量部以下、さらに好ましくは5重量部以上200重量部以下の範囲で配合する。この配合量とすれば、十分な電極活物質の重量あたりの容量密度と電池容量を得やすくなる。
【0053】
なお、本発明において、高分子ラジカル材料の「溶解」とは、文字通り溶解する場合のほか、溶媒中に流動性をもって相溶している態様も含むものとし、また、「膨潤」とは、一般的な溶解とはいえなくても溶媒と作用していわゆる膨潤状態となり、導電性材料と共に混合することによって高分子ラジカル材料内に導電性材料を均一に分散させる程度になっている態様を含むものとする。また、導電性材料の「分散」とは、例えば炭素材料のように不溶性材料が溶媒中に分散した態様を含むものとし、導電性材料の「溶解」とは、文字通り溶解する場合のほか、溶媒に相溶した態様を含むものとする。
【0054】
高分子ラジカル材料、Li金属酸化物及び導電性材料を混合するのに用いる機器としては、ホモジナイザー等の攪拌/混合装置を使用できる。こうした機器を用いて混合することにより、高分子ラジカル材料が溶解又は膨潤した溶液に導電性材料を均一に分散したスラリー状の原料溶液が得られる。
【0055】
こうして得られた原料溶液を、高分子ラジカル材料とLi金属酸化物と導電性材料が溶解または膨潤しない溶媒(貧溶媒)に、少しずつ滴下するか、または注ぐ。こうすることにより、高分子ラジカル材料、Li金属酸化物及び導電性材料を同時に沈殿させることができる。高分子ラジカル材料とLi金属酸化物と導電性材料が溶解または膨潤しない溶媒(貧溶媒)としては、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン等を挙げることができる。これらの中でも、メタノールが好ましい。
【0056】
貧溶媒は、主に高分子ラジカル材料との関係で選択され、本発明では主にメタノール等を好ましく用いるが、貧溶媒として作用すれば他の溶媒であっても構わない。なお、Li金属酸化物や導電性材料は、一般的に有機溶媒には解けにくいのであまり考慮されないが、Li金属酸化物や導電性材料が溶解したり膨潤したりすることのない溶媒であることが必要である。
【0057】
こうした貧溶媒中に原料溶液を少しずつ滴下もしくは注いで沈殿物を生成することになるが、そうした滴下や注ぎの態様(滴下量や滴下速度等)は、生じる沈殿物の特性や形態に応じて調整される。特に本発明では、Li金属酸化物及び導電性材料が高分子ラジカル材料の内部に均一に分散した態様で取り込まれた沈殿物として得られることが望ましいので、そうした態様になるように、滴下または注ぐことが望ましい。
【0058】
得られた沈殿物を濾過などにより回収し、これを乾燥させることにより、高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体を得る。得られた高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体は粉砕などにより微粉化してもよい。
【0059】
以上説明したように、本発明の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体の製造方法によれば、高分子ラジカル材料にLi金属酸化物及び導電性材料を均一に分散することができる。こうした製造方法によって得られた複合体では、Li金属酸化物や導電性材料が高分子ラジカル材料の内部に取り込まれた沈殿物として得られるので、複合体に良好な電子伝導性をもたせることができる。
【0060】
[二次電池]
本発明の二次電池は、本発明の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体を電極材料として用いる。本発明の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体を用いた電極を用いて構成される二次電池は、高分子ラジカル材料、Li金属酸化物、導電性材料を単に混合して得た電極を用いて構成される二次電池に比べ放電容量が大きくなり、数秒レベルで大きな電流を流すことが可能となる。
【0061】
本発明の二次電池の好ましい態様においては、高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体を用いた電極が正極である。
【0062】
また、本発明の二次電池の好ましい態様においては、高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体を用いた電極が正極であり、負極にリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質を含み、電解質にリチウム塩を含む非プロトン性有機溶媒を用いる。
【0063】
また、本発明の二次電池の好ましい態様においては、リチウムイオン供給源をさらに備え、正極及び/又は負極が、それぞれ表裏面を貫通する孔を有する集電体を備えており、前記負極と前記リチウムイオン供給源との電気化学的接触によって前記負極にリチウムイオンがあらかじめドーピングされている。
【0064】
本発明において、二次電池の形状は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。二次電池の形状としては、電極積層体、あるいは巻回体を金属ケース、樹脂ケース、あるいはアルミニウム箔などの金属箔と合成樹脂フィルムからなるラミネートフィルム等によって封止したもの等が挙げられ、円筒型、角型、コイン型、およびシート型等で作製されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0065】
(二次電池の製造方法)
二次電池の製造方法としては特に限定されず、材料に応じて適宜選択した方法を用いることができる。例えば、電極活物質、導電付与剤などに溶剤を加えスラリー状にして電極集電体に塗布し、加熱もしくは常温で溶剤を揮発させることにより電極を作製し、さらにこの電極を対極、セパレータを挟んで積層または巻回して外装体で包み、電解液を注入して封止するといった方法である。スラリー化のための溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンなどのアルキルケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。また、電極の作製法としては、電極活物質、導電付与剤などを乾式で混練した後、薄膜化し電極集電体上に積層する方法もある。電極の作製において、特に有機物の電極活物質、導電付与剤などに溶剤を加えスラリー状にして電極集電体に塗布し、加熱もしくは常温で溶剤を揮発させる方法の場合、電極の剥がれ、ひび割れ等が発生しやすい。本発明の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体を用い、好ましくは40μm以上300μm以下の厚さの電極を作製した場合、電極の剥がれ、ひび割れ等が発生しにくい、均一な電極が作製できるといった特徴を有している。
【0066】
二次電池を製造する際には、電極活物質として上で説明した高分子ラジカル材料のラジカル状態であるポリラジカル化合物そのものを用いて二次電池を製造する場合と、電極反応によって本発明のポリラジカル化合物に変化する重合体を用いて二次電池を製造する場合とがある。このような電極反応によって上記ポリラジカル化合物に変化する重合体の例としては、上記ポリラジカル化合物を還元したアニオン体とリチウムイオンやナトリウムイオンといった電解質カチオンとからなるリチウム塩やナトリウム塩、あるいは、上記ポリラジカル化合物を酸化したカチオン体とPFやBFといった電解質アニオンとからなる塩などが挙げられる。
【0067】
本発明において、電極からのリードの取り出し、外装等のその他の製造条件は二次電池の製造方法として従来公知の方法を用いることができる。
【0068】
図1に本実施形態によるラミネート型二次電池の一例の斜視図を示し、図2に断面図を示す。これらの図に示されるように、二次電池107は、正極101、この正極に対向する負極102、正極と負極との間に挟まれたセパレータ105を含む積層構造を有し、この積層構造は外装用フィルム106で覆われ、外装用フィルム106の外部へ、電極リード104が引き出されている。この二次電池内へは電解液が注入されている。以下に、二次電池の構成部材と製造方法についてさらに詳細に説明する。
【0069】
(正極)
正極101は、高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体を含み、必要に応じてさらに導電性付与剤、結着剤を含み、一方の集電体103上に形成されている。
【0070】
(負極)
負極102は、負極活物質を含み、必要に応じてさらに導電性付与剤、結着剤を含み、他方の集電体103上に形成されている。
【0071】
本発明の二次電池の負極活物質としては、リチウム二次電池の負極活物質として用いることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、従来より負極活物質として用いられている黒鉛、非晶質炭素、リチウム金属、チタン酸リチウム、酸化チタン、シリコンおよびその酸化物や合金、ゲルマニウムおよびその合金、スズおよびその酸化物や合金などが例示される。またこの他にも、リチウムを電気化学的に挿入、脱離する物質であれば、制限なく用いることができる。また、これらの負極活物質は、単独、もしくは組み合わせて使用できる。
【0072】
(セパレータ)
正極101と負極102との間には、これらを絶縁分離する絶縁性の多孔質セパレータ105が設けられる。セパレータ105としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質樹脂フィルム、セルロース膜、不繊布等を用いることができる。
【0073】
(電解液)
電解液は、正極と負極との間で荷電担体の輸送を行うものであり、正極101、負極102及びセパレータ105に含浸している。電解液としては、20℃で10−5〜10−1S/cmのイオン伝導性を有しているものを用いることができ、電解質塩を有機溶媒に溶解した非水電解液を用いることができる。電解液の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒を用いることができる。
【0074】
電解質塩としては、例えばLiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO(以下「LiTFSI」)、LiN(CSO(以下「LiBETI」)、Li(CFSOC、Li(CSOC等の通常の電解質材料を用いることができる。
【0075】
有機溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類が挙げられる。他の有機溶媒としては、環状カーボネート及び鎖状カーボネートの少なくとも一方を混合することが好ましい。
【0076】
(集電体)
本発明のリチウム二次電池の集電体としては、リチウムと合金化しない金属から形成されていれば特に限定されず、例えば従来より正極集電体として用いられているアルミニウム、負極集電体として用いられる銅およびその合金、ニッケルなどが挙げられる。
【0077】
(外装用フィルム)
外装用フィルム106としてはアルミラミネートフィルム等を用いることができる。外装用フィルム以外の外装体としては、金属ケースや樹脂ケースが挙げられる。二次電池の外形としては、円筒型、角型、コイン型、シート型が挙げられる。
【0078】
(二次電池の作製例)
正極101を外装用フィルム106上に置き、セパレータ105を挟んで負極102と重ね合わせることで電極積層体を得る。得られた電極積層体を外装用フィルム106で覆い、電極リード部を含む3辺を熱融着する。これに電解液を注入し、真空含浸させる。十分に含浸させて電極及びセパレータ105の空隙を電解液で埋めた後、残りの4辺目を熱融着することにより、ラミネート型の二次電池107を得る。
【実施例】
【0079】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0080】
(実施例1)
<高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・炭素材料複合体の作製>
〜Rがメチル基である上記化学式(4)のニトロキシル高分子化合物(重量平均分子量:28000、理論容量密度111mAh/g)10.0gをN−メチルピロリドン150mlに溶解した。ここにオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO、理論容量密度155mAh/g)10.0g、炭素材料(昭和電工製、商品名:VGCF−H)2.8g、を加え、ホモジナイザーにて攪拌し、炭素材料が均一に分散しているスラリーを得た。
【0081】
次いで、このスラリーをメタノール1Lに撹拌しながら少しずつ加えることにより、ニトロキシル高分子化合物・Li金属酸化物・炭素材料複合体を沈殿させた。沈殿物をろ過し、さらに減圧乾燥機にて60℃で8時間の真空乾燥を行い、ニトロキシル高分子化合物・Li金属酸化物・炭素材料複合体の固形物を得た。これを乳鉢ですりつぶし、粉末状とした。
【0082】
<二次電池の作製>
上記のようにして得たニトロキシル高分子化合物・オリビン型リン酸鉄リチウム・炭素材料複合体9.5g、カルボキシメチルセルロース(CMC)400mg、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)100mg、水30mlをホモジナイザーにて攪拌し、均一なペーストを調製した。このスラリーを正極集電体であるアルミ箔上に塗布し、さらに100℃で10分間乾燥し、130μmの厚さを持つ電極を得た。これを22×24mmの長方形に切り抜き正極として用いた。
【0083】
露点−50℃以下のドライルーム中において、上記の方法で作製した正極と、金属リチウム箔を張り合わせた銅箔(負極、22×24mm)を、セパレータを介して順に重ねあわせ、電極積層体を製造した。正極集電体であるアルミ箔に正極リードを超音波溶接し、同様に負極集電体である銅箔に負極リードを溶接した。それらを厚み100μmのアルミラミネートフィルム(外装体)で覆い、リード部を含む3辺を先に熱融着した。次に、1mol/LのLiPFを含む、エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)(EC/EDC=3/7)の混合電解液を注入し、電極中に含浸させた。最終的に減圧下にて最後の4辺目を熱融着し、二次電池(図1に示す二次電池107と同形態のもの)を作製した。
【0084】
<放電試験>
二次電池作製後、20℃にて0.5mAの定電流で4.0Vまで充電を行い、その後2.5Vまで放電を行った。その後再び0.5mAで4.2Vまで充電を行った後、0.5mAで2.5Vまで放電し、このときの電池容量を測定した。電池容量は2.4mAhであった。このときの電極活物質(ニトロキシル高分子化合物+LiFePO)重量あたりの容量密度は、120mAh/gとなった。
【0085】
つづいて20℃にて、0.5mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電した後、10mAで1秒間放電した。再度、0.5mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電した後、20mAで1秒間放電した。この充電・放電の繰り返しを、放電電流を30、40、・・・、1000mAと変えながら行った。放電終止電圧と測定電流を掛け合わせることで出力を求めた。各放電電流時の出力の中で最も値が大きいものを最大出力とした。最大出力は837mWであった。
【0086】
(実施例2)
<高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・炭素材料複合体の作製>
〜Rがメチル基である上記化学式(5)のニトロキシル高分子化合物(重量平均分子量:12000、理論容量密度134mAh/g)を用いること以外、実施例1と同様の方法で高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・炭素材料複合体を作製した。
【0087】
<二次電池の作製>
上記のようにして得たニトロキシル高分子化合物・オリビン型リン酸鉄リチウム・炭素材料複合体を用いて実施例1と同様に二次電池を作製した。
【0088】
<放電試験>
二次電池作製後、20℃にて0.5mAの定電流で4.0Vまで充電を行い、その後2.5Vまで放電を行った。その後再び0.5mAで4.2Vまで充電を行った後、0.5mAで2.5Vまで放電し、このときの電池容量を測定した。電池容量は2.7mAhであった。このときの電極活物質(ニトロキシル高分子化合物+LiFePO)重量あたりの容量密度は、138mAh/gとなった。
【0089】
つづいて20℃にて、0.5mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電した後、10mAで1秒間放電した。再度、0.5mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電した後、20mAで1秒間放電した。この充電・放電の繰り返しを、放電電流を30、40、・・・、1000mAと変えながら行った。放電終止電圧と測定電流を掛け合わせることで出力を求めた。各放電電流時の出力の中で最も値が大きいものを最大出力とした。最大出力は1046mWであった。
【0090】
(比較例1)
<二次電池の作製>
〜Rがメチル基である上記化学式(4)のニトロキシル高分子化合物(重量平均分子量:28000)17.9g、炭素材料(昭和電工製、商品名:VGCF−H)2.5g、CMC400mg、PTFE100mg、水30mlをホモジナイザーにて攪拌し、均一なペーストを調製した。このスラリーを正極集電体であるアルミ箔上に塗布し、さらに100℃で10分間乾燥し、130μmの厚さを持つ正極を形成した。上記製造した正極を用いたこと以外は、実施例1と同様な構成および方法で二次電池を作製した。
【0091】
<放電試験>
二次電池作製後、20℃にて0.5mAの定電流で4.0Vまで充電を行い、その後2.5Vまで放電を行った。その後再び0.5mAで4.2Vまで充電を行った後、0.5mAで2.5Vまで放電し、このときの電池容量を測定した。電池容量は2.7mAhであった。このときの電極活物質(ニトロキシル高分子化合物)重量あたりの容量密度は、90mAh/gとなった。
【0092】
つづいて20℃にて、0.5mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電した後、10mAで1秒間放電した。再度、0.5mAの定電流で電圧が4Vになるまで充電した後、20mAで1秒間放電した。この充電・放電の繰り返しを、放電電流を30、40、・・・、1000mAと変えながら行った。放電終止電圧と測定電流を掛け合わせることで出力を求めた。各放電電流時の出力の中で最も値が大きいものを最大出力とした。最大出力は280mWであった。
【0093】
(比較例2)
<二次電池の作製>
〜Rがメチル基である上記化学式(4)のニトロキシル高分子化合物(重量平均分子量:28000)8.95g、オリビン型リン酸鉄リチウム8.95g、炭素材料(昭和電工製、商品名:VGCF−H)2.5g、CMC400mg、PTFE100mg、水30mlをホモジナイザーにて攪拌し、均一なペーストを調製した。このスラリーを正極集電体であるアルミ箔上に塗布し、さらに100℃で10分間乾燥し、130μmの厚さを持つ正極を形成した。上記製造した正極を用いたこと以外は、実施例1と同様な構成および方法で二次電池を作製した。
【0094】
<放電試験>
二次電池作製後、20℃にて0.5mAの定電流で4.0Vまで充電を行い、その後2.5Vまで放電を行った。その後再び0.5mAで4.2Vまで充電を行った後、0.5mAで2.5Vまで放電し、このときの電池容量を測定した。電池容量は2.7mAhであった。このときの電極活物質(ニトロキシル高分子化合物+LiFePO)重量あたりの容量密度は、56mAh/gとなった。
【0095】
つづいて20℃にて、0.5mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電した後、10mAで1秒間放電した。再度、0.5mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電した後、20mAで1秒間放電した。この充電・放電の繰り返しを、放電電流を30、40、・・・、1000mAと変えながら行った。放電終止電圧と測定電流を掛け合わせることで出力を求めた。各放電電流時の出力の中で最も値が大きいものを最大出力とした。最大出力は314mWであった。
【0096】
放電試験の結果を表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
実施例1および2では、比較例と比べて、容量密度、最大出力ともに優れた。これは、ニトロキシル高分子化合物、リン酸鉄リチウム及び導電性材料を複合化することによりニトロキシル高分子化合物、リン酸鉄リチウム、導電性材料が正極内に均一に分散され、良好な電子導電性が得られ、また、より速い反応が可能になり大きな電流での放電が可能となったためと考えられる。
【0099】
本出願の主要な発明は、特許請求の範囲に記載のとおりであるが、その他に、以下の事項も開示している。
【0100】
(付記1)還元状態においてラジカル部分構造をとる高分子ラジカル材料が溶解又は膨潤しており且つLi金属酸化物及び導電性材料が分散又は溶解している原料溶液を調製し、前記原料溶液を、前記高分子ラジカル材料、前記Li金属酸化物、及び前記導電性材料が溶解又は膨潤しない溶液に滴下又は注ぐことにより、前記高分子ラジカル材料、前記Li金属酸化物、及び前記導電性材料からなる沈殿物を生成することを特徴とする高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体の製造方法。
【0101】
(付記2)前記高分子ラジカル材料が、酸化状態において下記化学式(1)で示されるニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態において下記化学式(2)で示されるニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル高分子化合物である、付記1に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体の製造方法。
【0102】
【化8】
【0103】
(付記3)前記ニトロキシル高分子化合物が、還元状態において下記化学式(3)で示される環状ニトロキシル構造を含む高分子化合物である、付記2に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体の製造方法。
【0104】
【化9】
(化学式(3)中、R1〜R4はそれぞれ独立にアルキル基を表し、Xは化学式(3)が5〜7員環を形成するような2価の基を表す。ただし、Xの少なくとも一部は、ポリマーの主鎖の一部を構成している。)
【0105】
(付記4)前記高分子ラジカル材料が、下記化学式(4)及び/又は(5)の化学構造で表される高分子化合物、又はこの化学構造を繰り返し単位として含む共重合体である、付記3に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体の製造方法。
【0106】
【化10】
(化学式(4)及び(5)中、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基を表し、Rは水素又はメチル基を表す。)
【0107】
(付記5)還元状態においてラジカル部分構造をとる高分子ラジカル材料が溶解又は膨潤しており且つLi金属酸化物及び導電性材料が分散又は溶解している原料溶液を、前記高分子ラジカル材料、前記Li金属酸化物、及び前記導電性材料が溶解又は膨潤しない溶液に滴下又は注いで、前記Li金属酸化物と前記導電性材料とが前記高分子ラジカル材料の内部に取り込まれた沈殿物として得られた高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体。
【0108】
(付記6)前記高分子ラジカル材料が、酸化状態において下記化学式(1)で示されるニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態において下記化学式(2)で示されるニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル高分子化合物である、付記5に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体。
【0109】
【化11】
【0110】
(付記7)前記ニトロキシル高分子化合物が、還元状態において下記化学式(3)で示される環状ニトロキシル構造を含む高分子化合物である、付記6に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体。
【0111】
【化12】
(化学式(3)中、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基を表し、Xは化学式(3)が5〜7員環を形成するような2価の基を表す。ただし、Xの少なくとも一部は、ポリマーの主鎖の一部を構成している。)
【0112】
(付記8)前記高分子ラジカル材料が、下記化学式(4)及び/又は(5)の化学構造で表される高分子化合物、又はこの化学構造を繰り返し単位として含む共重合体である、付記7に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体。
【0113】
【化13】
(化学式(4)及び(5)中、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基を表し、Rは水素又はメチル基を表す。)
【0114】
(付記9)前記導電性材料が、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ炭素繊維、及びカーボンナノチューブからなる群から選ばれる少なくとも1つである、付記5〜8のいずれか1項に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体。
【0115】
(付記10)前記Li金属酸化物がLiMnO、LiMn(0<x<2)、LiCoO、LiNiO、Li(0<y<2)、LiFePO、LiNi0.5Mn1.5、LiCr0.5Mn1.5、LiCo0.5Mn1.5、LiCoMnO、LiNi0.5Mn0.5、LiNi0.33Mn0.33Co0.33、LiNi0.8Co0.2、LiNi0.5Mn1.5−zTi(0<z<1.5)およびLiNiAl1−x(0<x<1)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、付記5〜9のいずれか1項に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体。
【0116】
(付記11)付記5〜10のいずれか1項に記載の高分子ラジカル材料・Li金属酸化物・導電性材料複合体を電極材料として用いることを特徴とする二次電池。
【0117】
(付記12)前記電極が正極である、付記11に記載の二次電池。
【0118】
(付記13)前記電極が正極であり、負極にリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質を含み、電解質にリチウム塩を含む非プロトン性有機溶媒を用いる、付記12に記載の二次電池。
【0119】
(付記14)リチウムイオン供給源をさらに備え、前記正極及び/又は前記負極が、それぞれ表裏面を貫通する孔を有する集電体を備えており、前記負極と前記リチウムイオン供給源との電気化学的接触によって前記負極にリチウムイオンがあらかじめドーピングされている、付記13に記載の二次電池。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明における二次電池は、高エネルギー密度と高い出力特性を同時にできるため、高いエネルギー密度が求められるノート型パソコン、携帯電話、スマートフォンなど各種携帯電子機器の電源、電気自動車、また高い出力が求められるハイブリッド電気自動車等の駆動用又は補助用蓄電源、ソーラーエネルギーや風力発電などの各種エネルギーの蓄電装置等に用いることができる。
【符号の説明】
【0121】
101 正極
102 負極
103 集電体
104 電極リード
105 セパレータ
106 外装用フィルム
107 ラミネート型二次電池
図1
図2