(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプリンター100(画像形成装置)の斜視図、
図2は、プリンター100の筐体101の一部が開放された斜視図、
図3は、プリンター100の内部構造を概略的に示す断面図である。プリンター100は、いわゆるモノクロプリンター機であるが、他の実施形態において、画像形成装置は、カラープリンター、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機等であってもよい。
【0026】
プリンター100は、シートSに画像を形成するための各種の装置を収容する筐体101を備える。筐体101は、筐体101の上面を規定する上壁102と、筐体101の底面を規定する底壁103(
図3)と、上壁102と底壁103との間の後壁105(
図3)と、後壁105の前方に位置する前壁104とを含む。筐体101は、各種の装置が配置される内部空間107を備える。筐体101の内部空間107には、シートSが所定の搬送方向に搬送されるシート搬送路PPが備えられている。筐体101の一部は、
図2に示すように、開閉カバー100Cによって開放可能である。開閉カバー100Cがヒンジ軸108の軸回りに回動して上方に開放されると、内部空間107の上方が外部に開放される。この開放により露出する部分は、後述のトナーコンテナ30を収容するためのコンテナ収容部109である。
【0027】
上壁102の中央部には、排紙部102Aが配置されている。排紙部102Aには、後述の画像形成部120において画像が形成されたシートSが排出される。前壁104の上下方向の中央部には、手差しトレイ104Aが配置されている。手差しトレイ104Aは、その下端を支点として、上下に回動可能である(
図3の矢印DT)。
【0028】
図3を参照して、プリンター100は、カセット110、ピックアップローラー112、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114、搬送ローラー115、レジストローラー対116、画像形成部120及び定着装置130を備えている。
【0029】
カセット110は、内部にシートSを収容する。カセット110は、シートSの先頭縁を押し上げるように傾斜するリフト板111を備える。ピックアップローラー112は、リフト板111によって押し上げられたシートSの先頭縁上に配置されている。ピックアップローラー112が回転すると、シートSはカセット110から引き出される。第1給紙ローラー113は、ピックアップローラー112の下流に配設され、シートSを更に下流に送り出す。第2給紙ローラー114は、手差しトレイ104Aの支点の内側(後側)に配設され、手差しトレイ104A上のシートSを筐体101内に引き込む。
【0030】
搬送ローラー115は、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114のシート搬送方向の下流側に配置されている。搬送ローラー115は、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114によって送り出されたシートSを更に下流へ搬送する。レジストローラー対116は、シートSの斜め搬送を矯正する機能を有する。また、レジストローラー対116は、画像形成部120による画像形成のタイミングに合わせて、シートSを画像形成部120に供給する。
【0031】
画像形成部120は、感光体ドラム121(像担持体)、帯電器122、露光装置123、現像装置20、トナーコンテナ30(現像剤収容容器;現像剤補給装置の一部)、転写ローラー126(転写部)及びクリーニング装置127を備える。
【0032】
感光体ドラム121は、円筒状の部材であり、その周面に静電潜像及びトナー像(現像剤像)を担持する。帯電器122は、感光体ドラム121の周面を略一様に帯電させる。露光装置123は、感光体ドラム11の周面に静電潜像を形成する。露光装置123は、レーザーダイオード等の光源、偏向体、走査レンズ及び光学素子等を備え、帯電器122によって略一様に帯電された感光体ドラム121の周面に対して、画像データに応じたレーザー光を照射する。
【0033】
現像装置20は、静電潜像が形成された感光体ドラム121の周面にトナー(現像剤)を供給する。トナーコンテナ30は、トナーを収容する容器であって、現像装置20に対して前記トナーを補給する。現像装置20がトナーを感光体ドラム121に供給することにより、感光体ドラム121の周面に形成された静電潜像が現像(可視化)される。この結果、感光体ドラム121の周面に、トナー像が形成される。現像装置20及びトナーコンテナ30の詳細構造は後記で詳述する。
【0034】
転写ローラー126は、感光体ドラム121に対し下方から対向して配設され、両者で転写ニップ部を形成している。転写ローラー126には転写バイアスが与えられ、感光体ドラム121に形成されたトナー像をシートに転写させる。クリーニング装置127は、シートSへトナー画像が転写された後に、感光体ドラム121の周面に残るトナーを除去する。
【0035】
定着装置130は、ヒーターを内蔵する定着ローラー131と、該定着ローラー131に対向配置された加圧ローラー132とを備える。定着装置130は、トナー像が転写されたシートを加熱加圧することにより、トナー像をシートに定着させる。定着装置130の下流には、搬送ローラー対133と、搬送ローラー対133の下流に配設された排出ローラー対134とが配置されている。定着処理後のシートSは、搬送ローラー対133によって上方に搬送され、最終的に、排出ローラー対134によって、筐体101から排出される。筐体101から排出されたシートSは、排紙部102A上に積み重ねられる。
【0036】
続いて、現像装置20について詳述する。
図4Aは、現像装置20の内部構造を示す平面図である。現像装置20は、一方向(左右方向)に長尺の箱形形状を有する現像ハウジング210を備える。現像ハウジング210は、貯留空間220とトナー補給口25とを含む。貯留空間220には、現像ローラー21と、第1攪拌スクリュー23及び第2攪拌スクリュー24とが配設されている。本実施形態では、一成分現像方式が適用され、この貯留空間220には、磁性成分を含む磁性トナーが現像剤として充填されている。二成分現像方式が適用される他の実施形態では、トナーと磁性体からなるキャリアとが混合された現像剤が、貯留空間220に充填される。トナーは、貯留空間220内において攪拌搬送され、静電潜像を現像するために、逐次現像ローラー21から感光体ドラム121に供給される。現像ローラー21は、現像ハウジング210の長尺方向に延設される円筒形状を有し、外周に回転駆動されるスリーブ部分を有する。
【0037】
現像ハウジング210の貯留空間220は、不図示の天板によって覆われるとともに、左右方向に延びる仕切り板22によって、左右方向に長尺の第1搬送路221と第2搬送路222とに区画されている。仕切り板22は、現像ハウジング210の左右方向の幅よりも短く、仕切り板22の右端及び左端には、第1搬送路221と第2搬送路222とをそれぞれ連通させる第1連通路223及び第2連通路224が備えられている。これにより、貯留空間220には、第1搬送路221、第2連通路224、第2搬送路222及び第1連通路223に至る循環経路が形成されている。トナーは、
図4Aにおいて矢印D1、D2で示す通り、前記循環経路内を時計回りに搬送される。
【0038】
トナー補給口25は、前記天板に穿孔された開口であり、第1搬送路221の右端付近の上方に配置されている。トナー補給口25は、上記の循環経路に対向して配置され、トナーコンテナ30から補給される補給トナーを貯留空間220に受け入れるための開口である。
【0039】
第1攪拌スクリュー23は、第1搬送路221に配設されている。第1攪拌スクリュー23は、第1回転軸23aと、この第1回転軸23aの周上にスパイラル状に突設された第1螺旋羽根23bとを含む。第1攪拌スクリュー23は、第1回転軸23a回りに回転駆動されることで、
図4Aの矢印D1方向にトナーを搬送する。第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置を通過するように現像剤を搬送する。これにより、第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25から流入する新しいトナーと、第2搬送路222側から第1搬送路221に搬入されたトナーとを混合しながら搬送する。第1攪拌スクリュー23によってD1方向の下流端まで搬送されたトナーは、第2連通路224を経て第2搬送路222に受け渡される。
【0040】
第1攪拌スクリュー23の、トナー補給口25よりもトナー搬送方向の下流側には、第1螺旋羽根23bの外径が左右方向の一定区間だけ部分的に径小とされた、小羽根部26が形成されている。この小羽根部26においては、第1螺旋羽根23bの他の部分に比べて、羽根径が小さい分だけトナーの搬送能力が低下する。すなわち、小羽根部26が形成された領域は、トナーの搬送能力を部分的に抑制する搬送能力抑制部27となる。搬送能力抑制部27は、トナー補給口25の付近においてトナーを滞留させるために設けられている。
【0041】
第2攪拌スクリュー24は、第2搬送路222に配設されている。第2攪拌スクリュー24は、第2回転軸24aと、この第2回転軸24aの周上にスパイラル状に突設された第2螺旋羽根24bとを含む。第2攪拌スクリュー24は、第2回転軸24a回りに回転駆動されることで、矢印D2方向にトナーを搬送しながら、現像ローラー21にトナーを供給する。第2攪拌スクリュー24によってD2方向の下流端まで搬送されたトナーは、第1連通路223を経て第1搬送路221に受け渡される。
【0042】
トナーコンテナ30(
図3)は、現像ハウジング210のトナー補給口25の上方に配置されている。トナーコンテナ30は、トナー排出口319(現像剤排出口)を備える。現像装置20のトナー補給口25は、トナー排出口319の下方に対応する位置において現像ハウジング210に開口されている。トナーコンテナ30に貯留されているトナーは、トナー排出口319からトナー補給口25を通して現像ハウジング210内に補給される。
【0043】
本実施形態では、現像装置20へトナーを補給する方式として、トナーセンサーに依存せず、現像装置20内のトナー量が減少するとトナーコンテナ30から自ずとトナーが補給される体積補給方式を採用している。この体積補給方式における、トナー補給口25から新たに補給されるトナーの流れについて説明する。
図4Bは、現像装置20のトナー補給口25とトナーコンテナ30のトナー排出口319との結合部付近を模式的に示す断面図である。
【0044】
トナー排出口319から供給された補給トナーT2は、第1搬送路221に落下して既存のトナーT1と混合され、第1攪拌スクリュー23により矢印D1方向に搬送される。この際、トナーT1、T2は攪拌され、帯電される。第1攪拌スクリュー23は、上述の通り、トナー補給口25よりトナー搬送方向下流側に、トナーの搬送性能が比較的低い搬送能力抑制部27を備える。貯留空間220に十分にトナーが存在する状態で第1攪拌スクリュー23が回転駆動されると、搬送能力抑制部27においてトナーT1が滞留し始める。トナーT1は、搬送能力抑制部27の直ぐ上流側であって、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置まで滞留する。この結果、トナー補給口25の入口は滞留したトナーT1によって塞がれることになる。
【0045】
従って、貯留空間220に十分にトナーが存在する状態では、補給トナーT2はトナー排出口319から落下することができない。よって、補給トナーT2の補給は規制される。一方、貯留空間220内のトナーが消費され搬送能力抑制部27で滞留するトナーが減少すると、トナー補給口25を塞いでいたトナーも減少する。この結果、補給トナーT2はトナー補給口25から第1搬送路221(貯留空間220)に流入することが可能となり、トナーの補給が実現される。なお、現像装置20にトナーセンサーを付設し、該トナーセンサーに完全に依存してトナー補給を行わせる場合(体積補給方式を採用しない場合)は、搬送能力抑制部27を設けない構成としても良い。
【0046】
次に、第1実施形態に係るトナーコンテナ30の詳細構造について説明する。
図5は、トナーコンテナ30の側面図、
図6はトナーコンテナ30の左右方向の断面図である。トナーコンテナ30は、コンテナ本体31(容器本体)、攪拌ディスク32、シャフト33(シャフト部)、移動壁34、スポンジシール36、蓋部37、回転ギア38、カバー39及び検知片40を備える。
【0047】
コンテナ本体31は、円筒体の形状を備えたトナーコンテナ30の本体部分である。コンテナ本体31は、内周部311と内部空間312とを備える。内周部311は、コンテナ本体31の内周面であって、トナーコンテナ30の長手方向である左右方向に沿って筒状に延びている。内部空間312は、トナーを収容することが可能な空間である。内部空間312は、筒状の胴部314(内部空間を区画する壁)と、胴部314の左端側を封止する左壁315と、胴部314の右端側を封止するフランジ部316及び蓋部37とによって区画されている。内部空間312のうち、左壁315、後記の移動壁34及び内周部311によって画定される領域が、収容空間313である。収容空間313は、トナーコンテナ30の内部において、トナーが実際に収容される空間である。
【0048】
コンテナ本体31は、シャッター部材317、第1ガイド部318及びトナー排出口319(現像剤排出口)を備える。シャッター部材317はU字型の形状を備え、コンテナ本体31の左端付近の外周上に、該コンテナ本体31に対して左右方向に移動可能に装着されている。第1ガイド部318は、左壁315の外側において、上下方向に延びる突出部である。第1ガイド部318は、後記の第2ガイド部392とともに、トナーコンテナ30の筐体101への装着をガイドする。
【0049】
トナー排出口319は、コンテナ本体31の左端(第1方向の下流端)付近の下方位置において胴部314を貫通する開口であり、内部空間312と外部とを連通させる開口である。シャッター部材317は、トナー排出口319をコンテナ本体31の外周側から封止する閉止姿勢と、トナー排出口319を開放させる開放姿勢との間で姿勢変更する部材である。収容空間313に収容されたトナーは、トナー排出口319が開口された状態であるとき、当該トナー排出口319から現像装置20(トナー補給口25)に向かって排出される。
【0050】
攪拌ディスク32は、円板形状からなる板部材である。攪拌ディスク32は、後記のシャフト33の第2シャフト端部332に固定され、シャフト33と一体回転する。攪拌ディスク32は、コンテナ本体31内の左壁315付近に配置され、トナー排出口319の上方に存在するトナーを攪拌する。なお、収容空間313に収容されるトナーの流動性が低い場合には、収容空間313に向かって右方へ突出する突起部を攪拌ディスク32に設けても良い。
【0051】
シャフト33は、内部空間312において左右方向(本実施形態では右から左に向かう方向が「第1方向」であり、右側が「上流側」、左側が「下流側」である)に延びるように配置され、コンテナ本体31および後記の蓋部37によって回転可能に支持されている。シャフト33は、その軸回りにモーターMによって回転駆動される。シャフト33は、第1シャフト端部331、第2シャフト端部332、雄螺旋部333及び移動壁停止部334を備えている。
【0052】
第1シャフト端部331は、シャフト33の右端であって、蓋部37の蓋軸穴部37Jに軸支されている。第2シャフト端部332は、シャフト33の左端であって、コンテナ本体31の左壁315に設けられた軸受部31Jに軸支されている。雄螺旋部333は、シャフト33の外周面に所定のピッチで形成された螺旋状のねじ部である。本実施形態の雄螺旋部333は、シャフト33のうち、フランジ部316と対向する位置からトナー排出口319に近い位置までの領域に形成されている。移動壁停止部334は、雄螺旋部333の左端に隣接して配置され、雄螺旋部333のような凸部分が存在しない軸部分のみの領域である。移動壁停止部334は、トナー排出口319の上方及びこれの右隣の領域に位置する。
【0053】
移動壁34は、内部空間312内に配置され、この内部空間312においてシャフト33に沿って右方(第1方向の上流側)から左方(下流側)に移動する。移動壁34は、トナーが現に収容される収容空間313の右端面を画定する壁である。移動壁34は、トナーコンテナ30の使用開始時から使用終了時までの間、予め設定された初期位置から内部空間312内をトナー排出口319に対向する最終位置まで移動する。この際、移動壁34は、収容空間313のトナーをトナー排出口319に向けて搬送する。移動壁34はシャフト33の雄螺旋部333に係合しており、モーターMの駆動によりシャフト33が回転されることによって、矢印DA方向に移動する。
【0054】
移動壁34は、壁本体部340、移動壁軸穴部34J、外周壁部341、内壁シール342、シャフトシール343及び外周部344を備えている。壁本体部340は、収容空間313を画定する壁部の一部であって、シャフト33に垂直な搬送面340Sを備える。搬送面340Sは、移動壁34の左側の面(下流側に向かう面)に備えられ、移動壁34の移動に伴って、収容空間313内のトナーを押圧しながら搬送する。壁本体部340の中心には、シャフトシール343を保持すると共に、シャフト33を貫通させる円筒孔が形成されている。移動壁軸穴部34Jは、壁本体部340の右面中央から右方に突出した筒状部分である。移動壁軸穴部34Jの内周面には、シャフト33の雄螺旋部333と係合する雌螺旋部345が設けられている。
【0055】
外周壁部341は壁本体部340の側周壁であり、コンテナ本体31の内周部311と所定のギャップを置いて対向している。内壁シール342は、外周壁部341の周囲を覆うように配置されるシール部材であって、内周部311と外周壁部341との間で圧縮変形している。移動壁34の矢印DA方向へ移動時、内壁シール342によって、収容空間313のトナーが内周部311と移動壁34との間から、移動壁34よりも移動方向上流側に流出することが防止される。
【0056】
シャフトシール343は、シャフト33の雄螺旋部333と接触するように配置され、移動壁34の移動に伴って、雄螺旋部333に付着したトナーを清掃する。シャフトシール343は、移動壁軸穴部34Jよりも移動壁34の移動方向下流側に配置されている。従って、シャフトシール343は、雌螺旋部345よりも先に雄螺旋部333に接触することになり、トナーが雄螺旋部333からほぼ除去された状態で、雄螺旋部333上を雌螺旋部345が進行することができる。また、シャフトシール343のシール機能によって、収容空間313のトナーが、シャフト33と移動壁34との間の隙間を通って移動方向上流側に流出することが防止される。
【0057】
蓋部37は、コンテナ本体31のフランジ部316に固定され、コンテナ本体31の右面の開口部を封止している。蓋部37は、蓋軸穴部37Jを備える。蓋軸穴部37Jは、シャフト33の第1シャフト端部331側を回転可能に軸支する。スポンジシール36は、移動壁軸穴部34Jと蓋部37との間に配置されている。スポンジシール36は、蓋部37がコンテナ本体31に固定された状態で、蓋部37の蓋軸穴部37Jからトナーが漏れ出すことを防止する。
【0058】
回転ギア38は、シャフト33の第1シャフト端部331に固定され、シャフト33と一体回転する。回転ギア38は、図略の伝達ギア機構を介して筐体101に配置されたモーターMに連結されている。モーターMから回転駆動力が入力されると、回転ギア38はシャフト33に前記回転駆動力を伝達し、移動壁34を移動させる。
【0059】
カバー39は、コンテナ本体31の右端面に取り付けられるカバー部材である。カバー39は、回転ギア38の一部を露出させた状態で、コンテナ本体31の右端面を覆っている。カバー39は、軸カバー部391と、第2ガイド部392とを備える。軸カバー部391は、回転ギア38から突出した第1シャフト端部331の端部を覆っている。第2ガイド部392は、上下方向に延びる突起部である。この第2ガイド部392と、コンテナ本体31の左端面側の第1ガイド部318とによって、トナーコンテナ30がプリンター100に装着される際にガイドされる。
【0060】
検知片40は、移動壁34に搭載され、後述するトナーセンサー31Tの検知対象となる部材である。検知片40は、搬送面340Sから左方に突出する状態で、当該搬送面340Sに取り付けられている。第1実施形態に係る検知片40は、円柱又は角柱状の部材であって、その基端部401が搬送面340Sにネジ止め、嵌め込み若しくは接着などの方法で固着され、先端部402が搬送面340Sよりも左方に突出した位置にある。この検知片40は、移動壁34が左右方向の移動範囲の最下流位置に到達していること、つまり、トナーコンテナ30内のトナーがエンプティであることを確実に識別できるようにするために配置された部材である。
【0061】
本実施形態では、磁性を有するトナーを検知するトナーセンサー31Tにてセンシングが可能なように、検知片40は磁性体によって形成された部材からなる。検知片40を形成する材料は、磁性体である限りにおいて制限はないが、トナーコンテナ30に収容されるトナーよりも透磁率が高い材料であることが望ましい。これにより、両者を磁気的にセンシングした場合に異なるセンサー出力を得ることが可能となり、磁気トナーと検知片40とを識別することができる。
【0062】
トナーコンテナ30には、トナーセンサー31Tが付設されている。トナーセンサー31Tは、コンテナ本体31のトナー排出口319の近傍の外壁面に取り付けられている。トナーセンサー31Tは、検知対象の磁性を検知するセンサー、具体的には検知対象の透磁率(物理量の一例)を検知し、電気的な出力を発生するセンサーである。つまり、トナーセンサー31Tは、磁性トナーと磁性体からなる検知片40とに共通の物理量を検知可能なセンサーである。これにより、本来的にトナーを検知するために設置されたセンサーを、検知片40の検知用にも用いることができ、部品点数の削減及びコストダウンを図ることができる。好ましいトナーセンサー31Tの一つとして、差動トランスを使用した磁気ブリッジ型の透磁率センサーを例示することができる。なお、トナーセンサー31Tはコンテナ本体31の壁面に必ずしも取り付けなくとも良く、例えば筐体101のコンテナ収容部109の適所に配置しても良い。
【0063】
図7(A)〜(C)は、移動壁34がコンテナ本体31内を移動する様子を示す断面図であり、
図7(A)は移動壁34が初期位置(最上流位置)にある状態を、
図7(B)は移動壁34が初期位置から左方に半分程度移動された状態を、
図7(C)は、移動壁34がトナー排出口319に近接した最終位置(最下流位置)にある状態を各々示している。これらの図では、シャッター部材317の記載は省いている。
【0064】
図7(A)の状態が、トナーを収容する収容空間313が最も広い状態であり、コンテナ本体31の内部空間312のほとんどを収容空間313が占有している。かかる状態が、トナーが満量収容された状態であって、トナーコンテナ30の使用前の状態である。このとき移動壁34は、蓋部37に隣接した位置にある。検知片40は、トナーセンサー31Tから最も離間した位置にある。
【0065】
図7(B)は、トナーが半分程度消費された状態である。
図7(A)の初期位置から移動壁34は、トナーの消費に応じて左方(第1方向)へ移動する。収容空間313の容積は、内部空間312の半分程度に減少している。このとき、壁本体部340の搬送面340Sが、収容空間313内のトナーを押すことによって、トナー排出口319に向かうようにトナーを搬送する。なお、移動壁34の移動態様には特に限定はない。例えば、トナーの減少に応じて逐次細かいピッチで移動壁34を移動させることができる。或いは、シャフト33を長手方向に3区分〜6区分程度に大まかに区分し、トナーの減少に応じて前記区分単位で移動壁34を移動させても良い。
【0066】
図7(C)は、コンテナ内のトナーが実質的に用い尽された状態(エンプティ)を示している。移動壁34は、シャフト33の左端付近(トナー排出口319の近傍)まで移動し、収容空間313は非常に狭くなっている。この結果、収容空間の容積が変化しないトナーコンテナと比較して、使用終了時に、コンテナ本体31の収容空間313に残留するトナー量が少なくなる。
図7(C)の状態では、移動壁34の移動壁軸穴部34Jは移動壁停止部334に至る。このため、左方へ推進力がもはや移動壁34に与えられることはない。また、この最終位置では、検知片40とトナーセンサー31Tとの左右方向の位置が重なっている。検知片40の先端部402は、攪拌ディスク32の右面に隣接している。すなわち、トナーセンサー31Tは、移動壁34がトナー排出口319に最も接近した際に検知片40を検知可能な位置に配置されている。
【0067】
図8は、第1実施形態に係るトナー補給装置300(現像剤補給装置)の構成を概略的に示すブロック図である。トナー補給装置300は、現像装置20へトナーを補給するための装置であって、上述のトナーコンテナ30及びトナーセンサー31Tと、モーターMと、制御部50とを備えている。
【0068】
モーターMは、シャフト33を介して移動壁34を移動させる駆動源である。モーターMの出力軸は、シャフト33に固定された回転ギア38(
図6)に、図略の伝達ギア機構を介して連結されている。
【0069】
制御部50は、マイクロコンピューターからなり、所定のプログラムが実行されることによりトナー補給装置300の動作を制御する。制御部50は、機能的に移動壁制御部51(制御部)及び判定部52を備える。移動壁制御部51は、移動壁34の移動を制御する。具体的には移動壁制御部51は、モーターMを予め定められた条件で動作させてシャフト33を回転させ、移動壁34のシャフト33上における移動位置を制御する。判定部52は、トナーセンサー31Tの出力に基づいて、トナーコンテナ30中のトナーの有無を判定する。
【0070】
トナーセンサー31Tは、その検知エリアに磁性を有するトナー(補給トナーTZ)が存在する場合と、トナーが存在しない場合と、検知片40が存在する場合とで、それぞれ異なるセンサー出力を発生する。本実施形態のトナーセンサー31Tは、トナーを検知している場合には所定電圧V1(第1値)、トナーを検知していない場合にはV1よりも低い電圧V2(第3値)、検知片40を検知している場合にはV1よりも高いV3(第2値)のセンサー出力をそれぞれ発生する。後出の
図18でも例示している通り、例えばV1=0.75V、V2=0.35V、V3=1.2Vに設定することができる。この場合、例えば、1.0V付近に検知閾値を設定することにより、補給トナーTZ及び検知片40の検知にトナーセンサー31Tを共用した場合でも、両者を区別することができる。
【0071】
本実施形態において判定部52は、上記のようなトナーセンサー31Tのセンサー出力を受領し、トナーコンテナ30内におけるトナーの収容状態を識別する。トナーセンサー31TがV1を出力している場合、判定部52は、トナー排出口319の近傍に補給トナーTZが十分に存在している状態(
図8はこの状態を示している)であると判定する。この場合、トナー排出口319からトナーT2を、トナー補給口25を通して現像装置20に対して払い出すことができる状態である。よって、移動壁制御部51は、判定部52が上記の判定を行っている場合は、移動壁34を一時的に停止状態とする。
【0072】
一方、トナーセンサー31TがV2を出力している場合、判定部52は、トナー排出口319の近傍に補給トナーTZが十分に存在していない状態であると判定する。この場合、トナー排出口319から十分なトナーT2を払い出すことができない状態である。かかる状態は、
図8の状態からトナーT2の払い出しが進み、トナー排出口319の周辺に存在した補給トナーTZが費消された状態である。この状態と判定されると、移動壁制御部51は、モーターMを駆動して移動壁34を左方(下流側)に所定距離だけ移動させる。これにより、コンテナ本体31(収容空間313)内の補給トナーTZは移動壁34の搬送面340Sによって押圧され、左方へ搬送される。そして、トナー排出口319の周辺は、再び補給トナーで満たされた状態となる。
【0073】
トナーセンサー31TがV3を出力(検知片を検知したことを示す予め定められた出力)は発生している場合、判定部52は、トナーコンテナ30内のトナーが無しの状態であると判定する。このように、検知片40がトナーセンサー31Tで検知されるようになる移動壁34の位置は、左端の最終位置である。このとき、収容空間313は極小となり、補給トナーTZはコンテナ本体31内にほとんど存在しない状態となる。すなわち、判定部52は、検知片40がトナーセンサー31Tにて検知されたか否かに基づいて移動壁34が最終位置に到達しているか否かを識別し、最終位置であると識別すると、当該トナーコンテナ30がトナーエンプティの状態であると判定する。
【0074】
移動壁制御部51は、V3が出力された以降は、移動壁34を恒久的に停止状態とする。これは、トナーセンサー31TがV3を出力する状態が、トナー排出口319周辺のみがトナー切れの状態ではなく、コンテナ本体31内に補給トナーTZが概ね存在しない状態に至っていることを示すからである。また、移動壁34がコンテナ本体31と干渉するので、これ以上は左方に移動できない状態に至っているからでもある。なお、検知片40が存在しない比較例に係るトナー補給装置では、コンテナ本体31内には未だトナーが残存しており移動壁34を移動させれば良い状態であるのか、コンテナ本体31内のトナーがエンプティの状態なのかを、トナーセンサー31Tの出力に基づいて確定的に判定することができない。
【0075】
図9(A)〜(C)は、第1実施形態に係る検知片40を備える移動壁34が、トナーセンサー31Tの配置位置に向けて移動する様子を示す断面図である。
図9(A)は、移動壁34が、トナーセンサー31Tの検知エリアに未だ検知片40が進入していない位置P1に存在している状態を示している。
図9(B)は、前記検知エリアに検知片40の先端側の一部が進入した位置P2に、移動壁34が存在している状態を示している。
図9(C)は、前記検知エリアに検知片40の全体が進入した位置P3に、移動壁34が存在している状態を示している。この位置P3の状態が、トナーコンテナ30内の補給トナーTZが実質的にエンプティとなる状態である。
【0076】
図10は、上記の位置P1〜P3の状態におけるトナーセンサー31Tの出力の例を示すグラフである。ここでは、トナーの検知分については考慮しないものとしている。
図10(A)は、トナーセンサー31Tとして、デジタル出力タイプのセンサーが用いられた場合のセンサー出力を示している。このトナーセンサー31Tは、所定の閾値を具備し、前記閾値以下ではLow信号を、前記閾値以上ではHi信号を出力する。この場合、移動壁34が位置P1及びP2に存在するときにはセンサー出力がLowとなり、位置P3に存在するときにはHi信号となる。このような出力が得られるよう、前記閾値が設定される。この出力例によれば、Hi信号が得られたときに、移動壁34が最終位置に至ったと判定することができる。
【0077】
図10(B)は、トナーセンサー31Tとして、アナログ出力タイプのセンサーが用いられた場合のセンサー出力を示している。移動壁34が位置P1に存在するときにはセンサー出力がLowとなり、位置P3に存在するときにはHi信号となる点では、
図10(A)の出力例と同じである。一方、位置P2を含み、前記検知エリアに検知片40の一部が進入し始めてから移動壁34が前記最終位置に至るまでの中間位置の間、センサー出力は徐々に上昇する。この出力例によれば、Hi信号が得られたときに、移動壁34が最終位置に至ったと判定することができると共に、前記中間位置の間においては出力値の高さに応じて移動壁34の位置をモニターすることが可能となる。前記モニターによって、トナーコンテナ30内にトナーがほとんど残存していない所謂ニアエンドの状態を知見することが可能となる。
【0078】
図11(A)〜(C)は、第2実施形態に係る検知片41を搭載した移動壁34Aを具備するトナーコンテナ30Aにおいて、当該移動壁34Aが、トナーセンサー31Tの配置位置に向けて移動する様子を示す断面図である。検知片41は、左右方向の側面視において、単位長さ当たりの面積が異なる形状を有している。詳しくは、検知片41は、鋭利な先端部411と、幅広の基端部412とを備え、側面視で直角三角形の形状(奥行き方向の断面形状は一定)を有している。基端部412は移動壁34Aの搬送面340Sに取り付けられ、先端部411の側は搬送面340Sから左方に突出している。
【0079】
図11(A)は、移動壁34Aが、トナーセンサー31Tの検知エリアに検知片41の先端部411が進入する直前の位置P11に存在している状態を示している。
図11(B)は、前記検知エリアに検知片41の先端部411を含む一部が進入した位置P12に、移動壁34Aが存在している状態を示している。
図11(C)は、前記検知エリアに検知片41のほぼ全体が進入した位置P13に、移動壁34Aが存在している状態を示している。この位置P13の状態が、移動壁34Aが最終位置まで進行した状態であって、トナーコンテナ30A内の補給トナーTZが実質的にエンプティとなる状態である。
【0080】
図12は、上記の位置P11〜P13の状態におけるトナーセンサー31Tの出力の例を示すグラフである。ここでは、トナーの検知分については考慮しないものとしている。
図12のグラフは、トナーセンサー31Tとして、アナログ出力タイプのセンサーが用いられた場合のセンサー出力を示している。なお、デジタル出力タイプのものの場合、
図10(A)のグラフと実質的に同じ出力となる。
【0081】
図12に示すように、移動壁34Aが位置P11に存在するときにはセンサー出力がLowであり、以降は出力が徐々に上昇する。位置P12ではセンサー出力がHiとLowの中間程度となる。そして、移動壁34Aが位置P13に存在するときにはHi信号となる。第2実施形態の検知片41によれば、その形状が左右方向において異なるので、センサー出力も前記形状に応じて変化し得る。従って、より分解能良く、移動壁34Aのシャフト33上の位置を把握することができる。
【0082】
図13(A)〜(D)は、第3実施形態に係る検知片42を搭載した移動壁34Bを具備するトナーコンテナ30Bにおいて、当該移動壁34Bが、トナーセンサー31Tの配置位置に向けて移動する様子を示す断面図である。検知片42もまた、左右方向の側面視において、単位長さ当たりの面積が異なる形状を有している。但し、第2実施形態とは異なり、検知片42が左右方向に分断された形状とされることによって、前記面積が異なる形状を構築している。
【0083】
検知片42は、左右方向において、下流側の第1検知領域421と、上流側の第2検知領域422と、第1検知領域421と第2検知領域422との間に配置された非検知領域423とを含む。第1検知領域421及び第2検知領域422は磁性体によって形成された部分であり、非検知領域423は非磁性体で形成された部分、つまりトナーセンサー31Tの検知対象とはならない部分である。第2検知領域422の右端面が移動壁34Bの搬送面340Sに取り付けられ、第1検知領域421の側は搬送面340Sから左方に突出している。
【0084】
図13(A)は、移動壁34Bが、トナーセンサー31Tの検知エリアに検知片42が未だ進入していない位置P21に存在している状態を示している。
図13(B)は、前記検知エリアに検知片42の第1検知領域421が進入した位置P22に、移動壁34Bが存在している状態を示している。
図13(C)は、前記検知エリアに非検知領域423が進入した位置P23に、
図13(D)は、前記検知エリアに第2検知領域422が進入した位置P24に、それぞれ移動壁34Bが存在している状態を示している。位置P24の状態が、移動壁34Bが最終位置まで進行した状態であって、トナーコンテナ30B内の補給トナーTZが実質的にエンプティとなる状態である。
【0085】
図14は、上記の位置P21〜P24の状態におけるトナーセンサー31Tの出力の例を示すグラフである。移動壁34Bが位置P21にあるとき、センサー出力はLowとなる。一方、第1検知領域421又は第2検知領域422がトナーセンサー31Tと対向する位置P22又は位置P24では、センサー出力はHiとなる。一方、非検知領域423がトナーセンサー31Tと対向する位置P23では、非検知領域423の左右方向の長さにも依るが、センサー出力はHiとLowの中間程度となる。なお、非検知領域423の左右方向の長さがトナーセンサー31Tの検知エリアの左右幅より長く設定してしまうと、位置P21と位置P23とのセンサー出力の区別がつき難くなる場合が生じる。このため、非検知領域423の左右方向の長さは、トナーセンサー31Tの検知エリアの左右幅の全域をカバーしない長さに設定することが望ましい。
【0086】
第3実施形態の検知片43によれば、第1検知領域421と第2検知領域422との間に非検知領域423が配置されていることから、移動壁34Bの移動に伴いトナーセンサー31Tの出力に明確な相違が生じる。つまり、移動壁34Bが最終位置(位置P24)に至る少し手前の位置P23において、出力特性の谷部が発生する。従って、この谷部を検知することで、ニアエンドの状態を明確に識別することができる。
【0087】
続いて、第1実施形態のトナーコンテナ30が用いられる場合におけるトナー補給装置300の動作について説明する。
図15は、制御部50の処理を示すフローチャートである。
図16(A)〜(D)及び
図17(A)〜(C)は、移動壁34の移動状態と補給トナーTZの状態とを各々示す模式的な断面図である。ここでは、先に例示した通り、トナーセンサー31Tは、トナーを検知している場合には電圧V1=0.75V(第1値)、トナーを検知していない場合には電圧V2=0.35V(第3値)、検知片40を検知している場合には電圧V3=1.2V(第2値)のセンサー出力をそれぞれ発生するものとする。なお、トナーの検知有無を判別する第1閾値は0.5Vに、検知片40の検知有無を判別する第2閾値は1.0Vに設定されているものとする。
【0088】
補給トナーTZが満量収容されたトナーコンテナ30が筐体101の内部空間107(
図2)にセットされることを端緒として、制御部50(
図8)は処理を開始する。
図16(A)は、内部空間107にセットされた直後の「状態1」のトナーコンテナ30を示している。移動壁34は、シャフト33の右端に位置している。勿論、トナー排出口319の周囲は、補給トナーTZで満たされている。
【0089】
制御部50の判定部52は、所定のサンプリング周期毎にトナーセンサー31Tからセンサー出力を取得する。判定部52は、前記サンプリング周期毎に、センサー出力が前記第1閾値である0.5Vを超過しているか否かを判定する(ステップS1)。トナーセンサー31Tの検知エリアにトナーが十分に存在していればセンサー出力=0.75Vとなるので、ステップS1ではYES判定となる。上掲の「状態1」では、YES判定となる。一方、トナーが存在していなければセンサー出力=0.35Vとなるので、ステップS1ではNO判定となる。
【0090】
センサー出力が0.5Vを超過している場合(ステップS1でYES)、続いて判定部52はセンサー出力が前記第2閾値である1.0Vを超過しているか否かを判定する(ステップS2)。トナーセンサー31Tが検知片40を検知している状態のときにセンサー出力=1.2Vとなるので、ステップS2ではYES判定となる。それ以外の状態では、ステップS2ではNO判定であり、上掲の「状態1」でもNO判定となる。
【0091】
図16(B)は、「状態1」から補給トナーTZの現像装置20への供給が進み、トナー排出口319の周囲の補給トナーTZが減少した「状態2」を示している。この場合、ステップS1でNO判定となる。これを受けて移動壁制御部51は、モーターMを駆動してシャフト33を予め定められた回転量だけ回転させ、移動壁34を左方に所定距離だけ移動させる(ステップS3)。
図16(C)は、移動壁34が所定距離だけ移動した後の「状態3」を示している。この移動壁34の移動によって補給トナーTZは左方へ押し遣られ、トナー排出口319の周囲はトナーリッチな状態に復帰する。従って、「状態3」に至ると、ステップS1はYES判定となる。
【0092】
図16(D)は、「状態3」から補給トナーTZの現像装置20への供給が進み、トナー排出口319の周囲の補給トナーTZが再び減少した「状態4」を示している。「状態4」に至ると、ステップS1は再びNO判定に戻る。このため、移動壁制御部51により移動壁34がさらに左方へ所定距離だけ移動される(ステップS3)。
図17(A)は、移動壁34が所定距離だけさらに移動した後の「状態5」を示している。「状態5」ではトナー排出口319の周囲はトナーリッチな状態に戻り、ステップS1はYES判定となる。
【0093】
図17(B)は、「状態5」から補給トナーTZの現像装置20への供給が進み、トナー排出口319の周囲の補給トナーTZが再び減少した「状態6」を示している。「状態6」に至ると、ステップS1は再びNO判定となるので、移動壁制御部51は移動壁34をさらに左方へ所定距離だけ移動させる。これにより、
図17(C)に示すように、移動壁34が最終位置まで移動する「状態7」に至ることになる。「状態7」では、補給トナーTZはほとんどコンテナ本体31内に残存していない。なお、ここでは移動壁34を左方にシャフト33の概ね1/3長さ単位で移動させる例を示したが、さらに細かい単位で移動壁34を移動させるようにしても良い。
【0094】
「状態7」では、トナーセンサー31Tの検知エリアに検知片40が進入する。従って、ステップS2ではYES判定となる。この場合、判定部52は、トナーコンテナ30内が「トナー無し」の状態であると判定する(ステップS4)。そして、制御部50は、プリンター100に備えられている図略の表示パネル若しくは表示ランプ等を利用して、トナーエンプティの状態であることをユーザーに向けて表示する(ステップS5)。しかる後、制御部50は、プリンター100の動作を停止させる。
【0095】
図18は、上掲の「状態1」〜「状態7」の各々における、センサー出力を示すグラフである。「状態1」〜「状態6」の間、センサー出力は第1閾値である0.5Vの超過と未達とを繰り返す一方、第2閾値である1.0Vを超過することはない。この間においては、センサー出力が0.5Vを超過する「状態1」「状態3」「状態5」では移動壁34が一時停止状態とされ、センサー出力が0.5Vを下回る「状態2」「状態4」「状態6」では移動壁34が下流側へ所定距離(シャフト33の概ね1/3長さ分)だけ移動される。よって、トナー排出口319の周辺がトナーで満たされる状態をタイムリーに形成することができる。
【0096】
一方、「状態6」から「状態7」に移行すると、センサー出力は第2閾値の1.0Vを超過する。これはトナーセンサー31Tが、移動壁34がトナー排出口319付近の最終位置に到達していることを検知したことになる。移動壁34が最終位置に存在するということは、トナーコンテナ30内のトナーがエンプティの状態であることを意味する。従って本実施形態のトナー補給装置300によれば、トナーセンサー31Tの出力に基づいてトナーエンプティの状態であるということを確実に判定することができる。因みに、検知片40が移動壁34に具備されていないと、「状態7」におけるセンサー出力は0.75V、或いはトナーがもはや残存していない場合は0.35Vとなり、「状態1」〜「状態6」との区別がつかない。これに対し、本実施形態では検知片40が存在することから「状態7」においてセンサー出力=1.2Vを得ることができるので、「状態1」〜「状態6」と明確に区別することができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態に係るトナーコンテナ30及びこれを備えたプリンター100について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0098】
(1)上記実施形態では、検知片40が、移動壁34の搬送面340Sから下流側に突出する状態で、移動壁34に取り付けられる例を示した。これに代えて、検知片40を移動壁34の内部に埋め込む態様で搭載するようにしても良い。この場合、検知片40の突出がない分、移動壁34をコンテナ本体31の左端壁の至近まで移動させることができ、トナーの残存をより少なくすることが可能となる。また、トナー排出口319を移動壁34によって閉塞できるという利点もある。
【0099】
(2)上記実施形態では、検知片40が磁性体であり、トナーセンサー31Tが透磁率センサーである例を示した。この組合せは一例であり、本発明はこれに限定されない。例えば静電容量やインダクタンスなどの電気量を計測する組合せのセンシングシステムや、光学的なセンシングシステム、又はICタグなどの無線計測を行う組合せのセンシングシステムを適用することもできる。あるいは、移動壁34と機械的に干渉する部材をコンテナ本体31の内部に配置する等、メカニカルなセンシングシステムを適用しても良い。