(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1面と前記第1面の裏面である第2面とを有する複数枚の電磁鋼板を,前記第1面と前記第2面とを対面させて積層する積層工程を有する回転電機のコアの製造方法において,
前記積層工程前に,
前記電磁鋼板に,前記第1面よりも凹む凹部と,前記第2面における前記凹部の裏側の位置に前記第2面よりも突出する凸部とを有するカシメ部を形成するカシメ部形成工程を有し,
前記積層工程では,
前記積層がなされる2枚の前記電磁鋼板のうちの一方である第1の電磁鋼板の第1面と,他方である第2の電磁鋼板の第2面とを,前記第1の電磁鋼板の前記第2面における前記凸部の周縁箇所をその他の箇所よりも前記第2の電磁鋼板に向けて押圧する押圧部を有する装置を用いることで,前記第1の電磁鋼板を前記第1面側が出っ張るように湾曲させつつ,対面させ,
前記湾曲状態とした前記第1の電磁鋼板の前記カシメ部の前記凹部の内部に,前記第2の電磁鋼板の前記カシメ部の前記凸部を侵入させつつ,前記第1の電磁鋼板と前記第2の電磁鋼板とを積層することを特徴とする回転電機のコアの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下,本発明を具体化した最良の形態について,図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態は,電動機や発電機などの回転電機に用いられるロータコアの製造方法について本発明を適用したものである。
【0014】
[第1の形態]
図1は,本形態の製造方法により製造されるロータコア10の斜視図である。また,
図2は,
図1に示すロータコア10のX−X断面図である。
図3は,
図1に示すロータコア10のY−Y断面図である。ロータコア10は,
図1から
図3に示すように,複数枚の電磁鋼板Sを厚み方向に積層することにより構成されたものである。
【0015】
図1に示すように,ロータコア10の中央には,ロータコア10を積層方向に貫通する回転軸組付穴11が設けられている。回転軸組付穴11は,その後,回転軸が組み付けられる箇所である。また,ロータコア10には,
図1に示すように,結合部12が設けられている。本形態のロータコア10において,結合部12は,ロータコア10の回転軸組付穴11の中心軸に対して,互いに180°となる回転位置に2つ,設けられている。また,
図1には,結合部12の間隔Pを示している。
【0016】
そして,この結合部12において,複数の電磁鋼板Sはそれぞれ,他の電磁鋼板Sと結合されている。すなわち,複数の電磁鋼板Sが結合部12において結合されていることで,これらが一体となったロータコア10が構成されている。
【0017】
図2の断面図に示すように,ロータコア10における各電磁鋼板Sはそれぞれ,
図2において上側に第1面S1を,下側に第2面S2を向けて積層されている。
図2には,電磁鋼板Sの外形S3についても示している。また,
図2に示すように,ロータコア10の結合部12の位置では,各電磁鋼板Sにそれぞれ,カシメ部20が形成されている。つまり,ロータコア10の結合部12は,各電磁鋼板Sのカシメ部20が積層方向に重なることにより構成されている。
【0018】
カシメ部20は,電磁鋼板Sの第1面S1側では,第1面S1よりも凹んだ凹部30となっている。また,カシメ部20は,電磁鋼板Sの第2面S2側では,第2面S2よりも突出した凸部40となっている。さらに,X−X断面における凹部30の側面31,32は,積層方向とほぼ平行に形成されている。また,X−X断面における凸部40の側面41,42についても,積層方向とほぼ平行に形成されている。
【0019】
そして,各電磁鋼板Sのカシメ部20における凸部40は,下側の電磁鋼板Sの凹部30の開口部35より,その内部に嵌め込まれている。すなわち,各電磁鋼板Sのカシメ部20における凸部40の側面41,42は,下側の電磁鋼板Sの凹部30の側面31,32によって挟み込まれている。これにより,各電磁鋼板Sは,隣接する電磁鋼板Sと結合されている。
【0020】
また,
図3の断面図に示すように,各電磁鋼板Sの中央には,貫通孔21が形成されている。そして,複数の電磁鋼板Sの貫通孔21が積層方向に重なることにより,ロータコア10の回転軸組付穴11が形成されている。
【0021】
また,
図3に示すように,Y−Y断面におけるカシメ部20の凹部30の側面33,34は,第1面S1から遠ざかるほど,互いに近づく向きに傾斜している傾斜面である。また,Y−Y断面におけるカシメ部20の凸部40の側面43,44についても,第2面S2から遠ざかるほど,互いに近づく向きに傾斜している傾斜面である。
【0022】
図4に,本形態のロータコア10の製造に使用するロータコア製造装置100を示す。
図4に示すように,ロータコア製造装置100は,カシメ部形成部110と,積層部120とを有している。
【0023】
カシメ部形成部110は,電磁鋼板Sのカシメ部20を形成することができるものである。積層部120は,複数の電磁鋼板Sを順に積層していくことにより,ロータコア10を製造することができるものである。また,積層部120は,電磁鋼板Sの積層の際に,積層により第1面S1と第2面S2とが合わさる2枚の電磁鋼板S同士を,それらのカシメ部20によって結合させる。さらには,本形態の積層部120は,電磁鋼板Sの外形S3を形成する外形抜きをも行う。
【0024】
また,
図4には,ロータコア製造装置100内を搬送される被加工材Tを示している。被加工材Tは,ロータコア製造装置100内を,矢印Zで示すように右向きに搬送される。さらに,被加工材Tは,ロータコア製造装置100内を,その第1面T1を上側に,第2面T2を下側に向けつつ,搬送される。
【0025】
そして,被加工材Tは,カシメ部形成部110においてカシメ部20が形成される。また,被加工材Tは,積層部120において,外形抜きがなされることにより電磁鋼板Sとされつつ,積層される。つまり,被加工材Tは,電磁鋼板Sとなされる前の長尺状の電磁鋼板である。
【0026】
カシメ部形成部110は,
図4に示すように,カシメパンチ111,カシメダイス115を有している。カシメパンチ111とカシメダイス115とは,被加工材Tを介して互いに反対側となる位置に配置されている。具体的に,カシメパンチ111は被加工材Tの第1面T1側に配置されている。カシメダイス115は,被加工材Tの第2面T2側に配置されている。本形態では,カシメパンチ111は,カシメダイス115に向けて下向きに移動することができるものである。
【0027】
また,カシメパンチ111は,先端112を被加工材Tの第1面T1に向けて配置されている。カシメパンチ111の先端112は,電磁鋼板Sのカシメ部20の凹部30に対応した形状とされている。カシメダイス115は,開口116を被加工材Tの第2面T2に向けて配置されている。カシメダイス115の開口116は,電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40に対応した形状とされている。
【0028】
さらに,カシメパンチ111およびカシメダイス115は,
図4において奥行き方向に,2対,配置されている。具体的には,2対のカシメパンチ111およびカシメダイス115は,
図4において奥行き方向に,電磁鋼板Sにおけるカシメ部20の間隔Pを設けつつ配置されている。
【0029】
積層部120は,外形パンチ130,外形ダイス140,位置決め部150,スライド部160を有している。外形パンチ130と外形ダイス140とは,打ち抜き加工により,被加工材Tより電磁鋼板Sを製造することができるものである。
【0030】
外形パンチ130と外形ダイス140とは,被加工材Tを介して互いに反対側となる位置に配置されている。具体的に,外形パンチ130は,被加工材Tの第1面T1側に配置されている。外形ダイス140は,被加工材Tの第2面T2側に配置されている。本形態では,外形パンチ130は,外形ダイス140に向けて下向きに移動することができるものである。
【0031】
外形パンチ130は,下面131を被加工材Tの第1面T1に向けて配置されている。外形パンチ130の下面131は,
図4において左右の両端側よりも中央が凹んだ凹形状をしている。外形パンチ130の側面132は,電磁鋼板Sの外形S3と同じ形状とされている。外形ダイス140は,開口141を被加工材Tの第2面T2に向けて配置されている。外形ダイス140の内壁面142は,電磁鋼板Sの外形S3に対応した形状とされている。
【0032】
位置決め部150は,外形パンチ130に形成されたガイド穴133の内部に設けられている。位置決め部150は,ガイド穴133の内部に設けられているまた,外形パンチ130のガイド穴133および位置決め部150は,
図4において奥行き方向に,2つずつ設けられている。すなわち,2つの位置決め部150は,電磁鋼板Sにおけるカシメ部20の間隔Pを設けつつ配置されている。
【0033】
また,位置決め部150は,ガイド穴133に沿って,外形パンチ130に向けて下向きに移動することができるものである。さらに,本形態の位置決め部150は,外形パンチ130とは異なるタイミングで,個別に移動することができるものである。また,位置決め部150の先端151は,電磁鋼板Sのカシメ部20の凹部30に対応した形状をしている。
【0034】
スライド部160は,外形ダイス140の内部に設けられている。スライド部160は,突き上げ部170,保持部180を有している。突き上げ部170の突き上げ面171には,カシメ部20の凸部40に対応した形状の凹部172が形成されている。
【0035】
突き上げ部170は,スライド部160の上面161に開口するように形成された収容穴163に,下面173が圧縮バネ165による付勢力を受けた状態で収容されている。その付勢力により,突き上げ部170の突き上げ面171は,スライド部160の上面161よりも上向きに突出している。具体的に,突き上げ部170の突き上げ面171は,スライド部160の上面161よりも,
図4に示す長さBの分だけ突出している。
【0036】
なお,圧縮バネ165による突き上げ部170の付勢力は,外形パンチ130の移動による押圧力よりも小さいものである。すなわち,突き上げ部170は,突き上げ面171が,移動した外形パンチ130により押圧されたときには,その外形パンチ130の押圧力によって下向きに移動する。
【0037】
また,複数の保持部180はそれぞれ,スライド部160の側面162に開口するように形成された収容穴164に,収容穴164の内部側の内面182が圧縮バネ166による付勢力を受けた状態で収容されている。その付勢力により,保持部180の先端181は,スライド部160の側面162よりも外向きに突出している。
【0038】
さらに,保持部180は,スライド部160に複数,設けられている。複数の保持部180は,平面から見たときには,スライド部160に放射状に設けられている。例えば,保持部180は,4つとすることができる。
【0039】
また,保持部180の先端181は,スライド部160の側面162より突出するとともに,外形ダイス140の内壁面142に押し付けられている。この保持部180の押し付け力により,スライド部160は,外形ダイス140の内部に保持されている。
【0040】
なお,圧縮バネ166の付勢力により保持部180を内壁面142へ押し付けてスライド部160を外形ダイス140内に保持している保持力は,外形パンチ130の移動を完全に受け止めるほど強いものではない。すなわち,スライド部160は,外形パンチ130により押圧されたときには,外形パンチ130より受けた押圧力によって移動する。
【0041】
次に,上記のロータコア製造装置100によるロータコア10の製造方法について,
図4から
図12により説明する。
図4から
図12では,被加工材Tおよび電磁鋼板Sについて,
図1に示すX−X断面に相当する断面により示している。
図4に示すように,被加工材Tは,ロール材からの捲き出しなどにより,ロータコア製造装置100内を矢印Zの向きに搬送される。なお,被加工材Tには,カシメ部形成部110に到達する前に,電磁鋼板Sにおける貫通孔21が形成されている。
【0042】
そして,カシメ部形成部110の位置では,被加工材Tにカシメ部20を形成するカシメ部形成工程を行う。すなわち,
図5に示すように,第1面T1に向けて移動したカシメパンチ111と,第2面T2側に配置されているカシメダイス115とにより挟み込まれる。被加工材Tのカシメパンチ111とカシメダイス115とにより挟み込まれる箇所は,電磁鋼板Sにおけるカシメ部20の形成箇所である。
【0043】
そして,被加工材Tのカシメパンチ111とカシメダイス115とにより挟み込まれた箇所は,これらによって塑性変形される。これにより,
図6に示すように,第1面T1側の凹部30と第2面T2側の凸部40とを有するカシメ部20が形成される。
図6には,形成されたカシメ部20について,その凹部30の側面31,32の距離Aを示している。
【0044】
次に,被加工材Tのカシメ部20が形成された部分は,被加工材Tの搬送により,積層部120の位置へと到達する。そして,積層部120の位置では,被加工材Tの外形パンチ130と外形ダイス140とによる打ち抜きを行いつつ,打ち抜かれた部分を積層する積層工程を行う。
【0045】
すなわち,積層部120の位置では,まず,
図7に示すように,位置決め部150が下向きに移動し,被加工材Tのカシメ部20の凹部30に,位置決め部150の先端151が挿入される。これにより,被加工材Tのカシメ部20について,被加工材Tの面内方向における位置決めがなされる。
【0046】
また,
図7に示すように,カシメ部20の凸部40は,突き上げ部170の凹部172の内部に入り込んでいる。そして,被加工材Tの第2面T2は,突き上げ部170の突き上げ面171に接触している。なお,位置決め部150による被加工材Tの位置決め精度は,必ずしも高いものである必要はない。すなわち,カシメ部20の凹部30と,そこに挿入される位置決め部150の先端151との間には,わずかな隙間があってもよい。
【0047】
次に,
図8に示すように,外形パンチ130を,下向きに移動させる。
図8には,外形パンチ130の下降端を示している。下降端における外形パンチ130は,下面131が外形ダイス140の内部に入り込んでいる。この外形パンチ130の移動により,被加工材Tの打ち抜きを行う。
【0048】
すなわち,外形パンチ130の移動により被加工材Tより打ち抜かれた部分が,
図8に示すように外形S3が形成された電磁鋼板Sとされている。これにより,電磁鋼板Sの外形S3を形成する外形抜きが行われる。また,外形パンチ130が
図8において下向きに移動したことにより,電磁鋼板Sの第2面S2は,スライド部160の上面161に押し付けられている。
【0049】
さらに,電磁鋼板Sを介して外形パンチ130の押圧力を受けたスライド部160は,その外形パンチ130に押圧された分だけ,下向きに移動している。前述したように,保持部180によるスライド部160の保持力は,外形パンチ130の押圧力により移動する程度のものだからである。
【0050】
また,外形パンチ130が
図8において下向きに移動したことにより,電磁鋼板Sの第2面S2は,突き上げ部170の突き上げ面171にも押し付けられている。そして,外形パンチ130の押圧力により,突き上げ部170は,その突き上げ面171がスライド部160の上面161と同じ面内となるまで引っ込んでいる。すなわち,突き上げ部170は,突き上げ面171がスライド部160の上面161よりも突出していた長さBの分だけ,下向きに移動している。
【0051】
続いて,
図9に示すように,外形抜きを行った外形パンチ130を,上向きに移動させる。位置決め部150についても,外形パンチ130とともに上向きに移動させる。このため,
図9では,突き上げ部170への,外形パンチ130による押圧力が解除されている。よって,突き上げ部170は,圧縮バネ165の付勢力により,上向きへ移動している。
【0052】
よって,
図9では,上向きへ移動した突き上げ部170により,電磁鋼板Sの第2面S2におけるカシメ部20の凸部40の周囲の部分が押し上げられている。具体的には,電磁鋼板Sの第2面S2におけるカシメ部20の凸部40の周囲の部分は,スライド部160の上面161より長さBだけ,突き上げ部170の突き上げ面171により押し上げられている。なお,電磁鋼板Sの
図9に示す左右方向の端部における外形S3は,外形ダイス140の内壁面142との摩擦により,スライド部160の上面161に接触したままで保持されている。
【0053】
このため,外形ダイス140内の電磁鋼板Sは,
図9に示すように,第1面S1側が出っ張るように湾曲している。本形態においては,電磁鋼板Sの第1面S1におけるカシメ部20の凹部30の開口部35が,その他の部分よりも出っ張るように湾曲している。なお,本形態における電磁鋼板Sの湾曲の程度は,弾性変形の範囲内のものとされている。
【0054】
図10に,突き上げ部170による押圧を受けている状態のカシメ部20を示す。
図10に示すように,突き上げ部170による押圧を受けている状態では,カシメ部20の凹部30の開口部35は,
図4の状態よりも,左右方向に開いている。つまり,カシメ部20の凹部30の開口部35における側面31,32の距離Cは,凹部30の底面における側面31,32の距離Aよりも大きなものとなっている。このため,カシメ部20における凹部30の側面31,32は,第1面S1から遠ざかるほど,互いに近づく向きに傾斜している傾斜面とされている。
【0055】
そして,電磁鋼板Sを第1面S1側が出っ張るように湾曲させつつ外形ダイス140内に保持した状態で,被加工材Tの矢印Zの向きの搬送がなされる。
図11には,被加工材Tのカシメ部20が形成された部分が,搬送により積層部120の位置へと到達した状態を示している。また
図11には,位置決め部150が下向きへ移動し,さらに,外形パンチ130が被加工材Tの第1面T1に接触する位置まで下向きへ移動した状態を示している。
【0056】
図11に示す状態の後,さらに外形パンチ130が下向きに移動することにより,次の電磁鋼板Sの外形抜きが行われる。つまり,
図11では,外形抜きにより電磁鋼板Sとされる被加工材Tの部分が,その第2面T2により,外形ダイス140内に保持されている電磁鋼板Sの第1面S1と対面されている。また,
図11に示す状態の後,被加工材Tより外形抜きがなされた電磁鋼板Sは,その第2面S2により,外形ダイス140内に保持されている電磁鋼板Sの第1面S1上に積層される。
【0057】
さらに,
図11では,被加工材Tの凸部40は,外形ダイス140内の電磁鋼板Sの凹部30の内部へと侵入している。つまり,本形態では,外形ダイス140内の電磁鋼板Sの凹部30の開口部35が開いた状態で,その凹部30の内部に,被加工材Tの凸部40が侵入している。このため,本形態では,被加工材Tの凸部40を,外形ダイス140内の電磁鋼板Sの凹部30の開口部35よりその内部へと確実に侵入させることができている。
【0058】
また,被加工材Tの凸部40は,外形ダイス140内の電磁鋼板Sの凹部30の開口部35よりその内部へと侵入した後,その凹部30の側面31,32に沿って凹部30の奥まで侵入している。よって,被加工材Tのカシメ部20の凸部40は,外形ダイス140内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凹部30内へと,正確に侵入している。よって,本形態では,外形抜きがなされた電磁鋼板Sと,外形ダイス140内の電磁鋼板Sとを,積層とともに,これらのカシメ部20の凹部30と凸部40とによって確実に結合させることができる。
【0059】
また本形態では,
図11に示すように,被加工材Tのカシメ部20の凸部40は,被加工材Tの外形抜きがなされる前に,外形ダイス140内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凹部30内へと侵入している。そして,被加工材Tの外形抜きは,被加工材Tのカシメ部20の凸部40が外形ダイス140内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凹部30内へと侵入した状態でなされる。これにより,被加工材Tより外形抜きがなされた電磁鋼板Sと,外形ダイス140内の電磁鋼板Sとを,これらの位置決めが適切になされた状態で積層することができる。すなわち,本形態における外形抜きは,少なくとも,被加工材Tのカシメ部20の凸部40の先端が,外形ダイス140内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凹部30内へと侵入した状態で行うことが好ましい。
【0060】
また,被加工材Tより外形抜きがなされた電磁鋼板Sは,先に外形ダイス140内に保持されている電磁鋼板Sの形状に沿った形状で,その上に積層される。外形パンチ130の下面131が,外形ダイス140内に保持されている電磁鋼板Sの形状に沿った凹形状をしているからである。すなわち,2枚目以降の電磁鋼板Sについても,1枚目と同様,第1面S1側が出っ張るように湾曲しつつ,外形ダイス140内に保持される。
図12には,
図11の後,複数枚の電磁鋼板Sの積層がなされた状態を示している。
図12に示すように,外形ダイス140内に保持されている電磁鋼板Sはいずれも,第1面S1側が出っ張るように湾曲している。
【0061】
そして,
図12においても,次に外形抜きがなされる被加工材Tの部分のカシメ部20の凸部40は,外形ダイス140内の最も上側に積層されている電磁鋼板Sの凹部30内に,適切に侵入している。これにより,
図12の状態の後に外形抜きがなされた電磁鋼板Sと,外形ダイス140内の最上の電磁鋼板Sとを,積層とともに,これらのカシメ部20の凹部30と凸部40とによって確実に結合させることができる。
【0062】
また,
図12においても,被加工材Tのカシメ部20の凸部40が,外形抜きがなされる前に,外形ダイス140内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凹部30内へと侵入している。このため,被加工材Tより外形抜きがなされた電磁鋼板Sと,外形ダイス140内の電磁鋼板Sとを,これらの位置決めが適切になされた状態で積層することができる。
【0063】
なお,
図3において前述したように,本形態のカシメ部20の凹部30は,Y−Y断面においては,側面33,34が第1面S1から遠ざかるほど,互いに近づく向きに傾斜している傾斜面となるように形成されている。このため,Y−Y断面におけるカシメ部20の凹部30の開口部35は,予め開いている。また,Y−Y断面におけるカシメ部20の凸部40の側面43,44についても,第2面S2から遠ざかるほど,互いに近づく向きに傾斜している傾斜面となるように形成されている。よって,電磁鋼板Sを,Y−Y断面においては,その第1面S1が出っ張るように湾曲させなくてもよい。
【0064】
そして,積層部120において所定枚数の電磁鋼板Sを積層することにより,外形ダイス140内に,カシメ部20によって適切に結合されたロータコア10を製造することができる。また,外形ダイス140内より取り出されたロータコア10には,後工程において,その回転軸組付穴11に回転軸を組付ける回転軸組付け工程等が行われる。これにより,ロータが製造される。なお,外形ダイス140内より取り出されたロータコア10は,電磁鋼板Sの第1面S1側が出っ張るように湾曲していた状態から,湾曲が解除された通常の状態へと戻る。本形態では,電磁鋼板Sを,弾性変形により湾曲形状としていたからである。
【0065】
以上詳細に説明したように,本形態に係るロータコア10の製造方法では,まず,被加工材Tの第1面T1側に凹部30を,第2面T2側に凸部40を有するカシメ部20を形成するカシメ部形成工程を行う。次に,被加工材Tより外形抜きを行うことにより電磁鋼板Sの外形S3を形成しつつ積層する積層工程を行う。積層工程では,外形ダイス140内に第1面S1側が出っ張るように湾曲した状態で保持された電磁鋼板Sの第1面S1に,外形抜きがなされた電磁鋼板Sの第2面S2を積層する。外形ダイス140内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凹部30の開口部35は,その第1面S1側が出っ張るように湾曲しているため,開いている。よって,外形抜きがなされた電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40を,開口部35が開いている凹部30の側面31,32に沿わせつつ,その凹部30の内部に侵入させることができる。これにより,予めカシメ部が形成された2枚の電磁鋼板を,積層とともに確実に,カシメ部により結合することができる回転電機のコアの製造方法が実現されている。
【0066】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲で種々の改良,変形が可能である。すなわち,上記の実施形態においては,被加工材Tの外形抜きを,被加工材Tのカシメ部20の凸部40が外形ダイス140内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凹部30に侵入した後,行われるようにしている。しかし,被加工材Tの外形抜き後に,その外形抜きがなされた電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40が,外形ダイス140内に湾曲して保持されている電磁鋼板Sのカシメ部20の凹部30の内部に侵入するようにしてもよい。また例えば,外形抜き後の電磁鋼板Sの外形S3は,当然,
図1に示すような円形状に限られるものではない。また例えば,電磁鋼板Sには,その他の貫通孔などの加工が施されていてもよい。また例えば,上記の実施形態ではロータコアの例について具体的に説明したが,当然,複数枚の電磁鋼板をカシメにより結合してなるステータコアの製造方法にも適用可能である。
【0067】
[第2の形態]
次に,第2の形態について説明する。本形態においても,製造するロータコア10については,第1の形態と同様である。本形態では,被加工材Tを,第1の形態とは表裏を反対にした状態で搬送しつつ,ロータコア10を製造する。
【0068】
図13に,本形態のロータコア製造装置200を示す。
図13に示すように,ロータコア製造装置200は,カシメ部形成工程を行うカシメ部形成部210と,積層工程を行う積層部220とを有している。
【0069】
本形態のカシメ部形成部210についても,第1の形態と同様,電磁鋼板Sのカシメ部20を形成することができるものである。また,積層部220についても,第1の形態と同様,複数の電磁鋼板Sを順に積層していくことにより,ロータコア10を製造することができるものである。また,積層部220は,電磁鋼板Sの積層の際に,積層により第1面S1と第2面S2とが合わさる2枚の電磁鋼板S同士を,それらのカシメ部20によって結合させる。さらには,本形態の積層部220は,電磁鋼板Sの外形S3を形成する外形抜きをも行う。
【0070】
また,
図13には,ロータコア製造装置200内を搬送される被加工材Tを示している。本形態においても,被加工材Tは,ロータコア製造装置200内を,矢印Zで示すように右向きに搬送される。ただし,本形態のロータコア製造装置200では,被加工材Tは,その第2面T2を上側に,第1面T1を下側に向けつつ搬送されている。
【0071】
カシメ部形成部210は,
図13に示すように,カシメパンチ211,カシメダイス215を有している。本形態においても,カシメパンチ211は被加工材Tの第1面T1側に配置されている。また,カシメダイス215は,被加工材Tの第2面T2側に配置されている。ただし,本形態では,被加工材Tの表裏が第1の形態とは反対であるため,カシメパンチ211が被加工材Tの下側に,カシメダイス215が被加工材Tの上側に配置されている。そして,本形態のカシメダイス215は,カシメパンチ211に向けて下向きに移動することができるものである。
【0072】
また本形態においても,カシメパンチ211の先端212は,電磁鋼板Sのカシメ部20の凹部30に対応した形状とされている。カシメダイス215の開口216は,電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40に対応した形状とされている。さらに,カシメパンチ211およびカシメダイス215が2対,
図13の奥行き方向に,電磁鋼板Sにおけるカシメ部20の間隔Pを設けつつ配置されている。
【0073】
積層部220は,外形パンチ230,外形ダイス240,スライド部260を有している。本形態においても,外形パンチ230と外形ダイス240とは,打ち抜き加工により,被加工材Tより電磁鋼板Sを製造することができるものである。
【0074】
本形態では,外形パンチ230は,被加工材Tの第2面T2側に配置されている。また,外形ダイス240は,被加工材Tの第1面T1側に配置されている。本形態においても,外形パンチ230は,外形ダイス240に向けて下向きに移動することができるものである。
【0075】
外形パンチ230は,下面231を被加工材Tの第2面T2に向けて配置されている。本形態の外形パンチ230の下面231の中央には,凹部233が形成されている。凹部233は,カシメ部20の凸部40に対応した形状のものである。また,外形パンチ230の凹部233は,
図13において奥行き方向に,間隔Pを設けて2つずつ設けられている。
【0076】
また,外形パンチ230の側面232は,電磁鋼板Sの外形S3と同じ形状とされている。さらに,外形パンチ230の下面231は,
図13において左右の両端側よりも中央が出っ張った凸形状をしている。そして,外形パンチ230の下面231の中央の凹部233の開口部の位置は,左右の両端側よりも,
図13に示すように,長さBだけ出っ張っている。
【0077】
外形ダイス240は,開口241を被加工材Tの第1面T1に向けて配置されている。外形ダイス240の内壁面242は,電磁鋼板Sの外形S3に対応した形状とされている。
【0078】
スライド部260は,外形ダイス240の内部に設けられている。スライド部260の上面261の中央には,凸部263が形成されている。凸部263は,カシメ部20の凹部30に対応した形状のものである。また,スライド部260の上面261の凸部263は,
図13において奥行き方向に,間隔Pを設けて2つずつ設けられている。
【0079】
また,本形態においても,複数の保持部280が,スライド部260に,平面から見たときには放射状に設けられている。例えば,保持部280についても,4つとすることができる。本形態の保持部280についてもそれぞれ,スライド部260の側面262に開口するように形成された収容穴264に,収容穴264の内部側の内面282が圧縮バネ266による付勢力を受けた状態で収容されている。その付勢力により,保持部280の先端281は,スライド部260の側面262よりも外向きに突出している。
【0080】
さらに,保持部280の先端281は,スライド部260の側面262より突出するとともに,外形ダイス240の内壁面242に押し付けられている。この保持部280の押し付け力により,スライド部260は,外形ダイス240の内部に保持されている。
【0081】
なお,本形態においても,圧縮バネ266の付勢力により保持部280を内壁面242へ押し付けてスライド部260を外形ダイス240内に保持している保持力は,外形パンチ230の移動を完全に受け止めるほど強いものではない。すなわち,スライド部260は,外形パンチ230により押圧されたときには,外形パンチ230より受けた押圧力によって移動する。
【0082】
次に,上記のロータコア製造装置200によるロータコア10の製造方法について,
図13から
図17により説明する。
図13から
図17においても,被加工材Tおよび電磁鋼板Sについて,
図1に示すZ−Z断面に相当する断面により示している。
図13に示すように,被加工材Tは,ロール材からの捲き出しなどにより,ロータコア製造装置200内を矢印Zの向きに搬送される。なお,被加工材Tには,カシメ部形成部210に到達する前に,電磁鋼板Sにおける貫通孔21が形成されている。
【0083】
そして,カシメ部形成部210の位置では,
図14に示すように,被加工材Tは,その第2面T2に向けて移動したカシメダイス215と,第1面T1側に配置されているカシメパンチ211とにより挟み込まれる。そして,被加工材Tのカシメパンチ211とカシメダイス215とにより挟み込まれた箇所は,これらによって塑性変形される。これにより,本形態においても,
図6に示すような,第1面T1側の凹部30と第2面T2側の凸部40とを有するカシメ部20が形成される。
【0084】
次に,被加工材Tのカシメ部20が形成された部分は,搬送により積層部220の位置へと到達する。そして,積層部220の位置では,被加工材Tの外形パンチ230と外形ダイス240とによる打ち抜きを行いつつ,打ち抜かれた部分を積層する積層工程を行う。
【0085】
つまり,
図15に示すように,外形パンチ230を,下向きに移動させる。
図15には,外形パンチ230の下降端を示している。下降端における外形パンチ230は,下面231が外形ダイス240の内部に入り込んでいる。この外形パンチ230の移動により,被加工材Tの打ち抜きを行う。
【0086】
すなわち,外形パンチ230の移動により被加工材Tより打ち抜かれた部分が,
図15に示すように外形S3が形成された電磁鋼板Sとされている。これにより,電磁鋼板Sの外形S3を形成する外形抜きが行われる。また,電磁鋼板Sは,中央が出っ張った形状の外形パンチ230の下面231に沿った形状とされている。
【0087】
すなわち,電磁鋼板Sは,第2面S2が外形パンチ230の下面231により押圧されることで,その第1面S1側が出っ張るように湾曲しつつ,外形抜きがなされている。電磁鋼板Sは,その第1面S1におけるカシメ部20の凹部30の開口部35が,その他の部分よりも出っ張るように湾曲している。これにより,本形態では,電磁鋼板Sの外形抜きを行う際に,その外形抜きがなされる側のカシメ部20の凹部30の開口部35を,
図10に示すような左右方向に開いた形状とすることができる。なお,本形態における電磁鋼板Sの湾曲の程度についても,弾性変形の範囲内のものとされている。
【0088】
また,外形抜きがなされた電磁鋼板Sの第1面S1は,スライド部260の上面261に押し付けられている。そして,電磁鋼板Sを介して外形パンチ230の押圧力を受けたスライド部260は,その外形パンチ230に押圧された分だけ,下向きに移動している。
【0089】
続いて,次の電磁鋼板Sについての外形抜きを行う。
図16では,
図15において外形抜きを行った外形パンチ230を上向きに移動させ,また,被加工材Tの矢印Zの向きの搬送がなされた後を示している。これにより,被加工材Tのカシメ部20が形成された部分が,搬送により積層部220の位置へと到達している。さらに,
図16では,外形パンチ230が下向きに移動し,被加工材Tの第2面T2を押圧している状態を示している。なお,
図16の状態では,まだ,外形パンチ230が下降端まで移動していない状態である。このため,
図16は,被加工材Tの外形抜きが完了する前の状態である。
【0090】
図16に示すように,外形抜きにより電磁鋼板Sとされる被加工材Tの部分は,その第1面T1により,外形ダイス240内に保持されている電磁鋼板Sの第2面S2と対面されている。
図16に示す状態の後,被加工材Tより外形抜きがなされた電磁鋼板Sは,その第1面S1により,外形ダイス240内に保持されている電磁鋼板Sの第2面S2上に積層される。
【0091】
また,
図16に示すように,被加工材Tは,下向きに移動した外形パンチ230の下面231により押圧され,第1面T1側が出っ張るように湾曲している。また,外形ダイス240内に保持されている電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40は,押圧されている被加工材Tのカシメ部20の凹部30の内部に侵入している。
【0092】
つまり,外形ダイス240内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40は,被加工材Tの開口部35が開いた状態の凹部30内へと侵入している。このため,本形態においても,外形ダイス240内の電磁鋼板Sの凸部40を,被加工材Tの凹部30の開口部35よりその内部へと確実に侵入させることができている。
【0093】
また,本形態においても,外形ダイス240内の電磁鋼板Sの凸部40は,被加工材Tの凹部30の側面31,32に沿って凹部30の奥まで侵入している。よって,外形ダイス240内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40は,被加工材Tのカシメ部20の凹部30内へと適切に侵入している。よって,外形ダイス240内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40は,被加工材Tのカシメ部20の凹部30内へと,正確に侵入している。よって,本形態では,外形抜きがなされた電磁鋼板Sと,外形ダイス240内の電磁鋼板Sとを,積層とともに,これらのカシメ部20の凹部30と凸部40とによって確実に結合させることができる。
【0094】
また本形態では,
図16に示すように,外形ダイス240内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40は,被加工材Tの外形抜きがなされる前に,被加工材Tのカシメ部20の凹部30内へと侵入している。そして,被加工材Tの外形抜きは,外形ダイス240内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40が被加工材Tのカシメ部20の凹部30内へと侵入した状態でなされる。これにより,被加工材Tより外形抜きがなされた電磁鋼板Sと,外形ダイス240内の電磁鋼板Sとを,これらの位置決めが適切になされた状態で積層することができる。すなわち,本形態における外形抜きは,少なくとも,外形ダイス240内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40の先端が,被加工材Tのカシメ部20の凹部30内へと侵入した状態で行うことが好ましい。
【0095】
そして,被加工材Tより外形抜きがなされた電磁鋼板Sは,先に外形ダイス240内に保持されている電磁鋼板Sの上に積層される。また,
図17には,
図16の後,複数枚の電磁鋼板Sが積層された状態を示している。
【0096】
図17においても,被加工材Tは,下向きに移動した外形パンチ230の下面231により押圧され,第1面T1側が出っ張るように湾曲している。また,外形ダイス240内に保持されている最上の電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40は,押圧されている被加工材Tのカシメ部20の凹部30の内部に侵入している。これにより,
図17の状態の後に外形抜きがなされた電磁鋼板Sと,外形ダイス240内の電磁鋼板Sとを,積層とともに,これらのカシメ部20の凹部30と凸部40とによって確実に結合させることができる。
【0097】
また,
図17においても,外形ダイス240内の最上の電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40は,被加工材Tの外形抜きがなされる前に,被加工材Tのカシメ部20の凹部30内へと侵入している。このため,被加工材Tより外形抜きがなされた電磁鋼板Sと,外形ダイス240内の最上の電磁鋼板Sとを,これらの位置決めが適切になされた状態で積層することができる。
【0098】
なお,
図3において前述したように,本形態のカシメ部20の凹部30は,Y−Y断面においては,側面33,34が第1面S1から遠ざかるほど,互いに近づく向きに傾斜している傾斜面となるように形成されている。このため,Y−Y断面におけるカシメ部20の凹部30の開口部35は,予め開いている。また,Y−Y断面におけるカシメ部20の凸部40の側面43,44についても,第2面S2から遠ざかるほど,互いに近づく向きに傾斜している傾斜面となるように形成されている。よって,電磁鋼板Sを,Y−Y断面においては,その第1面S1が出っ張るように湾曲させなくてもよい。
【0099】
そして,積層部220において所定枚数の電磁鋼板Sを積層することにより,外形ダイス240内に,カシメ部20によって適切に結合されたロータコア10を製造することができる。また,外形ダイス240内より取り出されたロータコア10には,後工程において,その回転軸組付穴11に回転軸を組付ける回転軸組付け工程等が行われる。これによりにより,ロータが製造される。
【0100】
以上詳細に説明したように,本形態に係るロータコア10の製造方法では,まず,被加工材Tの第1面T1側に凹部30を,第2面T2側に凸部40を有するカシメ部20を形成するカシメ部形成工程を行う。次に,被加工材Tより外形抜きを行うことにより電磁鋼板Sの外形S3を形成しつつ積層する積層工程を行う。積層工程では,外形抜きがなされた電磁鋼板Sを,その第1面S1が出っ張るように湾曲した状態で,外形ダイス240内に保持された電磁鋼板Sの第2面S2に積層する。外形抜きがなされた電磁鋼板Sのカシメ部20の凹部30の開口部35は,その第1面S1側が出っ張るように湾曲しているため,開いている。よって,外形ダイス240内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40を,開口部35が開いている凹部30の側面31,32に沿わせつつ,その凹部30の内部に侵入させることができる。これにより,予めカシメ部が形成された2枚の電磁鋼板を,積層とともに確実に,カシメ部により結合することができる回転電機のコアの製造方法が実現されている。
【0101】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲で種々の改良,変形が可能である。すなわち,上記の実施形態においては,被加工材Tの外形抜きを,外形ダイス240内の電磁鋼板Sのカシメ部20の凸部40を被加工材Tのカシメ部20の凹部30に侵入させた後,行われるようにしている。しかし,被加工材Tの外形抜き後に,外形抜きがなされた電磁鋼板Sを湾曲状態としつつ,その湾曲状態の電磁鋼板Sの凹部30の内部に,外形ダイス240内の電磁鋼板Sの凸部40が侵入するようにしてもよい。また例えば,外形抜き後の電磁鋼板Sの外形S3は,当然,
図1に示すような円形状に限られるものではない。また例えば,電磁鋼板Sには,その他の貫通孔などの加工が施されていてもよい。また例えば,上記の実施形態ではロータコアの例について具体的に説明したが,当然,複数枚の電磁鋼板をカシメにより結合してなるステータコアの製造方法にも適用可能である。