(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一辺側クランパ及び前記他辺側クランパの対向方向が、前記プラテンに対して前記基板が搬入出される基板搬入出方向と略一致している請求項1記載の基板保持装置。
前記一辺側クランパ又は前記他辺側クランパのうち基板搬入出側のクランパが、前記解放位置において、前記プラテンの基板載置面よりも下方に位置するように構成されている請求項2記載の基板保持装置。
前記変換機構が、前記回転部材又は前記ストッパを保持する保持プレートの一方に設けられた摺動体と他方に形成されて前記摺動体がスライドするスライド空間とからなり、
前記回転部材の回転に伴って、前記摺動体が前記スライド空間をスライドし、前記保持プレートが前記ストッパの移動方向に沿って移動するように構成されており、
前記ストッパが前記制止位置にある状態において、前記プラテンが起立姿勢に移動した場合に、前記摺動体が、前記回転中心の鉛直上方に位置するように構成されている請求項8記載の基板保持装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであって、装置構成の複雑化や装置全体の大型化を引き起こすことなく、基板を確実に保持することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る基板保持装置は、概略矩形状をなす基板が載置されるプラテンと、前記プラテンとの間で前記基板を保持するクランプ機構とを具備するものであって、前記クランプ機構が、前記基板の各辺に対応して設けられ、前記基板を保持する保持位置と前記基板を解放する解放位置との間で移動可能な複数のクランパと、前記クランパを移動させるための駆動力を、前記基板の対向する2辺のうち一辺に対応して設けられた一辺側クランパと他辺に対応して設けられた他辺側クランパとの間で伝達する動力伝達機構とを備えており、前記動力伝達機構が、前記一辺側クランパの移動、又は、前記一辺側クランパに前記駆動力を伝達する部材の移動とともに所定方向にスライド移動して、前記他辺側クランパに前記駆動力を伝達するスライド部材を有していることを特徴とするものである。
【0009】
このような基板保持装置であれば、クランパが基板の各辺に対応して設けられているので、基板を確実に保持することができるうえ、スライド部材が、一辺側クランパの移動又はこの一辺側クランパに駆動力を伝達する部材の移動とともにスライド移動して、他辺側クランパに駆動力を伝達するので、共通のアクチュエータを用いて一辺側クランパ及び他辺側クランパを移動させることができ、装置構成の簡単化及び装置全体の小型化を図ることができる。
【0010】
前記一辺側クランパ及び前記他辺側クランパの対向方向が、前記プラテンに対して前記基板が搬入出される基板搬入出方向と略一致している構成が好ましい。
この構成であれば、一辺側クランパ及び他辺側クランパに共通して用いるアクチュエータを、基板搬入出側を避けて配置することができ、アクチュエータが基板の搬入出を妨げない。
これに対して、従来のように各クランパにそれぞれ対応してアクチュエータを設ける構成では、一辺側クランパ及び他辺側クランパの対向方向と基板搬入出方向とを一致させようとすると、基板搬入出側に配置されたアクチュエータが基板の搬入出を妨げる。
【0011】
前記一辺側クランパ又は前記他辺側クランパのうち基板搬入出側のクランパが、前記解放位置において、前記プラテンの基板載置面よりも下方に位置するように構成されていることが好ましい。
この構成であれば、クランパによって基板の搬入出が妨げられないので、搬入出される基板の高さ位置を既存の設定にしたまま、言い換えれば、プラテンに基板を搬送する搬送ロボット等の設定を変更することなく、基板を搬入出することができる。
【0012】
前記動力伝達機構が、前記基板の前記対向する2辺とは異なる少なくとも1辺に対応して設けられた側辺側クランパに前記駆動力を伝達する第1伝達要素と、前記一辺側クランパに前記駆動力を伝達する第2伝達要素とを備え、前記第1伝達要素、前記第2伝達要素及び前記スライド部材を介して、前記駆動力が前記側辺側クランパ、前記一辺側クランパ及び前記他辺側クランパそれぞれに伝達されることが好ましい。
この構成であれば、共通のアクチュエータからの駆動力で、基板の少なくとも3辺それぞれに対応して設けられたクランパを移動させることができ、更なる装置構成の簡単化及び装置全体の小型化を図ることができる。
【0013】
前記クランパが、弾性部材によって前記保持位置に付勢されており、前記駆動力によって前記保持位置から前記解放位置に移動するように構成されたものであり、前記クランパが前記保持位置にある状態において、前記クランパと前記動力伝達機構との間に前記駆動力を前記クランパに作用させないためのクリアランスが形成されているものが好ましい。
この構成であれば、保持位置にある各クランパは、駆動力が作用されない状態、つまり互いに独立した状態で、別々に基板を保持するので、仮に1つのクランパが基板上にあるパーティクル等を挟み込んで保持位置よりも僅かに浮き上がったとしても、その他のクランパによって基板を確実に保持することができる。
【0014】
基板保持装置が、前記プラテンの基板載置面よりも上方に突出したストッパをさらに具備し、前記ストッパが、前記基板載置面に載置される基板の外縁に接触して該基板の移動を制止する制止位置と、前記基板に対して前記制止位置よりも外側に退避した退避位置との間で移動可能に設けられていることが好ましい。
このような構成であれば、制止位置にあるストッパが基板の外縁に接触することで過度な基板の位置ずれや基板の落下を防止することができるうえ、搬送ロボットにより基板を持ち上げる場合は、ストッパを制止位置から退避位置に移動させてストッパと基板とを非接触にすることで、基板端面とストッパとが擦れてパーティクルが発生することを防ぐことができる。
これに対して、ストッパが予め所定位置に固定されている場合、搬送ロボットにより基板を持ち上げる際に、基板端面とストッパとが擦れてパーティクルが発生する可能性がある。
【0015】
前記プラテンが、前記基板を受け渡す水平姿勢と、前記水平姿勢から起立した起立姿勢との間で移動可能なものであり、前記ストッパが、前記起立姿勢にある前記プラテンの下側に設けられていることが好ましい。
この構成であれば、プラテンを水平姿勢から起立姿勢に移動させる際などに、基板がプラテンから落下することを防ぐことができる。
【0016】
上記の基板保持装置が、前記スライド部材のスライド移動に連動して所定の回転中心周りに回転する回転部材と、前記回転部材の回転駆動力を前記ストッパの移動方向に沿った直線駆動力に変換する変換機構とをさらに具備し、前記変換機構によって変換された前記直線駆動力が前記ストッパに伝達されるように構成されていることが好ましい。
この構成であれば、スライド部材の移動に連動して直線駆動力がストッパに伝達されるので、クランパとストッパとを連動させることができ、ストッパを移動させるための専用のアクチュエータを不要にすることができる。
【0017】
前記変換機構が、前記回転部材又は前記ストッパを保持する保持プレートの一方に設けられた摺動体と他方に形成されて前記摺動体がスライドするスライド空間とからなり、前記回転部材の回転に伴って、前記摺動体が前記スライド空間をスライドし、前記保持プレートが前記ストッパの移動方向に沿って移動するように構成されており、前記ストッパが前記制止位置にある状態において、前記プラテンが起立姿勢に移動した場合に、前記摺動体が、前記回転中心の鉛直上方に位置するように構成されていることが好ましい。
この構成であれば、プラテンを起立させた場合に、ストッパが制止位置にある状態で保持プレートに荷重が加わったとしても、摺動体が回転中心の鉛直上方に位置させているので、この摺動体は回転せず、保持プレートは動かない。これにより、例えば、基板が落下した場合であっても、ストッパが下方にずれることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
このように構成した本発明によれば、装置構成の複雑化や装置全体の大型化を招くことなく、基板を確実に保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明に係る基板保持装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
本実施形態に係る基板保持装置100は、例えばイオンビーム照射装置に用いられて、処理対象たる基板Wを保持するものであり、
図1及び
図2に示すように、概略矩形状をなす薄板状の基板Wが載置されるプラテン10と、該プラテン10との間で基板Wを保持するクランプ機構20とを具備するものである。
【0022】
前記プラテン10は、図示しない搬送ロボットとの間で基板Wが受け渡されるものであり、基板Wが載置される水平姿勢と、前記水平姿勢から起立した起立姿勢との間を軸I周りに回転可能に構成されている。
なお、ここでいう水平姿勢には、水平方向から傾いた姿勢が含まれ、起立姿勢には、鉛直方向に沿って起立した姿勢や鉛直方向から傾いた姿勢が含まれる。
【0023】
本実施形態では、基板Wにイオンビームが照射される処理室内において、前記搬送ロボットが、前記水平姿勢にあるプラテン10に対して所定の基板搬入出方向で基板Wを搬送して載置する。そして、プラテン10は、前記処理室内で水平姿勢から起立姿勢となり、基板Wにイオンビームが照射される際に、イオンビームと交差する方向に走査される。
以下では、説明の便宜上、
図2に示すように、前記基板搬入出方向を上下方向とし、この上下方向に直交する方向を左右方向と定義する。なお、上下方向における上側は基板搬入出側であり、左右方向における左側及び右側はプラテンを裏面から視たときの左側及び右側である。
【0024】
具体的にこのプラテン10は、
図1に示すように、複数(ここでは4本)の櫛歯11が所定間隔で並んだ櫛形状をなすものであり、その表面が基板Wが載置される基板載置面12として設定されている。
なお、プラテン10の形状は、上述したものに限られず、概略矩形状などであっても良い。
また、基板載置面12は、必ずしもプラテン10の表面に設定する必要はなく、例えば、プラテン10が、表面に取り付けられたピン等の複数の高さ調整部材を有している場合は、これら複数の高さ調整部材の先端によって形成された仮想平面が基板載置面12として設定される。
【0025】
前記クランプ機構20は、
図1及び
図2に示すように、基板Wの各辺に対応して設けられた複数のクランパ21と、外部から入力された駆動力を前記複数のクランパ21の間で伝達する動力伝達機構22とを備えている。
【0026】
本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、プラテン10の左辺部、右辺部、上辺部、及び下辺部それぞれに複数のクランパ21が互いに離間して設けられている。
以下では、各辺部に設けられたクランパ21を区別する場合、左右方向に沿って互いに対向するクランパ21を第1クランパ21aといい、上下方向に沿って互いに対向するクランパ21のうち、下側のクランパ21を第2クランパ21bといい、上側のクランパ21を第3クランパ21cという。
【0027】
前記クランパ21は、
図3〜
図7に示すように、プラテン10との間で基板Wを保持する保持位置Xと、基板Wを解放する解放位置Yとの間で移動可能に構成されたものであり、ここでは、水平姿勢にあるプラテン10の基板載置面12より下方(基板載置面12よりもプラテン10の裏面側)に設けられた回転軸L周りに回転可能に構成されている。本実施形態では、例えば前記回転軸Lに捩じりバネ等の弾性部材Bが設けられており、この弾性部材Bによって各クランパ21を保持位置Xに付勢している。
【0028】
より具体的に各クランパ21は、特に
図4及び
図6に示すように、前記保持位置Xにおいて基板Wに当接する一対の当接部211を有したものである。
ここでは、第1クランパ21a及び第3クランパ21cは互いに同じ形状をなし、柱状の当接部211を有したものであり、第2クランパ21bは、平板状の当接部211を有したものである。
なお、各クランパ21の形状や当接部211の形状は、種々変更して構わない。
【0029】
本実施形態では、プラテン10が水平姿勢にある状態において、第3クランパ21cの上方を基板Wが搬入出されることから、前記第3クランパ21cによって基板Wの搬入出が妨げられないように、解放位置Yにある第3クランパ21cが、プラテン10の基板載置面12よりも下方(基板載置面12よりもプラテン10の裏面側)に位置するように構成されている。
ここでは、前記第3クランパ21cの保持位置Xと解放位置Yとの開き角度は、解放位置Yにある第3クランパ21cの全体が前記基板載置面12よりも下方(基板載置面12よりもプラテン10の裏面側)に位置するように設定されている。
【0030】
次に、動力伝達機構22について説明する。
【0031】
前記動力伝達機構22は、図示しないアクチュエータからクランパ21を移動させるための駆動力が与えられるとともに、この駆動力を、基板Wの1辺に対応して設けられたクランパ21と、その他の少なくとも1辺に対応して設けられたクランパ21との間で伝達するものであり、ここでは、第1クランパ21a、第2クランパ21b、及び第3クランパ21cの間で前記駆動力を伝達するように構成されている。
本実施形態では、
図2に示すように、一対の動力伝達機構22が、プラテン10の左右両側に独立して設けられており、各動力伝達機構22は、基板Wの3辺に対応して設けられたクランパ21(左右片側の第1クランパ21a、第2クランパ21b、及び第3クランパ21c)の間で前記駆動力を伝達するように構成されている。
なお、ここでは前記一対の動力伝達機構22は左右対称の構成であり、以下では、これらを代表して左側の動力伝達機構22について説明する。
【0032】
前記動力伝達機構22は、
図2に示すように、第1クランパ21aに駆動力を伝達する第1伝達要素22a、第2クランパ21bに駆動力を伝達する第2伝達要素22b、及び第3クランパ21cに駆動力を伝達する第3伝達要素22cとを備える。
【0033】
前記第1伝達要素22aは、
図3に示すように、第1クランパ21aを回転軸La周りに回転させて保持位置Xから解放位置Yに移動させるものであり、駆動力によって上下方向にスライド移動する縦スライダ3と、縦スライダ3の移動に伴って左右方向にスライド移動する横スライダ4と、縦スライダ3及び横スライダ4の間に介在して、上下方向の駆動力を左右方向の駆動力に変換する方向変換機構5とを有している。
【0034】
縦スライダ3は、プラテン10の裏面側における上端部から下端部に亘って上下方向に沿って設けられた棒状をなすものであり、ここでは、図示しないアクチュエータの駆動力が伝達されて回転中心Oz周りに回転するレバーZが接続されている。本実施形態のレバーZは、縦スライダ3における上側及び下側の第1クランパ21aの間に接続されているが、上側の第1クランパ21aの上方や下側の第1クランパ21aの下方に接続されていても構わない。
なお、縦スライダ3の一部は、一対のガイドローラRに挟まれている。
【0035】
横スライダ4は、縦スライダ3と第1クランパ21aとの間に介在して、第1クランパ21aを保持位置Xから解放位置Yに移動させるものであり、
図2に示すように、複数の第1クランパ21aそれぞれに対応した位置に設けられている。
【0036】
より具体的に説明すると、
図4に示すように、前記横スライダ4又は前記第1クランパ21aの一方に引っ掛かり部Maが設けられており、他方に前記引っ掛かり部Maが引っ掛かる被引っ掛かり部Naが設けられている。また、引っ掛かり部Maと被引っ掛かり部Naとの間には、第1クランパ21aが保持位置Xにある状態において、駆動力を第1クランパ21aに作用させないためのクリアランスSaを形成してある。
本実施形態では、前記引っ掛かり部Maとして、横スライダ4に断面略U字形状の凹溝が形成されており、前記被引っ掛かり部Naとして、第1クランパ21aに回転軸Laに平行な棒体が設けられており、前記凹溝の内周面41と前記棒体の外周面との間に上述したクリアランスSaが形成されている。
【0037】
方向変換機構5は、
図3に示すように、縦スライダ3に伝達された上下方向の駆動力を左右方向に変換するものであり、具体的には、前記縦スライダ3又は前記横スライダ4の一方に設けられ、上下方向及び左右方向と交差する斜め方向に延びる斜め孔51と、他方に設けられ、前記斜め孔51内を摺動可能な摺動部52とを有している。
本実施形態では、前記横スライダ4に例えば上下方向及び左右方向から45度傾いた斜め孔51が形成されており、前記縦スライダ3に摺動部52たる突起部が設けられている。
なお、斜め孔51は、必ずしも貫通孔である必要なく、凹溝であっても良い。
【0038】
続いて、上述した第1伝達要素22aと第1クランパ21aとの動作について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
【0039】
まず、
図3(a)に示すように、第1クランパ21aが弾性部材Bによって保持位置Xに付勢されている状態で、図示しないアクチュエータからの駆動力がレバーZに与えられると、レバーZが回転中心Oz周りに回転するとともに、縦スライダ3は上側から下側に向かってスライド移動する。
【0040】
このとき、前記縦スライダ3のスライド移動に連動して、前記摺動部52が前記斜め孔51に沿って移動し、これにより、前記横スライダ4が左側から右側(プラテン10の外側から内側)に向かってスライド移動する。
【0041】
そして、
図4に示すように、この横スライダ4のスライド移動に伴い、前記引っ掛かり部Maたる凹溝の内周面41が前記被引っ掛かり部Naたる棒体を左側から右側に向かって引き寄せ、これにより第1クランパ21aが回転軸La周りに回転する。
【0042】
本実施形態では上述したクリアランスSaが形成されているため、第1クランパ21aが保持位置Xにある状態において、引っ掛かり部Maと被引っ掛かり部Naとは非接触である(
図4a)。そして、この状態から前記横スライダ4が左側から右側にスライド移動することで、引っ掛かり部Maが被引っ掛かり部Naと接触し(
図4b)、さらに前記横スライダ4が左側から右側にスライド移動することで、引っ掛かり部Maから被引っ掛かり部Naに前記駆動力が作用して、第1クランパ21aが解放位置Yに移動する(
図4c)。
【0043】
一方、図示しないアクチュエータからの駆動力が遮断された場合、
図3(b)に示すように、弾性部材Bの付勢力によって第1クランパ21aが解放位置Yから保持位置Xに移動する。
【0044】
次に、第2伝達要素22bについて説明する。
【0045】
前記第2伝達要素22bは、
図5に示すように、第2クランパ21bを回転軸Lb周りに回転させて、保持位置Xから解放位置Yに移動させるものである。
【0046】
ここで、本実施形態では、前記第1伝達要素22aが、少なくとも1つの第2クランパ21bに駆動力を伝達するように構成されており、前記第2伝達要素22bが、その他の第2クランパ21bに駆動力を伝達するように構成されている。
【0047】
より詳細には、
図5に示すように、一対の第2クランパ21bが共通の回転軸Lb周りに回転するように構成されており、第1伝達要素22aは、前記一対の第2クランパ21bのうち左側の第2クランパ21b(以下、左側第2クランパ21blともいう)に駆動力を伝達し、第2伝達要素22bは、右側の第2クランパ21b(以下、右側第2クランパ21brともいう)に駆動力を伝達する。
【0048】
まず、左側第2クランパ21blと第1伝達要素22aとの関係について説明する。
前記左側第2クランパ21blは、
図5に示すように、第1伝達要素22aの縦スライダ3の下端部近傍に配置されており、この縦スライダ3のスライド移動に伴って、保持位置Xと解放位置Yとの間を移動するように構成されている。
【0049】
より具体的に説明すると、
図6に示すように、前記左側第2クランパ21bl又は前記縦スライダ3の一方に引っ掛かり部Mbが設けられており、他方に前記引っ掛かり部Mbが引っ掛かる被引っ掛かり部Nbが設けられている。また、引っ掛かり部Mbと被引っ掛かり部Nbとの間には、左側第2クランパ21blが保持位置Xにある状態において、駆動力を左側第2クランパ21blに作用させないためのクリアランスSbを形成してある。
本実施形態では、前記引っ掛かり部Mbとして、縦スライダ3の下端部に固定された固定部材6に断面略U字形状の凹溝が形成されており、前記被引っ掛かり部Nbとして、左側第2クランパ21blに回転軸Lbに平行な棒体が設けられており、前記凹溝の内周面61と前記棒体の外周面との間に前記クリアランスSbが形成されている。
【0050】
上述した構成により、
図6に示すように、縦スライダ3が上側から下側に向かってスライド移動すると、前記引っ掛かり部Mbたる凹溝の内周面61が前記被引っ掛かり部Nbたる棒体を上側から下側(プラテン10の内側から外側)に向かって引き寄せ、これにより左側第2クランパ21blが回転軸Lb周りに回転する。
【0051】
本実施形態では上述したクリアランスSbが形成されているため、左側第2クランパ21blが保持位置Xにある状態において、引っ掛かり部Mbと被引っ掛かり部Nbとは非接触である(
図6a)。そして、この位置から前記縦スライダ3が上側から下側にスライド移動することで、引っ掛かり部Mbが被引っ掛かり部Nbと接触し(
図6b)、さらに前記縦スライダ3が上側から下側にスライド移動することで、引っ掛かり部Mbから被引っ掛かり部Nbに前記駆動力が作用して、左側第2クランパ21blが解放位置Yに移動する(
図6c)。
【0052】
次に、第2伝達要素22bと右側第2クランパ21brとの関係について説明する。
本実施形態の第2伝達要素22bは、
図5に示すように、左側第2クランパ21blに伝達された駆動力を右側第2クランパ21brに伝達するものであり、ここでは、これらの各第2クランパ21bl、21brを接続する回転軸Lbである。
この構成により、右側第2クランパ21brは、前記駆動力によって左側第2クランパ21blと連動して回転し、保持位置Xと解放位置Yとの間を移動する。
【0053】
続いて、第3伝達要素22cについて説明する。
【0054】
前記第3伝達要素22cは、
図7に示すように、第3クランパ21cを回転軸Lc周りに回転させて保持位置Xから解放位置Yに移動させるものであり、所定方向に沿ってスライド移動するスライド部材7を有している。
【0055】
前記スライド部材7は、
図5及び
図7に示すように、右側第2クランパ21brと第3クランパ21cとの間に介在して、右側第2クランパ21brから第3クランパ21cに前記駆動力を伝達するものであり、ここでは、上述した縦スライダ3と平行に設けられた棒状をなすものである。
【0056】
より具体的に説明すると、
図6に示すように、前記スライド部材7の下端部又は前記右側第2クランパ21brの一方に引っ掛かり部Mbが設けられており、他方に引っ掛かり部Mbが引っ掛かる被引っ掛かり部Nbが設けられている。
また、
図7に示すように、前記スライド部材7の上端部又は前記第3クランパ21cの一方に引っ掛かり部Mcが設けられており、他方に引っ掛かり部Mcが引っ掛かる被引っ掛かり部Ncが設けられている。
【0057】
本実施形態では、スライド部材7の下端部及び右側第2クランパ21brの構成は、上述した縦スライダ3及び左側第2クランパ21blの構成と同様であり、スライド部材7の上端部及び第3クランパ21cとの構成は、上述した第1クランパ21aと横スライダ4と同様の構成である。
【0058】
すなわち、
図6に示すように、引っ掛かり部Mbとして、スライド部材7の下端部に固定された固定部材6に断面略U字形状の凹溝が形成されており、被引っ掛かり部Nbとして、右側第2クランパ21brに回転軸Lbに平行な棒体が設けられている。
また、
図7に示すように、引っ掛かり部Mcとして、スライド部材7の上端部に断面略U字形状の凹溝が形成されており、被引っ掛かり部Ncとして、第3クランパ21cに回転軸Lcに平行な棒体が設けられている。
【0059】
なお、前記引っ掛かり部Mb、Mcと前記被引っ掛かり部Nb、Ncとの間には、右側第2クランパ21brや第3クランパ21cが保持位置Xにある状態において、前記駆動力を右側第2クランパ21brや第3クランパ21cに作用させないためのクリアランスSb、Scを形成してある。
【0060】
上述した構成により、右側第2クランパ21brの保持位置Xと解放位置Yとの間における移動に伴って前記スライド部材7が上下方向に沿ってスライド移動し、このスライド部材7のスライド移動に伴って第3クランパ21cが保持位置Xと解放位置Yとの間で移動する。
【0061】
より具体的には、右側第2クランパ21brが保持位置Xから解放位置Yに移動することで、前記被引っ掛かり部Nbたる棒体が上側から下側(プラテン10の内側から外側)に向かって前記引っ掛かり部Mbたる凹溝の内周面61に押し当てられ、これにより前記スライド部材7が上側から下側に向かってスライド移動する。
【0062】
そして、スライド部材7が上側から下側に向かってスライド移動することで、前記引っ掛かり部Mcたる凹溝の内周面が前記引っ掛かり部Ncたる棒体を上側から下側(プラテン10の外側から内側)に引き寄せ、これにより第3クランパ21cが回転軸Lc周りに回転する。
【0063】
上述した動力伝達機構22により、本実施形態では、第1クランパ21aに連動して左側第2クランパ21blが回転し、左側第2クランパ21blに連動して右側第2クランパ21brが回転し、右側第2クランパ21brに連動して第3クランパ21cが回転する。つまり、第1クランパ21a、第2クランパ21b、及び第3クランパ21cは、互いに連動して保持位置Xと解放位置Yとの間を移動し、本実施形態では、各クランパ21a〜cは、同時に保持位置Xに到達し、同時に解放位置Yに到達する。
【0064】
しかして、本実施形態の基板保持装置100は、プラテン10に載置された基板Wの移動を規制するストッパ8をさらに具備してなる。
【0065】
ここでは、起立姿勢にあるプラテン10から基板Wが落下することを防ぐべく、
図2に示すように、起立姿勢にあるプラテン10の下側に前記ストッパ8を複数設けており、具体的には縦スライダ3の下端部近傍とスライド部材7の下端部近傍とに配置している。
【0066】
前記各ストッパ8は、プラテン10が水平姿勢にある状態において、基板載置面12よりも上方(基板載置面12よりもプラテン10の表面側)に突出するものであり、
図8に示すように、基板載置面12に載置される基板Wに接触して当該基板Wの移動を制止する制止位置Pと、前記基板Wに対して前記制止位置Pよりも外側に退避した退避位置Qとの間で移動可能に設けられている。
前記制止位置Pは、基板Wが搬送ロボットによってプラテン10に載置される位置(載置位置)にある基板Wと前記ストッパ8とが非接触な位置であり、前記退避位置Qは、前記ストッパ8が前記制止位置Pよりも基板Wから外側に離れる位置である。
【0067】
前記ストッパ8は、
図9(a)、(b)に示すように、保持プレート81に保持されており、この保持プレート81が、例えばガイド部材Gにガイドされた状態で上下方向に移動するように構成されている。
【0068】
前記保持プレート81は、前記ストッパ8が起立して設けられており、例えば前記ストッパ8と一体成型されたものである。本実施形態では、前記保持プレート81をプラテン10の裏面側に設けており、プラテン10及び縦スライダ3、或いは、プラテン10及びスライド部材7に貫通して形成された貫通孔Hを前記ストッパ8が裏面側から表面側に貫通するようにしている。
【0069】
本実施形態では、
図9に示すように、基板保持装置100が、前記ストッパ8と上述した動力伝達機構22とを連動させる連動機構9をさらに具備しており、前記ストッパ8が、前記動力伝達機構22から伝達される駆動力によって前記制止位置Pと前記退避位置Qとの間を移動するように構成されている。
【0070】
前記連動機構9は、各ストッパ8それぞれに対応して設けられている。
以下では、ストッパ8とスライド部材7との間に介在する連動機構9の構成について説明するが、ストッパ8と縦スライダ3との間に介在する連動機構9の構成も同様である。
【0071】
前記連動機構9は、プラテン10に回転可能に設けられた回転部材90と、スライド部材7の移動方向に沿った直動駆動力を回転部材90の回転駆動力に変換する第1直回動変換機構91と、前記回転部材90の回転駆動力をストッパ8の移動方向に沿った直動駆動力に変換する第2直回動変換機構92とを備える。
【0072】
前記回転部材90は、回転中心O周りに回転可能なものであり、ここでは、一対の前記回転部材90がスライド部材7の左右両側に設けられている。
【0073】
前記第1直回動変換機構91は、
図9(c)、(d)に示すように、スライド部材7に固定された固定部材93又は前記回転部材90の一方に設けられた第1摺動体94と他方に形成されて前記第1摺動体94がスライドするスライド空間9h1とからなる。
なお、
図9(c)、(d)は、
図9(a)、(b)における保持プレート81を取り外した状態を示している。
【0074】
本実施形態では、前記第1摺動体94として、前記回転中心O周りに回転する回転ローラが前記回転部材90に設けられており、前記第1スライド空間9h1として、前記固定部材93の左右両側に一対に切り欠きが形成されている。
【0075】
上述した構成により、スライド部材7に連動して固定部材93が上下方向にスライド移動することで、第1摺動体94が第1スライド空間9h1内を移動しながら回転中心O周りに回転し、一対の回転部材90が互いに反対向きに回転する。
【0076】
前記第2直回動変換機構92は、
図9(a)、(b)に示すように、前記回転部材90又は上述した保持プレート81の一方に設けられた第2摺動体95と他方に形成されて前記第2摺動体95がスライドするスライド空間9h2とからなる。
【0077】
本実施形態では、前記第2摺動体95として、前記回転部材90における前記第1摺動体94とは別の位置に前記回転中心O周りに回転する回転ローラが設けられており、前記第2スライド空間9h2として、前記保持プレート81に左右両側に長孔が形成されている。
【0078】
上述した構成により、回転部材90の回転に連動して前記第2摺動体95が回転しながら第2スライド空間9h2内をスライド移動して、保持プレート81が上下方向にスライド移動する。
【0079】
本実施形態では、スライド部材7が上側から下側に向かって移動することにより、上述した連動機構9を介して、保持プレート81が上側から下側(プラテン10の内側から外側)に向かって移動するように構成されている。つまり、動力伝達機構22によりクランパ21を保持位置Xから解放位置Yに移動させると、このクランパ21の動きに連動してストッパ8が制止位置Pから退避位置Qへ移動し、クランパ21を解放位置Yから保持位置Xへ移動させると、このクランパ21の動きに連動してストッパ8が退避位置Qから制止位置Pへ移動する。
【0080】
ここで、前記第2摺動体95は、ストッパ8が制止位置Pにある状態において、プラテン10が起立姿勢に移動した場合に、回転部材90の回転中心Oの鉛直上方に位置するよう構成されている。つまり、ストッパ8が制止位置Pに移動した場合に、前記第2摺動体95の重心と回転部材90の回転中心Oとが鉛直線上に位置するように構成されている。
【0081】
なお、本実施形態では、上述した動力伝達機構22及び連動機構9は、
図2等に示すように、プラテン10の裏面に形成された収容凹部Vに収容されており、プラテン10が水平姿勢にある状態において、動力伝達機構22を構成する各部材及び連動機構9を構成する各部材がプラテン10の裏面からはみ出さないようにしている。
この収容凹部Vは、図示しないカバー部材によって閉塞されるように構成されている。
【0082】
このように構成された本実施形態に係る基板保持装置100によれば、クランパ21が基板Wの各辺に対応して設けられているので、基板Wを確実に保持することができるうえ、動力伝達機構22が第1クランパ21a、第2クランパ21b、及び第3クランパ21cの間で駆動力を伝達するので、各クランパ21に共通のアクチュエータを用いることができ、装置構成の簡単化及び装置全体の小型化を図ることができる。
【0083】
また、各クランパ21に共通のアクチュエータを用いることができるので、このアクチュエータを例えばプラテン10の下側や左右側に設けることで、基板Wの搬入出が妨げられない。
【0084】
さらに、解放位置Yにある第3クランパ21cの全体が、プラテン10が水平姿勢にある状態において、プラテン10の基板載置面12よりも下方(基板載置面12よりもプラテン10の裏面側)に位置するので、第3クランパ21cは基板Wを搬入出する妨げとならず、搬入出される基板Wの高さ位置を既存の設定にしたまま、つまり、プラテン10に基板Wを搬送する搬送ロボット等の設定を変更することなく、基板Wを搬入出することができる。
【0085】
加えて、各引っ掛かり部Ma〜cと各被引っ掛かり部Na〜cとの間に、駆動力をクランパ21に作用させないためのクリアランスSa〜cが形成されているので、個々のクランパ21が別々に保持位置Xに付勢されており、仮に、1つのクランパ21が基板W上にあるパーティクル等を挟み込んで保持位置Xよりも僅かに浮き上がったとしても、その他のクランパ21によって確実に基板Wを保持することができる。
【0086】
さらに加えて、プラテン10の下側に複数の可動式のストッパ8を設けているので、制止位置Pにあるストッパ8によって基板Wの落下を防止することができるうえ、搬送ロボットが基板Wを持ち上げる際は、ストッパ8を制止位置Pから退避位置Qに移動させてストッパ8と基板Wとを非接触にすることで、ストッパ8と基板Wが擦れず、パーティクルの発生を防ぐことができる。
また、仮に搬送ロボットに対して基板Wが位置ずれした状態で搬送された場合などは、基板載置面12に載置された基板Wが所定の載置位置からずれることがある。このような場合は、前記ストッパ8を退避位置Qから制止位置Pへ移動させることにより、ストッパ8で基板Wの外縁を押して基板Wの位置調整をすることができる。
【0087】
そのうえ、ストッパ8が制止位置Pにある状態において、プラテン10が起立姿勢に移動した場合に、第2摺動体95の重心が、回転部材90の回転中心Oの鉛直上方に位置するようにしているので、保持プレート81に荷重が加わったとしても、第2摺動体95は回転せず、基板Wの落下等によりストッパ8が制止位置Pから下方にずれることを防ぐことができる。
【0088】
さらに、動力伝達機構22及び連動機構9が、プラテン10の裏面に形成された収容凹部Vに収容されているので、装置全体をプラテン10の厚み方向においてコンパクトにすることができる。
加えて、前記収容凹部Vは、図示しないカバー部材によって閉塞されるように構成されているので、動力伝達機構22や連動機構9を構成する各部材が擦れてパーティクルが発生したとしても、このパーティクルが処理室内に飛散することを防ぐことができる。
【0089】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0090】
例えば、前記実施形態では、動力伝達機構が、基板の3辺に対応して設けられたクランパの間で駆動力を伝達するように構成されていたが、基板の4辺に対応して設けられたクランパ(左右方向に対向する第1クランパの両方、第2クランパ、及び第3クランパ)の間で駆動力を伝達するように構成しても良い。このための具体的実施態様としては、前記実施形態のように回転軸Lbを複数本設けず、一本の回転軸Lbによって複数の第2クランパ21bが移動する構成が挙げられる。なお、この場合、レバーZは、左右片側に設けておけば良い。
この構成により、基板の4辺に対応して設けられたクランパが連動して移動するので、1つのアクチュエータを用いて全てのクランパを移動させることができ、装置全体をよりコンパクトにすることができる。
【0091】
また、動力伝達機構は、第1伝達要素、第2伝達要素及び第3伝達要素とを備えるものであったが、伝達要素や各伝達要素を構成する部材の個数は限られるものではない。
さらに、前記実施形態では、第1伝達要素にレバーが接続されていたが、レバーは第2伝達要素や第3伝達要素に接続されていても良い。つまり、図示しないアクチュエータの駆動力がレバーを介して第2伝達要素を構成する回転軸に与えられるようにしても良いし、前記アクチュエータの駆動力がレバーを介して第3伝達要素のスライド部材に与えられるようにしても良い。
【0092】
前記実施形態の第1伝達要素は、第2クランパに駆動力を伝達するものであったが、第2クランパを介さずに、第2伝達要素に駆動力を伝達するように構成されていても良い。
具体的には、例えばラックアンドピニオンを利用して、第1伝達要素の縦スライダに設けたラックと、第2クランパの回転軸に設けたギアとを噛み合わせることにより、前記縦スライダの移動方向に沿った直線駆動力を回転駆動力に変換して前記回転軸に伝達する構成が挙げられる。
【0093】
前記実施形態では、一対の第2クランパが共通の回転軸周りに回転するように構成されていたが、複数の第2クランパを左右方向にスライドする横スライダ部材に連動させるようにしても良い。
この場合、第2伝達要素は、前記横スライダ部材を有しており、第1伝達要素の縦スライダと第2伝達要素の横スライダ部材との間には、前記実施形態における方向変換機構などを設けておけば良い。
【0094】
前記実施形態の第3伝達要素は、第2クランパから駆動力が伝達されるように構成されていたが、第2クランパに動力を伝達する部材、つまり第2伝達要素から駆動力が伝達されるようにしても良い。
具体的には、例えば、上述したラックアンドピニオンを利用した構成が挙げられる。すなわち、第2伝達要素の回転軸に設けたギアと、前記第3伝達要素のスライド部材に設けたラックとを噛み合わせることにより、前記回転軸の回転駆動力を直線駆動力に変換して前記スライド部材に伝達する構成が挙げられる。
【0095】
動力伝達機構の構成は上述したように種々の構成が考えられることから、左右両側に設けられた一対の動力伝達機構は、前記実施形態のように左右対称の構成である必要はなく、互いに異なる構成であっても良い。
【0096】
また、前記実施形態では、スライド移動する各部材は、上下方向又は左右方向に沿って移動するものであったが、上下方向又は左右方向から傾いた方向に沿って移動するようにしても良い。
【0097】
さらに、前記実施形態では、プラテンの下側にストッパを設けていたが、前記プラテンの上側や左右片側又は左右両側にストッパを設けても良い。
この構成により、水平姿勢にあるプラテンに載置された基板の位置を、上下方向及び左右方向に沿って調整することができる。
【0098】
加えて、前記実施形態では、ストッパが制止位置にある状態において、プラテンが起立姿勢に移動した場合に、第2摺動体が、回転部材の回転中心の鉛直上方に位置するよう構成されていたが、例えば、
図10に示すように、ストッパ8が制止位置Pと退避位置Qとの途中に経由する経由位置Rに移動した場合に、第2摺動体95が回転部材90の回転中心Oの鉛直上方に位置するようにしても良い。
上述した構成により、クランパ21を解放位置Yから保持位置Xへ移動させた場合、前記第2摺動体95の回転に伴って、保持プレート81が、プラテン10に対して内側に向かって移動した後、外側に向かって移動する。このことから、前記ストッパ8は、退避位置Qから、該退避位置Qよりも基板Wに接近する前記経由位置Rを経て、該経由位置Rよりも基板Wから離間する制止位置Pへ移動する。
これにより、前記実施形態のように、プラテン10が起立姿勢にある状態において、仮に基板Wが位置ずれしてストッパ8に接触したとしても、プラテン10を水平姿勢にして搬送ロボットで基板Wを持ち上げる際は、ストッパ8を基板Wと非接触な退避位置Qに移動させるので、ストッパ8と基板Wが擦れず、パーティクルの発生を防ぐことができる。
そのうえ、仮に基板Wが基板載置面12における所定の載置位置からずれて載置されたとしても、ストッパ8が経由位置Rを経由したあと制止位置Pに移動するので、ストッパ8が経由位置Rに移動することで基板Wを前記所定の載置位置に移動させることができ、基板Wを確実に前記所定の載置位置においてクランプすることができる。
【0099】
また、前記実施形態では、クランパとストッパとが連動するように構成されていたが、クランパとストッパとは別々に独立に移動するように構成しても良い。
具体的な実施態様としては、例えばストッパを電動モータ等に接続して制止位置と退避位置との間を移動させるようにする構成が挙げられ、この場合は、前記実施形態の連動機構は不要である。
【0100】
また、前記実施形態の動力伝達機構は、第1クランパ、第2クランパ及び第3クランパとの間で駆動力を伝達するものであったが、上下両側のクランパ(第2クランパと第3クランパ)の間のみで駆動力を伝達するものであってもよい。この場合は、動力伝達機構は、少なくとも前記実施形態のスライド部材を有していれば良く、このスライド部材の移動に連動して上下両側のクランパが保持位置と解放位置との間で移動するように構成すれば良い。
もちろん、動力伝達機構は、左右両側のクランパ(対向する第1クランパ)の間のみで駆動力を伝達するものであっても良い。
【0101】
さらに、第2クランパ及び第3クランパは、前記実施形態では上下方向(搬入出方向)に沿って互いに対向するように設けられていたが、上下方向からやや傾いた方向に沿って互いに対向するように設けても良い。
また、左右の第1クランパに関しても同様であり、左右の第1クランパは、左右方向からやや傾いた方向に沿って互いに対向するように設けても良い。
【0102】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。