特許第6248982号(P6248982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6248982
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】分離方法および分離装置
(51)【国際特許分類】
   B07B 13/11 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   B07B13/11 B
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-105342(P2015-105342)
(22)【出願日】2015年5月25日
(65)【公開番号】特開2016-215161(P2016-215161A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2016年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092071
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和宏
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−083069(JP,A)
【文献】 特開2000−140765(JP,A)
【文献】 特開平07−108225(JP,A)
【文献】 特開平07−016544(JP,A)
【文献】 特開昭48−006054(JP,A)
【文献】 特開2013−215721(JP,A)
【文献】 実開昭50−092463(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 13/11
B07C 5/00
B24B 31/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合された状態にある、少なくとも1つの略平面を有する形状のワークと略球形のメディアを分離するための分離方法であって、
回転板の上面の回転中心付近に、前記ワークと前記メディアの混合物を供給し、
前記回転板を回転させて、前記回転板の上面の前記ワークを前記回転板の回転方向に移動させるとともに、前記ワークと前記メディアを、前記回転板に伴って回転することがない分離ガイドによって、回転方向を円周方向とする円の半径方向に移動させ、
前記分離ガイドによりガイドされて前記分離ガイドの末端に移動することによって前記ワークの列が形成され、形成された前記ワークの列に押し出される形で前記メディアが分離し、
前記回転板の上面側領域とその外側領域とを仕切る外周壁に設けられた第1の開口部から前記メディアを放出し、
前記回転板に伴って回転することがない取り出し用ガイドによって、前記回転板の前記外周壁に設けられ、前記第1の開口部よりも、前記回転板の前記回転方向の前方に位置する第2の開口部へと前記ワークを移動させて前記ワークを取り出すこと
を特徴とする分離方法。
【請求項2】
複数の前記分離ガイドを備えるとともに、複数の前記分離ガイドは、前記回転方向および前記半径方向に位置をずらして配設され、
複数の前記分離ガイドにより規制された経路で各分離ガイドの末端まで移動した前記ワークと前記メディアは、各分離ガイドの末端で分離され、
前記回転方向の後方の分離ガイドの末端で分離されなかった前記ワークと前記メディアは、回転方向における1つ前方の分離ガイドに移動して当該分離ガイドの末端で分離されるように構成されていること
を特徴とする請求項1記載の分離方法。
【請求項3】
複数の前記分離ガイドのうち、他の分離ガイドよりも前記半径方向における外側に位置する分離ガイドは、前記ワークをガイドする面の、回転方向を円周方向とする円の法線に対する角度が、前記半径方向における内側に位置する分離ガイドの法線に対する角度よりも大きな角度を有し、
前記ワークとメディアは順次複数の分離ガイドによって移動を規制されながら、複数の分離ガイドの末端で前記ワークと前記メディアが分離されるように構成されていること
を特徴とする請求項2記載の分離方法。
【請求項4】
前記回転板の前記上面は、水平方向に対して傾斜しており、前記回転板の前記上面の傾斜によって前記メディアを転がすことにより、前記ワークと前記メディアの分離を補助するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の分離方法。
【請求項5】
前記回転板が平板状であり、前記回転板の回転軸が前記回転板の前記上面に垂直であるとともに、前記回転軸が鉛直方向に対して所定の角度を持つことにより、前記回転板の前記上面が水平方向に対して傾斜を有し、
前記回転板の前記上面の傾斜によって前記メディアを転がすことにより前記ワークと前記メディアの分離を補助するように構成されていること
を特徴とする請求項1記載の分離方法。
【請求項6】
前記第1の開口部に最も近い前記分離ガイドは、その末端が前記回転軸の中心から傾斜方向に引いた線より回転方向の前方に位置し、
前記第1の開口部に最も近い前記分離ガイドの末端で前記ワークは回転方向に移動するとともに、前記メディアは前記第1の開口部に向かって転がるように構成されていること
を特徴とする請求項5記載の分離方法。
【請求項7】
前記外周壁の、前記回転方向における前記第1の開口部と前記第2の開口部の間に設けられた第3の開口部からも、前記メディアを放出するように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の分離方法。
【請求項8】
前記回転板の回転方向の最も前方に位置する前記分離ガイドよりも、さらに前方に設けられた戻しガイドにより、前記ワークおよび前記メディアを前記半径方向内側に移動させるとともに、
前記第3の開口部付近に設けられた分離ガイドによって、前記ワークと前記メディアを分離し、前記メディアを前記第3の開口部からも放出するように構成されていることを特徴とする請求項7記載の分離方法。
【請求項9】
混合された状態にある、少なくとも1つの略平面を有する形状のワークと略球形のメディアを分離するための分離装置であって、
駆動手段により回転駆動され、上面の回転中心付近に、前記ワークと前記メディアの混合物が供給される回転板と、
前記回転板に伴って回転することなく前記回転板の上面側に配設され、前記回転板の回転方向における後方側の面で前記ワークおよび前記メディアの移動を規制し、前記ワークと前記メディアを分離する分離ガイドと、
前記回転板の上面側領域と、前記回転板の上面側領域の外側領域とを仕切るように配設され、分離された前記メディアを取り出す第1の開口部と、分離された前記ワークを取り出す、前記第1の開口部よりも、前記回転板の回転方向の前方に設けられた第2の開口部とを備えた外周壁と
前記回転板に伴って回転することがなく、分離された前記ワークを前記第2の開口部へと移動させるための取り出し用ガイドと、
を具備し、
前記分離ガイドは、前記回転板の上面を移動する前記ワークと前記メディアの混合物を整流し、前記ワークと前記メディアを、回転方向を円周方向とする円の半径方向に移動させ、その末端に移動することによって形成された前記ワークの列に押し出される形で前記メディアを分離するように構成されていることを特徴とする分離装置。
【請求項10】
前記分離ガイドとして、前記回転方向および前記半径方向に位置をずらして配設された複数の前記分離ガイドを備えていることを特徴とする請求項記載の分離装置。
【請求項11】
複数の前記分離ガイドのうち、他の分離ガイドよりも前記半径方向における外側に位置する分離ガイドは、前記ワークをガイドする面の、回転方向を円周方向とする円の法線に対する角度が、前記半径方向における内側に位置する分離ガイドの法線に対する角度よりも大きな角度を有することを特徴とする請求項10記載の分離装置。
【請求項12】
複数の前記分離ガイドは、複数の前記分離ガイドにより規制された経路で各分離ガイドの末端まで移動した前記ワークと前記メディアが、各分離ガイドの末端で分離され、前記回転方向の後方の分離ガイドの末端で分離されなかった前記ワークと前記メディアが、回転方向における1つ前方の分離ガイドに移動して当該分離ガイドの末端で分離されるように構成されていることを特徴とする請求項10または11記載の分離装置
【請求項13】
前記回転板の前記上面は、水平方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項9記載の分離装置。
【請求項14】
前記回転板が平板状であり、前記回転板の回転軸が、前記回転板の前記上面に垂直であるとともに、鉛直方向に対して所定の角度を持つことにより、前記回転板の前記上面が水平方向に対して傾斜を有していることを特徴とする請求項9記載の分離装置。
【請求項15】
前記第1の開口部に最も近い前記分離ガイドは、その末端が前記回転軸の中心から傾斜方向に引いた線より回転方向の前方に位置していることを特徴とする請求項14記載の分離装置。
【請求項16】
前記外周壁の、前記回転方向における前記第1の開口部と前記第2の開口部の間に、前記メディアを放出する第3の開口部が設けられていることを特徴とする請求項9〜15のいずれかに記載の分離方法。
【請求項17】
前記回転板の回転方向の最も前方に位置する前記分離ガイドよりも、さらに前方に、前記ワークおよび前記メディアを前記半径方向内側に移動させる戻しガイドが設けられているとともに、
前記第3の開口部付近に、前記ワークと前記メディアを分離して、前記第3の開口部から前記メディアを放出させる分離ガイドが設けられていること
を特徴とする請求項16記載の分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの分離方法および分離装置に関し、詳しくは、ワークの研磨に用いられる研磨メディアや、ワークにめっきを施す際などに用いられる導電メディアなどのメディアと、ワークの混合物からワークを分離するための分離方法および分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、円板形状や角柱形状などの少なくとも1つの略平面を有する形状を備えたワークと、これらのワークに対し、バレル研磨やバレルめっきなどを行う際にワークに混ぜて用いられる、セラミック、樹脂、金属などからなる略球形のメディアを分離するための装置として、従来は、例えば特許文献1に開示されているような、傾斜させた平板に振動を加え、転がりにくいワークを傾斜面の上方へ送り、転がりやすいメディアを下方へ転がり落とすようにした分離装置が広く用いられている。
【0003】
ところが、上述のような従来の分離装置の場合、ワークの進行方向とメディアの移動方向が逆であることから、ワークとメディアの衝突が起こり、ワークが欠けるなどのダメージを受けるという問題点がある。
【0004】
また、ワークが小型の電子部品やその前駆体であるような場合においては、振動させた状態におけるワークとメディアの転がりやすさに顕著な差がなく、上述の方法では選別すること自体が困難になるという問題点がある。
【0005】
これらの課題を解決するために、振動の代わりに回転による遠心力を用いて、ワークとメディアを分離する方法が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献2には、回転テーブルの回転による遠心力によって回転テーブルの周辺側に転動する転動物体と、該遠心力によっては転動しない非転動物体とを選別ガイドにより選別、分離する方法が開示されている。
【0007】
また、例えば、特許文献3には、回転する平板または中心から外周に向けて下り勾配になった円錐板の回転中心付近に粉粒状ワークを供給し、遠心力による軌道の差を利用して分級する方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、これら遠心力を用いる場合であっても、ワークの寸法が小さい場合には、ワークとメディアの転がりやすさに大きな差がなく、選別が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−133485号公報
【特許文献2】特許第3264063号公報
【特許文献3】特開2002−346481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するものであり、ワークとメディアを効率よく、確実に分離することが可能な分離方法および分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本願発明の分離方法は、
混合された状態にある、少なくとも1つの略平面を有する形状のワークと略球形のメディアを分離するための分離方法であって、
回転板の上面の回転中心付近に、前記ワークと前記メディアの混合物を供給し、
前記回転板を回転させて、前記回転板の上面の前記ワークを前記回転板の回転方向に移動させるとともに、前記ワークと前記メディアを、前記回転板に伴って回転することがない分離ガイドによって、回転方向を円周方向とする円の半径方向に移動させ、
前記分離ガイドによりガイドされて前記ガイドの末端に移動することによって前記ワークの列が形成され、形成された前記ワークの列に押し出される形で前記メディアが分離し、
前記回転板の上面側領域とその外側領域とを仕切る外周壁に設けられた第1の開口部から前記メディアを放出し、
前記回転板に伴って回転することがない取り出し用ガイドによって、前記回転板の前記外周壁に設けられ、前記第1の開口部よりも、前記回転板の前記回転方向の前方に位置する第2の開口部へと前記ワークを移動させて前記ワークを取り出すこと
を特徴としている。
【0012】
また、本発明の分離方法においては、複数の前記分離ガイドを備えるとともに、複数の前記分離ガイドは、前記回転方向および前記半径方向に位置をずらして配設され、
複数の前記分離ガイドにより規制された経路で各分離ガイドの末端まで移動した前記ワークと前記メディアは、各分離ガイドの末端で分離され、
前記回転方向の後方の分離ガイドの末端で分離されなかった前記ワークと前記メディアは、回転方向における1つ前方の分離ガイドに移動して当該分離ガイドの末端で分離されるように構成されていることが好ましい。
【0013】
複数の分離ガイドを備え、回転方向の後方の分離ガイドの末端で分離されなかったワークとメディアが、回転方向における1つ前方の分離ガイドに移動して当該分離ガイドの末端で分離されるように構成することにより、ワークとメディアをさらに確実に分離することが可能になる。
【0014】
また、複数の前記分離ガイドのうち、他の分離ガイドよりも前記半径方向における外側に位置する分離ガイドは、前記ワークをガイドする面の、回転方向を円周方向とする円の法線に対する角度が、前記半径方向における内側に位置する分離ガイドの法線に対する角度よりも大きな角度を有し、
前記ワークとメディアは順次複数の分離ガイドによって移動を規制されながら、複数の分離ガイドの末端で前記ワークと前記メディアが分離されるように構成されていることが好ましい。
【0015】
上述のように、複数の分離ガイドのうち、他の分離ガイドよりも半径方向における外側に位置する分離ガイドが、そのガイド面の、上記法線に対する角度が、半径方向における内側に位置する分離ガイドの法線に対する角度よりも大きい分離ガイドを含むようにした場合、ワークとメディアをより確実に分離することが可能になる。
【0016】
また、前記回転板の前記上面は、水平方向に対して傾斜しており、前記回転板の前記上面の傾斜によって前記メディアを転がすことにより、前記ワークと前記メディアの分離を補助するように構成されていることが好ましい。
【0017】
上述のように、回転板の上面を、水平方向に対して傾斜させた場合、上面の傾斜によってメディアを転がすことにより、ワークとメディアの分離を補助することが可能になり、さらに効率よくワークとメディアを分離することができる。
【0018】
また、前記回転板が平板状であり、前記回転板の回転軸が前記回転板の前記上面に垂直であるとともに、前記回転軸が鉛直方向に対して所定の角度を持つことにより、前記回転板の前記上面が水平方向に対して傾斜を有し、
前記回転板の前記上面の傾斜によって前記メディアを転がすことにより前記ワークと前記メディアの分離を補助するように構成されていることが好ましい。
【0019】
上述のように、平板状の回転板の回転軸が、回転板の上面に垂直で、かつ、鉛直方向に対して所定の角度を持つことで、回転板の上面が水平方向に対して傾斜した構成とした場合、傾斜によってメディアを転がすことによりワークとメディアの分離を補助することが可能になり、ワークとメディアをさらに効率よく分離することができる。
【0020】
また、前記第1の開口部に最も近い前記分離ガイドは、その末端が前記回転軸の中心から傾斜方向に引いた線より回転方向の前方に位置し、
前記第1の開口部に最も近い前記分離ガイドの末端で前記ワークは回転方向に移動するとともに、前記メディアは前記第1の開口部に向かって転がるように構成されていることが好ましい。
【0021】
メディアが傾斜により第1の開口部に向かって転がるので、第1の開口部に最も近い分離ガイドは、末端が回転軸の中心から傾斜方向に引いた線より回転方向の前方に位置し、当該分離ガイドの末端でワークを回転方向に移動させることができるように構成した場合、ワークとメディアをさらに効率よく分離することが可能になる。
【0022】
また、前記外周壁の、前記回転方向における前記第1の開口部と前記第2の開口部の間に設けられた第3の開口部からも、前記メディアを放出するように構成されていることが好ましい。
【0023】
外周壁の、回転方向における第1の開口部と第2の開口部の間に第3の開口部を設け、この第3の開口部からもメディアを放出するようにした場合、ワークとメディアをさらに確実に分離することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
【0024】
また、前記回転板の回転方向の最も前方に位置する前記分離ガイドよりも、さらに前方に設けられた戻しガイドにより、前記ワークおよび前記メディアを前記半径方向内側に移動させるとともに、前記第3の開口部付近に設けられた分離ガイドによって、前記ワークと前記メディアを分離し、前記メディアを前記第3の開口部からも放出するように構成されていることが好ましい。
【0025】
上述のように、戻しガイドを備えることにより、さらに確実にワークとメディアを分離することが可能になる。
【0026】
また、本発明の分離装置は、
混合された状態にある、少なくとも1つの略平面を有する形状のワークと略球形のメディアを分離するための分離装置であって、
駆動手段により回転駆動され、上面の回転中心付近に、前記ワークと前記メディアの混合物が供給される回転板と、
前記回転板に伴って回転することなく前記回転板の上面側に配設され、前記回転板の回転方向における後方側の面で前記ワークおよび前記メディアの移動を規制し、前記ワークと前記メディアを分離する分離ガイドと、
前記回転板の上面側領域と、前記回転板の上面側領域の外側領域とを仕切るように配設され、分離された前記メディアを取り出す第1の開口部と、分離された前記ワークを取り出す、前記第1の開口部よりも、前記回転板の回転方向の前方に設けられた第2の開口部とを備えた外周壁と
前記回転板に伴って回転することがなく、分離された前記ワークを前記第2の開口部へと移動させるための取り出し用ガイドと、
を具備し、
前記分離ガイドは、前記回転板の上面を移動する前記ワークと前記メディアの混合物を整流し、前記ワークと前記メディアを、回転方向を円周方向とする円の半径方向に移動させ、その末端に移動することによって形成された前記ワークの列に押し出される形で前記メディアを分離するように構成されていることを特徴としている。
【0027】
また、前記分離ガイドとして、前記回転方向および前記半径方向に位置をずらして配設された複数の前記分離ガイドを備えていることが好ましい。
【0028】
複数の分離ガイドを備えることにより、ワークとメディアをさらに確実に分離することが可能になる。
【0029】
また、複数の前記分離ガイドのうち、他の分離ガイドよりも前記半径方向における外側に位置する分離ガイドは、前記ワークをガイドする面の、回転方向を円周方向とする円の法線に対する角度が、前記半径方向における内側に位置する分離ガイドの法線に対する角度よりも大きな角度を有することが好ましい。
【0030】
上記構成とした場合、ワークとメディアをより確実に分離することが可能になる。
【0031】
また、複数の前記分離ガイドは、複数の前記分離ガイドにより規制された経路で各分離ガイドの末端まで移動した前記ワークと前記メディアが、各分離ガイドの末端で分離され、前記回転方向の後方の分離ガイドの末端で分離されなかった前記ワークと前記メディアが、回転方向における1つ前方の分離ガイドに移動して当該分離ガイドの末端で分離されるように構成されていることが好ましい。
【0032】
上記構成とした場合、ワークとメディアをより確実に分離することが可能になる。
【0033】
また、前記回転板の前記上面は、水平方向に対して傾斜していることが好ましい。
【0034】
上述のように、回転板の上面を、水平方向に対して傾斜させた場合、上面の傾斜によってメディアを転がすことにより、ワークとメディアの分離を補助することが可能になり、ワークとメディアを効率よく分離することが可能になる。
【0035】
また、前記回転板が平板状であり、前記回転板の回転軸が、前記回転板の前記上面に垂直であるとともに、鉛直方向に対して所定の角度を持つことにより、前記回転板の前記上面が水平方向に対して傾斜を有していることが好ましい。
【0036】
上述のように、平板状の回転板の回転軸が、回転板の上面に垂直で、かつ、鉛直方向に対して所定の角度を持つことで、回転板の上面が水平方向に対して傾斜した構成とした場合、傾斜によってメディアを転がすことによりワークとメディアの分離を補助することが可能になり、ワークとメディアを効率よく分離することができる。
【0037】
また、前記第1の開口部に最も近い前記分離ガイドは、その末端が前記回転軸の中心から傾斜方向に引いた線より回転方向の前方に位置していることが好ましい。
【0038】
メディアが傾斜により第1の開口部に向かって転がるので、第1の開口部に最も近い分離ガイドは、末端が回転軸の中心から傾斜方向に引いた線より回転方向の前方に位置し、当該分離ガイドの末端でワークを回転方向に移動させることができるように構成されるようにした場合、ワークとメディアを効率よく分離することが可能になる。
【0039】
また、前記外周壁の、前記回転方向における前記第1の開口部と前記第2の開口部の間に、前記メディアを放出する第3の開口部が設けられていることが好ましい。
【0040】
外周壁の、回転方向における第1の開口部と第2の開口部の間に第3の開口部を設け、この第3の開口部からもメディアを放出するようにした場合、ワークとメディアを効率よく分離することが可能になる。
【0041】
また、前記回転板の回転方向の最も前方に位置する前記分離ガイドよりも、さらに前方に、前記ワークおよび前記メディアを前記半径方向内側に移動させる戻しガイドが設けられているとともに、前記第3の開口部付近に、前記ワークと前記メディアを分離して、前記第3の開口部から前記メディアを放出させる分離ガイドが設けられていることが好ましい。
【0042】
上述のように、戻しガイドを備えることにより、さらに確実にワークとメディアを分離することが可能になる。
【発明の効果】
【0043】
本発明の分離方法および分離装置によれば、回転板の上面の回転中心付近に、少なくとも1つの略平面を有する形状のワークと略球形のメディアの混合物が供給され、回転板が回転することにより、回転板の上面のワークが回転板の回転方向に移動するとともに、ワークとメディアが、分離ガイドによって半径方向に移動し、分離ガイドによりガイドされて分離ガイドの末端に移動することによってワークの列が形成され、形成されたワークの列に押し出される形でメディアが分離される。そして、回転板の上面側領域とその外側領域とを仕切る外周壁に設けられた第1の開口部からメディアが放出され、回転板に伴って回転することがない取り出し用ガイドによって、回転板の外周壁に設けられ、第1の開口部よりも、回転板の回転方向の前方に位置する第2の開口部へとワークが移動して取り出される。その結果、ワークとメディアとが効率よく分離される。
【0044】
すなわち、本発明の分離方法および分離装置においては、回転板を回転させることにより、ワークとメディアの混合物を回転方向に移動させ、分離ガイドにより整流されて半径方向に移動させた後、分離ガイドの末端に移動したワークとメディアを、分離ガイドの末端における両者(ワークとメディア)の形状の相違に基づく挙動の違いを利用して(遠心力を分離の主たる手段として用いることなく)分離し、分離されたワークとメディアのうち、メディアを外周壁に設けた第1の開口部から放出する一方、ワークを、第1の開口部よりも、回転板の回転方向の前方に位置する第2の開口部から外部に放出するようにしているので、ワークとメディアを確実に分離して回収することができる。
【0045】
上述のように、本発明の分離方法および分離装置は、ワークとメディアを分離するのに、遠心力を分離の主たる手段に用いていないことから、遠心力による転がりやすさの差が小さい(遠心力では分離しにくい)分離対象物を分離する場合に、特に有意義である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の実施形態にかかる分離装置を示す平面図である。
図2】本発明の実施形態(および実施例1)にかかる分離装置の回転板の構成を示す側面断面図である。
図3】本発明の実施形態(および実施例3)にかかる分離装置の回転板の構成を示す概略側面断面図である。
図4】本発明の実施形態にかかる分離装置の回転板の変形例を示す側面断面図である。
図5】本発明の実施例2にかかる分離装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[実施形態]
次に、本発明の実施形態を示して本発明をさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる分離装置A1の構成を示す平面図である。
【0048】
図1に示すように、分離装置A1は、混合された状態にある、互いに異なる形状のワーク1とメディア2を分離するための分離装置であり、より具体的には、外表面の少なくとも一部に略平面を有するワーク1と、略球形のメディア2を分離するための分離装置であり、図示しない駆動手段により回転駆動される回転板4と、回転板4の上面の回転中心付近にワーク1とメディア2の混合物3を供給するためのワーク投入口10を備えている。
【0049】
回転板4は、その上面に垂直な回転軸回りに回転させることができるように構成されている。
なお、回転板4は、図1図2における矢印Xで示す方向に向かって、上面が下り勾配となるように傾斜していてもよい。通常、水平面に対する傾斜角度θ1は10°以下であることが好ましい(図2参照)。
また、回転方向を正として、回転板4の傾斜方向(矢印Xの方向)が後述する第1の開口部21と第2の開口部22を結ぶ方向に対して0°から−60°になるように、回転軸を傾けて回転板4を回転させるようにすることが望ましい。
ただし、回転板4の好ましい傾斜方向(矢印Xの方向)および傾斜角度θ1は、ワーク1の形状や寸法によって変化する。
【0050】
また、図3に示すように、回転板4をその上面が円錐状(外周方向に行くほど低くなる)となるように構成することも可能である。その場合、円錐の底面に垂直で、円錐の頂点を通過する回転軸の回りを回転させるように構成することが望ましい。
【0051】
そして、その場合、頂点から円錐の外周までの円錐面の傾斜(外周を含む面に対する傾斜角度θ2と外周を含む面と水平面とのなす角度θ3との和θ4(図3参照))が 10°以内になるようにすることが好ましい。この場合、傾斜角度θ2はワーク1の形状や寸法によって変化する。
【0052】
また、分離装置A1は、回転板4の上面側に、回転板4の回転を妨げないように配設され、回転板4の回転方向(矢印Yで示す方向)における後方側の面12a,12b,12cで、ワーク1およびメディア2の移動を規制してワーク1とメディアを分離する分離ガイド11(すなわち、第1の分離ガイド11a、第2の分離ガイド11b、および第3の分離ガイド11c)を備えている。
【0053】
さらに、分離装置A1は、回転板4の上面側領域と、回転板4の上面側領域の外側領域とを仕切るように配設された外周壁20を備えている。そして、外周壁20には、分離されたメディア2が取り出される(放出される)第1の開口部21と、分離されたワーク1が取り出される(放出される)、第1の開口部21よりも回転板4の回転方向(矢印Yで示す方向)の前方に設けられた第2の開口部22が配設されている。
【0054】
なお、分離装置A1において、上記分離ガイド11(11a,11b,11c)および外周壁20は、回転板4に伴って回転することはなく、回転板4のみが回転するように構成されている。
【0055】
また、分離装置A1は、ワーク投入口10から投入されたワーク1が、勢いでそのまま外周方向に転がらないようにして、分離ガイド11(11a,11b,11c)に誘導するための案内ガイド16を備えている。
また、メディア2と分離された後のワーク1を第2の開口部22から取り出す(放出する)ための取り出し用ガイド17を備えている。
なお、上記案内ガイド16および取り出し用ガイド17も回転板4に伴って回転することがないように構成されている。
【0056】
また、各分離ガイド11(第1の分離ガイド11a、第2の分離ガイド11b、および第3の分離ガイド11c)は、ワーク1を回転板4の中心部から外周方向(半径方向外側)に徐々に押しやるように、法線に対して角度αを設けて配置されている。また、この実施形態では、第1の分離ガイド11a、第2の分離ガイド11b、第3の分離ガイド11cの合計3つの分離ガイド11を備えている。必ずしも複数構成としなくてもよい。ただし、中心部から外周に至るまでの途中で、少なくとも1回は途切れた構成とする(すなわち、複数の分離ガイドを備えた構成とする)ことが、分離ガイドを適切な態様で配設する見地から好ましい。
【0057】
ただし、分離ガイド11は、ワーク1が触れない部分においてつながって一体化した構成とすることも可能である。
【0058】
また、分離ガイド11の、ワーク1と接する側(回転板4の回転方向(矢印Yで示す方向))における後方側の面12a,12b,12cは、平坦面(回転板の上面側からみて直線)に限られるものではなく、回転板4の回転方向(矢印Yで示す方向)における後方側に向かって凸状となるように湾曲していてもよい。
【0059】
なお、この実施形態にかかる分離装置A1においては、複数の分離ガイド(第1の分離ガイド11a、第2の分離ガイド11b、第3の分離ガイド11c)は、ワーク1がその間をすり抜けないよう、回転板の回転方向にオーバーラップして設けられている。
【0060】
また、回転板4の回転速度は、例えば、回転板4として、円形で直径300mmのものが用いられている場合において、10rpm以上50rpm以下の範囲とすることが好ましい。
【0061】
なお、ワーク1の形状や寸法などによって、回転板4の最適径(直径)が変わる。また、ワーク1の形状や寸法、回転板4の直径などによって、回転板4の回転速度の適正な範囲が変化する。
したがって、ワーク1の形状や寸法、回転板4の寸法などを考慮して、適切な回転速度を定めることが望ましい。
【0062】
また、本発明が適用されるワークの寸法や形状に特別の制約はなく、例えば、方形で、長さが0.1mm以上10mm以下、幅が0.1mm以上10mm以下、厚さが0.05mm以上5mm以下の種々のサイズのワークを分離する場合に、本発明を適用することが可能である。
【0063】
また、メディア2はワーク1の種類や寸法に応じて、適切な寸法が選ばれる。なお、通常は、例えば、直径が0.1mm以上5mm以下のメディア2が用いられることになると考えられるが、上記のワーク1と同様に特別の制約はない。
【0064】
上述のように、本発明の分離装置A1においては、回転板4を傾斜させなくても中型や大型のワーク、あるいは、小型でも厚みが薄く、転がり難いワークなどは十分に分離することができるが、ワークが小型である場合も、効率よく確実に、ワーク1とメディア2を分離できるようにするためには、以下のような構成とすることが望ましい。
【0065】
(1)回転板4を傾斜させることでメディア2の軌道をさらに外側(傾斜方向の上方から下方)にシフトさせる。
【0066】
(2)図4に示すように、回転板4を、その外周近傍領域の、傾斜角度θ1の傾斜の最下点を超えた位置において、傾斜角度θ4の上り勾配に転じるような形状を与え、回転板4の外周に最も近い位置に配設された分離ガイド(この実施形態では第3の分離ガイド11c)の末端(回転板4の外周に近い方の先端)が、回転板4の上り勾配を有する領域4Rに対応した位置にくるように構成する。
【0067】
(3)回転板4の外周に最も近い位置に配設された分離ガイド(この実施形態では第3の分離ガイド11c)の末端と、上述の外周壁20との法線方向の隙間を、最短軌道を通るワーク(正常な形状、寸方を有するワーク)1しか通れないような寸法にする。
【0068】
次に、この分離装置A1を用いてワーク1とメディア2を分離する際の動作について説明する。
【0069】
ワーク1とメディア2の混合物3が回転板4上に供給されると、ガイド16、第1の分離ガイド11aにより、その移動経路が規制され、略長方形のワーク1は、回転板4の上面に位置した状態で、回転板4の回転に伴ってその回転方向(矢印Yで示す方向)に移動する。一方、略球形のメディア2の多くは、一気に外側には広がらず(転がらず)に、ワーク1の塊に阻まれて、ワーク1とともに回転板4の上面を、その回転方向(矢印Yで示す方向)に移動していく。
【0070】
このように、ワーク1とメディア2が混ざった状態で最初の分離ガイド(第1の分離ガイド))11aに当接すると、ワーク1とメディア2は外側に押し広げられる。このとき、略球形のメディア2はワーク1よりも転がり易いので軌道は、遠心力を受けて徐々に外側に広がる(膨む)。なお、メディア2はこのようにいくらかは遠心力の影響を受けるが、本発明において、メディア2の分離は遠心力を主たる手段とするものではない。
【0071】
そして、ワーク1とメディア2が第1の分離ガイド11aの末端を越えるときに、ワーク1は、まず向きを変え、その後、回転板4の回転中心を中心とする円弧軌道で、次の分離ガイド(第2の分離ガイド)11bまで運ばれる。一方、ワーク1に挟まれるようにして拘束されていたメディア2は、第1の分離ガイド11aの末端で解放されて、ワーク1より少し外側に膨らんだ軌道で次の分離ガイド(第2の分離ガイド)11bまで運ばれる。なお、この時点で外周側に向かって転がりはじめるメディア2(2a)もある。なお、回転板4が傾斜を有している場合には、メディア2の転がりが促進される。
【0072】
次の分離ガイド(第2の分離ガイド)11bに先に到達したワーク1は、第2の分離ガイド11bに沿って間隔を詰めながら、外側に押し広げられて行く。そこに、ワーク1よりも外側の軌道を移動してきたメディア2(2b)が遅れて合流する。そのとき、メディア2の多くは、すでにワーク1が並んでいる第2の分離ガイド11bには接触することができず、図1に示すように、メディア2(2c)はワーク1の列の外側に並ぶことになる。
【0073】
この第2の分離ガイド11bの末端を越えるときには、同様にワーク1とメディア2の軌道に差が生じる。メディア2の中には自然に外周方向に軌道が逸れていくメディア2(2d)もある。これを繰り返すことにより、第2の分離ガイド11aに沿ったワーク1の列と、その外側に並行するメディア2(2c)の列が形成されるようになる。
【0074】
そして、最外周側の分離ガイド(第3の分離ガイド)11cの末端を越えるときには、ワーク1が回転板4の外周縁近傍の狭い領域4Rを通過し、メディア2はワーク1の列に押し出される形で、回転板4の上面側領域と、回転板4の上面側領域の外側領域とを仕切る外周壁20に配設された第1の開口部21から外部に放出される。
【0075】
また、ワーク1は、第3の分離ガイド11cにより、回転板4の外周縁近傍にまでガイドされた後、第3の分離ガイド11cの末端で第3の分離ガイド11cの規制から解放され、外周縁近傍の狭い領域4Rを回転板4の回転方向(矢印Yで示す方向)に移動し、ワーク1を取り出すための取り出し用ガイド17により、第2の開口部22から外部に取り出される。
【0076】
この分離装置A1は、分離の主たる手段として遠心力を用いていないことから、ワークとメディア(分離対象物)の寸法が小さく、遠心力による転がりやすさに大きな差の出にくい、小型のワークとメディア(分離対象物)を分離する場合にも、効率よく両者を分離することが可能になる。
【0077】
次に、本発明の分離装置および分離方法の実施例を示して、さらに具体的に説明する。
【0078】
[実施例1]
この実施例1では、上記実施形態で説明した分離装置A1に準じる構成を備えた分離装置を用いてワークとメディアの分離を行った。
【0079】
(1)実施例1では、分離装置A1として、図1に示すような構成を有し、かつ、以下の条件を備えた分離装置を用いた。
a)回転板の形状:平板状
b)回転板の寸法直径:300mm
c)回転板の回転速度:25rpm
d)回転板の傾斜角度θ1(図2参照):3°
なお、回転板3は、その上面に垂直な軸を回転軸として、所定の速度で軸方向回りに回転させることができるように構成されている。
【0080】
(2)ワーク
この実施例1では、下記の寸法を有する積層セラミックコンデンサをワークとした。
長さL:1.0mm
幅W:0.5mm
厚さT:0.5mm
【0081】
(3)メディア
この実施例1におけるメディアは、上述のワーク(積層セラミックコンデンサ)が備える外部電極へのめっき工程で導電メディアとして用いた、鉄製で、略球形の形状を有し、直径が0.5mm以上0.7mm以下のものである。
【0082】
(4)ワークとメディアの混合物
この実施形態1では、上述のワークとメディアを、体積比で、約1:1の割合で混合した混合物を分離の対象とした。
【0083】
上述のワーク1とメディア2の混合物3を、回転板4の回転中心付近のワーク投入口10から、回転板4に供給して、ワーク1とメディア2の分離を行った。
その結果、上述の分離装置A1を用いることにより、ワーク1とメディア2が効率よく、確実に分離されることが確認された。
【0084】
[実施例2]
図5は本発明の実施例2にかかる分離装置A2の構成を示す平面図である。
この実施例2にかかる分離装置A2は、実際の生産工程においては、欠損や複数個のメディアどうしの固着などで転がりにくくなったメディアが混在している場合にも、転がりにくくなったメディアを、ワークと効率よく分離するための機構を備えている。その他の構成は、上述の実施形態および実施例1の分離装置A1と同様である。以下、説明する。
【0085】
実施例2の分離装置A2は、図5に示すように、外周壁20の、回転板4の回転方向(Y方向)における第1の開口部21と第2の開口部22の間の位置に第3の開口部23が設けられている。この第3の開口部23は、欠損や複数個のメディアどうしの固着などにより転がりにくくなったメディア2(2e)をワーク1と分離して放出するための開口部である。なお、図5において図1と同じ符号を付した部分は同一または相当部分を示す。
【0086】
この実施例2の分離装置A2は、上述の転がりにくくなったメディア2(2e)を分離するために、第3の分離ガイド11cの末端を越えて、回転板4の回転に伴って周方向に移動してきたワーク1と、転がりにくくなったメディア2(2e)とを、半径方向における内側(回転中心に近づく方向)に戻す戻しガイド18と、戻しガイド18により戻されたワーク1と、転がりにくくなったメディア2(2e)とを、再度分離するための第4の分離ガイド11dを備えている。
【0087】
すなわち、転がりにくくなったメディア2(2e)は、ワーク1とともに第3の分離ガイド11cの末端を越えた後、回転板4の回転に伴って周方向に移動する場合があるが、戻しガイド18により半径方向における内側(回転中心に近づく方向)に戻されて、第4の分離ガイド11dによりガイドされ、分離されることにより、ワーク1と転がりにくくなったメディア2(2e)とが、第4の分離ガイド11dの末端で分離され、第3の開口部23から放出されることになる。
【0088】
その結果、転がりにくくなったメディア2(2e)が、ワーク1や転がりやすいメディア2と共存する場合にも、ワーク1を、転がりやすいメディア2および転がりにくいメディア2(2e)から分離することが可能になる。
[実施例3]
【0089】
図3は本発明の実施例3にかかる分離装置A3を構成する回転板4の上面(表面)の形状を示す正面図である。
【0090】
この実施例3では、分離装置A3を構成する回転板4として、図3に示すように、上面(表面)が円錐状、すなわち、外周方向に向かって徐々に低くなるような形状を有する回転板4を備えている。さらに、この実施例3の回転板4は、円錐の底面に垂直で、回転中心を通る回転軸を概ね30°から90°の方向に傾斜させた状態で保持されており、回転軸回りに所定の速度で回転させることができるように構成されている。なお、頂点から円錐の外周までの円錐面の傾斜(水平面(水平方向)に対する傾斜角度θ2(図3参照))は5°以内で、実施例3では3°とされている。
その他の構成は、上述の実施例1あるいは実施例2の分離装置A1,A2に準じる。
【0091】
この実施例3の分離装置A3を用い、上述のワークとメディアの混合物を、回転板の回転中心付近のワーク投入口から、回転板に供給して、ワークとメディアの分離を行った。その結果、ワークとメディアが確実に分離されることが確認された。
【0092】
上記実施形態および実施例1〜3では、ワークが積層セラミックコンデンサであり、メディアがめっきの際に用いられる導電メディアである場合を例にとって説明したが、ワークは積層セラミックコンデンサに限らず、他の電子部品であってもよい。ワークは、さらに電子部品ではなくてもよく、他の部品や製品であってもよい。また、メディアも、メディアがめっきの際に用いられる導電メディアに限られず、例えば研磨の際に用いられる研磨メディアであってもよい。
【0093】
本発明は、さらにその他の点においても上記実施形態および実施例1〜3に限定されるものではなく、回転板の寸法や、形状、回転速度、分離ガイドの形状や配設位置、配設数、ワークやメディアを取り出すための、外周壁に設ける開口部の数、ワークの寸法や形状などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0094】
A1,A2,A3 分離装置
1 ワーク
2 メディア
2a 外周側に向かって転がりはじめるメディア
2b ワークよりも外側の軌道を移動してきたメディア
2c 第2の分離ガイドでガイドされたワークの外側に並ぶメディア
2d 外周方向に軌道が逸れていくメディア
2e 転がりにくくなったメディア
3 ワークとメディアの混合物
4 回転板
4R 回転板の外周縁近傍
10 ワーク投入口
X 回転板の傾斜の方向
θ1 回転板の傾斜角度
θ2 回転板の円錐面の水平面に対する傾斜角度
θ3 円錐の頂きの角度
θ4 傾斜を有する回転板の外周近傍領域の逆側への傾斜角度
Y 回転板の回転方向
11 分離ガイド
11a 第1の分離ガイド
11b 第2の分離ガイド
11c 第3の分離ガイド
11d 第4の分離ガイド
12a 第1の分離ガイドの回転方向における後方側の面
12b 第2の分離ガイドの回転方向における後方側の面
12c 第3の分離ガイドの回転方向における後方側の面
16 案内ガイド
17 取り出し用ガイド
18 戻しガイド
20 外周壁
21 第1の開口部
22 第2の開口部
23 第3の開口部
図1
図2
図3
図4
図5