(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2端子は、前記挿通孔を間に挟むように配置され、前記第1端子を弾性的に把持する少なくとも2つの弾性部(54)を有することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の駆動装置について、
図1〜
図14に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
なお、本明細書を通じて説明する、「平行」および「垂直」とは、厳密な平行および垂直に限らず、当該技術分野の技術常識に照らして通常、平行および垂直と判断される範囲を含む。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による駆動装置1について、
図1〜
図5を参照して説明する。本実施形態の駆動装置1は、例えば、運転者によるステアリング操作を補助するための電動パワーステアリング装置に適用され、操舵アシストトルクを出力する。
【0012】
(駆動装置1の全体構成)
まず、
図1および
図2を参照して、駆動装置1の全体的な構成について説明する。駆動装置1は、回転電機としてのモータ10と、モータ10の駆動制御に係るコントローラとしてのECU20とが一体に構成されている。
【0013】
モータ10は、三相ブラシレスモータであり、モータケース11、ステータ12、2組の巻線組13、ロータ15、シャフト16、および、フレーム17等を備える。なお、適宜、モータ10の軸方向を単に「軸方向」といい、モータ10の径方向を単に「径方向」という。
【0014】
モータケース11は、例えばアルミ等の金属により有底円筒形に形成される。モータケース11の開口側には、フレーム17が設けられ、ねじ18により固定されている。フレーム17は、モータケース11側とは反対側に突出している基板支持部173を有している。基板支持部173は、ECU20を構成する基板21を支持している。
【0015】
ステータ12は、モータケース11の内側に固定されている。
2組の巻線組13は、それぞれ、U相コイル、V相コイル、および、W相コイルから構成されており、ステータ12に巻回されている。また、巻線組13には相毎に「第1端子」としてのモータ線14が電気的に接続されている。
【0016】
モータ線14は、モータ10からフレーム17のモータ線挿通孔171を介して取り出されている。また、モータ線14は、巻線組毎に、一方向に間隔を空けて取り出されている。モータ線14の端部は、角柱状であり、軸方向に伸びている。
【0017】
ロータ15は、ステータ12と同軸となるようにステータ12の径方向内側に設けられている。シャフト16は、例えば金属により棒状に形成され、ロータ15の軸中心に固定される。シャフト16は、モータケース11およびフレーム17に設けられたベアリング166、167に軸受され、回転可能に支持されている。これにより、シャフト16はロータ15とともに回転可能である。
【0018】
ECU20は、MOSFET等のスイッチング素子やコンデンサ等の各種電子部品90、これらの各種電子部品90が実装された基板21、及び、カバー70を有している。本実施形態では、ECU20を構成する電子部品90は、1枚の基板21に実装されている。これにより、複数の基板によりECU20を構成する場合と比較し、部品点数を低減可能であるとともに、小型化が可能である。
【0019】
基板21は、軸方向に対して垂直に配置されており、フレーム17の基板支持部173に対してねじ28により固定されている。以下、基板21のモータ10側の面をモータ側面22、その反対側の面をカバー側面23と称する。
【0020】
基板21には、モータ線14が接続される箇所に、モータ線挿通孔(図示しない)が形成されている。また、基板21のカバー側面23には、「第2端子」としてのモータ線接続端子30がモータ線挿通孔を覆うように設けられている。モータ線挿通孔及びモータ線接続端子30は、モータ線14に対応して、一方向に間隔を空けて設けられている。
モータ線14は、モータ線挿通孔を挿通し、モータ線接続端子30にプレスフィット接続されている。すなわち、モータ線14は、モータ線接続端子30を介して基板21に接続されている。これにより、ECU20はモータ10に電気的に接続される。
【0021】
同様に、基板21には、後述の給電コネクタ端子711が接続される箇所に、給電コネクタ端子挿通孔29が形成されている。また、基板21のモータ側面22には、「第2端子」としての給電用接続端子(図示しない)が給電コネクタ端子挿通孔29を覆うように設けられている。
給電コネクタ端子711は、給電コネクタ端子挿通孔29を挿通し、給電用接続端子にプレスフィット接続されている。すなわち、給電コネクタ端子711は、給電用接続端子を介して基板21に接続されている。これにより、ECU20は、「電源」としての外部バッテリと電気的に接続される。
【0022】
カバー70は、基板21のフレーム17側とは反対側に設けられている。カバー70は、給電用コネクタ71および2つの信号用コネクタ72を有し、基板21の上方を覆うように形成されている。また、カバー70は、フレーム17に対して接着剤等により固定されている。
【0023】
給電用コネクタ71は、外部バッテリと接続された図示しないハーネスを軸方向に接続可能に形成されており
、給電コネクタ端子711を有する。給電コネクタ端子711は、上述したように、基板21に設けられた給電接続端子にプレスフィット接続されている。
【0024】
2つの信号用コネクタ72は、車載センサ等と接続された図示しないハーネスを軸方向に接続可能に形成されており、信号コネクタ端子721を有する。信号コネクタ端子721は、基板21に形成される図示しない端子挿通孔に挿入され、半田等により基板21と電気的に接続される。ECU20には、2つの信号用コネクタ72を介して外部からの信号が入力される。
【0025】
上述した駆動装置1を製造する場合、例えば、モータ10と基板21とを組み付け、その後カバー70を組み付けている。モータ10と基板21とを組み付けるとき、モータ線14は、モータ線接続端子30を介して基板21にプレスフィット接続される。また、カバー70を組み付けるとき、給電コネクタ端子711は、給電コネクタ端子を介して基板21にプレスフィット接続される。
【0026】
(端子接続構造)
次に、駆動装置1における端子接続構造について、
図3〜
図5を参照して説明する。
以下では、2組のうちの一方の組の巻線組13から引き出されたモータ線14と、対応するモータ線接続端子30との端子接続構造を用いて説明する。
以下の説明では、モータ線接続端子30を単に「接続端子30」と記載する。また、
図3および
図4は、模式的な図であり、基板21のうち、接続端子30が設けられた部分のみを示すため、基板21の形状を四角形に簡略化している。
【0027】
図3および
図4に示すように、接続端子30は、基板21のカバー側面23に実装された金属片であり、モータ線14毎に対応して配置されている。上述したように、巻線組13から延びる3本のモータ線14は一方向に間隔を空けて取り出されているため、3個の接続端子30は、同様に、一方向に間隔を空けて配置されている。ここで、3個の接続端子30の配置された一方向をピッチ方向Pとする。
【0028】
接続端子30は、一対の固定部31、凸部32、モータ線挿通孔33、および、一対の弾性部34を有している。
一対の固定部31は、基板21に露出した配線部25に半田付け等によって固定されている。ここで、一対の固定部31を結ぶ方向を接続方向Cとすると、接続方向Cは、ピッチ方向Pに対して垂直な方向である。
【0029】
凸部32は、基板21の一方側に突出するように折れ曲がった板状の部位であり、一対の固定部31の間に配置されている。凸部32の上側部分321は、基板21との間に空間を有している。また、凸部32の上側部分321には、モータ線挿通孔33が形成されている。軸方向から見たとき、モータ線挿通孔33の配置と基板21のモータ線挿通孔24の配置とは一致している。
【0030】
一対の弾性部34は、モータ線挿通孔33を間に挟むように配置され、凸部32の上側部分321から基板21側とは反対側に向かって伸びている。一対の弾性部34は、モータ線14を弾性的に把持することにより、モータ線14に弾性接触している。
【0031】
また、凸部32の上側部分321の一部は、一対の支持部35を構成している。一対の支持部35は、基板21と平行な方向において一対の弾性部34とは異なる側からモータ線挿通孔33を挟むように配置されており、モータ線14を両側から支持している。
【0032】
上述のように構成された接続端子30は、全体として、モータ線14の挿通方向に沿って基板21から突出しており、一対の弾性部34は挿通方向に延びている。
【0033】
接続端子30は、弾性を有する金属板材に、切り込み加工および折り曲げ加工を施すことによって形成可能である。例えば、金属板材に対してH型に切り込みを入れ、この切り込み部分を基板21側とは反対側に折り曲げることによって、一対の弾性部34とその間のモータ線挿通孔33とが形成される。また、金属板材の両端をクランク状に折り曲げることによって、一対の固定部31とその間の凸部32とが形成される。
【0034】
接続端子30の母材は、電気抵抗率が小さく、かつ、弾性を有する材料であることが好ましく、例えば、銅合金またはりん青銅である。なお、本明細書でいう母材とは重量比で半分以上を占めている主な材料を意味する。
【0035】
また、接続端子30の表面は、電気抵抗率が小さく、かつ、母材の防錆および防食が可能な材料によってメッキ処理が施されていることが好ましい。メッキ処理材としては、例えば、すず、銀、または金である。なお、メッキ処理は、接続端子30の全面に行われていなくてもよく、例えばモータ線14と基板21とに接触する基板21側の片面だけでも良い。
【0036】
モータ線14と接続端子30との接続方法について、
図5(a)(b)を参照して説明する。
まず、
図5(a)に示すように、モータ線14が接続端子30に接続される前、一対の弾性部34間の隙間Aは、当該隙間方向におけるモータ線14の径Bよりも小さい。また、一対の弾性部34は、それぞれ、モータ線14の挿通方向に対して傾斜している傾斜面341を有している。
【0037】
モータ線14が接続端子30に接続されるとき、モータ線14は、基板21に垂直な方向に進みながら、基板21のモータ線挿通孔24を挿通し、さらに接続端子30のモータ線挿通孔33を挿通する。
モータ線14は、モータ線挿通孔33を挿通し始めると、一対の弾性部34の傾斜面341に対して摺動し始める。このとき、一対の弾性部34にはモータ線14によって応力が加えられ、一対の弾性部34は互いに離れる側に撓む。
【0038】
図5(b)に示すように、モータ線14は、一対の弾性部34の間に挿入されることによって、接続端子30と接続する。このとき、一対の弾性部34は、自身の弾性復帰力により、モータ線14に対して両側から押し圧を加える。すなわち、一対の弾性部34は、モータ線14を両側から把持する。これにより、接続端子30とモータ線14とは強固に接続される。
【0039】
(効果)
上述したように、本実施形態の駆動装置1は、モータ10と、電子部品90が実装された基板21を有し、モータ10を駆動制御するECU20と、モータ10に電気的に接続されたモータ線14と、基板21に設けられ、モータ線14が挿通しているモータ線挿通孔33を有し、モータ線14の挿通方向に沿って基板21から突出している接続端子30とを備えている。接続端子30は、モータ線14に対して弾性接触している。
【0040】
具体的には、接続端子30は、モータ線挿通孔33を間に挟むように配置され、モータ線14を弾性的に把持する一対の弾性部34を有する。一対の弾性部34は、モータ線14を両側から把持している。
【0041】
上記構成によれば、モータ線14がモータ線挿通孔33を挿通すると共に、接続端子30の一対の弾性部34がモータ線14に弾性接触しているため、モータ線14が所定位置から挿通方向に多少ずれたとしても、挿通方向に延びる一対の弾性部34がモータ線14に接触可能である。よって、接続端子30に対するモータ線14の挿入量は、基板21の厚みに制限されず、ある程度の誤差を許容することができる。すなわち、モータ線14を接続端子30に接続するための挿通方向のロバスト性が高い。
したがって、モータ10と基板21とを組み付けるとき、高い組み付け精度を必要とせず、モータ線14は接続端子30を介して基板21に接続される。
【0042】
(その他の効果)
本実施形態では、複数の接続端子30が配置されるピッチ方向Pと、接続端子30の一対の固定部31を結ぶ方向である接続方向Cとは、互いに異なる方向である。接続端子30は、接続方向Cにある程度の長さを要するため、接続方向Cとピッチ方向Pとが異なることにより、複数の接続端子30同士のピッチを小さくすることができる。また、ピッチ方向Pと接続方向Cとが垂直であることにより、電流経路のループ面積を小さくすることに有利であるため、ノイズを低減させることができる。
【0043】
本実施形態では、接続端子30の母材は、電気抵抗率が小さく、かつ、弾性を有する銅合金またはりん青銅である。これにより、接続端子30は、モータ線14と基板21との間を導通しつつ、一対の弾性部34の弾性力によってモータ線14を良好に把持することができる。
【0044】
本実施形態では、接続端子30の表面には、電気抵抗率が小さく、かつ、母材の防錆および防食が可能である、すず、銀、または金によるメッキ処理が施されている。よって、接続端子30は、モータ線14と基板21との間を良好に導通しつつ、電気接続の信頼性を確保することができる。
【0045】
本実施形態では、接続端子30の各部位によって、以下の効果を有する。
接続端子30は、モータ線挿通孔33が形成され、基板21との間に空間を有するように基板21から突出している凸部32を有している。これにより、接続端子30を基板21に半田付けするとき、良好な形状の半田フィレットを形成することが容易になる。本実施形態では、モータ線14が基板21側から(図中下側から)接続端子30のモータ線挿通孔33を挿通しているが、凸部32のこのような構成によれば、後述の第3実施形態に記載するように、モータ線14が基板21とは反対側から(図中上側から)接続端子30のモータ線挿通孔33を挿通することも可能である。
【0046】
凸部32は、一対の弾性部34とは異なる側からモータ線14を挟むように配置されている支持部35を含んでいる。このため、モータ線14をより確実に保持することができる。
【0047】
一対の弾性部34は、モータ線14の挿通方向に対して傾斜した傾斜面341を有する。このため、モータ線14の接続時、モータ線14は、傾斜面341に対して摺動しながら一対の弾性部34の間をスムーズに移動することができる。また、傾斜面341は、挿通方向において、ある程度の範囲でモータ線14に接触可能であるため、モータ線14と接続端子30とを確実に接続することができる。
【0048】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による駆動装置の端子接続構造を
図6〜
図8に示す。なお、
図6は、模式的な図であり、基板21のうち、接続端子40が設けられた部分のみを示すため、基板21の形状を四角形に簡略化している。
第2実施形態では、接続端子40を基板21に固定する方法が第1実施形態と異なっている。以下、この点について中心に説明する。
【0049】
図6〜8に示すように、接続端子40は、一対の固定部41、凸部42、モータ線挿通孔43、および、一対に弾性部44を有している。
本実施形態では、固定部41は、弾性を有する2つの圧入端411から構成されている。圧入端411は、凸部42から基板21側に突出し、基板21に平行な方向に貫通する穴412を有する。
その他、凸部42、モータ線挿通孔43、および、一対に弾性部44の構成については、第1実施形態と同様である。
【0050】
基板21には、第1実施形態の配線部25とは異なり、金属メッキ262が施された貫通孔26が形成されている。接続端子40が基板21に固定される前、圧入端411の径は、貫通孔26の径よりも大きい。圧入端411が貫通孔26に圧入されることによって、接続端子40は基板21に接続される。圧入端411の圧入時、穴412を挟む両側部分413は、穴412側に弾性変形する。
【0051】
本実施形態では、モータ線14と接続端子40との接続だけでなく、接続端子40と基板21との接続についてもプレスフィット接続できるため、モータ線14を基板21に接続する構成に関して、半田付け作業を必要としない。
【0052】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による駆動装置の端子接続構造を
図9および
図10に示す。なお、
図9は、模式的な図であり、基板21のうち、接続端子50が設けられた部分のみを示すため、基板21の形状を四角形に簡略化している。
第3実施形態では、基板21において接続端子50が設けられる面が、第1実施形態とは反対側である。以下、この点について中心に説明する。
【0053】
図9および
図10に示すように、接続端子50は、基板21のモータ側面22に設けられている。接続端子50は、一対の固定部51、凸部52、モータ線挿通孔53、および、一対の弾性部54を有している。
本実施形態では、一対の弾性部54は、凸部52の上側部分521から基板21側に向かって伸びている。凸部52は、基板21との間に空間を有しているため、一対の弾性部54は、接続端子50の突出方向とは反対方向に向かって延びることが可能になっている。一対の弾性部54は、金属板材のH型に切り込まれた部位を、基板21側に折り曲げることによって形成可能である。
その他、一対の固定部51、凸部52、および、モータ線挿通孔53の構成については、第1実施形態と同様である。
【0054】
基板21には、第1実施形態とは異なり、モータ線挿通孔が形成されていない。モータ線14は、基板21とは反対側から接続端子50のモータ線挿通孔53を挿通している。
また、モータ線挿通孔53を挿通したモータ線14の一端面141は、基板21との間に隙間を有するように、基板21に対面している。言い換えると、突出方向における接続端子50の高さHは、モータ線14の挿入量Iよりも大きい(
図10参照)。
【0055】
本実施形態によれば、基板21にモータ線挿通孔を設ける加工を行わずとも良い。
また、モータ線14の挿通方向は、接続端子50の突出方向とは反対向きである。言い換えると、接続端子50は、モータ線14の反挿通方向に沿って突出している。このため、モータ線14の接続時、モータ線14を挿通させる力は、一対の固定部51を基板21に押し付ける方向に加わる。よって、モータ線14の接続時に加わる力によって接続端子50が基板21から外れる恐れがなく、接続端子50の強度を保障することができる。
なお、モータ線14と基板21とに接触する接続端子50の面は互いに異なるため、接続端子50のメッキ処理は両面に施されていることが好ましい。
【0056】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による駆動装置の端子接続構造を
図11および
図12に示す。なお、
図11は、模式的な図であり、基板21のうち、接続端子60が設けられた部分のみを示すため、基板21の形状を四角形に簡略化している。
第4実施形態では、「第1端子」としてのモータ線19、および、「第2端子」としての接続端子60が、第1実施形態と異なる構成を有する。以下、この点について中心に説明する。
【0057】
図11および
図12に示すように、接続端子60は、一対の固定部61、テーパ部62および筒部64を有している。
一対の固定部61は、基板21に露出した配線部25に半田付け等によって固定されている。
テーパ部62は、一対の固定部61の間に配置された逆漏斗型の部分であり、基板21から離れるに従って、基板21に平行な方向の径が小さくなっている。
筒部64は、テーパ部62の径の小さい側に配置されている中空の筒状の部分である。筒部64の軸は、モータ線19の挿通方向と平行である。また、筒部64の内側はモータ線挿通孔63に相当する。
【0058】
上述のように構成された接続端子60は、全体として、モータ線19の挿通方向と平行な方向に沿って基板21から突出しており、筒部64は挿通方向に延びている。
なお、接続端子60の母材およびメッキ処理については、第1実施形態と同様である。
【0059】
モータ線19は、その一端部に圧入部193を有している以外の構成について、第1実施形態と同様である。圧入部193は、例えば、モータ線19の径方向に穴194を有する楕円形状の部分によって構成されており、筒部64の内側に弾性接触している。
【0060】
モータ線19と接続端子60との接続方法について説明する。
まず、モータ線19が接続端子60に接続される前、基板21に平行な方向における圧入部193の径は、筒部64の内径よりも大きい。
モータ線19が接続端子60に接続されるとき、モータ線19は、基板21に垂直な方向に進みながら、基板21のモータ線挿通孔24を挿通し、さらに接続端子60のモータ線挿通孔63を挿通する。このとき、モータ線19の圧入部193は、テーパ部62に案内されて筒部64の内側に圧入される。圧入部193の圧入時、穴194を挟む両側部分195は、穴194側に弾性変形する。
【0061】
モータ線19は、モータ線挿通孔63に挿入されることによって、接続端子60と接続する。このとき、圧入部193は、自身の弾性復帰力により、筒部64に対して押し圧を加える。これにより、接続端子60とモータ線19とは強固に接続される。
【0062】
圧入部193は、挿通方向において、ある程度の範囲で筒部64に接触している。ここで、挿通方向において、筒部64の高さhは、圧入部193の接触範囲Rよりも大きいように構成されている(
図12参照)。このため、挿通方向において圧入部193が筒部64の中央に位置せずとも、圧入部193は筒部64に弾性接触可能である。すなわち、モータ線19を接続端子60に接続するための挿通方向のロバスト性が高い。
【0063】
上述したように、第4実施形態によれば、モータ線19は、モータ線挿通孔63を挿通しながら接続端子60の筒部64に弾性接触している。このため、モータ線14は、所定位置から挿通方向に多少ずれたとしても、挿通方向に延びる筒部64のいずれかの箇所に接触することができる。よって、接続端子60に対するモータ線19の挿入量は、基板21の厚みに制限されず、ある程度の誤差を許容することができる。すなわち、モータ線19を接続端子60に接続するための挿通方向のロバスト性が高い。
したがって、第4実施形態によれば、上記実施形態と同様、モータ10と基板21とを組み付けるとき、高い組み付け精度を必要とせず、モータ線19は接続端子60を介して基板21に接続される。
【0064】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による駆動装置2を
図13に示す。
図13は、模式的な断面図であって、コネクタ等の一部の部材の記載を省略している。
【0065】
第5実施形態の駆動装置2は、ECU201が上記実施形態と異なる。
ECU201は、モータ10側から順に配置された基板21、中間部材85、および、ヒートシンク81を有している。
【0066】
中間部材85は、板状部851、および、周壁部852を有する。板状部851は、略円板状に形成されている。周壁部852は、板状部851の外縁に沿って、基板21側およびヒートシンク81側に延びて形成される。基板21と中間部材85とは、例えば配線パターン等により、電気的に接続される。基板21および板状部851の略中央には、シャフト16が挿通される孔部が形成される。ヒートシンク81の略中央には、シャフト16を回転可能に支持するベアリング167が設けられている。
【0067】
第5実施形態では、基板21だけでなく、板状部851、及び、ヒートシンク81にも電子部品90が配置されている。ヒートシンクに配置された電子部品90は、図示しない端子等により、中間部材85と接続されている。
【0068】
また、第5実施形態では、基板21のカバー側面23に接続端子30が設けられており、モータ10から取り出されたモータ線14が接続端子30にプレスフィット接続されている。
このように構成においても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0069】
なお、第5実施形態において
、給電コネクタ端子は、中間部材85の板状部851に設けられ
た給電用接続端子に接続されてもよい(図示しない)。この場合、板状部851を「基板」とみなすことができる。
【0070】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による駆動装置3を
図14に示す。
図14は、模式的な断面図であって、コネクタ等の一部の部材の記載を省略している。
【0071】
第6実施形態の駆動装置3は、接続端子50の配置が第5実施形態とは異なる。
第6実施形態において、接続端子50は、板状部851のモータ10側の面に設けられている。モータ線14は、基板21のモータ線挿通孔24を挿通して、接続端子50にプレスフィット接続されている。すなわち、第6実施形態では、板状部851を「基板」とみなすことができる。
このように構成においても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0072】
[他の実施形態]
(ア)モータ線接続端子
第1〜第3実施形態において、接続端子30、40、50は、一対の弾性部34、44、54を有しているが、3つ以上の弾性部を有していてもよい。例えば、モータ線14の端部が正角柱状であれば、モータ線14の各側面に弾性的に接するように4つの弾性部を配置してもよい。その他、モータ線14の端部の形状に合わせて弾性部の数を変更可能である。
上記実施形態において、接続端子30、40、50、60は、一対の固定部31、41、51、61を有しているが、3つ以上の固定部を有していてもよい。
上記実施形態において、一対の固定部31、41、51、61を結ぶ接続方向Cとは、接続端子30、40、50、60の配置されるピッチ方向Pに対して垂直な方向であることに限られず、基板21の回路に合わせて適宜変更可能である。
【0073】
(イ)給電コネクタ端子及び給電用接続端子
上記実施形態では、モータ線14、19とモータ線接続端子30、40、50、60との接続構造について主に説明しているが、給電コネクタ端子711と給電用接続端子との接続構造についても、同様の説明が適用される。すなわち、給電コネクタ端子711は、モータ線14、19と同様の構成を有し、給電用コネクタ端子は、モータ線接続端子30、40、50、60と同様の構成を有することができる。
したがって、基板21とカバー70とを組み付けるとき、高い組み付け精度を必要とせず、給電コネクタ端子711は給電用接続端子を介して基板21に接続される。
【0074】
(ウ)基板
第3実施形態において、基板21にはモータ線挿通孔が形成されていてもよい。すなわち、モータ線14は、基板21とは反対側から接続端子50のモータ線挿通孔53を挿通し、さらに基板21に形成されたモータ線挿通孔を挿通していてもよい。
【0075】
(エ)モータ
上記実施形態では、モータ10は三相ブラシレスモータである。他の実施形態では、モータ10は、三相ブラシレスモータに限らず、DCブラシ付きモータ等、どのようなモータであってもよい。
【0076】
(オ)ECU
第1〜第4実施形態では、ECU20は、基板21と基板21に実装された電子部品によって構成されているが、これに限られず、例えば複数の基板と、当該複数の基板に実装された電子部品によって構成されていてもよい。
第5及実施形態のECU201では、基板21に接続端子30が設けられているが、他の形態の接続端子40、50、60が設けられていてもよい。同様に、第6及実施形態のECU201では、板状部851に接続端子50が設けられているが、他の形態の接続端子30、40、60が設けられていてもよい。
【0077】
(カ)駆動装置
上記実施形態では、ギアと接続される駆動装置1〜3の出力端は、モータ10に対してECU20、201と反対側に設けられる。換言すると、上記実施形態の駆動装置1〜3では、出力端、モータ10、ECU20、201が、この順で配列される。他の実施形態では、出力端は、ECUに対してモータと反対側に設けてもよい。換言すると、他の実施形態の駆動装置では、モータ、ECU、出力端が、この順で配列されてもよい。
【0078】
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。