特許第6249039号(P6249039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249039
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20171211BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20171211BHJP
   B66B 13/14 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   B66B3/00 U
   B66B5/00 G
   B66B5/00 A
   B66B13/14 H
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-75782(P2016-75782)
(22)【出願日】2016年4月5日
(65)【公開番号】特開2017-186124(P2017-186124A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2017年9月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】北口 裕也
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−201073(JP,A)
【文献】 特開平08−208157(JP,A)
【文献】 特開2015−202916(JP,A)
【文献】 特開2005−272101(JP,A)
【文献】 特開平04−173677(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/084396(WO,A1)
【文献】 特表2012−532076(JP,A)
【文献】 特開2008−063084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00─ 3/02
B66B 5/00─ 5/28
B66B 13/00─13/30
B66B 1/00─ 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかごの動作を制御する制御装置と、
前記制御装置に接続された通信装置と、
前記かごに設けられ、前記制御装置に対する呼びの信号をアクセスポイントを介して前記通信装置に無線送信する操作端末と、
を備え、
前記操作端末は、表示器を備え、前記アクセスポイントを介して前記通信装置から受信した信号に基づいて前記表示器の表示を制御し、
前記操作端末は、前記通信装置を介さずに前記アクセスポイントを介して外部と通信が可能であるエレベータシステム。
【請求項2】
前記操作端末は、利用者が前記かごから取り外し可能である請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記通信装置は、前記かごに人が閉じ込められたことが検出されると、前記アクセスポイントを介して閉じ込め信号を前記操作端末に送信し、
前記操作端末は、前記通信装置から閉じ込め信号を受信すると、前記アクセスポイントを介して外部に連絡するための救出プログラムを起動させる
請求項1又は請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記操作端末は、前記通信装置から閉じ込め信号を受信すると、前記通信装置を介さずに前記アクセスポイントを介して外部に連絡するための前記救出プログラムを起動させる請求項3に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記操作端末は、前記救出プログラムを起動させることにより、予め登録されたメールアドレスに対して閉じ込めが発生したことを知らせるためのメールを送信する請求項3又は請求項4に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記操作端末は、閉じ込めが発生したことを知らせるためのメールを送信した後、当該メールの送信先となる機器の位置に関する情報又は当該機器の所有者の到着予想時刻に関する情報を前記表示器に表示させる請求項5に記載のエレベータシステム。
【請求項7】
前記操作端末は、前記かごが備えられた建物に入るためのドアの電気錠を解錠させるための信号を、前記アクセスポイントを介して前記電気錠を制御する装置に送信する請求項3から請求項6の何れか一項に記載のエレベータシステム。
【請求項8】
前記かごと前記制御装置との間に、通信用のケーブルが接続されていない請求項1から請求項7の何れか一項に記載のエレベータシステム。
【請求項9】
前記操作端末が前記通信装置に呼びの信号を送信するために必要な呼び登録プログラムが記憶された記憶装置を更に備え、
前記操作端末は、前記アクセスポイントを介して前記記憶装置から前記呼び登録プログラムをダウンロード可能である
請求項1から請求項8の何れか一項に記載のエレベータシステム。
【請求項10】
前記通信装置は、前記かごに人が閉じ込められたことが検出されると、管理センタに通報し、
前記操作端末は、前記通信装置を介さずに前記アクセスポイントを介して前記管理センタと通信が可能である請求項1から請求項9の何れか一項に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、ホームエレベータが記載されている。一般に、エレベータでは、かごに通信用のケーブルが接続される。例えばかごの操作端末から呼びを登録する場合は、呼びの信号がこの通信用のケーブルを介して制御装置に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−173677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエレベータでは、かごに通信用のケーブルを接続し、かごの操作端末からの信号をこの通信用のケーブルを介して送信していた。しかし、通信用のケーブルを操作端末に接続するための構成及び手間のために、エレベータの価格が高価になるといった問題があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされた。この発明の目的は、通信用のケーブルをかごの操作端末に接続する必要がないエレベータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータシステムは、エレベータのかごの動作を制御する制御装置と、制御装置に接続された通信装置と、かごに設けられ、制御装置に対する呼びの信号をアクセスポイントを介して通信装置に無線送信する操作端末と、を備える。操作端末は、表示器を備え、アクセスポイントを介して通信装置から受信した信号に基づいて表示器の表示を制御する。操作端末は、通信装置を介さずにアクセスポイントを介して外部と通信が可能である。

【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベータシステムであれば、通信用のケーブルをかごの操作端末に接続する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの構成例を示す図である。
図2】この発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
図3】操作端末のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照し、本発明を説明する。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの構成例を示す図である。図1は、エレベータシステムが個人の住宅1に備えられている例を示す。本エレベータシステムが備えられる建物は、個人の住宅1に限定されない。例えば、本エレベータシステムを商業用の比較的大きな建物に備えても良い。エレベータシステムは、例えばかご2、制御装置3、通信装置4及び操作端末5を備える。
【0011】
かご2は、昇降路を上下に移動する。制御装置3は、エレベータの運転を制御する。例えば、制御装置3は、かご2の動作を制御する。即ち、かご2の上下の移動は制御装置3によって制御される。通信装置4は、制御装置3に接続される。
【0012】
操作端末5は、かご2に乗った人が操作するための端末である。操作端末5は、かご2に設けられる。操作端末5は、例えば表示器6及び入力装置7を備える。図1は、操作端末5がタッチパネル式の入力装置7を備える例を示す。入力装置7は、複数の釦等を備えても良い。
【0013】
住宅1には、無線通信を行うためのアクセスポイント8が備えられる。アクセスポイント8は、エレベータシステム専用である必要はない。例えば、住宅1に備えられた機器は、アクセスポイント8を介して外部のネットワーク9に接続される。ネットワーク9は、例えばインターネット回線である。
【0014】
操作端末5と通信装置4との間の信号の送受信は、アクセスポイント8を介して行われる。例えば、かご2に乗った人は、入力装置7から行先呼びを入力する。操作端末5は、入力装置7から入力された呼びの信号を、アクセスポイント8を介して通信装置4に送信する。通信装置4は、受信した呼びの信号を制御装置3に送信する。制御装置3は、通信装置4から受信した呼びの信号に基づいて、駆動装置(図示せず)を制御してかご2を移動させる。
【0015】
かご2は昇降路を移動するため、かご2とアクセスポイント8との通信は無線で行われる。通信装置4とアクセスポイント8との相対的な位置は変わらないため、通信装置4とアクセスポイント8との通信は有線で行っても良い。
【0016】
通信装置4は、制御装置3から制御信号を受信する。通信装置4は、制御装置3から受信した制御信号を、アクセスポイント8を介してかご2及び操作端末5に送信する。かご2は、通信装置4から受信した制御信号に基づいて必要な動作を行う。例えば、かご2は、通信装置4から受信した制御信号に基づいて照明を制御する。操作端末5は、通信装置4から受信した制御信号に基づいて必要な動作を行う。例えば、操作端末5は、通信装置4から受信した制御信号に基づいて、表示器6の表示を制御する。
【0017】
通信装置4は、例えばエレベータを監視する機能を有する。例えば、通信装置4は、かご2に人が閉じ込められたことを検出する。通信装置4は、かご2に人が閉じ込められたことを検出すると、アクセスポイント8を介して操作端末5に閉じ込め信号を送信する。操作端末5は、通信装置4から閉じ込め信号を受信すると、受信した閉じ込め信号に基づいて必要な動作を行う。例えば、操作端末5は、通信装置4から受信した閉じ込め信号に基づいて、表示器6の表示を制御する。以下に、図2も参照し、本エレベータシステムが行う動作の例について説明する。図2は、この発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。図2は、閉じ込め発生時の動作フローを示す。
【0018】
通信装置4は、一定の条件が成立すると、かご2に人が閉じ込められたことを検出する(S101のYes)。通信装置4は、かご2に人が閉じ込められたことを検出すると、本エレベータシステムを管理する管理センタ10に通報を行う(S102)。通信装置4から管理センタ10への通報は、アクセスポイント8を介して行っても良いし、専用の通信回線11を介して行っても良い。通報を受けた管理センタ10では、住宅1に派遣する救助者の選択、及び必要に応じてテレビ電話等による呼び掛けを行う。なお、テレビ電話等による呼び掛けは、操作端末5にカメラ12が備えられている場合に行われる。
【0019】
また、管理センタ10では、住宅1に派遣する救助者を選択すると、救助者に関する情報を操作端末5に送信する。救助者に関する情報の送信は、通信回線11を介して行っても良いし、ネットワーク9を介して行っても良い。但し、操作端末5は、アクセスポイント8から上記情報を受信する。操作端末5は、アクセスポイント8を介して救助者に関する情報を受信すると(S103のYes)、救助者の到着予想時刻に関する情報を表示器6に表示させる(S104)。例えば、「救助者が約15分で到着します。」といった内容が表示器6に表示される。操作端末5は、救助者の現在位置に関する情報を表示器6に表示させても良い。なお、救助者に関する情報の送信は、救助者本人が、所有する端末から行っても良い。
【0020】
通信装置4は、かご2に人が閉じ込められたことを検出すると(S101のYes)、アクセスポイント8を介して操作端末5に閉じ込め信号を送信する(S105)。操作端末5は、閉じ込め信号を受信すると、救出プログラムを起動させる(S106)。救出プログラムは、アクセスポイント8を介して外部に連絡を行うためのプログラムである。救出プログラムは操作端末5に記憶され、通信装置4からの閉じ込め信号を受信することによって起動するように予め設定される。なお、救出プログラムによる外部への連絡は、通信装置4を介さずに行われることが望ましい。
【0021】
操作端末5には、閉じ込め発生時の連絡先として、メールアドレスが予め登録される。例えば、操作端末5に、家族の携帯端末13のメールアドレスが連絡先として登録される。携帯端末13は、例えばスマートフォンである。操作端末5は、救出プログラムが起動されることにより、予め登録されているメールアドレスに対して閉じ込めが発生したことを知らせるためのメールを送信する(S107)。この時、操作端末5は、登録されているメールアドレスにメールを送信する旨及び送信した旨を表示器6に表示させても良い。操作端末5からのメールを受けた携帯端末13には、例えば「エレベータの閉じ込めが発生しました。自宅へ向かうことは可能ですか?以下の選択肢から選んで返信して下さい。1)可能、2)不可能」といった内容が表示される。
【0022】
操作端末5は、携帯端末13等の機器に対してS107でメールを送信すると、その機器から返信を受けたか否かを判定する(S108)。操作端末5は、メールの送信先である機器から返信を受けると、返信を受けた機器の位置に関する情報を表示器6に表示させる(S109)。なお、位置に関する情報の表示は、携帯端末13等の機器からGPSによる位置情報を受信することによって容易に実現できる。操作端末5は、返信を受けた機器の所有者の到着予想時刻に関する情報を表示器6に表示させても良い。例えば、「家族Aが約15分で到着します。」といった内容が表示器6に表示される。
【0023】
図1は、住宅1に電気錠14を備えたドア15が設置された例を示す。ドア15は、人が住宅1に入るためのドアである。電気錠14は、通常はドア15が開かないように施錠される。電気錠14は、住宅1の玄関前等に設けられた操作パネル16で解錠操作が行われると解錠される。操作パネル16には、例えばインターホンが備えられる。電気錠14の施錠及び解錠は、制御装置17によって制御される。
【0024】
操作端末5は、アクセスポイント8を介して制御装置17と通信を行う。例えば、閉じ込めの連絡を受けた救助者が住宅1に到着して操作パネル16のインターホンを押すと(S110のYes)、インターホンのカメラによって撮影された映像が操作端末5の表示器6に表示される(S111)。かご2に閉じ込められた人は、操作端末5の表示器6を見て、インターホンを操作した人が救助者であることを知ることができる。例えば、かご2に閉じ込められた人は、操作端末5から電気錠14を解錠するための解錠信号を送信する(S112)。操作端末5からの解錠信号は、アクセスポイント8を介して制御装置17に送信される。制御装置17は、操作端末5からの解錠信号を受信すると電気錠14を解錠する。これにより、救助者が住宅1に入り、救助活動を行う。
【0025】
実施の形態1に示すエレベータシステムでは、操作端末5は、住宅1に備えられたアクセスポイント8を介して通信装置4と通信する。このため、従来用いられていた通信用のケーブルを操作端末5に接続する必要がない。通信用のケーブルを操作端末5に接続するための構成及び手間がなくなり、システムを安価に提供できる。
【0026】
実施の形態1に示す例であれば、かご2と制御装置3との間に通信用のケーブルを全く接続しなくても各種動作を行うことが可能である。かご2と制御装置3との間に通信用のケーブルを接続する必要がなければ、かご2等の据え付け作業を大幅に簡素化できる。
【0027】
実施の形態1に示す例であれば、タブレット型PCのような汎用の機器を操作端末5として利用できる。例えば、利用者は、自分の好みのタブレット型PCを購入し、その購入したものを操作端末5として利用できる。操作端末5をかご2から取り外して用いることも可能である。
【0028】
利用者が購入してきたタブレット型PC等を操作端末5として利用する場合は、各種動作を行うためのプログラムを操作端末5にインストールする必要がある。例えば、操作端末5が通信装置4に呼びの信号を送信するために必要な呼び登録プログラムを操作端末5にインストールしなければならない。このような場合に備え、例えば、管理センタ10の記憶装置18に呼び登録プログラム等を予め記憶させておく。利用者は、操作端末5をアクセスポイント8を介して管理センタ10に接続し、記憶装置18から呼び登録プログラム等をダウンロードすれば良い。このような構成を採用することにより、システムの価格を更に低下させることができる。なお、呼び登録プログラム等を予め準備しておく場所は、管理センタ10に限定されない。
【0029】
図3は、操作端末5のハードウェア構成を示す図である。操作端末5は、ハードウェア資源として、例えばプロセッサ19とメモリ20とを含む処理回路を備える。操作端末5は、メモリ20に記憶されたプログラムをプロセッサ19によって実行することにより、上述した各機能を実現する。操作端末5が有する各機能の一部又は全部をハードウェアによって実現しても良い。
【0030】
通信装置4は、ハードウェア資源として、例えばプロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。通信装置4は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、上述した各機能を実現する。通信装置4が有する各機能の一部又は全部をハードウェアによって実現しても良い。
【符号の説明】
【0031】
1 住宅
2 かご
3 制御装置
4 通信装置
5 操作端末
6 表示器
7 入力装置
8 アクセスポイント
9 ネットワーク
10 管理センタ
11 通信回線
12 カメラ
13 携帯端末
14 電気錠
15 ドア
16 操作パネル
17 制御装置
18 記憶装置
19 プロセッサ
20 メモリ
図1
図2
図3