特許第6249056号(P6249056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6249056
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】包装用重袋および重袋用筒体
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/12 20060101AFI20171211BHJP
   B65D 30/14 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   B65D30/12 B
   B65D30/14 Z
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-128460(P2016-128460)
(22)【出願日】2016年6月29日
【審査請求日】2017年1月13日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 徳典
(72)【発明者】
【氏名】島原 陽介
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭40−022798(JP,B1)
【文献】 特開2004−099092(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0179960(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00 − 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の筒状シート材からなる筒体を備えた包装用重袋であって、
前記筒体の端部に形成された六角形の封止部を有し、
前記封止部は、矩形状の開封口形成部と、前記開封口形成部の両側に形成された三角形状の折り込み面部とを有し、
前記開封口形成部および前記折り込み面部は、間隔をあけた平行な一対の折線で内側に折り畳まれて糊付けされており、
前記折り込み面部の前記開封口形成部側の端縁部のうち、前記折線に沿った折り曲げ線部の端部を含む一部には、一つの前記筒状シート材からなる部分が形成されるとともに、前記一部を除く残りの端縁部には、複数の前記筒状シート材からなる部分が形成されており、
前記折り込み面部のうち、前記折り曲げ線部の少なくとも一部は、一つの前記筒状シート材にて構成されている
ことを特徴とする包装用重袋。
【請求項2】
前記折り込み面部の前記開封口形成部側の端縁部には、少なくとも前記折り曲げ線部の端部を含む範囲に切欠き部が形成されており、
前記切欠き部は、前記開封口形成部側に向かって開口する凹形状を呈していて、一つの前記筒状シート材を除いた他の前記筒状シート材に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の包装用重袋。
【請求項3】
矩形状の開封口形成部と、前記開封口形成部の両側に形成された三角形状の折り込み面部とを有し、前記開封口形成部および前記折り込み面部を、間隔をあけた平行な一対の折線で内側に折り畳んで形成される六角形の封止部を有する包装用重袋を製造するための重袋用筒体であって、
複数の筒状シート材を備えており、
前記封止部が形成される端部の少なくとも一方には、前記複数の筒状シート材のうち、一つの前記筒状シート材を除いた他の前記筒状シート材に少なくとも一対の切欠き部が形成されており、
前記切欠き部は、前記開封口形成部および前記折り込み面部を形成した際に前記開封口形成部側に向かって開口する凹形状を呈していて、前記折り込み面部の前記開封口形成部側の端縁部で、少なくとも前記折線に沿った折り曲げ線部の端部を含む範囲に形成されている
ことを特徴とする重袋用筒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装用重袋および重袋用筒体に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンブラック、セメント、小麦粉、医療用コーンスターチなどの粉体を収容する包装用袋としては、紙筒の端部を六角形に折り曲げて開封口を形成したひだなし底貼り袋が多く使用されている(例えば、特許文献1参照)。また、このような微粉体を収容する包装用袋では、袋の強度を確保するために、紙筒を二重にした重袋が多く用いられている。
【0003】
六角形の開封口を形成するに際しては、図7に示すように、平坦に折り潰した紙筒101の端部に三角形状の折り込み部103,104を形成しながら、仮折線L0に沿って、開封口形成側端部102の片面を谷折りする。すると、矩形状の開封口105が形成される。そして、一方の開き面106および折り込み部103,104を第二折線L2で谷折りする。このとき、谷折りされた折り込み部103,104の折り返し部103a,104aは、折り込み部103,104の対向面に疑似接着剤108で剥離可能に接着される。その後、他方の開き面107および折り込み部103,104を第三折線L3で谷折りする。このとき、谷折りされた折り込み部103,104の折り返し部103b,104bは、折り込み部103,104の対向面に疑似接着剤109で剥離可能に接着される。谷折りされた開き面107の折り返し部107aは、先に谷折りされた開き面106の折り返し部106aの背面に疑似接着剤109で剥離可能に接着される。このような場合、六角形の折り畳み部分から微粉体が外部に漏出する問題があり、これを防止する方法として、特許文献1のような粉体用包装袋の開封口構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−16886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような粉漏れ防止のための部材を追加した開封口構造を形成するためには、部材を追加するために通常の六角形包装袋の底貼りの工程を大きく変更する必要があったり、部材の追加によるコストアップなどの問題がある。
【0006】
そこで、六角形の封止された開封口からの粉漏れ防止の問題を解決すべく、本発明者らは、粉体がどのように漏出するかを検討した。その結果、底型に折るためにつけられた折線や、折の谷側になる紙の逃げ代が余ってできた皺に沿って粉体が移動し、粉体の漏出が発生していることを確認した。そこで、六角形の底貼り部分の折線が隙間なく精密に折れていること、及び、間隔をあけて平行に設けられた二箇所の谷折りの間で、内側になる紙の逃げ代が原因する皺の発生を防止することにより、粉体の漏出を効果的に防止することが出来ることを見出した。
【0007】
本発明は、通常のひだなし底貼り重袋の底貼りの折曲げ工程を変更することなく、粉体の漏出が生じ難い包装用重袋および重袋用筒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、六角形の底貼り部分の折線を隙間なく精密に折ることが出来、また、間隔をあけて平行に設けられた二箇所の谷折りの間で、内側になる紙の逃げ代にが出来ないような六角形底貼りの形状を検討した。その結果、複数の筒状シート材を備え該筒体の端部に六角形の封止部が形成された包装用重袋において、底貼り部分の折線が設けられる箇所の少なくとも一部は筒状のシート材が一重であり、六角形の封止部の、間隔をあけて平行に設けられた二箇所の谷折りの間の部分には少なくとも一部に筒状のシート材が一重の箇所が設けられていることにより、上記の目的を満足することを見出した。
【0009】
前記課題を解決するための本発明は、複数の筒状シート材からなる筒体を備えた包装用重袋であって、前記筒体の端部に形成された六角形の封止部を有している。前記封止部は、矩形状の開封口形成部と、前記開封口形成部の両側に形成された三角形状の折り込み面部とを有し、前記開封口形成部および前記折り込み面部は、間隔をあけた平行な一対の折線で内側に折り畳まれて糊付けされている。前記折り込み面部の前記開封口形成部側の端縁部のうち、前記折線に沿った折り曲げ線部の端部を含む一部には、一つの前記筒状シート材からなる部分が形成されるとともに、前記一部を除く残りの端縁部には、複数の前記筒状シート材からなる部分が形成されており、前記折り込み面部のうち、前記折り曲げ線部の少なくとも一部は、一つの前記筒状シート材にて構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、折り曲げ線部の少なくとも一部は、一つの筒状シート材にて構成され、一重のシート材が折り曲げられるため、シート材間の隙間がないように精密に折り曲げることができる。さらに、重袋であっても折り曲げ線部でシート材が余らないので、折り曲げ線部間の筒状シート材に皺が発生しない。これによって、粉体の漏出路が形成されないので、粉体の漏出を生じ難くすることができる。
【0011】
本発明では、前記折り込み面部の前記開封口形成部側の端縁部には、少なくとも前記折り曲げ線部の端部を含む範囲に切欠き部が形成されており、前記切欠き部は、前記開封口形成部側に向かって開口する凹形状を呈していて、一つの前記筒状シート材を除いた他の前記筒状シート材に形成されていることが好ましい。このような構成によれば、切欠き部を予め形成しておけば、通常のひだなし底貼り重袋の底貼りの折曲げ工程を変更することなく、容易な加工で折り曲げ線部の少なくとも一部を一つの筒状シート材にて構成することができる。
【0012】
前記課題を解決するための第二の本発明は、矩形状の開封口形成部と、前記開封口形成部の両側に形成された三角形状の折り込み面部とを有し、前記開封口形成部および前記折り込み面部を、間隔をあけた平行な一対の折線で内側に折り畳んで形成される六角形の封止部を有する包装用重袋を製造するための重袋用筒体であって、複数の筒状シート材を備えており、前記封止部が形成される端部の少なくとも一方には、前記複数の筒状シート材のうち、一つの前記筒状シートを除いた他の前記筒状シート材に少なくとも一対の切欠き部が形成されている。前記切欠き部は、前記開封口形成部および前記折り込み面部を形成した際に前記開封口形成部側に向かって開口する凹形状を呈していて、前記折り込み面部の前記開封口形成部側の端縁部で、少なくとも前記折線に沿った折り曲げ線部の端部を含む範囲に形成されていることを特徴とする。本発明によれば、切欠き部を六角形の封止部の折線に相当する位置に形成することで、請求項1に記載の包装用重袋を、通常のひだなし底貼り重袋の底貼りの折曲げ工程を変更することなく、容易な加工で製造することができる。また、包装用重袋からの粉体の漏出を生じ難くできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、重袋であっても粉体の漏出を生じ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る包装用重袋の折り込み前の筒体を示した斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る包装用重袋の開封口形成部と折り込み面部を形成した状態を示した平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る包装用重袋の接着剤を布設した状態を示した平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る包装用重袋の一方の開き面および両隅の折り込み面部の一部を谷折りした状態を示した平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る包装用重袋の他方の開き面および両隅の折り込み面部の一部を谷折りした状態を示した平面図である。
図6】補強紙を布設した状態を示した平面図である。
図7】従来の包装用重袋の開封口形成部と折り込み面部を形成した状態を示した平面図である。
図8】従来の包装用重袋の接着剤を布設した状態を示した平面図である。
図9】従来の包装用重袋の開き面および両隅の折り込み面部の一部を谷折りした状態を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る包装用重袋の構成を、その製造工程と合わせて説明する。本実施形態の包装用重袋1は、カーボンブラックやデンプンなどの粉体を収容する袋として好適に使用される。包装用重袋1は、二つの筒状シート材からなる筒体2(図1参照)を、図5に示すように折り畳んでなる重袋である。すなわち、包装用重袋1は、少なくとも一つの筒状シート材からなる内袋4と、内袋4を包む外袋5とを備えている。包装用重袋1は、袋となる筒状シート材からなる筒体2の筒長方向の両端部の開口端6,7に六角形の封止部3を備えている。六角形の封止部は、船の底のように両端が細くなっており、平面視で六角形形状となっており、船底型の封止部と呼ばれる場合がある。包装用重袋1は、一方の開口端に粉体を袋から出すための開封口を備え、他方の開口端に粉体を充填する充填口(図示せず)を備えている。充填口には、粉体を充填するためのバルブ付きチューブが挿通される。充填口は、開封する必要がないので、接着強度が大きい接着剤にて封止されている。一方、開封口は、開封し易いように、充填口の接着剤より接着強度が小さい接着剤にて封止されている。
【0016】
封止部3は、図2に示すように、筒体2の端部に形成された矩形状の開封口形成部21と、開封口形成部21の両側に形成された三角形状の折り込み面部22,22とを、一対の第一折線L1および第二折線L2で内側に折り畳んで形成する。開封口形成部21は、折り畳まれた状態で矩形状を呈しており、開封したときに開封口を囲む。折り込み面部22,22および開封口形成部21の一端側(第一台形部11a)は、第一折線L1にて六角形の中心側に折り畳まれて糊付けされ、折り込み面部22,22および開封口形成部21の他端側(第二台形部11b)は、第二折線L2にて六角形の中心側に折り畳まれて糊付けされる。これによって、開封口が封止されている(図5参照)。
【0017】
包装用重袋1では、折り込み面部22のうち、第一折線L1および第二折線L2と沿った部分(以下、「折り曲げ線部28a,28b」という場合がある)の少なくとも一部が、一つの筒状シート材にて構成されている。具体的には、折り曲げ線部28a,28bのうち、開封口形成部21側の一部が、一つの筒状シート材にて構成されている。折り込み面部22のうち開封口形成部21に隣接する領域(三角形の底辺の周縁部)には、切欠き部8が形成されている。切欠き部8は、第一折線L1および第二折線L2を含む範囲に形成されている。切欠き部8は、二重の筒体2のうち、一つの筒状シート材(内袋4)を除いた他の筒状シート材(外袋5)に形成されている。これによって、切欠き部8では、内袋4のみとなるので、一つの筒状シート材にて構成されていることとなる。
【0018】
以下に、包装用重袋1の製造工程を説明しながら、包装用重袋1の構成を詳細に説明する。包装用重袋1の製造工程は、チュービング工程と、折り込み工程と、接着剤布設工程と、折り畳み工程と、補強紙布設工程とを備えている。なお、補強紙布設工程は、封止部3の補強を行うための工程であって、収容物によっては必ずしも必要ではないが、重袋の強度の観点から行うことが好ましい。
【0019】
チュービング工程は、袋となるシート材を二枚重ねた状態で所定長さにカットし、筒体2を形成する工程である。筒体2は、六角形の封止部3を有する包装用重袋1を製造するための重袋用筒体である。筒体2は、図1に示すように、シート材を二重に重ねて形成されており、内袋4と外袋5とを備えている。筒体2は、平坦に折り潰されて平面状になっている。以下、筒体2の長さ方向を「筒長方向」、平面状態での筒体2の幅方向を「幅方向」と称して、包装用重袋1の構成を説明する。筒体2は、筒長方向に所定の長さに切断されている。筒体2の筒長方向両端には、開口端6,7が形成されている。一方の開口端6の幅方向両端部には、切欠き部8,8がそれぞれ形成されている。切欠き部8は、外袋5の幅方向端部で、上面から下面まで形成されている。切欠き部8の筒周方向長さは、第一折線L1および第二折線L2を含むように設定されている。切欠き部8が形成された部分は、内袋4のみとなり一つの筒状シート材にて構成されている。
【0020】
他方の開口端7の幅方向両端部には、突出部9,9が形成されている。突出部9は、外袋5の幅方向端部で内袋4の端部から筒長方向に延在している。突出部9は、切欠き部8と噛み合う形状になっている。これによって、紙素材を切断する際に、ロスが発生しない。なお、突出部9は設けずに、外袋5の端面を内袋4と同等の直線状の端面としてもよい。
【0021】
折り込み工程は、図2に示すように、筒体2の一方の開口端6に、折り込み面部22,22を形成する工程である。折り込み工程では、幅方向両隅に三角形状の折り込み面部22,22を形成しながら、包装用重袋1の開封口形成部21の片面を仮折りする。片面は、平坦に折り潰された筒体2の片方の面(内袋4および外袋5の両方の片面を含む)の一部(開口端部分)である。仮折りは、開封口形成部21の端縁21aと平行な仮折線L0に沿って行う。なお、当該仮折り部分は、筒体2の製造時に折られるだけで、重袋の完成時には、広げられて折られていないので、仮折線L0とした。折り込み面部22,22を形成すると、折り込み面部22,22の開封口形成部21側の端縁部には、切欠き部8がそれぞれ位置する。切欠き部8は、折り込み面部22の三角形の底辺方向に沿って延在している。
【0022】
次に、仮折線L0を挟んで筒長方向の両側に、第一折線L1と第二折線L2を設定する。第一折線L1および第二折線L2は、折り込み面部22,22および開封口形成部21を谷折りする折線である。ここで、第一折線L1は、仮折線L0と平行であって、開封口形成部21の一方の開き面23aおよび折り込み面部22,22上に位置する。開き面23aは、開封口形成部21のうち、仮折線L0よりも図2中、上側に位置する部分である。第二折線L2は、仮折線L0と平行であって、開封口形成部21の他方の開き面23bおよび折り込み面部22,22上に位置する。開き面23bは、開封口形成部21のうち、仮折線L0よりも図2中、下側に位置する部分である。第一折線L1と第二折線L2は、それぞれ仮折線L0から等間隔をあけて位置している。本実施形態では、第一折線L1と第二折線L2が、切欠き部8の端部をそれぞれ通過している。
【0023】
第一折線L1と第二折線L2との間の折り込み面部22,22および開封口形成部21で形成される六角形部分を「中央六角形部10」と称する。第一折線L1よりも図2中、上側の折り込み面部22,22および開封口形成部21で形成される台形部分を「第一台形部11a」と称する。第一台形部11aは、第一折線L1によって谷折れされる部分である。第二折線L2よりも図2中、下側の折り込み面部22,22および開封口形成部21で形成される台形部分を「第二台形部11b」と称する。第二台形部11bは、第二折線L2によって谷折れされる部分である。
【0024】
接着剤布設工程は、図3に示すように、折り込み面部22,22および開き面23bの一部に接着剤26,27を付設する工程である。接着剤26,27は、粉体の漏出を防止できるとともに開封時に剥離可能な接着強度のものである。接着剤26,27は、スタンプにて所定位置に布設する。なお、接着剤26,27の付設方法はスタンプに限定されるものではなく、塗布や噴き付けなど他の方法であってもよい。折り込み面部22,22のうち、第一折線L1よりも外側(図3中の上側)、第二折線L2よりも外側(図3中の下側)に、三角形状の接着剤26を付設する。この三角形状の接着剤26は、切欠き部8の端部を覆っている。さらに、開き面23bの端縁部に、長方形状の接着剤27を付設する。
【0025】
折り畳み工程は、折り込み面部22,22および開き面23a,23bのうち、第一台形部11aと第二台形部11bを折り畳む工程である。折り畳み工程では、まず、図4に示すように、第一台形部11a(一方の開き面23aおよび両隅の折り込み面部22,22の上側の部分)を、第一折線L1で中央六角形部10側に向けて谷折りする。このとき、谷折りされた各折り込み面部22の折り返し面部22aは、折り込み面部22の対向面に接着剤26(図3参照)で剥離可能に接着される。ここで、各折り込み面部22のうち、第一折線L1に沿った折り曲げ線部28aの開封口形成部21側の端部には、切欠き部8が位置しており、一つの筒状シート材(内袋4)にて構成されている。すなわち、折り曲げ線部28aの一部では、内袋4のみに折り目が形成される。
【0026】
その後、図5に示すように、第二台形部11b(他方の開き面23bおよび両隅の折り込み面部22,22の下側の部分)を、第二折線L2で中央六角形部10側に向けて谷折りする。このとき、谷折りされた各折り込み面部22の折り返し面部22bは、折り込み面部22の対向面に接着剤26(図3参照)で剥離可能に接着される。また、谷折りされた開き面23bの折り返し面部24bは、先に谷折りされた開き面23aの折り返し面部24aの背面に接着剤27(図3参照)で剥離可能に接着される。このとき、各折り込み面部22のうち、第二折線L2に沿った折り曲げ線部28bの開封口形成部21側の端部には、切欠き部8が位置しており、一つの筒状シート材(内袋4)にて構成されている。すなわち、折り曲げ線部28bの一部では、内袋4のみに折り目が形成される。ここで、六角形の封止部3が完成する。
【0027】
以上説明したように、封止部3は、以下のような構成となる。折り込み面部22,22および開封口形成部21で形成される六角形のうち、第一折線L1よりも外側の第一台形部11aは、中央六角形部10に重ねられて糊付けされている。折り込み面部22,22および開封口形成部21で形成される六角形のうち、第二折線L2よりも外側の第二台形部11bは、中央六角形部10と先に折り畳まれた第一台形部11aの一部に重ねられて糊付けされている。
【0028】
つまり、包装用重袋1は、複数の筒状シート材からなる筒体2を備えている。筒体2の端部には、六角形の封止部3が設けられている。封止部3は、平面視六角形状の中央六角形部10と、第一折線L1を介して中央六角形部10と連接された第一台形部11aと、第二折線L2を介して中央六角形部10と連接された第二台形部11bとを備えている。第一台形部11aおよび第二台形部11bは、中央六角形部10に重ねられている。そして、第一台形部11aと第二台形部11bを折り畳む前には、一対の三角形領域(折り込み面部22,22)と、両三角形領域に挟まれた矩形領域(開封口形成部21)とが出現する。一対の三角形領域は、筒体2の両端を折り畳んで形成されている。そして、三角形領域の縁部には、一つの筒状シート材(内袋4)からなる一重部が形成されている。第一折線L1と第二折線L2は、一重部を通っている(折り曲げ線部28a,28bの一部に一重部が形成されている)。
【0029】
補強紙布設工程は、封止部3の外表面に補強紙30を付設する工程である。補強紙30は、船底の六角形内側の長方形部分を覆う矩形形状を呈している。補強紙30の裏側(袋側)には、ビニール製のテープ31が付設されている。開封時にテープ31を引っ張ることで、テープ31に沿って補強紙30を破いて開封を行い易くする。補強紙布設工程では、前記構成の補強紙30を、封止部3の外表面に接着材を介して貼り付ける。なお、補強紙布設工程は、収容物が軽い場合等、要求される重袋の強度によっては実施しない場合もある。
【0030】
以上のような構成の包装用重袋1によれば、折り曲げ線部28a,28bの少なくとも一部が一つの筒状シート材(内袋4)にて構成されているので、折り曲げ線部28a,28bを鋭角に折り曲げることができる。よって、素材間の隙間がないように精密に折り曲げることができる。第一折線L1と第二折線L2との間の領域も内袋4のみとなっているので、折り曲げによって、外袋5が押されることがない。よって、折り曲げ線部28a,28b間の内側で皺が発生しない。これによって、粉体の漏出路が形成されないので、粉体の漏出を生じ難くすることができる。
【0031】
また、本実施形態では、折り込み面部22,22の開封口形成部21側の端縁部には、一対の折り曲げ線部28a,28bの端部を両端に含む範囲に切欠き部8が形成されているので、簡単な構成で、両方の折り曲げ線部28a,28bの一部を一枚の内袋4のみで構成することができる。また、一対の折り曲げ線部28a,28bの間も一枚の内袋4のみで構成されることになるので、シート材が重複しない。よって、折り曲げ線部28a,28bの間での皺の発生を防ぐことができる。
【0032】
さらに、本実施形態では、チュービング工程で、切欠き部8を予め形成しているので、通常のひだなし底貼り重袋の底貼りの折曲げ工程を変更することなく、粉体の漏出が生じ難い六角形の封止部3を形成することができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。例えば、前記実施形態では、第一折線L1および第二折線L2を両端に含む切欠き部8を形成して、折り曲げ線部28a,28bの開封口形成部21側端部(切欠き部8の両端に位置する部分)を、一枚の内袋4で構成するようにしているが、これに限定されるものではない。第一折線L1が通過する部分と第二折線L2が通過する部分のそれぞれに切欠き部を形成して、第一折線L1と第二折線L2の間は、内袋4と外袋5の二重構造としていてもよい。このような構成であっても、折り曲げ線部28a,28bの開封口形成部21側端部を鋭角に折り曲げることができる。さらに、第一折線L1および第二折線L2に沿って折り込み面部22,22を折り曲げても、折り曲げ線部28a,28bの開封口形成部21側端部間の内袋4が内側に押されることがない。よって、折り曲げ線部28a,28bの開封口形成部21側間で皺が発生しない
【0034】
また、前記実施形態では、外袋5に切欠き部8を形成しているが、これに限定されるものではない。内袋4に切欠き部を形成して、折り曲げ線部28a,28bの一部に外袋5一枚のみを残す構成としてもよい。なお、内袋に切欠き部を形成し、一枚のみの部分が外袋に形成されている実施形態に比べ、外袋5に切欠き部8を形成することで内袋4一枚のみの部分を形成する本実施形態のほうが、より粉漏れが防止され、好ましい態様である。
【0035】
さらに、前記実施形態では、外袋5に切欠き部8を形成することで内袋4一枚のみの部分を形成しているが、これに限定されるものではない。内袋4または外袋5のいずれか一方に、他方の端部より突出する突出部を形成して、この突出部によって紙素材一枚のみで構成される部分を形成するようにしてもよい。
【0036】
また、前記実施形態では、包装用重袋1および筒体2は、内袋4と外袋5を備えた二重構造となっているが、さらに袋を重ねた三重以上の構造であってもよい。この場合、一つの筒状シート材を除いた他の複数の筒状シート材に切欠き部を形成すればよい。切欠き部は、折り曲げ線部に相当する部分に形成する。これによって、前記実施形態と同様の作用効果を得られる。
【0037】
また、前記実施形態の包装用重袋1では、筒体2の一端に切欠き部8を備えた開封口を形成して、他端に接着強度が強い充填口を形成しているが、これに限定されるものではない。筒体の両端に、切欠き部8を備えるとともに、接着強度が比較的低い接着剤にて封止された開封口を形成してもよい。この場合、いずれかの開封口にバルブ付きチューブを挿通して粉体を充填する。このようにすれば、いずれの側からも粉体を袋から出すことができる。
【符号の説明】
【0038】
1 包装用重袋
2 筒体
3 封止部
4 内袋
5 外袋
6 開口端
7 開口端
8 切欠き部
21 開封口形成部
22 折り込み面部
28a 折り曲げ線部
28b 折り曲げ線部
L1 第一折線
L2 第二折線
【要約】      (修正有)
【課題】通常のひだなし底貼り重袋の底貼りの折曲げ工程を変更することなく、粉体の漏出が生じ難い包装用重袋および重袋用筒体を提供する。
【解決手段】複数の筒状シート材からなる筒体2を備えた包装用重袋1であって、筒体2の端部に形成された六角形の封止部3を有し、封止部3は、矩形状の開封口形成部と、開封口形成部の両側に形成された三角形状の折り込み面部22,22とを有し、開封口形成部および折り込み面部22,22は、間隔をあけた平行な一対の折線L1,L2で内側に折り畳まれて糊付けされており、折り込み面部22のうち、折線L1,L2に沿った折り曲げ線部28a,28bの少なくとも一部は、一つの筒状シート材にて構成されていることを特徴とする。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9