(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6249074
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】ホーンの共鳴管、およびこれを備えたホーン
(51)【国際特許分類】
G10K 9/13 20060101AFI20171211BHJP
G10K 9/12 20060101ALI20171211BHJP
B60Q 5/00 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
G10K9/13 101N
G10K9/12 C
B60Q5/00 670A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-193024(P2016-193024)
(22)【出願日】2016年9月30日
【審査請求日】2017年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】井野 寿信
【審査官】
堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−88490(JP,A)
【文献】
特開2014−28587(JP,A)
【文献】
特開2013−246351(JP,A)
【文献】
特開2013−216168(JP,A)
【文献】
特開2013−222126(JP,A)
【文献】
特開2013−122568(JP,A)
【文献】
特開平6−186981(JP,A)
【文献】
特開平4−14100(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3030026(JP,U)
【文献】
実開平5−71045(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 9/13
B60Q 5/00
G10K 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動板の振動により発生し、第1周波数を基本周波数とする第1音と、前記振動板の振動により発生し、前記第1周波数と和音の関係を持つ第2周波数を基本周波数とする第2音とをそれぞれ共鳴させ、車両に搭載されるホーンの共鳴管であって、
前記第1音と前記第2音とを含む和音が入力され、前記第1音を共鳴させる主共鳴管と、
前記主共鳴管から分岐し、前記第2音を共鳴させる分岐共鳴管と、を備え、
前記主共鳴管は、前記振動板の第1面に配置され、
前記分岐共鳴管は、前記第1面上で前記主共鳴管から分岐し、前記振動板の前記第1面とは反対側の第2面に配置される
ホーンの共鳴管。
【請求項2】
前記主共鳴管の中心軸における長さと、前記分岐共鳴管の中心軸における長さとが異なっている
請求項1に記載のホーンの共鳴管。
【請求項3】
前記分岐共鳴管は、前記第1面に配置される第1分岐管部と、前記第2面に配置される第2分岐管部と、前記第1分岐管部と前記第2分岐管部とを接続する中間管部と、を有し、
前記主共鳴管は、前記第2分岐管部に対して前記車両の前方側に配置され、
前記分岐共鳴管は、前記第2音が出力される開口面を前記第2分岐管部に備え、
前記開口面は、前記車両の前後方向において前記主共鳴管に一致する
請求項1又は2に記載のホーンの共鳴管。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のホーンの共鳴管と、
前記振動板と、
前記振動板を振動させ、前記振動板の中心に対して偏心した位置に支点が設けられた可動鉄心と、
前記可動鉄心を収容し、前記第2面の前記振動板の前記中心から偏心した前記位置に配置されたケースと、を備え、
前記分岐共鳴管は、前記第2面の前記ケースの側方に配置される
ホーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるホーンの共鳴管、およびこれを備えたホーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には、振動板を可動鉄心で振動させ、振動板で発生した音を共鳴管を通じて外部に出力させるホーンが搭載されている。ここで、共鳴管が設けられているのは、振動板で発生した音をそのまま出力すると、警笛に必要となる十分な音圧が得られないからである。共鳴管は渦巻き形状を持っているので、水等の異物が侵入して共鳴管内に溜まってしまうと、除去できなくなるという問題がある。そこで、特許文献1は、共鳴管の音波出口開口部に異物の侵入を防止する異物侵入防止部材を装着し、車両前方から飛来する異物が共鳴管内に侵入することを防止する車両用電気式ホーンを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−76018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ホーンから出力される音を和音にすると、搭乗者にとって心地の良い音が出力され、運転の楽しみが増すと考えられる。この場合、和音を構成する第1音と第2音との各々に共鳴する共鳴管が必要となる。
【0005】
しかし、特許文献1では、共鳴管が1つしか設けられていないので、第1、第2音のうち、一方の音しか共鳴させることができず、十分な音圧を持つ和音を出力できないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、十分な音圧を持つ和音を出力できるホーンの共鳴管を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るホーンの共鳴管は、振動板の振動により発生し、第1周波数を基本周波数とする第1音と、前記振動板の振動により発生し、前記第1周波数と和音の関係を持つ第2周波数を基本周波数とする第2音とをそれぞれ共鳴させ、車両に搭載される。前記ホーンの共鳴管は、前記第1音と前記第2音とを含む和音が入力され、前記第1音を共鳴させる主共鳴管と、前記主共鳴管から分岐し、前記第2音を共鳴させる分岐共鳴管と、を備える。前記主共鳴管は、前記振動板の第1面に配置される。前記分岐共鳴管は、前記第1面上で前記主共鳴管から分岐し、前記振動板の前記第1面とは反対側の第2面に配置される。
【0008】
この構成によれば、前記共鳴管は、前記第1音を共鳴させる主共鳴管と、前記主共鳴管から分岐し、前記第2音を共鳴させる分岐共鳴管と、を備えるので、十分な音圧を持つ和音を出力できる。さらに、分岐共鳴管は、前記第1面上で前記主共鳴管から分岐し、前記振動板の前記第1面とは反対側の第2面に配置される。そのため、主共鳴管と分岐共鳴管が振動板の厚み方向に重なるので、前記共鳴管の前記振動板の半径方向に対する大きさを小さくすることが可能になる。
【0009】
上記構成において、前記主共鳴管の中心軸における長さと、前記分岐共鳴管の中心軸における長さとが異なっていてもよい。
【0010】
この構成によれば、前記主共鳴管の中心軸における長さと、前記分岐共鳴管の中心軸における長さとが異なっているので、主共鳴管により共鳴される第1音の共振周波数と、分岐共鳴管により共鳴される第2音の共振周波数と、が異なる。そのため、前記共鳴管は、十分な音圧を持つ和音を出力することができる。
【0011】
上記構成において、前記分岐共鳴管は、前記第1面に配置される第1分岐管部と、前記第2面に配置される第2分岐管部と、前記第1分岐管部と前記第2分岐管部とを接続する中間管部と、を有する。前記主共鳴管は、前記第2分岐管部に対して前記車両の前方側に配置されてもよい。前記分岐共鳴管は、前記第2音が出力される開口面を備えてもよい。前記開口面は、前記車両の前後方向において前記主共鳴管に一致してもよい。
【0012】
この構成によれば、前記開口面は、前記車両の前後方向において前記主共鳴管に一致するので、車両のグリルから侵入する雨水等が前記開口面から分岐共鳴管内に侵入することが主共鳴管により遮られやすくなる。
【0013】
本発明に係るホーンは、前記共鳴管と、前記振動板と、前記振動板を振動させ、前記振動板の中心に対して偏心した位置に支点が設けられた可動鉄心と、前記可動鉄心を収容し、前記第2面の前記振動板の前記中心から偏心した前記位置に配置されたケースと、を備える。前記分岐共鳴管は、前記第2面の前記ケースの側方に配置される。
【0014】
この構成によれば、前記分岐共鳴管は、前記第2面の前記振動板の前記中心から偏心した前記位置に配置されたケースの側方に配置されるので、前記分岐共鳴管を配置するためのスペースを確保するために、振動板を大きくする必要がない。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るホーンの共鳴管は、十分な音圧を持つ和音を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る共鳴管を備えたホーンの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る共鳴管を備えたホーンの正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る共鳴管を備えたホーンの断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る共鳴管を備えたホーンの底面図である。
【
図5】
図3のA―A線に沿って切断した断面図である。
【
図6】
図2のホーンを右側から見た右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、例示的な共鳴管2を備えたホーン1の斜視図である。
図2は、例示的な共鳴管2を備えたホーン1の正面図である。
図3は、例示的な共鳴管2を備えたホーン1の断面図である。
図4は、例示的な共鳴管2を備えたホーン1の底面図である。なお、
図1〜3では、説明の便宜上、紙面上での方向が用いられてホーン1が説明される。
【0018】
ホーン1は、音を発生させる音源装置10と、音源装置10から出力された音を共鳴させる共鳴管2と、を備える。音源装置10は、
図3に示すように、振動板11と、振動板11と支点領域1211を介して接続された可動鉄心12と、可動鉄心12の下方に設けられた固定鉄心13と、コイルを構成する巻き線15と、巻き線15が巻回されるボビン14と、可動鉄心12、固定鉄心13、ボビン14、及び巻き線15を収容するケース16と、振動板11の外縁をケース16の外縁に取り付ける外枠17と、ケース16の底面16aに取り付けられたブラケット30と、を備える。
【0019】
振動板11は、例えば、可撓性を有する円盤状の金属で構成され、可動鉄心12の振動により振動し、音を出力する。振動板11は、ケース16の最上方に設けられた載置部161aの上に載置され、外枠17によりかしめられることで、ケース16に固定されている。振動板11は、後述する支持部121を取り囲む一定の領域が下方に向けて円錐状に傾斜した斜面を有するテーパ111aが設けられ、振動し易くされている。
【0020】
可動鉄心12は、磁性体で構成され、支点領域1211を介して振動板11と接続された支持部121と、支持部121の下側に設けられた本体部122とを備える。
【0021】
支持部121は、円柱状であり、上下方向の両側から支点領域1211を挟持する。支持部121は、支点領域1211の中心(以下、「支点121a」と記述する。)が振動板11の中心Oよりも右方に偏心した位置に設けられている。ここで、支点121aが偏心した方向(ここでは、右方)を偏心方向D1と記述する。
【0022】
本体部122は、大局的には、支持部121よりも長い円柱状の部材で構成される。本体部122は、上下方向に対して左斜め下方に傾斜している中心軸C2を長手方向とする円柱状の円柱部1222と、円柱部1222の上方に設けられ、支持部121に向けて屈曲する屈曲部1221とを備える。屈曲部1221の上方の端部は、支持部121の中心軸C1に対して、偏心方向D1にずれている。これにより、可動鉄心12の重心Gは、偏心方向D1にずらされる。なお、中心軸C1は上下方向、すなわち、振動板11と直交する方向を向いており、且つ、支点121aを通過している。
【0023】
図3の例では、重心Gを支点121aよりも偏心方向D1にずらすために、屈曲部1221は、偏心方向D1に突出している。そのため、屈曲部1221の上面1221uは露出している。
【0024】
固定鉄心13は、円柱状に形成されている。固定鉄心13は、ボビン14の中心軸に沿って設けられた穴141内に侵入し、ボビン14が嵌め込まれる。固定鉄心13は、ケース16の底面16aに設けられた穴16bに嵌め込まれる。これにより、固定鉄心13がケース16の内部で固定される。
【0025】
ボビン14は、巻き線15が巻回されたドラム状の部材で構成されている。ボビン14は、穴141に対して上方から可動鉄心12が挿入されている。穴141の直径は、可動鉄心12の円柱部1222の直径よりも多少大きくされている。これにより、可動鉄心12は、中心軸C2に沿った振動に加えて、支点121aを中心とする揺動が可能とされている。
【0026】
巻き線15には、図略の信号生成装置が接続されており、振動板11と共振する第1周波数の第1信号成分と、可動鉄心12と共振する第2周波数の第2信号成分とを含む駆動信号が入力される。
【0027】
ケース16は、振動板11の裏面11bに配置されている。ケース16は、円錐筒状の上部161と、上部161の下方に設けられた略円筒状の下部162と、を備える。上部161は、振動板11の外縁が載置される載置部161aと、載置部161aから径が下方に向かって徐々に小さくなる縮径部161bと、を有する。縮径部161bは、その内径方向における中心が振動板11の中心Oから下方に向かって徐々に偏心方向D1にずれるように形成されている。これにより、縮径部161bの左側方に後述する分岐共鳴管22の第4屈曲部22Caを配置するためのスペースが確保される。下部162は、縮径部161bの下端に接続され、支点121aの中心軸C1に対して平行に延びる円筒状部162aと、本体部122の中心軸C2に対して平行に延びる円錐状部162bと、を有する。円筒状部162aの中心軸C1方向の長さは、円錐状部162bの中心軸C2方向の長さよりも短くなっている。ケース16の底面16aは、本体部122の中心軸C2に対して垂直になっている。ケース16は、振動板11の裏面11bに対して全体的に振動板11の中心Oから偏心方向D1にずれた位置に配置されている。
【0028】
ブラケット30は、略L字状に形成されており、ケース16の底面16aに接触する接触面30aと、ケース16の底面16aから右方に延び、ホーン1を車両の内部に取り付けるための穴30cが設けられた取付部30bと、を有する。
【0029】
共鳴管2は、振動板11の表面11bに配置される主共鳴管21と、主共鳴管21から分岐して振動板11の裏面11bに配置される分岐共鳴管22と、を備える。振動板11の表面11bは、音源装置10が配置されている側とは反対側の面であり、ホーン1が車両に装着された状態で、車両の前方を向く面である。なお、ホーン1は、後述する第1開口面211と第2開口面212が車両の下方を向くように車両に装着される(
図4参照)。振動板11の表面11bは、振動板11の第1面として例示される。振動板11の裏面11bは、音源装置10が配置されている側の面である。振動板11の裏面11bは、振動板11の第2面として例示される。
【0030】
図5は、
図3のA―A線に沿って切断した断面図である。以下、主に
図3、5が参照され、主共鳴管21が説明される。主共鳴管21は、振動板11で発生した和音に含まれる第1音と共鳴する共鳴管である。主共鳴管21は、和音が入力される入力開口面212と、第1音を出力する第1開口面211と、を備える。入力開口面212は、振動板11の中心Oに対向するように形成されている。主共鳴管21は、入力開口面212を取り囲むように渦巻き状に形成されている。主共鳴管21は、入力開口面212に隣接して形成される根元部21Aと、根元部21Aから略U字状に延びる第1屈曲部21Bと、第1屈曲部21Bから直線状に延びる第1直線部21Cと、第1直線部21Cから第1開口面211まで延びる第2屈曲部21Dと、に区画される。
【0031】
根元部21Aは、第1屈曲部21Bに向かって開口する第1分岐面213aと、分岐共鳴管22に向かって開口する第2分岐面213bと、を有する。
【0032】
第1屈曲部21Bは、第1分岐面213aから反時計回りに湾曲している。第1直線部21Cは、振動板11の外縁から突出する位置まで延びている。第1屈曲部21Bと第1直線部21Cとは、全長に亘って断面が等しくなるように形成されている。
【0033】
第2屈曲部21Dは、振動板11の外縁に沿って延びるように略C字状に形成されている。第2屈曲部21Dは、振動板11の外縁からはみ出るように配置されている。第2屈曲部21Dは、第1開口面211に向かうにつれて断面が増大するように形成されている。主共鳴管21は、入力開口面212から第1開口面211まで連通している。
【0034】
図6は、
図2のホーンを右側から見た右側面図である。主に
図4〜6を参照して、分岐共鳴管22が説明される。分岐共鳴管22は、和音に含まれる第2音と共鳴する共鳴管である。分岐共鳴管22は、振動板11の表面11bに配置される第1分岐管部22Aと、振動板11の裏面11bに配置される第2分岐管部22Cと、第1分岐管部22Aと第2分岐管部22Cとを接続する中間管部22Bと、に区画される。
【0035】
第1分岐管部22Aは、
図5に示すように、第2分岐面213bから振動板11の外縁まで直線状に延びる第2直線部22Aaと、第2直線部22Aaから振動板11の外縁に沿って反時計回りに延びる円弧状の第3屈曲部22Abと、第3屈曲部22Abから直線状に延びる第3直線部22Acと、を有する。第3屈曲部22Abは、振動板11の外縁からはみ出ないように配置されている。第3直線部22Acは、振動板11の外縁から突出する位置まで延びている。第1分岐管部22Aは、第2直線部22Aaから第3直線部22Acまで断面が等しくなるように形成されている。
【0036】
中間管部22Bは、
図6に示すように、第3直線部22Acから振動板11の裏面11bに向かって直線状に延びる第4直線部22Baを有する。第4直線部22Baは、ケース16の円錐状部162bの位置まで延びている。第4直線部22Baは、全長に亘って断面が等しくなるように形成されている。
【0037】
図4を参照し、第2分岐管部22Cが説明される。第2分岐管部22Cは、第4直線部22Baから略90度に屈曲して振動板11の裏面11bに配置される第4屈曲部22Caを有する。第4屈曲部22Caは、第4直線部22Baから取付部30bの延伸方向とは反対方向に振動板11の外縁に沿って延びるように略C字状に形成されている。第4屈曲部22Caは、第2開口面221に向かうにつれて断面が増大するように形成されている。第4屈曲部22Caは、第2音を出力する第2開口面221を有する。第4屈曲部22Caは、振動板11の外縁から若干はみ出すように配置されている。第4屈曲部22Caの振動板11の外縁からのはみ出し量は、第2屈曲部21Dの振動板11の外縁からのはみ出し量に比べて、小さくなっている。
【0038】
第4屈曲部22Caの中心軸における長さは、第2屈曲部21Dの中心軸における長さよりも短くなっている。これにより、第2開口面221は、車両の前後方向において第2屈曲部21Dと振動板11に完全に一致している。そのため、車両のグリルから侵入する雨水等が第2開口面221から分岐共鳴管22内に侵入することが第2屈曲部21Dにより遮られやすくなる。分岐共鳴管22は、第2分岐面213bから第2開口面221まで連通している。
【0039】
主共鳴管21の第1分岐面213aから第1開口面211までの中心軸における長さは、分岐共鳴管22の第2分岐面213bから第2開口面221までの中心軸おける長さよりも短くなっている。これにより、主共鳴管21により共鳴される第1音の共振周波数は、分岐共鳴管22により共鳴される第2音の共振周波数と異ならせているので、十分な音圧を持つ和音が出力される。
【0040】
上記のように構成されたホーン1の動作を簡単に説明する。図略の信号生成装置からの駆動信号が巻き線15に印加されると、可動鉄心12は巻き線15からの電磁気力を受けて駆動される。ここで、駆動信号に含まれる第1信号成分は、振動板11と共振する第1周波数を持っているので、振動板11は可動鉄心12によって上下方向に振動し、第1周波数を基本周波数とする第1音を発生する。また、駆動信号に含まれる第2信号成分は、可動鉄心12と共振する第2周波数を持っているので、可動鉄心12は、支点121aを中心に揺動する。これにより、振動板11は第2周波数を基本周波数とする第2音を発生する。このようにして、第1音と第2音を含む和音が振動板11の振動により発生する。
【0041】
振動板11の振動により発生した和音に含まれる第1音は、入力開口面212から根元部21A、第1屈曲部21B、第1直線部21C、第2屈曲部21Dを順に通り、第1開口面から出力される。
【0042】
振動板11の振動により発生した和音に含まれる第2音は、主共鳴管21の入力開口面212から分岐部を通り、第2分岐面213bから第1分岐管部22Aの第2直線部22Aaに入る。第2直線部22Aaに入った第2音は、第3屈曲部22Ab、第3直線部22Acを順に通り、中間管部22Bの第4直線部22Baに至る。第4直線部22Baに至った第2音は、第2分岐管部22Cの第5直線部、第4屈曲部22Caを通り、第2開口面221から出力される。
【0043】
上記のホーン1によれば、振動板11の振動により発生した和音に含まれる第1音が主共鳴管21により共鳴され、動板11の振動により発生した和音に含まれる第2音が、分岐共鳴管22により共鳴される。そのため、上記のホーン1は、十分な音圧を持つ和音を出力できる。
【0044】
上記のホーン1によれば、振動板11の表面11bに主共鳴管21が配置され、振動板11の裏面11bに分岐共鳴管22の第4屈曲部22Caが配置されているので、振動板11の上下方向に主共鳴管21と分岐共鳴管22の第4屈曲部22Caとが重なる。そのため、主共鳴管21と分岐共鳴管22の振動板11の半径方向に対する大きさが小さい。
【0045】
上記のホーン1によれば、縮径部161bは、その軸心が振動板11の中心Oから下方に向かって徐々に偏心方向D1にずれるように形成されているので、縮径部161bの左側方に分岐共鳴管22の第4屈曲部22Caを配置するためのスペースが確保されている。そのため、分岐共鳴管22の第4屈曲部22Caを配置するためのスペースを確保するために、振動板11を大きくする必要がない。
【0046】
第1周波数と第2周波数としては、不完全協和音を採用してもよいし、完全協和音を採用してもよい。ここでは、第1周波数と第2周波数として、周波数比が1.25の関係を持つ不完全協和音を採用するが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0047】
1 ホーン
2 共鳴管
11 振動板
11a 第1面
11b 第2面
12 可動鉄心
16 ケース
21 主共鳴管
22 分岐共鳴管
22A 第1分岐管部
22B 中間管部
22C 第2分岐管部
221 開口面
O 中心
【要約】
【課題】本発明は、十分な音圧を持つ和音を出力できるホーンの共鳴管を提供することを目的とする。
【解決手段】振動板11の振動により発生し、第1周波数を基本周波数とする第1音と、振動板11の振動により発生し、第1周波数と和音の関係を持つ第2周波数を基本周波数とする第2音とをそれぞれ共鳴させ、車両に搭載されるホーンの共鳴管2であって、第1音と第2音とを含む和音が入力され、第1音を共鳴させる主共鳴管21と、主共鳴管21から分岐し、第2音を共鳴させる分岐共鳴管22と、を備え、主共鳴管21は、振動板11の第1面11aに配置され、分岐共鳴管22は、第1面11a上で主共鳴管21から分岐し、振動板11の第1面11aとは反対側の第2面11bに配置される。
【選択図】
図3