(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フィールド機器が接続される複数の接続部を有する第1インターフェイスと、前記フィールド機器を制御するコントローラが接続される第2インターフェイスと、外部装置が接続される第3インターフェイスと、前記第3インターフェイスを介して入力される前記外部装置からの設定指示に基づき、前記第1インターフェイスに設けられた前記接続部の各々に、前記接続部の各々を論理的に識別するタグ情報を設定する設定部とを備え、複数の前記フィールド機器を前記コントローラに接続するI/Oモジュールに前記外部装置として接続される設定装置であって、
前記I/Oモジュールの前記第3インターフェイスに接続される下位インターフェイスと、
前記フィールド機器と前記I/Oモジュールとの間の入出力に係る設定情報を格納する格納部と、
前記格納部に格納された前記設定情報を用いて、前記I/Oモジュール及び前記フィールド機器の少なくとも一方に対する前記設定指示を、前記下位インターフェイスを介して行う指示部と、
前記下位インターフェイスを介して、前記I/Oモジュールに接続された前記フィールド機器の状態の確認を行うチェック部と
を備え
前記格納部は、前記フィールド機器について確認すべき項目及び手順を規定するチェック情報を格納しており、
前記チェック部は、前記格納部に格納された前記チェック情報に基づいて、前記フィールド機器の状態の確認を行う
ことを特徴とする設定装置。
前記チェック部は、前記フィールド機器の状態の確認を行って得られた確認情報に、前記フィールド機器の状態の確認を行った時刻を示す時刻情報を加えて履歴情報として前記格納部に格納することを特徴とする請求項1記載の設定装置。
前記設定情報は、前記I/Oモジュールの前記第1インターフェイスに設けられた前記接続部の各々に設定される前記タグ情報と、前記接続部に接続される前記フィールド機器における入出力情報とが対応づけられた第1設定情報と、
前記接続部の各々を論理的に識別するために前記コントローラで用いられるタグ情報と、前記接続部における入出力情報とが対応づけられた第2設定情報と
を含むことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の設定装置。
前記第1設定情報に含まれる前記タグ情報と、第2設定情報に含まれる前記タグ情報との対応付けを行って、前記接続部における入出力情報と前記フィールド機器における入出力情報とを結合させる結合部を備えることを特徴とする請求項4記載の設定装置。
前記第1工程は、前記フィールド機器が接続された複数の前記I/Oモジュールの各々に前記設定装置を接続し、複数の前記I/Oモジュール及び前記フィールド機器の設定を複数並列に又は個別に行う工程であることを特徴とする請求項12記載のプロセス制御システムの構築方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、コントローラとフィールド機器との間の経路は、上述した工場内立会検査(FAT)において、プロセス制御システムで用いられる制御プログラムを設計する際に決定される。また、上述した現地受入検査(SAT)で行われる配線作業、及び接続が正しく行われているか否かの確認作業は、工場内立会検査(FAT)で制御プログラムを設計する際に決定された経路に沿って行われる。このため、従来は、上述した工場内立会検査(FAT)、現地受入検査(SAT)、及び総合確認試験(SIT)を順に実施する必要があり、プロセス制御システムの構築に長時間を要するという問題があった。
【0009】
尚、プラントの規模にも依存するが、プラント設計(構築すべきプロセス制御システムを含めたプラントの仕様設計)が完了してから、プロセス制御システムを含めたプラントの本稼働が開始されるまでに1〜2年程度の時間を要する。また、上述した3つの工程(工場内立会検査(FAT)、現地受入検査(SAT)、及び総合確認試験(SIT))を完了するには3ヶ月程度の時間を要する。
【0010】
ここで、コントローラより上位に設けられる装置に対する設定は、プロセス制御に係る論理的設定が主となる。これに対し、フィールド機器やI/Oモジュール等の機器の設定や確認は、測定レンジの設定や、その測定レンジ内における測定/動作精度確認等の物理的設定が主となる。このため、これらを並列して行うことができれば、上述した3つの工程に要する時間を短縮することができ、その短縮した時間の分だけプロセス制御システムを含めたプラントの本稼働を早めることができると考えられる。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、従来よりもプロセス制御システムの構築に要する時間を短縮することが可能な設定装置
、I/Oモジュール、及びプロセス制御システムの構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のI/Oモジュールは、フィールド機器(11)が接続される複数の接続部(P)を有する第1インターフェイス(21)と、前記フィールド機器を制御するコントローラ(13)が接続される第2インターフェイス(22)とを備え、複数の前記フィールド機器を前記コントローラに接続するI/Oモジュール(12)において、外部の設定装置(17)が接続される第3インターフェイス(23)と、前記第3インターフェイスを介して入力される前記設定装置からの設定指示に基づき、前記第1インターフェイスに設けられた前記接続部の各々に、前記接続部の各々を論理的に識別するタグ情報(T1)を設定する設定部(24)とを備えることを特徴としている。
また、本発明のI/Oモジュールは、前記設定部が、前記第3インターフェイスを介して入力される前記設定装置からの設定指示に基づき、前記タグ情報を用いて、前記接続部の入出力に係る設定を行うことを特徴としている。
また、本発明のI/Oモジュールは、前記接続部が、前記設定装置からの設定指示に基づき、前記フィールド機器からのアナログ信号の入力、前記フィールド機器へのアナログ信号の出力、前記フィールド機器からのディジタル信号の入力、及び前記フィールド機器へのディジタル信号の出力の何れかを行うように設定されることを特徴としている。
また、本発明のI/Oモジュールは、前記設定部が、前記第3インターフェイスを介して入力される前記設定装置からの設定指示に基づき、前記タグ情報を用いて、設定が行われた前記接続部に接続された前記フィールド機器の設定を行うことを特徴としている。
また、本発明のI/Oモジュールは、前記第3インターフェイスを介して入力される前記設定装置からの確認指示に基づき、前記タグ情報を用いて、設定が行われた前記フィールド機器の状態の確認を行う試験部(25)を備えることを特徴としている。
また、本発明のI/Oモジュールは、前記第2インターフェイスを介して入力される前記コントローラからの指示、或いは前記第3インターフェイスを介して入力される前記設定装置からの指示に基づいて、前記第3インターフェイスを介して入力される前記設定装置からの指示、或いは前記第2インターフェイスを介して入力される前記コントローラからの指示を遮断する遮断部(26、27、28)を備えることを特徴としている。
或いは、本発明のI/Oモジュールは、前記第2インターフェイスと前記設定部及び前記試験部との間を開状態又は閉状態にする第1スイッチ(26)と、前記第3インターフェイスと前記設定部及び前記試験部との間を開状態又は閉状態にする第2スイッチ(27)と、前記第2インターフェイスを介して入力される前記コントローラからの指示、或いは前記第3インターフェイスを介して入力される前記設定装置からの指示に基づいて、前記第1,第2スイッチの何れか一方を閉状態に設定し、何れか他方を開状態に設定する開閉設定部(28)とを備えることを特徴としている。
また、本発明のI/Oモジュールは、前記接続部の各々に設定された前記タグ情報を記憶する記憶部(M)を備えることを特徴としている。
本発明の設定装置は、上記の何れかに記載のI/Oモジュール(12)に接続される設定装置(17)であって、前記I/Oモジュールの前記第3インターフェイスに接続される下位インターフェイス(32)と、前記フィールド機器と前記I/Oモジュールとの間の入出力に係る設定情報(L1、L2)を格納する格納部(33)と、前記格納部に格納された前記設定情報を用いて、前記I/Oモジュール及び前記フィールド機器の少なくとも一方に対する前記設定指示を、前記下位インターフェイスを介して行う指示部(34a)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の設定装置は、前記下位インターフェイスを介して、前記I/Oモジュールに接続された前記フィールド機器の状態の確認を行うチェック部(34c)を備えることを特徴としている。
また、本発明の設定装置は、前記格納部が、前記フィールド機器について確認すべき項目及び手順を規定するチェック情報(DB3)を格納しており、前記チェック部が、前記格納部に格納された前記チェック情報に基づいて、前記フィールド機器の状態の確認を行うことを特徴としている。
また、本発明の設定装置は、前記チェック部が、前記フィールド機器の状態の確認を行って得られた確認情報に、前記フィールド機器の状態の確認を行った時刻を示す時刻情報を加えて履歴情報(DB2)として前記格納部に格納することを特徴としている。
また、本発明の設定装置は、前記チェック部が、前記フィールド機器の状態の確認状況を示す進捗情報を、表示させ或いは外部に通知させることを特徴としている。
また、本発明の設定装置は、前記設定情報が、前記I/Oモジュールの前記第1インターフェイスに設けられた前記接続部の各々に設定される前記タグ情報(T1)と、前記接続部に接続される前記フィールド機器における入出力情報(J1)とが対応づけられた第1設定情報(L1)と、前記接続部の各々を論理的に識別するために前記コントローラで用いられるタグ情報(T2)と、前記接続部における入出力情報(J2)とが対応づけられた第2設定情報(L2)とを含むことを特徴としている。
また、本発明の設定装置は、前記第1設定情報に含まれる前記タグ情報と、第2設定情報に含まれる前記タグ情報との対応付けを行って、前記接続部における入出力情報と前記フィールド機器における入出力情報とを結合させる結合部(34d)を備えることを特徴としている。
また、本発明の設定装置は、上位装置(15)又はオフラインの装置に接続される上位インターフェイス(31)を備えており、前記格納部に格納される前記設定情報が、前記上位インターフェイスを介して前記上位装置から得られることを特徴としている。
本発明のプロセス制御システムの構築方法は、工業プロセスの制御を行うプロセス制御システム(1)の構築方法であって、上記の何れかに記載のI/Oモジュールと前記フィールド機器とを現場に設置して配線を行い、前記I/Oモジュールに接続された前記設定装置を用いて、前記I/Oモジュール及び前記フィールド機器の設定を行う第1工程(S32、S33、S35)を有することを特徴としている。
また、本発明のプロセス制御システムの構築方法は、前記第1工程が、前記フィールド機器が接続された複数の前記I/Oモジュールの各々に前記設定装置を接続し、複数の前記I/Oモジュール及び前記フィールド機器の設定を複数並列に又は個別に行う工程であることを特徴としている。
また、本発明のプロセス制御システムの構築方法は、前記第1工程とは独立して、前記I/Oモジュールの前記第1インターフェイスに設けられた前記接続部の各々を論理的に識別するタグ情報(T2)を用いて、前記フィールド機器を制御する前記コントローラの設計を行う第2工程(S41)と、前記第2工程で設計された前記コントローラを前記現場に設置して前記I/Oモジュールに接続し、前記コントローラで用いられるタグ情報(T2)と、前記I/Oモジュールで設定されたタグ情報(T1)との対応付けを行って、前記プロセス制御システムの試験を行う第3工程(S52、S54、S55、S61)とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、I/Oモジュールの第3インターフェイスを介して入力される設定装置からの設定指示に基づき、I/Oモジュールの第1インターフェイスに設けられた接続部の各々に、接続部の各々を論理的に識別するタグ情報が設定される。このため、設定装置からの設定指示に基づき、接続部に設定されたタグ情報を用いて、I/Oモジュールの入出力に係る設定やフィールド機器に対する設定を行うことができる。これにより、I/Oモジュールにコントローラが接続されていない状態であっても、フィールド機器及びI/Oモジュールに対する設定等を行うことができる。その結果、フィールド機器及びI/Oモジュールに対する設定等とコントローラの設計とを並列して行うことができるため、従来よりもプロセス制御システムの構築に要する時間を短縮することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態によるI/Oモジュール、設定装置、及びプロセス制御システムの構築方法について詳細に説明する。
【0016】
〔プロセス制御システム〕
図1は、プロセス制御システムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示す通り、プロセス制御システム1は、フィールド機器11、I/Oモジュール12、コントローラ13、操作監視端末14、エンジニアリング端末15、及び計装データベース16を備えており、操作監視端末14からの指示等に応じてコントローラ13がフィールド機器11を制御することによってプラント(図示省略)で実現される工業プロセスの制御を行う。尚、詳細は後述するが、プロセス制御システム1は、設定装置17によってI/Oモジュール12及びフィールド機器11に対する各種設定が行われつつ構築される。
【0017】
ここで、フィールド機器11とI/Oモジュール12とは伝送線C1によって接続されており、I/Oモジュール12とコントローラ13とはケーブルC2によって接続されている。また、コントローラ13、操作監視端末14、エンジニアリング端末15、及び計装データベース16は、制御ネットワークNに接続されている。尚、制御ネットワークNは、例えばプラントの現場と監視室との間を接続するネットワークである。
【0018】
フィールド機器11は、例えば流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、その他のプラントの現場に設置される機器である。尚、本実施形態では、理解を容易にするために、制御すべき工業プロセスにおける状態量が流体の流量である場合を例に挙げて説明する。このため、
図1においては、プラントに設置された複数のフィールド機器11のうちの流体の流量を測定する1つのセンサ機器11aと流体の流量を制御(操作)する1つのバルブ機器11bとを図示している。
【0019】
I/Oモジュール12は、フィールド機器11とコントローラ13との間に設けられ、複数のフィールド機器11が接続可能であり、接続されたフィールド機器11とコントローラ13との間で入出力される信号の処理を行う。例えば、フィールド機器11から得られる信号を、コントローラ13が受信可能な信号に変換する処理を行う。このI/Oモジュール12は、複数のフィールド機器11をコントローラ13に接続し、フィールド機器11で入出力される信号とコントローラ13で入出力される信号との中継を行うモジュールであるということもできる。尚、I/Oモジュール12の詳細については後述する。
【0020】
コントローラ13は、操作監視端末14からの指示等に応じてフィールド機器11との間で通信を行ってフィールド機器11の制御を行う。具体的に、コントローラ13は、あるフィールド機器11(例えば、センサ機器11a)で測定されたプロセス値を取得し、他のフィールド機器11(例えば、バルブ機器11b)の操作量を演算して送信することによって、他のフィールド機器11(例えば、バルブ機器11b)を制御する。
【0021】
操作監視端末14は、例えばプラントの運転員によって操作されてプロセスの監視のために用いられる端末である。具体的に、操作監視端末14は、フィールド機器11の入出力データをコントローラ13から取得してプロセス制御システム1を構成するフィールド機器11やコントローラ13の挙動を運転員に伝えるとともに、運転員の指示に基づいてコントローラ13の制御を行う。
【0022】
エンジニアリング端末15は、計装データベース16に格納された設計情報(プロセス制御システム1を含めたプラントの設計情報)に基づいて、フィールド機器11、I/Oモジュール12、及びコントローラ13に設定すべき情報を作成する。このエンジニアリング端末15によって作成される情報としては、フィールド機器11とI/Oモジュール12との間の入出力に係る情報であるI/OリストL1,L2(設定情報:詳細は後述する)が挙げられる。計装データベース16は、エンジニアリング端末15で参照される上記の設計情報を格納する。
【0023】
設定装置17は、プロセス制御システム1を構築する際に、エンジニアリング端末15から得られるI/OリストL1,L2を用いて、フィールド機器11及びI/Oモジュール12に対する各種設定を行うための装置である。本実施形態では、設定装置17を用いることで、コントローラ13がI/Oモジュール12に接続されていない状態であっても、フィールド機器11及びI/Oモジュール12に対する設定や調整、及びフィールド機器11とI/Oモジュール12との間の接続試験等が可能である。尚、設定装置17の詳細については後述する。
【0024】
〔I/Oモジュール〕
図2は、本発明の一実施形態によるI/Oモジュールの要部構成を示すブロック図である。
図2に示す通り、I/Oモジュール12は、I/Oポートインターフェイス21(第1インターフェイス)、制御層インターフェイス22(第2インターフェイス)、設定装置接続用インターフェイス23(第3インターフェイス)、機器設定部24(設定部)、試験部25、スイッチ26(遮断部、第1スイッチ)、スイッチ27(遮断部、第2スイッチ)、及び切替部28(遮断部、開閉設定部)を備える。
【0025】
I/Oポートインターフェイス21は、フィールド機器11が接続される複数のI/OポートP(接続部)を有しており、I/OポートPに接続されているフィールド機器11との間で各種信号の授受を行う。このI/Oポートインターフェイス21は、設定装置17の指示に基づいて機器設定部24によってI/OポートPの各々に設定されるI/OタグT1(タグ情報)を記憶するメモリM(記憶部)を備える。
【0026】
ここで、I/OポートPは、フィールド機器11からのアナログ信号の入力、フィールド機器11へのアナログ信号の出力、フィールド機器11からのディジタル信号の入力(ディスクリート入力)、及びフィールド機器11へのディジタル信号の出力(ディスクリート出力)を行うことが可能である。I/OポートPに上記の入出力の何れを行わせるかは、設定装置17の指示に基づいて機器設定部24によって設定される。
【0027】
制御層インターフェイス22は、ケーブルC2に接続されて、制御層に設けられるコントローラ13との間でケーブルC2を介した各種信号の授受を行う。設定装置接続用インターフェイス23は、不図示の接続ケーブルにより、或いは無線接続により接続された設定装置17との間で各種信号の授受を行う。この設定装置接続用インターフェイス23としては、例えばUSB(Universal Serial Bus)やイーサネット(登録商標)等の有線インターフェイス、或いは、Wi−Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の無線通信規格に準拠した無線通信を行う無線インターフェイスを用いることができる。
【0028】
機器設定部24は、設定装置接続用インターフェイス23を介して入力される設定装置17からの設定指示、或いは制御層インターフェイス22を介して入力されるコントローラ13からの設定指示に基づいて、I/Oポートインターフェイス21に対する各種設定、及びフィールド機器11に対する各種設定を行う。例えば、機器設定部24は、設定装置接続用インターフェイス23を介して入力される設定装置17からの設定指示に基づき、I/OポートPの各々にI/OタグT1を設定する。
【0029】
また、機器設定部24は、設定装置接続用インターフェイス23を介して入力される設定装置17からの設定指示に基づき、上記のI/OタグT1を用いて、I/OポートPの入出力に係る設定を行う。具体的に、機器設定部24は、I/OポートPの各々について、フィールド機器11からのアナログ信号の入力、フィールド機器11へのアナログ信号の出力、フィールド機器11からのディジタル信号の入力、及びフィールド機器11へのディジタル信号の出力の何れかを行うように設定する。
【0030】
また、機器設定部24は、設定装置接続用インターフェイス23を介して入力される設定装置17からの設定指示に基づき、上記のI/OタグT1を用いて、上記の設定が行われたI/OポートPに接続されたフィールド機器11の設定を行う。尚、フィールド機器11に対して行われる設定は、例えばフィールド機器11の各々に固有なアドレス(機器アドレス)の設定、フィールド機器11の各々に固有な動作条件の設定等が挙げられる。
【0031】
試験部25は、設定装置接続用インターフェイス23を介した設定装置17からの確認指示が入力された場合、或いは制御層インターフェイス22を介したコントローラ13からの確認指示が入力された場合には、I/OポートP及びフィールド機器11の状態の確認試験を行う。例えば、試験部25は、I/OポートPの入出力に係る設定が正常に行われているか否か、或いはI/OポートPとフィールド機器11との間の接続が正常に行われているか否か等を確認する確認試験を行う。
【0032】
尚、詳細は後述するが、I/OポートP及びフィールド機器11の状態の確認試験は、設定装置17が主体となって行われる場合もある。このように、設定装置17が主体となる場合には、試験部25は、自ら確認試験は行わず、設定装置17とI/Oポートインターフェイス21との間で送受信される各種信号の中継のみを行う。例えば、設定装置17からの試験信号をI/Oポートインターフェイス21に出力し、I/Oポートインターフェイス21で得られた確認試験の結果を示す信号を、設定装置17が接続された設定装置接続用インターフェイス23に出力するといった具合である。
【0033】
スイッチ26は、切替部28からの指示により、制御層インターフェイス22と機器設定部24及び試験部25との間を開状態又は閉状態にする。スイッチ27は、切替部28からの指示により、設定装置接続用インターフェイス23と機器設定部24及び試験部25との間を開状態又は閉状態にする。尚、これらスイッチ26,27は、機械的なスイッチであっても良く、ソフトウェアによって実現されるスイッチであっても良い。
【0034】
切替部28は、制御層インターフェイス22を介して入力されるコントローラ13からの指示、或いは設定装置接続用インターフェイスを介して入力される設定装置17からの指示に基づいて、スイッチ26,27の何れか一方を閉状態に設定し、何れか他方を開状態に設定する。つまり、これらスイッチ26,27及び切替部28は、制御層インターフェイス22を介して入力されるコントローラ13からの指示と、設定装置接続用インターフェイス23を介して入力される設定装置17からの指示とを排他的に遮断する。
【0035】
即ち、制御層インターフェイス22を介して入力されるコントローラ13からの指示に基づいて、設定装置接続用インターフェイス23を介して入力される設定装置17からの指示を遮断する。或いは、設定装置接続用インターフェイス23を介して入力される設定装置17からの指示に基づいて、制御層インターフェイス22を介して入力されるコントローラ13からの指示を遮断する。このようにするのは、コントローラ13からの指示及び設定装置17からの指示の何れか一方が、何れか他方に影響を及ぼさないようにするためである。
【0036】
〔設定装置〕
図3は、本発明の一実施形態による設定装置の要部構成を示すブロック図である。
図3に示す通り、設定装置17は、上位層インターフェイス31(上位インターフェイス)、下位層インターフェイス32(下位インターフェイス)、格納部33、制御処理部34、及び操作表示部35を備える。このような設定装置は、例えばデスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータにより実現される。
【0037】
上位層インターフェイス31は、コントローラ13よりも上位に位置づけられるエンジニアリング端末15(上位装置)に接続され、エンジニアリング端末15との間で各種情報の授受を行う。例えば、エンジニアリング端末15から、フィールド機器11とI/Oモジュール12との間の入出力に係る情報であるI/OリストL1,L2(
図1参照)を受け取る。尚、上位層インターフェイス31は、エンジニアリング端末15に直接接続されるものであっても良く、制御ネットワークNを介して間接的にエンジニアリング端末15に接続されるものであっても良い。また、上位層インターフェイス31は、オフライン状態にあるエンジニアリング端末に接続されていても良い。
【0038】
下位層インターフェイス32は、I/Oモジュール12の設定装置接続用インターフェイス23に接続され、I/Oモジュール12との間で各種情報の授受を行う。この下位層インターフェイス32としては、上述したI/Oモジュール12に設けられる設定装置接続用インターフェイス23と同様に、有線インターフェイスや無線インターフェイスを用いることができる。
【0039】
格納部33は、例えばハードディスク等の外部記憶装置を備えており、機器リストマッピングデータベースDB1、履歴データベースDB2(履歴情報)、及びチェックリストデータベースDB3(チェック情報)を格納する。ここで、機器リストマッピングデータベースDB1は、フィールド機器11及びI/Oモジュール12に対する各種設定値(設計上の設定値及び実際の設定値)、フィールド機器11及びI/Oモジュール12の配線を示す配線情報や位置を示す位置情報等が格納されるデータベースである。
【0040】
履歴データベースDB2は、フィールド機器11及びI/Oモジュール12に対して行われた作業履歴(具体的な作業内容と作業が行われた日時とが対応づけられている履歴)が格納されるデータベースである。この履歴データベースDB2には、例えばI/OポートP及びフィールド機器11の状態の確認試験を行って得られた情報(確認情報)に、確認試験が行われた時刻を示す情報(時刻情報)が加えられた情報が格納される。
【0041】
チェックリストデータベースDB3は、フィールド機器11或いはI/Oモジュール12について確認すべき項目(チェック項目)及び手順(チェック手順)を規定する情報(チェック情報)や、その結果が格納されるデータベースである。このチェックリストデータベースDB3には、上記のチェック項目として、例えば「入力チェック」、「出力チェック」、「入力ループチェック」、「出力ループチェック」等が格納されている。尚、上記の「入力チェック」及び「出力チェック」は、入出力信号の種別(電流入力、パルス入力、mV入力、熱電対入力等の別)を確認するための項目である。
【0042】
制御処理部34は、設定装置17の動作を統括して制御するとともに、フィールド機器11及びI/Oモジュール12の各種設定を行うために必要な処理を行う。この制御処理部34は、設定指示部34a(指示部)、設定確認部34b、チェック部34c、及びI/Oタグ結合部34d(結合部)を備える。設定指示部34aは、格納部33に格納された各データベースの情報を用いて、上述したI/Oモジュール12及びフィールド機器11に対する設定指示を、下位層インターフェイス32を介して行う。
【0043】
設定確認部34bは、上述したI/Oモジュール12及びフィールド機器11に対する確認指示を、下位層インターフェイス32を介して行う。また、設定確認部34bは、上記の確認指示を行って下位層インターフェイス32から得られる情報と、格納部33に格納された各データベースの情報とを比較する。そして、その比較結果を操作表示部35に表示させ、或いは上位層インターフェイス31を介してエンジニアリング端末15に通知させる。
【0044】
チェック部34cは、I/Oモジュール12の試験部25と同様に、I/OポートP及びフィールド機器11の状態の確認試験を行う。具体的に、チェック部34cは、格納部33のチェックリストデータベースDB3に格納されたチェック情報に基づいて、I/OポートP及びフィールド機器11の状態の確認試験を行う。例えば、チェック部34cは、I/OポートPの入出力に係る設定が正常に行われているか否か、或いはI/OポートPとフィールド機器11との間の接続が正常に行われているか否か等を確認する確認試験を行う。
【0045】
また、チェック部34cは、I/OポートP及びフィールド機器11の状態の確認試験を行って得られた情報(確認情報)に、確認試験が行われた時刻を示す情報(時刻情報)を加えた情報を、履歴データベースDB2に格納する。このような情報を履歴データベースDB2に格納するのは、I/OポートP及びフィールド機器11に対してどのような確認試験がいつ行われ、どのような結果が得られたのかを記録するためである。
【0046】
また、チェック部34cは、I/OポートP及びフィールド機器11の状態の確認試験の状況を示す進捗情報を操作表示部35に表示させ、或いは上位層インターフェイス31から外部(例えば、エンジニアリング端末15)に通知させる。上記の確認試験は、複数のI/Oモジュール12に対して並列して行われる場合がある(詳細は後述する)。進捗情報が操作表示部35に表示されることで、その設定装置17が接続されているI/Oモジュール12及びフィールド機器11についての確認試験の状況を把握することができる。また、進捗情報が外部(例えば、エンジニアリング端末15)に通知されることで、全体(或いは、対象範囲内)の確認試験の状況(複数のI/Oモジュール12及びフィールド機器11についての確認試験の状況)を把握することができる。
【0047】
I/Oタグ結合部34dは、コントローラ13で用いられるI/OタグT2(
図4(b)参照)と、I/Oモジュール12のI/OポートPの各々に設定されたI/OタグT1との対応付けを行う。詳細は後述するが、上記のI/OタグT1は、
図1に示すI/OリストL1に含まれており、上記のI/OタグT2は、
図1に示すI/OリストL2に含まれている。I/Oタグ結合部34dが、I/OタグT1,T2の対応付けを行うのは、I/OポートPにおける入出力情報J1と、I/OポートPに接続されているフィールド機器11における入出力情報J2とを結合させるためである。
【0048】
操作表示部35は、例えば表示機能と操作機能とを兼ね備えるタッチパネル式の液晶表示装置を備えており、制御処理部34から出力される各種情報を表示し、液晶表示装置の表示面に対する操作が行われた場合には、その操作に応じた操作信号を制御処理部34に出力する。尚、操作表示部35は、例えば液晶表示装置とキーボードとのように、表示機能と操作機能とが物理的に分離されているものであっても良い
【0049】
ここで、上述したI/OリストL1,L2について説明する。
図4は、本発明の一実施形態による設定装置で用いられるI/Oリストの一例を示す図である。尚、
図4(a)は、I/OリストL1の一例を示す図であって、
図4(b)は、I/OリストL2の一例を示す図である。これらI/OリストL1,L2は、
図1に示す通り、計装データベース16に格納された設計情報に基づいてエンジニアリング端末15によって作成されて設定装置17に取り込まれる。
【0050】
図4(a)に示す通り、I/OリストL1は、I/Oモジュール12のI/OポートPの各々に設定されるI/OタグT1と、I/OポートPに接続されるフィールド機器11における入出力情報J1とが対応づけられたリストである。
図4(a)に示す例では、フィールド機器11における入出力情報J1として、「P&IDタグ」、「I/Oタイプ」、「通信方式」、「機器アドレス」、「機器モデル名」、「チャネル情報」等が挙げられている。
【0051】
「P&IDタグ」は、プラントの配管・計装図(P&ID:Piping and Instrumentation Diagram)において、I/Oモジュール12に設けられたI/OポートPの各々を論理的に示すために用いられるタグである。「I/Oタイプ」は、フィールド機器11の入出力の種別(アナログ信号の入力(AI)、アナログ信号の出力(AO)、ディジタル信号の入力(D1)、ディジタル信号(DO)等)を示す情報である。
【0052】
「通信方式」は、フィールド機器11で用いられる通信方式を示す情報である。
図4(a)に示す例では、4−20mA信号を用いた通信方式、HART(登録商標)に準拠した通信方式、FF(ファウンデーションフィールドバス:Foundation Fieldbus(登録商標))に準拠した通信方式が例示されている。「機器アドレス」は、フィールド機器11に割り当てられるアドレスを示す情報であり、「機器モデル名」は、フィールド機器11の形式(モデル名)を示す情報であり、「チャネル情報」は、フィールド機器11で用いられる通信チャネルを示す情報である。
【0053】
図4(b)に示す通り、I/OリストL2は、I/Oモジュール12のI/OポートPの各々を論理的に識別するためにコントローラ13で用いられるタグ情報T2と、I/OポートPにおける入出力情報J2とが対応づけられたリストである。
図4(b)に示す例では、I/OポートPにおける入出力情報J2として、「P&IDタグ」、「機器タイプ」、「I/Oタイプ」、「レンジ」、「工業単位」等が挙げられている。
【0054】
「P&IDタグ」及び「I/Oタイプ」は、I/OリストL1の入出力情報J1に含まれるものと同様のものである。「機器タイプ」は、I/OポートPに接続されるフィールド機器11の機能を示す情報である。
図4(b)に示す例では、温度測定、流量測定、流量調整等が例示されている。「レンジ」は、I/OポートPで入出力される信号の大きさの範囲(レンジ)を示す情報である。「工業単位」は、I/OポートPで入出力される信号についての単位を示す情報である。例えば、I/OポートPで入出力される信号が温度を示す信号である場合には、「工業単位」として“℃”が規定される。
【0055】
〔プロセス制御システムの構築方法〕
図5は、
図1に示すプロセス制御システムを構築する大まかな手順を示すフローチャートである。
図5に示す通り、まず構築すべきプロセス制御システム1を含めたプラントの仕様設計であるプラント設計が行われる(工程S1)。次に、プラント設計によって仕様が決定されたプロセス制御システム1を構成する機器(フィールド機器11、I/Oモジュール12、コントローラ13等)の生産が行われる(工程S2)。
【0056】
続いて、生産された機器のうち、フィールド機器11及びI/Oモジュール12についての現地受入検査(SAT)が行われる(工程S3)。この現地受入検査(SAT)は、I/Oモジュール12がコントローラ13に接続されていない状態で、複数の設定装置17を用いて並列して(或いは、個別に)行われる。例えば、N(Nは2以上の整数)台の設定装置17が用いられる場合には、
図5に示す通り、N並列で行われる。尚、上記の現地受入検査(SAT)は、時間をずらして個別に行われることもある。
【0057】
具体的に、フィールド機器11及びI/Oモジュール12についての現地受入検査(SAT)では、まず工場から出荷(工程S31)されたフィールド機器11及びI/Oモジュール12が、現地(プラントの現場)に設置され、配線が行われて伝送線C1によって接続された状態にされる(工程S32:第1工程)。次に、設定装置17を用いてI/Oモジュール12(
図5中では「IOM」と表記)にI/OタグT1が設定された上で、I/Oモジュール12に入出力される信号の種別が設定される(工程S33:第1工程)。続いて、設定装置17を用いてフィールド機器11(
図5中では「FD」と表記)とI/Oモジュール12との接続が正常に行われているか否かが確認(チェック)される(工程S34)。
【0058】
次いで、設定装置17を用いてフィールド機器11に対する各種の設定や調整が行われる(工程S35:第1工程)。尚、フィールド機器11に対して行われる設定は、例えばフィールド機器11の各々に固有なアドレス(機器アドレス)の設定、フィールド機器11の各々に固有な動作条件の設定等である。最後に、設定装置17を用いてフィールド機器11とI/Oモジュール12との間で、信号が正常に入出力されるか否かが確認(チェック)される(工程S36)。尚、設定装置17を用いて行われる上記の設定や確認(工程S33〜S36)の手順については後述する。
【0059】
また、上述したフィールド機器11及びI/Oモジュール12についての現地受入検査(SAT)(工程S3)とは独立して、コントローラ13についての工場内立会検査(FAT)が行われる(工程S4)。具体的には、工程S1のプラント設計によって決定された仕様を満たすように、コントローラ13で用いられる制御プログラムの設計や設定が行われる(工程S41:第2工程)。尚、この段階では、前述したI/OタグT2(
図4(b)参照)を用いて制御プログラムの設計等が行われる。そして、制御プログラムが完成すると、その制御プログラムを含めたコントローラ13の検査が行われる(工程S42)。
【0060】
コントローラ13についての工場内立会検査(FAT)が完了すると、上述したフィールド機器11及びI/Oモジュール12についての現地受入検査(SAT)(工程S3)とは独立して、コントローラ13についての現地受入検査(SAT)が行われる(工程S5)。尚、この現地受入検査(SAT)では、途中からI/Oモジュール12がコントローラ13に接続された状態での検査も行われる。
【0061】
具体的に、コントローラ13についての現地受入検査(SAT)では、まず工場から出荷(工程S51)されたコントローラ13が、現地(プラントの現場)に据え付けられ、制御ネットワークNに接続された状態にされる(工程S52)。次に、コントローラ13(
図5中では「CTL」と表記)と操作監視端末14(
図5中では「HMI」と表記)との間で、制御ネットワークNを介した信号の送受信が正常に行われるか否かが確認(チェック)される(工程S53)。
【0062】
次いで、コントローラ13とI/Oモジュール12とがケーブルC2によって接続された状態にされる(工程S54)。ここで、工程S33でI/Oモジュール12のI/OポートPに設定されたI/OタグT1と、工程S41で制御プログラムの設計に用いられたI/OタグT2との対応付けは、設定装置17を用いて行われる。尚、前述した工程S34において、フィールド機器11とI/Oモジュール12との接続等が現地の状況に応じて変更されている場合には、その変更の内容を示す情報がI/Oモジュール12からコントローラ13に送信されて、コントローラ13内で反映される。最後に、I/Oモジュール12と操作監視端末14との間で、コントローラ13及び制御ネットワークNを介した信号の送受信が正常に行われるか否かが確認(チェック)される(工程S55)。
【0063】
以上の工程が終了すると、プラントに構築されたプロセス制御システム1が、全体として設計通り連携して動作するか否かを確認する試験である総合確認試験(SIT)が行われる(工程S6)。具体的には、フィールド機器11と操作監視端末14との間で、I/Oモジュール12、コントローラ13、及び制御ネットワークNを介した信号の送受信が正常に行われるか否かが確認(チェック)される(工程S61)。以上のプロセス制御システム1についての総合確認試験(SIT)が正常に完了すると、プラント等に構築されたプロセス制御システム1の試運転が行われ、試運転が正常に終了すると本稼働に移行する(工程S7)。
【0064】
図6は、本発明の一実施形態による設定装置を用いて行われる各種設定の作業手順を示すフローチャートである。作業が開始されると、まず設定装置17の上位層インターフェイス31がエンジニアリング端末15に接続される(工程S11)。尚、設定装置17は、エンジニアリング端末15に直接接続されても良く、制御ネットワークNを介して間接的にエンジニアリング端末15に接続されても良い。
【0065】
次に、エンジニアリング端末15で作成されたI/OリストL1,L2が設定装置17に取得されて、格納部33の各データベース(機器リストマッピングデータベースDB1、履歴データベースDB2、及びチェックリストデータベースDB3)に格納される(工程S12)。尚、エンジニアリング端末15で作成されたI/OリストL2(
図4(b)参照)は、
図5中の工程S41において、コントローラ13で用いられる制御プログラムを設計するためにも用いられる。
【0066】
次いで、エンジニアリング端末15から設定装置17が取り外される(工程S13)。具体的に、設定装置17がエンジニアリング端末15に直接接続されている場合には、エンジニアリング端末15から取り外され、設定装置17がエンジニアリング端末15に間接的に接続されている場合には、制御ネットワークNから取り外される。取り外された設定装置17は、
図5に示す工程S32にてフィールド機器11及びI/Oモジュール12が設置された現地に移動される(工程S14)。
【0067】
その後、設定装置17の下位層インターフェイス32がI/Oモジュール12の設定装置接続用インターフェイス23に接続される(工程S15)。尚、ここでは、設定装置17がI/Oモジュール12に接続されているが、コントローラ13はI/Oモジュール12に接続されていない。このため、I/Oモジュール12では、切替部28によって、スイッチ27が閉状態に設定され、スイッチ26が開状態に設定される。
【0068】
次に、設定装置17からの設定指示に基づいて、I/Oモジュール12に対する設定及び試験が実施される(工程S16:
図5中の工程S33,S34)。具体的に、設定装置17からの設定指示に基づいて、I/OポートPの各々にI/OタグT1を設定する処理が機器設定部24によって行われる。そして、設定装置17からの設定指示に基づき、
図4(a)に示すI/OリストL1を用いたI/OポートPの入出力に係る設定が、機器設定部24によって行われる。また、設定装置17からの確認指示に基づき、I/OポートPとフィールド機器11との間の接続が正常に行われているか否か等を確認する試験が試験部25によって行われる。
【0069】
続いて、設定装置17からの設定指示に基づいて、フィールド機器11に対する設定及び試験が実施される(工程S17:
図5中の工程S35,S36)。具体的に、設定装置17からの設定指示に基づき、
図4(a)に示すI/OリストL1を用いて、フィールド機器11の各々に固有なアドレス(機器アドレス)を設定する処理、フィールド機器11の各々に固有な動作条件を設定する処理等が機器設定部24によって行われる。また、設定装置17からの確認指示に基づき、フィールド機器11とI/Oモジュール12との間で、信号が正常に入出力されるか否か等を確認する確認が試験部25によって行われる。
【0070】
以上の作業が終了すると、必要に応じてフィールド機器11の設定内容を修正する作業が作業者によって行われる(工程S18)。この作業は、フィールド機器11の設定内容を見直して調整するために行われる作業であって、作業者が設定装置17の操作表示部35を操作することによって行われる。尚、フィールド機器11の設定内容を修正する必要が無い場合には、この作業は省略される。
【0071】
次に、設定装置17の格納部33に格納された各データベースの情報と、フィールド機器11の設定内容(或いは、確認指示により確認された内容)との差異の有無が制御処理部34で判断される(工程S19)。差異があると判断された場合(判断結果が「YES」の場合)には、その差異の発生が操作表示部35に表示され(工程S20)、一連の処理が終了する。尚、上記の差異が発生した場合には、設定装置17がエンジニアリング端末15に接続された後に、差異が発生した旨がエンジニアリング端末15に通知されるようにしても良い。
【0072】
これに対し、上記の差異が無いと判断された場合(工程S19の判断結果が「NO」の場合)には、コントローラ13で用いられるI/OタグT2(
図4(b)参照)と、I/Oモジュール12のI/OポートPの各々に設定されたI/OタグT1とを対応付ける処理がI/Oタグ結合部34dで行われる(工程S21)。具体的には、
図4に示す、I/OリストL1,L2に含まれる「P&IDタグ」を基準としてI/OタグT1,T2の対応付けを行う。
【0073】
図7は、本発明の一実施形態による設定装置で行われるI/Oタグの対応付けを説明するための図である。
図7において、符号R1が付された矩形部分は、
図4(a)に示すI/OリストL1を用いて各種設定が行われたI/Oモジュール12を表している。また符号R2が付された矩形部分は、
図4(b)に示すI/OリストL2を用いて設計されたコントローラ13を表している。
【0074】
図4(a)に示すI/OリストL1では、“TI100”,“FI200”,“FO300”なる「P&IDタグ」には、“I/O−1”,“I/O−2”,“I/O−3”なるI/OタグT1がそれぞれ対応付けられている。また、
図4(b)に示すI/OリストL2では、“TI100”,“FI200”,“FO300”なる「P&IDタグ」には、“I/O−A”,“I/O−B”,“I/O−C”なるI/OタグT2がそれぞれ対応付けられている。
【0075】
このため、I/Oタグ結合部34dは、「P&IDタグ」を基準として、
図7に示す通り、“I/O−1”なるI/OタグT1と“I/O−A”なるI/OタグT2との対応付けを行う。同様に、“I/O−2”なるI/OタグT1と“I/O−B”なるI/OタグT2との対応付けを行い、“I/O−3”なるI/OタグT1と“I/O−C”なるI/OタグT2との対応付けを行う。このような対応付けを行うことで、I/OリストL1の入出力情報J1と、I/OリストL2の入出力情報J2とが結合され、これによりコントローラ13が、I/Oモジュール12を介してフィールド機器11を制御することが可能になる。
【0076】
以上の作業が終了すると、設定装置17がI/Oモジュール12から取り外され(工程S22)、
図6に示す一連の作業が終了する。尚、
図6に示す作業が終了すると、設定が完了したI/Oモジュール12がコントローラ13に接続される(
図5中の工程S54)。尚、ここでは、コントローラ13がI/Oモジュール12に接続されているが、設定装置17はI/Oモジュール12に接続されていない。このため、I/Oモジュール12では、切替部28によって、スイッチ26が閉状態に設定され、スイッチ27が開状態に設定される。
【0077】
そして、I/Oモジュール12と操作監視端末14との間で信号の送受信が正常に行われるか否かの確認(
図5中の工程S55)、及びフィールド機器11と操作監視端末14との間で信号の送受信が正常に行われるか否かの確認(
図5中の工程S56)が行われる。その後、プロセス制御システム1の試運転が行われて、本稼働に移行する(
図5中の工程S7)。
【0078】
以上の通り、本実施形態では、複数のフィールド機器11をコントローラ13に接続するI/Oモジュール12に、設定装置17の接続を可能にする設定装置接続用インターフェイス23を設け、設定装置接続用インターフェイス23を介して入力される設定装置17からの設定指示に基づき、I/OポートPの各々にI/OタグT1を設定するようにしている。そして、設定装置17からの設定指示に基づき、I/OタグT1を用いてI/OポートPの入出力に係る設定を行うとともに、I/OタグT1を用いてフィールド機器11の設定等を行うようにしている。これにより、I/Oモジュール12がコントローラ13に接続されていない状態であっても、フィールド機器11及びI/Oモジュール12に対する設定や調整、及びフィールド機器11とI/Oモジュール12との間の接続試験等が可能である。
【0079】
また、本実施形態では、上記のI/OタグT1とは異なるI/OタグT2を用いてコントローラ13で用いられる制御プログラムの設計や設定を行い、I/Oモジュール12のI/OポートPに設定されたI/OタグT1と、コントローラ13の設計に用いられたI/OタグT2との対応付けを設定装置17により行うようにしている。このため、フィールド機器11及びI/Oモジュール12についての現地受入検査(SAT)(
図5中の工程S3)と、コントローラ13についての工場内立会検査(FAT)(
図5中の工程S4)とを並列して行うことができる。尚、コントローラ13についての現地受入検査(SAT)(
図5中の工程S5)の一部も並列して行うことができる。
【0080】
これにより、工場内立会検査(FAT)、現地受入検査(SAT)、及び総合確認試験(SIT)に要する時間を短縮することができ、その結果としてプロセス制御システム1を含めたプラントの本稼働を早めることができる。つまり、従来よりもプロセス制御システムの構築に要する時間を短縮することができる。尚、プラントの規模にも依存するが、上述した3つの工程(工場内立会検査(FAT)、現地受入検査(SAT)、及び総合確認試験(SIT))を完了するのに要する時間を1ヶ月程度短縮することが可能である。
【0081】
以上、本発明の一実施形態によるI/Oモジュール、設定装置、及びプロセス制御システムの構築方法について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、理解を容易にするために、I/Oモジュール12の3つのインターフェイス(I/Oポートインターフェイス21、制御層インターフェイス22、設定装置接続用インターフェイス23)を明示的に分けて説明した。しかしながら、これらは物理的に同一のインターフェイスで実現されていても良い。但し、セキュリティ上の問題から、プロトコル、アクセス権等で論理的に分離されているのが望ましい。これは、設定装置17の上位層インターフェイス31及び下位層インターフェイス32についても同様である。
【0082】
また、
図6に示す一連の作業を自動化するようにしても良い。具体的には、エンジニアリング端末15から得られるI/OリストL1,L2を用いて、フィールド機器11及びI/Oモジュール12について実施すべき検査、設定、及び検証の項目のリストを設定装置17に予め用意する。そして、例えば、チェック部34cが、この項目のリストを参照して、フィールド機器11及びI/Oモジュール12の検査、設定、検証等の良否判断を順次行うとともに、その進捗状況を順次確認し、その判断結果や進捗状況を示す情報を、ステータスとして時間情報を付与した上で履歴データベースDB2に順次格納する。尚、履歴データベースDB2に格納される情報には、コメント等を付与できるようにするのが好ましい。
【0083】
そして、複数の設定装置17の履歴データベースDB2に格納された情報を、エンジニアリング端末15に集約すれば、全体(或いは、対象範囲内)の検査、設定、検証等の進捗情報を把握することができる。ここで、エンジニアリング端末15に集約する情報は、ステータスの変化があった分のみに限定するのが、通信状況や処理不可を低減する上で好ましい。また、各フィールド機器11の詳細なステータスのとりまとめは設定装置17内で行い、エンジニアリング端末15には概要のステータスのみを通知しても良い。
【0084】
ここで、ステータスの変化を検出する際には、データを変更した時間を示す時間情報を有することにより、設定値が誤って過去に設定された設定値に変更されてしまう事態等を防止することができる。尚、上記の進捗情報は、作業者、管理者等にメールで通知しても良い。また、検査、検証等の完了時には、フィールド機器11等の試験結果(例えば、測定誤差等)を、設定装置17内に保存したり、エンジニアリング端末15に通知したりするようにしても良い。
【0085】
また、I/Oタグ結合部34dでの処理が実行される前に、エンジニアリング端末15にて、当初設計情報と設定装置17の有する現場情報の差分を確認(必要に応じて修正)し、確認後にI/Oタグ結合部34dでの処理を実行するようにしても良い。尚、検査、設定、検証結果等についての報告用ドキュメント作成及び発行機能を設定装置17又はエンジニアリング端末15に保たせても良い。