(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筐体の前記第1接合部が、前記空間側に形成されて前記筐体側内壁部と連続する第2内壁部と、外部側に形成されて前記筐体側外壁部と連続する第2外壁部とを有する前記第2の溝であり、
前記第2接合部が、前記第2の突条であり、
前記第2内壁部と前記第2外壁部の何れか一方の壁部の端面と、前記第1の溝の底面を含む平面とが交差する部分において、他方の壁部は前記一方の壁部よりも高さが高い、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電子制御装置。
前記コネクタの前記第2接合部が、前記空間側に形成されて前記コネクタ側内壁部と連続する第2内壁部と、外部側に形成されて前記コネクタ側外壁部と連続する第2外壁部とを有する前記第2の溝であり、
前記第1接合部が、前記第2の突条であり、
前記第2内壁部と前記第2外壁部の何れか一方の壁部の端面と、前記第1の溝の底面を含む平面とが交差する部分において、他方の壁部は前記一方の壁部よりも高さが高い、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電子制御装置。
前記一方の壁部の端面から前記第1接合部と前記第2接合部のうち前記第2の突条を備える接合部における前記一方の壁部の端面に対向する面までの距離が、前記一方の壁部と前記他方の壁部との高さの差より小さい、
ことを特徴とする、請求項2から4の何れか一項に記載の電子制御装置。
前記第2の溝の前記内壁部は、一部に、前記交差する部分において前記第2の溝の前記外壁部の高さより高く突出した突出部を有し、該突出部を除いて、前記外壁部の高さと等しい高さである
ことを特徴とする、請求項6に記載の電子制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施形態について、
図1乃至
図9を用いて説明する。まず、本実施形態の電子制御装置(ECU)1の構成について
図1を用いて説明する。
【0012】
電子制御装置1は、車輌の内部に配置され、車輌に搭載されるエンジンや自動変速機構などを制御する。このために、電子制御装置1は、
図1(a)に示すように、筐体2と、カバー3と、基板4に接続されたコネクタ5とを備える。筐体2は、例えば、アルミニウム合金を鋳造したアルミダイカスト製で、断面略台形の箱状に形成され、基板4などの電子部品が配置される本体部21と、本体開口部22a(第2開口部)と側方開口部22b(第1開口部)とから構成される開口部22とを有する。開口部22の周囲には、筐体側溝23、24が形成されている。筐体側溝23、24の詳しい形状については後述する。本体開口部22aは、基板4などの電子部品が通過可能な大きさを有し、側方開口部22bは、本体開口部22aと連続するように本体部21の側方に開口している。そして、本体開口部22aの周囲に後述するコネクタ側溝52bと共に第1の溝300(
図3など参照)を構成する筐体側溝23を、側方開口部22bの周囲に第1接合部(第2の溝)としての筐体側溝24をそれぞれ互いに連続するように形成している。側方開口部22bには、後述するコネクタ5が進入可能である。
【0013】
カバー3は、例えば、アルミニウム合金などの金属製の板材をプレス加工により形成したもので、筐体2の開口部22を覆う覆い部31と、覆い部31の周縁に形成された第1の突条としてのカバー側突条32とを有する。本実施形態では、覆い部31は平板状としているが、筐体2の形状や内部に配置される電子部品の形状などによっては、凹凸を有するように形成しても良い。カバー側突条32は、筐体2の本体開口部22aの周囲に形成された筐体側溝23及び次述するコネクタ5に形成されたコネクタ側溝52bと接合自在に形成されている。カバー側突条32の詳しい形状についても後述する。
【0014】
基板4は、その表面に回路パターンが形成され、コンデンサやコイルなどの電子部品が装着されている。このような基板4は、筐体2とカバー3と囲まれる空間40内に配置される。コネクタ5は、この基板4と電気的に接続され、各種機器に接続可能な端子を覆うように設けられた合成樹脂製の外装部51と、外装部51の周囲のうち、側方開口部22bに対向する位置に形成された第2接合部(第2の突条)としてのコネクタ側突条52a(
図5参照)、及び、カバー3側の面上に形成されたコネクタ側溝52bとを有する。コネクタ側突条52a及びコネクタ側溝52bは、それぞれ筐体2の側方開口部22bの周囲に形成された筐体側溝24及びカバー3のカバー側突条32と接合可能である。コネクタ側溝52bは、コネクタ5を筐体2に接合した状態で、筐体2の本体開口部22aの周囲に形成された筐体側溝23と連続し、カバー3のカバー側突条32(第1の突条)が挿入される第1の溝300を構成する。即ち、これら筐体側溝23とコネクタ側溝52bとで一周する溝を構成し、この溝にカバー側突条32が挿入されるようにしている。
【0015】
外装部51は、コネクタ側突条52a及びコネクタ側溝52bよりも基板4と反対側の一部が空間40の外部に露出するように配置され、コネクタ側突条52a及びコネクタ側溝52bよりも基板4側の基部が空間40内に配置されて、基板4に固定されている。また、外装部51の周囲でコネクタ側突条52a及びコネクタ側溝52bよりも外側部分には、外側壁部53が形成されている。コネクタ側突条52a及びコネクタ側溝52bの詳しい形状についても後述する。
【0016】
電子制御装置1は、このような各部材を組み合わせて構成される。即ち、筐体2の内部に基板4を配置すると共に、コネクタ5を筐体2の側方開口部22bに進入させつつコネクタ側突条52aを側方開口部22bの周囲に形成された筐体側溝24に挿入して接合する。次いで、カバー3を筐体2とコネクタ5とで囲まれる空間40を覆うように、且つ、カバー側突条32を筐体2の本体開口部22aの周囲に形成された筐体側溝23及びコネクタ5のコネクタ側溝52bに挿入して接合する。各溝と各突条との接合時には、不図示のシール材を各突条と各溝との間に充填して各接合部をシールする。シール材は、例えば流動性を有するシリコーン系などの樹脂材料であり、充填後に放置されることで固化し、各接合部を接着しつつシールする。これにより、
図1(b)に示すように、各接合部がシールされた筐体2とカバー3とで囲まれる空間40が密封され、密封された空間内に基板4が配置されて、この基板4に接続されたコネクタ5の一部が空間40の外部に露出した電子制御装置1が得られる。
【0017】
各接合部の詳しい構成について、
図2乃至
図6を用いて説明する。まず、
図2を用いてカバー3と筐体2及びコネクタ5との接合について説明する。
図2(a)にカバー3と筐体2との接合部の断面図を、
図2(b)にカバー3とコネクタ5との接合部の断面図をそれぞれ示す。
図2(a)に示すように、カバー3の周囲には、覆い部31の周囲から全周に亙って一方に折り曲げられたカバー側突条32が形成されている。一方、筐体2の本体開口部22aの周囲には筐体側溝23が形成されている。筐体側溝23は、筐体2の外部側に形成された筐体側外壁部としての外壁部23aと、外壁部23aよりも空間40側に外壁部23aと略平行に形成された筐体側内壁部としての内壁部23bと、外壁部23aと内壁部23bとを連続させる底部23cとから構成される。
【0018】
カバー3と筐体2とを接合する場合には、カバー側突条32を筐体側溝23の外壁部23aと内壁部23bとの間に進入させる。この際、例えば、筐体側溝23内にシール材を充填しておくことで、カバー側突条32が筐体側溝23内に進入した際に、カバー側突条32と筐体側溝23との隙間にシール材が行き渡る。この状態でしばらく放置することでシール材が固化して、カバー側突条32と筐体側溝23とが接合される。本実施形態では、外壁部23aの高さを内壁部23bよりも高くして、カバー3を筐体2に接合した状態で、カバー3が外壁部23aの高さの範囲内に収まるようにしている。
【0019】
図2(b)に示すように、コネクタ5の外装部51のカバー3側の面には、コネクタ側溝52bが形成されている。コネクタ側溝52bは、コネクタ5の外部側に形成されたコネクタ側外壁部としての外壁部52b1と、外壁部52b1よりも空間40側に外壁部52b1と略平行に形成されたコネクタ側内壁部としての内壁部52b2と、外壁部52b1と内壁部52b2とを連続させる底部52b3とから構成される。カバー3とコネクタ5とを接合する場合には、カバー側突条32をコネクタ側溝52bの外壁部52b1と内壁部52b2との間に進入させる。この際、例えば、コネクタ側溝52b内にシール材を充填しておくことで、カバー側突条32がコネクタ側溝52b内に進入した際に、カバー側突条32とコネクタ側溝52bとの隙間にシール材が行き渡る。この状態でしばらく放置することでシール材が固化して、カバー側突条32とコネクタ側溝52bとが接合される。本実施形態では、外壁部52b1の高さを内壁部52b2よりも高くして、カバー3をコネクタ5に接合した状態で、カバー3が外壁部52b1の高さの範囲内に収まるようにしている。
【0020】
次に、コネクタ5と筐体2との接合について、
図3乃至
図6を用いて説明する。
図3及び
図4に示すように、コネクタ5は筐体2の側面に開口された側方開口部22b内に進入するように配置される。そして、この状態でコネクタ5のカバー3側の周縁部(
図4の上端縁部)が、筐体2のカバー3側の周縁部とほぼ同じ高さ、或いは、若干コネクタ5側が低くなるようにしている。即ち、
図2に示したコネクタ5側の外壁部52b1と筐体2側の外壁部23aとの高さをほぼ同じとしている。また、上述したように、コネクタ5を筐体2に接合した状態で、コネクタ側溝52bと筐体側溝23と連続して第1の溝300を構成するが、このとき、
図5に示すように、筐体2の内壁部23bとコネクタ5の内壁部52b2とで第1内壁部310を構成する。また、筐体2の外壁部23aとコネクタ5の外壁部52b1とで第1外壁部320を構成する。
【0021】
このようなコネクタ5と筐体2との接合は、
図6に示すように、コネクタ側突条52aを筐体側溝24内に進入させることで行う。本実施形態では、この接合部の位置によって、筐体側溝24を構成する外壁部24aと内壁部24bとの関係を異ならせている。具体的には、
図1(a)、
図4(c)
図5及び
図6に示すように、内壁部24bは、一部に内壁部24bの高さ方向に突出した突出部25を有する。この点について、
図4ないし
図6を用いて詳細に説明する。
【0022】
図6(a)に、コネクタ5と筐体2とのカバー3側の接合部の断面図を、
図6(b)にコネクタ5と筐体2とのカバー3から離れた側の接合部の断面図をそれぞれ示す。
図4(a)、(c)に示すように、筐体2の側方開口部22bの周囲である、側方開口部22bの本体開口部22aと反対側に位置する底部240、及び、底部240から本体開口部22aに向かうほど互いに離れる方向に傾斜した1対の側部241には、筐体側溝24(第2の溝)が形成されている。筐体側溝24は、
図6に示すように、外部側に形成されて第1の溝300の外壁部23aと連続する第2外壁部としての外壁部24aと、外壁部24aよりも空間40側に外壁部24aと略平行に形成されて第1の溝300の内壁部23bと連続する第2内壁部としての内壁部24bと、外壁部24aと内壁部24bとを連続させる底部24cとから構成される。
【0023】
図6(a)に示すように、筐体2の筐体側溝24を構成する内壁部24bは、一部に外壁部24aよりも高さが高い突出部25を有する。言い換えれば、内壁部24bの一部(突出部25)は、筐体側溝24の幅方向(
図6の上下方向)から見た場合に、外壁部24aに対してずらして形成されている。なお、筐体側溝24は、
図6(b)に示すように、突出部25が形成された部分以外は、外壁部24aと内壁部24bとの高さをほぼ同じとしている(等しい高さである)。また、上述のように、外壁部24aは、筐体2の本体開口部22aの周囲に形成された筐体側溝23の外壁部23aと連続し、内壁部24bは、同じく筐体側溝23の内壁部23bと連続している。即ち、筐体側溝23と筐体側溝24とは互いに連続している。そして、
図5に示すように、突出部25を、筐体側溝23の内壁部23bにも形成している。したがって、内壁部23bも、外壁部23aよりも第1の溝300が延出方向(第1の溝300に沿った方向、
図5の左右方向)の高さが高い突出部25を有する。また、後述する
図7に示すように、カバー3のカバー側突条32の一部が筐体側溝24に進入して筐体側溝24とも接合するが、筐体側溝24は筐体側溝23と連続して一体に形成されているため、カバー3と筐体2との接合によるシールも途切れることなく連続して形成される。
【0024】
一方、コネクタ5の外装部51の筐体側溝24と対向する周面には、この周面全体に亙って突出したコネクタ側突条52aが形成されている。外装部51の周面は、
図4(a)に示すように、底面510と、底面510の両端から互いに離れる方向に傾斜した一対の側面511とから構成される。底面510は底部240と対向し、側面511は側部241と対向する。コネクタ側突条52aは、側面511から底面510に亙って突出するように形成される。コネクタ側突条52aの側面511からの突出量は、側面511の傾斜方向に沿ってほぼ同じとしている。したがって、コネクタ側突条52aの側面511に形成された部分の周縁部は、この側面511とほぼ平行となる。なお、外装部51のカバー3側の面には、上述のようにコネクタ側溝52bが形成されており、コネクタ側突条52aは、このコネクタ側溝52bと連続するように形成されている。
【0025】
また、外装部51の側面511のコネクタ側突条52aの空間40側(内側)には、内側溝54a、54bが形成されている。内側溝54a、54bは、上述の側面511から凹むように連続して形成されている。即ち、側面511及びこの側面511に形成されたコネクタ側突条52aは、上述のように底面510から離れる程、1対の側面511及びコネクタ側突条52a同士が互いに離れる方向に傾斜しているが、底面510から離れた部分で内壁部24bの突出部25と対向する内側溝54aは、
図6(a)に示すように、側面511から深く凹み、この突出部25が進入できるようにしている。一方、内側溝54aよりも底面510側に形成された内側溝54bは、
図6(b)に示すように、側面511から浅く凹んでいる。
【0026】
このような内側溝54a、54bは、コネクタ5を側方開口部22bに本体開口部22a側から挿入する際に、内壁部24bの突出部25が通過可能に形成される。特に挿入方向先端側に位置する内側溝54bは、先端側に向かう程、1対の側面511に形成された内側溝54b同士が互いに近づく方向に傾斜させて、コネクタ5の挿入時にこの内側溝54bが突出部25と干渉しないようにしている。また、
図4(c)に示すように、突出部25は、内側溝54aに対向する周縁部の底部240側部分をコネクタ5の挿入方向と略平行となるように形成した案内部25aとして、コネクタ5の挿入時にこの案内部25aにより内側溝54aを案内して、コネクタ5の挿入作業を円滑に行えるようにしている。そして、コネクタ5の筐体2への装着状態では、内側溝54aに突出部25が進入し、内側溝54bに内壁部24bの突出部25よりも底部240側の部分が進入する。即ち、内側溝54a、54bの底面は、突出部25を含む内壁部24bの周縁部の形状に沿った形状としている。
【0027】
また、外装部51の底面510及び側面511のコネクタ側突条52aと外側壁部53との間には、これら底面510及び側面511から凹んだ外側溝55が形成されている。外側溝55の底面は、底面510及び側面511の形状に沿った形状としている。そして、コネクタ5の筐体2への装着状態では、外側溝55に外壁部24aが進入する。また、内側溝54aは、コネクタ側溝52bの内壁部52b2と連続し、外側溝55は、コネクタ側溝52bの外壁部52b1と連続している。そして、
図5に示すように、内壁部52b2の高さを外壁部52b1の高さよりも低くしている。
【0028】
コネクタ5と筐体2とを接合する場合には、コネクタ側突条52aを筐体側溝24の外壁部24aと内壁部24bとの間に進入させる。また、外壁部24aを外側溝55内に、内壁部24bの突出部25を有する部分を内側溝54a内に、内壁部24bの突出部25を有さない部分を内側溝54b内に、それぞれ進入させる。この際、例えば、筐体側溝24内にシール材を充填しておくことで、コネクタ側突条52aが筐体側溝24内に進入した際に、コネクタ側突条52aと筐体側溝24との隙間にシール材が行き渡る。本実施形態では、少なくとも、外壁部24aの周縁と外側溝55の底部との隙間が埋まるように、シール材の量を設定している。なお、突出部25を含む内壁部24bの周縁と内側溝54a、54bの底部との隙間もシール材により埋まるようにすることが好ましい。この状態でしばらく放置することでシール材が固化して、コネクタ側突条52aと筐体側溝24とが接合される。
【0029】
この状態で、コネクタ側溝52bと筐体側溝23と連続して第1の溝300を構成する。そして、
図5に示すように、筐体2の内壁部23bとコネクタ5の内壁部52b2とが第1の溝300が延出する方向に関し隙間311を介して対向し、筐体2の外壁部23aとコネクタ5の外壁部52b1とが第1の溝300が延出する方向に関し隙間321を介して対向する。このとき、隙間311と隙間321との第1の溝300が延出方向の位置が異なる。言い換えれば、隙間311と隙間321とが、第1の溝300の幅方向(
図5の上下方向)から見てずれるように、コネクタ側溝52bと筐体側溝23とが形成されている。
【0030】
ここで、上述のように内壁部24bに突出部25を形成していない比較例について、
図7を用いて説明する。比較例は、突出部25を形成していない以外は上述と同じ構成とし、同一構成には同一の符号を付す。
図7は、筐体2の筐体側溝23、24と、カバー3のカバー側突条32と、コネクタ5のコネクタ側突条52a及びコネクタ側溝52bとが交差する部分の各接合部の関係を模式的に示したものである。
図7の実線は筐体2の構成を、破線はコネクタ5の構成を、二点鎖線はカバー3の構成をそれぞれ示す。なお、後述する
図8も同様である。
【0031】
比較例の場合、筐体側溝23、24(実線)と、カバー側突条32(鎖線)と、コネクタ側突条52a及びコネクタ側溝52b(破線)とが交差する
図7の丸で囲んだ部分αが、シール材のみで接合されてしまう。即ち、第2の溝である筐体側溝24の内壁部24bと外壁部24aの端面と第1の溝である筐体側溝23及びコネクタ側溝52bの底面を含む平面とが交差する部分αが、シール材のみで接合されてしまう。より具体的には、筐体側溝23、24の幅方向(
図7の紙面表裏方向)から見た場合、筐体側溝24の外壁部24a及び内壁部24bとコネクタ5の溝55及び内側溝54bとの間で、且つ、カバー3のカバー側突条32とコネクタ側溝52bとの間となる部分αには、筐体側溝23、24と、カバー側突条32と、コネクタ側突条52a及びコネクタ側溝52bとが何れも存在せず、シール材のみが存在する。
【0032】
これは、コネクタ5が、筐体2の筐体側溝24と接続するコネクタ側突条52aと、カバー3のカバー側突条32と接合するコネクタ側溝52bとを有するため、コネクタ5の外装部51の周面にコネクタ側突条52aとコネクタ側溝52bとが切り換わる部分が生じるためである。この切り換わる部分では、コネクタ側突条52aとコネクタ側溝52bの何れも存在しないため、筐体2とカバー3とコネクタ5との3個の部材を溝に突条を進入させることで接合させる場合、どうしても、この切り換わる部分で溝に突条が進入しない個所が生じてしまう。即ち、溝の幅方向から見た場合に、溝も突条もない個所が生じ、この個所はシール材のみで接合されることになる。このようにシール材のみで接合される部分αは、他の部分に比べてシールとしての剛性が低くなるため、密封性が低くなる傾向にある。
【0033】
これに対して本実施形態の場合、
図8に示すように、この部分αに上述した突出部25が位置するようにしている。即ち、コネクタ側突条52aとコネクタ側溝52bとが切り換わる部分に、筐体側溝24を構成する内壁部24b及び筐体側溝23を構成する内壁部23bの一部を突出させるようにしている。そして、筐体2の内壁部23bとコネクタ5の内壁部52b2との隙間311と、筐体2の外壁部23aとコネクタ5の外壁部52b1と隙間321との第1の溝300が延出方向の位置が異なるようにしている。言い換えれば、筐体側溝24の内壁部24bと外壁部24aの何れか一方の壁部である外壁部24aの端面と、筐体側溝23及びコネクタ側溝52bの底面を含む平面とが交差する部分において、他方の壁部である内壁部24bは外壁部24aよりも高さが高い。更に言い換えれば、内壁部24bが上述の交差する部分αと筐体側溝23、24の幅方向(
図8の紙面表裏方向)から見て重なるように、外壁部24aに対してずらして形成されている。ここで、交差する部分からカバー3のカバー側突条32の端部までを含む領域において、内壁部24bは外壁部24aよりも高さが高い。また、外壁部24aの端面からコネクタ5の外壁部24aの端面に対向する面であるコネクタ5の溝55の底面までの距離が、外壁部24aと内壁部24bとの高さの差より小さい。
【0034】
図9に具体例を示すと、
図9(a)の丸で囲んだ部分αが上述の交差する部分であるとすると、
図9(b)に示すように、筐体2の筐体側溝24の内壁部24b及び筐体側溝23を構成する内壁部23bの一部に突出部25を形成して、この交差する部分αと突出部25とが幅方向から見て重なるようにしている。なお、突出部25の形状は、
図9では略台形としているが、上述の交差する部分と重なるように形成されれば、三角形状、半円状など他の形状であっても良い。但し、コネクタ5を側方開口部22bに本体開口部22a側から挿入する際に、突出部25が内側溝54a、54bを通過可能で、且つ、突出部25が内側溝54aに進入し、内壁部24bの突出部25を有さない部分が内側溝54bに進入できるように、突出部25と内側溝54a、54bとの形状関係を規定する。
【0035】
このように構成される本実施形態の場合、筐体2の内壁部23bとコネクタ5の内壁部52b2との隙間311と、筐体2の外壁部23aとコネクタ5の外壁部52b1と隙間321との第1の溝300が延出方向の位置が異なる。また、筐体側溝24の外壁部24aの端面と筐体側溝23及びコネクタ側溝52bの底面を含む平面とが交差する部分において、内壁部24bは外壁部24aよりも高さが高い。即ち、内壁部24bに突出部25を形成することで、外壁部24aよりも高さを高くして上述の交差する部分αと重ならせている。このため、シール材のみで接合される部分をなくすことができる。また、内壁部24bの高さを外壁部24aに対して高くしているため、前述の特許文献1に記載された構造のように、溝の幅方向寸法が大きくならずにコンパクト化を図れる。この結果、筐体2と、カバー3と、コネクタ5との各接合部全体でシールの剛性が高められ、密封性の高い電子制御装置1を得られる。
【0036】
また、本開示に係る電子制御装置(1)は、筐体の第1接合部が、空間側に形成されて筐体側内壁部(内壁部23b)と連続する第2内壁部(内壁部24b)と、外部側に形成されて筐体側外壁部(外壁部23a)と連続する第2外壁部(外壁部24a)とを有する第2の溝(筐体側溝24)であり、第2接合部が、第2の突条(コネクタ側突条52a)であり、第2内壁部(内壁部24b)と第2外壁部(外壁部24a)の何れか一方の壁部の端面と、第1の溝(300)の底面を含む平面とが交差する部分において、他方の壁部は一方の壁部よりも高さが高い。
【0037】
このため、シール材のみで接合される部分をなくすことができると共に、筐体(2)の第2開口部(本体開口部22a)の第1の溝(筐体側溝23)と、第1開口部(側方開口部22b)の第2の溝(筐体側溝24)とを連続して形成でき、筐体(2)をより簡単な構成とすることができる。例えば、筐体(2)を鋳造により形成すれば、溝が形成し易く、また、放熱性が要求される筐体(2)の形状をこの要求に対応した形状、例えば放熱フィンを有する形状にし易い。一方、コネクタ(5)は、合成樹脂により形成すれば、第1の溝(コネクタ側溝52b)と第2の突条(コネクタ側突条52a)とが連続するような構成であっても対応し易い。
【0038】
なお、本実施形態では、カバー3をプレス加工により、筐体2を鋳造により形成したが、カバー3を鋳造により、筐体2をプレス加工により形成しても良く、両方とも鋳造又はプレス加工により形成しても良い。また、少なくとも何れか一方を耐熱性の合成樹脂により形成しても良い。
【0039】
また、本開示に係る電子制御装置(1)は、交差する部分からカバー(3)の第1の突条(カバー側突条32)の端部までを含む領域において、他方の壁部(内壁部24b)は一方の壁部(外壁部24a)よりも高さが高い。このため、より確実にシール材のみで接合される部分をなくすことができる。
【0040】
また、本開示に係る電子制御装置(1)は、一方の壁部(外壁部24a)の端面から第1接合部(筐体側溝24)と第2接合部(コネクタ側突条52a)のうち第2の突条を備える接合部(コネクタ側突条52a)における一方の壁部(外壁部24a)の端面に対向する面(コネクタ5の溝55の底面)までの距離が、一方の壁部(外壁部24a)と他方の壁部(内壁部24b)との高さの差より小さい。このため、より確実にシール材のみで接合される部分をなくすことができる。
【0041】
また、本開示に係る電子制御装置(1)は、第2の溝(筐体側溝24)の内壁部(24b)の高さが第2の溝の外壁部(24a)の高さより高い。
【0042】
このため、接合部の空間(40)と反対側の外側のシール性が確保し易くできる。即ち、外壁部(24a)の方を高くした場合、第2の溝(筐体側溝24)と第2の突条(コネクタ側突条52a)との隙間に充填したシール材が外壁部(24a)の先端側まで行き渡りにくくなる可能性があるが、内壁部(24b)の方を高くすることで、外壁部(24a)の先端側までシール材を行き渡らせ易くなる。
【0043】
ここで、電子制御装置(1)を車輌に搭載した場合、水(特に塩水)が電子制御装置(1)にも付着する可能性がある。この場合に、塩水が外壁部(24a)を乗り越えて第2の溝(筐体側溝24)内に浸入すると、この第2の溝(筐体側溝24)内で腐食が生じる可能性がある。このため、できるだけ外側で塩水の浸入を防止することが要求されるが、本開示に係る電子制御装置(1)のように、内壁部(24b)の方を高くすることで、外壁部(24a)の先端側までシール材を行き渡らせ易くでき、できるだけ外側で塩水などの異物の浸入を防止でき、装置の耐久性を向上させられる。
【0044】
また、本開示に係る電子制御装置(1)は、第2の溝(筐体側溝24)の内壁部(24b)は、一部に、交差する部分(α)において第2の溝(筐体側溝24)の外壁部(24a)の高さより高く突出した突出部(25)を有し、突出部(25)を除いて、外壁部(24a)の高さと等しい高さである。このため、内壁部(24b)全体を高くするよりも材料を少なくでき、装置の低コスト化を図れる。
【0045】
なお、本実施形態では、筐体側溝24の内壁部24bを外壁部24aに対して高くしているが、外壁部24aを内壁部24bに対して高くするようにしても良い。要は、筐体側溝24の空間側の内壁部24bと外部側の外壁部24aとの何れか一方の壁部の端面と前記第1の溝の底面を含む平面とが交差する部分において、他方の壁部が一方の壁部よりも高さが高くなるように形成すれば良い。同様に、筐体側溝23の外壁部23aを内壁部23bよりも高くなるようにしても良い。要は、筐体2の内壁部23bとコネクタ5の内壁部52b2との隙間311と、筐体2の外壁部23aとコネクタ5の外壁部52b1と隙間321との第1の溝300が延出方向の位置が異なれば良い。
[他の実施形態]
【0046】
上述の実施形態では、筐体2に形成される第1接合部を溝としたが、コネクタ5に形成される第2接合部を溝として、第1接合部を突条としても良い。この場合、上述の交差する部分において、第2接合部の溝の内壁部と外壁部との何れか一方の壁部よりも他方の壁部を高くする。
【0047】
図10を用いて具体的に説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図10(a)に、コネクタ5と筐体2とのカバー3側の接合部の断面図を、
図10(b)にコネクタ5と筐体2とのカバー3から離れた側の接合部の断面図をそれぞれ示す。筐体2の側方開口部22bの周囲に第1接合部(第2の突条)としての筐体側突条24Aを形成している。筐体側突条24Aは、筐体側溝23と連続している。一方、コネクタ5の外装部51の周囲のうち、側方開口部22bに対向する位置に、第2接合部(第2の溝)としてのコネクタ側溝52Aを形成している。コネクタ側溝52Aは、コネクタ側溝52bと連続している。
【0048】
コネクタ側溝52Aは、外部側に形成されてコネクタ側溝52bの外壁部52b1と連続する第2外壁部としての外壁部52A1と、外壁部52A1よりも空間40側に外壁部52A1と略平行に形成されてコネクタ側溝52bの内壁部52b2と連続する第2内壁部としての内壁部52A2と、外壁部52A1と内壁部52A2とを連続させる底部52A3とから構成される。コネクタ5と筐体2とを接合する場合には、筐体側突条24Aをコネクタ側溝52Aの外壁部52A1と内壁部52A2との間に進入させる。
【0049】
図10(a)に示すように、内壁部52A2は、一部に外壁部52A1よりも高さが高い突出部25Aを有する。言い換えれば、内壁部52A2の一部(突出部25A)は、コネクタ側溝52Aの幅方向(
図10の上下方向)から見た場合に、外壁部52A1に対してずらして形成されている。なお、コネクタ側溝52Aは、
図10(b)に示すように、突出部25Aが形成された部分以外は、外壁部52A1と内壁部52A2との高さをほぼ同じとしている(等しい高さである)。また、突出部25Aは、コネクタ5の内壁部52b2まで形成している。
【0050】
他の実施形態では、筐体側溝23と筐体側突条24Aとが切り換わる部分に、コネクタ側溝52Aを構成する内壁部52A2の一部を突出させるようにしている。言い換えれば、コネクタ側溝52Aの内壁部52A2と外壁部52A1の何れか一方の壁部である外壁部52A1の端面と、筐体側溝23及びコネクタ側溝52bの底面を含む平面とが交差する部分において、他方の壁部である内壁部52Aは外壁部24aよりも高さが高い。
【0051】
また、他の実施形態の場合も、筐体2の内壁部23bとコネクタ5の内壁部52b2との隙間311と、筐体2の外壁部23aとコネクタ5の外壁部52b1と隙間321との第1の溝300が延出方向の位置が異なるようにしている。但し、本実施形態では、前述の
図5において、突出部25Aが形成される内壁部52b2の高さは外壁部52b1の高さよりも高い。したがって、隙間311は、隙間321に対して、
図5の位置から右にずれた位置となる。このような他の実施形態の場合も、上述の実施形態と同様に、シール材のみで接合される部分をなくすことができる。