(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基準排出位置は、シートの搬送方向と直交する方向の中央を通る直線と前記排出トレイの幅方向中央とが重なる位置であることを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。先ず、
図1を参照して画像形成装置100、及び本発明の用紙後処理装置20から構成される画像形成システムについて説明する。
図1は、本発明の画像形成装置100及び用紙後処理装置20の内部構成を示す概略図である。なお、本実施形態においては画像形成装置100の一例として複合機を例示しているが、本発明の用紙後処理装置20は、デジタル複合機以外の、例えばレーザープリンターやインクジェットプリンター、ファクシミリ装置等にも同様に連結可能である。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置100は、いわゆる胴内排紙型のデジタル複合機であって、大まかには、本体ハウジング2aと、その上部に配設された上ハウジング2bとで構成されている。上ハウジング2bには、原稿の画像を電気信号として読み取るための後述する各種機構が設けられ、上ハウジング2bの上部には原稿搬送装置3が付設されている。他方、本体ハウジング2aには、読み取った原稿画像の電気信号に基づいて用紙に画像を転写するための後述する各種機構が設けられ、本体ハウジング2aの左側部には用紙後処理装置20が付設されている。
【0014】
本実施形態では、本体ハウジング2aは、下ハウジング2aaと、その上方で右側部に沿って位置し上ハウジング2bに連結される連結ハウジング2abと、より構成される。下ハウジング2aaには、用紙Pの給紙部4や、用紙P上にトナー画像を形成する画像形成部6や、用紙上のトナー画像を定着するための定着装置7等が設けられる。連結ハウジング2abには、定着後の用紙Pを搬送して本体ハウジング20から排出するための用紙排出部(排出部)18が設けられている。
【0015】
また、上ハウジング2bの直下における連結ハウジング2abの左側方には、左側面及び正面に向けて大きく開放された胴内排紙空間16が形成されている。この胴内排紙空間16には、連結ハウジング2abの左側面から排出される用紙Pを受け入れて積載するとともに、用紙Pに所定の後処理を施す場合には用紙後処理装置20への搬送を可能とする中継ユニット19が設けられている。
【0016】
本体ハウジング2a内には、下部に配設された給紙部4と、給紙部4の側方及び上方に配設された用紙搬送部5と、給紙部4の上方に配設された画像形成部6と、画像形成部6の用紙搬送方向下流側(
図2の右側)に配設された定着部7とが備えられている。
【0017】
給紙部4には、用紙搬送方向下流側に給紙ローラー等の分離給送手段が設けられた複数の給紙カセット4aが備えられている。この給紙カセット4aに載置された用紙Pの束を、給紙ローラーの回転動作によって、最上位の用紙Pから1枚ずつ用紙搬送部5に給紙する。用紙搬送部5は、給紙部4から給紙された用紙Pを、各搬送ローラー対5aによって画像形成部6へと搬送する。
【0018】
画像形成部6及び定着部7は、装置本体100の内部で用紙搬送方向と直交する幅方向(前後方向、
図1の紙面に直交する方向)に細長く配設される。画像形成部6及び定着部7は、下ハウジング2aa内の上部において
図1における左側から画像形成部6、定着部7の順に用紙Pの搬送方向(左から右方向)に沿って並設されている。
【0019】
画像形成部6は、電子写真プロセスによって、用紙P上に所定のトナー像を形成する。画像形成部6は、回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム9と、この感光体ドラム9の周囲にその回転方向に沿って配設される帯電装置11、露光装置12、現像装置13、転写装置14、クリーニング装置15及び不図示の除電装置を備えている。定着部7は、画像形成部6においてトナー像が転写された用紙Pを、加熱ローラーと加圧ローラーとからなる一対の定着ローラー対7aに挟持させて加熱及び加圧して、未定着トナー像を用紙P上に定着させる。
【0020】
上ハウジング2b内には、画像読取部8が設けられている。画像読取部8は、原稿の画像情報を読み取る。1枚ずつの原稿を手置きして画像読取部8に読み取らせる場合には、原稿搬送装置3を開いて上ハウジング2bの上面に設けられたコンタクトガラス8a上に原稿を載置する。原稿束から原稿を1枚ずつ自動的に供給して画像読取部8に読み取らせる場合には、原稿束を、閉じた状態の原稿搬送装置3の給紙トレイ上3aに載置する。原稿束が給紙トレイ3a上に載置された場合は、当該原稿束から原稿が1枚ずつ自動的に順次コンタクトガラス8a上に送り込まれるようになっている。いずれの場合でもコンタクトガラス8a上に位置した原稿に、不図示の露光ランプから光が照射され、その反射光は画像光として反射鏡及び結像レンズ等の光学系(いずれも図示せず)を介して光電変換部(CCD)へ導かれる。
【0021】
以下、上記のように構成された画像形成装置100の基本的な動作を説明する。先ず、
図1で反時計回りに回転する感光体ドラム9の表面が帯電装置11によって一様に帯電される。続いて、画像読取部8で読み取られた画像情報に基づいて露光装置12(レーザー装置等)からのレーザービームが感光体ドラム9の周面に照射され、これによって感光体ドラム9の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像に現像装置13から現像剤としてのトナーが供給されることによりトナー像が形成される。
【0022】
次いで、給紙部4からの用紙Pは、用紙搬送路5を通過し、所定のタイミングでトナー像が形成された感光体ドラム9に向けて搬送される。そして、転写ローラー等からなる転写装置14により感光体ドラム9の表面のトナー像が用紙Pに転写される。そして、トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム9から分離され、定着部7に向けて搬送される。用紙Pは、定着ローラー対7aを通過する際に加熱、加圧処理されてトナー像が定着される。
【0023】
トナー像の用紙Pへの転写処理が完了した感光体ドラム9は、クリーニング装置15で外周面に残留している残留トナーが取り除かれた後、除電装置(図示せず)で残留電荷を除去する除電処理が施される。その後、帯電装置11により再び感光体ドラム9の外周面に帯電処理が施され、以下同様にして画像形成が行われることとなる。
【0024】
定着部7を通過した用紙Pは、そのまま垂直上方に向けて用紙搬送路5に沿って連結ハウジング2ab内に搬送される。用紙搬送路5の上部は連結ハウジング2ab内で左方に向かって上下2つの搬送路に分岐しており、分岐部に配置された切り替え爪17によって、用紙Pの搬送方向が切り替えられる。
【0025】
この連結ハウジング2ab内には、用紙排出部18が設けられている。用紙排出部18は、上排出ローラー対18aと、上排出ローラー対18aの直下に配置された下排出ローラー対18bと、を有しており、用紙搬送路5を搬送された用紙Pが切り替え爪17によって上方の搬送路若しくは下方の搬送路に案内される。
【0026】
切り替え爪17によって上方の搬送路に案内された用紙Pは、上排出ローラー対18aから左方に排出される。切り替え爪17によって下方の搬送路に案内された用紙Pは、下排出ローラー対18bによって左方に排出される。切り替え爪17は、制御部70(
図4参照)によって案内方向を切り替えるようになっている。
【0027】
中継ユニット19は、胴内排紙空間16の底面16aに着脱可能に装着される。胴内排紙空間16には、中継ユニット19の装着を検知する検知センサー(図示せず)が設けられている。検知センサーは、PIセンサー等から構成されており、検知結果を制御部に送信する。
【0028】
また、底面16aには、用紙排出方向下流側(
図1の左側)に向かって上方に傾斜する傾斜面が形成されている。中継ユニット19が胴内排紙空間16から離脱されているとき、底面16aが用紙排出トレイとして用いられる。この場合、検知センサーは中継ユニット19が装着されていないことを検知し、検知結果が制御部に送信されると、切り替え爪17は用紙Pを上排出ローラー対18aに案内する。そして、上排出ローラー対18aから排出された用紙Pは底面16a上に排出される。
【0029】
一方、中継ユニット19が胴内排紙空間16に装着されていることを検知センサーが検知し、検知結果が制御部70に送信されると、切り替え爪17は用紙Pを下排出ローラー対18bに案内する。そして、下排出ローラー対18bから排出された用紙Pは中継ユニット19に搬入される。中継ユニット19内に搬入された用紙Pは、中継ユニット19内を通過し、用紙後処理装置20に搬入される。
【0030】
なお、検知結果を操作部(図示せず)に表示し、ユーザーが操作パネル上で用紙Pの案内方向を切り替えることもできる。また、中継ユニット19の上面部は、上排出ローラー対18aから排出された用紙Pが載置される用紙排出トレイとしての機能も有している。
【0031】
用紙後処理装置20内部には、搬入された用紙Pに対してパンチ処穴形成を行うパンチ穴形成装置21、搬入された用紙Pを複数枚積載(スタック)する処理トレイ30、及び処理トレイ30上に積載された用紙束をステープルで綴じるステープラー40が備えられている。用紙後処理装置20の側面には、用紙Pの排出に適した位置に昇降可能な排出トレイ50が設けられている。
【0032】
パンチ穴形成装置21は、用紙後処理装置20の上部に配置されており、用紙Pの搬送方向と平行な一方の側端縁(装置前側または後側)に沿って複数のパンチ穴を形成する。パンチ穴形成装置21の上流側かつ用紙搬送方向と直交する方向(
図1の紙面と垂直な方向)の略中央部には、中継ユニット19内の用紙搬入ローラー対によって用紙後処理装置20内に搬入される用紙Pの先端を検知する搬入検知センサー(図示せず)が配置されている。
【0033】
制御部70は、搬入検知センサーによる用紙Pの先端の検知タイミングに基づいて中継ユニット19内の用紙搬入ローラー対の駆動を制御することにより、パンチ穴形成装置21に搬送される用紙Pの搬送方向のパンチ穴形成位置を調整する。具体的には、搬入検知センサーによる用紙Pの先端または後端の検知から用紙搬入ローラー対を停止するまでの基準搬送パルス値を加減算する搬送方向パルス調整値を設定する。
【0034】
図2及び
図3は、用紙後処理装置20内の処理トレイ30周辺の部分断面図である。用紙搬送方向に対しパンチ穴形成装置21(
図1参照)の下流側には第1排出ローラー対27が配設されている。第1排出ローラー対27の上流側には用紙Pの通過を検知するアクチュエーター型の用紙検知センサー28が配置されている。
【0035】
更に、第1排出ローラー対27の下方には第1排出ローラー対27によって搬送される用紙Pを所定枚数整合して積載する処理トレイ30と、処理トレイ30上に積載された用紙Pの束(用紙束)に綴じ処理を行うステープラー40(
図1参照)が設けられている。
【0036】
用紙搬送方向に対し処理トレイ30の下流側には、処理トレイ30から排出トレイ50に用紙束を排出する第2排出ローラー対29が配設されている。第2排出ローラー対29は、駆動モーター(図示せず)により正逆回転可能なゴム製の排出ローラー29aと、排出ローラー29aに従動して回転する樹脂製の排出コロ29bとで構成されている。排出ローラー29aは、回動軸31aを支点として上下に揺動可能なローラーホルダー31に支持されている。
【0037】
処理トレイ30の上方であって第1排出ローラー対27の下流側(
図2の左側)には、第1排出ローラー対27によって搬入される用紙Pを処理トレイ30方向に叩いてトレイ面に沿わせるための叩き部材33が配設されている。処理トレイ30は積載される用紙Pの後端側(
図2の右側)に向かって下向きに傾斜するように設けられており、第2排出ローラー対29が逆回転することによって用紙Pが後端側から処理トレイ30上に引き込まれ、用紙Pの後端が突き当て部30aに当接する。これにより、用紙束の後端が揃った状態で処理トレイ30上に積載される。また、処理トレイ30には、処理トレイ30上に積載された用紙束を幅方向(
図2の紙面と垂直な方向)に整合する一対の側端整合カーソル60が設けられている。
【0038】
ステープラー40は、移動機構(図示せず)によって搬送方向と直交する用紙幅方向に移動可能であり、綴じ処理の内容に応じて処理トレイ30の下端部に沿って所定位置に移動する。
【0039】
次に、用紙後処理装置20の動作について説明する。画像形成装置100で画像形成処理がなされた用紙P(
図2、
図3の破線で表示)が搬入されると、パンチ穴形成が指示されている場合には、パンチ穴形成装置21によって搬送される用紙Pの所定位置(例えば装置前側の側端縁に沿った2個所)にパンチ穴が形成される。パンチ穴形成が指示されていない場合は、用紙Pはそのままパンチ穴形成装置21を通過する。
【0040】
そして、用紙Pは第1排出ローラー対27によってさらに下流側に搬送される。このとき、
図2に示すように、ローラーホルダー31は上方に揺動しており、排出ローラー29aは排出コロ29bから離間した位置(退避位置)に配置されている。そのため、第1排出ローラー対27によって搬送されてきた用紙Pは排出ローラー29aと排出コロ29bの隙間を通って排出トレイ50に突出する。
【0041】
用紙Pの後端が第1排出ローラー対27を通過したタイミングで、ローラーホルダー31を下方に揺動させて排出ローラー29aを排出コロ29bに当接した位置(当接位置)に配置する。その後、叩き部材33を駆動して用紙Pを処理トレイ30に沿わせる。この状態で排出ローラー29aを逆回転(
図3の反時計回り方向)させることで、用紙Pが処理トレイ30に沿って引き込まれ、突き当て部30aにより後端が整合される。突き当て部30aは、用紙幅方向全域に亘って連続的に形成されているのではなく、部分的に切り欠きが形成されている。このとき、用紙Pの上部は第2排出ローラー対29にニップされた状態であり、用紙Pの先端は第2排出ローラー対29から排出トレイ50上に突出している。用紙Pを処理トレイ30に沿って引き込むときは、用紙Pを必要以上に引き込むことのないように、ローラーホルダー31の自重だけで排出ローラー29aを排出コロ29bに圧接させた状態で用紙Pをニップする。
【0042】
そして、1束分の用紙Pの受け入れが終了すると、突き当て部30aの切り欠き位置にステープラー40を移動させて用紙束の後端をステープル部40aに挿入し、ステープル部40aで用紙束の綴じ処理が行われる。ステープル部40aで用紙束の綴じ処理を行った後、用紙束は第2排出ローラー対29を正回転(
図3の矢印方向)させることにより処理トレイ30に沿って上方へ搬送され、排出トレイ50上に排出される。用紙束を排出トレイ50に排出するときは、ローラーホルダー31の自重だけでなく、ローラーホルダー31をバネ等の付勢部材により下方に付勢して排出ローラー29aを排出コロ29bに圧接させる。これにより、用紙Pの引き込み時よりも強い力で用紙束がニップされるため、用紙束を排出トレイ50に確実に排出することができる。
【0043】
また、シフト排出が設定されている場合は、第2排出ローラー対29を駆動して用紙束を排出トレイ50へと排出する際に、先ずローラーホルダー31を退避位置に移動させる。その後、側端整合カーソル60を、用紙Pを受け入れた位置(基準位置)、または基準位置から排出方向と直交する方向(用紙幅方向)に所定量シフトした位置(シフト位置)に配置する。そして、ローラーホルダー31を当接位置に移動させて用紙を排出する。これにより、用紙束は排出トレイ50上の基準排出位置P1と、基準排出位置P1から排出方向と直交する方向(用紙幅方向)に所定量シフトしたシフト排出位置P2とに交互に排出され、各用紙束は排出トレイ50(
図2参照)上に排出される際に用紙幅方向に互い違いに積載されて仕分けされる。基準排出位置P1、シフト排出位置P2の詳細については後述する。
【0044】
図4は、画像形成装置100と用紙後処理装置20とを含む画像形成システムの制御経路を示すブロック図である。なお、画像形成システムを使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、制御部70自体は複雑なものとなる。そこで、
図4では制御部70や用紙後処理装置20のうち、本発明の実施に必要となる部分について重点的に説明している。なお、ここでは画像形成装置100内に設けられた制御部70を用いて画像形成システム全体を制御することとしたが、用紙後処理装置20内に制御部を設けることも可能である。
【0045】
制御部70は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)71、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)72、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)73、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部74、カウンター75、複数(ここでは2個)のI/F(インターフェイス)76を少なくとも備えており、I/F76を介して画像形成装置100、用紙後処理装置20内の各装置に制御信号を送信し、操作部80からの入力信号を受信する。
【0046】
ROM72には、システムの制御用プログラムや制御上の必要な数値等、変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM73には、システムの制御途中で発生した必要なデータや、制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、ROM72(或いはRAM73)には、搬入検知センサー(図示せず)による用紙Pの先端の検知から用紙搬入ローラーを停止するまでにローラー駆動モーター(図示せず)に送信される基準搬送パルス値も記憶されている。
【0047】
カウンター75は、画像形成装置100での印字枚数をカウントする他、搬入検知センサーの検知信号により画像形成装置100から用紙後処理装置20に搬入される用紙Pの枚数をカウントする。或いは、用紙搬送方向に対し処理トレイ30の上流側に配置される用紙検知センサー28の検知信号により処理トレイ30上に搬入される用紙Pの枚数をカウントする。なお、カウンター75を別途設けなくても、例えばRAM73でその回数を記憶するようにしてもよい。
【0048】
また、制御部70は、画像形成装置100、用紙後処理装置20を含むシステム内の各部分、装置に対し、CPU71からI/F76を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や、入力信号がI/F76を通じてCPU71に送信される。制御部70が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成装置100の用紙搬送部5、画像形成部6、定着装置7(いずれも
図1参照)、用紙後処理装置20のパンチ穴形成装置21、第1排出ローラー対27、第2排出ローラー対29、処理トレイ30、ステープラー40、側端整合カーソル60等が挙げられる。
【0049】
操作部80には、液晶表示部81、各種の状態を示すLED82、テンキー83が設けられており、ユーザーは操作部80を操作して指示を入力することで、画像形成装置100、用紙後処理装置20の各種の設定を行い、画像形成機能や後処理機能等の各種機能を実行させる。液晶表示部81は、システムの状態を示したり、画像形成状況や印字枚数を表示したり、タッチパネルとして両面印字や白黒反転等の機能や倍率設定、濃度設定など各種設定を行えるようになっている。テンキー83は、印字枚数の設定や、画像形成装置100がFAX機能を有する場合に送信先のFAX番号を入力等するためのものである。
【0050】
その他、操作部80には、画像形成を開始するようにユーザーが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、システムの各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
【0051】
図5は、本発明の用紙後処理装置20におけるパンチ穴形成処理及びシフト排出制御の一例を示すフローチャートである。
図1〜
図4を参照しながら、
図5のステップに沿ってパンチ穴形成処理及びシフト排出手順について説明する。
【0052】
ユーザーにより操作部80(
図4参照)やパソコン設定画面(操作端末)から印字指示が入力されると(ステップS1)、制御部70は、パンチ穴形成処理が設定されているか否かを判断する(ステップS2)。そして、パンチ穴形成処理が設定されている場合は(ステップS2でYES)パンチ穴形成装置21において搬送方向と平行な方向の一方の側端縁に沿って所定の位置にパンチ穴が形成される(ステップS3)。パンチ穴形成位置の設定方法としては、例えば操作部80やパソコン設定画面から入力された用紙サイズ情報から算出されたパンチ穴の位置情報を制御部70に送信する方法が挙げられる。
【0053】
次に、制御部70は、綴じ処理が設定されているか否かを判断する(ステップS4)。そして、綴じ処理が設定されている場合は(ステップS4でYES)、処理トレイ30上に所定枚数の用紙Pを積載した後、ステープラー40により綴じ処理を実行する(ステップS5)。
【0054】
次に、制御部70は、シフト排出が設定されているか否かを判断する(ステップS6)。シフト排出が設定されている場合は(ステップS6でYES)、用紙Pにパンチ穴が形成されているか否かを判断する(ステップS7)。用紙Pにパンチ穴が形成されていない場合は(ステップS7でNO)、
図6に示すように、搬送方向と直交する方向に用紙の中央を通る直線Oを基準として、直線Oが排出トレイ50の幅方向中央(画像形成装置で搬送される位置)と重なる位置に排出する基準排出位置P1から用紙幅方向奥側(
図6の上方向)及び用紙幅方向手前側(
図6の下方向)に所定量S1(例えば15mm)だけシフトさせた2箇所のシフト排出位置P2に移動させて、一方のシフト排出位置P2、他方のシフト排出位置P2、・・・の順に、排出トレイ50上に用紙束を排出する(ステップS8)。
【0055】
一方、用紙Pにパンチ穴が形成されている場合は(ステップS7でYES)、
図7に示すように、基準排出位置P1と、基準排出位置P1からパンチ穴が形成された用紙Pの装置前側(
図7の下側)の側端縁方向と逆方向である装置後側(
図7の上方向)に所定量S2(例えば20mm)だけシフトさせたシフト排出位置P2とに移動させて、排出トレイ50上に用紙束を排出する(ステップS9)。
【0056】
基準排出位置P1に排出された用紙束に続いて用紙束をシフト排出位置P2にシフトさせて排出する場合、後続の用紙束は、先端を排出トレイ50上に突出させた状態で基準排出位置P1から用紙幅方向(
図7の上方向)に移動させてシフト排出位置P2に排出することとなる。
【0057】
図8A、
図8Bは、用紙束が基準排出位置P1とシフト排出位置P2に排出される様子を示す平面図である。
図8A、
図8Bでは、用紙束を図の右から左方向へ4部連続して排出する場合を示している。なお、実際には用紙束は上下に重なって排出されるが、ここでは説明の便宜のために横に並べた状態を示している。
【0058】
図8Aは、基準排出位置P1と、パンチ穴90が形成された用紙Pの側端縁方向である装置前側(
図8Aの下側)に所定量シフトさせたシフト排出位置P2とに用紙束を交互に排出する本発明とは逆の構成(比較例)を示している。この構成では、4部目の用紙束を基準排出位置P1からシフト排出位置P2にシフトさせる際に、シフト方向の下流側に位置する用紙束の角部E1が既にシフト排出位置P2に排出された2部目の用紙束のパンチ穴90に引っ掛かるおそれがある。
【0059】
図8Bは、基準排出位置P1と、パンチ穴90が形成された用紙Pの装置前側(
図8Bの下側)の側端縁方向と逆方向である装置後側(
図8Bの上方向)に所定量シフトさせたシフト排出位置P2とに交互に排出する本発明の構成を示している。この構成では、4部目の用紙束を基準排出位置P1からシフト排出位置P2にシフトさせる際に、シフト方向の下流側に位置する角部E2は、既に基準排出位置P1に排出された3部目の用紙束のパンチ穴90を横切ることがなく、3部目の用紙束のパンチ穴90に引っ掛からない。
【0060】
また、シフト排出が設定されていない場合は(ステップS6でNO)、全ての用紙束を基準排出位置P1に排出する(ステップS10)。その後、所定の印字枚数が終了したか否かが判断され(ステップS11)、印刷が終了している場合は処理を終了する。印刷が継続している場合はステップS2に戻り、以下同様の処理を繰り返す(ステップS2〜S11)。
【0061】
上述したような制御を行うことにより、パンチ穴90が形成されている用紙Pにシフト排出を行う場合、シフト排出位置P2に移動する用紙束の側端縁や角部が既に基準排出位置P1に排出された用紙束のパンチ穴90に引っ掛からない。従って、排出トレイ50上に排出されている用紙束が後続の用紙束の移動によって排出方向や排出方向と直交する方向(装置の前後方向)に押し出されず、用紙束の整合不良や排出トレイ50からの落下を効果的に防止することができる。
【0062】
また、パンチ穴が形成されていない用紙Pにシフト排出を行う場合は、基準排出位置P1から用紙幅方向奥側及び手前側にシフトさせた2箇所のシフト排出位置P2に用紙束が交互に排出されるため、排出方向と直交する方向に対して用紙束が基準排出位置P1を中心として左右対称に排出される。これにより、排出トレイ50上に排出される用紙束を安定して積載することができる。
【0063】
なお、ここでは用紙の装置手前側の側端縁に沿ってパンチ穴90を形成する場合のシフト排出手順について説明したが、用紙の装置奥側の側端縁に沿ってパンチ穴90を形成する場合のシフト排出についても全く同様に行うことができる。その場合、
図9に示すように、用紙の搬送方向と直交する方向の中央を通る直線Oを基準として、直線Oと排出トレイ50の幅方向中央とが重なる基準排出位置P1と、基準排出位置P1から用紙幅方向手前側(
図9の下方向)に所定量シフトしたシフト排出位置P2とに用紙束を排出することで、上記と同様の効果を得ることができる。
【0064】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、画像形成装置100と用紙後処理装置20とを直接接続した構成を例に挙げて説明したが、画像形成装置100と用紙後処理装置20の間に合紙を挿入するインサート装置が搭載された構成においても本発明を適用することができる。
【0065】
また、シフト排出時のシフト量S1、S2についても、用紙サイズや排出トレイ50の大きさ等に応じて適宜設定することができる。
【0066】
本発明は、シート搬送方向に沿ってパンチ穴を形成可能なシート後処理装置に利用可能である。本発明の利用により、シート搬送方向に沿ってパンチ穴が形成されたシートにシフト排出を行う場合に、パンチ穴と後続のシートの側端縁や角部との干渉によるシートの押し出しや整合不良を防止可能なシート後処理装置及びそれを備えた画像形成システムを提供することができる。