(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態の製造方法により製造されるプレス成形品は、天板部と、縦壁部と、を備える。天板部は長手方向に段差部を有する。段差部は、幅方向の端部から伸び、少なくとも幅方向の一部を横切る。縦壁部は、天板部の段差部がある幅方向の端部にある稜線部を介して天板部と隣接する。
【0017】
本実施形態のプレス成形品の製造方法は、第1のプレス工程と、第2のプレス工程と、を含む。第1のプレス工程では、第1の金型を用いて、中間成形品を被加工材から成形する。中間成形品は、天板部の段差部と、稜線部を介して天板部に隣接した縦壁部の少なくとも一部の形状が成形された暫定縦壁部と、暫定縦壁部の稜線部と反対側の端部に位置する暫定稜線部を介して暫定縦壁部に隣接した暫定フランジ部と、を有する。第2のプレス工程では、第2の金型を用いて、中間成形品からプレス成形品を成形する。第2のプレス工程では、中間成形品の天板部の少なくとも一部を拘束した状態で暫定稜線部を暫定フランジ部へ向かい移動させる成形を実施する。
【0018】
本実施形態の製造方法では、異なる2つの工程で被加工材をプレス成形する。1工程目では、プレス成形品(完成品)の高さの一部まで成形された中間成形品が得られる。中間成形品は暫定フランジ部を備える。中間成形品に暫定フランジ部を成形するために、金型で被加工材の暫定フランジ部に相当する領域を拘束する。その結果、暫定フランジ部においてプレス成形の進行に伴う材料の流動が抑制される。そのため、中間成形品は、1つのプレス工程のみで成形されたプレス成形品と比べて、シワの原因となるせん断歪が抑制される。1工程目で得られた中間成形品から、2工程目で残りの部分を成形すると、1つのプレス工程のみで成形した場合と比べて、プレス成形品(完成品)に生じるせん断歪が抑制される。中間成形品に生じたせん断歪が小さいためである。したがって、プレス成形品にシワが生じにくい。
【0019】
中間成形品の段差部の低い方(段差下部)の天板部に隣接した暫定縦壁部の高さは、プレス成形品の縦壁部の高さの50%以下であるのが好ましい。上述したように、せん断歪はプレス成形の進行に伴って増加する。したがって、1工程目の成形高さを2工程目の成形高さよりも低くすれば、1工程目で得られる中間成形品のせん断歪を有効に小さくできる。さらに好ましくは、第1のプレス工程では、プレス成形品の稜線部の全領域が成形されている。
【0020】
引張強度が低い被加工材は、塑性変形しやすい。引張強度が高い被加工材を金型によるプレス成形した場合にシワが生じる領域であっても、引張強度が低い被加工材をプレス成形すると引張強度が低い被加工材が塑性変形して金型になじむため、シワが生じにくい。引張強度が低い被加工材のプレス成形ではシワは特に問題とならないことが多い。一方、引張強度が高い被加工材は、塑性変形しにくいためシワが生じやすい。したがって、本実施形態の製造方法は、高強度の被加工材を成形する場合に特に有効である。具体的には、上記の製造方法において、被加工材の引張強度は、590MPa以上であるのが好ましい。被加工材の引張強度は、980MPa以上であるのがより好ましい。
【0021】
プレス成形品の段差部の高さが大きいほど、大きなシワが発生する。上記の製造方法において、プレス成形品の段差部の高さHが、プレス成形品の稜線部の曲率半径Rに対して以下の式(1)を満たすシワの発生しやすい条件であっても、シワなく成形することが可能である。
H≧0.4R (1)
【0022】
本実施形態の製造ラインは、第1プレス機と、第1プレス機の下流に配置された第2プレス機と、を備える。
【0023】
第1プレス機は、以下の(1)又は(2)の構成を備える。
【0024】
(1)第1プレス機は、第1パンチ、第1ダイ、第1パッドを含む。第1パンチは、第1先端部、第1パンチ壁部、及びパンチ平坦部を有する。第1先端部は、幅方向の端部から伸び、少なくとも幅方向の一部を横切るように長手方向に段差部を有する。第1パンチ壁部は、第1先端部の段差部がある端部にある第1パンチ肩を介して第1先端部と隣接する。パンチ平坦部は、第1パンチ壁部とパンチ底肩を介して第1パンチ壁部に隣接する。第1ダイは、第1パンチの第1パンチ肩、第1パンチ壁部及びパンチ平坦部に対向する。第1パッドは、第1パンチの第1先端部と対向する。第1パッドは第1先端部の凹凸形状を反転させた形状である。なお、以降「対向する」とは上記の通り、金型の位置関係に加え金型の形状が反転していることを指す。すなわち、一方の金型の形状が凸であれば、対向する他方の金型の形状は凹である。
【0025】
(2)第1プレス機は、第1パンチ、ブランクホルダ、第1ダイを含む。第1パンチは、第1先端部、及び第1パンチ壁部を有する。第1先端部は、幅方向の端部から伸び、少なくとも幅方向の一部を横切るように長手方向に段差部を有する。第1パンチ壁部は、第1先端部の段差部がある端部にある第1パンチ肩を介して第1先端部と隣接する。ブランクホルダは第1パンチに隣接する。第1ダイは、第1パンチ及びブランクホルダに対向する。
【0026】
第2プレス機は、第2パンチ、第2ダイ、第2パッドを含む。第2パンチは、第2先端部、第2パンチ壁部を有する。第2先端部は、第1先端部と同じ形状である。第2パンチ壁部は、第2先端部の段差部がある端部にある第2パンチ肩を介して第2先端部と隣接する。第2ダイは、第2パンチの第2パンチ肩、及び第2パンチ壁部に対向する。第2パッドは、第2パンチの第2先端部と対向する。第2プレス機の第2パンチ壁部の高さは、第1プレス機の第1パンチ壁部の高さよりも大きい。
【0027】
[プレス成形品]
図1は、本実施形態の製造方法により製造されるプレス成形品の斜視図である。説明のため、天板部2のある方を上、フランジ部6のある方を下とする。プレス成形品1は、天板部2と、縦壁部3とを備える。天板部2は長手方向に段差部4、段差上部の天板部2a及び段差下部の天板部2cを有する。段差上部の天板部2aは、段差部4とつながる。段差部4は、段差下部の天板部2cとつながる。段差部4は、天板部2の幅方向の端部2dから伸びる。
図1では、段差部4がプレス成形品1の幅方向の全域にわたって存在する場合を示す。しかしながら、段差部4はプレス成形品1の幅方向の全域に存在していなくてもよい。段差部4は少なくともプレス成形品1の幅方向の一部を横切ればよい(例えば
図22)。天板部2の端部2dには稜線部5がある。稜線部5の輪郭はR形状である。なお、以下では被加工材が金属板である場合について説明する。
【0028】
縦壁部3は、稜線部5を介して天板部2と隣接する。縦壁部3は、段差上部直下の縦壁部3a、段差部直下の縦壁部3b及び段差下部直下の縦壁部3cを含む。段差上部直下の縦壁部3aは、稜線部5を介して段差上部の天板部2aと隣接する。段差部直下の縦壁部3bは、稜線部5を介して天板部2の段差部4と隣接する。段差下部直下の縦壁部3cは、稜線部5を介して段差下部の天板部2cと隣接する。
【0029】
図1では、プレス成形品1の長手方向に垂直な断面形状がハット形である場合を示す。したがって、プレス成形品1はフランジ部6を備える。しかしながら、プレス成形品1の断面形状はハット形でなくてもよい。具体的には、フランジ部6を1つのみ備える片ハット形状や、フランジ部6が成形中にすべて縦壁部となった溝形状であってもよい。また、プレス成形品1はハット形等でなくともよく、上記形状の半割形状でもよい(
図21参照)。また、段差部4は天板部2を横断していなくてもよい(
図22参照)。さらに、プレス成形品1の段差部4は1つでもよいし、3つ、4つあってもよく、段差部の数は任意の数で良い。
【0030】
図1に示すような、天板部2に段差部4を有するプレス成形品を1つの工程のみで曲げ成形すると段差部直下の縦壁部3b及び段差下部直下の縦壁部3cにシワが発生しやすい。シワの発生のメカニズムについては後述する。また、プレス成形品のシワの発生は、天板部の段差部の高さH及びプレス成形品の稜線部の断面の曲率半径Rに関係する。天板部の段差部の高さHが大きければ、大きなシワが発生する。稜線部の断面の曲率半径Rが小さければ、大きなシワが発生する。
【0031】
本発明者らは、プレス成形品の天板部の段差部の高さH及びプレス成形品の稜線部の曲率半径Rとシワの大きさとの関係を、シミュレーションにより調査した。
【0032】
図2は、
図1に示すようなプレス成形品を1つの工程のみで曲げ成形した場合のシワの大きさを示す図である。
図2の縦軸は、主曲率の最大値と最小値の差△1/ρを示す。
図2の横軸は、プレス成形品の天板部の段差部の高さHとプレス成形品の稜線部の曲率半径Rとの比H/Rを示す。
図2に示すシミュレーションでは、
図1に示すようなプレス成形品の天板部の段差部の高さHとプレス成形品の稜線部の曲率半径Rとの比H/Rを種々変更した。また、
図2に示すシミュレーションでは、被加工材として、日本鉄鋼連盟規格で規定されるJAC270DC及びJSC980Yを用いた。
図2中の正方形印はJAC270DCの結果を示し、ひし形印はJSC980Yの結果を示す。
【0033】
図2に示すシミュレーションでは、プレス成形品の段差下部直下の縦壁部3cの任意の点における主曲率1/ρを調査した。主曲率1/ρの最大値と最小値との差△1/ρを算出し、シワの評価の指標とした。△1/ρが大きいほど、発生したシワが大きいことを示す。
図2に示すように、比H/Rが0.4未満では△1/ρの値は大きな変化はなかった。しかしながら、比H/Rが0.4以上であれば、△1/ρの値は大きくなりシワの発生が、比H/Rが0.4未満の場合と比べて、顕著に見られた。なお、主曲率は、後述する実施例と同様の方法により算出した。
【0034】
上述したように、プレス成形品の段差部直下の縦壁部3b及び段差下部直下の縦壁部3cに発生するシワを抑制するためには絞り成形が適する。しかしながら、高強度の金属板を絞り成形すると割れが生じやすいため、本発明で対象とするプレス成形品形状を1回の絞り成形のみで成形することはできない。そこで、本発明者らは、高強度の金属板を曲げ成形によりプレス成形しても、段差部直下の縦壁部3b及び段差下部直下の縦壁部3cに発生するシワを抑制できる製造方法を検討した。
【0035】
本発明者らは、天板部に段差部を有するプレス成形品(以下、単に「プレス成形品」ともいう。)を、1回の曲げ成形のみで成形した場合のシワの大きさについて調査した。具体的には、FEM(有限要素法)によるシミュレーションによりプレス成形中の被加工材の形状について調査した。
【0036】
図3〜
図5は、曲げ成形により1つの工程で
図1に示すプレス成形品を成形した場合のシミュレーション結果を示す図である。
図3〜
図4は、プレス成形中の被加工材の形状を示す。
図3はプレス成形初期の段階を示す。
図4はプレス成形の中期を示す。
図5はプレス成形完了時の段階を示す。
図3〜5では、理解の容易のために、各段階における金型の断面図を記載する。
【0037】
図3及び
図4において、肉余りが発生し、かつ上下金型による拘束が緩い領域を領域Xと定義する。また、領域Xは成形下死点にて段差部直下の縦壁部3b及び段差下部直下の縦壁部3cとなる領域である(
図5参照)。一方、段差上部直下の縦壁部3aは肉余りが生じてないため領域Xには該当しない。また、板端部であるフランジ部も肉余りが生じないため領域Xには該当しない。領域Xにおいて肉余りが大きいとシワが発生する。特に、段差部直下の縦壁部3bは成形時に肉余りを吸収する変形(せん断変形)が発生するためシワが発生し易い。
【0038】
図6は、本実施形態のプレス成形品における段差部直下の縦壁部に働く応力状態を模式的に示す図である。プレス成形品の成形の際、段差部直下の縦壁部3bの微小要素Aには、領域Xに生じた肉余りを吸収するために、被加工材の面内方向にせん断応力T12が働く。このせん断応力T12は主応力で表すと圧縮応力S1と引張応力S2に分解される。このような応力が負荷されると、正方形の微小要素Aは平行四辺形に変形する。換言すると、微小要素Aはせん断変形する。したがって、微小要素Aにはせん断歪が生じる。このせん断歪がプレス成形品のシワを悪化させる原因の1つである。
【0039】
また、段差部を有するハット形状のプレス成形品をプレス成形する際の肉余りに起因したシワの程度は、天板部の幅に依存する。段差下部の天板部の幅W2(
図1参照)が稜線部の曲率半径Rの3倍以下(W2≦3R)の場合、プレス成形品の幅方向の引張応力が効果的に作用するためシワは発生しにくい。一方で、天板部の幅W2が稜線部の曲率半径Rの3倍よりも大きい(W2>3R)の場合、シワが発生しやすい。曲率半径Rは、段差部の幅方向端部にある稜線部において、長手方向に垂直な断面での板厚中心の曲率半径を意味する。
【0040】
また、段差部を有するハット形状のプレス成形品をプレス成形する際の肉余りに起因したシワの程度は、被加工材の板厚にも依存する。被加工材の板厚は、被加工材の曲げ剛性を支配するからである。板厚が薄いほどシワは発生しやすい。
【0041】
さらに、段差部を有するハット形状のプレス成形品をプレス成形する際の肉余りに起因したシワの程度は、被加工材の降伏強度にも依存する。プレス成形の際の肉余りは、弾性変形下での面外変形により生じるためである。被加工材の降伏強度が高いほどシワは発生しやすい。
【0042】
本発明者らは、プレス成形品1の成形中に生じる領域Xの肉余り及び段差部直下の縦壁部3bに生じるせん断歪を小さくし、プレス成形品1の段差部直下の縦壁部3b及び段差下部直下の縦壁部3cに生じるシワを抑制する方法を検討し、次の知見を得た。
【0043】
シワの発生を抑制するためには、面外変形により成形される段差部の端部にある稜線部を成形する際に、弾性的な面外変形を限りなく小さくすることが必要不可欠である。換言すれば、稜線部を積極的に塑性変形させ、プレス成形の進行に伴い増大する面外変形を限りなく小さくすればよい。
【0044】
そこで、本発明者らは、プレス成形品1のプレス成形工程を複数に分けることを見出した。本発明者らは、1回目のプレス工程で、プレス成形品の段差部と、段差部に隣接する箇所の稜線部と、稜線部を介して天板部に隣接した縦壁部の一部の形状が形成された暫定縦壁部のうち稜線部を介して段差部に隣接する領域と、を成形することを見出した。段差部の成形は、稜線部に沿った段差部の全ての領域を成形することが望ましいが、必ずしも稜線部に沿った段差部の全ての領域を成形する必要はない。段差部の一部の領域を成形してもシワの発生の抑制効果はある。本発明者らは、1回目のプレス工程後、2回目以降のプレス工程で残りの部分を成形することを見出した。1回目のプレス工程後、金型が一旦離型するため、プレス成形の進行とともに増大する面外変形を抑制することができる。その結果、板厚が薄く、及び/又は、高強度の被加工材を、段差部を有し、かつ、幅の広い天板部を有するプレス成形品に成形しても、肉余りに起因したシワの発生を抑制できる。
【0045】
引き続き、本発明者らは上記発想の効果を確認するため、FEMによるシミュレーションを行った。
【0046】
図7〜
図9は、2回のプレス成形で
図1に示すプレス成形品を成形する場合のシミュレーション結果を示す図である。
図7〜
図9は、縦壁部の成形中における被加工材の形状を示す。
図7〜
図9に示すシミュレーションでは、1工程目で
図1に示すプレス成形品の天板部及び稜線部まで成形し、2工程目で残りの部分を成形した。
図7は1工程目のプレス成形が完了し、離型したときの中間成形品を示す。
図8は2工程目のプレス成形中の状態を示す。
図9は2工程目のプレス成形が完了したときのプレス成形品を示す。また、
図7〜
図9の成形高さは、
図3〜
図5の成形高さと同じである。
【0047】
図7に示すように、中間成形品11の暫定フランジ部16の領域Y(
図3中の領域Xに相当)の被加工材の肉余りは、
図3に示す場合と比べて小さかった。そして、1工程目で成形された中間成形品11を2工程目でプレス成形してプレス成形品1を得た。
図9に示すように、プレス成形品1の段差部直下の縦壁部3b及び段差下部直下の縦壁部3cの主曲率から読み取られるシワは、
図5に示すプレス成形品と比べて顕著に抑制された。この点について
図10を用いて説明する。
【0048】
図10は、プレス成形の進行に伴う段差部直下の縦壁部3bの任意の点におけるせん断歪の大きさを示す図である。
図10の縦軸はせん断歪の大きさを示し、横軸は段差上部直下の縦壁部3aの成形高さを示す。
図10中の黒丸印は1つのプレス工程で成形した場合の結果を示す。
図10中の白三角印は2つのプレス工程で成形した場合の結果のうち1工程目の結果を示す。
図10中の黒三角印は2つのプレス工程で成形した場合の結果のうち2工程目の結果を示す。
図10中の領域Aは、成形高さが約10mmの時点を示し、
図3及び
図7の状態に相当する。
図10中の領域Bは、成形高さが約23mmの時点を示し、
図4及び
図8の状態に相当する。
図10中の領域Cは、
図5及び
図9の状態に相当する。
【0049】
図10中の領域Aにおいて、1つのプレス工程で成形した場合(黒丸印)のせん断歪が約0.08であるのに対して、2つのプレス工程で成形した場合(白三角印)のせん断歪は約0.05である。上述したように、2つのプレス工程で成形した場合、暫定フランジ部を備える中間成形品を成形することにより、せん断歪が抑制されたためである。領域Aの時点から更にプレス成形が進行すると、1つのプレス工程で成形した場合と2つのプレス工程で成形した場合とで、せん断歪の大きさの推移は同様の傾向となる。要するに、
図10中の領域Aに示すように、暫定フランジ部を成形すれば、段差部直下の縦壁部3bのせん断歪が抑制される。その結果、最終製品のせん断歪が抑制される。すなわち、シワの大きさが抑制される。
【0050】
本実施形態のプレス成形品の製造方法は、上述した知見に基づき完成された。以下、本実施形態のプレス成形品の製造方法について説明する。
【0051】
本実施形態のプレス成形品の製造方法は、第1のプレス工程と、第2のプレス工程とを含む。第1のプレス工程では、第1の金型を用いて、被加工材から中間成形品を成形する。第2のプレス工程では、第2の金型を用いて、第1のプレス工程で成形された中間成形品をプレス成形品に成形する。
【0052】
[中間成形品]
図11は、第1のプレス工程によって得られる中間成形品の斜視図である。中間成形品11は、天板部12と、稜線部15と、暫定縦壁部13と、暫定稜線部17と、暫定フランジ部16とを有する。中間成形品11の天板部12は、
図1に示すプレス成形品1(完成品)の天板部2と同じ形状である。したがって、中間成形品11の天板部12は段差部14を有する。稜線部15は天板部12の幅方向の端部12Aにある。
【0053】
暫定縦壁部13は、プレス成形品の縦壁部の少なくとも一部の形状を有する。換言すると、暫定縦壁部13は、プレス成形品の縦壁部の途中までの形状を有する。暫定縦壁部13は稜線部15を介して天板部12に隣接する。暫定縦壁部13と天板部12のなす角は、通常、離型するため直角もしくは鈍角である。暫定縦壁部13の稜線部15と反対側の端部には暫定稜線部17がある。暫定フランジ部16は、暫定稜線部17を介して暫定縦壁部13に隣接する。
図19に示すように、中間成形品は、
図1のプレス成形品の段差下部の天板部2cと、段差下部の天板部2cに隣接する稜線部と、稜線部を介して段差下部の天板部2cに隣接する暫定縦壁部を有していなくても構わない。
【0054】
[第1の金型]
図12〜
図14は、第1のプレス工程で金属板25が段差部14に成形される様子を段階的に示す断面図である。これらの図のうち、
図12は成形開始前の金型と被加工材の配置を示す。
図13は成形初期の状態を示す。
図14は成形完了時の状態を示す。
【0055】
図12〜
図14に示すように、第1の金型20は、下型として第1パンチ21を備え、上型として第1ダイ22及び第1パッド23を備える。すなわち、第1パンチ21は、第1ダイ22及び第1パッド23と対向する。第1の金型20は、金属板25を
図11に示す中間成形品11に成形する。
【0056】
第1パンチ21は、第1先端部21a、第1パンチ壁部21b、及びパンチ平坦部21cを有する。第1先端部21aは、第1パンチ21の幅方向の端部から伸び、少なくとも第1パンチ21の幅方向の一部を横切るように長手方向に段差部を有する。すなわち、第1パンチ21の第1先端部21aの形状は、中間成形品の天板部に対応する。第1パンチ壁部21bは、第1先端部21aの段差部がある端部にある第1パンチ肩21dを介して第1先端部21aと隣接する。すなわち、第1パンチ壁部21bの形状は、中間成形品の暫定縦壁部に対応する。第1パンチ肩21dは、中間成形品の稜線部に対応する形状である。パンチ平坦部21cは、第1パンチ壁部21bとパンチ底肩21eを介して第1パンチ壁部21bに隣接する。すなわち、パンチ平坦部21cの形状は、中間成形品の暫定フランジ部に対応する。パンチ底肩21eの形状は、中間成形品の暫定稜線部に対応する。
【0057】
第1ダイ22は、第1パンチ21の第1パンチ肩21d、第1パンチ壁部21b及びパンチ平坦部21cに対向する。第1ダイ22と第1パンチ21とによって、中間成形品の天板部以外の領域が成形される。
【0058】
第1パッド23は、第1パンチ21の第1先端部21aと対向する。第1パッド23と第1パンチ21とによって、中間成形品の天板部が成形される。また、第1パッド23は、加圧部材24を介して第1ダイ22に取り付けられる。加圧部材24は、例えば、ばね、ゴム、油圧シリンダ等である。
【0059】
第1の金型20は、第1プレス機51に設置される(
図23参照)。第1プレス機51は、金属板25をパッド曲げ成形する。以下、第1の金型が設置された第1プレス機による第1のプレス工程を説明する。
【0060】
[第1のプレス工程]
図12〜
図14に示すように、第1のプレス工程では、被加工材(ブランク)として、金属板25を用いる。金属板25としては、例えば、引張強度が590MPa以上、望ましくは980MPa以上の高強度鋼板を用いる。高強度の被加工材の降伏点は高いため、シワが発生しやすい。本実施形態の製造方法は、このような高強度の被加工材のプレス成形に適する。金属板25として、めっき鋼板、ステンレス鋼板、合金鋼版、アルミニウム合金板、銅合金板等を用いることもできる。金属板のみならず、軟化させたプラスチックシートにも本発明は適用できる。
【0061】
図12に示すように、金属板25を第1パンチ21の所定の位置に配置する。金属板25は、第1先端部21aと第1パンチ肩21dに接して配置される。また、金属板25はパンチ平坦部21cと第1ダイ22の間に配置される。その後、第1パッド23及び第1ダイ22が第1パンチ21に接近する。そして、
図13に示す状態に至る。
【0062】
図13に示すように、第1パッド23と第1パンチ21の第1先端部21aとによって金属板25を挟む。第1パッド23は金属板25の稜線部に成形される箇所を押さえないことが望ましい。すなわち、第1パッド23とパンチ肩とで金属板25を挟まないことが望ましい。その方がシワの発生を抑制できる。第1パッド23は金属板25の稜線部に成形される箇所の近傍までを押さえることが最も望ましい。第1ダイ22が第1パンチ21に更に接近すると、第1パンチ21による金属板25の第1ダイ22への押し込みが開始し、金属板25の曲げ成形が始まる。更に第1ダイ22が第1パンチ21に接近すると、第1ダイ22に対する第1パンチ21の押し込みが下死点に到達し、
図14に示す状態に至る。
【0063】
図14に示すように、成形下死点に到達すると、中間成形品11が得られる。
【0064】
図11を参照して、第1のプレス工程では、暫定フランジ部16を成形することで、暫定縦壁部13の成形時における領域X(
図3参照)の肉余りを拘束すると同時に、成形下死点にて領域Xの肉余りを金型で押し潰すことができる。結果として、領域Xの肉余りを抑制することができる。更に、第1のプレス工程では、中間成形品を離型することによって被加工材に弾性回復が生じる。弾性回復によっても段差部直下の縦壁部3bに生じるせん断歪を緩和することができる。
【0065】
第1のプレス工程で成形される中間成形品の段差上部直下の縦壁部3aの成形高さは、最終成品であるプレス成形品の成形高さの50%以下であるのが好ましい。すなわち、中間成形品の暫定縦壁部の高さは、プレス成形品の縦壁部の高さの50%以下であるのが好ましい。プレス成形品の縦壁部の高さとは、段差上部直下の縦壁部3aの高さを意味する。特に好ましくは、第1のプレス工程では、プレス成形品の稜線部の全領域が成形される。
図10の領域Aに示すように、プレス成形品の稜線部を成形するときに段差上部直下の縦壁部3aのせん断歪が急激に大きくなる。第1のプレス工程でプレス成形品の稜線部に相当する領域全てが成形された中間成形品を成形すれば、せん断歪を大きく抑制できるからである。最も好ましいのは、更に、段差下部の天板部2cに隣接する暫定縦壁部が成形されていないことである。
【0066】
上述の第1のプレス工程では、被加工材を曲げ成形する場合について説明した。しかしながら、第1のプレス工程は曲げ成形に限定されない。第1のプレス工程では、絞り成形によって中間成形品を成形してもよい。
【0067】
図15は、第1のプレス工程で絞り成形を実施する場合の第1の金型を示す断面図である。第1の金型40は、下型として第1パンチ41及びブランクホルダ43を備え、上型として第1ダイ42を備える。すなわち、第1ダイ42は、第1パンチ41及びブランクホルダ43と対向する。第1の金型40は、金属板25を
図11に示す中間成形品11に成形する。
【0068】
第1パンチ41は、第1先端部41a、第1パンチ壁部41bを有する。第1先端部41aは、第1パンチ41の幅方向の端部から伸び、少なくとも第1パンチ41の幅方向の一部を横切るように長手方向に段差部を有する。すなわち、第1パンチ41の第1先端部41aの形状は、中間成形品の天板部の形状に対応する。第1パンチ壁部41bは、第1先端部41aの段差部がある端部にある第1パンチ肩41dを介して第1先端部41aと隣接する。すなわち、第1パンチ壁部41bの形状は、中間成形品の暫定縦壁部の形状に対応する。第1パンチ肩41dの形状は、中間成形品の稜線部の形状に対応する。
【0069】
ブランクホルダ43は、第1パンチ41に隣接して配置される。ブランクホルダ43は、第1ダイ42と対向する。ブランクホルダ43と第1ダイ42とによって、中間成形品の暫定フランジ部が成形される。したがって、ブランクホルダ43の形状は、中間成形品の暫定フランジ部の形状に対応する。また、ブランクホルダ43は、加圧部材44を介して図示しないプレス機に取り付けられる。加圧部材44は、例えば、ばね、ゴム、油圧シリンダ等である。
【0070】
第1ダイ42は、第1パンチ41及びブランクホルダ43に対向する。第1ダイ42と第1パンチ41及びブランクホルダ43とによって、中間成形品が成形される。したがって、第1ダイ42の形状は中間成形品の形状に対応する。
【0071】
第1のプレス工程が絞り成形である場合、まず、ブランクホルダ43と第1ダイ42とによって金属板25を挟む。次に、第1パンチ41が第1ダイ42に押し込まれ中間成形品が得られる。
【0072】
要するに、第1のプレス工程では、
図12に示す第1の金型20又は
図15に示す第1の金型40のいずれの金型も使用できる。
【0073】
図23を参照して、本実施形態の製造方法では、第1のプレス工程後、第2のプレス工程を実施する。第2の金型30は、第2プレス機52に設置される。以下、第2のプレス工程について説明する。
【0074】
[プレス成形品]
第2のプレス工程によって得られるプレス成形品は、
図1に示すような天板部に段差部を有するプレス成形品である。
【0075】
[第2の金型]
図16〜
図18は、第2のプレス工程を段階的に示す断面図である。これらの図のうち、
図16は成形開始前の状態を示す。
図17は成形初期の状態を示す。
図18は成形完了時の状態を示す。
【0076】
図16〜
図18に示すように、第2の金型30は、下型として第2パンチ31を備え、上型として第2ダイ32及び第2パッド33を備える。すなわち、第2パンチ31は、第1ダイ32及び第1パッド33と対向する。第2の金型30は、第1のプレス工程で得られた中間成形品11を
図1に示すプレス成形品1に成形する。
【0077】
第2パンチ31は、第2先端部31a、及び第2パンチ壁部31bを有する。第2先端部31aの形状は、第1の金型20の第1パンチ21の第1先端部21aの形状と同じである(
図12参照)。すなわち、第2先端部31aの形状は、プレス成形品の天板部の形状に対応する。第2パンチ壁部31bは、第2先端部31aの段差部がある端部にある第2パンチ肩31dを介して第2先端部31aと隣接する。すなわち、第2パンチ壁部31bの形状は、プレス成形品の縦壁部の形状に対応する。第2パンチ肩31dの形状は、プレス成形品の稜線部の形状に対応する。
【0078】
第2ダイ32は、第2パンチ31の第2パンチ肩31d、第2パンチ壁部31bに対向する。第2ダイ32と第2パンチ31とによって、プレス成形品の天板部以外の領域が成形される。したがって、第2ダイ32の形状は、第2パンチ31の形状に対応する。
【0079】
第2パッド33は、第2パンチ31の第2先端部31aと対向する。第2パッド33と第2パンチ31とで、中間成形品の天板部を挟む。したがって、第2パッド33の形状は、第2パンチ31の第2先端部31aの形状に対応する。また、第2パッド33は、加圧部材34を介して第2ダイ32に取り付けられる。加圧部材34は、例えば、ばね、ゴム、油圧シリンダ等である。
【0080】
第2の金型30は、図示しない第2プレス機に設置される。第2プレス機は、中間成形品をパッド曲げ成形する。以下、第2の金型が設置された第2プレス機による第2のプレス工程を説明する。
【0081】
[第2のプレス工程]
図16に示すように、第1のプレス工程で成形された中間成形品11を第2パンチ31の所定の位置に配置する。その後、第2パッド33及び第2ダイ32が第2パンチ31に接近する。そして、
図17に示す状態に至る。
【0082】
図17に示すように、第2パッド33と第2パンチ31とが中間成形品11の天板部を挟む。これにより、中間成形品11は拘束される。第2パッド33及び第2パンチ31は、中間成形品11の天板部の全領域を拘束してもよいし、一部の領域でもよい。中間成形品11が拘束される領域は、シワの発生、成形品の寸法精度等を考慮して適宜設定される。
【0083】
第2ダイ32が第2パンチ31へ更に接近すると、第2パンチ31による中間成形品11の第2ダイ32への押し込みが開始し、中間成形品11の曲げ成形が始まる。第2のプレス工程では、中間成形品11の暫定稜線部17を暫定フランジ部16へ向かい移動させる成形を行う。すなわち、暫定フランジ部16が順次第2ダイのダイ肩で曲げられた後、第2ダイ32と第2パンチ31の間で伸ばされていく。これにより、暫定フランジ部16はプレス成形品1の縦壁部3に成形される。更に第2ダイ32を第2パンチ31へ接近させると、第2ダイ32に対する第2パンチ31の押し込みが下死点に到達し、
図18に示す状態に至る。
【0084】
図18に示すように、成形下死点に到達すると、プレス成形品1が得られる。
【0085】
第2のプレス工程では、暫定フランジ部16を縦壁部3に成形すべく、暫定縦壁部13と暫定フランジ16間の暫定稜線部をフランジ側へ移動させる。暫定稜線部の位置は天板部の形状に関わらず同じ高さで移動するため、第2プレス工程では肉余りは発生しにくい。また、第2のプレス工程では暫定稜線部を移動させる際、暫定縦壁部13に張力が発生するため、第1のプレス工程で生じた肉余りは減少する。以上より、プレス成形品1の段差部直下の縦壁部3b及び段差下部直下の縦壁部3cに生じるシワが抑制される。
【0086】
第2プレス機(第2の金型30)の第2パンチ壁部31bの高さH2(
図16参照)は、第1プレス機(第1の金型10、30)の第1パンチ壁部11b、31bの高さH1(
図12参照)よりも大きい。換言すると、第2のプレス工程での成形高さは、第1のプレス工程での成形高さよりも大きい。第1プレス機で成形される中間成形品は暫定フランジ部を有する。以上の構成によって、高強度鋼板を
図1に示すようなプレス成形品にシワを抑制して成形できる。
【0087】
第2のプレス工程後、プレス成形品に穴を開けたり、プレス成形品の不要な部分を切除するトリミング工程を実施してもよい。
【0088】
その他本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることは言うまでもない。例えば、上記の実施形態のプレス成形装置では、下型としてパンチを備え、上型としてダイ及びパッドを備えた構成であるが、上下の金型の配置が上下で反転した構成であっても構わない。
【実施例】
【0089】
本実施形態の製造方法によるシワを抑制する効果を確認するために、FEMによるシミュレーションを実施した。シミュレーションでは、被加工材の引張強度を種々変更した。シミュレーションでは
図1に示す形状のプレス成形品を成形する場合を想定した。本発明例として、2つのプレス工程でプレス成形品を成形する場合を想定した。比較例として、1つのプレス工程でプレス成形品を成形する場合を想定した。本発明例では、平坦な鋼板である被加工材を第1の金型を用いて第1のプレス工程、及び第2の金型を用いて第2のプレス工程を実施した。
【0090】
図19は、本発明例の中間成形品を示す斜視図である。本発明例の第1のプレス工程では、
図19に示す中間成形品11を成形した。中間成形品11は、段差部14を有する天板部12、暫定縦壁部13、及び暫定フランジ部16を備える。本発明例の第2のプレス工程では、中間成形品11を
図1に示すプレス成形品に成形した。
【0091】
本発明例で成形したプレス成形品の寸法を説明する。プレス成形品の段差上部の天板部の幅W1は90mmとした(
図1参照)。プレス成形品の段差下部の天板部の幅W2は80mmとした。プレス成形品の段差上部の天板部の成形高さH1は40mmとした。プレス成形品の段差下部の天板部の成形高さH2は35mmとした。すなわち、段差部の高さHは5mmとした。プレス成形品の稜線部の曲率半径Rは6mmとした。
【0092】
本実施例の成形実験で用いた被加工材は、日本鉄鋼連盟規格で規定されるJAC270DC、JAC590R、JSC980Y及びJAC1180Yに相当する鋼板を用いた。すなわち、JAC270DCの引張強度は270MPaであった。JAC590Rの引張強度は590MPaであった。JSC980Yの引張強度は980MPaであった。JAC1180Yの引張強度は1180MPaであった。
【0093】
本発明例及び比較例によって成形されたプレス成形品の段差下部直下の縦壁部3cの任意の点における主曲率1/ρを調査した。主曲率1/ρの最大値と最小値との差△1/ρを算出し、シワの評価の指標とした。△1/ρは成品を3次元形状測定機(例えばSteinbichler Optotechnik GmbH社製COMET Vなど)を用いて画像データを採取し、画像処理ソフト(例えばJSOL社製JSTAMP−NVなど)を用いて算出した。
【0094】
図20は、本発明例及び比較例の結果を示す図である。
図20の縦軸は、主曲率の最大値と最小値の差△1/ρを示す。
図20に示す棒グラフのうち、白抜き棒は本発明例の結果を示し、斜線棒は比較例の結果を示す。
【0095】
図20に示すように、被加工材の引張強度が590MPa以上である場合、本発明例は比較例と比べて△1/ρは顕著に小さかった。すなわち、被加工材の引張強度が590MPa以上である場合、本発明例は比較例と比べて顕著にシワの発生は抑制された。なお、被加工材の引張強度が270MPaの場合であっても、本発明例の△1/ρは比較例よりも小さかった。したがって、被加工材の引張強度が590MPa未満の場合であっても、本発明例はプレス成形品のシワを抑制できた。
プレス成形品(1)の製造方法は、第1のプレス工程と、第2のプレス工程と、を含む。第1のプレス工程では、第1の金型(20)を用いて、中間成形品(11)を被加工材(25)から成形する。中間成形品(11)は、天板部(12)の段差部(14)と、稜線部(15)を介して天板部(12)に隣接した縦壁部の少なくとも一部の形状が成形された暫定縦壁部(13)と、暫定稜線部(17)を介して暫定縦壁部(13)に隣接した暫定フランジ部(16)と、を有する。第2のプレス工程では、第2の金型(30)を用いて、中間成形品(11)からプレス成形品(1)を成形する。第2のプレス工程では、中間成形品(11)の天板部(12)の少なくとも一部を拘束した状態で暫定稜線部(17)を暫定フランジ部(16)へ向かい移動させる成形を実施する。これにより、割れ、シワを抑制したプレス成形品が製造できる。