(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の直線部の各々先端付近で、前記折曲空間部の一方から他方に渡る空間の内側に、通信改善体を直線状に設けることを特徴とする請求項1又は2記載のICタグ。
前記第2の直線部の各々先端付近で、前記折曲空間部の一方から他方に渡る空間の内側及び外側の両側に、通信改善体を設けることを特徴とする請求項1又は2記載のICタグ。
前記第2の直線部の各々先端付近で、前記折曲空間部の一方から他方に渡る空間の内側に、直線状の通信改善体を配置すると共に、該直線状の通信改善体の両端に、前記折曲空間部を前記折曲部に沿って、折り曲げ形成された折り曲げ通信改善体が連設されていることを特徴とする請求項1又は2記載のICタグ。
ICチップと、該ICチップに電気的に接続され、第1の直線部と、該第1の直線部の両側に形成された折曲部と、両側の該折曲部の各々から延出し先端同士を対向させた第2の直線部とからなるアンテナとを備えるICタグ本体と、
共振周波数を所望の使用周波数に合わせる通信改善体を含む通信改善部材とを備え、
前記通信改善部材は、前記ICタグ本体の表面又は裏面の少なくとも一方に絶縁層を介して配置され、且つ前記通信改善体が、前記第2の直線部の直上若しくは直下、又はそれらの近傍の少なくとも一方に位置するように配置されることを特徴とするICタグ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、アンテナとして、特許文献1の
図7(3)に折り返した(コの字型)ダイポール型アンテナ、同図(4)に折り曲げ箇所を増やしたコの字型ダイポール型アンテナ、及び同図(5)にメアンダライン型アンテナが開示されている。
【0007】
折り返したダイポール型アンテナは、シンプルなアンテナ設計であり、使いやすいというメリットがある。
【0008】
しかしながら、ICタグにアンテナを用いる場合、例えば、UHF帯のICタグでは1/2波長のアンテナ長さが必要となり、920MHzでの1/2波長は約16cmとなる。
【0009】
このため、ダイポール型アンテナを用いるICタグのアンテナサイズを小さくしようとすると、共振周波数が上がってしまうため、上記の920MHz帯での使用するときは、アンテナサイズを大きくせざるを得ないという課題があった。さらに、サイズが大きくなる結果、ICタグの取り付け性が悪いという課題があった。
【0010】
また、メアンダライン型アンテナは、アンテナをジグザグ形状にし、アンテナを長く使用することで共振周波数を抑え、且つ、サイズを小さくできるメリットがある。
【0011】
しかし、ジグザグ形状の構造とすると、アンテナ設計上、構成パラメータが増えることになる。構成パラメータが増える結果、アンテナ設計の最適化が難しかった。
【0012】
更に、ICタグのアンテナ設計では、ICタグを、樹脂のケースに貼り付けて又は埋め込んで、使用することを考慮して設計する。このため、ICタグが使用される環境下での材質の誘電率を考慮して、アンテナ設計することが必要であった。
【0013】
したがって、メアンダライン型アンテナを使用するICタグでは、アンテナ自体の構成パラメータと、使用時における材質の誘電率との両方を考慮して、アンテナ設計をしなければならず、アンテナ設計がより複雑になるという課題があった。
【0014】
そこで、本発明の課題は、折り返したダイポールアンテナのサイズを小型化させ、アンテナ設計を容易にできるICタグ及びICタグの製造方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0017】
1.
ICチップと、
該ICチップに電気的に接続されるアンテナとを備え、
前記アンテナは、第1の直線部と、該第1の直線部の両側に形成された折曲部と、両側の該折曲部の各々から延出し先端同士を対向させた第2の直線部とからなり、両側の該折曲部と、前記第1の直線部と、前記第2の直線部とにより囲まれる空間の両側には折曲空間部がそれぞれ形成され、
前記第2の直線部の各々先端付近で、前記折曲空間部の一方から他方に渡る空間の内側又は外側の少なくとも一側に、共振周波数を所望の使用周波数に合わせる通信改善体を設けることを特徴とするICタグ。
2.
前記折曲部の一方が円弧状又はコの字状に形成され、他方が円弧状又は逆コの字状に形成されてなることを特徴とする前記1記載のICタグ。
3.
前記第2の直線部の各々先端付近で、前記折曲空間部の一方から他方に渡る空間の内側に、通信改善体を直線状に設けることを特徴とする前記1又は2記載のICタグ。
4.
前記第2の直線部の各々先端付近で、前記折曲空間部の一方から他方に渡る空間の外側に、通信改善体を設けることを特徴とする前記1又は2記載のICタグ。
5.
前記第2の直線部の各々先端付近で、前記折曲空間部の一方から他方に渡る空間の内側及び外側の両側に、通信改善体を設けることを特徴とする前記1又は2記載のICタグ。
6.
前記第2の直線部の各々先端付近で、前記折曲空間部の一方から他方に渡る空間の内側に、直線状の通信改善体を配置すると共に、該直線状の通信改善体の両端に、前記折曲空間部を前記折曲部に沿って、折り曲げ形成された折り曲げ通信改善体が連設されていることを特徴とする前記1又は2記載のICタグ。
7.
前記ICチップと、該ICチップに電気的に接続されるコイル部とを備えた磁界型タグユニットを備え、
前記磁界型タグユニット内の前記コイル部を介して、電気的に接続される前記アンテナとを備えることを特徴とする前記1〜6の何れかに記載のICタグ。
8.
前記アンテナが、前記第1の直線部の中央近傍に、前記第2の直線部に向かって凸状をなす突出部を有し、
前記磁界型タグユニットが、前記突出部に囲まれるように配置されていることを特徴とする前記7記載のICタグ。
9.
前記アンテナの前記折曲空間部の何れか一方に、前記折曲部に囲まれるように、前記磁界型タグユニットが配置されていることを特徴とする前記7記載のICタグ。
10.
ICチップと、該ICチップに電気的に接続され、第1の直線部と、該第1の直線部の両側に形成された折曲部と、両側の該折曲部の各々から延出し先端同士を対向させた第2の直線部とからなるアンテナとを備えるICタグ本体と、
共振周波数を所望の使用周波数に合わせる通信改善体を含む通信改善部材とを備え、
前記通信改善部材は、前記ICタグ本体の表面又は裏面の少なくとも一方に絶縁層を介して配置され、且つ前記通信改善体が、前記第2の直線部の直上若しくは直下、又はそれらの近傍の少なくとも一方に位置するように配置されることを特徴とするICタグ。
11.
前記絶縁層は、絶縁フィルムであることを特徴とする前記10記載のICタグ。
12.
前記折曲部の一方が円弧状又はコの字状に形成され、他方が円弧状又は逆コの字状に形成されてなることを特徴とする前記10又は11記載のICタグ。
13.
前記通信改善体は、直線状の通信改善体であることを特徴とする前記10、11又は12記載のICタグ。
14.
前記通信改善体は、前記直線状の通信改善体の両端に、
前記折曲部に沿って、折り曲げ形成された折り曲げ通信改善体が連設さ
れ、
前記通信改善部材は、前記直線状の通信改善体に
連設された前記折り曲げ通信改善体が含まれ
ており、
前記直線状の通信改善体が、前記第2の直線部の直上若しくは直下、又はそれらの近傍の少なくとも一方に位置するように配置されることを特徴とする前記13記載のICタグ。
15.
前記ICチップと、該ICチップに電気的に接続されるコイル部とを備えた磁界型タグユニットを備え、
前記磁界型タグユニット内の前記コイル部を介して、電気的に接続される前記アンテナとを備えることを特徴とする前記
10〜14の何れかに記載のICタグ。
16.
前記アンテナが、前記第1の直線部の中央近傍に、前記第2の直線部に向かって凸状をなす突出部を有し、
前記磁界型タグユニットが、前記突出部に囲まれるように配置されていることを特徴とする前記
15記載のICタグ。
17.
前記アンテナの
前記折曲部の何れか一方に、前記折曲部に囲まれるように、前記磁界型タグユニットが配置されていることを特徴とする前記
15記載のICタグ。
18.
ICチップと、該ICチップに電気的に接続されるアンテナとを備え、
前記アンテナは、第1の直線部と、該第1の直線部の両側に形成された折曲部と、両側の該折曲部の各々から延出し先端同士を対向させた第2の直線部を有し、
前記ICチップと前記アンテナをベースフィルム上に配置したICタグ本体を作成するICタグ本体作成工程と、
共振周波数を所望の使用周波数に合わせる通信改善体を内装する通信改善部材作成工程と、
前記ICタグ本体の表面又は裏面の少なくとも一方に、絶縁層を介して、通信改善部材を、前記第2の直線部の直上若しくは直下、又はそれらの近傍の少なくとも一方に位置するように付設する通信改善部材付設工程とよりなることを特徴とするICタグの製造方法。
19.
前記絶縁層は、絶縁フィルムであることを特徴とする前記
18記載のICタグの製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、折り返したダイポールアンテナのサイズを小型化させ、アンテナ設計を容易にできるICタグを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0021】
(第1の発明)
図1〜
図4は、第1の実施の形態を示すものである。
図1は、第1の発明に係るICタグの第1の実施形態を示す一部切欠き平面図で、(ii)−(ii)線より右側の部分は被覆部を除いた平面図である。
図2は、
図1の(ii)−(ii)線の拡大断面図である。また、
図3(a)は、磁界型タグユニット3とアンテナ4との接続方式の一例を示す概念説明図であり、
図3(b)は、結線型タグユニット3とアンテナ4との接続方式の一例を示す概念説明図である。また、
図4は、本発明に使用する磁界型タグユニットの模式的拡大断面図である。
【0022】
第1の発明にかかるICタグ1は、可撓性を有する樹脂製のベースフィルム2と、磁界型タグユニット3(タグユニット3)と、アンテナ4と、該アンテナ先端側に近接して設けた通信改善体5と、可撓性を有する樹脂製のカバーフィルム6と、前記カバーフィルム6及び磁界型タグユニット3を覆う被覆部8とによって構成される。
【0023】
可撓性を有する樹脂製のベースフィルム2は、一般的なフレキシブルプリント基板と称するものを用いることができる。
【0024】
ICタグ1は、このベースフィルム2上にアンテナ4、及び通信改善体5が形成されており、更にそれらの表面上にカバーフィルム6を固着させることによって形成されている。
【0025】
ベースフィルム2とカバーフィルム6とを固着させるには、例えば、接着層7を介して固着させることができる。
【0026】
ベースフィルム2及びカバーフィルム6の材料としては、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)等を用いることができる。なお、リネン品に使用する場合においては、ベースフィルム2の裏面側(カバーフィルム6とは反対側)に、保護フィルム20を覆っても良い。この保護フィルム20も可撓性を有する樹脂製のフィルムである。
【0027】
接着層7としては、例えば、接着剤シートを用いることができる。また、ベースフィルム2及びカバーフィルム6が、耐熱性の高い樹脂フィルムを用いる場合には、熱硬化性の接着剤を用いることが好ましい。
【0028】
タグユニット3とアンテナ4との接続方式を
図3(a)、
図3(b)を参照して説明する。
【0029】
図3(a)には、図中一点鎖線で示された磁界型タグユニット3内部のICチップ30と、磁界型タグユニット3の外部のアンテナ4とが、コイル部31を介して電気的に接続されている態様が示されている。
【0030】
図3(a)において、磁界型タグユニット3は、ICチップ30と、コイル部31とが導線32によって電気的に接続された構成である。そして、アンテナ4は、該コイル部31を介して、磁界型タグユニット3のICチップ30に電気的に接続されている。
【0031】
磁界型タグユニット3において、コイル部31とアンテナ4との配置関係を調整することにより、これらの間で電磁結合によって、通信を可能とする。
【0032】
また、
図3(b)には、ICチップ30とアンテナ4とが、導電性のワイヤ33によって直接電気的に接続されている態様が示されている。
【0033】
図3(b)において、結線型タグユニット3は、ICチップ30と導線32とが接続され、導線32にワイヤ33が接続され、ワイヤ33は、結線型タグユニット3の外部のアンテナ4と直接電気的に接続された構成である。そして、アンテナ4は、ワイヤ33を介して、結線型タグユニット3の導線32及びICチップ30に直接電気的に接続されている。
【0034】
磁界型タグユニット3の構成の一例を、
図4を参照して説明する。磁界型タグユニット3は、ICチップ30が、基体34上に形成されたダイパッド35上に固定されている。そして、このICチップ30の周囲を取り囲むようにコイル部31が設けられている。ICチップ30とコイル部31は導線32によって電気的に接続されている。そして、これらICチップ30、ダイパッド35、コイル部31及び導線32は、エポキシなどの硬質の樹脂材36内部に埋め込まれている。
【0035】
なお、このように構成される磁界型タグユニット3は、各種部材が硬質の樹脂材36の内部に埋め込まれているため、ICチップ30とコイル部31との間が断線してしまうといった問題がなく、小型化が可能であるという利点もある。例えば、磁界型タグユニット3は、一般的に略直方体であり、縦横の長さを1.5mm以上8mm以下、厚さを0.5mm以上1.5mm以下程度にすることが可能である。
【0036】
アンテナ4は、前記ベースフィルム2上に形成される金属(例えば銅)により構成される。このアンテナ4は、例えば
図1に示すように、第1の直線部42、42と、該第1の直線部42、42の両側に形成された折曲部43、43と、両折曲部43、43の各々から延出し、先端同士を対向させた第2の直線部44、44とにより構成される。また、折曲部43の形状は、円弧状に形成されている。
【0037】
また、折曲空間部46、46は、両折曲部43、43と、第1の直線部42、42と、第2の直線部44、44とにより囲まれる空間の両側にそれぞれ形成される。
【0038】
また、アンテナ4の第1の直線部42、42の中央近傍に、前記第2の直線部44、44に向かって円弧状(凸状の一例)に突出した突出部41を有している。タグユニット3が磁界型タグユニット3である場合には、突出部41を設けることが好ましい。アンテナ4の突出部41は、磁界型タグユニット3にできるだけ近接させることが好ましく、さらに、アンテナ4と磁界型タグユニット3との近接させる距離をできるだけ長くすることが好ましい。これにより、アンテナ4と磁界型タグユニット3との近接させる距離が長ければ長いほど通信距離を伸ばすことができる。
【0039】
ここで、第1の直線部42、42と第2の直線部44、44は、互いに平行に形成されている。そして、各第2の直線部44、44から延出された先端同士は、接触しないように配置されている。
【0040】
また、前記アンテナ4の形状は、第2の実施の形態として、
図5に示すようにアンテナの折り曲げた形状をコ字形状とすることもできる。この場合に、両折曲部43、43の代わりに直線折り返し部45,45が形成されている。それ以外の、突出部41、第1の直線部42、42、第2の直線部44、44及び折曲空間部46、46は第1の実施形態と同様の構成である。また、一方の直線折り返し部45の形状は、コの字状に形成され、他方の直線折り返し部45は、逆コの字状に形成されている。コの字状、逆コの字状の角度は、直角でもいいし、ある程度丸みを帯びていてもよい。
【0041】
次に、通信改善体5について記載する。本来、ICタグは、リーダの使用周波数帯に共振周波数を合わせて機能させるものである。このため、使用周波数帯を共振周波数に合わせるためには、アンテナ4のサイズを大きくしたり、複雑な形状に変えたりして、アンテナ長を使用周波数帯に合わせなければならない。そこで、通信改善体5を設けることで、アンテナ4のサイズを小さく保ちつつ、共振周波数を下げることができる。
【0042】
通信改善体5は、前記ベースフィルム2上に形成される比較的細い幅の金属により構成する。さらに、
図1に示すように、前記第2の直線部44,44の各々先端付近で、一方の折曲空間部46から他方の折曲空間部46に渡る空間の内側に、通信改善体5が直線状に配置されている。
【0043】
この通信改善体5を配置することで、アンテナ4に共振することで流れる電流により発生した磁界が、通信改善体5に電流を流し、この電流に基づいて磁界が発生する。この通信改善体5に流れる電流による磁界が、アンテナ4の周りの電磁状態を大きく変化させる。これにより、共振周波数を変化させることができる。そして、アンテナ4と通信改善体5との配置関係や通信改善体の長さを調整することにより、共振周波数を所望の使用周波数帯に合わせることができる。
【0044】
なお、第1の発明に係るICタグ1の通信改善体5は、第2の直線部44、44の各々先端付近に配置される。本発明では、共振周波数を所望の使用周波数に合わせられる配置であればよいので、第2の直線部44、44の下側近傍でもよいし、第2の直線部44、44の上側近傍でもよく、更に、第2の直線部44、44の上側近傍及び下側近傍の両方でもよい。
【0045】
すなわち、第1の実施の形態は、
図1に示すように下側近傍に設けられる態様であり、第2の直線部44、44の各々先端付近で、一方の折曲空間部46から、他方の折曲空間部46に渡る空間の内側に、通信改善体5(第1の通信改善体5)を設けた態様である。
【0046】
また、第3の実施の形態は、
図6に示すように上側近傍に設けられる態様であり、一方の折曲空間部46から、他方の折曲空間部46に渡る空間の外側に、通信改善体5(第2の通信改善体5)設ける態様である。これにより、第1の実施形態の場合ほどの効果には及ばないものの、共振周波数に変化させることができる。
【0047】
更に、第4の実施の形態は、
図7に示すように上側近傍及び下側近傍の両方に通信改善体5を配置する態様であり、上述の第1の通信改善体5と第2の通信改善体5とを両方配置する態様である。
【0048】
第4の実施の形態によれば、第1の通信改善体5と第2の通信改善体5とがそれぞれアンテナ4に対して影響し合う。このため、共振周波数を変化させることができる。
【0049】
また、通信改善体5は、例えば、ベースフィルム2上に銅張りしたものをエッチングするか、導電性インクにより印刷したものを使用することができる。また、金属板をカット加工、打ち抜き加工により形成されたもの、ワイヤーや、導電糸を使用することができる。
【0050】
本発明に係るICタグ1は、カバーフィルム6上に、ICチップ30を内蔵した磁界型タグユニット3が固定され、カバーフィルム6及び磁界型タグユニット3を覆う被覆部8によって形成される。
【0051】
ここで、カバーフィルム6に磁界型タグユニット3が固定される方法としては、接着剤を好適に用いることができる。この接着剤は、磁界型タグユニット3とカバーフィルム6に対して接着性に優れたものを用いるのが好ましい。
【0052】
また、被覆部8の材料として、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム及びEPDMなどを好適に用いることができる。上記の通り、カバーフィルム6の材料として、ゴムに対する接着性に優れたPIを用いているので、カバーフィルム6と被覆部8との接着性を高くすることができる。また、磁界型タグユニット3の付近には、図示はしないが、例えば平面形状であれば円形、断面形状であれば台形、全体の形状であれば円錐台の凸部となるように被覆部8で被覆されている。これにより周囲よりも強度を高めることで、磁界型タグユニット3付近でICタグ1が折れ曲がることを抑制することができる。
【0053】
なお、前述のように磁界型タグユニット3は、カバーフィルム6と共に、弾性体で構成された被覆部8によって覆われているが、カバーフィルム6上に磁界型タグユニット3が固定されたものを、インサート部品として、インサート成形を行うことにより、被覆部8を設けることもできる。
【0054】
本発明に係るICタグ1は、通信改善体5の作用により、共振周波数を変化させることができるため、カバーフィルム6、被覆部8等の材質の誘電率を考慮して、該通信改善体5を設ければよい。そのため、通信改善体5の配置や長さを調整するだけで、アンテナ設計を容易にできる。
【0055】
なお、上記までの実施の形態では、タグユニット3を磁界型タグユニット3の場合で説明しているが、タグユニット3は結線型タグユニット3であってもよい。この場合、コイル部31はなく、ワイヤ33等の導線を介して、アンテナ4とICチップ30とが直接電気的に接続することになる。
【0056】
次に、第5の実施の形態を
図8に基づいて説明する。
図8において、本発明に係るICタグ1は、アンテナ4に形成された折曲空間部46,46のいずれか一方に、折曲部43に囲まれるように前記磁界型タグユニット3が配置された形態が示されている。第5の実施形態に係るICタグ1は、通信改善体5の配置により、共振周波数を変化させることができる。詳しくは、後述の実施例で説明する。
【0057】
なお、
図8の説明では、磁界型タグユニット3は、アンテナ4に形成された折曲空間部46,46のいずれか一方に、折曲部43に囲まれるように配置されている形態を示しているが、これに限定されず、アンテナ4の近傍であれば、折曲空間部46のどの位置に磁界型タグユニット3を配置することができる。これにより、通信改善体5の作用によって、共振周波数を変化させることができる。
【0058】
次に、第6の実施の形態を
図9、10に基づいて説明する。
図9は、
図1の第1の実施形態におけるアンテナ4のサイズを変えて、アンテナ4の長さaを40mm、bを8mmとしたときに、共振周波数が、通信改善体5の長さにより変化する状態を示すグラフである。
図9からも明らかなように、通信改善体5の長さを長くすると共振周波数が下がることがわかる。
【0059】
従って、第1の発明に係る第6の実施の形態では、
図10に示すように、前記アンテナ4の両折曲部43、43に、各々折曲空間部46、46が形成され、該一方の折曲空間部46から他方の折曲空間部46に渡る空間の内側に、直線状の通信改善体5を配置すると共に、該直線状の通信改善体5の両端に、前記アンテナ4の折曲空間部46内を折曲部43,43に沿って折り曲げ形成された折り曲げ通信改善体5が連設されている形態の一例が示されている。
【0060】
この折り曲げ通信改善体5を配置することで、アンテナ4に共振することで流れる電流により発生した磁界が、折り曲げ通信改善体5に電流を流し、この電流に基づいて磁界が発生する。この折り曲げ通信改善体5に流れる電流による磁界が、アンテナ4の周りの電磁状態を大きく変化させる。これにより、共振周波数を変化させることができる。詳しくは、後述の実施例で説明する。
【0061】
なお、上記実施形態では、タグユニット3を磁界型タグユニット3の場合で説明しているが、タグユニット3は結線型タグユニット3であってもよい。この場合、コイル部31はなく、ワイヤ33等の導線を介して、アンテナ4とICチップ30とが直接電気的に接続することになる。
【0062】
上記の態様では、突出部41が円弧状の場合について説明したが、突出部の形状は、第2の直線部に向かって凸状をなす形状であればよいので、矩形状等であってもよい。
【0063】
実験例
(1)第1の実施の形態の実験例を以下に示す。
上述のICタグ1を第1の実施の形態で、共振周波数を計測した。
厚さ0.1mmのベースフィルム2上に、アンテナ4と通信改善体5を設けた。ここで、
図1に示すアンテナ4の形状の各部の大きさは、a=68mm、b=12mm、d=1.5mm、通信改善体5の大きさはc=50mm、e=0.5mmとした。そして前記アンテナ4と通信改善体5との間隔距離fを1〜3mmと変化させ、ネットワークアナライザに磁界プローブを取り付け、アンテナ近傍で、距離fを変化させて、800MHz〜1200MHzの範囲で共振周波数の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0064】
表中、距離fが「なし」となっているものは、第1の実施の形態の内、通信改善体5を除いた構成のものである。
【0066】
表1からも明らかなように、共振周波数は、距離fが小さければ小さいほど下がっていることがわかる。また、通信改善体5がないときの共振周波数が1088MHzであったのに対して、距離fが1mmのとき、934MHzであり、共振周波数が下がっている。例えば、920MHzの使用周波数帯であれば、距離fが1mmになるように通信改善体5を設けることで、共振周波数を使用周波数帯に合わせることができる。つまり、使用周波数帯に合わせて、通信改善体5と第2の直線部44、44との距離を調整することによって、共振周波数を所望の使用周波数帯に合わせることができる。
【0067】
また、上述のICタグ1を第1の実施の形態で、共振周波数を計測した。
厚さ0.1mmのベースフィルム2上に、アンテナ4と通信改善体5を設けた。ここで、
図1に示すアンテナ4の形状の各部の大きさは、a=68mm、b=12mm、d=1.5mm、通信改善体5の大きさはe=0.5mmとし、前記アンテナ4と通信改善体5との間隔距離f=1mmとした。そして通信改善体5との長さcを変化させ、ネットワークアナライザに磁界プローブを取り付け、アンテナ近傍で、800MHz〜1200MHzの範囲で共振周波数の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0069】
表2からも明らかなように、通信改善体5の長さが長いほど、共振周波数が下がっていることがわかる。また、通信改善体5がないときの共振周波数が1088MHzであったのに対して、長さcが54mmのとき、921MHzであり、共振周波数が下がっている。
【0070】
したがって、例えば、920MHzの使用周波数帯の場合には、通信改善体5の長さを54mmにして設けることで、通信の改善が図れる。また、900MHzを使用周波数帯とする場合には、通信改善体5の長さを60mmにして配置することで通信の改善が図れる。つまり、使用周波数帯に合わせて、通信改善体5の長さを調整することによって、共振周波数を所望の使用周波数帯に合わせることができる。
【0071】
(2)次に、第4の実施の形態の実験例を以下に示す。
図7に示す第4の実施の形態では、アンテナ4、及び通信改善体5の大きさは前記第1の実施形態と同一の大きさのものを用いた。そして前記アンテナ4の内側に配置した通信改善体5との間隔距離fを1mmと固定し、外側に配置した通信改善体5との間隔距離gを変化させ、ネットワークアナライザに磁界プローブを取り付け、アンテナ近傍で、距離gをそれぞれ変化させて、800MHz〜1200MHzの範囲で共振周波数の測定を行った。その結果を表3に示す。
【0073】
表3からも明らかなように、前記アンテナ4の第2の直線部44の内外に、2個の通信改善体5を配置した場合、外側の通信改善体5の距離が小さければ小さいほど共振周波数が下がっていることがわかる。すなわち、これら2個の通信改善体5が、アンテナ4に対して、影響し合うため、f=1mm、g=1mmの場合の共振周波数は、838MHzであったのに対して、f=1mm、g=3mmとした方が、共振周波数は903MHzであった。
【0074】
したがって、例えば、920MHzの使用周波数帯の場合には、距離gを3mmにして、通信改善体5を配置する方が、共振周波数は920MHzに近づけることができる。つまり、使用周波数帯に合わせて、通信改善体5の配置を調整することで、共振周波数を所望の使用周波数帯に合わせることができる。
【0075】
(3)次に、第5の実施の形態の実験例を以下に示す。
図8に示す第5の実施の形態では、アンテナ4、及び通信改善体5の大きさは前記第1の実施形態と同一の大きさのものを用いた。そして前記アンテナ4の折曲空間部46の何れか一方の内側で、折曲部43に囲まれるように、前記磁界型タグユニット3を配置した。第1の実施形態と同様に通信改善体5との間隔をf=1mmと固定して配置した。また、通信改善体5を配置しなかった場合と比較した。そして、ネットワークアナライザに磁界プローブを取り付け、アンテナ近傍で、800MHz〜1200MHzの範囲で共振周波数の測定を行った。その結果を表3に示す。
【0077】
表4からも明らかなように、折曲空間部46の一方に、折曲部43に囲まれるように前記磁界型タグユニット3が配置しても、通信改善体5の作用により、共振周波数が下がっていることがわかる。
【0078】
すなわち、磁界型タグユニット3の配置を変えても、通信改善体5が、アンテナ4に対して、影響していることがわかる。
【0079】
したがって、第5の実施態様においても、通信改善体5の配置を調整することにより、共振周波数を所望の使用周波数帯に合わせることができる。
【0080】
(4)次に、第6の実施形態の実験例を以下に示す。
(試験1)
図10に示す第6の実施の形態では、磁界型タグユニット3の位置を、アンテナ4の突出部41に設ける構成である。厚さ0.1mmのベースフィルム2上に、前記アンテナ4と通信改善体5を設けた。ここでアンテナ4の
図10に示す形状の各部の大きさは、a=40mm、b=8mm、d=1mm、通信改善体5の幅をe=0.5mmとし、全長を70mmとした。また、通信改善体5とアンテナ4の第2の直線部44、44との間隔距離fを0.3mmと固定した。そして、ネットワークアナライザに磁界プローブを取り付け、アンテナ近傍で、800MHz〜1200MHzの範囲で共振周波数の測定を行った。その結果を表5に示す。
【0081】
なお、試験1及び下記試験2〜4で、通信改善体5は、アンテナ4のサイズから直線部と曲線部とからなっている。下記試験5で、通信改善体5は直線部のみからなっている。
【0082】
(試験2)
試験1における通信改善体5の全長を60mmとした以外は、試験1と同様とした。そして、ネットワークアナライザに磁界プローブを取り付け、アンテナ近傍で共振周波数の測定を行った。その結果を表5に示す。
【0083】
(試験3)
試験1における通信改善体5の全長を50mmとした以外は、試験1と同様とした。そして、ネットワークアナライザに磁界プローブを取り付け、アンテナ近傍で共振周波数の測定を行った。その結果を表5に示す。
【0084】
(試験4)
試験1における通信改善体5の全長を40mmとした以外は、試験1と同様とした。そして、ネットワークアナライザに磁界プローブを取り付け、アンテナ近傍で共振周波数の測定を行った。その結果を表5に示す。
【0085】
(試験5)
試験1における通信改善体5の全長を32mmとした以外は、試験1と同様とした。そして、ネットワークアナライザに磁界プローブを取り付け、アンテナ近傍で共振周波数の測定を行った。その結果を表5に示す。
【0086】
(試験6)
通信改善体を設なかった以外は、試験1と同様とした。そして、ネットワークアナライザに磁界プローブを取り付け、アンテナ近傍で共振周波数の測定を行った。その結果を表5に示す。
【0088】
表5からも明らかなように、通信改善体5の全長長さが長ければ長いほど共振周波数が下がっていることがわかる。したがって、折り曲げ通信改善体5の全長を変えることで、共振周波数を、所望の使用周波数帯に合わせることができる。なお、試験6では、1200MHzより大きい値になるため、共振周波数の検出ができなかった。
【0089】
(第2の発明)
以上の第1の発明に係る実施形態は、ICタグ1に通信改善体5が一体として形成される態様を説明したが、これに限定されず、以下に示す第2の発明に係る実施形態とすることもできる。詳細は、図面を参照して説明する。
【0090】
第2の発明に係る実施形態では、ICタグ1は、ICタグ本体11と、ICタグ本体11とは別体の通信改善体5を含む通信改善部材12とによって構成される。その製造方法を説明する。
【0091】
まず、
図11〜
図13を参照してICタグ本体11について説明し、次いで、
図14〜
図16を参照して通信改善部材12について説明する。更に、
図17〜
図19を参照して、ICタグ本体11と通信改善部材12とを組み合わせたICタグ1について説明する。前述の第1の発明に係る実施形態と同じ符号については、説明を援用する。
【0092】
〔ICタグ本体作成工程及びICタグ本体〕
ICタグ本体作成工程では、まず、
図11に示すように、ベースフィルム2上に、ICチップ(
図1中、図示省略)を含む磁界型タグユニット(以下、単にタグユニットともいう)3と、アンテナ4を配置する。
【0093】
次いで、
図12及び
図13に示すように、ベースフィルム2におけるタグユニット3及びアンテナ4が配置された面上に、接着層7を介して、カバーフィルム6を積層し、タグユニット3及びアンテナ4を被覆する。これにより、ICタグ本体11が得られる。
【0094】
図11の例では、ベースフィルム2上にタグユニット3を配置させているが、タグユニット3が磁界型タグユニットの場合は、カバーフィルム6を積層させた後に、タグユニット3を、カバーフィルム6上に積層させることによって形成する。この場合、タグユニット3を被覆部8で被覆させることによって形成することが好ましい。タグユニット3を保護するためである。
【0095】
〔通信改善部材作成工程及び通信改善部材〕
通信改善部材作成工程では、まず、
図14に示すように、ベースフィルム121上に、通信改善体5を配置する。
【0096】
次いで、
図15及び
図16に示すように、ベースフィルム121における通信改善体5が配置された面上に、接着層122を介してカバーフィルム123を積層し、通信改善体5を被覆する。これにより、通信改善部材12が得られる。
【0097】
ベースフィルム121としては、ICタグ本体11で使用されたベースフィルム2と同様のものを使用することができる。また、接着層122としては、ICタグ本体11で使用された接着層7と同様のものを使用することができる。更に、カバーフィルム123としては、ICタグ本体11で使用されたカバーフィルム6と同様のものを使用することができる。
【0098】
〔ICタグの製造方法及びICタグ〕
ICタグの製造方法においては、まず、
図17に示すように、上述したICタグ本体11及び通信改善部材12を用意する。
【0099】
次いで、
図18及び
図19に示すように、ICタグ本体11に通信改善部材12を付設する。これにより、ICタグ1が得られる。
【0100】
本実施形態では、ICタグ本体11の裏面(ベースフィルム2側の面)に、通信改善部材12の表面(カバーフィルム123側の面)を、絶縁層13を介して付設している。この場合、絶縁層13としては、絶縁フィルムを用いることが好ましい。また、付設方法は格別限定されず、接着剤シート用いる方法、接着剤を用いる方法、又は熱融着による方法等が挙げられる。また、後述する着脱可能に付設することもできる。
【0101】
本発明に係る通信改善部材12は、ICタグ本体11とは別体で形成することができるため、ICタグ本体11を形成した後で、通信改善体5を備える通信改善部材12を、ICタグ本体11に付設することができる。この結果、共振周波数を自由に調整することができる。
【0102】
このため、折り返したダイポールアンテナのサイズを小型化させ、アンテナ設計を容易にできると共に、通信改善部材12を使用する周波数帯に応じてICタグ本体11に付設することができるため、自由に共振周波数を調整することができる。
【0103】
例えば、通信改善体5の長さが異なる複数種類の通信改善部材12を製造しておき、使用するタグリーダーに適合した共振周波数となる通信改善部材12を選択して、ICタグ本体11に付設して使用することができる。これにより、用途やタグリーダーに適合した通信改善部材12を付設し直すことにより共振周波数を調整することができる。更に、ICタグを用いる対象物が変わった場合であっても、通信改善部材12を着脱可能に付設させた場合には、ICタグ本体11から外して、所望の共振周波数に適合する新たな通信改善部材12を選択して付設することもできる。これにより、一度用いたICタグ本体11や通信改善部材12を再利用することができるため、コストダウンを図ることができる。
【0104】
通信改善部材作成工程の際に、カバーフィルム123、接着層122の材質の誘電率を考慮して、該通信改善体5の長さを調整して通信改善部材12を作成することも好ましい。通信改善体5の配置や長さを調整するだけで、共振周波数を調整ができるため、アンテナ設計も容易になる。
【0105】
通信改善部材12の通信改善体5と、ICタグ本体11のアンテナ4の第2の直線部44、44との距離は、ICタグ本体11のベースフィルム2、絶縁層13及び通信改善部材12のカバーフィルム123の厚みの総和となる。このため、絶縁層13の厚み、ベースフィルム2及びカバーフィルム123の厚みを薄いもので形成することで、比較的近接した状態で通信改善体5とアンテナ4の第2の直線部44、44を配置することができる上、ICタグの小型化が図れる。
【0106】
つまり、所望の共振周波数に合わせて、厚みの変更をさせることによって、ICタグを所望の大きさに設計することもできる。特にアンテナ設計において、UHF帯の帯域でのICタグのアンテナの設計に自由度を持たせることができる。
【0107】
この通信改善部材12に内装される通信改善体5を配置し、アンテナ4との間で、共振することで電流がアンテナに流れる。そして、アンテナにおいて磁界が発生し、その発生した磁界が、通信改善体5に電流を流す。この電流に基づいて通信改善体5にも磁界が発生する。この通信改善体5に流れる電流による磁界が、アンテナ4の周りの電磁状態を大きく変化させる。これにより、共振周波数を変化させることができる。そして、アンテナ4と通信改善体5との配置関係や通信改善体の長さを調整することにより、共振周波数を所望の使用周波数帯に合わせることができる。
【0108】
以上の説明では、通信改善部材12として、ベースフィルム121及びカバーフィルム123を有するものを示したが、これに限定されない。通信改善部材12は、通信改善体5を内装する構成であればよい。通信改善部材12は、ICタグ本体11の表面又は裏面の少なくとも一方に絶縁層13を介して付設される。この場合、絶縁層13の一側面にICタグ本体11が接着されており、絶縁層13の他側面に通信改善部材12が接着されている。
絶縁層13としては、絶縁フィルムを用いることができ、接着フィルムをもちいることもできる。
さらに、絶縁フィルムを用いずに接着剤を用いる場合、ICタグ本体11のベースフィルム2、又はカバーフィルム6、及び通信改善部材12のベースフィルム121、又はカバーフィルム123を絶縁層として機能させることもできる。
また、通信改善部材12は、カバーフィルム123側を、絶縁層13を介してICタグ本体11に付設している態様について説明したが、通信改善部材12のベースフィルム121を、絶縁層13を介してICタグ本体11に付設してもよい。
【0109】
〔アンテナと通信改善体との位置関係〕
次に、
図20を参照して、ICタグ1におけるアンテナ4と通信改善体5との位置関係について説明する。
図20は、
図19と同一の断面において、アンテナ4と通信改善体5のみを示している。
【0110】
上述した実施形態に係るICタグ1は、
図20(a)に示すように、アンテナ4の第2の直線部44の先端部の直下に通信改善体5を配置している。ここで、直下というのは、通信改善体5がアンテナ4の裏面側に配され、且つアンテナ4の第2の直線部44の先端部及び通信改善体5それぞれの帯の幅方向の中心が、ICタグ本体11と通信改善部材12の積層方向(
図20中、上下方向)に沿って配置されることである。
【0111】
また、他の実施形態においては、
図20(b)及び(c)に示すように、アンテナ4の直下の近傍に通信改善体5を配置してもよい。
図20(b)の例では、アンテナ4の第2の直線部44の直下からタグユニット3(
図20には図示されていない)側にずれた位置に、通信改善体5を配置している。一方、
図20(c)の例では、アンテナ4の第2の直線部44の直下からタグユニット3(
図20には図示されていない)とは反対側にずれた位置に、通信改善体5を配置している。ここで、近傍というのは、通信改善体5によって、アンテナ4の共振周波数を実質的に変化させ得る範囲であればよい。
【0112】
また、図示しないが、アンテナ4の第2の直線部44、44の先端部の直上又はその近傍に通信改善体5を配置してもよい。ここで、直上というのは、通信改善体5がアンテナ4の表面側に配され、且つアンテナ4の第2の直線部44の先端部及び通信改善体5それぞれの帯の幅方向の中心が、ICタグ本体11と通信改善部材12の積層方向(
図20中、上下方向)に沿って配置されることである。
【0113】
図21は、第2の発明に係る通信改善部材作成工程の他の一例を説明する斜視図である。
図21に示すように、
図14に示す通信改善部材12に配置される通信改善体5の両端に、前記アンテナ4の折曲部43,43に沿って、折り曲げ形成された折り曲げ通信改善体5が連設し、その折り曲げ通信改善体5が、前記アンテナ4の形状に沿うように設けられている。これによっても、折り曲げ通信改善体5の長さを調整することにより、共振周波数を所望の使用周波数帯に合わせることができる。
【0114】
以上の説明では、第2の発明に係る通信改善部材12に一つの通信改善体5を用いる態様について説明したが、これに限定されず、例えば、第1の発明の
図7に示すように、2つの通信改善体5を用いることもできる。この場合、通信改善部材12を2つ用意し、1つをICタグ本体11の下面に付設し、もう一つをICタグ本体11の上面に付設することにより形成することができる。
また、例えば、一つの通信改善体5を用いた通信改善部材12を複数用意し、ICタグ本体11の上面、若しくは下面、又はそれらの近傍に、通信改善部材12複数積層させて形成することもできる。さらに、通信改善部材12に、複数の通信改善体5を設けてもよい。つまり、所望の共振周波数を合わせることができるように形成される態様であればよい。
【0115】
通信改善体5を含む通信改善部材12を、ICタグ本体11とは別体で形成し、ICタグ本体11に通信改善部材12を付設して形成された本実施形態に係るICタグは、通信改善体5を一体として形成したICタグよりも、アンテナと通信改善体の距離を縮めることができるため、更に共振周波数を下げることもできることできる。更に、第2の発明の本実施形態に係るICタグは、第1の発明の実験例と同様に、所望の共振周波数を得られることが確認された。
本発明は、折り返したダイポールアンテナのサイズを小型化させ、アンテナ設計を容易にできるICタグを提供することを課題とし、該課題は、ICチップと、ICチップに電気的に接続されるアンテナ4とを備え、アンテナ4は、第1の直線部42と、第1の直線部42の両側に形成された折曲部43と、両側の該折曲部43の各々から延出し先端同士を対向させた第2の直線部44とからなり、両側の該折曲部43と、第1の直線部42と、第2の直線部44とにより囲まれる空間の両側には折曲空間部46がそれぞれ形成され、第2の直線部44の各々先端付近で、折曲空間部46の一方から他方に渡る空間の内側又は外側の少なくとも一側に、共振周波数を所望の使用周波数に合わせる通信改善体5を設けることで解決される。