(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施形態を、
図1および
図2を参照して説明する。
【0010】
照明器具10は、例えば、丸形のシーリングライトであり、天井11に設置される引掛シーリングボディ12にアダプタ13を介して取り付けられる。
【0011】
照明器具10は、器具本体16、器具本体16の下面に取り付けられる第1の発光モジュール17および第2の発光モジュール18、器具本体16内に配置される点灯回路19、および器具本体16の下面を覆うセード20を備えている。
【0012】
器具本体16は、円板状で、中央にアダプタ13に取り付けられる取付部23が形成され、上部に点灯回路19を収納する収納部24が形成されている。
【0013】
また、各発光モジュール17,18は、それぞれ、基板27、およびこの基板27の表面に実装された複数の発光素子28を備えている。基板27は、例えば、周方向に複数に分割されていて、器具本体16に設置することで周方向に環状に組み合わされる。発光素子28は、例えば、面実装タイプのSMDパッケージ式のLED素子が用いられている。複数の発光素子28は、基板27の表面に周方向に沿って例えば2列に配列されている。
【0014】
第1の発光モジュール17の発光素子28は、例えば、通常の照明に用いられる昼白色の色温度(5000K)の光を放射する光源であり、または、昼白色の色温度(5000K)の光を放射する光源と電球色の色温度(2700K)の光を放射する光源の2種類が含まれている。そして、本実施形態では、第1の発光モジュール17の発光素子28が、第1の光源でもある主光源29である。
【0015】
第2の発光モジュール18の発光素子28は、例えば、電球色の色温度の光を放射する光源、または、オレンジ色ないし赤色の光を放射する光源であり、あるいはこれら異なる光色の光源の両方が用いられる。そして、第2の発光モジュール18の発光素子28が、第2の光源でもある副光源30である。
【0016】
主光源29と副光源30とは、主光源29が放射する光に含まれる青色光の割合よりも副光源30が放射する光に含まれる青色光の割合が少ない関係にある。
【0017】
そして、主光源29が器具本体16の周辺側に配置され、副光源30が器具本体16の中心側に配置されている。
【0018】
また、点灯回路19は、商用交流電源からの交流電力を整流および平滑し、スイッチング素子のスイッチング動作により所定の直流電力に変換して光源に出力するコンバータ33、およびこのコンバータ33のスイッチング素子のオンオフを制御する制御部34を有している。そして、点灯回路19は、少なくとも主光源29および副光源30の点灯、調光および消灯を個別に制御することができる。主光源29が異なる色温度の光源を備える場合には異なる色温度の光源の点灯、調光および消灯を個別に制御することができる。
【0019】
そして、制御部34は、主光源29および副光源30の点灯状態から主光源29の明るさを徐々に低下するように調光して主光源29の光および副光源30の光を含めた器具全体の光出力を徐々に低下させ、器具全体の光出力における副光源30の光の割合を大きくするように制御する快眠調色制御モードを有する。
【0020】
さらに、快眠調色制御モードでは、主光源29を所定の明るさまで低下する調光下限値まで調光させたら、副光源30の明るさを徐々に低下させるように調光する。なお、主光源29を所定の明るさまで低下するように調光下限値まで調光させたら、主光源29を消灯し、副光源30の明るさを徐々に低下させるように調光するようにしてもよい。
【0021】
このような快眠調色制御モードは、就寝前に使用者の操作によって設定されたり、タイマの設定によって所定の時刻になると自動的に設定される。
【0022】
そうして、照明器具10を全灯点灯させると、主光源29および副光源30から放射される光がセード20を透過して照明空間に照射される。
【0023】
照明器具10の全灯状態において、就寝前に快眠調色制御モードを設定すると、まず、主光源29の明るさを徐々に低下させるように調光し、主光源29の光および副光源30の光を含めた器具全体の光出力を徐々に低下させる。これにより、器具全体の光出力に含まれる副光源30の光の割合が大きくなり、その結果、器具全体の光出力に含まれる青色光の割合が減少する。さらに、照明器具10の周辺側が減光され、中心側が副光源30の色温度の光で照らされる。
【0024】
主光源29を所定の明るさまで低下する調光下限値まで調光したら、副光源30の明るさを徐々に低下させるように調光する。このとき、主光源29は調光下限に調光下状態でもよいし、消灯してもよい。
【0025】
なお、副光源30を所定の明るさまで低下する調光下限値まで調光したら、副光源30を自動的に消灯するようにしてもよい。
【0026】
このように構成された本実施形態の照明器具10によれば、器具全体の光出力におけるメラトニン分泌を抑制する青色光を効果的に減らすように徐々に減光することにより、入眠潜時を短くし、快眠を即すことが期待できる。
【0027】
また、主光源29を所定の明るさまで低下させたら、副光源30の明るさを徐々に低下させることにより、より効果的に、入眠潜時を短くし、快眠を即すことが期待できる。
【0028】
また、主光源29を器具本体16の周辺側に配置し、副光源30を器具本体16の中心側に配置しているため、主光源29の減光により、発光領域が小さくなっていくように演出することができる。
【0029】
なお、照明器具10は、昼白色の色温度の光を放射する発光素子28と電球色の色温度の光を放射する発光素子28との2種類を備える場合、昼白色の色温度の光を放射する発光素子28を主光源29とし、電球色の色温度の光を放射する発光素子28を副光源30として、就寝前に快眠調色制御モードを実施してもよい。
【0030】
次に、
図3ないし
図5に第2の実施形態を示す。なお、第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を用い、その構成および作用効果の説明を省略する。
【0031】
図3において、照明器具10は、器具本体16に着脱可能に取り付けられる光源ユニット40を備えている。
【0032】
器具本体16は、器具本体16の中央にアダプタ13を備えており、アダプタ13を介して引掛シーリングボディ12に取り付けられる。アダプタ13は、光源ユニット40を着脱可能で機械的および電気的に接続するコネクタ部41を備えている。
【0033】
光源ユニット40は、発光素子42およびこの発光素子42を点灯制御する点灯回路43を備えている。光源ユニット40は、アダプタ13のコネクタ部41に着脱可能で機械的および電気的に接続するコネクタ部44を備えている。
【0034】
そして、器具本体16は、例えば、相関色温度2700Kの発光素子28と5000Kの発光素子28を備え、点灯回路19により2700K〜5000Kの色温度の範囲で調色制御することができる。
【0035】
光源ユニット40は、例えばピーク波長が630nmの赤色の発光素子28とピーク波長が480nmの青色の発光素子28を備え、点灯回路43より赤色光、青色光、赤色光と青色光との混色であるマゼンダ色光の色域に調色制御することができる。
【0036】
器具本体16の点灯回路19と光源ユニット40の点灯回路43との独立制御により、器具本体16側と光源ユニット40とでそれぞれ色温度を任意に調色制御することができる。
【0037】
器具本体16の点灯回路19と光源ユニット40の点灯回路43との協調制御により、例えば器具本体16の2700Kの発光素子28と光源ユニット40の赤色の発光素子42とを同時に点灯させて調光率を変化させると、器具本体16の2700Kの発光素子28よりも低い色温度の光を再現できる。同様に、器具本体16の5000Kの発光素子28と光源ユニット40の青色の発光素子とを同時に点灯させることにより、より高い色温度の光を再現できる。
【0038】
本実施形態では、器具本体16の発光素子28および光源ユニット40の青色の発光素子42が主光源29であり、光源ユニット40の赤色の発光素子28が副光源30である。
【0039】
そして、このように構成された照明器具10においても、主光源29および副光源30を制御する快眠調色制御モードによって、器具全体の光出力におけるメラトニン分泌を抑制する青色光を効果的に減らすように徐々に減光することにより、入眠潜時を短くし、快眠を即すことが期待できる。
【0040】
快眠調色制御モードの効果について測定した結果を
図4および
図5に示す。
図4は深睡眠時間の合計時間であり、
図5は床についてから眠りにつくまでの入眠潜時である。夕方から就寝時までの時間帯、および就寝時から外出時までの時間帯において、照明光の色温度を6500Kの一定にした場合と、快眠調色制御モードを実施した場合とについて、それぞれ測定した。
【0041】
図4に示すように、深睡眠時間に関しては、快眠調色制御モードを実施した場合の方が、深い睡眠が長く、ぐっすり眠れていることがわかる。また、
図5に示すように、入眠潜時に関しても、快眠調色制御モードを実施した場合の方が、入眠潜時が短く、スムーズに眠りについていることがわかる。
【0042】
したがって、快眠調色制御モードによって、器具全体の光出力におけるメラトニン分泌を抑制する青色光を効果的に減らすように徐々に減光することにより、入眠潜時を短くし、快眠を即すことが期待できる。
【0043】
また、器具本体16に光源ユニット40を取り付けるだけで、容易に快眠機能を付加することができる。
【0044】
次に、
図6に第3の実施形態を示す。なお、第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を用い、その構成および作用効果の説明を省略する。
【0045】
照明器具10は、器具本体16の下面に配置される主光源である発光素子28に加えて、天井11の面を間接照明するための間接照明用の発光素子50を備えている。発光素子50は、発光素子28に比べて青色光の割合が少ない光を放射する。
【0046】
本実施形態では、器具本体16の下面に配置される主光源である発光素子28が主光源29であり、間接照明用の発光素子50が副光源30である。
【0047】
そして、このように構成された照明器具10においても、主光源29および副光源30を制御する快眠調色制御モードによって、器具全体の光出力におけるメラトニン分泌を抑制する青色光を効果的に減らすように徐々に減光することにより、入眠潜時を短くし、快眠を即すことが期待できる。
【0048】
快眠調色制御モードによって器具本体16の下面に配置される発光素子28が主光源29が減光されていくと、直接照明に比べて間接照明の割合が増加するため、まぶしさが減少し、より効果的に、入眠潜時を短くし、快眠を即すことが期待できる。
【0049】
次に、
図7ないし
図8に第4の実施形態を示す。なお、第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を用い、その構成および作用効果の説明を省略する。
【0050】
照明器具10は、四角形状の器具本体16、およびこの器具本体16にマトリクス状に配置される複数の光源ユニット60を備える。
【0051】
図7に示す照明器具10の光源ユニット60は、発光素子61として、相関色温度2700Kの電球色(L色)の発光素子と、相関色温度6500Kの昼光色(D色)の発光素子を備え、これら発光素子61がマトリクス状に配置されている。そして、点灯回路19により2700K〜5000Kの色温度の範囲で調色制御することができる。
【0052】
器具本体16の少なくとも中央の光源ユニット60は、器具本体16に対して着脱可能に構成されており、交換することができる。
【0053】
図8に示す照明器具10は、器具本体16の中央の光源ユニット60aのみを交換した例を示す。中央の光源ユニット60aは、例えば、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の発光素子62を備え、これら発光素子62がマトリクス状に配置されている。
【0054】
そして、中央の光源ユニット60aを付加することにより、例えば、昼光色(D色)の発光素子61と青色(B)の発光素子62とを同時に発光させることで高い色温度の光を再現できる。同様に、電球色(L色)の発光素子61と赤色(R)の発光素子62とを同時に発光させることで低い色温度の光を再現できる。
【0055】
本実施形態では、昼光色(D色)の発光素子61と緑(G)および色青色(B)の発光素子62とが主光源29であり、電球色(L色)の発光素子61と赤色(R)の発光素子62とが副光源30である。
【0056】
そして、このように構成された照明器具10においても、主光源29および副光源30を制御する快眠調色制御モードによって、器具全体の光出力におけるメラトニン分泌を抑制する青色光を効果的に減らすように徐々に減光することにより、入眠潜時を短くし、快眠を即すことが期待できる。
【0057】
また、器具本体16に光源ユニット60aを取り付けるだけで、容易に快眠機能を付加することができる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。