特許第6249168号(P6249168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6249168車両用超音波センサ及びそれを備えた車両用距離検出器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249168
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】車両用超音波センサ及びそれを備えた車両用距離検出器
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/521 20060101AFI20171211BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20171211BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20171211BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20171211BHJP
   G01S 15/93 20060101ALN20171211BHJP
【FI】
   G01S7/521 B
   H04R1/02 330
   H04R1/00 331
   G08G1/16 C
   !G01S15/93
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-79598(P2014-79598)
(22)【出願日】2014年4月8日
(65)【公開番号】特開2015-200579(P2015-200579A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(72)【発明者】
【氏名】川島 康裕
【審査官】 東 治企
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−024846(JP,A)
【文献】 特開2001−264304(JP,A)
【文献】 特開2009−020086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/72−1/82
G01S 3/80−3/86
G01S 5/18−5/30
G01S 7/52−7/64
G01S 15/00−15/96
G08G 1/00−99/00
H04R 1/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(2)に装着される車両用超音波センサ(100)であって、
超音波を発振し又は受信して振動する超音波振動子(10)と、その超音波振動子(10)の外周面(114)に接触する内周面(211)を有して当該超音波振動子(10)を保持する筒状の弾性体(20)と、その弾性体(20)を収容する筒状部(32)を有するケース体(30)とを備え、
前記弾性体(20)の内周面(211)には複数の凹部(213)が形成され、その複数の凹部(213)は、前記内周面(211)の軸線(AL)を中心とする展開状態において、軸線方向(AX)と交差する交差方向(RE,OB)に不連続状に並んで配置され、
前記弾性体(20)は、前記凹部(213)と前記超音波振動子(10)の外周面(114)との間に空気層を形成しつつ、内周面(211)のうちの凹部非形成部(214)が前記超音波振動子(10)の外周面(114)と接触して当該超音波振動子(10)を弾性保持することを特徴とする車両用超音波センサ(100)。
【請求項2】
前記複数の凹部(213)が周方向に沿って列状に並ぶとともに、その列が軸線方向(AX)に沿って複数列(L1〜L5)設けられ、
前記弾性体(20)の内周面(211)において、前記複数の凹部(213)は千鳥足状又は碁盤目状の配列状態で配置されている請求項1に記載の車両用超音波センサ(100)。
【請求項3】
前記複数の凹部(213)は、前記展開状態において、軸線方向(AX)と直交する直交方向(RE)及び軸線方向(AX)と斜めに交差する斜め交差方向(OB)に沿って、それぞれ所定ピッチで断続的に配置されている請求項1又は2に記載の車両用超音波センサ(100)。
【請求項4】
前記複数の凹部(213)は、それぞれ多角形状で内周面(211)に開口し、前記超音波振動子(10)の外周面(114)で塞がれて前記空気層が形成される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用超音波センサ(100)。
【請求項5】
前記複数の凹部(213)は、開口形状及び開口面積が等しい形態で内周面(211)に開口する請求項4に記載の車両用超音波センサ(100)。
【請求項6】
前記複数の凹部(213)は、開口形状及び/又は開口面積が軸線方向(AX)に変化する形態で内周面(211)に開口する請求項4に記載の車両用超音波センサ(100)。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載された車両用超音波センサ(100)の前記ケース体(30)が取付部材(200,300)を介して車体(2)に装着され、
前記超音波振動子(10)が車両の外部へ向けて超音波を発振し、外部の物体(5)で反射した超音波を受信して振動することにより、車両から物体(5)までの距離を検出することを特徴とする車両用距離検出器(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に装着される車両用超音波センサ、例えば障害物検出装置に使用される車両用距離検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
近時の車両(例えば自動車)には、例えば駐車時における運転を支援するために「クリアランスソナー」と称する障害物検出装置が設けられている。この装置は、車両の前後のバンパに所定数(例えば、前側のバンパに2個、後側のバンパに4個)の超音波センサを取り付け、各超音波センサから送信した超音波が障害物に当たって戻ってくるまでの時間を検出することにより、車両と障害物までの距離を計測する。そして、その距離が設定値よりも小さくなれば、音声等で運転者に報知する。
【0003】
具体的には、超音波振動子が車両の外部へ向けて超音波を発振し、外部の物体で反射した超音波を受信して振動することにより、車両から物体までの距離を検出する。つまり超音波振動子は送受信時に自ら振動しなければならないが、送信(発信)時の振動が超音波振動子の収容ケースや車体の装着部等に伝わり、超音波振動子を含むこれらの振動が受信時までに解消(消滅)していないと受信信号を誤検出してしまう。そこで、特許文献1,2のように、超音波振動子にクッション材(弾性体)を被せてからケースに収納し、超音波振動子の振動がケースや車体に伝達するのをクッション材の弾性により防止(吸収)している。しかし、超音波振動子の外周面とクッション材の内周面とは広い面積で接触しているのでこの接触部での振動伝達が発生しており、さらなる工夫が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−24846号公報
【特許文献2】特開2013−53988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、超音波振動子の振動がケース体や車体に伝達されにくく、安定した検知性能と組み付け寸法精度を維持できる車両用超音波センサ、及びそのような車両用超音波センサを備えた車両用距離検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両用超音波センサは、
車体に装着される車両用超音波センサであって、
超音波を発振し又は受信して振動する超音波振動子と、その超音波振動子の外周面に接触する内周面を有して当該超音波振動子を保持する筒状の弾性体と、その弾性体を収容する筒状部を有するケース体とを備え、
前記弾性体の内周面には複数の凹部が形成され、その複数の凹部は、前記内周面の軸線を中心とする展開状態において、軸線方向と交差する交差方向に不連続状に並んで配置され、
前記弾性体は、前記凹部と前記超音波振動子の外周面との間に空気層を形成しつつ、内周面のうちの凹部非形成部が前記超音波振動子の外周面と接触して当該超音波振動子を弾性保持することを特徴とする。
【0007】
このような車両用超音波センサによれば、弾性体の内周面に形成された複数の凹部と超音波振動子の外周面との間に空気層(非接触部)が形成され、凹部非形成部と外周面とが接触(接触部)して超音波振動子を弾性保持する。したがって、弾性体の内周面と超音波振動子の外周面との接触面積が小さくなり、しかも非接触部は音響インピーダンスの大きい空気層で満たされているので、超音波振動子の振動がケース体や車体に伝達されにくくなる。もちろん、ケース体や車体から超音波振動子への振動も伝達されにくくなる。
【0008】
また、複数の凹部が軸線方向に対して交差方向に不連続状に並んで配置され、変形しにくい凹部構造とすることができる。したがって、特に車体の外部のように雨水・泥水等にさらされる場所に装着する場合であっても、凹部への浸水による音響インピーダンスの低下を防ぎ、安定した検知性能を発揮することができる。さらに、組み付け時の凹部の変形(接触面積の変動)を抑えることができ、寸法精度ひいては振動伝達の抑制や検知性能の安定を長期にわたって維持できる。
【0009】
なお、弾性体には、例えばシリコーンゴム、ウレタンゴム等の非導電性弾性材料が用いられる。また、「交差方向」には、「直交方向」と「斜め交差方向」が含まれ、「斜め交差方向」には内周面におけるらせん状の配列状態を含んでもよい。
【0010】
弾性体の内周面に形成される複数の凹部は次のような形態を取り得る。
(1)複数の凹部が周方向に沿って列状に並ぶとともに、その列が軸線方向に沿って複数列設けられ、弾性体の内周面において、複数の凹部は千鳥足状(すなわち、段違い状)又は碁盤目状(すなわち、格子状)の配列状態で配置されている。
(2)複数の凹部は、展開状態において、軸線方向と直交する直交方向及び軸線方向と斜めに交差する斜め交差方向に沿って、それぞれ所定ピッチで断続的に配置されている。
(3)複数の凹部は、それぞれ多角形状(例えば、正六角形、正方形、正三角形等の正多角形や直角三角形)で内周面に開口し、超音波振動子の外周面で塞がれて空気層が形成される。
(4)複数の凹部は、開口形状及び開口面積が等しい形態で内周面に開口する。
(5)複数の凹部は、開口形状及び/又は開口面積が軸線方向に変化する形態で内周面に開口する。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の車両用距離検出器は、
このような車両用超音波センサの前記ケース体が取付部材を介して車体に装着され、
前記超音波振動子が車両の外部へ向けて超音波を発振し、外部の物体で反射した超音波を受信して振動することにより、車両から物体までの距離を検出することを特徴とする。
【0012】
このような車両用距離検出器によれば、超音波振動子の振動がケース体や車体に伝達されにくく、安定した距離検出性能と組み付け寸法精度が維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る車両用距離検出器としてのクリアランスソナーを備えた車両を例示する概略説明図。
図2】クリアランスソナーのバンパへの取付構造を示す説明図。
図3】クリアランスソナーの斜視図。
図4】クリアランスソナーの分解斜視図。
図5】本発明に係る車両用超音波センサの主要部の平面断面図。
図6】超音波振動子としてのマイクロホンの平面断面図。
図7】マイクロホンの背面図。
図8】弾性体としてのクッション部材の一例を示す平面図。
図9図8のA−A断面図。
図10図9の内周面を展開して示す説明図。
図11図10の変形例を示す説明図。
図12】クッション部材の他の例を示す平面図。
図13図12のB−B断面図。
図14図13の内周面を展開して示す説明図。
図15図14の変形例を示す説明図。
図16図10の他の変形例を示す説明図。
図17図15の他の変形例を示す説明図。
図18図10のさらに他の変形例を示す説明図。
図19図10のさらなる他の変形例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態につき図面に示す実施例を参照して説明する。図1に示すように、車両の障害物検出装置1は、車両の前後のバンパ2(車体)に装着された複数のクリアランスソナー3(車両用距離検出器)と、制御部としてのECU(Electronic Control Unit)4とを備えている。所定の条件の下で、各クリアランスソナー3に備えられた車両用超音波センサ(以下、単に超音波センサとも言う)100から車両の外部に向かって超音波が送信(発振)される。そして、超音波センサ100がこの超音波の送信方向にある障害物5(外部の物体)に当たって戻ってくる超音波(反射波)を受信することによって、クリアランスソナー3は車両から障害物5までの距離を検出し、ECU4はその距離に応じて運転者に音声等で報知する。
【0015】
図2図4を参照し、超音波センサ100を備えたクリアランスソナー3について説明する。超音波センサ100は、センサ本体をなす円柱形状のマイクロホン10(超音波振動子)と、シリコーンゴム等の非導電性材料からなり、マイクロホン10を覆って弾性保持する円筒状のクッション部材20(弾性体)と、これらクッション部材20及びマイクロホン10を収容して支持する樹脂製のケース体30とを備えている。マイクロホン10は、車両の外部に向かって超音波を送信(発振)するとともに、障害物5(図1参照)に当たって戻ってきた反射波を受信して振動する。クリアランスソナー3は、ケース体30を覆う受け座としてのベゼル200と、ベゼル200に装着される固定具としてのリテーナ300とを備え、超音波センサ100(ケース体30)はベゼル200、リテーナ300を取付部材としてバンパ2に装着される。
【0016】
さらに図4図7を参照し、超音波センサ100の構造を具体的に説明する。マイクロホン10は、ハウジング11内に圧電素子12を収容するとともに、2本のリード線13、2本の接続ピン14及びコネクタ15を有している。ハウジング11はアルミニウム等の導電性材料製であり、有底円筒状の底部111の内面には圧電セラミックス製の圧電素子12が貼り付けられ、その外表面はバンパ2よりも外側に位置して振動面112を構成する(図2参照)。ハウジング11の筒部113の外周面114には周方向の2ヶ所に溝115が形成されている。
【0017】
2本のリード線13の一端側がハウジング11と圧電素子12にそれぞれ接続され、それらの他端側はハウジング11の外部へ引き出されて2本の接続ピン14にそれぞれ接続され、各接続ピン14は樹脂製のコネクタ15に挿入されている。さらに、ハウジング11の内部空間には、非導電性かつ弾性を有するシリコーンゴム等の封止部材16が充填され、圧電素子12の全体とリード線13の一部とが封止されている。
【0018】
ケース体30は、クッション部材20及びマイクロホン10を収容して支持する筒状部32と、接続ピン14によりマイクロホン10と電気的に接続される回路基板31を収容する本体部33と、回路基板31から外部出力するためのコネクタ部34とを有する。筒状部32の先端部の内周面321に鍔322が形成されている。
【0019】
クッション部材20は、マイクロホン10を弾性保持する円筒状の保持筒部21と、ケース体30と嵌合される円筒状の嵌合筒部22とを有する。クッション部材20の保持筒部21の内周面211には周方向の2ヶ所に鍔212が形成され、鍔212はハウジング11の筒部113の外周面114に形成された溝115と係合する。クッション部材20の嵌合筒部22の外周面221には周方向の溝222が形成され、溝222はケース体30の筒状部32の内周面321に形成された鍔322と係合する。
【0020】
嵌合筒部22の内部空間には、マイクロホン10の後端部からケース体30への振動伝達を抑制するために、非導電性かつ弾性を有する発泡シリコーン等の緩衝部材23が配置されている。リード線13、接続ピン14、コネクタ15は、緩衝部材23に形成された貫通孔(図示せず)を通ってケース体30の筒状部32の内部空間へ引き出され、接続ピン14の先端部が回路基板31のスルーホール311に挿入されている。また、ケース体30の筒状部32及び本体部33の内部空間には、非導電性かつ弾性を有するシリコーンゴム等の封止部材35が充填され、リード線13、接続ピン14、コネクタ15、回路基板31等が封止されている。
【0021】
(実施例1)
次に図8図10を参照し、クッション部材20の構造をさらに詳細に説明する。クッション部材20の保持筒部21の内周面211には、複数(多数)の凹部213が形成されている。断面図である図9に表わされているように、これらの凹部213は6つの略正三角形状の下り傾斜面を有し、略正六角形状で内周面211に開口する窪みである。展開図である図10で見ると、これら略正六角形状の凹部213は、軸線方向AXに対して直交する直交方向RE(図9の周方向に相当する)及び軸線方向AXに対して斜めに交差する斜め交差方向OBに沿って、それぞれ一定のピッチで断続的に配置されている。
【0022】
具体的には、保持筒部21の内周面211において略正六角形状に開口する凹部213が、周方向(図9では左右方向)に沿って所定間隔で一列状に並ぶとともに、その列が軸線方向AXに沿って複数列(図9では車両の外側となる上側から内側となる下側へ向かってL1〜L5の5列)設けられている。また、保持筒部21の内周面211において、これらの凹部213は隣合う2つの列が千鳥足状(すなわち、段違い状)に配列され、凹部非形成部214(すなわち、接触部)はいわゆるハニカム構造を呈している。
【0023】
そして、凹部213はハウジング11(マイクロホン10)の外周面114で塞がれて空気層が形成される。このように、凹部213とハウジング11の外周面114との間に空気層(非接触部)が形成されることにより、内周面211のうちの凹部非形成部214のみがハウジング11の外周面114と接触し、マイクロホン10を弾性保持することになる。
【0024】
このように、略正六角形状の凹部213を千鳥足状に配列することにより、凹部非形成部214は強固なハニカム構造を呈するので、凹部213間の相互間隔を狭くし、保持筒部21(クッション部材20)の内周面211とハウジング11(マイクロホン10)の外周面114との接触面積(凹部非形成部214の合計面積)を小さくすることができる。しかも非接触部は音響インピーダンスの大きい空気層で満たされているので、マイクロホン10の振動がケース体30やバンパ2に伝達されにくくなる。
【0025】
また、複数の凹部213が軸線方向AXに対して直交方向RE及び斜め交差方向OBに不連続状に並んで配置されるので、変形しにくい凹部構造となる。したがって、常時雨水・泥水等にさらされるバンパ2に装着する場合であっても、凹部213への浸水による音響インピーダンスの低下を防ぎ、安定した検知性能を発揮することができる。さらに、組み付け時の凹部213の変形(接触面積の変動)を抑えることができ、寸法精度ひいては振動伝達の抑制や検知性能の安定を長期にわたって維持できる。
【0026】
(変形例1)
図11図10の変形例を示す。図11に示す凹部213は、L1〜L5の5列が碁盤目状(すなわち、格子状)に配列されている。
【0027】
このように、略正六角形状の凹部213を碁盤目状に配列することにより、凹部213間の相互間隔を千鳥足状配列よりも広げ、保持筒部21(クッション部材20)の内周面211とハウジング11(マイクロホン10)の外周面114との接触面積(凹部非形成部214の合計面積)をやや広くすることができる。したがって、クッション部材20が硬度の低い柔軟な材料であっても、凹部213の変形や浸水から回避することができる。
【0028】
(実施例2)
次に図12図14を参照し、クッション部材20の他の例を説明する。断面図である図13に表わされているように、複数(多数)の凹部213は4つの略台形状の下り傾斜面と1つの略矩形状の底面とを有し、略矩形状で内周面211に開口する窪みである。展開図である図14で見ると、これら略正方形状の凹部213は、軸線方向AXに対して直交する直交方向RE(図13の周方向に相当する)及び軸線方向AXに対して斜めに交差する斜め交差方向OBに沿って、それぞれ一定のピッチで断続的に配置されている。
【0029】
具体的には、保持筒部21の内周面211において略矩形状に開口する凹部213が、周方向(図13では左右方向)に沿って所定間隔で一列状に並ぶとともに、その列が軸線方向AXに沿って複数列(図13では車両の外側となる上側から内側となる下側へ向かってL1〜L3の3列)設けられている。また、保持筒部21の内周面211において、これらの凹部213は、L1〜L3の3列が碁盤目状(すなわち、格子状)に配列され、凹部非形成部214(すなわち、接触部)はいわゆる網目構造(あるいは格子構造)を呈している。
【0030】
この例においても、凹部213はハウジング11(マイクロホン10)の外周面114で塞がれて空気層が形成され、内周面211のうちの凹部非形成部214のみがハウジング11の外周面114と接触し、マイクロホン10を弾性保持する。
【0031】
このように、略矩形状の凹部213を碁盤目状に配列することにより、凹部非形成部214は単純な網目構造を呈するので、凹部213間の相互間隔を千鳥足状配列よりも広げ、保持筒部21(クッション部材20)の内周面211とハウジング11(マイクロホン10)の外周面114との接触面積(凹部非形成部214の合計面積)をやや広くすることができる。したがって、材料の硬度等に関わらずクッション部材20の成形コストを抑制することができる。
【0032】
(変形例2)
図15図14の変形例を示す。図15に示す凹部213は、L1〜L5の5列設けられ、隣合う2つの列が千鳥足状(すなわち、段違い状)に配列され、凹部非形成部214は段差構造を呈している。
【0033】
このように、略矩形状の凹部213を千鳥足状に配列することにより、凹部非形成部214は段差構造を呈するので、凹部213間の相互間隔を狭くし、保持筒部21(クッション部材20)の内周面211とハウジング11(マイクロホン10)の外周面114との接触面積(凹部非形成部214の合計面積)を小さくすることができる。
【0034】
(変形例3,4)
図16図10の他の変形例を示し、6つの略正三角形状の凹部213を放射状に集合して略正六角形状の集合凹部213’を形成し、この集合凹部213’をL1〜L5の5列設け、これらの集合凹部213’は隣合う2つの列が千鳥足状(すなわち、段違い状)に配列されている。また、図17図15の他の変形例を示し、4つの略直角三角形状の凹部213を放射状に集合して略矩形状の集合凹部213’を形成し、この集合凹部213’をL1〜L5の5列設け、これらの集合凹部213’は隣合う2つの列が千鳥足状(すなわち、段違い状)に配列されている。これらの集合凹部213’を千鳥足状(又は碁盤目状)に配列することにより、凹部非形成部214の幅(凹部213間の相互間隔)を一層狭くし、接触面積(凹部非形成部214の合計面積)をさらに小さくすることも可能になる。
【0035】
(変形例5,6)
図18図10のさらに他の変形例を示し、保持筒部21の内周面211において略正六角形状に開口する凹部213の開口面積が、車両の外側となる最も上側の列L1から内側となる最も下側の列L5へ向かって徐々に小さくなる。また、図19図10のさらなる他の変形例を示し、保持筒部21の内周面211において略正六角形状に開口する凹部213の開口面積が、車両の外側となる最も上側の列L1から内側となる最も下側の列L5へ向かって徐々に大きくなる。凹部213の開口面積(及び/又は開口形状)を軸線方向AXで変化させることにより、マイクロホン10の特性に応じたクッション部材20の設計が可能になる。
【0036】
以上の説明ではクリアランスソナー3のみについて記載したが、車両用距離検出器はクリアランスソナー3以外の距離検出器(例えば車間距離検出器)であってもよい。また、クリアランスソナー3はバンパ2以外の車体に取り付けてもよい。
【0037】
なお、実施例2(図12図14)や各種の変形例において、実施例1(図8図10)と共通の機能を有する部位には同一符号を付して詳細な説明を省略している。また、以上で説明した実施例及び変形例は、技術的な矛盾を生じない範囲において適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
2 バンパ(車体)
3 クリアランスソナー(車両用距離検出器)
5 障害物(外部の物体)
10 マイクロホン(超音波振動子)
114 外周面
20 クッション部材(弾性体)
211 内周面
213 凹部
214 凹部非形成部
30 ケース体
32 筒状部
100 車両用超音波センサ
200 ベゼル(取付部材)
300 リテーナ(取付部材)
AL 軸線
AX 軸線方向
OB 斜め交差方向(交差方向)
RE 直交方向(交差方向)
L1〜L5 列
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
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図19