(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コネクタハウジングが、前記仕切り壁部において前記レバーが回動する際に前記挟み込み規制壁が通過する通過位置の外側に配置され、前記受入面を基準として前記端子収容部側に凹む逃がし凹部を備える、請求項1に記載のレバー式コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態を
図1〜
図17を参照しつつ説明する。本実施形態のレバー式コネクタ1は、雄コネクタ(図示せず)に対して嵌合可能な雌型のコネクタであり、
図1に示すように、コネクタハウジング10(以下、「ハウジング10」と略記する)と、カム溝53を有するカム板51を備え、雄コネクタに備えられるカムフォロア(図示せず)とのカム作用によってハウジング10と雄コネクタとを嵌合させるレバー50とを備えている。
【0017】
(ハウジング10)
ハウジング10は、合成樹脂製であって、
図6に示すように、端子金具Tを収容するための端子金具収容室21を有する端子収容部20と、レバー50を収容するためのレバー収容室36を有するレバー収容部30とを有している。
図5および
図7に示すように、ハウジング10の複数の外面のうち一面は、雄コネクタとの嵌合の際に雄コネクタに対向する嵌合面11であり、この嵌合面11と平行な他の面は、端子金具収容室21やレバー収容室36に対して端子金具Tやレバー50が挿入される挿入面12である。
【0018】
端子収容部20は、全体として直方体のブロック状の部分であって、
図6に示すように、複数の端子金具収容室21を有している。複数の端子金具収容室21のそれぞれは、嵌合面11および挿入面12に開口し、内部に端子金具Tを収容するための空間である。各端子金具収容室21には、挿入面12側の開口から嵌合面11に向かって端子金具Tが挿入される。
【0019】
端子金具Tは、
図11に示すように、導電性に優れた金属製で、雄コネクタに備えられる雄端子金具(図示せず)に対して導通接続可能な雌型の金具であり、電線Wの端末に圧着接続されている。
【0020】
レバー収容部30は、
図5および
図6に示すように、仕切り壁部31と、3つの立ち上がり壁部32、33、34と、対向壁部35とを有する。
仕切り壁部31は、
図6に示すように、嵌合面11および挿入面12と垂直に配置され、レバー収容室36を端子収容部20から仕切る壁部である。
【0021】
3つの立ち上がり壁部32、33、34は、
図5、
図6および
図8に示すように、仕切り壁部31において挿入面12に沿う1辺を除く3辺から、端子収容部20とは反対側に、仕切り壁部31と垂直に立ち上がる壁部である。3つの立ち上がり壁部32、33、34のうち、仕切り壁部31の嵌合面11に沿う辺から立ち上がる壁部が第1立ち上がり壁部32であり、仕切り壁部31の他の2辺から立ち上がる2つの壁部のうち一方(
図6および
図8の左側)が第2立ち上がり壁部33であり、他方(
図6および
図8の右側)が第3立ち上がり壁部34である。第2立ち上がり壁部33と第3立ち上がり壁部34とは、
図8に示すように、第1立ち上がり壁部32に対して垂直に配置されている。
【0022】
対向壁部35は、各立ち上がり壁部32、33、34の立ち上がり先端部から連なる壁部であり、
図6に示すように、仕切り壁部31に対して間隔を空けて、仕切り壁部31と平行に(嵌合面11および挿入面12と垂直に)配置されている。仕切り壁部31の対向壁部35と対向する面は、カム板配置面31Aである。カム板配置面31Aには、レバー50を回動可能に軸支するための円柱形の軸部37が、対向壁部35に向かって突出する形で設けられている。
【0023】
3つの立ち上がり壁部32、33、34と、対向壁部35と、仕切り壁部31とで囲まれる空間が、挿入面12側に開口し、内部にレバー50を収容するレバー収容室36となっている。
【0024】
第1立ち上がり壁部32及び対向壁部35には、
図5および
図8に示すように、雄コネクタに備えられるカムフォロアを受け入れるカムフォロア挿通部38と、雄コネクタに備えられる解除部を受け入れる解除部挿通部39とが配置されている。
【0025】
カムフォロア挿通部38は、第1立ち上がり壁部32の外側面から内側面まで貫通する孔と、対向壁部35の外側面から内側面まで貫通する孔とが繋がった形状である。カムフォロア挿通部38のうち対向壁部35に配置されている部分は、第1立ち上がり壁部32から挿入面12に向かって、第1立ち上がり壁部32と垂直に延びている。
【0026】
解除部挿通部39は、第1立ち上がり壁部32の外側面から内側面まで貫通する孔と、対向壁部35の外側面から内側面まで貫通する孔とが繋がった形状である。解除部挿通部39のうち対向壁部35に配置されている部分は、第1立ち上がり壁部32から挿入面12に向かって、第1立ち上がり壁部32と垂直に延びている。
【0027】
解除部挿通部39は、第3立ち上がり壁部34に隣接して配置され、カムフォロア挿通部38は、解除部挿通部39よりも第2立ち上がり壁部33に近い位置に配置されている。
【0028】
第3立ち上がり壁部34には、
図5および
図8に示すように、レバー50を初期位置にロックするための初期位置用ロック部41が、第2立ち上がり壁部33に向かって突出して設けられている。対向壁部35の内側面(仕切り壁部31と対向する面)には、
図6に示すように、レバー50を嵌合位置に係止する嵌合位置用ロック部42が、仕切り壁部31に向かって突出する形で設けられている。
【0029】
また、対向壁部35において、挿入面12に近い一部分は、
図5に示すように、上記したカムフォロア挿通部38と解除部挿通部39とが配置されていない領域となっており、ここには、外側(端子収容部20と反対側;
図7の上側)に突き出す形で部分的に肉厚な肉厚部43が設けられている。
【0030】
この肉厚部43は、
図5に示すように、第1操作部受入凹部44を有している。第1操作部受入凹部44は、肉厚部43において、ハウジング10の挿入面12および第2立ち上がり壁部33の外面を基準として内側(嵌合面11側および第3立ち上がり壁部34側:
図5の上側および右側)に凹む凹部であって、第2立ち上がり壁部33から連なり、挿入面12と平行に、挿入面12よりも第1立ち上がり壁部32に近接して(
図5の上方に)配置される第1回動規制壁44Aと、第1回動規制壁44Aにおける第3立ち上がり壁部34に近い端部から、第3立ち上がり壁部34に近づくほど挿入面12に向かって傾く第1逆回動規制壁44Bとで定義される凹部である。
【0031】
仕切り壁部31は、
図6および
図8に示すように、第2操作部受入凹部45と、規制壁受入溝部47とを有している。
【0032】
第2操作部受入凹部45は、カム板配置面31Aを基準として端子収容部20に向かって(
図6の下側に)凹む凹部であって、挿入面12から連なり、カム板配置面31Aと平行に、カム板配置面31Aよりも端子収容部20に近接して(
図6の下方に)配置された底面45C(受入面に該当)と、底面45Cから連なり、挿入面12と平行に、挿入面12よりも嵌合面11に近接して(
図8の上方に)配置された第2回動規制壁45Aと、第2回動規制壁45Aにおける第3立ち上がり壁部34に近い端部から、第3立ち上がり壁部34に近づくほど挿入面12に向かって傾く第2逆回動規制壁45Bとで定義される凹部である。第1操作部受入凹部44と第2操作部受入凹部45とは、ハウジング10を対向壁部35から端子収容部20に向かって見た時に、第1回動規制壁44Aと第2回動規制壁45Aとの位置、および第1逆回動規制壁44Bと第2逆回動規制壁45Bとの位置が重なるように配置されている。
【0033】
第2操作部受入凹部45において第2立ち上がり壁部33側の端部には、
図6および
図8に示すように、さらに、逃がし凹部46が配置されている。逃がし凹部46は、端子収容部20の一部を切り欠くように形成されており、第2操作部受入凹部45の底面45Cを基準としてカム板配置面31Aと反対側に向かって(
図5の下側に)に凹む凹部である。逃がし凹部46は、挿入面12側および第2立ち上がり壁部33側に開放されており、逃がし凹部46の内部空間は、第2操作部受入凹部45の内部空間に連通している。
【0034】
規制壁受入溝部47は、
図8に示すように第2立ち上がり壁部33に沿って延び、
図6に示すようにカム板配置面31Aを基準として端子収容部20に向かって(
図6の下側に)凹む溝部である。規制壁受入溝部47は、
図8に示すように、挿入面12側の端部が第2操作部受入凹部45に連なっており、
図6に示すように、規制壁受入溝部47の溝底面47Aが第2操作部受入凹部45の底面45Cと面一となっている。
【0035】
(レバー50)
レバー50は、合成樹脂製であって、カム板51を備えている。カム板51は、
図9に示すように、全体として角部が丸められた長方形の板状の部分であって、レバー収容室36の内部に、仕切り壁部31および対向壁部35に並行に配置される。
【0036】
カム板51は、内部にハウジング10の軸部37を受け入れる軸受け孔部52と、内部に雄コネクタのカムフォロアを受け入れるカム溝53とを有している。
【0037】
軸受け孔部52は、カム板51のカム板配置面31Aと対向する板面を基準として内側に凹む円形の孔部である。レバー50は、軸部37が軸受け孔部52に嵌合されることで、初期位置(
図12および
図13に示す位置)と嵌合位置(
図16および
図17に示す位置)との間で回動可能に軸支される。レバー50は、嵌合位置にあるときには、
図1に示すように、3辺が3つの立ち上がり壁部32、33、34に対して概ね平行となる向きで配置され、初期位置にあるときには、
図4に示すように、3辺が3つの立ち上がり壁部32、33、34に対して傾いて配置されている。レバー50が嵌合位置にあるときに、ハウジング10において挿入面12と第2立ち上がり壁部33との間の角部(
図1の左下の角部)に近接して配置されていたレバー50の一の角部(
図1の左下の角部)は、レバー50が初期位置にあるときには、ハウジング10の挿入面12よりも外側に突出している(
図4参照)。
【0038】
カム溝53は、カム板51において、レバー50が嵌合位置に配置されたときに第3立ち上がり壁部34に沿って配置される端縁(
図9の右側の端縁;
図1を併せて参照)から内側に向かって延びる溝であって、入り口部53Aから奥端部53Bにかけて次第にカム板51の回動中心である軸受け孔部52に接近するような略弧状をなしている。
【0039】
カム板51には、初期位置用ロック部41に係止してレバー50を初期位置に保持する初期位置用ロックアーム54と、嵌合位置用ロック部42に係止してレバー50を嵌合位置に保持する嵌合位置用ロックアーム55とがそれぞれ設けられている。
【0040】
初期位置用ロックアーム54は、一方の端部(基端部)がカム板51に接続され、他方の端部が自由端部とされた細長いアームであって、
図9に示すように、基端部がカム溝53の入り口部53Aの近くに接続し、カム板51の周縁に沿って延びている。初期位置用ロックアーム54は、カム板51の周縁に対して間隔をあけて配置され、基端部を支点としてカム板51に近接または離間する方向に、つまり、カム板51の厚さ方向と交差方向(
図9の左右方向)に弾性的に撓むことが可能となっている。そして、初期位置用ロックアーム54は、レバー50が初期位置に配された状態では、自由端部が解除部挿通部39内に進入するとともに初期位置用ロック部41に係止されることで、レバー50を初期位置から嵌合位置側に回動するのを規制した状態に保持することが可能となっている。
【0041】
嵌合位置用ロックアーム55は、カム板51において、レバー50が嵌合位置に配置された状態で挿入面12に沿って配置される端縁(
図9の下側の端縁)から内側に向かって延びる2本のスリットSを、互いに平行に、かつ間隔を空けて配置することにより、一対のスリットSの間の部分を、カム板51の板面と直交する方向に弾性的に撓み可能としたものである。嵌合位置用ロックアーム55は、レバー50が初期位置に配された状態では、全体がレバー収容部30の外部に露出している(
図12参照)ものの、レバー50が嵌合位置に配された状態では雄コネクタとの嵌合方向(嵌合面11から挿入面12に向かう方向)に沿って真っ直ぐに延在する。嵌合位置用ロックアーム55は、その自由端部がロック解除操作を行うことが可能なロック解除部55Bとされるとともに、レバー50が嵌合位置にあるときに対向壁部35と対向する面に、嵌合位置用ロック部42に係止する係止突起55Aを有している。
【0042】
レバー50は、回動操作部56を有している。回動操作部56は、カム板51において、レバー50が嵌合位置に配置された状態で挿入面12に沿って配置される端縁(
図9の下側の端縁;
図1を併せて参照)において、第2立ち上がり壁部33に近い端部に、嵌合位置用ロックアーム55を囲んで配置されている。詳しくは、
図2および
図11に示すように、回動操作部56は、一対の柱部57A、57Bと、一対の架橋部分58A、58Bとを有している。
【0043】
一対の柱部57A、57Bは、カム板51において嵌合位置用ロックアーム55を挟んだ両側部分にそれぞれ1つずつが配置されている。各柱部57A、57Bは、カム板51の表裏両面からそれぞれ板面方向に対して垂直に(つまり、レバー50がハウジング10に装着された状態で仕切り壁部31の方を向く側と、対向壁部35の方を向く側に)突出する柱状の部分である。1対の架橋部分58A、58Bのうち一方の架橋部分58Aは、2つの柱部57A、57Bの仕切り壁部31側の端縁同士を架橋し、他方の架橋部分58Bは、2つの柱部57A、57Bの対向壁部35側の端縁同士を架橋している。一対の柱部57A、57Bと一対の架橋部分58A、58Bとが、嵌合位置用ロックアーム55を取り囲む形で環状をなしている。一対の架橋部分58A、58Bのそれぞれは、嵌合位置用ロックアーム55に対して間隔を空けて配置されており、嵌合位置用ロックアーム55と一対の架橋部分58A、58Bのそれぞれとの間に、嵌合位置用ロックアーム55の撓みを許容する空間が十分に確保されるようになっている。
【0044】
回動操作部56は、仕切り壁部31との間で電線Wが挟み込まれることを回避するために、レバー50がハウジング10に組み付けられた状態で仕切り壁と対向する対向面56Aが、第2操作部受入凹部45の底面45Cに当接しているか、あるいは隙間をほとんど空けずに配置されていることが好ましい。
【0045】
レバー50は、カム板51とハウジング10との間に電線Wが挟み込まれることを規制するための挟み込み規制壁59(挟み込み規制部に該当)を備えている。挟み込み規制壁59は、
図10、
図12および
図13に示すように、カム板51に対して垂直に立設される壁であって、回動操作部56から連なり、カム板51においてレバー50が嵌合位置にあるときに第2立ち上がり壁部33に沿って配置される端縁(
図9の左側の端縁;
図1を併せて参照)に沿って、レバー50の初期位置から嵌合位置への回動方向前方(
図13の矢印方向)に向かって延びている。挟み込み規制壁59は、レバー50が初期位置に配された状態では、
図12および
図13に示すように、その全体がレバー収容部30の外部に露出し、レバー50が嵌合位置に向かって回動されると、
図14および
図15に示すように、規制壁受入溝部47に進入する。
【0046】
挟み込み規制壁59は、レバー50がレバー収容部30に収容された状態でカム板51に対して仕切り壁部31側に配置される部分と、対向壁部35側に配置される部分とを有している。挟み込み規制壁59は、ハウジング10との間に電線Wが挟み込まれることを規制するために、
図12に示すように、レバー50が初期位置にあるときに、仕切り壁部31側に配置される部分において回動操作部56とは反対側の端部59Aが、第2操作部受入凹部45の底面45Cと僅かに重なって配置されていることが好ましい。またレバー50が初期位置から嵌合位置まで回動する途中の状態では、
図15に示すように、仕切り壁部31側の端縁59Bが、第2操作部受入凹部45の底面45Cと当接しているか、あるいは隙間がほとんどないように配置されていることが好ましい。
【0047】
挟み込み規制壁59は、レバー50が初期位置から嵌合位置まで回動する際に、第2操作部受入凹部45における逃がし凹部46側の端縁付近を通過する。言い換えれば、逃がし凹部46は、
図14に示すように、第2操作部受入凹部45においてレバー50が回動する際に挟み込み規制壁59が通過する通過位置の外側(カム板51とは反対側)に配置されている。
【0048】
(作用)
本実施形態のレバー式コネクタ1は以上のような構造であり、続いてその作用を説明する。まず、ハウジング10へのレバー50の組み付けに際しては、レバー50をレバー収容部30に挿入し、軸部37に対して軸受け孔部52を嵌合させる。これにより、レバー50が軸部37を中心として回動可能な形で軸支される。
【0049】
レバー収容部30内に収容したレバー50を嵌合位置に配すると、嵌合位置用ロックアーム55が嵌合位置用ロック部42に係止されるとともに、回動操作部56の架橋部分58A、58Bが第1回動規制壁44Aおよび第2回動規制壁45Aに当接されることで、レバー50が嵌合位置から回動方向について正逆いずれの向き(初期位置への回動方向、及びその反対方向)にも回動不能な状態に保持される(
図1参照)。このとき、回動操作部56は、第1操作部受入凹部44および第2操作部受入凹部45の内部に収容され、その全体が、挿入面12に対して嵌合面11側(
図11の左奥側)に位置している。
【0050】
続いて、レバー50を嵌合位置に保持した状態で組み付けたハウジング10の端子収容部20に、端子金具Tを装着する作業を行う。端子金具Tは、
図11に示すように、端子金具収容室21に挿入面12側の開口から挿入される。ここで、上記したように、レバー50が嵌合位置にあるときには、回動操作部56が挿入面12よりも外側(嵌合面11と反対側;
図11の右手前側)に突き出さない状態となっているので、端子金具Tの装着をスムーズに行うことができる。端子金具Tに接続された電線Wは、端子金具収容室21の挿入面12側の開口から外部に導出される。なお、紙面の都合上、
図11から
図17では、複数ある端子金具Tおよび電線Wの中から1本または2本のみを代表して図示している。
【0051】
全ての端子金具Tをハウジング10内に収容したら、続いてレバー式コネクタ1を雄コネクタに対して嵌合する作業を行う。嵌合作業を行うのに先立って、嵌合位置用ロック部42に対する嵌合位置用ロックアーム55の係止状態を解除し、レバー50を嵌合位置から初期位置(
図12、
図13)へと回動させておく。レバー50が初期位置に配されると、初期位置用ロックアーム54の自由端が初期位置用ロック部41に係止されるとともに、回動操作部56の2つの柱部57A、57Bのうち一方(第3立ち上がり壁部34に近い側)の柱部57Bが第1逆回動規制壁44Bおよび第2逆回動規制壁45Bに当接することで、レバー50が初期位置から回動方向について正逆いずれの向き(嵌合位置への回動方向、およびその反対方向)にも回動不能な状態に保持される。またカム溝53は、入り口部53Aがレバー収容部30のカムフォロア挿通部38内に配されるとともに嵌合面11に向けて開口しており、内部へのカムフォロアの進入が許容された状態となっている。
【0052】
この状態から、レバー式コネクタ1を雄コネクタに嵌め入れる。レバー式コネクタ1が雄コネクタに所定深さまで嵌め込まれると、雄コネクタの解除部によって初期位置用ロックアーム54が撓まされることで、初期位置用ロック部41に対する係止状態が解除される。これにより、レバー50を初期位置から嵌合位置側へ回動させるのが許容される。この係止解除時には、雄コネクタのカムフォロアが、レバー50のカム溝53における入り口部53A内に進入している。
【0053】
ロック状態が解除されたレバー50を初期位置から嵌合位置に向かって回動させると、カムフォロアがカム溝53の周縁に沿って入り口部53Aから奥端部53B側へと移動することで、ハウジング10が雄コネクタ側へ相対的に引き込まれて嵌合が進行する。
【0054】
このとき、挟み込み規制壁59と逃がし凹部46とによって、端子金具収容室21から導出されている電線Wがレバー50とハウジング10との間に挟み込まれることが回避される。つまり、
図12および
図13に示すように、レバー50が初期位置にあるときに、カム板51においてハウジング10の挿入面12よりも外側(
図12および
図13の右手前側)に位置する部分は、
図13に示すように、周縁部分が回動操作部56と挟み込み規制壁59によって囲まれ、第2操作部受入凹部45の底面45Cとの間にほとんど隙間がないようにされている。これにより、電線Wがカム板51と底面45Cとの間に入り込むことが規制され、レバー50が回動しようとしたときに、電線Wがレバー50とハウジング10との間で挟み込まれることが回避される。また、仮に電線Wが挟み込まれそうになった場合でも、レバー50の回動に伴って電線Wが挟み込み規制壁59によって外側(第2立ち上がり壁部33側)へ押しやられ、逃がし凹部46に逃げることによって、挟み込みが回避される。
【0055】
レバー50が嵌合位置付近まで回動されると、ロック部42が係止突起55Aに乗り上げることにより、嵌合位置用ロックアーム55が撓み変形する。
【0056】
レバー50が嵌合位置にまで回動されると、ハウジング10が雄コネクタに対して正規の嵌合深さに達して、嵌合位置用ロックアーム55が弾性復帰し、係止突起55Aがロック部42に対して係止される。また、回動操作部56の2つの架橋部分58A、58Bがそれぞれ第1回動規制壁44A、第2回動規制壁45Aに当接されることで、レバー50が嵌合位置から回動方向について正逆いずれの向きにも回動不能な状態に保持される。
【0057】
(まとめ)
以上のように本実施形態によれば、ハウジング10の端子収容部20に端子金具Tを装着する作業を行う際には、レバー50を嵌合位置とすることで、第1操作部受入凹部44および第2操作部受入凹部45に回動操作部56が収容されるので、レバー50によって端子挿入作業が妨げられる事態が生じ難くなっている。しかし、このような構成とすることで、レバー50が初期位置にあるときには、カム板51と第2操作部受入凹部45の底面45Cとの間に隙間が存在することとなるので、端子金具Tに接続されている電線Wがこの隙間に入り込み、レバー50の回動操作に伴ってハウジング10とレバー50との間に挟み込まれるおそれが生じる。この問題を解決するために、レバー50に、回動操作部56から連なり、カム板51の周縁に沿ってレバー50の初期位置から嵌合位置への回動方向前方に向かって延びる挟み込み規制壁59を配置している。この挟み込み規制壁59によって、電線Wが底面45Cとカム板51との間に入り込むことが規制され、電線Wがハウジング10とレバー50との間に挟み込まれることが回避される。
【0058】
また、仮に電線Wが挟み込まれそうになった場合でも、レバー50の回動に伴って電線Wが挟み込み規制壁59によって外側へ押しやられ、逃がし凹部46に逃げることによって、挟み込みが回避される。
【0059】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、嵌合位置用ロックアーム55の撓み変形を許容するスペースを確保するために、回動操作部56がカム板51の板厚方向に張り出していたが、例えば、嵌合位置用ロックアームを有していないが、小型であっても回動操作を行い易くするために回動操作部がカム板の板厚方向に拡張されているレバーを備えるコネクタにおいても、挟み込み規制部を設けることにより電線の挟み込みを回避することができる。
【0060】
(2)上記実施形態では、挟み込み規制壁59が、カム板51に対して仕切り壁部31側に配置される部分と、対向壁部35側に配置される部分とを有しているが、挟み込み規制壁が、カム板に対して仕切り壁部側に配置される部分のみを有していても構わない。