【実施例1】
【0023】
図1は、画像形成装置を示す図である。画像形成装置1には、ユーザー認証部11aを有するユーザー操作部11、読取フィーダー12及び複数のトレイ13が設けられている。本実施例では3のトレイが設けられている(符号13a、13b、13cで示す)。
【0024】
図2は、画像形成装置の機能を示すブロック図である。画像形成装置1は、ユーザー操作部11、ユーザー認証部11a、スキャナー(読取フィーダー)12、プリンター(トレイ)13、制御部14及び記憶部15を備えている。
【0025】
ユーザー操作部11は、タッチパネル等の入力デバイスとLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスを有する。ユーザー操作部11は、操作者による入力を受け付けて、入力信号を制御部11の各部に転送する。これにより、画像形成装置1は、操作者によって操作される。
【0026】
ユーザー認証部11aは、非接触型カード等の読取デバイスである。カードに記録された情報に基づいてユーザーが誰であるかを認証する。
【0027】
制御部14は、読取部141、データ受信部142、宛先設定部143、トレイ決定部144、出力制御部145、メール通知部146及び受領情報表示部147を含む。データ受信部142及びメール通知部146はネットワーク2に接続され、ネットワーク2を介して他の装置との間のデータ送受信(メール送受信を含む)を行う。
【0028】
記憶部15は、画像情報151、宛先情報152、トレイ情報153、印刷結果情報154及びユーザー情報155を記憶している。
【0029】
読取フィーダー(スキャナー)12は、印刷物をイメージデータとするための装置である。読取部141によって駆動され、読取フィーダー12に載置された印刷物に関するイメージデータが画像情報151として記憶される。
【0030】
トレイ13は、印刷物を出力するものである。出力制御部145によってプリンターが駆動され、画像情報151が用紙に印刷され、印刷された用紙がトレイ13に出力される。トレイ13は1つではなく、後述のトレイ13a、13b、13cがある。
【0031】
以下、記憶部12に記憶されるデータについて簡単に説明する。画像情報151は、印刷される画像の情報であり、スキャナー12によって読み取られた画像、データ受信部142によって受信された画像等のデータである。
【0032】
宛先情報152は、印刷物を受領すべき者が誰であるかを表す情報である。
【0033】
トレイ情報153は、指示者153aと受領者153bとのマトリクス形式で、印刷物を出力するトレイ番号153cを保持するものである。
図3は、トレイ情報の例を示す図である。図においてマトリクスに空欄があるが、問題でない。例えば、ユーザーCは、ユーザーBを受領者としての印刷を行わないことを自ら選択したものである。
【0034】
印刷結果情報154は、ユーザー別に、どのトレイ13に印刷物を出力したかを表す情報である。
【0035】
ユーザー情報155は、各ユーザーのユーザー名155a、パスワード155b、メールアドレス155c及び所属グループ155dを含む情報である。
図4は、ユーザー情報の例を示す図である。なお、所属グループ155dについては、グループに所属するユーザーを求めることができればよく、ユーザー毎のデータとは別にグループごとのデータとして所属ユーザーを保持してもよい。
【0036】
以下、制御部に含まれる各部(読取部141は上述したので除く)の機能を簡単に説明する。データ受信部142は、他の装置から、印刷対象のデータ、その他のデータを受信する。
【0037】
宛先設定部143は、ユーザーの指示に基づいて、宛先情報152を設定・更新する。
【0038】
トレイ決定部144は、トレイ情報153を参照し、指示者153aと受領者153bとから、印刷物を出力するトレイ番号153cを決定する。
【0039】
出力制御部145は、画像情報151を印刷してプリンター13に出力する。その際、トレイ決定部144によって決定されたトレイに出力する。合わせて、どのユーザー宛の印刷物がどのトレイに出力されたかを、印刷結果情報154に記憶させる。
【0040】
メール通知部146は、印刷結果情報154に基づき、受領すべき印刷物の出力されたユーザーに、その旨を通知するメールを送信する。
【0041】
受領情報表示部147は、印刷結果情報154に基づき、ユーザー毎に、受領すべき印刷物の一覧及び各印刷物の出力されたトレイを表示する。
【0042】
以下、画像形成装置1を利用して複数のトレイに印刷物を出し分け例を説明する。
【0043】
例えば、ユーザーが書類をコピーする際には、読取フィーダー12からコピー対象の書類を読み取らせて画像情報151を生成する。一方、ユーザーがファイルを印刷する際には、ユーザー端末(非図示)からネットワーク5を介してデータ受信部142にデータを受信させて画像情報151を生成する。また、画像形成装置に向けたユーザーの指示は、ユーザーが書類をコピーする際には、ユーザー操作部11を操作して行われる。一方、ユーザーがファイルを印刷する際には、ネットワーク5を介して画像形成装置1にアクセスしてユーザー端末から行う。
【0044】
以下、ユーザーは書類をコピーするものとし、ユーザー操作部11を操作するものとして説明する。しかし、ファイルを印刷する場合にも、ユーザー操作部11に表示されるものと同様の表示をユーザー端末において行ってコミュニケーションが可能であり、同様に処理できる。
【0045】
ユーザー情報155及びトレイ情報153については、当然に、閲覧して確認し、必要に応じて編集することができる。画像形成装置1は、ユーザー情報155及びトレイ情報153を閲覧・編集する手段(非図示)を備えている。閲覧・編集は、画像処理装置に認証付きでログインして(ユーザー認証部11aにユーザー別のカードをかざして、又は、データ受信部142にユーザーIDとパスワードを入力して)行うこととする。その際、ユーザー情報155についてはログインしたユーザーに係るデータのみが、トレイ情報153についてはログインしたユーザーを指示者とするもののみが、閲覧・編集できるものとする。これにより、多くの者が閲覧・編集可能である状況とならず、誤編集してしまった場合の問題及びセキュリティ上の問題が緩和される。
【0046】
かかる閲覧・編集の制御は、例えばユーザー情報155及びトレイ情報153をユーザー別のファイルに分割しファイルのアクセス許可による、その他の公知の手法で行うことができる。また、ファイル毎のパスワードをユーザーに設定させてもよい。
【0047】
以下、画像形成装置1を実際に操作する具体例を、ユーザーの行為と画像形成装置1による処理を合わせて説明する。
【0048】
ユーザーAが、所持している資料のコピーをユーザーBとグループHに受領させようと考えたとする。ユーザーAは、資料を持参して画像形成装置1に向かい、カードをユーザー認証部11aにかざす。画像形成装置1は、ユーザー操作部11に、ユーザーAによる操作のための表示を行う。
【0049】
図5は、宛先設定画面を説明する図である。ユーザー操作部11の限られた面積で各種の操作を行わせるため、ユーザー操作部11には、宛先設定タブ11b及び受領情報タブ11cを含む複数のタブが表示されている。ユーザーAが宛先設定タブ11bを選択すると、宛先設定部143が起動され、宛先設定部143はユーザー操作部11に
図5の画面を表示する。宛先設定部143は、宛先選択領域11d及び印刷ボタン11eを表示する。
【0050】
宛先選択領域11dは、宛先設定手段21がトレイ情報153を参照してユーザーAが選択した(トレイ情報153のマトリクスにトレイ番号のある)受領者を表示するものである。ユーザーAは、宛先にタッチして、単数又は複数の受領者を選択する。図は、ユーザーBとグループHが選択されて強調表示されたものである。宛先設定部143は、選択されたユーザー及びグループを、宛先情報152として記憶させる。
【0051】
ユーザーAは、資料を読取フィーダー12にセットして印刷ボタン11eにタッチする。制御部14は、ユーザーAを指示者とし、ユーザーBとグループHを受領者とする印刷を実行するため、トレイ決定部144及び出力制御部145を、この順に起動する。
【0052】
トレイ決定部144は、トレイ情報153(
図3参照)及びユーザー情報155をを参照して出力先のトレイと各トレイに出力すべき部数を求める。(1)ユーザーB受領者とする印刷物を1番トレイに、グループHを受領者とする印刷物を3番トレイに、それぞれ出力すること、(2)グループHはユーザーCとユーザーDの2名が所属しているのでグループHを受領者とする印刷物が2部であることを求める。これにより、トレイ決定部144は、1番トレイに1部、3番トレイに2部の印刷物を出力すべきことを出力制御部145に通知する。
【0053】
出力制御部145は、画像情報151に関する印刷物として、ユーザーAを指示者とし、ユーザーBを受領者とする印刷物を1番トレイに、ユーザーC及びユーザーDを受領者とする印刷物を3番トレイに出力する。そして印刷した内容を印刷結果情報154に追加し、メール通知部146を起動する。
【0054】
メール通知部146は、ユーザーB、ユーザーC及びユーザーDに、ユーザーAを指示者とする印刷物を受領すべき旨のメールを送信する。ここで、ユーザー情報155を参照して、ユーザーB、ユーザーC及びユーザーDのメールアドレスを求める。
【0055】
以上、指示者(ユーザーA)による指示を受けて印刷し、受領者にメールを送信するまでの処理を、コピー印刷の例で説明した。ファイルを印刷する場合にも、ほぼ同様である。ユーザーAは、自らの端末装置からユーザーIDとパスワードを入力して画像形成装置1にログインすることができる。画像形成装置1はユーザー操作部11と同様の表示を端末装置に行うことができ、ユーザー操作部11のタッチに替えて端末装置におけるマウスクリックによって処理を行うことができる。
【0056】
次に、他のユーザーを指示者とする印刷物を受領者が受領する手順を説明する。ユーザーAに向けて、他のユーザーを指示者とする印刷物を受領すべき旨のメールが4通届いたとする。ユーザーAは、画像形成装置1に向かい、カードをユーザー認証部11aにかざす。
【0057】
図6は、受領情報表示画面を示す図である。ユーザーAがユーザー操作部11に表示に置いて宛先設定タブ11bを選択すると、受領情報表示部147が起動され、受領情報表示部147はユーザー操作部11に
図5の画面を表示する。受領情報表示部147は、受領情報表示画面に、どのユーザーから何部を受領するかに関する情報11fと、どのトレイから何部を受領するかに関する情報11gを表示する。
【0058】
受領情報表示画面は、受領情報表示部147が印刷結果情報154を参照して表示するものである。なお、受領情報表示部147は、表示終了後に、表示したものを印刷結果情報154から削除する。受領された印刷物については将来に表示しないためである。
【0059】
多数の印刷物を受領するユーザーが多数のメールを受信すると、どのユーザーから何部を受領するか及びどのトレイから何部を受領するかを正しく把握することは煩雑である。受領情報表示画面により、ユーザーは、受領すべき印刷物を容易かつ確実に把握することができる。
【0060】
以上詳細に説明したように、本実施例の画像処理装置1によれば、トレイの使用に関するデータの閲覧・編集に伴う問題を小さくして、複数のトレイに印刷物を出し分けることができる。そして、印刷物を受領するユーザーの煩雑さを解消することができる。
【実施例2】
【0061】
本実施例は、管理サーバー4を用いて、2台以上の画像処理装置1のトレイに印刷物を出し分けるものである。ユーザー情報155及びトレイ情報153は管理サーバー4に保存されているものとする。また、トレイ番号153cは、どの画像処理装置のどのトレイであるかを表す情報とする。
【0062】
図7は、画像形成システムを示す図である。2台以上の画像処理装置1(図では、符号1a及び1bで示すが、2台以上の何台であってもよい)、ユーザー端末3(図では、符号3A及び3Bで示す2台を表した。何台であってもよい)及び管理サーバー4がネットワーク5を介して接続されている。ネットワーク5を介して接続された2台以上の画像処理装置1と管理サーバー4とによって、画像形成システムが構成される。
【0063】
図8は、画像形成システムの詳細を示す図である。
図7における管理サーバー4及び画像処理装置1aについて、構成の詳細を示したものである。なお、画像処理装置1bについては、画像処理装置1aと同様なので省略した。
【0064】
管理サーバー4は、制御部44及び記憶部45を備えている。画像処理装置1aは、制御部14及び記憶部15を備えている。制御部14及び記憶部15について、
図8と
図2を比較する。
【0065】
図8において、制御部14は、宛先設定部143、トレイ決定部144及びメール通知部146を備えていない。これらの機能は、管理サーバー4の制御部44に宛先設定部443、トレイ決定部444及びメール通知部446として備えられている。すなわち、画像処理装置1aから管理サーバー4に機能が移されている。
【0066】
図8と
図2とで共通のデータ受信部142、出力制御部145及び受領情報表示部147については、同等の機能である。ただし、出力制御部145は、画像情報151を読み取りトレイ決定部144からトレイ番号の通知を受けることに替えて、データ受信部142からこれらの情報を受け取る。
【0067】
図8において、記憶部15は、画像情報151、宛先情報152、トレイ情報153及びユーザー情報155を備えていない。これらの情報は、管理サーバー4の記憶部45に画像情報451、宛先情報452、トレイ情報453及びユーザー情報455として記憶されている。
図8と
図2とで共通の印刷結果情報154ついては、同等の情報である。
【0068】
以下、画像形成システムを実際に操作する具体例を説明する。
【0069】
ユーザーAが、所持しているファイルの印刷物をユーザーBとグループHに受領させようと考えたとする。ユーザーAは、自己のユーザー端末3Aから、管理サーバー4にログインし、宛先を指定してファイルを印刷したい旨と、印刷すべきファイルを管理サーバー4に送信する。
【0070】
管理サーバー4は、ユーザー端末3Aに実施例1における
図5と同様の画面を表示する。以下、宛先設定部443によって、実施例1と同様に宛先が設定される。トレイ決定部444は、印刷物を出力すべき画像処理装置とトレイを決定する。本実施例では、ユーザーBについては画像処理装置1aの1番トレイ、グループHについては画像処理装置1bの3番トレイに出力するものとする。
【0071】
印刷指示部445は、画像処理装置1aに印刷対象のファイル又はそのファイルから形成される印刷対象の画像を、ユーザーAを指示者ユーザーBを受領者とするものである旨の情報と共に、送信する。画像処理装置1aは、データ受信部142が印刷対象の画像及び出力されるべきトレイの情報を受信し、出力制御部145が1番トレイに1部を印刷出力する。
印刷指示部445はまた、画像処理装置1bに印刷対象のファイル又はそのファイルから形成される印刷対象の画像を、ユーザーAを指示者グループHを受領者とするものである旨の情報と共に、送信する。画像処理装置1bは、データ受信部142が印刷対象の画像及び出力されるべきトレイの情報を受信し、出力制御部145が3番トレイに2部を印刷出力する。
【0072】
メール通知部446は、実施例1と同様に、ユーザーB、ユーザーC及びユーザーDに、ユーザーAを指示者とする印刷物を受領すべき旨のメールを送信する。
【0073】
印刷物の受領についても、画像処理装置1a、1bに印刷結果情報154を保持して、実施例1と同様に行うことができる。
【0074】
以上、ユーザーAがユーザー端末3Aから指示する例を説明した。同様の指示を画像処理装置1a又は1bから行うこともできる。画像処理装置1a又は1bが実施例1と同様に宛先設定手段を動作させ、自機の出力制御部145への指示に替えて、設定された宛先を管理サーバー4に送信すればよい。
【0075】
以上詳細に説明したように、本実施例の画像処理システムによれば、トレイの使用に関するデータの閲覧・編集に伴う問題を小さくして、複数の画像処理装置の複数のトレイに印刷物を出し分けることができる。
【0076】
なお、印刷物の受領者が誰であるかを容易に把握できるようにするため、印刷物に表紙ページを付加し、受領者名等の受領者を同定する情報を表紙ページに印刷してもよい。かかる処理は、出力制御部145によって実行できる。