特許第6249243号(P6249243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249243
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20171211BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20171211BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20171211BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20171211BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   G03G21/00 388
   G03G21/00 386
   B41J29/38 Z
   B41J29/42 F
   B41J29/00 Z
   G06F3/12 322
   G06F3/12 303
   G06F3/12 337
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-105036(P2015-105036)
(22)【出願日】2015年5月25日
(65)【公開番号】特開2016-218331(P2016-218331A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154210
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 隆
(72)【発明者】
【氏名】中谷 龍介
(72)【発明者】
【氏名】中里 洋介
(72)【発明者】
【氏名】同前 和樹
(72)【発明者】
【氏名】小若 真
【審査官】 田代 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−155536(JP,A)
【文献】 特開2003−177893(JP,A)
【文献】 特開2001−105695(JP,A)
【文献】 特開2004−188752(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0182634(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
B41J 29/00
B41J 29/38
B41J 29/42
B65H 39/11
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトレイと、
前記複数のトレイのうちの1を選択して印刷物を出力する出力制御部と、
印刷を指示する指示者と印刷物を受領する受領者の組み合わせに対応するトレイを示すトレイ情報を記憶する記憶部と、
前記トレイ情報によって、出力制御部が選択するトレイを決定するトレイ決定部とを備えることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記トレイ情報は、前記指示者毎に区分され、各区分に対応する前記指示者のみによる閲覧及び編集が可能であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
印刷物が出力されたことを、前記受領者にメールによって通知するメール通知部を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記指示者が前記受領者を指定する宛先設定手段を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記受領者について、1又は2以上の前記指示者からの出力済印刷物及びその印刷物が出力されたトレイの一覧を表示する受領情報表示部を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
1又は2以上の画像形成装置と管理サーバーを備え、
前記画像形成装置は、
複数のトレイと、
前記複数のトレイのうちの1を選択して印刷物を出力する出力制御部とを備え、
前記管理サーバーは、
前記画像形成装置のうちの1と前記1の画像形成装置のトレイの1を指定して前記1の画像形成装置に印刷を指示する印刷指示部と、
印刷を指示する指示者と印刷物を受領する受領者の組み合わせに対応する画像形成装置及びトレイに対応するトレイ情報を記憶する記憶部と、
前記トレイ情報によって、前記印刷指示部が指定する画像形成装置及びトレイを決定するトレイ決定部とを備え、
前記出力制御部は、前記印刷指示部による指示に応じて印刷物を出力することを特徴とする、画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及びネットワークを介して画像形成装置を活用する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に向けて印刷物の出力を指示する指示者と、印刷物を使用する受領者とは、同一人でない場合がある。指示者が画像形成装置から印刷物を回収して受領者に渡すことが一般的に行われているが、受領者が画像形成装置から印刷物を回収するほうが便利であることが多い。
【0003】
受領者が出力の直後に印刷物を回収するとは限らず、画像形成装置に印刷物が置かれていることが多い。画像形成装置に複数の印刷物が置かれた場合にそれらが混同されることを予防するため、印刷物を出力するトレイを複数有する画像形成装置を用いてトレイを使い分けることが行われていた。
【0004】
例えば、特許文献1には、指示者が受領者を指定して印刷物を出力させると、その受領者に割り当てられたトレイに印刷物を出力し、その受領者にメールで通知する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−175440号公報
【特許文献2】特開2004−188832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の画像形成装置は、必然的に、受領者とトレイとの対応をデータとして保持する。そのデータは、多くの者が閲覧・編集可能である。このため、一人の者がデータを誤編集してしまった場合に使用者全員が影響を受けてしまう。また、例えば高機密の印刷物を受領する者に割り当てられたトレイがいずれであるかを多くの者が知ることになり。セキュリティ上の問題もある。
【0007】
本発明は、複数のトレイに印刷物を出し分け、トレイの使用に関するデータの閲覧・編集に伴う問題が小さな画像形成装置、又はネットワークを介して画像形成装置を活用する画像形成システム、を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、
複数のトレイと、
前記複数のトレイのうちの1を選択して印刷物を出力する出力制御部と、
印刷を指示する指示者と印刷物を受領する受領者の組み合わせによってトレイを決定するトレイ情報を記憶する記憶部と、
前記トレイ情報によって、出力制御部が選択するトレイを決定するトレイ決定部とを備えることを特徴とする。
【0009】
この特徴によれば、受領者とトレイとの対応を表すデータが、指示者毎に別々である。多くの者が閲覧・編集可能である状況とせずに、データを保持することができる。
【0010】
本発明の画像形成装置は、
前記トレイ情報は、前記指示者毎に区分され、各区分について前記指示者のみによる閲覧及び編集が可能であることを特徴とする。
【0011】
この特徴によれば、閲覧及び編集が指示者のみに可能であり、誤編集してしまった場合の問題、及びセキュリティ上の問題が緩和される。
【0012】
本発明の画像形成装置は、
印刷物が出力されたことを、前記受領者にメールによって通知するメール通知部を備えることを特徴とする。
【0013】
この特徴によれば、メールによって受領者に確実に通知することができる。
【0014】
本発明の画像形成装置は、
前記指示者が前記受領者を指定する宛先設定手段を備えることを特徴とする。
【0015】
この特徴によれば、指示者は、印刷物毎に受領者を指定することができる。
【0016】
本発明の画像形成装置は、
前記受領者について、1又は2以上の前記指示者からの出力済印刷物及びその印刷物が出力されたトレイの一覧を表示する受領情報表示部を備えることを特徴とする。
【0017】
この特徴によれば、受領者は、自身が受領するに印刷物が出力されたトレイを容易かつ確実に把握することができる。2以上の指示者からの出力済印刷物を受領する際には、2以上のトレイに出力されている可能性もあり、トレイの一覧の表示が有用である。なお、特許文献2には、ジョブ予約モードにおいて排紙された1のトレイを表示するものが開示されている。本発明においては、2以上のトレイに出力された2部以上の印刷物をも表示して案内する。
【0018】
本発明の画像形成システムは、
1又は2以上の画像形成装置と管理サーバーを備え、
前記画像形成装置は、
複数のトレイと、
前記複数のトレイのうちの1を選択して印刷物を出力する出力制御部とを備え、
前記管理サーバーは、
前記画像形成装置のうちの1と前記1の画像形成装置のトレイの1を指定して前記1の画像形成装置に印刷を指示する印刷指示部と、
印刷を指示する指示者と印刷物を受領する受領者の組み合わせに対応する画像形成装置及びトレイに対応するトレイ情報を記憶する記憶部と、
前記トレイ情報によって、前記印刷指示部が指定する画像形成装置及びトレイを決定するトレイ決定部とを備え、
前記出力制御部は、前記印刷指示部による指示に応じて印刷物を出力することを特徴とする。
【0019】
この特徴によれば、管理サーバーを用いて、2以上の画像形成装置を用いた画像形成システムが構成される。2以上の画像形成装置を離隔した箇所に設置することもでき、より幅広い活用が可能となる。
【発明の効果】
【0020】
複数のトレイに印刷物を出し分け、トレイの使用に関するデータの閲覧・編集に伴う問題が小さな画像形成装置、又はネットワークを介して画像形成装置を活用する画像形成システム、を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、画像形成装置を示す図である。
図2図2は、画像形成装置の機能を示すブロック図である。
図3図3は、ユーザー情報の例を示す図である。
図4図4は、トレイ情報の例を示す図である。
図5図5は、宛先設定画面を説明する図である。
図6図6は、受領情報表示画面を示す図である。
図7図7は、画像形成システムを示す図である。
図8図8は、画像形成システムの詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を示す。
【実施例1】
【0023】
図1は、画像形成装置を示す図である。画像形成装置1には、ユーザー認証部11aを有するユーザー操作部11、読取フィーダー12及び複数のトレイ13が設けられている。本実施例では3のトレイが設けられている(符号13a、13b、13cで示す)。
【0024】
図2は、画像形成装置の機能を示すブロック図である。画像形成装置1は、ユーザー操作部11、ユーザー認証部11a、スキャナー(読取フィーダー)12、プリンター(トレイ)13、制御部14及び記憶部15を備えている。
【0025】
ユーザー操作部11は、タッチパネル等の入力デバイスとLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスを有する。ユーザー操作部11は、操作者による入力を受け付けて、入力信号を制御部11の各部に転送する。これにより、画像形成装置1は、操作者によって操作される。
【0026】
ユーザー認証部11aは、非接触型カード等の読取デバイスである。カードに記録された情報に基づいてユーザーが誰であるかを認証する。
【0027】
制御部14は、読取部141、データ受信部142、宛先設定部143、トレイ決定部144、出力制御部145、メール通知部146及び受領情報表示部147を含む。データ受信部142及びメール通知部146はネットワーク2に接続され、ネットワーク2を介して他の装置との間のデータ送受信(メール送受信を含む)を行う。
【0028】
記憶部15は、画像情報151、宛先情報152、トレイ情報153、印刷結果情報154及びユーザー情報155を記憶している。
【0029】
読取フィーダー(スキャナー)12は、印刷物をイメージデータとするための装置である。読取部141によって駆動され、読取フィーダー12に載置された印刷物に関するイメージデータが画像情報151として記憶される。
【0030】
トレイ13は、印刷物を出力するものである。出力制御部145によってプリンターが駆動され、画像情報151が用紙に印刷され、印刷された用紙がトレイ13に出力される。トレイ13は1つではなく、後述のトレイ13a、13b、13cがある。
【0031】
以下、記憶部12に記憶されるデータについて簡単に説明する。画像情報151は、印刷される画像の情報であり、スキャナー12によって読み取られた画像、データ受信部142によって受信された画像等のデータである。
【0032】
宛先情報152は、印刷物を受領すべき者が誰であるかを表す情報である。
【0033】
トレイ情報153は、指示者153aと受領者153bとのマトリクス形式で、印刷物を出力するトレイ番号153cを保持するものである。図3は、トレイ情報の例を示す図である。図においてマトリクスに空欄があるが、問題でない。例えば、ユーザーCは、ユーザーBを受領者としての印刷を行わないことを自ら選択したものである。
【0034】
印刷結果情報154は、ユーザー別に、どのトレイ13に印刷物を出力したかを表す情報である。
【0035】
ユーザー情報155は、各ユーザーのユーザー名155a、パスワード155b、メールアドレス155c及び所属グループ155dを含む情報である。図4は、ユーザー情報の例を示す図である。なお、所属グループ155dについては、グループに所属するユーザーを求めることができればよく、ユーザー毎のデータとは別にグループごとのデータとして所属ユーザーを保持してもよい。
【0036】
以下、制御部に含まれる各部(読取部141は上述したので除く)の機能を簡単に説明する。データ受信部142は、他の装置から、印刷対象のデータ、その他のデータを受信する。
【0037】
宛先設定部143は、ユーザーの指示に基づいて、宛先情報152を設定・更新する。
【0038】
トレイ決定部144は、トレイ情報153を参照し、指示者153aと受領者153bとから、印刷物を出力するトレイ番号153cを決定する。
【0039】
出力制御部145は、画像情報151を印刷してプリンター13に出力する。その際、トレイ決定部144によって決定されたトレイに出力する。合わせて、どのユーザー宛の印刷物がどのトレイに出力されたかを、印刷結果情報154に記憶させる。
【0040】
メール通知部146は、印刷結果情報154に基づき、受領すべき印刷物の出力されたユーザーに、その旨を通知するメールを送信する。
【0041】
受領情報表示部147は、印刷結果情報154に基づき、ユーザー毎に、受領すべき印刷物の一覧及び各印刷物の出力されたトレイを表示する。
【0042】
以下、画像形成装置1を利用して複数のトレイに印刷物を出し分け例を説明する。
【0043】
例えば、ユーザーが書類をコピーする際には、読取フィーダー12からコピー対象の書類を読み取らせて画像情報151を生成する。一方、ユーザーがファイルを印刷する際には、ユーザー端末(非図示)からネットワーク5を介してデータ受信部142にデータを受信させて画像情報151を生成する。また、画像形成装置に向けたユーザーの指示は、ユーザーが書類をコピーする際には、ユーザー操作部11を操作して行われる。一方、ユーザーがファイルを印刷する際には、ネットワーク5を介して画像形成装置1にアクセスしてユーザー端末から行う。
【0044】
以下、ユーザーは書類をコピーするものとし、ユーザー操作部11を操作するものとして説明する。しかし、ファイルを印刷する場合にも、ユーザー操作部11に表示されるものと同様の表示をユーザー端末において行ってコミュニケーションが可能であり、同様に処理できる。
【0045】
ユーザー情報155及びトレイ情報153については、当然に、閲覧して確認し、必要に応じて編集することができる。画像形成装置1は、ユーザー情報155及びトレイ情報153を閲覧・編集する手段(非図示)を備えている。閲覧・編集は、画像処理装置に認証付きでログインして(ユーザー認証部11aにユーザー別のカードをかざして、又は、データ受信部142にユーザーIDとパスワードを入力して)行うこととする。その際、ユーザー情報155についてはログインしたユーザーに係るデータのみが、トレイ情報153についてはログインしたユーザーを指示者とするもののみが、閲覧・編集できるものとする。これにより、多くの者が閲覧・編集可能である状況とならず、誤編集してしまった場合の問題及びセキュリティ上の問題が緩和される。
【0046】
かかる閲覧・編集の制御は、例えばユーザー情報155及びトレイ情報153をユーザー別のファイルに分割しファイルのアクセス許可による、その他の公知の手法で行うことができる。また、ファイル毎のパスワードをユーザーに設定させてもよい。
【0047】
以下、画像形成装置1を実際に操作する具体例を、ユーザーの行為と画像形成装置1による処理を合わせて説明する。
【0048】
ユーザーAが、所持している資料のコピーをユーザーBとグループHに受領させようと考えたとする。ユーザーAは、資料を持参して画像形成装置1に向かい、カードをユーザー認証部11aにかざす。画像形成装置1は、ユーザー操作部11に、ユーザーAによる操作のための表示を行う。
【0049】
図5は、宛先設定画面を説明する図である。ユーザー操作部11の限られた面積で各種の操作を行わせるため、ユーザー操作部11には、宛先設定タブ11b及び受領情報タブ11cを含む複数のタブが表示されている。ユーザーAが宛先設定タブ11bを選択すると、宛先設定部143が起動され、宛先設定部143はユーザー操作部11に図5の画面を表示する。宛先設定部143は、宛先選択領域11d及び印刷ボタン11eを表示する。
【0050】
宛先選択領域11dは、宛先設定手段21がトレイ情報153を参照してユーザーAが選択した(トレイ情報153のマトリクスにトレイ番号のある)受領者を表示するものである。ユーザーAは、宛先にタッチして、単数又は複数の受領者を選択する。図は、ユーザーBとグループHが選択されて強調表示されたものである。宛先設定部143は、選択されたユーザー及びグループを、宛先情報152として記憶させる。
【0051】
ユーザーAは、資料を読取フィーダー12にセットして印刷ボタン11eにタッチする。制御部14は、ユーザーAを指示者とし、ユーザーBとグループHを受領者とする印刷を実行するため、トレイ決定部144及び出力制御部145を、この順に起動する。
【0052】
トレイ決定部144は、トレイ情報153(図3参照)及びユーザー情報155をを参照して出力先のトレイと各トレイに出力すべき部数を求める。(1)ユーザーB受領者とする印刷物を1番トレイに、グループHを受領者とする印刷物を3番トレイに、それぞれ出力すること、(2)グループHはユーザーCとユーザーDの2名が所属しているのでグループHを受領者とする印刷物が2部であることを求める。これにより、トレイ決定部144は、1番トレイに1部、3番トレイに2部の印刷物を出力すべきことを出力制御部145に通知する。
【0053】
出力制御部145は、画像情報151に関する印刷物として、ユーザーAを指示者とし、ユーザーBを受領者とする印刷物を1番トレイに、ユーザーC及びユーザーDを受領者とする印刷物を3番トレイに出力する。そして印刷した内容を印刷結果情報154に追加し、メール通知部146を起動する。
【0054】
メール通知部146は、ユーザーB、ユーザーC及びユーザーDに、ユーザーAを指示者とする印刷物を受領すべき旨のメールを送信する。ここで、ユーザー情報155を参照して、ユーザーB、ユーザーC及びユーザーDのメールアドレスを求める。
【0055】
以上、指示者(ユーザーA)による指示を受けて印刷し、受領者にメールを送信するまでの処理を、コピー印刷の例で説明した。ファイルを印刷する場合にも、ほぼ同様である。ユーザーAは、自らの端末装置からユーザーIDとパスワードを入力して画像形成装置1にログインすることができる。画像形成装置1はユーザー操作部11と同様の表示を端末装置に行うことができ、ユーザー操作部11のタッチに替えて端末装置におけるマウスクリックによって処理を行うことができる。
【0056】
次に、他のユーザーを指示者とする印刷物を受領者が受領する手順を説明する。ユーザーAに向けて、他のユーザーを指示者とする印刷物を受領すべき旨のメールが4通届いたとする。ユーザーAは、画像形成装置1に向かい、カードをユーザー認証部11aにかざす。
【0057】
図6は、受領情報表示画面を示す図である。ユーザーAがユーザー操作部11に表示に置いて宛先設定タブ11bを選択すると、受領情報表示部147が起動され、受領情報表示部147はユーザー操作部11に図5の画面を表示する。受領情報表示部147は、受領情報表示画面に、どのユーザーから何部を受領するかに関する情報11fと、どのトレイから何部を受領するかに関する情報11gを表示する。
【0058】
受領情報表示画面は、受領情報表示部147が印刷結果情報154を参照して表示するものである。なお、受領情報表示部147は、表示終了後に、表示したものを印刷結果情報154から削除する。受領された印刷物については将来に表示しないためである。
【0059】
多数の印刷物を受領するユーザーが多数のメールを受信すると、どのユーザーから何部を受領するか及びどのトレイから何部を受領するかを正しく把握することは煩雑である。受領情報表示画面により、ユーザーは、受領すべき印刷物を容易かつ確実に把握することができる。
【0060】
以上詳細に説明したように、本実施例の画像処理装置1によれば、トレイの使用に関するデータの閲覧・編集に伴う問題を小さくして、複数のトレイに印刷物を出し分けることができる。そして、印刷物を受領するユーザーの煩雑さを解消することができる。
【実施例2】
【0061】
本実施例は、管理サーバー4を用いて、2台以上の画像処理装置1のトレイに印刷物を出し分けるものである。ユーザー情報155及びトレイ情報153は管理サーバー4に保存されているものとする。また、トレイ番号153cは、どの画像処理装置のどのトレイであるかを表す情報とする。
【0062】
図7は、画像形成システムを示す図である。2台以上の画像処理装置1(図では、符号1a及び1bで示すが、2台以上の何台であってもよい)、ユーザー端末3(図では、符号3A及び3Bで示す2台を表した。何台であってもよい)及び管理サーバー4がネットワーク5を介して接続されている。ネットワーク5を介して接続された2台以上の画像処理装置1と管理サーバー4とによって、画像形成システムが構成される。
【0063】
図8は、画像形成システムの詳細を示す図である。図7における管理サーバー4及び画像処理装置1aについて、構成の詳細を示したものである。なお、画像処理装置1bについては、画像処理装置1aと同様なので省略した。
【0064】
管理サーバー4は、制御部44及び記憶部45を備えている。画像処理装置1aは、制御部14及び記憶部15を備えている。制御部14及び記憶部15について、図8図2を比較する。
【0065】
図8において、制御部14は、宛先設定部143、トレイ決定部144及びメール通知部146を備えていない。これらの機能は、管理サーバー4の制御部44に宛先設定部443、トレイ決定部444及びメール通知部446として備えられている。すなわち、画像処理装置1aから管理サーバー4に機能が移されている。
【0066】
図8図2とで共通のデータ受信部142、出力制御部145及び受領情報表示部147については、同等の機能である。ただし、出力制御部145は、画像情報151を読み取りトレイ決定部144からトレイ番号の通知を受けることに替えて、データ受信部142からこれらの情報を受け取る。
【0067】
図8において、記憶部15は、画像情報151、宛先情報152、トレイ情報153及びユーザー情報155を備えていない。これらの情報は、管理サーバー4の記憶部45に画像情報451、宛先情報452、トレイ情報453及びユーザー情報455として記憶されている。図8図2とで共通の印刷結果情報154ついては、同等の情報である。
【0068】
以下、画像形成システムを実際に操作する具体例を説明する。
【0069】
ユーザーAが、所持しているファイルの印刷物をユーザーBとグループHに受領させようと考えたとする。ユーザーAは、自己のユーザー端末3Aから、管理サーバー4にログインし、宛先を指定してファイルを印刷したい旨と、印刷すべきファイルを管理サーバー4に送信する。
【0070】
管理サーバー4は、ユーザー端末3Aに実施例1における図5と同様の画面を表示する。以下、宛先設定部443によって、実施例1と同様に宛先が設定される。トレイ決定部444は、印刷物を出力すべき画像処理装置とトレイを決定する。本実施例では、ユーザーBについては画像処理装置1aの1番トレイ、グループHについては画像処理装置1bの3番トレイに出力するものとする。
【0071】
印刷指示部445は、画像処理装置1aに印刷対象のファイル又はそのファイルから形成される印刷対象の画像を、ユーザーAを指示者ユーザーBを受領者とするものである旨の情報と共に、送信する。画像処理装置1aは、データ受信部142が印刷対象の画像及び出力されるべきトレイの情報を受信し、出力制御部145が1番トレイに1部を印刷出力する。
印刷指示部445はまた、画像処理装置1bに印刷対象のファイル又はそのファイルから形成される印刷対象の画像を、ユーザーAを指示者グループHを受領者とするものである旨の情報と共に、送信する。画像処理装置1bは、データ受信部142が印刷対象の画像及び出力されるべきトレイの情報を受信し、出力制御部145が3番トレイに2部を印刷出力する。
【0072】
メール通知部446は、実施例1と同様に、ユーザーB、ユーザーC及びユーザーDに、ユーザーAを指示者とする印刷物を受領すべき旨のメールを送信する。
【0073】
印刷物の受領についても、画像処理装置1a、1bに印刷結果情報154を保持して、実施例1と同様に行うことができる。
【0074】
以上、ユーザーAがユーザー端末3Aから指示する例を説明した。同様の指示を画像処理装置1a又は1bから行うこともできる。画像処理装置1a又は1bが実施例1と同様に宛先設定手段を動作させ、自機の出力制御部145への指示に替えて、設定された宛先を管理サーバー4に送信すればよい。
【0075】
以上詳細に説明したように、本実施例の画像処理システムによれば、トレイの使用に関するデータの閲覧・編集に伴う問題を小さくして、複数の画像処理装置の複数のトレイに印刷物を出し分けることができる。
【0076】
なお、印刷物の受領者が誰であるかを容易に把握できるようにするため、印刷物に表紙ページを付加し、受領者名等の受領者を同定する情報を表紙ページに印刷してもよい。かかる処理は、出力制御部145によって実行できる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
複数のトレイに印刷物を出し分け、トレイの使用に関するデータの閲覧・編集に伴う問題が小さな画像形成装置、又はネットワークを介して画像形成装置を活用する画像形成システムである。多くの企業による利用が考えられる。
【符号の説明】
【0078】
1 画像形成装置
11 ユーザー操作部
11a ユーザー認証部
12 スキャナー
13 トレイ
14 制御部
141 読取部
142 データ受信部
143 宛先設定部
144 トレイ決定部
145 出力制御部
146 メール通知部
147 受領情報表示部
15 記憶部
151 画像情報
152 宛先情報
153 トレイ情報
153a 指示者
153b 受領者
153c トレイ番号
154 印刷結果情報
155 ユーザー情報
3 ユーザー端末
4 管理サーバー
5 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8