特許第6249272号(P6249272)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249272
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】化粧料塗布体
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20171211BHJP
   A45D 40/26 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   A45D34/04 515A
   A45D34/04 510A
   A45D40/26
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-181544(P2013-181544)
(22)【出願日】2013年9月2日
(65)【公開番号】特開2015-47360(P2015-47360A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000223986
【氏名又は名称】フィグラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141210
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100100767
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 正彦
(72)【発明者】
【氏名】澤柳 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】小河 慎一郎
【審査官】 横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−007431(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0181143(US,A1)
【文献】 特開2011−115589(JP,A)
【文献】 特表2000−501668(JP,A)
【文献】 特開2012−055548(JP,A)
【文献】 特開2006−094892(JP,A)
【文献】 特開2003−235641(JP,A)
【文献】 特開2014−140724(JP,A)
【文献】 特開2008−114071(JP,A)
【文献】 特開2014−128508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
A45D 40/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と、該軸部の先端において塗布面を有する塗布部とから構成され、
軸部と塗布部との間で、両者を一体に連結し、軸部に対して塗布部を傾倒可能とする屈撓部を形成するとともに、該屈撓部の屈撓により傾倒する塗布部と軸部とを当接させて塗布部の傾倒を抑止、保持するものであって、
上記傾倒する塗布部と軸部とのなす傾動角度が傾倒方向に応じて相違する
ことを特徴とする化粧料塗布体。
【請求項2】
上記傾倒して互いに当接し、塗布部の傾倒を抑止、保持する塗布部と軸部とにおいて、少なくとも該塗布部と軸部のいずれか一方に形成する傾倒制御部を他方との間に介在させる
ことを特徴とする請求項1に記載の化粧料塗布体。
【請求項3】
上記塗布部を有する塗布面において、その一部の形状や表面状態を相違させる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のうちいずれか一つに記載の化粧料塗布体。
【請求項4】
上記塗布部に有する塗布面の全面又はその一部分に対して静電植毛処理を施す
ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3のうちいずれか一つに記載の化粧料塗布体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本願発明は、液状口紅やリップグロス等の液状化粧料、又はアイシャドウ等の粉状化粧料(以下、「化粧料」とする。)の塗布に使用する化粧料塗布体に関する。
【背景技術】
【0002】

従来、上記化粧料の塗布に使用する化粧料塗布体では、少なくとも軸部先端の塗布部を、例えば軟質樹脂、エラストマー又はゴム等の軟質材からなるものとした上で、該塗布部を、軸部の軸線に沿うように、又は軸部の軸線に対して傾斜するように形成してなるものがある(特許文献1、2参照)。
【0003】

そのため、上記化粧料塗布体において、軸部先端の塗布部を軸部の軸線に沿って形成すると、該塗布部の表面に有する塗布面も同様に軸部の軸線に沿って形成されるものである。その結果、塗布部の表裏面が塗布面となるので、化粧料の塗布量は増大し、さらに表裏面の塗布面の表面素材を異なるものとすることで多様な化粧料の塗布が可能となるので、塗布部の機能性を著しく向上させることができるものである。
【0004】

しかしながら、上記化粧料塗布体のように軸部先端の塗布部を軸部の軸線に沿って形成するものでは、塗布部の塗布面を口唇や瞼等の被塗布部に対して密着させると、被塗布部近傍に対して軸部が著しく近接する上、該軸部を被塗布部に対して平行に持たざるを得なくなるものである。その結果、化粧料塗布体の軸部が被塗布部に近接することで、該軸部に付着している余分な化粧料によって被塗布部の周囲を汚損し、持ち手の自由が妨げられて塗布部の繊細な操作が困難になるものである。
【0005】

さらに、上記化粧料塗布体において、軸部先端の塗布部を軸部の軸線に対して傾斜させて形成すると、該塗布部の表面に有する塗布面も同様に軸部の軸線に対して傾斜して形成されるので、塗布部の塗布面を口唇や瞼等の被塗布部に対して密着させると、被塗布部近傍に対して軸部が著しく離隔する上、該軸部を被塗布部に対して平行に持つ必要はなくなるものである。その結果、被塗布部近傍から軸部は離れるものとなるので、該軸部に付着している余分な化粧料によって被塗布部の周囲を汚損するおそれがなくなるとともに、持ち手の自由が高まることで化粧料の塗布における繊細な操作が可能になるものである。
【0006】

しかしながら、上記化粧料塗布体のように軸部先端の塗布部を軸部の軸線に対して傾斜させて形成ものでは、塗布部の塗布面は傾斜しているので塗布面に適するのは塗布部の一面だけに限られてしまうものである。その結果、塗布部の塗布面に保持される化粧料の塗布量は減少し、さらに塗布面の表面素材を異なるものとして多様な被塗布部に対応しないので、塗布部の機能性を向上させることができないものである。
【0007】

その上、軸部先端の塗布部が軸部の軸線に対して傾斜させて形成されていると、塗布部がシゴキを通過する抵抗が非常に大きくなるので、塗布部を円滑に挿脱させることもできないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】

【特許文献1】特開2006−94892号公報
【特許文献2】特許第3811458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】

解決しようとする問題点は、化粧料塗布体の塗布部の機能性、繊細な操作性の確保、被塗布部近傍に対する汚損の防止、及び円滑な塗布部の挿脱ができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】

第1の特徴として、

軸部と、該軸部の先端において塗布面を有する塗布部とから構成され、

軸部と塗布部との間で、両者を一体に連結し、軸部に対して塗布部を傾倒可能とする屈撓部を形成するとともに、該屈撓部の屈撓により傾倒する塗布部と軸部とを当接させて塗布部の傾倒を抑止、保持するものであって、

上記傾倒する塗布部と軸部とのなす傾動角度が傾倒方向に応じて相違するものである。
【0011】

そのため、塗布部の塗布面によって塗布部の化粧料の保持量を十分に確保し、塗布面の表面素材を部分的に異なるものとすることによって多様な被塗布部に対応するものとなるので、塗布部の機能性を著しく向上させることができるものである。
【0012】

そして、塗布部の塗布面を被塗布部に密着させて押勢すると、該塗布部は軸部と塗布部との間で形成される屈撓部の屈撓によって反対方向に傾倒しつつ軸部と当接し屈撓部の屈撓は抑止され、さらに塗布部を押勢し続けることで傾倒した塗布部はそのままで保持されるものとなる。その結果、軸部は被塗布部近傍に近接しないので、持ち手の自由を十分に確保して化粧料の塗布において繊細な操作を行うことができるとともに、被塗布部近傍に対する汚損を防止できるものである。
【0013】

さらに、被塗布部に対して塗布部を密着させた上で押勢すると、屈撓部の屈撓により塗布部は傾倒するとともに、塗布部の傾倒方向に応じて、異なる傾倒角度をもって傾倒する塗布部は抑止、保持されるものとなる。その結果、塗布部を被塗布部に対してどのような位置に密着させても軸部は被塗布部から確実に離れ、持ち手の自由は十分に確保されるので、塗布部の繊細な操作や被塗布近傍への汚損を防止できるものである。
【0014】

その上、塗布部の挿脱に際しては、塗布部に対しての押勢がないので、塗布部を傾倒させるために屈撓していた屈撓部は弾性をもって反発して該塗布部は軸部の軸心に沿うように位置するものとなり、該塗布部とシゴキとが当接しても大きな抵抗は生じないものである。その結果、塗布部がシゴキと当接しても容易に通過して、塗布部の挿脱を円滑に行うことができるものである。
【0015】

なお、塗布部に有する塗布面は、少なくとも一面とするものから、互いに対向するように位置して二面とするもの、及び塗布部の全体形状を円錐形状、多角錐形状、円柱状としてその側面全体を塗布面としてなるものであっても良いものである。

さらに、軸部と塗布部との間に形成される屈撓部は、塗布部と軸部とを連結するとともに、軸部に対して塗布部を傾倒可能とすれば足りるので、該屈撓部を、軸部と塗布部との間で一体に形成するものであって薄板状やコ字状とするものの他、ボールジョイントやスプリング等の技術を適用するものであっても良いものである。

ここで、例えば、塗布部の全体形状を円錐形状及び円柱形状とし、その側面を塗布面とするものでは、塗布面は全方向的となるので屈撓部の断面形状は円形状とすることが適しており、また、例えば、塗布部の全体形状を多角錐形状とし、その側面を塗布面とするものでは、塗布面には方向性が発生するので屈撓部の断面形状を該多角錐形状である塗布部の断面形状と同形状とするものが適している。その結果、塗布部の断面形状方向と屈撓部の断面形状方向とを一致させることによって、容易に屈撓部を屈撓させて塗布部を傾倒させることができるものである。
【0016】

そこで、第1の特徴を踏まえて、第2の特徴として、

上記傾倒して互いに当接し、塗布部の傾倒を抑止、保持する塗布部と軸部とにおいて、少なくとも該塗布部と軸部のいずれか一方に形成する傾倒制御部を他方との間に介在させるものである。
【0017】

そのため、傾倒する塗布部が軸部と当接するに当たっては、塗布部と軸部のいずれか一方に形成する傾倒制御部が他方と当接するので、屈撓部の屈撓は抑止され、塗布部を押勢し続けることで傾倒する塗布部はそのままで保持されるものとなる。その結果、被塗布部の位置等を考慮した上で、軸部又は塗布部のうち少なくともいずれか一方において形成される傾倒制御部を設定することで、傾倒して軸部と当接することとなる塗布部の傾倒角度を任意に調整して、被塗布部に対する軸部の傾倒角度を最適とするので、持ち手の自由をより十分に確保し、あらゆる被塗布部に対してより繊細な操作により化粧料の塗布を行うことができるものである。
【0018】

さらに、第1の特徴又は第2の特徴を踏まえて、第の特徴として、

上記塗布部に有する塗布面において、その一部の形状や表面状態を相違させるものである。
【0019】

そのため、塗布部に有する塗布面の形状や表面状態が互いに相違することによって、被塗布部に対する塗布部の密着性や塗布面に保持される化粧料の量や塗布状態が相違するものとなるので、被塗布部に対して正確に対応して化粧料の最適な塗布状態を得ることができるものである。
【0020】

そして、第1の特徴、第2の特徴、又は第3の特徴を踏まえて、第の特徴として、

上記塗布部に有する塗布面の全面又はその一部分に対して、特に静電植毛処理を施すものである。
【0021】

そのため、塗布部に有する塗布面に施された静電植毛処理によって、該塗布面における表面摩擦や化粧料の保持量が増大するものとなる。その結果、被塗布部に対して塗布面は強く密着するとともに、さらに多量の化粧料を保持するので、被塗布面に対して化粧料を強力に密着して、しかも厚く塗布することができるものである。
【0022】

なお、図7図11では本願発明の後述する各実施例である化粧料塗布体において適宜適用される変形例を示している。

すなわち、まず図7では、塗布部と軸部との間には傾倒する塗布部の傾倒を当接によって抑止、保持する傾倒制御部がないものが示されている。その結果、軸部に対する傾倒する塗布部との当接、保持は軸部により簡易な構造によって行われるので、製造コストの削減を図ることができる。

次に、図8では、塗布部における表面の塗布面を凹面とし、裏面の塗布面を平面とするものを示している。その結果、表面における塗布面では、凹面中に化粧料が多量に保持できるので、被塗布部に対して広範囲又は厚く塗布を行うことができるとともに、裏面における平面の塗布面では、表面における塗布面によって塗布した化粧料を平滑にすることができる。

さらに図9では、表裏面に有する塗布面が平面である塗布部の塗布面方向の傾動角度が異なるものを示している。その結果、塗布部を傾動させて被塗布部に対して最適な角度で密着させて、簡易且つ正確に化粧料を塗布することができる。
そして図10は、塗布部の屈撓を行う屈撓部がコ字状となっているものを示している。

その結果、軸部等に付着した化粧料を屈撓部内を通じて排除して、化粧料の塗布時に被塗布近傍に対する汚損を確実に防止できる。

また図11では、塗布部における表面の塗布面では突起を設け、裏面の塗布面では平面とするものを示している。その結果、表面における塗布面では、突起間で化粧料が多量に保持するものであるので、被塗布部に対して突起による刺激を与えるとともに、広範囲又は厚く均一に化粧料を塗布することができる。一方、裏面における塗布面では、表面における塗布面によって塗布した化粧料を平滑にすることができる。
【発明の効果】
【0023】

本願発明は、軸部の先端の塗布部が、該軸部に対して所定の傾倒角度内で傾倒自在となるので、塗布部の機能性を向上させ、塗布時には被塗布部近傍から軸部が離れることによって持ち手の自由を確保して繊細な操作性を可能にし、被塗布部近傍の汚損の防止するとともに、さらに円滑な塗布部の挿脱をも可能とすることができる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】

図1図1は、本願発明の実施例1である化粧料塗布体を具える化粧料容器の拡大断面図である。
図2図2(イ)は本願発明の実施例1である化粧料塗布体を具える化粧料容器を構成するキャップの拡大部分断面図、(ロ)は本願発明の実施例1である化粧料塗布体を具える化粧料容器を構成するキャップ先端の拡大部分側断面図である。
図3図3は、本願発明の実施例1である化粧料塗布体の作動状態を示す正面図である。
図4図4(イ)は本願発明の実施例2である化粧料塗布体の横断面図及び縦断面図、(ロ)は本願発明の実施例2である化粧料塗布体の分解状態の横断面図及び縦断面図、(ハ)は本願発明の実施例2である化粧料塗布体の作動状態を示す側面図である。
図5図5は化粧料塗布体の塗布部が略三角錐状である本願発明の実施例3であり、同図(イ)は本願発明の実施例3である化粧料塗布体の正面図、その屈撓部と塗布部の横断面図、先端方向からの図、及び側面図、先端方向からの図、同図(ロ)は本願発明の実施例3である化粧料塗布体の作動状態を示す側面図である。
図6図6は化粧料塗布体の塗布部が略涙滴形状である本願発明の実施例4であり、同図(イ)は本願発明の実施例4である化粧料塗布体の正面図、その屈撓部と塗布部の横断面図、先端方向からの図、及び同図(ロ)は本願発明の実施例4である化粧料塗布体の作動状態を示す側面図である。
図7図7(イ)は塗布部と軸部の間に傾動制御部がない化粧料塗布体の正面図、側面図及び裏面図、(ロ)は塗布部の作動状態を示す側面図である。
図8図8(イ)は塗布部の表裏面に有する塗布面が各々凹面と平面からなるものの正面図、側面図、及び裏面図、(ロ)は塗布部の作動状態を示す側面図である。
図9図9(イ)は塗布部の傾動角度が異なるものの正面図、側面図、及び裏面図、(ロ)は塗布部の作動状態を示す側面図である。
図10図10(イ)は塗布部と軸とを連結する屈撓部がコ字状であるものの正面図、側面図、縦断面図及び裏面図、(ロ)は塗布部の作動状態を示す側面図である。
図11図11(イ)は塗布部の表裏面に有する塗布面が各々凸起と平面からなるものの正面図、側面図、及び裏面図、(ロ)は塗布部の作動状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】

塗布部の塗布面で保持する化粧料の増量及び多様な被塗布部への対応等の機能性の向上、繊細な操作性の確保、被塗布部周囲に対する汚損の防止、及び塗布部の円滑な挿脱を行えるように、化粧料塗布体を構成する軸部と塗布部との間に、該軸部に対して塗布部を塗布面方向に傾倒可能とする屈撓部を形成して、傾倒する塗布部と軸部とを直接、あるいは塗布部又は軸部のいずれか一方に形成する傾倒制御部を介在させて間接的に当接させるものとすることによって実現した。
【実施例1】
【0026】

図1図3において示すのは、本願発明の実施例1である口紅やリップグロス等の液体化粧料13を塗布する化粧料塗布体6を具える化粧料塗布容器1であり、該化粧料塗布容器1は、キャップ2と化粧料塗布容器本体12とからなるものである。
【0027】

そして、該キャップ2は、開口側内周面4に雌ネジ部3を螺設した上で、内部において径大部5’が固持される保持軸5を介して本願発明の実施例1である化粧料塗布体6を先端に保持するものである。
【0028】

ここで、上記保持軸5の先端に保持される実施例1の化粧料塗布体6は、軸部7と、該軸部7の先端において表裏面に平面状の塗布面9、9を有する塗布部8とから構成されるものであって、該軸部7は保持軸5先端内に内挿、保持されるものである。
【0029】

なお、本実施例1の化粧料塗布体6においては、図9において示すように、表裏面の塗布面9、9のうち、いずれか一方の塗布面9に対向するように軸部7先端に形成される斜面状の傾倒制御部11の位置や傾倒制御部11の傾斜角度を変更することにより、塗布部8の後端8’と軸部7の傾倒制御部11との当接状態が変化して軸部7を内挿、保持する保持軸に対する塗布部8の最大傾倒角度は互いに相違させることができるものである。
【0030】

一方、化粧料塗布容器本体12は、その内部において口紅やリップグロス等の液体化粧料13を貯留するものであって、その上部においては外周面に上記キャップ2の開口内周面4に螺設される雌ネジ部3と螺合する雄ネジ部15が外周面に周設する開口部14が形成されるとともに、該開口部14にはキャップ2内に固持される保持軸5や該保持軸5先端に保持される化粧料塗布体6の塗布部8に付着した余分な液体化粧料13を扱いてなるシゴキ16が装着されているものである。
【0031】

本願発明の実施例1である化粧料塗布体6を具える化粧料塗布容器1は以上の構成であるので、使用に当たっては次のようになるものである。

まず、一体であるキャップ2と化粧料塗布容器本体12において、雌ネジ部3と雄ネジ部15との螺合を解くことによって、両者2,12は自由となり、キャップ2は化粧料塗布容器本体12から離脱可能となるものである。

次に、化粧料塗布容器本体12よりキャップ2に保持軸5を介して保持される塗布部8を取り出すためにキャップ2を引張することによって、塗布部8は化粧料塗布容器本体12から取り出すことができるものである。

このとき、軸部7及び塗布部8は化粧料塗布容器本体12の開口部14内に装着されるシゴキ16を通過することになるものである。ここで、シゴキ16を通過する際には塗布部8は軸部7の軸線に沿って位置するものとなる。その結果、塗布部8のシゴキ16に対して抵抗が最も小さくなっているので、塗布部8はシゴキ16を円滑に通過して化粧料塗布容器本体12より取り出すことができるものである。

そして、化粧料塗布容器本体12より取り出した化粧料塗布体6の塗布部8は、例えば被塗布部である唇に密着させて押勢すると、軸部7と塗布部8とを一体に連結する屈撓部10は屈撓するので、塗布部8は密着した塗布面9とは反対方向に、塗布部8の平面状の後端8’と軸部7先端に形成した斜面状の傾倒制御部11とが完全に当接するまで傾倒し、更に押勢し続けることで塗布部8はそのままで抑止、保持されるものとなる。

その結果、化粧料塗布体6を保持する保持軸5は被塗布部である唇より離れるので、持ち手の自由は確保されて液体化粧料13の塗布において繊細な操作が可能になるとともに、唇近傍の汚損を防止することができるものとなる。
【0032】

また、塗布部8を化粧料塗布容器本体12内に収容する場合には、該化粧料塗布容器本体12の開口部14より塗布部8を挿入するものである。

そして、化粧料塗布容器本体12の開口部14内に挿入した塗布部8がシゴキ16と当接しても、該塗布部8は押勢されてはいないので塗布部8を傾倒させるために屈撓していた屈撓部10は弾性をもって反発し、該塗布部8は軸部7を内挿、保持する保持軸5の軸線に沿うように位置するものとなるので、シゴキ16を通過するに当たっては最も抵抗が小さくなっているものである。その結果、塗布部8はシゴキ16を容易に通過するので、化粧料塗布体6の塗布部8を円滑に化粧料塗布容器本体12内に収容することができるものとなる。
【0033】

従って、広範囲は又厚く液体化粧料13を塗布するために本願発明の実施例1である化粧料塗布体6の化粧料塗布容器本体12に対して反復して挿脱を行っても、該化粧料塗布体6の挿脱はいずれにおいても円滑に行うことができるものである。
【実施例2】
【0034】

図4において示すのは、本願発明の実施例2であるアイシャドウ等の粉状化粧料(図示せず)を塗布する化粧料塗布体6aを具える化粧料塗布具17であり、該化粧料塗布具17は、本願発明の実施例2である化粧料塗布体6aと、該化粧料塗布体6aを先端に保持してなる保持体18とからなるものである。
【0035】

ここで、上記保持体18の先端に保持される化粧料塗布体6aは、軸部7aと、該軸部7aの先端において、全体形状を略円盤状とし、その表面に対して静電植毛処理を施してなる塗布面9a、9aを表裏面に有する塗布部8aとから構成されるものであって、該軸部7aは保持体18先端内に内挿、保持されるものである。
【0036】

そして、該軸部7aと塗布部8aとの間には、該軸部7aに対して塗布部8aを両塗布面9a、9a方向に傾倒可能とするように薄板状の屈撓部10aを一体に形成するとともに、傾倒する塗布部8aの平面状の後端8a’と当接して屈撓部10aの屈撓を抑止して該塗布部8aの傾倒角度を制御する、塗布面9a、9aに対向し、先端方向に向かって同一の傾斜角を有してなる斜面状の傾倒制御部11a、11aを軸部7a先端に形成して、介在させてなるものである。
【0037】

なお、本実施例2の化粧料塗布体6aにおいても、図9において示すように、表裏面の塗布面9a、9aのうち、いずれか一方の塗布面9aに対向するように軸部7a先端に形成される斜面状の傾倒制御部11aの位置や斜面の傾斜角度を変更することにより、塗布部8aの平面状の後端8a’との当接状態が変化して軸部7aを内挿、保持する保持体18に対する塗布部8aの最大傾倒角度は互いに相違させることができるものである。
【0038】

本願発明の実施例2である化粧料塗布体6aを具える化粧料塗布具17は以上の構成であるので、使用に当たっては次のようになるものである。

まず、化粧料塗布具17の塗布部8aを、例えば被塗布部である瞼に密着させて押勢すると、軸部7aと塗布部8aとを一体に連結する屈撓部10aは屈撓するので、塗布部8aは密着した塗布面9aとは反対方向に、塗布部8aの後端8a’と軸部7a先端に形成した斜面状の傾倒制御部11aとが完全に当接するまで塗布部8aは傾倒し、更に押勢し続けることで塗布部8aはそのまま保持されるものとなる。

その結果、化粧料塗布体6aを保持する保持体18は被塗布部である瞼より離れるので、持ち手の自由が確保されて粉状化粧料の塗布において繊細な操作が可能になるとともに、瞼近傍の汚損を防止することができるものである。
【0039】

また、化粧料塗布具17を収容する場合には、塗布部8aに対する押勢を止めることで、塗布部8aを傾倒させるために屈撓していた屈撓部10aは弾性をもって反発し、塗布部8aは軸部7aを内挿、保持する保持体18の軸線に沿って位置するようになるので、簡易かつ確実に収容することができるものである。
【実施例3】
【0040】

図5において示すのは、本願発明の実施例3である口紅やリップグロス等の液体化粧料(図示せず)を塗布する化粧料塗布体6bである。
【0041】

ここで、上記化粧料塗布体6bは、保持軸5先端に内挿、保持される軸部7bと、全体形状が略三角錐形状であって、その三側面を塗布面9b、9b、9bとする塗布部8bとから構成されるものである。
【0042】

そして、該軸部と塗布部8bとの間には、該軸部に対して塗布部8bを各塗布面9b、9b、9b方向に傾倒可能とするように三角柱形状の屈撓部10bを一体に形成するとともに、傾倒する塗布部8bの平面状の後端8b’と当接して屈撓部10bの屈撓を抑止して該塗布部8bの傾倒角度を制御する、各塗布面方向において先端に向かって傾斜し、各塗布面9b、9b、9bに対応する斜面状の傾倒制御部11b、11b、11bを軸部7b先端に形成して、介在させてなるものである。
【0043】

なお、本実施例3の化粧料塗布体6bにおいても、図9において示すように、塗布面9bにおける軸部7b先端に形成される斜面状の各傾倒制御部11b、11b、11bの位置や傾斜角度を変更することによって、塗布部8bの平面状の後端8b’との当接状態が変化して軸部7bに対する塗布部8bの最大傾倒角度は各々相違するものとすることができる。
【0044】

本願発明の実施例3である化粧料塗布体6bは以上の構成であるので、使用に当たっては次のようになるものである。

まず、化粧料塗布体6bの塗布部8bを、例えば被塗布部である唇に密着させて押勢すると、軸部7bを内挿、保持する保持軸5と塗布部8bとを一体に連結する屈撓部10bは屈撓するので、塗布部8bは密着した塗布面9bとは反対方向に、塗布部8bの後端8b’と軸部7b先端に突出して形成する傾倒制御部11bとが完全に当接するまで塗布部8bは傾倒し、更に押勢し続けることで塗布部8bはそのまま抑止し、保持されるものとなる。

その結果、化粧料塗布体6bの軸部は被塗布部である唇より離れるので、持ち手の自由が確保されて液体化粧料の塗布において繊細な操作が可能になるとともに、唇近傍の汚損を防止することができるものである。
【0045】

また、化粧料塗布体6bを収容する場合には、塗布部8bに対する押勢を止めることで、塗布部8bを傾倒させるために屈撓していた屈撓部10bは弾性をもって反発し、塗布部8bは軸部7bを内挿、保持する保持軸5の軸線に沿って位置するようになるので、簡易かつ確実に収容することができるものである。
【実施例4】
【0046】

図6において示すのは、本願発明の実施例4であるアイシャドウ等の粉状化粧料(図示せず)を塗布する化粧料塗布体6cである。
【0047】

ここで、上記化粧料塗布体6cは、保持軸5に内挿、保持される軸部7cと、全体形状が略涙滴形状であって、その全表面を塗布面9cとする塗布部8cとから構成されるものである。
【0048】

そして、該軸部と塗布部8cとの間には、該軸部7cを内挿、保持する保持軸5に対して塗布部8cを塗布面9c全方向に傾倒可能とするように略円柱形状の屈撓部10cを一体に形成するとともに、傾倒する塗布部8cの平面状の後端8c’と当接して屈撓部10cの屈撓を抑止して該塗布部8cの傾倒角度を制御する、先端方向に向かって突出する略円錐台形状である傾倒制御部11cを軸部先端に形成して、介在させてなるものである。
【0049】

なお、本実施例4の化粧料塗布体6cにおいても、軸部7c先端に形成される先端に向かって突出する円錐台形状であって、その全側周面の斜面状である傾倒制御部11cの一部斜面の角度を変更することにより、塗布部8cの平面状の後端8c’との当接状態が変化して軸部7cを内挿、保持する保持軸5に対する塗布部8cの最大傾倒角度はその他の部分と相違するものとすることができる。
【0050】

本願発明の実施例4である化粧料塗布体6cは以上の構成であるので、使用に当たっては次のようになるものである。

まず、化粧料塗布体6cの塗布部8cを、例えば被塗布部である瞼に密着させて押勢すると、軸部7cと塗布部8cとを一体に連結する屈撓部10cは屈撓するので、塗布部8cは押勢方向とは反対方向に、塗布部8cの後端8c’と軸部7c先端に形成した傾倒制御部11cとが完全に当接するまで塗布部8cは傾倒し、更に押勢し続けることで塗布部8cはそのまま抑止し、保持されるものとなる。

その結果、化粧料塗布体6cの軸部7cは被塗布部である瞼より離れるので、持ち手の自由が確保されて粉状化粧料の塗布において繊細な操作が可能になるとともに、瞼近傍の汚損を防止することができるものである。
【0051】

また、化粧料塗布体6cを収容する場合には、塗布部8cに対する押勢を止めることで、塗布部8cを傾倒させるために屈撓していた屈撓部10cは弾性をもって反発し、塗布部8cは軸部7cを内挿、保持する保持軸5の軸線に沿って位置するようになるので、簡易かつ確実に収容することができるものである。
【符号の説明】
【0052】

1 化粧料塗布容器

2 キャップ

3 雌ネジ部

4 開口側内周面

5 保持軸

5’ 径大部

6、6a、6b、6c 化粧料塗布体

7、7a、7b、7c 軸部

8、8a、8b、8c 塗布部

8’、8a’、8b’、8c’ 後端

9、9a、9b、9c 塗布面

10、10a、10b、10c 屈撓部

11、11a、11b、11c 傾倒制御部

12 化粧料塗布容器本体

13 液体化粧料

14 開口部

15 雄ネジ部

16 シゴキ

17 化粧料塗布具

18 保持体
図1
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