【実施例1】
【0035】
図1乃至
図3を参照しながら本発明の実施例1を説明する。最初に、
図1を参照しながら、本発明の実施例1に係る、横型締め/水平射出の横型ダイカストマシンのプランジャチップの基本構成について説明する。
【0036】
図1(a)は、チップジョイント20を介して、プランジャロッド30の前端面30aに取り付けられたプランジャチップ10の、長手方向の概略断面図である。
図1(b)は
図1(a)のA矢視断面図であり、
図1(c)は
図1(a)のB矢視断面図である。プランジャチップ10は、図示しないプランジャスリーブ内で直接溶湯と接する前端面11aを含む前端部材11と、図示しないプランジャスリーブ内周面と対向する外周面12aを含む外周部材12と、チップジョイント20の前方突出部21が挿入される中空部13aが形成され、前端部材11と外周部材12とに少なくとも一部が内包される、中空円筒形状の本体部材13と、を有している。これら前端部材11、外周部材12及び本体部材13は、後述するような所望する形状の機械加工の後、一体となるように溶接され、最終的に外面(外周面)が、所望する寸法、寸法精度及び表面仕上げになるように機械加工され、必要に応じて熱処理が行われる。
【0037】
前端部材11と本体部材13との間には、チップジョイント20の前方突出部21の挿入により、本体部材13の中空部13aが閉口され、第1空間14が形成される(中空部13aの前方)。そして、外周部材12と本体部材13との間には、本体部材13の外周面に加工される連続する螺旋状溝により、第2空間15が形成される。これら第1空間14及び第2空間15は、プランジャチップ10を冷却するための冷却媒体流路の一部である。冷却媒体流路については、他の基本構成を説明した後に説明する。
【0038】
第1空間14の後方で、本体部材13の中空部13aの中央近傍の内周面には、
図1(c)に示すように、全周に連続する環状溝が加工され、チップジョイント20の前方突出部21の挿入により閉口され、排出空間16が形成される。この排出空間16も冷却媒体流路の一部である。一方、本体部材13の中空部13aの後端側内周面には、チップジョイント20の前方突出部21の基部に加工された雄ねじ部21aに合わせた雌ねじ部13bが加工されている。チップジョイント20の前方突出部21をプランジャチップ10に挿入して、チップジョイント20のフランジ部22に、プランジャチップ10の後端面(本体部材13の後端面13c)が密着するまでねじ込むと、
図1(b)に示すように、チップジョイント20の前方突出部21の前端面21bが、前端部材11の裏面(冷却面11b)の、半径方向に放射状に加工された複数の溝11cが無い部分(接触領域11d)に、適切な圧力で接触するように設計される。
【0039】
一方、チップジョイント20にも長手方向に連続する中空部20aが形成されている。中空部20aの前方部分と他部分では、内周の内径が異なっており、前方部分の内径は、挿入される水管40の外径と略同じであり、同前方部分の内周面に加工された溝部に配置されたO(オー)リング等の水管シール部材40aにより、同前方部分の内周面及び挿入される水管40の外周面間が冷却媒体に対してシールされる。一方、チップジョイント20の中空部20aの他部分の内径は、水管40の外径よりも大きく、他部分の内周面及び挿入される水管40の外周面間に、チップジョイント20の後端面20bまで連続する空間が形成される。前者の水管40を、第1空間14に冷却媒体を供給する第1供給流路51、後者の、中空部20aの他部分の内周面及び水管40の外周面間に形成される空間を、冷却媒体を、プランジャチップ10の外部へと排出する第1排出流路52とする。
【0040】
チップジョイント20の後方突出部23には、前方突出部21の基部の雄ねじ部21aと同様の雄ねじ部23aが加工されている。これに合わせて、プランジャロッド30の長手方向に形成される中空部30bの前方の一部内周面には雌ねじ部30cが加工されている。チップジョイント20の後方突出部23の雄ねじ部23aを、プランジャロッド30の前端面30aの雌ねじ部30cに、チップジョイント20のフランジ部22に、プランジャロッド30の前端面30aが密着するまでねじ込むと、プランジャチップ10、チップジョイント20及びプランジャロッド30が一体化される。そして、チップジョイント20の前方突出部21及び後方突出部23の最基部には、長手方向に短い直胴部が形成され、同直胴部の外周面に溝部が加工され、同溝部に配置される、Oリング等のシール部材24と、同直胴部に対向するそれぞれの中空部内周面で形成されるインロー構造により、プランジャチップ10及びプランジャロッド30からの冷却媒体がシールされる。
【0041】
尚、プランジャロッド30の中空部30bは、その全長に亘って連続するものではない。同中空部30bは、射出工程におけるプランジャチップ10の前進限位置において、図示しないプランジャスリーブ等と干渉することがない、図示しない任意の箇所において、プランジャロッド30の外周面に設けられる配管接続口(排出口)と貫通される。また、同様に、水管40の後端も、図示しない任意の箇所において、プランジャロッド30の外周面に設けられる配管接続口(供給口)と貫通・接続される。プランジャロッド30の外周面に設けられる、これら配管接続口(供給/排出)と、図示しない冷却媒体用の温度調整装置や、ダイカストマシン設置位置近傍の冷却媒体の供給/排出配管とを、機外において配管接続させ、プランジャチップ10の冷却が行われるが、これら配管の説明は割愛する。
【0042】
次に、これまで説明した、プランジャチップ10他の基本構成に基づき、第1空間14、第2空間15及び排出空間16を含む冷却媒体流路を説明する。図示しない冷却媒体供給源から、プランジャロッド30の図示しない配管接続口(供給)を介して水管40に所定流量及び所定圧力で供給された冷却媒体は、水管40内を流動し、チップジョイント20の前方突出部21の中空部20aの前方部分を経由して、プランジャチップ10の前端部材11の冷却面11bに衝突する。衝突した冷却媒体は、
図1(b)に示す、前端部材11の冷却面11bの半径方向に、放射状に形成される複数の溝11cを流動しながら、前端部材11の冷却面11bを冷却する。そして、この冷却媒体により、第1空間14が満たされる。
【0043】
ここで、第1空間14の一部を形成する本体部材13に、前端部材11や外周部材12より熱伝導率が高い材料が使用されれば、外周部材12の熱が、外周部材12と連続する部分から本体部材13に伝達され、更に、第1空間14を満たす冷却媒体へと伝達される。先に、第1空間14は、プランジャチップ10の前端面(前端部材11の前端面11a)をその主要冷却対象とする冷却媒体流路の一部となると説明したが、第1空間14の容積や形状、更には、第2空間15との位置関係によって、このように、プランジャチップ10の外周面(外周部材12の外周面12a)の冷却にも寄与させることができる。逆に、第2空間15をプランジャチップ10の前端面の冷却に寄与させることも可能である。
【0044】
そして、第1空間14と第2空間15との間には、第1連絡流路53が形成されている。第1連絡流路53は、プランジャチップ10の製作過程において、本体部材11の外周面から自由に加工できるので、所望する冷却媒体の供給流量や冷却能力、あるいは、冷却媒体の流動制御等に応じて、1箇所から複数個所に適宜形成させれば良い。第1空間14を満たした冷却媒体は、そのまま第1連絡流路53から、連続する螺旋状流路として形成される第2空間15を流動し、その間、外周部材12及び本体部材13からの熱エネルギーを回収する。このように、第2空間15が連続する流路として形成される場合は、第1連絡流路53をプランジャチップ10の前端面側に形成させ、冷却媒体を外周部材12の後方へ流動させることが好ましい。
【0045】
第2空間15を流動した冷却媒体は、多くの熱エネルギーを回収して温度が上昇するため、可能な限り効率良く、プランジャチップ10の外部へと排出させることが好ましい。このような冷却媒体は、第2空間15の流路末端部と、第1空間14の後方の排出空間16との間に形成される第2連絡流路54により、排出空間16へと排出される。この第2連絡流路54も、プランジャチップ10の製作過程において、本体部材13の外周面から自由に加工できるので、1箇所から複数個所に適宜形成させれば良い。
【0046】
排出空間16は、チップジョイント20の前方突出部21の挿入により、全周に連続する環状空間を形成している。そのため、排出空間16に対して、長手方向に前後するように、前方突出部21の外周面に溝部が加工され、同溝部に配置される、Oリング等の排出シール部材16aにより、排出空間16内の冷却媒体をシールさせる。また、排出空間16の内周面を形成する前方突出部21の外周面には、
図1(c)に示すように、チップジョイント20の中間部20aに貫通する第3連絡流路55が形成されている。排出空間16の冷却媒体は、第3連絡流路55を経由して、チップジョイント20の中空部20aの他部分の内周面及び水管40の外周面間に形成される第1排出流路52から、プランジャチップ10の外部へと排出される。
【0047】
第2連絡流路54から、排出空間16及び第3連絡流路55を経由して第1排出流路52に至る冷却媒体の冷却媒体流路(排出流路)は、冷却媒体の供給量を若干上回る程度の流量を確保するように設計されることが好ましい。更に、必要に応じて、第2連絡流路54や第3連絡流路55を、
図1(c)に示す第3連絡流路55のように、チップジョイント20の中心線に向かって形成させず、同図中に点線で示すように、半径方向と所定角度を有するように形成させ、排出空間16内の冷却媒体を、意図的に円周方向の渦流になるよう流動させ、冷却媒体の排出効率を向上させることが好ましい。このように、冷却媒体の排出効率を向上させることにより、冷却媒体の流入(供給)抵抗を減少させ、冷却媒体の供給効率を向上させる。その結果、プランジャチップ10の冷却効率の向上が可能になる。
【0048】
一方、第1空間14及び第2空間15は、様々な形状や配置で形成させることが可能である。一例として、
図2に、本実施例1の別の形態に係るプランジャチップの概略断面図を示す。同じ構成部材については、
図1と同じ符号を付すものとし、
図1と同様に、
図2(a)が、プランジャチップ10の長手方向の概略断面図であり、
図2(b)が
図2(a)のA矢視断面図、
図2(c)が
図2(a)のB矢視断面図である。
【0049】
図1との相違点は、まず、プランジャチップ10の前端部材11の冷却面11bに加工された複数の溝11cである。前端部材11の前端面11a側への加工量を増加させ、溝11cを深く加工することで、1つの溝あたりの冷却媒体との接触面積をより多く確保している。同時に、
図2(b)に示すように、溝11cを半径方向と所定角度を有するように形成させ、前端部材11の熱エネルギーを回収した冷却媒体を、第1空間14内において、意図的に円周方向の渦流になるよう流動させる。また、このような溝11cの加工に合わせて、
図2(c)に示すように、チップジョイント20の前方突出部21の前端面21bにも同様の溝を加工することにより、冷却媒体の流動に直交する溝11cの断面積を更に増加させて、前端部材11の冷却面11bに衝突させる冷却媒体の流量を増加させ、前端部材11の冷却効率を向上させることができる。
【0050】
次に、第1空間14の体積を少なくし、第1空間14を満たした冷却媒体を、直ちに第1連絡流路53から、連続する環状空間として形成される第2空間15へ流動させる点である。第2空間15は、
図1のような連続する螺旋空間による冷却媒体の流動制御よりも、冷却媒体との接触面積を増加させるため形成された、外周部材12の内周面の凹凸形状と合わせて、冷却媒体の流動量(容積)の増加を重視した形状を採用しており、このような形状によっても、外周部材12の冷却効率を向上させることができる。尚、第2空間15を満たした冷却媒体が、第2連絡流路54により、排出空間16へと排出され、第3連絡流路55を経由して、第1排出流路52からプランジャチップ10の外部へと排出される点は同じため、排出流路の説明は省略する。
【0051】
これまで説明したように、本発明に係る、ダイカストマシンのプランジャチップは、その前端面及び外周面の冷却効率が従来のプランジャチップに対して高い。すなわち、従来のプランジャチップに対して、制御した冷却媒体の流量変動や温度変動に対する、これら箇所の温度制御の応答性が高い。よって、本実施例1や、本実施例1の別の形態において、プランジャチップ10の前端面(前端部材11の前端面11a)の近傍や、外周面(外周部材12の外周面12a)の近傍の温度を検出する温度検出手段を備えることによって、これら部位の温度制御牲を、従来のプランジャチップに対して向上させることができる。このような温度計測手段の配置については、図を見易くするため、
図1や
図2において図示を省略していた。よって、本発明に係る、ダイカストマシンのプランジャチップにおける、このような温度計測手段の配置について、
図3を参照しながら説明する。
【0052】
図3は、
図1で図示を省略した温度検出手段他の配置の一例を示す概略断面図であり、同じ構成部材については、
図1と同じ符号を付すものとする。
図1(a)と同様に、
図3(a)は、チップジョイント20を介して、プランジャロッド30の前端面30aに取り付けられたプランジャチップ10の長手方向の概略断面図であり、温度検出手段の配置を説明するために、
図1より少し後方まで図示している。
図3(b)は
図3(a)のA矢視断面図であり、
図3(c)は
図3(a)のB矢視断面図である。
図3(d)は、
図3(a)とは異なる形態の温度計測手段の配置を示す部分断面図であり、
図3(e)は
図3(d)のC矢視断面図である。
【0053】
温度計測手段60はシース型熱電対である。シース型熱電対は、熱電対素線を内包するシース(金属製極細管)とアダプタ(リード線引出部)とからなる温度計測センサである。熱電対素線がシースで保護されているため、絶縁性と耐圧性を有し、腐食性雰囲気、屈曲の多い箇所、振動の激しい箇所等の過酷な環境の温度計測に使用される。よって、プランジャチップの温度計測に好適な温度計測手段の1つである。
【0054】
図3(a)に示すように、プランジャチップ10の前端面近傍まで、温度計測手段60のシース部61を挿入するため、プランジャチップ10の前端部材11の内部まで到達し、本体部材13を長手方向に貫通する第1シース用穴60aが加工されている。また、プランジャチップ10、チップジョイント20及びプランジャロッド30が一体化された状態において、第1シース用穴60aに連続する、第2シース用穴60b及び第3シース用穴60cが、チップジョイント20のフランジ部22及びプランジャロッド30にそれぞれ加工されている。プランジャチップ10、チップジョイント20及びプランジャロッド30は、ねじ込みにより一体化されるため、プランジャチップ10の交換時のねじ込みトルクの若干の相違による、これらシース用穴の不連続を防止するため、少なくとも、チップジョイント20のフランジ部22を貫通する第2シース用穴60bは、他のシース用穴よりも外径を大きくするか、
図3(b)に示すように、円周に沿う長穴に加工されることが好ましい。尚、図を見易くするため、第1シース用穴60a、第2シース用穴60b及び第3シース用穴60c内に挿入されたシース部61は図示していない。
【0055】
プランジャロッド30の第3シース用穴60cの後端は、射出工程におけるプランジャチップ10の前進限位置において、図示しないプランジャスリーブ等と干渉することがない任意の位置において、プランジャロッド30の外周面に直交するように形成され、同外周面には、コンプレッションフィッティング62を固定するためのねじ穴加工等がなされる。コンプレッションフィッティング62は、温度計測手段60のシース部61を温度計測対象に対して固定するためものである。一般的に、シース型熱電対のシースは、外径が0.25mmのものからラインナップされ、その外径の3倍程度の半径に曲げても機能を損なうことがない。そのため、このように一部に直角部を有する穴であっても、シース部61を所望の位置まで挿入させることができる。
【0056】
一方、
図3(d)及び
図3(e)に示すように、プランジャロッド30の外周面に長手方向の溝を加工し、この溝の前方端面に、コンプレッションフィッティング62を固定するためのねじ穴加工等がなされる形態も可能である。また、図示はしていないが、シース型熱電対には、温度測定対象に、シース先端を、所定の押し付け力を付与させた状態で押し付ける、スプリング等の弾性体付の取付部材もラインナップされるため、必要に応じて採用されれば良い。
【0057】
ここで、
図3(c)は、水管40をプランジャロッド30の中空部30bの長手方向中心に配置させる水管位置保持スペーサ41を説明するための断面図である。水管位置保持スペーサ41は、水管40の長さに応じて、1個から複数個を配置させれば良く、第1排出流路52の冷却媒体は、
図3(c)に示す開口部を通って排出される。
図1及び
図2においては、プランジャチップ10近傍の図示を重視したため、水管位置保持スペーサ41は図示しておらず、水管40の保持については、チップジョイント20の中空部20aの前方部分での保持しか説明していなかった。よって、温度計測手段60とは直接関係はないが、チップジョイント20の更に後方の、プランジャロッド30の中空部30bが図示されている
図3(c)に図示して、水管位置保持スペーサ41を説明するものである。
【0058】
尚、
図3においては、プランジャチップ10の前端面近傍の温度を測定する、シース型熱電対である温度計測手段60の配置を前提に説明したが、本体部材13の第1シース用穴60aの前端を前端部材11の内部にまで到達させず、外周部材12の外周面12aの近傍の任意の位置までとすれば、シース部61の前端が位置する、外周部材12の外周面12aの近傍の温度を計測することができる。よって、プランジャチップ10において、温度測定を所望する箇所が複数個所の場合、第1空間14、第2空間15及び排出空間16と干渉しないように、前端位置が異なるシース用穴を複数個所加工して、温度計測手段60を複数個配置させることにより、所望する複数箇所の温度を計測することができる。このような形態については、これまでの説明及び
図3から容易に推測できるため、詳細な説明は割愛する。
【実施例2】
【0059】
次に、
図4及び
図5を参照しながら、本発明の実施例2を説明する。
図4は、本発明の実施例2に係るダイカストマシンのプランジャチップの概略断面図である。
図5は、本発明の実施例2の別の形態に係るダイカストマシンのプランジャチップの概略断面図である。実施例2のプランジャチップが、実施例1のプランジャチップと異なる点は、冷却媒体流路の構成であって、第2空間に冷却媒体を供給する第2供給流路と、第2空間から冷却媒体を排出させる第2排出流路とを有する点である。この相違点により、第1供給流路及び第1排出流路が、第1空間専用の冷却媒体の供給・排出流路となる。それ以外の構成については、基本的に実施例1のプランジャチップと同じため、同じ構成部材については、形状他が相違しても同じ符号を付し、実施例1との相違点のみ説明する。
【0060】
図1と同様に、
図4(a)が、プランジャチップ10の長手方向の概略断面図である。
図4(b)が
図4(a)のA矢視断面図、
図4(c)が
図4(a)のB矢視断面図である。また、
図4(
d)は、
図4(a)のP部の別の形態を示す詳細図である。
図4(a)に示すように、外周部材12と本体部材13との間に形成される、連続する螺旋空間(流路)である第2空間15は、第1空間14と連通されておらず、第2空間15の流路前方に連通する第2供給流路71aが、本体部材13の後端面13cまで貫通するように形成されている。同様に、第2空間15の流路後方に連通する第2排出流路72aが、本体部材13の後端面13cまで貫通するように形成されている。
【0061】
これら第2供給流路71a及び第2排出流路72aの本体部材13の後端面13cの開口は、
図4(b)に示すように略同芯円円周上に配置される。また、これら開口を囲むように、同じく後端面13c上に同芯円上に溝部が加工され、同溝部に、Oリング等のフランジ部シール部材22aが配置される。一方、本体部材13の後端面13cに対向する、チップジョイント20のフランジ部22の一方のフランジ部面には、
図4(c)に示すように、第2供給流路71a及び第2排出流路72bの開口と同芯円円周上に、半円周ずつに分割された凹部22bが加工されている。この凹部22bのそれぞれに、第2供給流路71aに対応する第2供給流路71bと、第2排出流路72aに対応する第2排出流路72bとが、対向するフランジ面まで貫通するように形成されている。
【0062】
また、同様の構成が、チップジョイント20の第2供給流路71bと、この流路に対応する、プランジャロッド30の前端面30aに開口する第2供給流路71cとの間、そして、チップジョイント20の第2排出流路72bと、この流路に対応する、プランジャロッド30の前端面30aに開口する第2排出流路72cとの間にも形成される。チップジョイント20のフランジ部22の他方のフランジ面にも、半円周ずつに分割された凹部22bが加工され、対向する、プランジャロッド30の前端面30a上に同芯円状に溝部が加工され、同溝部に、Oリング等のフランジ部シール部材22aが配置されることは言うまでもない。
【0063】
このような構成により、プランジャチップ10、チップジョイント20及びプランジャロッド30は、ねじ込みにより一体化される形態であっても、チップジョイント20のフランジ部22の両フランジ面に加工される凹部22bを介して、連続する第2供給流路71及び第2排出流路72を形成させることができる。また、各構成部材の流路を直接連続させる必要がないため、ねじ込み時のねじ込み量の相違による若干の位置ずれは問題にならず、それぞれの流路が凹部を介して連続すれば良いため、半円周状の凹部22b内であれば、それぞれの供給・排出流路の配置、流路径、流路数は適宜選択可能である。
【0064】
一方、水管40内を流動する冷却媒体は、チップジョイント20の前方突出部21の中空部20aの前方部分を経由して、プランジャチップ10の前端部材11の冷却面11bに衝突する。そして、この冷却媒体により、第1空間14を満たした冷却媒体は、第1空間14及び排出空間16間に形成される第4連絡流路56により、排出空間16へと排出される。この第4連絡流路56も、プランジャチップ10の製作過程において、本体部材13の中空部13aの開口面から自由に加工できるので、1箇所から複数個所に適宜形成させれば良い。尚、排出空間16を満たした冷却媒体が、第3連絡流路55を経由して、第1排出流路52からプランジャチップ10の外部へと排出される点は同じため、これら排出流路の説明は省略する。
【0065】
このように、第1空間14及び第2空間15へと冷却媒体を供給させる供給流路を、それぞれ独立(第1供給流路51及び第2供給流路71)させた冷却媒体流路は、第1空間14(前端部材11)の冷却により温度が上昇していない、より低い温度の冷却媒体を第2空間15(外周部材12)へと直接供給させることができ、プランジャチップ10全体の冷却効率を向上させることができる。更に、それぞれの空間から、温度が上昇した冷却媒体を排出させる排出流路も、それぞれ独立(第1排出流路52及び第2排出流路72)させた冷却媒体流路は、それぞれの空間において温度が上昇した冷却媒体の排出効率を向上させることができる。その結果、それぞれの空間への冷却媒体の供給効率を向上させることができるため、プランジャチップ10全体の冷却効率を更に向上させることができる。
【0066】
一方、チップジョイント20の中空部20aや、プランジャロッド30の中空部30bに形成される第1排出流路52の排出流量が十分に確保でき、第2空間15から、冷却媒体を排出させる排出流路を独立させる必要がない場合も考えられる。そのような場合は、本発明の実施例2において、第2空間15からの冷却媒体の排出流路をプランジャチップ10内のいずれかの箇所で、第1排出流路52に合流させれば良い。
【0067】
具体的には、
図4(d)に示すように、
図4(a)のP部において、プランジャチップ10の外周面から、第2排出流路72a及び排出空間16を貫通する開口部を形成させ、第2排出流路72a及び排出空間16間の開口部を、六角穴付プラグ等の第1プラグ72dで任意にシール可能な構造とする。そして、プランジャチップ10の外周面から、この第1プラグ72dのシール施工が可能で、且つ、第2排出流路72a及びプランジャチップ10の外周面間のこの開口部を、同じく、六角穴付プラグ等の第2プラグ72eで任意にシール可能な構造とする。
【0068】
上記の構造において、第1プラグ72d及び第2プラグ72eの両方を施工した状態で本実施例2を実施すれば、先に説明した通り、第1空間14及び第2空間15へと冷却媒体を供給させる供給流路を、それぞれ独立させた冷却媒体流路が形成される。一方、
図4(
d)において、内部の第1プラグ72dを施工しない状態で実施すれば、それぞれの空間から、冷却媒体を排出させる排出流路は第1排出流路52のみになる。この際、図示はしていないが、チップジョイント20のフランジ部22の第2排出流路72bが形成(加工)されていないチップジョイントを使用することは言うまでもない。本体部材13の第2排出流路72aの後端面13c側の開口は、
図4(c)に示す凹部22(第2排出流路72bの加工無し)内で、フランジ部シール部材22aによりシールされる。また、この場合は、プランジャロッド30の第2排出流路72cも形成(加工)の必要はない。
【0069】
更に、第2排出流路72bの有無により、2種類のチップジョイント20の使い分けを回避したい場合は、図示はしていないが、チップジョイント20の第2排出流路72b自体を六角穴付プラグ等でシール可能な構造を採用する、あるいは、プランジャロッド30の中空部30b及び第2排出流路72c間において、
図4(d)に示す構造を採用しても良い。
【0070】
また、本実施例2において、第2供給流路71及び第2排出流路72は、長手方向の穴加工だけでなく、様々な形状や配置で形成させることが可能である。一例として、
図5に、本発明の実施例2の別の形態に係るダイカストマシンのプランジャチップの概略断面図を示す。
図5(a)が、プランジャロッド30の、冷却媒体の供給・排出流路の別の形態を示す、長手方向の概略断面図であり、
図5(b)が
図5(a)のA矢視断面図である。
【0071】
プランジャロッド30の外周面に、前端部分を若干残して溝部73を加工する。この溝加工部の前方端面に銅管等の外部配管74を差し込み、ロウ付けやねじ込み等で接続する。この外部配管74を接続した開口の他端の開口を、チップジョイント20のフランジ部22のフランジ面の凹部22bに合わせれば、少なくとも、プランジャロッド30の長手方向に、中空部30bとは別の穴加工を行う必要はなく、射出工程におけるプランジャチップ10の前進限位置において、図示しないプランジャスリーブ等と干渉することがない、図示しない任意の箇所において、適宜必要な管路と接続させれば、第2供給流路71及び第2排出流路72を容易に形成させることができる。
【0072】
ここで、
図5においては、プランジャロッド30の外周面に、前端部分を若干残して溝部73を加工し、外部配管74を完全に内蔵させる形態としたが、チップジョイント20のフランジ部22及びプランジャロッド30の外周面に連続する溝部73を加工し、プランジャチップ10の後端面(本体部材13の後端面13c)の、第2供給流路71及び第2排出流路72の開口に直接、外部配管74を接続する形態であっても良い。また、チップジョイント20のフランジ部22のフランジ面の凹部22bに、プランジャロッド30の外周面から外部配管74を接続する流路を、軸芯に向かって斜めに加工し、その流路に外部配管74を接続し、プランジャロッド30の外周面に外部配管を固定する形態であっても良い。この場合、外部配管74は、プランジャロッド30の外周面の溝部73を浅く加工し、半埋め込み状態で固定しても良いし、図示しないプランジャスリーブとの干渉が無ければ、プランジャロッド30の外周面に、外部配管74を直接金属製バンド等で固定しても良い。
【0073】
本実施例2においても、実施例1の
図3及び同図を参照した説明のように、所望する箇所にシース用穴を施工して、温度計測手段60を配置させることにより、所望する箇所の温度を計測することができる。特に、本実施例2のように、プランジャチップ10の前端面(前端部材11の前端面11a)及び外周面(外周部材12の外周面12a)のそれぞれの部位を独立して冷却可能な形態においては、それぞれの箇所に複数の温度計測手段60を配置させることにより、必要に応じたプランジャチップの部位別の温度制御を行うことができ、射出速度の制御牲を向上させ、鋳造品質を向上させることができる。このような温度計測手段60の配置については、これまでの説明及び
図3から容易に推測できるため、詳細な説明は割愛する。
【0074】
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく色々な方法で実施できる。実施例1及び実施例2において、第1空間及び第2空間を、プランジャチップの長手方向に対称な形状としたが、横型締め/水平射出の横型ダイカストマシンの射出装置のように、特に、給湯工程において、プランジャチップの前端面の下方のみが溶湯と接して加熱される形態においては、下方の冷却効率を向上させるように、第1空間及び第2空間を、プランジャチップの長手方向に非対称な形状としても良い。また、実施例1及び実施例2において、温度計測手段としてシース型熱電対を使用したが、プランジャチップの前端面や外周面近傍に配置して任意の箇所の温度計測が可能であれば、シース型熱電対に限定するものではない。
【0075】
更に、実施例1及び実施例2において、横型締め/水平射出の横型ダイカストマシンの射出装置を前提に説明したが、先に説明した課題は、射出方向が竪射出の場合でも解決すべき課題である。特に、給湯工程完了後、プランジャスリーブ内での溶湯保持状態において、プランジャチップの前端面が溶湯保持部分の底面となる竪射出を採用するスクイズマシン等においては、溶湯の自重による摺動隙間への侵入(差し込み)だけでなく、一般的に、横型ダイカストマシンの射出装置以上に高い射出圧力により生じるメタル圧による摺動隙間への侵入(差し込み)をも防止する必要があり、プランジャチップの冷却は重要である。本発明に係る、ダイカストマシンのプランジャチップ及びプランジャチップの冷却方法は、このような竪射出の射出装置のプランジャチップへの採用も有効であることは言うまでもない。