【実施例1】
【0020】
以下、本発明の実施例1について
図1〜
図8に基づいて説明する。
本発明の車両Vには、停止維持装置1が搭載されている。
図1,
図2に示すように、停止維持装置1は、アイドルストップ装置2と、フットブレーキ装置3(フットブレーキ機構)と、DSC(Dynamic Stability Control System)装置4(制動力制御機構)と、EPB(Electric Parking Brake)装置5(電動パーキングブレーキ機構)と、ECU(Electronic Control Unit)6(制御手段)等を備えている。
【0021】
まず、アイドルストップ装置2について説明する。
アイドルストップ装置2は、エンジン7の駆動力(駆動トルク)が駆動輪に伝達可能な状態で車両Vの運転状態に応じてエンジン7を自動停止・自動再始動可能に構成されている。
図2に示すように、アイドルストップ装置2は、Eng制御部6aと、エンジン7等によって構成されている。
【0022】
図1に示すように、エンジン7は、トルクコンバータ(図示略)を介してクラッチ(図示略)の締結により自動変速機8に駆動力を伝達している。
このエンジン7は、Eng制御部6aからエンジン停止実行指令を受信したとき、燃料噴射を停止し、エンジン再始動実行指令を受信したとき、再始動動作を実行する。
自動変速機8は、各センサからの入力信号を受けて、エンジン7から入力された駆動力を走行状態及び乗員が選択したシフトレンジに応じて所定のトルク及び回転数に変換し、ギアトレイン及び差動装置(何れも図示略)を介して駆動輪に伝達している。
【0023】
Eng制御部6aは、各センサからの入力信号を受けて、エンジン停止条件(ブレーキペダル9の踏込操作が所定時間以上継続)が成立したと判定された場合、エンジン7を自動停止(アイドルストップ)させ、エンジン7の自動停止後にエンジン再始動条件(アクセルペダル10の踏込操作実行)が成立したと判定された場合、エンジン7を再始動させる実行信号を出力可能に形成されている。
【0024】
次に、フットブレーキ装置3について説明する。
図1に示すように、フットブレーキ装置3は、ブレーキペダル9の踏込操作に応じて加圧されたブレーキ液(以下、ブレーキ液圧という)を前後2対の液圧ブレーキ機構11に供給して前後2対の車輪12を制動可能に構成されている。
フットブレーキ装置3は、ブレーキペダル9と、マスタシリンダ13と、ブースタ14と、液圧ブレーキ機構11等を備えている。
ブースタ14は、ブレーキペダル9に連動して軸方向に移動可能な可動壁(図示略)を有し、この可動壁によって区画された負圧室と大気室との差圧を利用してブレーキペダル9の踏込み力を倍力している。車輪12に夫々設けられた液圧ブレーキ機構11は、管路(図示略)によってマスタシリンダ13に接続され、乗員によるブレーキペダル9の踏込操作に応じて各車輪12に制動力を付与している。
【0025】
図1に示すように、各液圧ブレーキ機構11は、車輪12に一体回転可能に設けられたロータディスク15と、このロータディスク15に制動力を付与可能なキャリパ16等を備えている。キャリパ16は、ロータディスク15に鞍状に跨って配設されたキャリパ本体と、このキャリパ本体の内部にてロータディスク15を挟んでその両側に配設されたアウタ側ブレーキパッドとインナ側ブレーキパッドとを備えている。
【0026】
次に、DSC装置4について説明する。
DSC装置4は、ブレーキペダル9の踏込操作と独立して車輪12を制動可能に構成されている。また、このDSC装置4は、オートホールド実行条件(オートホールドモードで且つ車両Vの停止状態)が成立していると判定されたときに開始し、オートホールド解除条件(アクセルペダル10の踏込操作実行)が成立するまで車両Vの停止状態を継続して維持するオートホールド制御(自動停止制御)を実行するように形成されている。
尚、車両Vの停止状態は、例えばブレーキペダル9の踏込操作が所定時間以上継続等の判定条件を用いて判定している。
図2に示すように、DSC装置4は、DSC制御部6bと、加圧ユニット17(加圧手段)等によって構成されている。
【0027】
DSC制御部6bは、各センサからの入力信号を受けて、車両Vの旋回時の走行安定性を向上するためにDSC制御を実行する。
具体的には、DSC制御部6bは、ヨーレイトセンサと、横加速度センサと、車輪速センサ(何れも図示略)の検出信号に基づき、車両Vの旋回姿勢が所定値以上に崩れたと判定されたとき、加圧ユニット17の作動により各車輪12の制動力を制御し、車体にヨーモーメントを作用させて車両Vの旋回姿勢を目標方向に収束させている。
また、DSC制御部6bは、各センサからの入力信号を受けて、各車輪12のホイールロックを防止するためにABS制御を実行する。
具体的には、DSC制御部6bは、車輪速センサの検出信号に基づき、各車輪12のスリップ率を算出し、算出したスリップ率が所定の閾値を超えた車輪12を検出したとき、加圧ユニット17の作動を制御して該当する車輪12に作用する制動力を低下させてホイールロックを防止している。
【0028】
このDSC装置4は、DSC制御やABS制御のような姿勢制御機能に加えて、車両Vの停止状態を維持するオートホールド制御を実行可能な制動装置機能を有している。
DSC制御部6bは、オートホールド制御を実行するとき、乗員によるブレーキペダル9の踏込操作に応じた初期ブレーキ液圧P0を継続的に保持するように加圧ユニット17を制御し、オートホールド制御を解除するとき、初期ブレーキ液圧P0を所定の開放速度で開放するように加圧ユニット17を制御している。
【0029】
次に、EPB装置5について説明する。
EPB装置5は、ブレーキペダル9の踏込操作と独立して駆動され、所定の条件が成立したときに車両Vの停止状態を維持する自動パーキング制御を実行するように形成されている。
図2に示すように、EPB装置5は、EPB制御部6cと、電動ブレーキ機構18等によって構成されている。
【0030】
EPB制御部6cは、各センサからの入力信号を受けて、電動ブレーキ機構18の車輪制動力を制御している。具体的には、EPB制御部6cは、パーキングスイッチ23(電動パーキングブレーキ操作手段)の単独プッシュ操作によるのオン信号又は自動パーキング制御の実行指令信号に基づき、電動ブレーキ機構18の車輪制動力を所定の荷重になるように制御している。
電動ブレーキ機構18は、ピストンと、円環状部材と、電動モータ(何れも図示略)等を備え、電動モータを駆動して円環状部材を回転駆動し、ピストンをロータディスク15に対して進退移動させている。
【0031】
次に、ECU6について説明する。
ECU6は、CPU(Central Processing Unit)と、ROMと、RAMと、イン側インタフェースと、アウト側インタフェース等によって構成されている。
ROMには、ブレーキ液圧を制御するための種々のプログラムやデータが格納され、RAMには、CPUが一連の処理を行う際に使用される処理領域が設けられている。
ECU6は、オートホールドスイッチ22がオン操作されてオートホールドモードが設定され且つエンジン7の自動停止を含む車両Vの停止状態が検出されたとき、制動装置としてDSC装置4を作動させて車両Vの停止状態を維持するオートホールド制御を実行し、オートホールド制御中においてイグニッションスイッチ24がオフ操作されたとき、EPB装置5を作動させて車両Vの停止状態を維持する自動パーキング制御を実行すると共にオートホールド制御を解除するように構成されている。
【0032】
図2に示すように、ECU6は、車両情報検出部21と、オートホールドスイッチ22と、パーキングスイッチ23と、イグニッションスイッチ24と、車載用操作装置30等に電気的に接続されている。
車両情報検出部21は、アクセルペダル10の踏込量の検出信号を出力可能なアクセルセンサ、車両Vのヨーレイトに対応した信号を出力可能なヨーレイトセンサ、車両Vの車幅方向に関連する信号を出力可能な横加速度センサ、車輪12の回転速度に応じた信号を出力可能な車輪速センサ、乗員によるステアリングホイール44(
図4参照)の操舵角に関連する信号を出力可能な舵角センサ、エンジン7の回転速度(回転数)に応じた信号を出力可能なエンジン回転速度センサ、車両Vが停車している路面の傾斜角度に応じた信号を出力可能な勾配センサ、車輪12に制動力を付与するブレーキ液圧を検出可能なブレーキ液圧センサ等によって構成されている。
【0033】
図2,
図6に示すように、オートホールドスイッチ22は、乗員によって切換操作されたときのみH(論理ハイ)レベルの信号が出力され、それ以外のときはL(論理ロー)レベルの信号が出力されるモーメンタリ式切換スイッチによって構成され、センターコンソール42(
図4参照)上に配設されている。
このオートホールドスイッチ22は、オートホールド解除モードのとき、乗員が切換操作した場合、オートホールドモードが設定され、オートホールドモードのとき、乗員が切換操作した場合、オートホールド解除モードが設定される。
また、イグニッションスイッチ24がオフ操作された場合、強制的にオートホールド解除モードに初期設定されている。
【0034】
図2,
図6に示すように、パーキングスイッチ23は、乗員によって切換操作されたときのみH(論理ハイ)レベルの信号が出力され、それ以外のときはL(論理ロー)レベルの信号が出力されるモーメンタリ式切換スイッチによって構成され、アームレスト43の前方においてオートホールドスイッチ22の上側近傍位置に配設されている。
このパーキングスイッチ23は、標準操作(例えば単独プッシュ操作)によってオン状態に操作されてEPB装置5が作動された場合、同様の標準操作によってオフ状態に切換操作されるまで自動パーキング制御が実行されるように形成されている。
【0035】
更に、パーキングスイッチ23は、標準操作に加え、特殊操作可能に構成されている。
パーキングスイッチ23は、乗員によって特殊操作(例えば1秒間に連打等)された場合、オートホールドスイッチ22によって現在設定されているオートホールド制御の一方の制御モードを他方の制御モードに強制的に切換え可能に形成されている。
イグニッションスイッチ24は、イグニッションスイッチのオンオフ状態を検出して検出信号をECU6に出力している。
【0036】
車載用操作装置30は、乗員によって車両Vに搭載された複数の車両用機器34及びDSC装置4を操作可能に構成されている。
図3に示すように、車載用操作装置30は、ディスプレイ31(表示画面)と、車載用ECU32(表示手段)と、マルチコマンダ33(副操作手段)等を備えている。
車両用機器34は、オーデオ装置、車載用携帯電話、ナビゲーション装置等を含み、車両用機器34の各々は、複数の操作アイテムを有している。
【0037】
図4,
図5に示すように、ディスプレイ31は、インスツルメントパネル41の車幅方向中央付近であって乗員が操作可能な位置に、車室後方に向けて取り付けられている。
このディスプレイ31は、タッチパネル式であり、ディスプレイ31上に表示された複数の操作アイテムに対応した複数のソフトスイッチ31a,31b(操作スイッチ)に対して乗員が指等によって直接操作又はマルチコマンダ33によって操作が可能に構成されている。尚、乗員が直接操作可能な複数の操作アイテムに対応した複数のハードスイッチ(図示略)もディスプレイ31の周囲に配設されている。
【0038】
図4,
図6に示すように、マルチコマンダ33は、運転席と助手席との間に配設されたセンターコンソール42上において乗員(運転者)が操作可能な位置に配置されている。
マルチコマンダ33は、ダイヤルスイッチ33aと、このダイヤルスイッチ33aの前側及び左右両側に5つの押下スイッチ33bを備えている。
ダイヤルスイッチ33aは、前後のチルト操作と、左右のチルト操作と、上下軸回りの回転操作と、押下操作が可能に構成されている。このダイヤルスイッチ33aは、ディスプレイ31上に表示されるカーソル33cを移動操作し、カーソル33cに対応した位置に表示されているソフトスイッチ31a,31bを決定操作可能に構成されている。
何れかの押下スイッチ33bが押下操作された場合、カーソル33cが押下スイッチ33bに対応したソフトスイッチ31aの表示位置に表示される。
【0039】
図3に示すように、車載用ECU32は、表示制御部32aと、操作制御部32bと、記憶部32c等を備えている。表示制御部32aは、ディスプレイ31に表示される表示内容を制御可能に構成されている。ソフトスイッチ31aは、複数の車両用機器34が有する複数の操作アイテムとして夫々表示され、ソフトスイッチ31bは、オートホールド制御の制御モード切換用操作アイテムとして表示されている。
【0040】
操作制御部32bは、ソフトスイッチ31aのタッチパネル操作、ダイヤルスイッチ33aの操作、及び各スイッチ33bの押下操作に基づいて、車両用機器34の各々に指令信号を出力し、車両用機器34を制御可能に構成されている。
操作制御部32bは、カーソル33cが操作対象のソフトスイッチ31a,31bの表示位置に移動され、ダイヤルスイッチ33aの上面が押下操作されたとき、操作対象となる操作アイテムを決定し、操作アイテムの制御を開始する。操作アイテム毎に異なる下位の操作項目を備えているため、操作アイテムの決定後、順次詳細な操作項目が操作設定されている。
【0041】
また、操作制御部32bは、ソフトスイッチ31bのタッチパネル操作又はダイヤルスイッチ33aの操作に基づいて、ECU6に指令信号を出力し、オートホールド制御の制御モードを設定可能に構成されている。操作制御部32bは、例えば、カーソル33cがソフトスイッチ31bの表示位置に移動され、決定操作された場合、オートホールドスイッチ22によって現在設定されているオートホールド制御の一方の制御モードを他方の制御モードに強制的に切換えるように切換指令信号を出力可能に形成されている。
更に、記憶部32cには、ECU6を介して現在設定されているオートホールド制御の制御モードがモードフラグFとして記憶されているため、操作制御部32bは、イグニッションがオフ操作された後にイグニッションがオン操作された再起動時、ECU6に対してイグニッションをオフ操作する前のオートホールド制御の制御モードを実行するようにモード設定指令信号を出力している。
尚、オートホールドモードのとき、モードフラグFは1に設定され、オートホールド解除モードのとき、モードフラグFは0に設定されている。
【0042】
図2に示すように、ECU6は、Eng制御部6aと、DSC制御部6bと、EPB制御部6cと、モード設定部6d等を一体的に備えている。
モード設定部6dは、オートホールドスイッチ22がオートホールド解除モード中に切換操作されたとき、オートホールドモードを設定し、オートホールドスイッチ22がオートホールドモード中に切換操作されたとき、オートホールド解除モードを設定するように構成されている。このモード設定部6dは、乗員によるパーキングスイッチ23の特殊操作又はソフトスイッチ31bの決定操作が行われたとき、現在既に設定されているオートホールド制御の一方の制御モードを他方の制御モードに強制的に切換えるように形成されている。
【0043】
次に、
図7のフローチャートに基づいて、オートホールド制御の制御モードを設定するモード設定処理手順について説明する。
尚、
図7において、Si(i=1,2…)は、各処理のためのステップを示す。
まず、S1にて、各センサ及び各スイッチの検出値や記憶部32cに予め記憶されているモードフラグF等の情報を読み込み、S2へ移行する。
S2では、運転開始のためにイグニッションをオンしたか否か判定する。
S2の判定の結果、イグニッションオンの場合、イグニッションオフ後の再起動時であるため、S3に移行し、モードフラグFが1か否か判定する。
【0044】
S3の判定の結果、モードフラグFが1の場合、イグニッションをオフ操作する前にオートホールドモードが設定されているため、フラグfを1に設定し(S4)、S5に移行する。S3の判定の結果、モードフラグFが0の場合、イグニッションをオフ操作する前にオートホールド解除モードが設定されているため、フラグfを0に設定し(S11)、S5に移行する。
S5では、ソフトスイッチ31bの決定操作があったか否か判定する。
S5の判定の結果、ソフトスイッチ31bの決定操作があった場合、オートホールド制御の一方の制御モードを他方の制御モードに切換えるため、S6に移行し、フラグgを1に設定する。
S7では、フラグfの設定値からフラグgの設定値を
減算した値の絶対値を新たなモードフラグFとして設定し、リターンする。
【0045】
S5の判定の結果、ソフトスイッチ31bの決定操作がなかった場合、S8に移行し、パーキングスイッチ23の特殊操作があったか否か判定する。
S8の判定の結果、パーキングスイッチ23の特殊操作があった場合、オートホールド制御の一方の制御モードを他方の制御モードに切換えるため、フラグgを0に設定し(S9)、S7に移行する。
S2の判定の結果、イグニッションオンではない場合、乗員が車両走行中であるため、S10に移行し、オートホールドモードが設定されたか否か判定する。
S10の判定の結果、オートホールドモードが設定された場合、S4に移行する。
S10の判定の結果、オートホールドモードが設定されていない場合、現在オートホールド解除モードが設定されているため、S11に移行する。
【0046】
次に、
図8のフローチャートに基づいて、停止維持制御処理手順について説明する。
まず、S21にて、各種情報を読み込み、S22へ移行する。
S22では、車両Vが停止状態か否か判定する。
S22の判定の結果、車両Vが停止状態の場合、S23に移行して、エンジン7を停止する。S22の判定の結果、車両Vが停止状態ではない場合、リターンする。
【0047】
S24では、モード設定処理にて設定されたモードフラグFが1か否か判定する。
S24の判定の結果、モードフラグFが1の場合、現在オートホールドモードが乗員によって選択されているため、オートホールド制御を実行する(S25)。
S26では、シフトレンジがPレンジか否か判定する。
S26の判定の結果、シフトレンジがPレンジの場合、S27に移行し、イグニッションオフか否か判定する。
【0048】
S27の判定の結果、イグニッションオフの場合、自動パーキング制御を実行する(S28)。自動パーキング制御の完了後、オートホールド制御を解除し(S29)、終了する。S24の判定の結果、モードフラグFが0の場合、現在オートホールド解除モードが乗員によって選択されているため、オートホールド制御を実行することなくS30に移行する。
【0049】
S30では、アクセルペダル10が踏込操作されたか否か判定する。
S30の判定の結果、アクセルペダル10が踏込操作された場合、S31に移行し、エンジン7を再始動させる。
S32では、モード設定処理にて設定されたモードフラグFが1か否か判定する。
S32の判定の結果、モードフラグFが1の場合、オートホールド制御が実行されているため、S29に移行する。S32の判定の結果、モードフラグFが0の場合、オートホールド制御が実行されていないため、終了する。
S30の判定の結果、アクセルペダル10が踏込操作されていない場合、エンジン7の停止を継続するため、S23に移行する。
【0050】
次に、上記停止維持装置1の作用、効果について説明する。
本停止維持装置1によれば、乗員による所定操作によってDSC装置4を操作可能なパーキングスイッチ23及び車載用操作装置30を備えるため、オートホールドスイッチ22に切換異常が生じたときであっても、パーキングスイッチ23と車載用操作装置30の何れかによってオートホールド制御を乗員の意図した制御モードに設定することができる。ECU6は、パーキングスイッチ23と車載用操作装置30の何れかが乗員によって所定操作されたとき、オートホールドスイッチ22によって選択されたオンオフ状態を一方の状態から他方の状態に切換えるため、車両Vの走行中であっても、乗員による詳細なモード状態確認を必要とすることなく且つ簡単な操作で、一方のモード状態から他方のモード状態に切換えることができ、オートホールドスイッチ22の切換異常であっても制御モードを変更することができる。
【0051】
操作機構は、車両用機器34の複数の操作アイテム及びDSC装置4を操作するための車載用操作装置30であって、複数の操作アイテムに夫々対応する複数のソフトスイッチ31a,31bとこれらソフトスイッチ31a,31bを指し示すカーソル33cとを表示可能な表示画面を含み且つこの表示画面に表示されたソフトスイッチ31a,31bに対する乗員の直接操作を受け付けるタッチパネル式のディスプレイ31と、表示画面から離隔した位置に配置されてカーソル33cを移動操作可能なマルチコマンダ33と、表示画面の表示を制御可能な車載側ECU32とを備えた車載用操作装置30を含んでいる。
これにより、ソフトスイッチ31bに対する乗員の直接操作又はマルチコマンダ33による操作によって、オートホールド制御のモードを信号レベルが固定された一方の状態から他方の状態に容易に切換えることができる。
【0052】
車両Vのイグニッション状態を検出可能なイグニッションスイッチ24を備え、車載側ECU32が、オートホールドスイッチ22によって選択されたオンオフ状態を記憶可能な記憶部32cを有し、ECU6は、イグニッションオフ後の再起動時、イグニッションをオフする前の選択されたオンオフ状態を自動設定している。
これにより、イグニッションオフ後の再起動時、乗員がオートホールドスイッチ22の切換操作を行うことなく、イグニッションをオフする前に乗員によって選択された制御モードに自動設定することができる。
【0053】
ブレーキペダル9の踏込操作と独立して電動モータで駆動される電動ブレーキ機構18を作動させて車輪12を制動可能なEPB装置5を有し、操作機構は、EPB装置5の作動を操作可能なパーキングスイッチ23を含んでいる。
これにより、パーキングスイッチ23の操作によって、オートホールド制御のモードを信号レベルが固定された一方の状態から他方の状態に容易に切換えることができる。
【0054】
ECU6は、パーキングスイッチ23が所定時間内に複数回操作されたときにオートホールドスイッチ22によって選択されたオンオフ状態の一方の状態から他方の状態に切換えるため、オートホールド制御の制御モードの選択とEPB装置5の操作とを単一のパーキングスイッチ23の操作で正確に制御することができる。
【0055】
パーキングスイッチ23がオートホールドスイッチ22の近傍位置に配置されているため、オートホールド制御の制御モードの選択をパーキングスイッチ23の操作で意識的に且つ違和感なく制御することができる。
【0056】
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、操作機構がパーキングスイッチ及び車載用操作装置の例を説明したが、少なくとも1つの操作機構を設ければ良く、他のスイッチを操作機構として用いても良い。また、操作機構の所定操作として、パーキングスイッチの特殊操作や車載用操作装置の決定操作の例を説明したが、少なくとも乗員が通常操作と区別できれば良く、連打や長押し等様々な操作形態を設定することも可能である。
【0057】
2〕前記実施形態においては、車載用操作装置の決定操作をパーキングスイッチの特殊操作に優先させる例を説明したが、パーキングスイッチの特殊操作を車載用操作装置の決定操作に優先させても良い。また、車載用操作装置の決定操作とパーキングスイッチの特殊操作との優先順位を等しくしても良い。
【0058】
3〕前記実施形態においては、オートホールドスイッチをセンターコンソールに配置した例を説明したが、インスツルメントパネルやステアリングホイールに配置しても良い。
この場合、操作機構であるパーキングスイッチをオートホールドスイッチの近傍位置に配置することが好ましい。
【0059】
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。