(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2樹脂層の少なくとも一部は、前記接続部材の長手方向と直交する方向に前記接続部材から離れて設けられることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0010】
はじめに、
図1を参照して、第1の実施形態における太陽電池モジュール100の構成について詳述する。
図1は、第1の実施形態における太陽電池モジュール100を示す断面図である。
【0011】
太陽電池モジュール100は、複数の太陽電池70と、隣接する太陽電池70を互いに接続する接続部材40と、樹脂層50a、50b(以下、総称する場合は樹脂層50という)と、保護基板62と、バックシート64と、封止層66を備える。以下、これらの構成を順に詳述する。
【0012】
まず、太陽電池70の構成について詳述する。太陽電池70は、発電層10と、第1電極20と、第2電極30を備える。
【0013】
発電層10は、入射する光を吸収して光起電力を発生させる層であり、例えば、結晶系シリコン、ガリウム砒素(GaAs)又はインジウム燐(InP)等の半導体材料からなる基板を有する。発電層10の構造は、特に限定されないが、本実施形態では、n型単結晶シリコン基板と非晶質シリコンのヘテロ接合を有する。発電層10は、例えば、n型単結晶シリコン基板の受光面側に、i型非晶質シリコン層、ボロン(B)等がドープされたp型非晶質シリコン層、酸化インジウム等の透光性導電酸化物からなる透明導電層の順番で積層されている。また、基板の裏面側に、i型非晶質シリコン層、リン(P)等がドープされたn型非晶質シリコン層、透明導電層の順番で積層されている。
【0014】
発電層10は、太陽電池70の表面の一つである受光面12と、太陽電池70の表面の一つであり、受光面12に背向する裏面14とを有する。ここで、受光面とは、太陽電池70において主に太陽光が入射される主面を意味し、具体的には、発電層10に入射される光の大部分が入射される面である。
【0015】
第1電極20及び第2電極30は、太陽電池70の表面に設けられる電極として、受光面12と裏面14にそれぞれ設けられ、発電層10が発電した電力を外部に取り出す。第1電極20及び第2電極30は、例えば、銅(Cu)やアルミニウム(Al)を含む導電性の材料である。なお、銅(Cu)や錫(Sn)等の電解メッキ層を含んでもよい。ただし、これに限定されるものでなく、金、銀等の他の金属、他の導電性材料、又はそれらの組み合わせとしてもよい。
【0016】
つぎに、接続部材40の構成について詳述する。接続部材40は、樹脂層50により、第1電極20または第2電極30と電気的に導通するように表面上に接着される。接続部材40は、細長い金属箔であり、例えば、銅箔に銀をコーティングしたものが用いられる。接続部材40は、複数の太陽電池70が配列されるx方向に延び、x方向に隣接する一方の太陽電池70の第1電極20と、他方の太陽電池70の第2電極30に接続される。
【0017】
接続部材40は、延在部42と、屈曲部43と、端部44を備える。
【0018】
延在部42は、受光面12又は裏面14に沿ってx方向に延び、樹脂層50を介して受光面12又は裏面14に接着される。より詳細には、延在部42は、第1電極20又は第2電極30のバスバー電極の上に配置され、バスバー電極と導通するようにバスバー電極の少なくとも一部と直接接触接した状態で接着される。
【0019】
端部44は、延在部42が設けられる受光面12または裏面14の上に設けられ、太陽電池70の外周に近い領域に配置される。
【0020】
屈曲部43は、太陽電池70の厚さに相当する段差を有する。屈曲部43が設けられることで、接続部材40は、複数の太陽電池70の受光面12および裏面14がそれぞれ同一平面内に配置した状態で、一方の太陽電池70の受光面12と他方の太陽電池70の裏面14とを接続することができる。
【0021】
つぎに、保護基板62の構成について詳述する。保護基板62は、太陽電池70の受光面12側に設けられ、太陽電池70を外部環境から保護するとともに、太陽電池70が発電のために吸収する波長帯域の光を透過する。保護基板62は、例えば、ガラス基板である。
【0022】
つぎに、バックシート64及び封止層66の構成について詳述する。バックシート64及び封止層66は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)や、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリイミド等の樹脂材料である。これにより、太陽電池70への水分の浸入等を防ぐとともに、太陽電池モジュール100全体の強度を向上させる。なお、バックシート64は、保護基板62と同じガラスや、プラスチック等の透明基板としてもよい。また、保護基板62側から入射した光が太陽電池70により多く吸収されるよう、バックシート64と封止層66の間に金属箔などを設けることで、太陽電池70を透過してバックシート64に達した光を太陽電池70へ反射させてもよい。
【0023】
つづいて、
図2を参照して、第1電極20および第2電極30の構成について詳述する。
図2は、太陽電池70の表面を示す平面図である。
【0024】
第1電極20は、互いに平行に第1の方向(x方向)に延びる3本のバスバー電極24と、バスバー電極24と直交する第2の方向(y方向)に延びる複数のフィンガー電極22を備える。フィンガー電極22は、受光面12上に形成される電極であるため、発電層10に入射する光を遮らないように細く形成することが望ましい。また、発電した電力を効率的に集電できるよう所定の間隔で配置することが望ましい。
【0025】
バスバー電極24は、複数のフィンガー電極22を互いに接続する。バスバー電極24は、発電層10に入射する光を遮らない程度に細く形成するとともに、複数のフィンガー電極22から集電した電力を効率的に流せるよう、ある程度太くすることが望ましい。
【0026】
第2電極30も、第1電極20と同様に、互いに平行にx方向に延びる3本のバスバー電極と、バスバー電極と直交してy方向に延びる複数のフィンガー電極を備える。なお、裏面14側は、太陽光が主に入射される主面ではないため、第2電極30のフィンガー電極の本数は、受光面12側の第1電極20よりもその本数を増やすことで、集電効率を高められる。
【0027】
つづいて、
図3から
図7を参照して、樹脂層50の構成について詳述する。
【0028】
図3は、樹脂層50の構造を示す断面図であり、
図1の断面線A−Aにおける断面図を示す。
【0029】
樹脂層50a、50bは、受光面12と裏面14のそれぞれに設けられ、受光面12または裏面14と、その上に延在する接続部材40とを接着する。樹脂層50は、樹脂接着剤を硬化させた接着層であり、例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂などの接着性を有する熱硬化性の樹脂材料を用いる。本実施形態においては、樹脂層50として絶縁性の樹脂材料を用いるが、樹脂材料に導電性の粒子などを分散させることにより導電性を有することとしてもよい。
【0030】
樹脂層50は、第1樹脂層52と第2樹脂層54を備える。
【0031】
第1樹脂層52は、バスバー電極24、34に接して設けられ、表面の一つである受光面12または裏面14からの厚さh
1が、電極の厚さh以上となるように設けられる。また、第1樹脂層52は、バスバー電極24、34が延びるx方向に直交するy方向の幅w
1が、バスバー電極24、34の幅wよりも広く設けられる。第1樹脂層52は、接続部材40の接続面40aと少なくとも接しており、接続部材40がバスバー電極24、34に導通するように接触した状態で、接続部材40を受光面12または裏面14に接着させる。
【0032】
第2樹脂層54は、第1樹脂層52と接してその周囲に設けられ、表面である受光面12または裏面14からの厚さh
2が、電極の厚さhより薄く設けられる。そのため、第2樹脂層54は、接続部材40に接していないが、接続部材40を受光面12または裏面14に接着させる際の接着強度を高める役割を持つ。第2樹脂層54は、受光面12の上に広がって設けられるため、受光面12に入射する光を妨げないよう厚さh
2はできるだけ薄くすることが望ましい。第2樹脂層54による光の吸収量を無視できる程度の薄さとして、例えば、10μm以下とすればよい。
【0033】
第2樹脂層54は、太陽電池70と接続部材40の間に生じる応力を緩和させるため、第1樹脂層52よりも柔軟性の高い材料とすることが望ましい。例えば、樹脂層50としてエポキシ樹脂を用いる場合、第2樹脂層54として用いるエポキシ樹脂に混合させる硬化剤の量を第1樹脂層52よりも少なくすることで、熱硬化させた後の樹脂硬化度を下げればよい。その他、第2樹脂層54に対する熱硬化処理として、第1樹脂層52よりも加熱時間を短くしたり温度を下げたりすることにより、樹脂硬化度を下げてもよい。
【0034】
図4は、太陽電池70の受光面12に設けられた樹脂層50aを示す平面図である。
【0035】
第1樹脂層52は、バスバー電極24の上にx方向に延在して受光面12上に設けられており、第2樹脂層54は、第1樹脂層52の周囲にフィンガー電極22が延びるy方向にw
2の幅で広がって受光面12上に設けられている。第2樹脂層54は、フィンガー電極22が設けられる領域において、w
2の幅よりもy方向に突出した突出部54aを有する。フィンガー電極22が形成される領域は、フィンガー電極22と発電層10の熱膨張率の違いにより、温度変化による応力が生じやすい領域であるため、その領域に突出部54aを設けることで、太陽電池70に加わる応力を緩和させることができる。
【0036】
図5は、太陽電池70の裏面14に設けられた樹脂層50bを示す平面図である。
【0037】
裏面14のフィンガー電極32は、受光面12のフィンガー電極22と比べて本数が多く設けられる。その結果、第2電極30は、第1電極20と比べて電極面積が広く形成されており、第2電極30のフィンガー電極32は、
図4に示す第1電極20のフィンガー電極22よりもその間隔が狭くなっている。裏面14上に設けられる第2樹脂層54は、フィンガー電極32が設けられる領域においてw
2の幅よりもy方向に突出した突出部54aを有する。裏面14は、フィンガー電極の本数が受光面12と比べて多いため、突出部54aが設けられる領域が受光面12より広くなる。その結果、裏面14上に設けられる第2樹脂層54の面積は、受光面12上に設けられる第2樹脂層54よりも広く形成される。
【0038】
裏面14は、フィンガー電極の本数が受光面12と比べて多いため、フィンガー電極32と発電層10の熱膨張率の違いにより発生する応力が受光面12よりも大きくなる。このとき、裏面のフィンガー電極32に対応して第2樹脂層54が設けられる面積を広くすることで、応力緩和の効果を受光面12よりも高めることができ、受光面12と裏面14とで生じる応力の違いにより太陽電池70が損傷してしまうことを防ぐことができる。
【0039】
図6は、接続部材40の端部44に形成される樹脂層50を示す平面図である。
図7は、接続部材40の端部44に形成される樹脂層50を示す断面図であり、
図6の断面線B−Bにおける断面を示す。
【0040】
第1樹脂層52は、端部44の先において、広がって設けられる第1拡幅部52bを有する。第1拡幅部52bは、接続部材40の長手方向であるx方向に広がって設けられ、y方向の幅w
1bが延在部42の周囲に設けられる第1樹脂層52の幅w
1よりも広く設けられる。また、第1拡幅部52bは、端部44の少なくとも一部を被覆して設けられる。
【0041】
第2樹脂層54は、第1拡幅部52bの周囲に設けられる第2拡幅部54bを有する。第2拡幅部54bは、第1拡幅部52bの周囲に広がって設けられ、y方向の幅w
2bが第1拡幅部52bの幅w
1bよりも広く設けられる。第2拡幅部54bの上には接続部材40が配置されていないため、第2拡幅部54bは、封止層66と接着される。
【0042】
樹脂層50として、端部44の先に第1拡幅部52bおよび第2拡幅部54bを形成することで、接続部材40の接着強度を高めることができ、接続部材40が端部44から剥離してしまうことを防ぐことができる。また、第2拡幅部54bを設けることで、端部44の先における封止層66と第2拡幅部54bとの接着性が高められるため、封止層66により端部44を押さえつけて接続部材40の剥離を防止することができる。
【0043】
つづいて、
図8を参照して、接続部材8の上面40bについて詳述する。
図8は、接続部材40の上面40bに形成される上面樹脂層56を示す断面図である。
【0044】
上面樹脂層56は、樹脂層50と同様、樹脂接着剤を硬化させた接着層であり、例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂などの接着性の熱硬化性の樹脂材料を用いる。上面樹脂層56は、接続部材40がバスバー電極24と接触する接続面40aではなく、接続面40aに対向する上面40bに形成され、封止層66と接着する。上面樹脂層56は、接続部材40と比較して封止層66との接着力が高いため、上面樹脂層56を設けることにより、封止層66との接着性を高めることができる。
【0045】
つづいて、
図9から
図11を参照して、太陽電池モジュール100の製造方法の一例について説明する。
【0046】
図9は、太陽電池の受光面12に第1接着剤82を塗布する工程を示す図である。
【0047】
まず、複数の太陽電池70を用意し、接続部材40を接着するための第1接着剤82を太陽電池70の表面に塗布する。第1接着剤82は、熱硬化性を有するペースト状の樹脂接着剤であり、例えば、硬化剤を加えたエポキシ樹脂に固形成分を混合させることでペースト状とした硬化前の樹脂である。
【0048】
第1接着剤82は、バスバー電極24の上を覆うように、ディスペンサなどの吐出手段やスクリーン印刷により塗布する。より詳細には、y方向の幅w
1がバスバー電極24の幅wよりも太く、また、受光面12からのz方向の高さh
1がバスバー電極24の高さhよりも厚く第1接着剤82を塗布する。第1接着剤82の塗布により、第1接着剤82には、複数の気泡部82aが含まれる。なお、図示はしていないが、接続部材40の端部44が配置される領域には、第1拡幅部52bを形成できるよう第1接着剤82を塗布する量を延在部42が配置される領域と比べて多くする。
【0049】
図10は、太陽電池70の受光面12に第2接着剤84が形成される工程を示す図である。
【0050】
第2接着剤84は、ペースト状の第1接着剤82に含まれる液体成分であるエポキシ樹脂が周囲に流れ出すことにより第1接着剤82からy方向に広がって形成される。このとき、受光面12上に微細な凹凸であるテクスチャ構造12aが形成されているため、第2接着剤84は、毛細管現象によりテクスチャ構造12aの凹凸に沿って周囲に流れていく。そのため、第2接着剤84の受光面12からの厚さh
2は、テクスチャ構造12aの凹凸の高さdよりも薄く形成される領域が含まれる。また、第1接着剤82からの距離が離れるA方向にしたがって、第2接着剤84の厚さh
2は薄くなることとなる。
【0051】
第2接着剤84として、受光面12を形成する透明導電層よりもフィンガー電極22に対して濡れ性が高い樹脂材料を用いることで、第2接着剤84をフィンガー電極22に沿って広げることができる。これにより、フィンガー電極22が設けられる領域において、y方向に突出した突出部を形成することができる。
【0052】
次に、太陽電池70に接続部材40を接着する。
図11は、接続部材40を接着する工程を示す図である。
【0053】
接続部材40は、圧着具90に設けられた吸気孔92により上面40bが吸引された状態で圧着具90に固定され、バスバー電極24の上に配置される。このとき、吸気孔92により第1接着剤82の一部が吸引されることにより、接続部材40の上面40bに第1接着剤82が付着することとなる。その後、接続面40aがバスバー電極24に接触した状態で接続部材40を押圧するとともに、圧着具90を加熱して第1接着剤82および第2接着剤84を硬化させる。これにより、第1接着剤82が硬化して第1樹脂層52となり、第2接着剤84が硬化して第2樹脂層54となり、樹脂層50が形成される。このとき、第1樹脂層52は、外部と連通する気泡部52aを含むこととなる。また、接続部材40の上面40bには、上面樹脂層56が形成される。また、第2接着剤84は、圧着具90からの距離が遠いため、第1接着剤82よりも樹脂硬化度が低い状態となる。
【0054】
接続部材40は、さらに、裏面14に設けられる第2電極30のバスバー電極と接着される。接続部材40を受光面12に接着した後に、
図9から
図11に示した工程と同様の工程を経ることにより、接続部材40を樹脂層50を介して裏面14に接着することができる。
【0055】
最後に、接続部材40を接続した複数の太陽電池70を封止する。接続部材40を接続した複数の太陽電池70の受光面12側に、封止層66の一部を構成する樹脂シートと保護基板62を配置し、裏面14側に封止層66の一部を構成する樹脂シートとバックシート64を配置する。そして、太陽電池70を保護基板62とバックシート64で挟み込んだ状態で加熱圧着することにより、受光面12側と裏面14の樹脂シートが融着して封止層66が形成され、太陽電池モジュール100が形成される。
【0056】
以下、本実施形態の太陽電池モジュール100が奏する効果について説明する。
【0057】
本実施形態の太陽電池モジュール100は、接続部材40を接着する樹脂層50として、接続部材40に接する第1樹脂層52と、第1樹脂層52の周囲に設けられ、接続部材40に接しない第2樹脂層54を有する。そのため、太陽電池モジュール100の温度が変化し、部材の膨張率が異なることに起因して接続部材40と太陽電池70の間に応力が生じる場合であっても、接続部材40に接しない第2樹脂層54が設けられることで、第2樹脂層54が応力の緩和領域として機能する。これにより、第2樹脂層54が設けられない場合と比較して、太陽電池70に加わる応力を低減させることができるため、太陽電池70に亀裂が生じることを防ぎ、太陽電池モジュール100の信頼性を向上させることができる。
【0058】
第2樹脂層54は、第1電極20を有する受光面12に設けられる面積よりも、第1電極20よりも電極面積の広い第2電極30を有する裏面14に設けられる面積を広くすることで、受光面12と裏面14とで生じる応力の差を緩和させることができる。
【0059】
第1樹脂層52の周囲に広がって第2樹脂層54が設けられることで、第2樹脂層54がない場合と比較して、接続部材40の接着強度を高め、接続部材40が剥離することを防ぐことができる。
【0060】
第2樹脂層54は、受光面12に設けられるテクスチャ構造12aの高さよりも薄く設けられることから、受光面12に入射する光に対応する吸収量が無視できる程度に小さい。このため、発電効率を犠牲にすることとなく、太陽電池モジュール100の信頼性を向上させることができる。
【0061】
第2樹脂層54は、第1樹脂層52を形成するためのペースト状の熱硬化性樹脂を塗布するだけで作製することができるため、簡便かつ安価な方法で太陽電池モジュール100の信頼性を向上させることができる。
【0062】
第1樹脂層52は、外部と連通する気泡部52aを有するため、気泡部52aがクッションとしての機能を果たすことにより、太陽電池70に加わる応力を緩和させることができる。
【0063】
樹脂層50は、第1拡幅部52bと第2拡幅部54bを有することにより、接続部材40の端部44における接着強度を高めるとともに、封止層66との接着性を高めることができる。また、上面樹脂層56を設けることにより接続部材40と封止層66との接着性を高めることができる。これにより、接続部材40の剥離を防ぐことができる。
【0064】
図12、13を参照して、第2の実施形態における太陽電池モジュール200の構成について詳述する。
【0065】
図12は、第2の実施形態に係る太陽電池モジュール200を示す断面図である。
【0066】
本実施形態に係る太陽電池モジュール200は、第1の実施形態と同様の構造を有するが、接続部材40として第1接続部材46と第2接続部材48を有し、二つの接続部材が接続部材接着部58により接着されることで複数の太陽電池間を接続する点が異なる。本実施形態に係る太陽電池モジュール200は、第1の実施形態に係る太陽電池モジュール100の接続部材40が製造工程の途中で切れてしまった場合に、切れてしまった接続部材40である第1接続部材46と第2接続部材48を接着することで修理したものである。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0067】
太陽電池モジュール200は、第1太陽電池72と、第2太陽電池74と、第1接続部材46と、第2接続部材48と、樹脂層50と、保護基板62と、バックシート64と、封止層66を備える。
【0068】
第1太陽電池72及び第2太陽電池74は、第1の実施形態で示した太陽電池70と同等のものである。第1太陽電池72は、裏面14に樹脂層50bを介して第1接続部材46が第2電極30と導通するように接着される。第2太陽電池74は、受光面12に樹脂層50aを介して第2接続部材48が第1電極20と導通するように接着される。
【0069】
第1接続部材46および第2接続部材48は、第1の実施形態で示した接続部材40の長手方向の長さを短くしたものであり、それぞれ切断部46d、48dを有する。第1接続部材46および第2接続部材48は、切断部46d、48dにおいて、それぞれの上面46b、48bが導通するように接触した状態で接続部材接着部58により接着される。
【0070】
図13は、接続部材接着部58を示す断面図であり、
図12の断面線C−Cに沿った断面を示す。
【0071】
接続部材接着部58は、第1接続部材46の上面46bと、第2接続部材48の上面48bとが直接接触した状態で、第1接続部材46と第2接続部材48を接着する。接続部材接着部58は、接着強度を高めるため、第1接続部材46および第2接続部材48の側面46c、48cの少なくと一部を被覆して設けられる。好ましくは、側面46c、48cの全面を被覆して設けることがよい。
【0072】
接続部材接着部58は、樹脂層50と同様、樹脂接着剤を硬化させた接着層であり、例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂などの接着性の熱硬化性の樹脂材料を用いればよい。接続部材接着部58は、切断部46dにおいて、第1接続部材46の上面46bに樹脂接着剤を塗布し、その上から第2接続部材48の上面48bを配置した状態で押圧しながら加熱することで形成できる。
【0073】
太陽電池モジュール200は、熱硬化樹脂である接続部材接着部58により修理されるため、半田づけにより第1接続部材46と第2接続部材48を接続する場合と比べて、熱処理の温度を低くすることができる。そのため、第1接続部材46または第2接続部材48に接続されている第1太陽電池72および第2太陽電池74が加熱されることによる劣化を防ぐことができる。また、接続部材40として、アルミニウム(Al)などの半田付けが困難である材料を用いた場合においても、接続部材接着部58により接着することで、切れてしまった接続部材40を修理することができる。
【0074】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。