特許第6249312号(P6249312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6249312
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】釣り用仕掛け巻き具
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/06 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   A01K97/06 502
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-257863(P2016-257863)
(22)【出願日】2016年12月13日
【審査請求日】2016年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】517005123
【氏名又は名称】新藤 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100076200
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 福一
(72)【発明者】
【氏名】新藤 正宏
【審査官】 瀬川 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−209490(JP,A)
【文献】 特開平11−32642(JP,A)
【文献】 実開昭60−179177(JP,U)
【文献】 実開昭58−65871(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 97/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針先を刺入可能な軟質合成樹脂からなり、外周面部に釣りの仕掛けにおけるハリスを巻回するに足りる厚みを有すると共に、前面部を後面部より径大としてテーパー形状となした円盤状のハリス巻回体と、硬質合成樹脂からなり、前面部中央に、前記ハリス巻回体の後面部を接着した円板状の摘み体とからなり、前記摘み体に、前記ハリス巻回体の後面部の輪郭に沿って等間隔に、夫々が前記ハリス巻回体の外周面部に密着すると共に、先端部が前記ハリス巻回体の前面部より突出する切り起こし片を設け、更に、前記摘み体及び/又は摘み体における切り起こし片に、前記ハリス巻回体に巻回したハリスの後端を挟み込んで保持するためのハリス後端保持手段を設けてなることを特徴とする釣り用仕掛け巻き具。
【請求項2】
ハリス巻回体が、発泡ポリエチレンからなるハリス巻回体である請求項1記載の釣り用仕掛け巻き具。
【請求項3】
ハリス後端保持手段が、前記摘み体における前記各切り起こし片の間に設けた、ハリスの後端を摘み体の前面部から後面部に潜り抜けさせる穴の縁に設けた切込みである請求項1又は2記載の釣り用仕掛け巻き具。
【請求項4】
ハリス後端保持手段が、前記切り起こし片における前記ハリス巻回体の前面部よりも先端部寄り側に設けた、U字状の切込みによって形成した挟持片である請求項1又は2記載の釣り用仕掛け巻き具。
【請求項5】
ハリス後端保持手段が、前記切り起こし片における先端部に設けた切込みである請求項1又は2記載の釣り用仕掛け巻き具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハリスの先端に針を結着してなる釣り用仕掛けをそのままの状態で巻き回して保持するための釣り用仕掛け巻き具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来においても種々の釣り用仕掛け巻き具が案出され、実用に供されている。図22には従来における釣り用仕掛け巻き具の一例を示しており、該釣り用仕掛け巻き具100は、合成樹脂からなり、中心部に大径の穴102を穿設した円板101に、円周方向に沿って等間隔にハリス巻き掛け片103を切り起こし、更に、各ハリス巻き掛け片103間に、針を掛けるための小孔104を穿設してなるものである。
【0003】
そして、該釣り用仕掛け巻き具100を用いて釣りの仕掛けを巻く場合には、先ずハリス105の先端に結着した針106を円板101の小孔104に掛け、次に、この状態において円板101を両手で摘まんで回しながらハリス5をハリス巻き掛け片103に順次掛け回し、そして、最後にハリス105の後端105´をハリス巻き掛け片103のいずれかにおいて、その基部に挟み込んで止めるものである。また、図において、105aは枝ハリス、106´は枝針、107はハリスの後端105´に結着した撚り戻しである。尚、該撚り戻しに代えて輪に結ぶ場合もある。
【0004】
しかし、斯かる従来の釣り用仕掛け巻き具100には、いくつかの問題点がある。
【0005】
先ず、第1の問題点は、小孔104に掛けた針106の針先が常に円板101の後面側に突出していることによるものである。この場合には仕掛けの扱い中に人や物を刺す虞があり、特に所謂かえしのある針は容易に抜けないから極めて危険である。また、針先が硬いものに接触すると、折れ曲がったり、折れたりする虞もある。また、釣り用仕掛け巻き具をいくつも重ね合わせた状態で携行すると、一方側の釣り用仕掛け巻き具に巻いた仕掛けの針が隣りの他方側の釣り用仕掛け巻き具に巻いた仕掛けに引っ掛かって、解くために余分な手間を要することもある。
【0006】
また、第2の問題点は、釣りの仕掛けが枝針の場合、即ち、先端に先針を結着したハリス本線に枝ハリスを介して枝針をつける仕掛けの場合において、枝針を固定することができず、これがブラブラしてしまうことである。即ち、図22に示す如く、枝針106´を掛ける小孔は設けられていないことから、枝ハリス105aの枝針106´に近い部分を、ハリス掛け片103のいずれかの基部に挟み込んで止めることになり、その結果枝針106´が固定されずにブラブラすることになるものである。そしてまた、この結果、上記第1の問題点と同様の問題が起こることのなるものである。
【0007】
また、第3の問題点は、ハリス105をハリス巻き掛け片103に巻き掛けるときにおいて、ハリス105がハリス巻き掛け片103の角に擦れて表面に傷がつき易いことである。即ち、ハリス巻き掛け片103は、相互の間隔が相当離れていることから、これに巻き掛けたハリス105は各ハリス巻き掛け片103の左右の側部の角にある程度の角度をもって接触することになり、このため巻き掛けるときにおいて強く擦れて表面に傷がつき易くなるものである。特に細いハリスは表面に傷がつくと切れやすく、この点は解決すべき大きな問題点である。
【0008】
更にまた、第4の問題点は、前記の如くハリス巻き掛け片103は、相互の間隔が相当離れていることから、これに巻き掛けたハリス105は各ハリス巻き掛け片103の左右の側部の角にある程度の角度をもって接触しているから、長期間仕掛けを使用しないままにしておくと、ハリス105の折れ曲がった部分がそのままの状態になってしまうという問題点である。一旦このようになった場合には真直ぐに戻すことはできず、仕掛けの機能を充分に発揮させることができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであって、軟質合成樹脂からなる円盤状のハリス巻回体の前面部に、釣りの仕掛けにおける針の針先を刺入して保持することにより、前記従来の釣り用仕掛け巻き具の第1の問題点と第2の問題点を解消すると共に、ハリス巻回体の円周方向の全面に亘って角のない曲面となっている外周面部に、釣りの仕掛けにおけるハリスを巻き回すことにより、ハリスを巻き回すときにおいてハリスの表面を傷つけることがないと共に、長期間保管してもハリスに折れ曲がった癖がつかないようになした釣り用仕掛け巻き具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して、本発明の要旨とするところは、針先を刺入可能な軟質合成樹脂からなり、外周面部に釣りの仕掛けにおけるハリスを巻回するに足りる厚みを有すると共に、前面部を後面部より径大としてテーパー形状となした円盤状のハリス巻回体と、硬質合成樹脂からなり、前面部中央に、前記ハリス巻回体の後面部を接着した円板状の摘み体とからなり、前記摘み体に、前記ハリス巻回体の後面部の輪郭に沿って等間隔に、夫々が前記ハリス巻回体の外周面部に密着すると共に、先端部が前記ハリス巻回体の前面部より突出する切り起こし片を設け、更に、前記摘み体及び/又は摘み体における切り起こし片に、前記ハリス巻回体に巻回したハリスの後端を挟み込んで保持するためのハリス後端保持手段を設けてなることを特徴とする釣り用仕掛け巻き具にある。
【0011】
また、上記構成において、ハリス巻回体としては発泡ポリエチレンからなるものが好ましい。
【0012】
また、上記構成において、ハリス後端保持手段として、前記摘み体における前記各切り起こし片の間に設けた、ハリスの後端を摘み体の前面部から後面部に潜り抜けさせる穴の縁に設けた切込みとしてもよい。
【0013】
また、上記構成において、ハリス後端保持手段として、前記切り起こし片における前記ハリス巻回体の前面部よりも先端部寄り側に設けた、U字状の切込みによって形成した挟持片としてもよい。
【0014】
また、上記構成において、ハリス後端保持手段として、前記切り起こし片における先端部に設けた切込みとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上記の如き構成であり、軟質合成樹脂からなる円盤状のハリス巻回体の前面部に、釣りの仕掛けにおける針の針先を刺入して保持することにより、前記従来の釣り用仕掛け巻き具の第1の問題点と第2の問題点を解消することができるものである。
【0016】
即ち、釣りの仕掛けにおける針の針先は、ハリス巻回体の前面部に刺入して保持されるから、仕掛けの扱い中に人や物を刺す虞がなく、また、針先が硬いものに接触して折れ曲がったり、折れたりする虞もなく、更にまた、釣り用仕掛け巻き具をいくつも重ね合わせた状態で携行するときにおいても、一方側の釣り用仕掛け巻き具に巻いた仕掛けの針が隣の他方側の釣り用仕掛け巻き具に巻いた仕掛けに引っ掛かる虞もなくなるものである。
【0017】
また、釣りの仕掛けが枝針の場合、即ち、先端に先針を結着したハリス本線に枝ハリスを介して枝針をつける仕掛けの場合において、先針と同様に枝針もハリス巻回体の前面部に刺入して保持することができ、且つまた、枝針はハリス巻回体の前面部においてどの位置に刺入してもよいから、枝ハリスが弛むことなくピンと張った状態において保持しておくことができるものである。したがって、枝針が従来の釣り用仕掛け巻き具におけるが如くブラブラすることがないものである。
【0018】
また、釣りの仕掛けにおけるハリスは、円盤状で、円周方向の全面に亘って角のない曲面となっているハリス巻回体の外周面部に巻き回すものであるから、釣りの仕掛けにおけるハリスを巻き回すときにおいてハリスの表面を傷つけることがないと共に、長期間保管してもハリスに折れ曲がった癖がつかないようにすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る釣り用仕掛け巻き具の斜視図である。
図2】同正面図である。
図3】同背面図である。
図4】同底面図である。
図5図2中A−A切断部端面図である。
図6図2中B−B切断部端面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る釣り用仕掛け巻き具の使用方法の説明図であり、1組の釣りの仕掛けを巻く場合における巻き始めの状態を示すものである。
図8】同途中まで巻いた状態を示すものである。
図9】同巻き終わった状態を示すものである。
図10】同2組の釣りの仕掛けを巻く場合における1組目の釣りの仕掛けの後端と2組目の釣りの仕掛けの針との連絡状態を示すものである。
図11】同枝針が1本の1組の釣りの仕掛けを巻く場合の巻き終わった状態を示すものである。
図12】同枝針が1本の2組の釣りの仕掛けを巻く場合の巻き終わった状態を示すものである。
図13図12に示す状態の斜視図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る釣り用仕掛け巻き具の斜視図である。
図15】同正面図である。
図16】同背面図である。
図17】同底面図である。
図18図15中C−C切断部端面図である。
図19】同使用状態におけるハリス後端保持部分の部分拡大図である。
図20】本発明の第3実施形態に係る釣り用仕掛け巻き具の斜視図である。
図21】同使用状態におけるハリス後端保持部分の部分拡大図である。
図22】従来の釣り用仕掛け巻き具の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
先ず、図1乃至図13に示す本発明の第1実施形態について説明する。
図中、1は釣り用仕掛け巻き具である。また、該釣り用仕掛け巻き具1は、以下のハリス巻回体と摘み体とからなるものである。
【0022】
2は針先を刺入可能な軟質合成樹脂からなり、外周面部2cに釣りの仕掛けにおけるハリスを巻回するに足りる厚みt(図6)を有すると共に、前面部2aを後面部2bより径大としてテーパー形状となした円盤状のハリス巻回体である。
【0023】
また、該ハリス巻回体2は、本実施形態においては軟質合成樹脂として発泡ポリエチレンからなるものを用いているが、ハリスを外周面部に巻回するときにおいて食い込まず、且つ針の針先を刺入可能であればその他のものを用いてもよい。
【0024】
3は塩化ビニール樹脂等の硬質合成樹脂からなり、前面部3a中央に、前記ハリス巻回体2の後面部2bを接着した円板状の摘み体である。
【0025】
また、前記摘み体3には、前記ハリス巻回体2の後面部2bの輪郭に沿って等間隔に、夫々が前記ハリス巻回体2の外周面部2cに密着すると共に、先端部4aが前記ハリス巻回体2の前面部2aより突出する切り起こし片4を設けている。また、該切り起こし片4は、本実施形態においては、摘み体3において前記ハリス巻回体2の後面部2bの輪郭線の外側にU字状の切込み4´を設け、該輪郭線の位置にて起こして形成している。更に、前記ハリス巻回体2に巻き回したハリスの後端を挟み込んで保持するためのハリス後端保持手段を備えており、該ハリス後端保持手段として、本実施形態においては、前記摘み体3における前記各切り起こし片4の間に設けた、ハリスの後端を摘み体3の前面部3aから後面部3bに潜り抜けさせるための穴5の縁に設けた切込み6をもって構成している。そして、ハリスの後端を保持するときには、図13に示す如く、ハリスの後端8bを該切込み6に挟み込むものである。これによりハリスの後端8bはしっかりと保持されることになるものである。尚、外すときには、撚り戻し9を摘まんで引っ張れば容易に行うことができるものである。
【0026】
尚、前記切り起こし片4は、釣りの仕掛けにおけるハリスを巻き回すときにおいて、巻いたハリスがハリス巻回体2の後面部2bの周縁と摘み体3との接着部分に食い込み、その結果として両者の間に挟まれて、ハリスを解くときに、これをスムーズに行うことができなくなることを防ぐためのものである。即ち、図5に示す如く、切り起こし片4は、折れ曲がった基部4bが摘み体3に一体的に連続するものであるから、巻いたハリスは該切り起こし片4の基部4bに接触して、それ以上内側に巻き込まれることがなく、もってハリスのハリス巻回体2の後面部2bの周縁と摘み体3との接着部分への食い込みを防ぐことができるものである。且つまた、該切り起こし片4は、図7に示す如く、ハリス巻回体2の前面部2aより突出する上端部4aを、ハリスを巻き始めるときのハリス掛けとしても用いるものであり、これがないとハリス巻回体2に巻くことはできない。
【0027】
次に、上記実施形態に係る釣り用仕掛け巻き具の使用方法について説明する。
【0028】
先ず、図7乃至図9に示した1組の釣りの仕掛けを巻く場合について説明する。
先ず、図7に示す如く、釣りの仕掛けにおける針7の針先をハリス巻回体2の前面部2aに刺入する。次に、該針7を先端8aに結着したハリス8を延ばして、針7と対角線上に位置する切り起こし片4の先端部4aに掛ける。そして、両手で摘み体3を摘まんで回転させ、図8に示す如く、ハリス巻回体2の外周面部2cにハリス8を巻き回す。そして、ハリス8を、その後端8b近くまで巻いたら、図9に示す如く、該ハリスの後端8bを摘み体3に穿設した穴5を潜り抜けさせて該摘み体3の後面部3b側に引き出し、切込み6に挟み込んで固定するものである。尚、図において、9はハリスの後端8bに結着した撚り戻しである。そしてまた、釣りの仕掛けを解くときには、前記と逆の手順によって行うものである。
【0029】
次に、図10に示した2組の釣りの仕掛けを巻く場合について説明する。
1組目の釣りの仕掛けの巻き方は、前記図7及び図8に示した場合と同様である。そして、2組目の釣りの仕掛けを巻くときには、ハリス8の後端8bを、前記図9に示した如く穴5から摘み体3の後面部3側に潜り抜けさないで、図10に示した如く、切り起こし片4の先端部4aに掛けてハリス巻回体2の前面部2a側に引き出し、その端部に結着した撚り戻し9の輪に、2組目の針7´を掛けて、その針先をハリス巻回体2の前面部2aに刺入するものである。そして、その後は前記と同様の手順により巻くものである。尚、本実施形態においては2組の釣りの仕掛けを巻く場合について示したが、同様の手順により、これ以上の組数の釣りの仕掛けを巻くことも可能である。
【0030】
次に、図11に示した枝針が1本の1組の釣りの仕掛けを巻く場合について説明する。
斯かる場合においては、先針7の針先をハリス巻回体2の前面部2aに刺入し、ハリス本線8を延ばして切り起こし片4の先端部4aに掛け、その後ハリス本線8をハリス巻回体2に掛け回すことまでは前記の通りの手順と同様である。そして、枝ハリス8Aの結着部分に至ったら、該枝ハリス8Aをハリス本線8と一緒にハリス巻回体2に巻き回す。そして、枝ハリス8Aの先端近くまで巻き回したら、該枝ハリス8Aを切り起こし片4の先端部4aに掛けてハリス巻回体2の前面部2a側に引き出し、その先端に結着した枝針7Aの針先をハリス巻回体2の前面部2aに刺入する。そして、その後更にハリス本線8のみをハリス巻回体2に巻き回し、最後にハリス本線8の後端を穴5から摘み体3の後面部3b側に引き出し、切込み6に挟み込んで固定するものである。
【0031】
次に、図12に示した枝針が1本の2組の釣りの仕掛けを巻く場合について説明する。
斯かる場合には、1組目の釣りの仕掛けをハリス巻回体2に巻くまでの手順は、前記図11に示した手順と同様である。そして、ハリス本線8の後端8bがハリス巻回体2の前面部2aに引き出されたら、その端部に結着した撚り戻し9の輪に、2組目の釣りの仕掛けにおける先針7を掛けて、その針先をハリス巻回体2の前面部2aに刺入するものである。そして、その後は前記と同様の手順により巻くものである。また、斯かる場合においては、各枝針を刺入する度に、順に当該枝針の刺入した順番を示す符号10を表示することが好ましい。尚、この符号の表示は、例えば、小さなシールに数字等を記入し、各シールを順次貼着する等の適宜の手段によって行えばよい。
【0032】
本実施形態は上記の如くであり、軟質合成樹脂からなる円盤状のハリス巻回体2の前面部2aに、釣りの仕掛けにおける針の針先を刺入して保持することにより、前記従来の釣り用仕掛け巻き具の第1の問題点と第2の問題点を解消することができるものである。
【0033】
即ち、釣りの仕掛けにおける針の針先は、ハリス巻回体2の前面部2aに刺入して保持されるから、仕掛けの扱い中に人や物を刺す虞がなく、また、針先が硬いものに接触して折れ曲がったり、折れたりする虞もなく、更にまた、釣り用仕掛け巻き具をいくつも重ね合わせた状態で携行するときにおいても、一方側の釣り用仕掛け巻き具に巻いた仕掛けの針が隣りの他方側の釣り用仕掛け巻き具に巻いた仕掛けに引っ掛かる虞もなくなるものである。
【0034】
また、釣りの仕掛けが枝針の場合、即ち、先端に先針を結着したハリス本線に枝ハリスを介して枝針をつける仕掛けの場合において、先針と同様に枝針もハリス巻回体2の前面部2aに刺入して保持することができ、且つまた、枝針はハリス巻回体2の前面部2aにおいてどの位置に刺入してもよいから、枝ハリスが弛むことなくピンと張った状態において保持しておくことができるものである。したがって、枝針が従来の釣り用仕掛け巻き具におけるが如くブラブラすることがないものである。
【0035】
また、釣りの仕掛けにおけるハリスは、円盤状で、円周方向の全面に亘って角のない曲面となっているハリス巻回体2の外周面部2cに巻き回すものであるから、釣りの仕掛けにおけるハリスを巻き回すときにおいてハリスの表面を傷つけることがないと共に、長期間保管してもハリスに折れ曲がった癖がつかないようにすることができるものである。
【0036】
次に、図14乃至図19に示した本発明の第2実施形態について説明する。
【0037】
本実施形態と前記第1実施形態とは、摘み体における切り起こし片の形成の仕方と、ハリス後端保持手段の構成において相違するものである。即ち、前記第1実施形態における切り起こし片4は、摘み体3においてハリス巻回体2の後面部2bの輪郭線の外側にU字状の切込み4´を設け、該輪郭線の位置にて起こして形成しているのに対して、本実施形態においては、摘み体3においてハリス巻回体2の後面部2bの輪郭線の内側にU字状の切込み4´を設け、該輪郭線の位置にて起こして形成している点において相違している。
【0038】
また、ハリス巻回体2に巻き回したハリスの後端を挟んで保持するためのハリス後端保持手段として、前記第1実施形態においては、摘み体3における各切り起こし片4の間に設けた、ハリスの後端を摘み体3の前面部3aから後面部3bに潜り抜けさせるための穴5の縁に設けた切込み6をもって構成しているのに対して、本実施形態においては、切り起こし片4におけるハリス巻回体2の前面部2aよりも先端部4a寄り側に設けた、U字状の切込み10´によって形成した挟持片10をもって構成している点においても相違している。そして、本実施形態においてハリスの後端を保持するときには、図19に示す如く、挟持片10を一旦内側から外側に押し出して切り起こし片4との間にハリスの後端8bを挟み込むものであり、そして挟み込んだ状態は挟持片10の弾性復元力によって保持されるものである。これによってハリスの後端8bはしっかりと保持されることになるものである。尚、外すときには、撚り戻し9を摘まんで引き上げれば容易に行うことができるものである。また、その他の構成並びに使用方法等は前記第1実施形態と同様であるから、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0039】
次に、図20乃び図21に示した本発明の第3実施形態について説明する。
【0040】
本実施形態と前記第1実施形態とは、摘み体における切り起こし片の形成の仕方と、ハリス後端保持手段の構成において相違するものである。即ち、前記第1実施形態における切り起こし片4は、摘み体3においてハリス巻回体2の後面部2bの輪郭線の外側にU字状の切込み4´を設け、該輪郭線の位置にて起こして形成しているのに対して、本実施形態においては、前記第2実施形態と同様に、摘み体3においてハリス巻回体2の後面部2bの輪郭線の内側にU字状の切込み4´(図示せず。)を設け、該輪郭線の位置にて起こして形成している点において相違している。
【0041】
また、ハリス巻回体2に巻き回したハリスの後端を挟んで保持するためのハリス後端保持手段として、前記第1実施形態においては、摘み体3における各切り起こし片4の間に設けた、ハリスの後端を摘み体3の前面部3aから後面部3bに潜り抜けさせるための穴5の縁に設けた切込み6をもって構成しているのに対して、本実施形態においては、切り起こし片4における先端部4aに設けた切込み11をもって構成している点においても相違している。そして、本実施形態においてハリスの後端を保持するときには、図21に示す如く、ハリスの後端8bを切込み11に上から入れて食い込ませるものである。尚、外すときには、撚り戻し9を摘まんで上に引き上げれば容易に行うことができるものである。また、その他の構成並びに使用方法等は前記第1実施形態と同様であるから、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
また、ハリス後端保持手段として、上記第1実施形態においては摘み体に、また上記第2実施形態と第3実施形態においては切り起こし片に夫々設けているが、図示はしないが、摘み体と切り起こし片の両方に同様のものを設けるようにしてもよいものである。
【符号の説明】
【0043】
1 釣り用仕掛け巻き具
2 ハリス巻回体
2a ハリス巻回体の前面部
2b ハリス巻回体の後面部
2c ハリス巻回体の外周面部
3 摘み体
3a 摘み体の前面部
3b 摘み体の後面部
4 切り起こし片
4a 切り起こし片の先端部
5 穴
6 切込み
10 挟持片
11 切込み
【要約】      (修正有)
【課題】針先が露出していることによる種々の問題点を解消すると共に、巻いたハリスの表面に傷をつけることなく、更に長期間保管してもハリスに折れ曲がる癖がつかない釣用仕掛け巻き付け具の提供。
【解決手段】針先を刺入可能な軟質合成樹脂からなり、外周面部に釣りの仕掛けにおけるハリスを巻回すると共に、前面部2aをテーパー形状で円盤状のハリス巻回体2と、硬質合成樹脂からなり、前面部3a中央に、前記ハリス巻回体2を接着した円板状の摘み体3とからなる。摘み体3には、ハリス巻回体2の輪郭に沿って等間隔に、夫々がハリス巻回体2の外周面に密着すると共に、先端部4aがハリス巻回体2の前面部2aより僅かに突出する切り起こし片4を設ける。更に、ハリスの後端を保持するハリス後端保持手段として、摘み体3における各切り起こし片4の間に設けた穴5の縁に設けた切込み6によって構成する。
【選択図】図13
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