特許第6249321号(P6249321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6249321合成繊維用処理剤、合成繊維及び合成繊維の処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6249321
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】合成繊維用処理剤、合成繊維及び合成繊維の処理方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/647 20060101AFI20171211BHJP
   C08G 77/46 20060101ALN20171211BHJP
   D06M 101/16 20060101ALN20171211BHJP
【FI】
   D06M15/647
   !C08G77/46
   D06M101:16
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-109825(P2017-109825)
(22)【出願日】2017年6月2日
【審査請求日】2017年6月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081798
【弁理士】
【氏名又は名称】入山 宏正
(72)【発明者】
【氏名】新井 伸明
(72)【発明者】
【氏名】寺田 光良
(72)【発明者】
【氏名】溝口 琢郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 文義
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−151385(JP,A)
【文献】 特開昭58−54081(JP,A)
【文献】 特開2003−105677(JP,A)
【文献】 特開2011−116902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M13/00−15/715
C08G77/00−77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤及びポリエーテル変性シリコーンを含有して成る合成繊維用処理剤であって、該ポリエーテル変性シリコーンが下記の化1で示される質量平均分子量40000未満のものであることを特徴とする合成繊維用処理剤。
【化1】
(化1において、
X:下記の化2で示される有機基
Y:下記の化3で示される有機基
Z:下記の化4で示される有機基
X,Y,Z:これらの繰り返しはブロック又はランダムのいずれの方法で繰り返されていてもよい
p:0以上65未満の整数
q,r:1以上の整数(但し、(q/(q+r))×100が99.5以下となる整数)
【化2】
【化3】
【化4】
(化2〜化4において、
:炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20アルケニル基
:炭素数3〜6のアルキレン基
:水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又は炭素数2〜8のアシル基
A:1〜200個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
【請求項2】
平滑剤、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤及びポリエーテル変性シリコーンの含有割合の合計が100質量%となるよう、平滑剤を0〜75質量%、非イオン性界面活性剤を9〜99質量%、イオン性界面活性剤を0.5〜10質量%及びポリエーテル変性シリコーンを0.05〜5質量%の割合で含有して成る請求項1記載の合成繊維用処理剤。
【請求項3】
Aが、10〜100個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である請求項1又は2記載の合成繊維用処理剤。
【請求項4】
Aのオキシアルキレン単位が、オキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位である請求項1〜3のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
【請求項5】
Aの(ポリ)オキシアルキレン基が、オキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位がランダムに結合されたものである請求項1〜4のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
【請求項6】
Aの(ポリ)オキシアルキレン基が、単位数でオキシエチレン単位を20%以下の割合で含むオキシアルキレン単位で構成されたものである請求項1〜5のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤が付着していることを特徴とする合成繊維。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤を、合成繊維に対し0.1〜3質量%となるように付着させることを特徴とする合成繊維の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は合成繊維用処理剤、合成繊維及び合成繊維の処理方法に関し、さらに詳しくは合成繊維解舒時の張力変動を抑制し、高温での安定性が良好な合成繊維用処理剤、かかる合成繊維用処理剤が付着した合成繊維及びかかる合成繊維用処理剤を用いた合成繊維の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、合成繊維の製造及至加工工程では高速化が推進され、これに伴う断糸や毛羽等の問題を解決するための合成繊維用処理剤を使用している。かかる毛羽や断糸を抑制する合成繊維用処理剤としては、特定の表面張力のポリエーテル変性シリコーンを添加したものや(例えば特許文献1参照)、平均分子量が300〜500の一塩基酸エステルを主成分とし、平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレングリコール共重合体、有機シロキサン化合物及び/又はフルオロアルキル基含有化合物を含有するもの(例えば特許文献2参照)等が提案されている。しかし、これら従来の合成繊維用処理剤には、紡糸工程で作製した糸の巻形状が不良で、その解舒時に断糸の原因となる張力変動が大きく、解舒性が悪いという問題がある。パッケージ外観と解舒性に優れる合成繊維用処理剤として、特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含むもの(例えば特許文献3参照)等も提案されているが、かかる従来の合成繊維用処理剤には、高温での安定性が不十分であり、高温地域では使用し難いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−228813号公報
【特許文献2】特開平5−287609号公報
【特許文献3】特許第5878261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、解舒性が良好で、高温での安定性に優れる合成繊維用処理剤、かかる合成繊維用処理剤が付着した合成繊維及びかかる合成繊維用処理剤を用いた合成繊維の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、特定の構造で特定の分子量のポリエーテル変性シリコーンを含有する合成繊維用処理剤が正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤及びポリエーテル変性シリコーンを含有して成る合成繊維用処理剤であって、該ポリエーテル変性シリコーンが下記の化1で示される質量平均分子量40000未満のものであることを特徴とする合成繊維用処理剤に係る。また本発明は、かかる合成繊維用処理剤が付着した合成繊維、及びかかる合成繊維用処理剤を用いた合成繊維の処理方法に係る。




【0007】
【化1】
【0008】
化1において、
X:下記の化2で示される有機基
Y:下記の化3で示される有機基
Z:下記の化4で示される有機基
X,Y,Z:これらの繰り返しはブロック又はランダムのいずれの方法で繰り返されていてもよい
p:0以上65未満の整数
q,r:1以上の整数(但し、(q/(q+r))×100が99.5以下)
【0009】
【化2】
【0010】
【化3】
【0011】
【化4】
【0012】
化2〜化4において、
:炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基
:炭素数3〜6のアルキレン基
:水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又は炭素数2〜8のアシル基
A:1〜200個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基。
【0013】
先ず、本発明に係る合成繊維用処理剤(以下、本発明の処理剤という)について説明する。本発明の処理剤は、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤及び特定のポリエーテル変性シリコーンを含有して成ることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の処理剤に供する非イオン性界面活性剤としては、1)ポリオキシエチレンオレート、ポリオキシエチレンメチルエーテルラウレート、ポリオキシエチレンオクチルエーテルラウレート、ポリオキシエチレンジオレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシブチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリメチロールプロピルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンプロピレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンラウロアミドエーテル等の、有機酸、有機アルコール、有機アミン、有機アミド等に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、2)ポリオキシアルキレンソルビタントリオレート、ポリオキシアルキレンヒマシ油エーテル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油エーテルトリオレート等のポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル、3)ジエタノールアミンモノラウロアミド等のアルキルアミド、4)ポリオキシエチレンジエタノールアミンモノオレイルアミド等のポリオキシアルキレン脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0015】
本発明の処理剤に供するイオン性界面活性剤としては、合成繊維用処理剤として使用される公知のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、1)オクチル酸カリウム、オレイン酸カリウム、オクタン酸カリウム、ドデセニルコハク酸ジカリウム等の有機脂肪酸塩、2)デカンスルホン酸カリウム、テトラデカンスルホン酸ナトリウム、ドデカンスルホン酸リチウム等の有機スルホン酸塩、3)ドデシル硫酸ナトリウム等の有機硫酸塩、4)ラウリルリン酸エステルナトリウム、オレイルリン酸エステルカリウム、ヘキサデシルリン酸エステルカリウム、オクタデシルリン酸エステルカリウム、オレイルリン酸エステルトリエタノールアミン等の有機リン酸エステル塩等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、テトラブチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩等が挙げられ、両性界面活性剤としては、ジメチルステアリルアミンオキサイド等の有機アミンオキサイド、オクチルジメチルアンモニオアセタート等のベタイン型両性界面活性剤、N,N−ビス(2−カルボキシエチル)−オクチルアミンナトリウム等のアラニン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0016】
本発明の処理剤に供するポリエーテル変性シリコーンは、前記の化1で示される質量平均分子量40000未満のものであるが、質量平均分子量8000〜35000のものが好ましい。質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下GPCという)によるポリスチレン換算値として、常法により求めることができる。
【0017】
化1中のX、Y、Zはそれぞれ前記の化2、化3、化4で示される有機基である。X、Y、Z、これらの繰り返しはブロック又はランダムのいずれで繰り返されていてもよい。
【0018】
化1中のpは0以上65未満の整数である。
【0019】
化1中のq,rは1以上の整数であり、(q/(q+r))×100が99.5以下となる整数である。
【0020】
化1中のp、q、rは、化1で示されるポリエーテル変性シリコーンのH−NMRにより得られるケミカルシフトと、GPCにより得られる質量平均分子量から求めることができる。
【0021】
化2中のRは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基である。かかるアルキル基又はアルケニル基は直鎖若しくは分岐の何れでもよい。かかるRとしては、1)メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等のアルキル基、2)エテニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等のアルケニル基が挙げられるが、なかでもメチル基が好ましい。
【0022】
化3中のRは炭素数3〜6のアルキレン基である。かかるアルキレン基は直鎖若しくは分岐の何れでもよい。かかるRとしては、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、テトラメチレン基、2−メチルプロピレン基、ペンタメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、ヘキサメチレン基、2−メチルペンタメチレン基等が挙げられるが、なかでもプロピレン基、ブチレン基が好ましい。
【0023】
化3中のAは1〜200個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である。炭素数2〜4のオキシアルキレン基としてはオキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン等が挙げられる。
【0024】
化3中のRは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又は炭素数2〜8のアシル基である。炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基としては化2中のRと同様のものが挙げられる。炭素数2〜8のアシル基としてはアセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基等が挙げられ、これらは直鎖若しくは分岐のいずれでもよいが、なかでもメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基や水素原子が好ましい。
【0025】
本発明の処理剤は、いずれも以上説明したような、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤及びポリエーテル変性シリコーンを含有して成る合成繊維用処理剤であるが、更に平滑剤を含有することができ、この場合、平滑剤、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤及びポリエーテル変性シリコーンの含有割合の合計が100質量%となるよう、平滑剤を0〜75質量%、非イオン性界面活性剤を9〜99質量%、イオン性界面活性剤を0.5〜10質量%、及びポリエーテル変性シリコーンを0.05〜5質量%の割合で含有するものが好ましい。
【0026】
本発明の処理剤に供する平滑剤としては、1)ブチルステアレート、オクチルステアレート、オレイルラウレート、オレイルオレート、イソペンタコサニルイソステアレート、オクチルパルミテート、イソトリデシルステアレート等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、2)1,6−ヘキサンジオールジデカネート、トリメチロールプロパンモノオレートモノラウレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノステアレート、グリセリンモノラウレート等の、脂肪族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、3)ジラウリルアジペート、ジオレイルアゼレート、ジイソセチルチオジプロピオネート、ビスポリオキシエチレンラウリルアジペート等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族多価カルボン酸とのエステル化合物、4)ベンジルオレート、ベンジルラウレート、ポリオキシプロピレンベンジルステアレート等の、芳香族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、5)ビスフェノールAジラウレート、ポリオキシエチレンビスフェノールAジラウレート等の、芳香族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、6)ビス2−エチルヘキシルフタレート、ジイソステアリルイソフタレート、トリオクチルトリメリテート等の、脂肪族モノアルコールと芳香族多価カルボン酸とのエステル化合物、7)ヤシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、大豆油、ヒマシ油、ゴマ油、魚油及び牛脂等の天然油脂、8)鉱物油等、合成繊維用処理剤に採用されている公知の平滑剤が挙げられる。
【0027】
化3中のAは、1〜200個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基であるが、10〜100個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合が好ましい。
【0028】
また化3中のAのオキシアルキレン単位は、炭素数2〜4のオキシアルキレン単位であるが、オキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位である場合が好ましく、オキシエチレン単位及びポリプロピレン単位がランダムに結合したものである場合がより好ましい。
【0029】
更に化3中のAの(ポリ)オキシアルキレン基は、炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基であるが、単位数でオキシエチレン単位を20%以下の割合で含むオキシアルキレン単位で構成されたものである場合が好ましい。
【0030】
本発明の処理剤には、合目的的に他の成分、例えば消泡剤、酸化防止剤、防腐剤、防錆剤等を併用することができるが、その併用量は本発明の効果を損なわない範囲内でできるだけ少量とすることが好ましい。
【0031】
本発明の処理剤には、合目的的に他の変性シリコーン、例えば化1に該当しないポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等や、シリコーンレジン等を併用することができるが、その併用量は本発明の効果を損なわない範囲内でできるだけ少量とすることが好ましい。
【0032】
次に本発明に係る合成繊維について説明する。本発明に係る合成繊維は、以上説明した本発明の処理剤が合成繊維に付着しているものである。
【0033】
本発明の処理剤を付着させる合成繊維としては、1)ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ乳酸エステル等のポリエステル系繊維、2)ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、3)ポリアクリル、モダアクリル等のポリアクリル系繊維、4)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維等が挙げられるが、なかでもポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維に付着させる場合に効果の発現が高い。
【0034】
最後に、本発明に係る合成繊維の処理方法について説明する。本発明の処理方法は、以上説明したような本発明の処理剤を合成繊維に対し0.1〜3質量%となるよう付着させる方法である。本発明の処理剤を合成繊維に付着させる工程としては、紡糸工程、紡糸と延伸とを同時に行なう工程等が挙げられる。また本発明の処理剤を合成繊維に付着させる方法としては、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、浸漬給油法、スプレー給油法等が挙げられる。更に本発明の処理剤を合成繊維に付着させる際の形態としては、ニート、有機溶剤溶液、水性液等が挙げられるが、水性液が好ましい。本発明の処理剤の水性液を付着させる場合も、合成繊維に対し本発明の処理剤として0.1〜3質量%、好ましくは0.3〜1.2質量%となるよう付着させる。
【0035】
本発明の処理剤の水性液に供する水としては、水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられるが、なかでもイオン交換水、蒸留水が好ましい。
【発明の効果】
【0036】
以上説明した本発明によると、解舒性が良好で、高温での安定性に優れるという効果がある。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0038】
試験区分1(ポリエーテル変性シリコーンの合成)
・ポリエーテル変性シリコーン(P−1)の合成
ヘキサメチルジシロキサン6.3部、オクタメチルシクロテトラシロキサン86.7部、テトラメチルシクロテトラシロキサン7.0部及び触媒として硫酸1部を反応容器に仕込み、反応系の温度を80℃に保ち、20時間反応を行った。反応中はジムロート冷却管にて還流を行った。反応終了後、炭酸水素ナトリウムを1.7部加え、1時間中和した後、水を5部加えて30分撹拌した。反応容器内の内容物を分液漏斗に移し、一晩分離させた後、下層の水を捨てた。上層の液を2時間120℃にて脱水し、中間体としてメチルハイドロジェンポリジメチルシロキサンを得た。かくして得られたメチルハイドロジェンポリジメチルシロキサン31.3部、ポリアルキレングリコールアリルエーテル(ポリアルキレングリコール部としてオキシエチレン単位5個とオキシプロピレン単位44個とがランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するもの)68.7部、触媒として塩化白金6水和物の濃度が0.5質量%のイソプロパノール溶液を0.5部及びキシレン150部を反応容器に仕込み、反応系の温度を120℃に保ち、3時間付加反応を行なった。反応系からキシレンを減圧留去した後、触媒を濾別し、反応生成物を得た。得られた反応生成物について、H−NMR(VARIAN 300MHz、CDCl)とGPC(東ソー株式会社製の商品名HLC−8120GPC)にて分析した。H−NMRにより得られたケミカルシフトを表1に示した。またGPCにより得られた分子量が最大のピークを質量平均分子量として表12に示した。













【0039】
【表1】
【0040】
H−NMRとGPCの結果より、得られた反応生成物は、化1中のpが30、qが2、rが1、化2中のRがメチル基、化3中のRがn−プロピレン基、Rが水素原子、Aがオキシエチレン単位5個とオキシプロピレン単位44個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化1で示されるポリエーテル変性シリコーンであった。このポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量は8200であった。
【0041】
・ポリエーテル変性シリコーン(P−2)の合成
ヘキサメチルジシロキサン3.8部、オクタメチルシクロテトラシロキサン87.7部、テトラメチルシクロテトラシロキサン8.5部及び触媒として硫酸1部を反応容器に仕込み、ポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、メチルハイドロジェンポリジメチルシロキサンを得た。かくして得られたメチルハイドロジェンポリジメチルシロキサン40.6部、ポリアルキレングリコールアリルエーテル(ポリアルキレングリコール部としてオキシエチレン単位10個とオキシプロピレン単位45個とがランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するもの)59.4部、触媒として塩化白金6水和物の濃度が0.5質量%のイソプロパノール溶液を0.5部及びキシレン150部を反応容器に仕込み、更にポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、反応生成物を得た。この反応生成物をポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様にH−NMR及びGPCにて分析した。得られたケミカルシフトを表2に示し、また質量平均分子量を表12に示した。






【0042】
【表2】
【0043】
H−NMRとGPCの結果より、得られた反応生成物は、化1中のpが50、qが2、rが4、化2中のRがメチル基、化3中のRがn−プロピレン基、Rが水素原子、Aがオキシエチレン単位10個とオキシプロピレン単位45個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化1で示されるポリエーテル変性シリコーンであった。このポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量は10500であった。
【0044】
・ポリエーテル変性シリコーン(P−3)の合成
ヘキサメチルジシロキサン5.9部、オクタメチルシクロテトラシロキサン81.0部、テトラメチルシクロテトラシロキサン13.1部及び触媒として硫酸1部を反応容器に仕込み、ポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、メチルハイドロジェンポリジメチルシロキサンを得た。かくして得られたメチルハイドロジェンポリジメチルシロキサン14.1部、ポリアルキレングリコールアリルエーテル(ポリアルキレングリコール部としてオキシエチレン単位15個とオキシプロピレン単位60個とがランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するもの)85.9部、触媒として塩化白金6水和物の濃度が0.5質量%のイソプロパノール溶液を0.5部及びキシレン150部を反応容器に仕込み、更にポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、反応生成物を得た。この反応生成物をポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様にH−NMR及びGPCにて分析した。得られたケミカルシフトを表3に示し、また質量平均分子量を表12に示した。






【0045】
【表3】
【0046】
H−NMRとGPCの結果より、得られた反応生成物は、化1中のpが30、qが4、rが2、化2中のRがメチル基、化3中のRがn−プロピレン基、Rが水素原子、Aがオキシエチレン単位15個とオキシプロピレン単位60個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化1で示されるポリエーテル変性シリコーンであった。このポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量は19500であった。
【0047】
・ポリエーテル変性シリコーン(P−4)の合成
ヘキサメチルジシロキサン3.1部、オクタメチルシクロテトラシロキサン85.4部、テトラメチルシクロテトラシロキサン11.5部及び触媒として硫酸1部を反応容器に仕込み、ポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、メチルハイドロジェンポリジメチルシロキサンを得た。かくして得られたメチルハイドロジェンポリジメチルシロキサン18.3部、ポリアルキレングリコールメチルモノブテニルエーテル(ポリアルキレングリコール部としてオキシエチレン単位5個とオキシプロピレン単位45個とがランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するもの)81.7部、触媒として塩化白金6水和物の濃度が0.5質量%のイソプロパノール溶液を0.5部及びキシレン150部を反応容器に仕込み、更にポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、反応生成物を得た。この反応生成物をポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様にH−NMR及びGPCにて分析した。得られたケミカルシフトを表4に示し、また質量平均分子量を表12に示した。






【0048】
【表4】
【0049】
H−NMRとGPCの結果より、得られた反応生成物は、化1中のpが60、qが8、rが2、化2中のRがメチル基、化3中のRがn−ブチレン基、Rがメチル基、Aがオキシエチレン単位5個、オキシプロピレン単位45個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化1で示されるポリエーテル変性シリコーンであった。このポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量は28500であった。
【0050】
・ポリエーテル変性シリコーン(P−5)の合成
ヘキサメチルジシロキサン5.9部、オクタメチルシクロテトラシロキサン81.0部、テトラメチルシクロテトラシロキサン13.1部及び触媒として硫酸1部を反応容器に仕込み、ポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、メチルハイドロジェンポリジメチルシロキサンを得た。かくして得られたメチルハイドロジェンポリジメチルシロキサン23.2部、ポリアルキレングリコールアリルエーテル(ポリアルキレングリコール部としてオキシエチレン単位15個とオキシプロピレン単位40個とがランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するもの)76.8部、触媒として塩化白金6水和物の濃度が0.5質量%のイソプロパノール溶液を0.5部及びキシレン150部を反応容器に仕込み、更にポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、反応生成物を得た。この反応生成物をポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様にH−NMR及びGPCにて分析した。得られたケミカルシフトを表5に示し、また質量平均分子量を表12に示した。






【0051】
【表5】
【0052】
H−NMRとGPCの結果より、得られた反応生成物は、化1中のpが30、qが3、rが3、化2中のRがメチル基、化3中のRがn−プロピレン基、Rが水素原子、Aがオキシエチレン単位15個とオキシプロピレン単位40個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化1で示されるポリエーテル変性シリコーンであった。このポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量は12000であった。
【0053】
・ポリエーテル変性シリコーン(P−6)の合成
ヘキサメチルジシロキサン7.4部、オクタメチルシクロテトラシロキサ67.8部、テトラメチルシクロテトラシロキサン24.7部及び触媒として硫酸1部を反応容器に仕込み、ポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、メチルハイドロジェンポリジメチルシロキサンを得た。かくして得られたメチルハイドロジェンポリジメチルシロキサン6.3部、ポリアルキレングリコールモノブテニルエーテル(ポリアルキレングリコール部としてオキシエチレン単位25個とオキシプロピレン単位120個とがブロックに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有し、ブテニルアルコールにオキシプロピレン単位のブロックが付加したもの)93.7部、触媒として塩化白金6水和物の濃度が0.5質量%のイソプロパノール溶液を0.5部及びキシレン150部を反応容器に仕込み、更にポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、反応生成物を得た。この反応生成物をポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様にH−NMR及びGPCにて分析した。得られたケミカルシフトを表6に示し、また質量平均分子量を表12に示した。





【0054】
【表6】
【0055】
H−NMRとGPCの結果より、得られた反応生成物は、化1中のpが20、qが4、rが5、化2中のRがメチル基、化3中のRがn−ブチレン基、Rが水素原子、Aがオキシエチレン単位25個とオキシプロピレン単位120個がブロックに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化1で示されるポリエーテル変性シリコーンであった。このポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量は35000であった。
【0056】
・ポリエーテル変性シリコーン(P−7)の合成
ヘキサメチルジシロキサン3.8部、オクタメチルシクロテトラシロキサン87.7部、テトラメチルシクロテトラシロキサン8.5部及び触媒として硫酸1部を反応容器に仕込み、ポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、メチルハイドロジェンポリジメチルシロキサンを得た。かくして得られたメチルハイドロジェンポリジメチルシロキサン36.2部、ポリアルキレングリコールアリルエーテル(ポリアルキレングリコール部としてオキシエチレン単位10個とオキシブチレン単位45個とがランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するもの)63.8部、触媒として塩化白金6水和物の濃度が0.5質量%のイソプロパノール溶液を0.5部及びキシレン150部を反応容器に仕込み、更にポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、反応生成物を得た。この反応生成物をポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様にH−NMR及びGPCにて分析した。得られたケミカルシフトを表7に示し、また質量平均分子量を表12に示した。






【0057】
【表7】
【0058】
H−NMRとGPCの結果より、得られた反応生成物は化1中のpが50、qが2、rが4、化2中のRがメチル基、化3中のRがn−プロピレン基、Rが水素原子、Aがオキシエチレン単位10個とオキシブチレン単位45個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化1で示されるポリエーテル変性シリコーンであった。このポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量は12000であった。
【0059】
・ポリエーテル変性シリコーン(PR−1)の合成
ヘキサメチルジシロキサン9.2部、オクタメチルシクロテトラシロキサン84.0部、テトラメチルシクロテトラシロキサン6.8部及び触媒として硫酸1部を反応容器に仕込み、ポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、メチルハイドロジェンポリジメチルシロキサンを得た。かくして得られたメチルハイドロジェンポリジメチルシロキサン39.8部、ポリアルキレングリコールアリルエーテル(ポリアルキレングリコール部としてオキシエチレン単位3個とオキシプロピレン単位20個とがランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するもの)60.2部、触媒として塩化白金6水和物の濃度が0.5質量%のイソプロパノール溶液を0.5部及びキシレン150部を反応容器に仕込み、更にポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、反応生成物を得た。この反応生成物をポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様にH−NMR及びGPCにて分析した。得られたケミカルシフトを表8に示し、また質量平均分子量を表12に示した。



【0060】
【表8】
【0061】
H−NMRとGPCの結果より、得られた反応生成物は、化1中のpが20、qが2、rが0、化2中のRがメチル基、化3中のRがn−プロピレン基、Rが水素原子、Aがオキシエチレン単位3個とオキシプロピレン単位20個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化1で示されるポリエーテル変性シリコーンであった。このポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量は4500であった。
【0062】
・ポリエーテル変性シリコーン(PR−2)の合成
ヘキサメチルジシロキサン33.1部、オクタメチルシクロテトラシロキサン30.2部、テトラメチルシクロテトラシロキサン36.7部及び触媒として硫酸1部を反応容器に仕込み、ポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、メチルハイドロジェンポリジメチルシロキサンを得た。かくして得られたメチルハイドロジェンポリジメチルシロキサン21.9部、ポリアルキレングリコールメチルアリルエーテル(ポリアルキレングリコール部としてオキシエチレン単位8個とオキシプロピレン単位3個とがランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するもの)78.1部、触媒として塩化白金6水和物の濃度が0.5質量%のイソプロパノール溶液を0.5部及びキシレン150部を反応容器に仕込み、更にポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、反応生成物を得た。この反応生成物をポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様にH−NMR及びGPCにて分析した。得られたケミカルシフトを表9に示し、また質量平均分子量を表12に示した。








【0063】
【表9】
【0064】
H−NMRとGPCの結果より、得られた反応生成物は、化1中のpが2、qが3、rが0、化2中のRがメチル基、化3中のRがn−プロピレン基、Rがメチル基、Aがオキシエチレン単位8個とオキシプロピレン単位3個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化1で示されるポリエーテル変性シリコーンであった。このポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量は2300であった。
【0065】
・ポリエーテル変性シリコーン(PR−3)の合成
ヘキサメチルジシロキサン1.4部、オクタメチルシクロテトラシロキサン70.2部、テトラメチルシクロテトラシロキサン28.4部及び触媒として硫酸1部を反応容器に仕込み、ポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、メチルハイドロジェンポリジメチルシロキサンを得た。かくして得られたメチルハイドロジェンポリジメチルシロキサン16.8部、ポリアルキレングリコールアリルエーテル(ポリアルキレングリコール部としてオキシエチレン単位5個とオキシプロピレン単位45個とがランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するもの)83.2部、触媒として塩化白金6水和物の濃度が0.5質量%のイソプロパノール溶液を0.5部及びキシレン150部を反応容器に仕込み、更にポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、反応生成物を得た。この反応生成物をポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様にH−NMR及びGPCにて分析した。得られたケミカルシフトを表10に示し、また質量平均分子量を表12に示した。








【0066】
【表10】
【0067】
H−NMRとGPCの結果より、得られた反応生成物は、化1中のpが110、qが20、rが35、化2中のRがメチル基、化3中のRがn−プロピレン基、Rが水素原子、Aがオキシエチレン単位5個とオキシプロピレン単位45個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化1で示されるポリエーテル変性シリコーンであった。このポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量は70000であった。
【0068】
・ポリエーテル変性シリコーン(PR−4)の合成
ヘキサメチルジシロキサン0.9部、オクタメチルシクロテトラシロキサン95.2部、テトラメチルシクロテトラシロキサン3.9部及び触媒として硫酸1部を反応容器に仕込み、ポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、メチルハイドロジェンポリジメチルシロキサンを得た。かくして得られたメチルハイドロジェンポリジメチルシロキサン31.3部、ポリアルキレングリコールブチルブテニルエーテル(ポリアルキレングリコール部としてオキシエチレン単位30個とオキシプロピレン単位40個とがランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するもの)68.7部、触媒として塩化白金6水和物の濃度が0.5質量%のイソプロパノール溶液を0.5部及びキシレン150部を反応容器に仕込み、更にポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様に反応を行なって、反応生成物を得た。この反応生成物をポリエーテル変性シリコーン(P−1)と同様にH−NMR及びGPCにて分析した。得られたケミカルシフトを表11に示し、また質量平均分子量を表12に示した。






【0069】
【表11】
【0070】
H−NMRとGPCの結果より、得られた反応生成物は、化1中のpが220、qが10、rが1、化2中のRがメチル基、化2中のRがn−ブチレン基、Rがブチル基、Aがオキシエチレン単位30個とオキシプロピレン単位40個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化1で示されるポリエーテル変性シリコーンであった。このポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量は55000であった。
【0071】
以上で合成したポリエーテル変性シリコーンの内容を、表12にまとめて示した。












【0072】
【表12】
【0073】
表12において、
*1:オキシアルキレン単位中のオキシエチレン単位の割合(%)
*2:(q/(q+r))×100
*3:質量平均分子量
A−1:オキシエチレン単位5個とオキシプロピレン単位44個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−2:オキシエチレン単位10個とオキシプロピレン単位45個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−3:オキシエチレン単位15個とオキシプロピレン単位60個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−4:オキシエチレン単位5個とオキシプロピレン単位45個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−5:オキシエチレン単位15個とオキシプロピレン単位40個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−6:オキシエチレン単位25個とオキシプロピレン単位120個がブロックに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−7:オキシエチレン単位10個とオキシブチレン単位45個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−8:オキシエチレン単位3個とオキシプロピレン単位20個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−9:オキシエチレン単位8個とオキシプロピレン単位3個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−10:オキシエチレン単位5個とオキシプロピレン単位45個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−11:オキシエチレン単位30個とオキシプロピレン単位40個がランダムに結合して構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
【0074】
試験区分2(合成繊維用処理剤の調製)
・実施例1
非イオン性界面活性剤としてブタノールにプロピレンオキシド/エチレンオキシドを50/50(質量比)の割合でランダムに付加した質量平均分子量3500の化合物(N−3)を80部、ポリオキシエチレン(12モル)オクチルエーテルラウレート(N−4)を15部、イオン性界面活性剤としてオクタン酸カリウム塩(E−1)を2部、ポリエーテル変性シリコーンとして表12記載のポリエーテル変性シリコーン(P−2)を3部の割合で均一混合して、実施例1の合成繊維用処理剤を調製した。
【0075】
・実施例2〜8及び比較例1〜4
実施例1の合成繊維処理剤と同様にして、実施例2〜8及び比較例1〜4の合成繊維処理剤を調製した。以上で調製した各例の合成繊維処理剤の内容を、実施例1も含めて、表13にまとめて示した。
【0076】
試験区分3(高温での安定性の評価)
調製した各例の合成繊維用処理剤を、40℃のインキュベーターで1週間保管して、保管する前と後の外観の変化を目視にて観察し、次の基準で評価した。結果を表13にまとめて示した。
高温での安定性評価の基準
◎:変化なし
○:わずかに分離が見られるが、実用上問題ない
×:分離が発生し、実用上問題がある
【0077】
試験区分4(合成繊維への合成繊維用処理剤の付着)
試験区分2で調製した合成繊維用処理剤10部とイオン交換水90部を均一混合して、濃度10%の合成繊維用処理剤水性液を調製した。固有粘度0.64、酸化チタン含有量0.2%のポリエチレンテレフタレートのチップを常法により乾燥した後、エクストルーダーを用いて295℃で紡糸し、口金から吐出して冷却固化した後、走行糸条に合成繊維用処理剤水性液を計量ポンプを用いたガイド給油法にて、走行糸条に対し合成繊維用処理剤として1.0%となるよう付着させた後、ガイドで集束させて、機械的な延伸を伴うことなく、3300m/分の速度で捲き取り、128デシテックス36フィラメントの部分延伸糸の10kg捲きケークを得た。
【0078】
試験区分5(解舒性の評価)
試験区分4で作製した10kg捲きケークの部分延伸糸について、東レエンジニアリング社製の商品名パッケージアナライザーPA−701を用いて、以下の条件で解舒張力を測定し、解舒性を以下の基準で評価した。結果を表13にまとめて示した。
解舒条件:1000m/分、10分間
解舒性評価の基準
◎:解舒張力の変動が2g未満
○:解舒張力の変動が2g以上〜4g以下
×:解舒張力の変動が4gより大きく、異常張力や糸切れを生じる
【0079】
【表13】
【0080】
表13において、
L−1:鉱物油(30℃の動粘度が47mm/s)
L−2:イソトリデシルステアレート
L−3:ソルビタンモノステアレート
L−4:ヤシ油
N−1:ポリオキシプロピレン(3モル)ラウリルエーテルメチルエーテル
N−2:ポリオキシエチレン(15モル)硬化ヒマシ油エーテル
N−3:ブタノールにポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン(重量比:50/50)がランダムに付加した化合物(Mw:3500)
N−4:ポリオキシエチレン(12モル)オクチルエーテルラウレート
N−5:ポリオキシエチレン(5モル)ジオレート
E−1:オクタン酸カリウム塩
E−2:ドデカンスルホン酸リチウム塩
E−3:オレイルリン酸エステルとトリエタノールアミンとの塩
【0081】
表1〜表12に対応する表13の結果からも明らかなように、本発明によれば、解舒性が良好で、高温での安定性に優れる。
【要約】
【課題】解舒性が良好で、高温での安定性に優れる合成繊維用処理剤、かかる合成繊維用処理剤が付着した合成繊維及びかかる合成繊維用処理剤を用いた合成繊維の処理方法を提供する。
【解決手段】非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤及びポリエーテル変性シリコーンを含有して成る合成繊維用処理剤において、該ポリエーテル変性シリコーンとして特定の構造で特定の分子量を有するポリエーテル変性シリコーンを用いた。
【選択図】なし