特許第6249334号(P6249334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6249334点灯装置及び該点灯装置を具備する照明器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6249334
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】点灯装置及び該点灯装置を具備する照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20171211BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-242189(P2013-242189)
(22)【出願日】2013年11月22日
(65)【公開番号】特開2015-103354(P2015-103354A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(72)【発明者】
【氏名】平松 明則
(72)【発明者】
【氏名】城戸 大志
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 純一
(72)【発明者】
【氏名】井戸 滋
(72)【発明者】
【氏名】上田 大輔
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−029437(JP,A)
【文献】 特開2009−009817(JP,A)
【文献】 特開2012−227155(JP,A)
【文献】 特開2007−227681(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0062872(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個の直流電源回路(Nは、2以上の整数)を備え、
前記N個の直流電源回路の各々には、互いに並列に接続されている2以上の光源と、前記2個以上の光源とこの直流電源回路との接続を切り替える切替手段とが接続され、
前記N個の直流電源回路に接続される光源の総数は、M個(Mは、2N以上の整数)であり、
前記M個の光源のうちで、互いに共通の直流電源回路に接続される前記2個以上の光源は、電圧−電流特性が互いに近いもの同士であり、
前記M個の光源のうちで、互いに共通の直流電源回路に接続される光源間の定格電圧の差は、互いに異なる直流電源回路に接続される光源間の定格電圧の差よりも小さ
ことを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記N個の直流電源回路のうち少なくとも1個に接続される前記2個以上の光源の各々発光素子と前記発光素子の光色を変換する蛍光体とを有する発光ダイオードからなり、
前記N個の直流電源回路のうち別の少なくとも1個に接続される前記2個以上の光源の各々前記蛍光体を有さない発光ダイオードからなる
ことを特徴とする請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の点灯装置を具備することを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯装置及び該点灯装置を具備する照明器具に関し、より具体的には、個別に制御される複数個の直流電源回路を備える点灯装置及び該点灯装置を具備する照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、個別に制御される複数個の直流電源回路を備える照明器具が提供されている(例えば、特許文献1参照)。各直流電源回路は、それぞれ発光ダイオードアレイのような光源を点灯させる。すなわち、複数個の直流電源回路を個別に制御することで、点灯・消灯や光出力の変更といった光源の状態を直流電源回路毎に異ならせることができる。例えば、照明範囲や光色が光源毎に異なる場合、上記のように各直流電源回路を個別に制御することで、全体としての照明範囲や混色による光色を柔軟に変更することができる。
【0003】
また、1個の直流電源回路に複数個の光源のいずれかが択一的に切り替えて接続される照明器具も提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−154748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1個の直流電源回路に接続される複数個の光源間で定格電圧の差が大きい場合、定格電圧が高い光源から定格電圧が低い光源に切り替えられたときに、切替直後に光源に過剰な電気的ストレスが加わってしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、光源に過剰な電気的ストレスが加わりにくい点灯装置及び該点灯装置を具備する照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の点灯装置は、個の直流電源回路(Nは、2以上の整数)を備え、前記N個の直流電源回路の各々には、互いに並列に接続されている2以上の光源と、前記2個以上の光源とこの直流電源回路との接続を切り替える切替手段とが接続され、前記N個の直流電源回路に接続される光源の総数は、M個(Mは、2N以上の整数)であり、前記M個の光源のうちで、互いに共通の直流電源回路に接続される前記2個以上の光源は、電圧−電流特性が互いに近いもの同士であり、前記M個の光源のうちで、互いに共通の直流電源回路に接続される光源間の定格電圧の差は、互いに異なる直流電源回路に接続される光源間の定格電圧の差よりも小さことを特徴とする。
【0008】
上記の点灯装置において、前記N個の直流電源回路のうち少なくとも1個に接続される前記2個以上の光源の各々発光素子と前記発光素子の光色を変換する蛍光体とを有する発光ダイオードからなり、前記N個の直流電源回路のうち別の少なくとも1個に接続される前記2個以上の光源の各々前記蛍光体を有さない発光ダイオードからなるものであってもよい。
【0009】
本発明の照明器具は、上記いずれかの点灯装置を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、全ての光源を1個の直流電源回路に接続する場合に比べ、切替手段を切り替えたときに光源にかかる電気的なストレスが抑えられる。また、光源と同数の直流電源回路を設ける場合に比べ、製造コストの低減や小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
図2】同上の外観を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
本発明の点灯装置は、複数個の直流電源回路(DC−DCコンバータ21,22)を備える。各直流電源回路(DC−DCコンバータ21,22)には、それぞれ、複数個の光源(発光ダイオード41〜45)と、光源(発光ダイオード41〜45)と直流電源回路(DC−DCコンバータ21,22)との接続を切り替える切替手段(スイッチ51〜55)とが接続されている。互いに共通の直流電源回路(DC−DCコンバータ21,22)に接続される光源(発光ダイオード41〜45)間の定格電圧の差は、互いに異なる直流電源回路(DC−DCコンバータ21,22)に接続される光源(発光ダイオード41〜45)間の定格電圧の差よりも小さくされている。
【0014】
上記の点灯装置において、直流電源回路(DC−DCコンバータ21,22)のうち少なくとも1個に接続される各光源(発光ダイオード41〜45)はそれぞれ発光素子と前記発光素子の光色を変換する蛍光体とを有する発光ダイオードからなり、直流電源回路(DC−DCコンバータ21,22)のうち別の少なくとも1個に接続される各光源(発光ダイオード41〜45)は、前記蛍光体を有さない発光ダイオードからなるものであってもよい。
【0015】
本発明の照明器具は、上記いずれかの点灯装置を具備する。
【0016】
本実施形態の点灯装置は、図1に示すように、AC−DCコンバータ1と、2個の直流電源回路としてのDC−DCコンバータ21,22とを備える。
【0017】
AC−DCコンバータ1は、外部の交流電源3から入力された交流電力を直流電力に変換するものである。このようなAC−DCコンバータ1は、例えば、ダイオードブリッジ(図示せず)と、このダイオードブリッジの直流出力(脈流出力)を所定電圧の直流電力に変換する周知のブーストコンバータ(図示せず)とで構成することができる。
【0018】
各DC−DCコンバータ21,22の出力端には、それぞれ、光源としての発光ダイオード41〜45と、切替手段としてのスイッチ51〜55との直列回路が複数個ずつ並列接続されている。一方のDC−DCコンバータ(以下、「第1DC−DCコンバータ」と呼ぶ。)21には上記の直列回路が2個並列接続され、他方のDC−DCコンバータ(以下、「第2DC−DCコンバータ」と呼ぶ。)22には上記の直列回路が3個並列接続されている。DC−DCコンバータ21,22毎に1個ずつのスイッチ51〜55がオンされ他のスイッチ51〜55がオフされると、オンされたスイッチ51〜55に接続された発光ダイオード41〜45が択一的にDC−DCコンバータ21,22に接続される。
【0019】
また、本実施形態は、制御の指示が入力される指示入力回路(図示せず)と、この指示入力回路への入力に従って各DC−DCコンバータ21,22と各スイッチ51〜55とをそれぞれ制御する制御回路(図示せず)を有する。指示入力回路は、リモコン(図示せず)からの信号を受信するものであってもよいし、押釦やタッチパネル等の周知の入力装置により操作入力を受け付けるものであってもよい。上記のような指示入力回路や制御回路は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0020】
第1DC−DCコンバータ21に接続された発光ダイオード41,42は、それぞれ、発光素子と該発光素子の光色を変換する蛍光体とを有する、主照明用の発光ダイオードである。上記の発光ダイオード41,42のうち、一方の発光ダイオード41は、上記の発光素子の光(例えば青色光)と蛍光体の光(例えば黄色光)との混色が白色に見えるように蛍光体の成分や量が設計された白色発光ダイオードである。また、他方の発光ダイオード42は、上記の発光素子の光と蛍光体の光との混色が電球色に見えるように蛍光体の成分や量が設計された電球色発光ダイオードである。
【0021】
第2DC−DCコンバータ22に接続された発光ダイオード43〜45は、それぞれ、上記のような蛍光体を有さない、演出用の発光ダイオードである。上記の発光ダイオード43〜45のうち、1個の発光ダイオード43は赤色光を発生させるものであり、別の1個の発光ダイオード44は緑色光を発生させるものであり、残り1個の発光ダイオード45は青色光を発生させるものである。
【0022】
各DC−DCコンバータ21,22は、それぞれ、AC−DCコンバータ1から入力された直流電力を、接続された発光ダイオード41〜45の点灯に適した直流電力(例えば、電流値が所定の目標電流値に維持された直流電力)に変換して出力するものである。このようなDC−DCコンバータ21,22としては、例えばバックコンバータ(降圧チョッパ回路とも呼ばれる)のような周知のスイッチング電源回路を用いることができる。
【0023】
各DC−DCコンバータ21,22の動作は、例えば一定の電流を出力する定電流動作とすることができる。この場合、1個のDC−DCコンバータ21,22について同時にオンできるスイッチ51〜55は1個となり、1個ずつの発光ダイオード41〜45が択一的に接続されることになるので、複数個のスイッチ51〜55に代えて切替スイッチを用いてもよい。
【0024】
または、各DC−DCコンバータ21,22の動作は、一定の電圧を出力する定電圧動作とすることができる。この場合には、各発光ダイオード41〜45にはそれぞれ電流制限用の抵抗(図示せず)を直列に接続する必要があり、この抵抗による損失が発生するものの、1個のDC−DCコンバータ21,22について複数個のスイッチ51〜55を同時にオンすることができる。
【0025】
また、本実施形態においては、互いに共通のDC−DCコンバータ21,22に接続される複数個の発光ダイオード41〜45はV−I特性が互いに近いもの同士とされている。具体的には、第1DC−DCコンバータ21に接続された2個の発光ダイオード41,42は、それぞれ、照明用であって比較的に順方向電圧や定格電圧が高いものである。また、第2DC−DCコンバータ22に接続された3個の発光ダイオード43〜45は、それぞれ、演出用であって比較的に順方向電圧や定格電圧が低いものである。そして、互いに共通のDC−DCコンバータ21,22に接続される発光ダイオード41〜45間の定格電圧の差は、互いに異なるDC−DCコンバータ21,22に接続される発光ダイオード41〜45間の定格電圧の差よりも小さくなっている。例えば、第1DC−DCコンバータ21に接続される発光ダイオード41,42間の定格電圧の差は、第2DC−DCコンバータ22に接続されるいずれの発光ダイオード43〜45の定格電圧と第1DC−DCコンバータ21に接続されるいずれの発光ダイオード41,42の定格電圧との差よりも小さくなっている。
【0026】
上記構成によれば、全ての発光ダイオード41〜45を1個のDC−DCコンバータ21に接続する場合に比べ、スイッチ51〜55を切り替えたときに発光ダイオード41〜45にかかる電気的なストレスが抑えられる。
【0027】
また、発光ダイオード41〜45と同数のDC−DCコンバータ21,22を設ける場合に比べ、製造コストの低減や小型化が可能となる。
【0028】
なお、図1では各光源は1個ずつの発光ダイオード41〜45からなるが、光源としては複数個の発光ダイオードからなる発光ダイオードアレイを用いてもよい。または、光源として、発光ダイオード41〜45に代えて、例えば有機ELのような他の周知の電気的光源を用いてもよい。また、各DC−DCコンバータ21,22の電源としては、AC−DCコンバータ1に代えて、電池などの他の直流電源を用いてもよい。
【0029】
また、DC−DCコンバータ21,22の個数を3個以上としてもよい。さらに、1個のDC−DCコンバータ21,22に接続する発光ダイオード41〜45とスイッチ51〜55との直列回路の個数を4個以上としてもよい。
【0030】
上記の点灯装置は、例えば図2に示すような照明器具に用いることができる。図2の例において、各発光ダイオード41〜45と各スイッチ51〜55とは1個のプリント配線板61に実装されている。また、プリント配線板61は、下面が開口した有底筒状のケース62の内底面に実装面を下向きにして固定され、ケース62とともに灯体6を構成している。さらに、灯体6は、例えばアクリル樹脂のような透光性を有する材料からなりケース62の開口を閉塞する透光カバー63を有している。各発光ダイオード41〜45の光は、透光カバー63を通じて下方へ出射する。また、ケース62は、天井材70に設けられた貫通孔700に埋め込まれている。天井材70は、厚さ方向を上下方向に向けてコンクリートなどの造営材との間に隙間(いわゆる配線スペース)を開けて固定された板材であり、下面が天井面を構成するものである。さらに、AC−DCコンバータ1と各DC−DCコンバータ21,22と指示入力回路と制御回路とはそれぞれケース62とは別途のハウジング8に収納され、ケーブル71を介してプリント配線板61に接続されている。ケーブル71は、一方ずつのDC−DCコンバータ21,22に接続された2組の電源線と、スイッチ51〜55の制御用の信号線とを含む。ハウジング8は、灯体6の側方において天井材70上に設置される。これにより、ハウジング8が灯体6の上側に設置される場合に比べ、天井材70の上側に必要な隙間が小さくなっている。
【符号の説明】
【0031】
21 第1DC−DCコンバータ(直流電源回路)
22 第2DC−DCコンバータ(直流電源回路)
41〜45 発光ダイオード(光源)
51〜55 スイッチ(切替手段)
図1
図2